理想のUT体験考

秋に某大学の集中講義のゲスト講師でユーザーテスト演習コースをすることになりました(大学名を出していいかわからないのでとりあえず伏せときます)。コマ数に余裕もあるので、少し凝ったことをしてみようかと、改めて「体験して身になるユーザテストとはどんなものか?」というのを再考してみたいと思います。

今までにもユーザーテスト演習はあちこちで提供してきましたが、ずっと気になっているのは、テストして問題点挙げて終わり、という点。これだと評価者の一方的な視点で文句言って終わり、ということになりがち。これは、某社の新人達が書く某日記コンテンツの初稿でも同じことが言えます。経験の浅い評価者ほど、ツッコミどころを見つけ次第即処断して満足、という流れに陥りやすい。σ(^^)も駆け出しの頃はそうだったように思います。が、世の中の製品の仕様は、何かしら理由があってそうなっていることの方が(多分)多い、ということが経験を積むに従ってわかってきます。技術的、コスト的制約でそうせざるを得なかった場合はもちろん、同じユーザビリティを重視しつつも、優先する利用コンテクストや想定ユーザ層を異にしただけ、ということも少なくない訳です。そういう考察が足りない一方的な“攻撃”は本人の満足以外なにももたらしません。これからユーザビリティ評価を学ぶ人達には、そういう轍を踏んで欲しくないと思います。どうしたらよいんでしょうね?

1つには「そう教える」ってこと。実は同時に認知科学系の知見を教える座学系の講義も打診されたんですが、2ついっぺんは無理っぽいので辞退したんですが、そういう講義の中で、「ヒトは自分の仮説の反証を吟味することが苦手である」ことを示唆する研究例を交えたりして、「そこんとこよくよく自重しような」と諭すことは重要でしょう。

ただ言葉で聞いただけではなかなか身につかないってのもまた学習科学の基本。2つ目にはこれを「体感」していってもらうことを目指したいと思います。例えば、挙がった問題点を別のグループが再テストして評価するとか。まだ講義の聴講人数が決まってこないので、そもそもグループ制にできるかどうかもわからないんですが。グループ制にできない場合は、
1. 製品をインスペクション評価
2. 改善提案をプロトタイピング
3. そのプロトをユーザテスト(オリジナルと比較でもいい)
みたいな流れにできればいいかも?自分が良かれと思って提案した改善内容の欠陥が見つかる、という体験自体が宝物だと思うワケです。「元の開発者も同じこと考えた上でこうしたのかも知れない」と思ってもらえばニヤリです。
ちょっと時間的、技術的に困難を伴いますが。DENIMみたいなラピッドプロトタイピングツールを上手く活用できればやれなくはないかも。
(あれ、そういえばコレ系のツールでスゴくいいのを見つけたから今度資料送る、と一時帰国した時に言っていた誰かさんから連絡ないな…)

あと、3つ目というか、これは一朝一夕には難しいんですが、こういう吟味をする上では、商品知識や設計知識が不可欠。これは講義の中では、馴染みの深い製品ジャンルをネタに選ぶということしかないかも知れません。あるいは家電店などに出かけていって競合製品の仕様が比較リサーチできるようなものにするとか?
何が良いですかねぇ。基本方針はWebではなく組み込み系でというお話。

幸い、被験者は外部から集めることも検討可能のようなので、シニア層とかを使えると良いでしょうね。大学の講義だからって大学生集めて、サクっとタスク達成されても面白くない。フハハ、世の中の広さを体感するがいいさ(笑)!

とまぁ、そんな感じで設計者を凹ますのではなく、自分たちが凹んで帰ってくような基本アプローチで講義をデザインしてみたらどうだろうと思うワケですがいかがでしょうね。識者諸氏のご意見を伺えたらと思います。

あと、「自分なこういう体験を機にユーザビリティ屋としてひと皮剥けたと思う」エピソードも募集。それを元に色々“地雷”を仕掛けてみたいと思いますw。

なんつーかこう、「ユーザビリティ屋としての最悪の体験をここで全部済ませておこう地獄巡りツアー」みたいな。

動画眼 1.3.5 (バグ修正版)リリース

動画眼のメモ入力欄で、

  • DeleteキーやShift+矢印キー(範囲選択)、End等のキーが効かない
  • 左端で←キーを押すとエラーになる

というご指摘を戴いたので修正しました。ダウンロードはこちらからどうぞ。

相変わらず細かいところでバグが残っていてすみません。

メモ欄以外でのキー入力もまとめて別のところで処理している都合上、ちょっと特殊な処理をしていて、一部のキー処理が無視されていたようです。全体的な処理を見直したので、テキスト欄におけるWindowsの一般的な挙動に近づいたと思います。

同日補足:

度々すみません。上記リリースに含まれるデスクトップのショートカットアイコンが壊れていましたので、1.3.6に更新しました。

奥泉さん、ブログ開設

同じ、以前いた会社と中京大学大学院の後輩であり、フリーランスのユーザビリティ屋仲間であり、最近はユーザビリティ系書籍の翻訳などをやられている、奥泉直子さんがホームページを開設されました。現在は海外にいるんですが、秋頃には帰国して業務再開するので、その準備という感じです。σ(^^)もちょっぴりお手伝いさせてもらいました。

彼女はもともと海外留学経験者ですし、今もヨーロッパやアメリカに長期滞在して文化コンテクストの違いを熱心にブログにまとめておられます。海外クライアントの案件も経験が多いです。英語絡みの業務ではとても頼りになる方です(ちゃんと英語版ページもあるあたりが彼女らしいですね)。海外企業で日本でテスト実施をお考えの方、逆に輸出製品をお作りで海外でテストをしてみたい方は是非彼女にお問い合わせを。形だけなら割と誰でもできるモデテータ―(進行役)ですが、プロジェクトの主旨をきちんと理解して臨機応変に進行しようと思うとそれなりに経験がいります。彼女はその辺りも信頼してまかせられる貴重な人材の一人だと思います。レポートも多分σ(^^)よりしっかりしたものが出てきますよ。

不況でなかなか規模の大きなプロジェクトを実施できないという企業の方々!お値打ちで小回りの利く我々のようなフリーランスを使ってみませんか(^^)/?

P.S.

リコーさんの連載が諸事情で公開が止まっています。6月ころには再開される予定です。楽しみにしていただいてる方には申し訳ありませんが、しばらくお待ち頂ければと思います。