RODECaster Video用に安全な代替USB PD電源アダプタを購入

RODECaster Video(以下RCV)はUSB PD 65W電源で駆動します。もちろん専用のACアダプターは付いてくるのですが、箱の両端にUSBケーブルとACケーブルが生えているタイプで箱のサイズもそこまで小型化はされていません(写真は記事末尾)。しかもAC側は海外仕様の3ピンで、3ピン→2ピン変換アダプタも必要なタイプ(付属はしてます)。両端ケーブル型は出張UTの時の取り回しも悪いので、せっかく汎用規格であるUSB PD給電であることを活かすべく代替品を調達することにしました。

■マルチポート充電器のリスク

すぐに思い浮かぶのはマルチポートのUSB充電器です。UTでは他にも様々な機材を使います。例えばRCVからの映像をプレビューするためにモバイルモニターなど。これらもUSB Type-Cポートで給電するので、マルチポート充電器1つでまとめて給電できれば便利です。しかしここに落とし穴があります。世の中の多くのマルチポートPD充電器は、ポート間の給電バランスを最適化する為、各ポートにデバイス(ケーブル)を抜き差しする度に一旦給電を止める仕様になっています。その時点で各ポートのPD充電デバイスが何ボルト、何アンペアまで受け付けるのかをネゴシエートし、割り振りを計算してから給電を再開します。スマホやノートPCなどバッテリー機器を充電する分にはさして問題にならないのですが、RCVやモバイルモニターのようにUSBポートから常時給電を前提にしている機器だと、このタイミングで電源が落ちてしまいます。モバイルモニターも一瞬画面が暗転するだけならいいかもと思われるかも知れませんが、PC側でモニターの接続が切れた(モニタ数が変化した)と検出されると色々な問題がおきます。特にOBS Studioでディスプレイをキャプチャして配信している時にこれが起きるとOBS Studioがクラッシュして配信が止まってしまいます。

つまり、これらバッテリーがなく即落ちする機器を使うなら、

  1. マルチポート充電器を使わない
  2. マルチポート充電器を使う場合、配信中に絶対にデバイスを抜き差ししない
  3. デバイスのプラグ/アンプラグで給電が停止しないマルチポート充電器を使う

といった配慮が必要です。

3.の仕様の充電器があるならそれを使えば解決なんですが、この細かい仕様は商品サイトや仕様表にはなかなか記載がなく、買って試してみないとわからないことがほとんどです。内部的に独立回路になっているかかなり高度な制御システムが入っている必要があり、高くて大きな製品でないとほぼ期待できないでしょう。回路が完全独立ということはポート間で電力の融通が利かせられないということなので、一般的にはデメリットで、むしろ自動ネゴシエートを売りにしている製品の方が多いくらいです。

唯一期待できるのは、まさに同じ問題に着目してレビューをしてくれているドリキンさんのこちらの動画で紹介されている、AnekrのPrime Chagerの250W、6ポートタイプのものです。動画の9分45秒目あたりから検証しています。

トータルの供給電力量も250Wありヨサゲですが、現場にもってくにはちょっとデカい…

これだけあればPC、モバイルモニター、ルーター、書画カメラなどあらゆるもとをまとめて給電できそうではありますが、そこまで1つに集約するのも逆に不安も。

いずれ欲しくなりそうですが、今回は保留。

■結局買ったACアダプターはこれ

今回は安全運用を優先してマルチポート充電器は諦め、こちらのシングル充電器をチョイス。出力65Wな点以外に選定の理由としては、

  • ケーブルが固定で2mついている
  • プラグが折りたためる
  • その中でGaN IIs採用で小さい

といった辺り。以前の記事で書いた通りRCVは電源ポートがUSB Type-Cなので、ねじ式のロックコネクタのATEM MINIと比べるとスッポ抜けのリスクはあります(ケーブルがスッポ抜けて配信が止まるのと、本体ごと引っ張られて落下して壊れるのはトレードオフですが…)。少なくともコンセント側が固定式であることでリスクが半分にできます。

また運搬時はプラグを折りたためることで他のモノにキズをつけたりするリスクも減らせます。

ケーブル長は2mで壁コンセントや床上のタップから卓上に引き回すと考えるとギリギリ不安が残りますが、まぁ最悪タップを寄せればいいかなと。

ということで、RCV付属充電器との比較写真を参考に貼っておきたいと思います。

付属ACアダプタ(左) vs ELECOM EC-AC8665BK

だいぶスッキリしました。

現状特に問題なく使えています。小さいからめちゃくちゃ発熱したりとかも心配でしたが、そこまで熱を持つこともなさそうです。

RODECaster Video、手持ちWebカメラ動作確認

RODECaster Video(以下RCV)はUSBポートの4と5にUVC(Univeral Video Class)仕様のWebカメラを接続することができます(標準ではカメラ5と6に割り当て)。

