最近出版されたユーザビリティ関連書籍の中に、是非ご紹介したいもの があります。おすすめ書籍のコーナーでもあげてますが、

 Steve Krug 『ウェブユーザビリティの法則 ストレスを感じさせないナビゲーション作法とは

という本です。

 全体として見ればWebデザインの本ですが、イントロダクションから第2章では、「デザイナーが想像するユーザ像とそこから想定される製品の使われ方が、実際のそれといかに異なる」かについて身近な例でわかりやすく且つ面白く書かれていますし、第9章の「1日10セントでできるユーザビリティテスト」以降では高いお金を払って専門家を雇わなくたって、自分達で有効な検証はできるんだよ、ということが丁寧に解説してあり、Webデザイナーに限らず、広くインタラクション設計に携わる人達の参考になると思います。

 σ(^^)が気に入った一節に、

もしテスティングをするのに、専門家を雇うお金があるのだったら、ぜひともそうしたほうがいい。しかし、そうすることでテスティングの回数が減ることになるのだったら、雇うべきではない

というくだりがあります。これは、ユーザビリティの世界で「Iteration(繰り返し)」という言葉がキーワードとなっており、何度も評価と改善のループを回すような設計フローをとりましょう、と言われていることを改めて強調しています。何十人も被験者を使ったカッチリした客観データを取るよりも、1回2、3人規模で評価→改善→評価→改善という繰り返しを実施していく方がより良い製品を設計できるということです。

 もちろん、Webやソフトウェア開発の世界と違って、金型変更にン千万って世界のハード製品設計の世界では、「外部の専門家に評価を委託した結果」とか「被験者を50人使って検証テストをした結果」などでオーソライズの必要があるフェイスもあるかと思います。ソフトウェアにしても影響範囲の大きい変更に関してはそうでしょう。そして、この傾向は規模の大きい組織、製品であるほど強いと思われます。ただ、そうであっても、スケッチやペーパーモックの段階では、Krugの主張するような小規模多回数型の検証の方がより有効だと思われるケースも少なくはないはずです。開発部署内の個人レベルで改変したり新しいアイデアを練ったりするには非常に有効な考え方だと思います。実際、「ユーザテスト」と自分で思っていなくても、近くの人にアイデアを見せて意見を聞いたりということは結構やってらっしゃる人は多いのではないでしょうか。

 我々道具眼プロジェクトでも、Krugが主張するような小規模多回数検証型のテストは大いに賛同するところがあり、積極的に応援していきたいと思っています。今後も取り組みの参考になる情報を掲載していきたいと思いますし、もしご質問などありましたら、なんなりとお寄せ下さい。