個人的に、とても刺さる本だった。
角川書店 (2007/10)
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語っていることはわりとオーソドックスかもしれない。「守・破・離」だったり、スランプ対処法だったり。でも、観察者がまとめるのと、谷川浩司本人が書いているのとでは、刺さりかたがまるで違う。本書内にある「ブランド力」すなわち、「強いというイメージ」を持つ棋士が相手だと、対局者は余計なことを考えて勝手にミスをして負けてしまうケースが結構ある、ということに通じる(このことは、瀬川晶司「後手という生き方—「先手」にはない夢を実現する力 (角川oneテーマ21 (A-60))」にも書いてあり、興味深かった)。
本書の中心課題ではないかもしれないけれど、挫折体験の重要さを語っているところがとても酔いと思ったので、引用しておく。
そんな将棋の世界で、わたしは小さいころから生きてきた。勝ち負けがはっきりつく世界で暮らしてきた。これまで600回以上「負けました」と頭を下げてきただろう。それはほんとうに辛い。だが、それだけ負けたからこそ、私は強くなれたという言い方もできる。なぜなら、敗因を分析し、反省し、次はどうすれば勝てるのか創意工夫し続けていたからである。反省のないところに前進は生まれない。これは将棋の世界にかぎった話ではないと思う。にもかかわらず、いまは挫折や失敗を体験せずに社会に出てしまった人たちがたくさんいる。失敗を失敗だと指摘されずに育ってきた人がたくさんいる。いや、いい歳をした大人だって、負けや失敗を認めたがらない。言い訳をしたり、嘘をついたりしてなんとかしてごまかそうとする。
だが、それでは同じ失敗を繰り返すだけである。先ほど述べたように、反省なくして前進はありえないのだ。「こうすればこうなる」とか「これをしておかなければこんなことが起こってしまう」と想像することもないだろう。だからこそ、こうした習慣を身につけるためには、子どものときからある程度挫折や負けを体験させることが重要だと思うのだ。
コンセプトに研きをかける作業も、「失敗を分析する」勇気と努力から生まれるのではないかと思う。

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