UVCはWebカメラの事実上標準規格ですが、WebカメラならなんでもOKというわけではなく、非圧縮(Uncompressed)コーデックである必要があるぽいです。大抵のWebカメラはUSB帯域が狭いため、カメラ側でMotionJPEGとかH.264で圧縮してPCに送ります。それをPC側でまたデコードして使用します。その分、レイテンシや画質が犠牲になりがち。

一方、USB3.xに対応して高速通信が可能なWebカメラでは、圧縮しない生映像をPCに送ることができます。この贅沢な仕様は配信者が使用するような高級な機種に多く、ゲーミングブランドから出ていることが多いです。

公式リストに挙がっている機種は、2025年1月現在、

  • AnkerWork C310
  • Elgato 4K X
  • Elgato Cam Link 4K
  • Elgato Facecam
  • Elgato Facecam MK.II
  • Elgato Facecam Pro
  • Elgato HD60 X
  • Logitech Brio STream
  • Logitech Brio ULTRA HD Pro
  • Logitech C920 HD Pro
  • Logitech StreamCam
  • Obsbot Tiny 2
  • Razer Kyio Pro(Kiyoの間違いでしょう)
  • Sony FX30
  • Sony FX3
  • Sony ZV-E1

となっています。ElgatoとかRazerはガチゲーミング向け。Logitechは日本ではLogicoolのことですが、Brioは高級ビジネスブランドです。Sonyの3つはミラーレスデジカメですが内蔵USBポートがUVCクラス準拠なためWebカメラとして使える、というものです。

■手元で試したWebカメラの接続可否をメモっていく

我が家には幸い、OBSBot Tiny2もBrioもFX30もあるので、活用できるだろうという目論見もあってRCVを購入したのですが、せっかくそれ以外にも同一メーカー製カメラもいくつかあるので、接続テストをしてみました。(随時更新予定)

・Logicool Brio V-U0040: OK

4K対応高級Webカメラの先駆けみたいなモデルです。今Brioブランドでいくつも派生モデルが出ていて、手元のが公式リストにあるBrioなのか不確定でした。ウチのはBrioナンチャラって一切ついてなかった頃の単なるBrioだったはず。モデルナンバーはV-U0040となっています。2018年発売なので、多分これだと思います。本体のどこにもC1000eRという型番は書いてないのですが…

結果はOK。インスペクト機能でみると「1920x1080p 24 YUV」と出ます。Brioは4K対応ですがRCVがフルHDまでしか対応してないので「まぁそうなりますわな」という感じ。

注記:初出時、「1920x1080p 30 YUV」としていましたが、後日映像が割とカクカクするなと思って改めてみたら24でした。設定をあれこれ見ても変えようがないので見間違えだったというのが現在の結論です。カタログスペックでは30いけそうなんですがLogicoolの仕様表はMJPEG時とYUV時で書き分けていないので、YUVではフレームレートが落ちるということなのかも知れません。

ユーザテストの納品ビデオは容量削減優先で15fpsで書き出すことが多いのですが、その際も整数倍の30fpsからダウンサンプルする方が滑らかになると思うので、できれば30fpsで使いたかったところです。

他に現在国内ではBrioを関するカメラとして、100、500、700といったモデルがありますが、公式リストにあるSTreamとかULTRA HD Proはどれやねん、という感じ。

・OBSBot Tiny 2: OK

これも公式リストにあるんだから当たり前ですがOK。表示は同じく「1920x1080p 30 YUV」。Tiny2の公式スペックをみるとYUV出力時はフルHDでも30p止まりのようです。残念。

またRCV経由だと強みであるPTZ(パンチルトズーム)が活かせないのがもったいないですね。一応AIジェスチャー認識やトラッキングがありますが、個人的には誤動作して思わぬ方を向いてしまうのがイヤでOFFにしています。Tiny2の公式FAQによると画質設定などはカメラ側に保存されるようなので、一度PCにつないでOBSBot Centerで調整してからRCVに繋ぎ直せば色味などのチューニングはそのまま反映されるのかも知れません(未確認)。

なお廉価モデルのTiny 2 LiteだとYUV出力時640×480までなので使えなさそう。

・OBSBot 初代Tiny および同4K: 実質NG

スペックはYUV時1920×1080@5fps。実機があるので試してみたところ、映りはしてインスペクタでは「1920x1080p 24 YUV」と出るのですが遅延が大きい。おそらく実際は5コマンしか出てないがRCVが想定してないコマ数なので最低の24と表示している、みたいな感じじゃないかと推測します。フレームレート低くても遅延がなければ使い道もあったかもですが、ちょっと実用性に欠けるかなということで「実質NG」。

・OBSBot Meet2: NG

残念ながら映りませんでした。インスペクト画面には「CONNECTED」と出るものの、上記機種達のように解像度やコーデックは表示されず、当然絵も真っ黒。公式スペックによるとこの機種はYUV時は640×480までしか出ないようです。Tiny2譲りの高画質、高コスパモデルだけに惜しいです。

ちなみに旧モデルのMeet、Meet 4Kは初代Tinyと同様YUV時1920×1080@5fpsのようなのでこれも映っても実用にはならなそうですね。だからあえてMeet2では削ったのかも知れません。Meet 4Kはつい先日手放してしまったので試せず。

・OBSBot Tail Air: NG

この機種はUSBだけでなくHDMI出力もあるので、あえてUSBを使う意味はあまりないですが(ケーブル1本で電源供給できる点くらい)、Tiny2と違って専用リモコンでPTZコントロールができるのは良いです。

結果は、NG。OBSBotの最上位モデルとも言えるのに残念。Meet2と同じ挙動で「CONNECTED」とは出るものの解像度、フレームレート表示にならず映像も来ません。非圧縮に対応してない時の挙動でしょう。仕様ではUSB2.0となっているので非圧縮伝送できる帯域がなさそう。多分高くて買えないけどもうすぐ予約解禁のTail Air 2に期待。

正直これが一番使いたかったんですが、まぁHDMIでつなげばヨシ。

・SONY FX30: OK

「1920x1080p 30 YUV」でしっかり映ります。ミラーレスカメラなので光学性能の良いレンズと組み合わせて高画質映像を送るとか、望遠域が必要な時に重宝しそうです。

ただBrioに比べるとほんの少しだけ遅延があるようにも感じました。Tiny 4Kの時のようなあからさまな遅れではなく、注視しなければ気にならないレベルではありますが。

SONY α7IV: OK

RODE側の公式リストには記載がなかったですがちゃんと映りました。「1920x1080p 30 YUV」です。気のせいかFX30より遅延も気にならないような?ちょっとここは体感なのでなんともです。きちんとフレーム数表示している画面を撮るなどして比べるといいのですが、今回そもそもRCVとPCをUSBで接続しているので、そこの遅延も一定量ありそうで。HDMIでモニタを接続した際にまた検証してみます。

ともあれ、フルサイズセンサー機からフルHD@30pが取り出せるのは美味しいですね。とはいえこの辺の機種はHDMIでつなげば60p出るだろうからあえて2ポートしかないUSB使う意味はないかな…

・GoPro HERO 11: NG

GoProはPCに専用アプリを入れるとWebカメラとして使えますがUVC準拠とは言えないのかも知れません。案の定、GoPro側はUSB接続モードになるものの、RVC側で認識せずNG。

DJI Action 2: NG

アクションカメラでもういっちょ。これも他の非圧縮非対応カメラ同様「CONNECTED」と出るだけで映らず。

・[ネタ枠] iPhone 16 Pro Max

充電できましたw。

当然ながらUVCに対応していないので他にも何も起きません。RODE Captureとか純正カメラアプリを起動しても同じ。マイクとしても認識されず。RODE Capture(RODE謹製カメラアプリ)がRCVと連携できるようになったらしいですが、やはりUSB-C(またはLightning)-HDMIアダプタを経由してHDMIポートに接続しないとダメそげです。シンプルにUSBケーブルでカメラにできたら使いどころはありそうなんですけどね。

またスマホを使いたければ、こういうUSB-C – HDMIケーブルみたいなのを使うしかなさそうですね。(動作未確認です)

まとめ(音は出ない?)

非圧縮伝送できないと使えないことは事前に把握していましたが、それ自体が明記していないWebカメラも多く、いくつかは期待もしたんですがやはり非圧縮の壁は高かったという感じです。単にUVC対応WebカメラというだけでRCVに挿しても使えないので注意が必要です。

その他気になった点というか惜しい点として、どのWebカメラからも音が入りませんでした。RCVのUSB4/5端子はUAC(Unversal Audio Class)にも対応してるはずですが、もしかしたらUVCとUACは同時使用ができず、カメラかマイクどちらかとしてしか使えないのかも知れません。

■RODECASTER VideoにオススメなWebカメラ

ここからは自身で検証できていないものもあり、あくまで公式リストやカタログスペックを信じればという前提で書きます。

これからRCVを使ったシステムを組もうといった時にオススメのWebカメラを考えてみたいと思います。もちろん撮影対象次第で画角とか最短撮影距離(どこまで近づいてもピンとが合うか)といった要素の適不適は出てくるでしょうが、まずはそもそもあえてWebカメラを使う意義として、

  • コスパが高い
  • コンパクト

といった観点があるでしょう。その辺を気にしないならミラーレスからHDMI経由でいいじゃんってことになりがち。小さなWebカメラを三脚につけてUSBケーブル一本でつなぐというのが醍醐味な気がしています。

その意味でいうとダントツに安いのがLogicoolのc920でしょう。ただこれはちょっと仕様がはっきりとしない。公式リストにはあるものの、Logicoolの仕様表をみても非圧縮フルHDに対応してないような?またAmazon限定のc920nとc920の違いもわからない(値段が半額違い)。

LOGICOOL HDプロ ウェブカム C920

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この方のブログ記事をみると、後継のc922ですらYUVのフルHD出力は5fpsとなってるが大丈夫?という感じ。公式リストにあるとはいえ、ちょっと冒険かなという気がしています。たぶん自分では買わないかな。もし試された方いたら是非結果をコメントで教えていただければと思います。

全体にLogicoolの仕様表はYUVとMJPEGではっきり出力仕様を記載してないので、フルHD/60pを謳っていてもYUVでも対応してるの?ってところが曖昧です。

それでいうとOBSBotの仕様表は明確にMJPEGとYUV別個に記載していて安心感が高いです。

ただ現状Tiny2一択でお値段がお高いのが難点。その要因であろうPTZの部分もRCVで使うんだと活かしきれないというかAIトラッキングまかせになるのでちょっともったいない感じはします。

非PTZな選択肢だとKiyo ProかFacecamがセンサーサイズも大きめで良さそうではあります。自分がもしこれから買い増すならKiyo Pro、Kiyo Pro Ultra、Facecam Mk2あたりが1080@60pが狙えそうで気になりますね。

ともあれ、RCV用に買う場合、「YUV(非圧縮)フォーマット時の」解像度やフレームレート仕様を確認して買うのをオススメします。

RODE Wireless Pro用のネックストラップハンガーを作成

UT/インタビューで2人の音声を明瞭に収録するのに、RODE Wireless GOシリーズのような小型ワイヤレスマイクは重宝します。ただUTやインタビュー調査のように参加者が入れ替わり立ち替わりして、かつセッテイング時間もない、服装も様々、という場面では、クリップやマグネットで衣服に固定しづらいことも。

そこで、当サイトでは3Dプリンターでネックストラップにとりつけられるハンガーを設計して活用していました。直接クリップ部分にヒモをひっかけるよりも姿勢が安定し、マイクが常に上(口元)を向きやすいメリットがあります。

ハンガーを使ってストラップに吊り下げた様子

しかし、2023年秋に発売されたRODE Wireless Proでは専用の充電ケースが付属しており、このハンガーパーツと相性問題が発生しました。

ハンガーが干渉して充電スロットに刺さらない

7時間程度保つというカタログスペックですが、慎重を期して60~90分のUTセッション毎に充電しておこうと思うと、都度ハンガーを付け外しする手間はばかになりません。

そこでWireless Pro充電ケース対応の新しいハンガーを再設計することにしました。

完成したPro用ハンガーがこちら。

RODE Wireless Goシリーズでは別売りだったマグネットがProでは標準で付属していますので、これを活用するスタイルです。今回はスマホケースなどで使われる柔らかいTPU素材で出力してみました。マグネットを固定する仕掛けが最低限なので、より摩擦が大きく外れにくいことを期待しています。

実際にとりつけたのがこちら。本体側上部が一応引っ抱えるようになっているので、見た目よりはスッポ抜けにくくなっています。普通にブラブラ振り回すくらいでは外れなさそうです。

Proケース対応の新ハンガーをMagClip Goマグネットにとりつけた様子

そして問題の充電ケースですが、こんな感じで収まります。

充電ケースにセットした様子

送信機のスロットはセンターと左側です。センターはそのまま刺さりました。左側も外周のフレームが干渉してしまいマグネットがズレるものの刺さります。実用上は問題なさそう。そもそもマグネットなので最悪付け外ししても手間はほぼありません。

ちなみに受信機も同じ形状ですが、ネックストラップで吊る必要はないと思うのでここでは考えないことにします。右の受信機とセンターの送信機の隙間はギリギリなのでつけたままセットするのは無理っぽいです。

これでストレスなく実査中に充電ができそうです。

こちらのハンガーを使ってみたいという方で、3Dプリンターをお持ちの方は以下のSTLファイルをご自由にご利用ください。また自身で出力できる環境がないが欲しい!という方がいらっしゃいましたらコメントからお問い合わせください。送料実費くらいで頒布いたします。

こちらのストラップで検証しております。

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