自作ソフトでも使ってみたい、Vista & Office2007の新UIコンポーネント

 新しいもの好きなσ(^^)は、当然のごとくWindows VistaとOffice2007を導入していじくり回しているワケですが、たぶんどのパソコン雑誌も取り上げていない地味なUIコンポーネント、技術に目が行ってます。その中でも、たぶんVisualStudio2007(というか.NET Framework3.0?)辺りでは普通に自作アプリにも使えるようライブラリが搭載されそうで、早く使ってみたいものを紹介してみます(もしかしたらVS2005でも既に使えるかも?)。

■テキストフィールドのガイダンス文字

入力欄に薄く「パスワード」と表示されている写真

 写真はWindows Vistaのログオン画面です。パスワード欄に薄く「パスワード」と書いてあります。これは従来のHTMLのtextareaやinputタグにvalue値で指定するデフォルト文字列とは違って、テキスト入力を開始すると自動的に消えてくれます(フィールドを空にしてフォーカスを離すとまた出てくる)。その欄に何を入れれば良いかを、入力の邪魔にならない形で提示することができるんですね。微妙に色が薄いのがポイントです。おそらく、テキストフィールドのプロパティとして文字列を設定しておけば、Vistaでは自動的に表示してくれるんでしょう。

 個人的にはもう少し色が薄い方が紛らわしさが減る気がしますが、Microsoftのことなので、色々検証した結果、ユニバーサルデザイン的に視認性を確保してこうなったのかも知れません(あるいはこれもプロパティで色指定ができるのかも)。

■コンボメニュー?

サブメニューもあるのにクリックもできるメニューの写真

 こちらはExcel2007で図形オブジェクトを右クリックした状態です。従来は「順序」メニューのサブメニューに位置していた「最前面へ移動」がトップに来ています。実はこれ、クリックできるんです。つまり、「前面に移動」系のサブメニューへの入り口でありながら、単独項目としても機能するメニューなワケです。コンボボックスならぬコンボメニューとでも呼ぶんでしょうか?(ファーストフードみたいだ)心ニクいのは、従来のやり方に慣れた人がクリックできることに気づかなくても、ちゃんと「最前面に移動」はサブメニュー内にもあるってところですね。従来の操作も踏襲しつつ、よく使う項目はショートカットできるといういいとこどりです。こちらも色々使い道がありそうです。

■モーダルダイアログ表示時の背景マスク

 Windows Vistaでは一部のセキュリティ警告時のモーダルダイアログ(それを消さないと他の操作ができなくなるダイアログ)を表示する時に、それ以外の背景部分に半透明黒のマスクがかかるようになりました。無理矢理にでも意識させたいダイアログを出す時には有効ですね。実際高齢者などはダイアログに気づくのが遅れたりしますし。ただこれはシステムレベルの警告ダイアログの特権で、一般アプリケーションでは使わせてもらえないかも知れないですね(自分で実装する手はあるかも)。

■その他、地味な改善点がもりだくさん

拡張子は選択されていないの図

 Windows VistaやOffice2007はAeroやリボン、リアルタイムプレビューといった派手目な新機能ばかりが取りざたされていますが、すごく細かいところも色々改良されています。例えば、こちらの写真はファイルアイコンのファイル名部分をクリックして名称変更しようとした状態です。なんと拡張子が反転から除外されています。これは拡張子表示派の人には嬉しい改善ではないでしょうか。思わず久しぶりに使いやすさ日記を執筆したくなっちゃいました。

 全体的に眺めてみて、Windows VistaもOffice2007も、たくさんある情報を効率良く扱う為の改良が進んだな、という印象です。例えばOfficeでは、今まで割と使うんだけど、やけに奥深い階層にあった機能(Excelの「折り返して全体を表示」とか)がワンクリックで実行できるところに浮上してきたりと、痒いところに手が届くようになった感が強いです。皆さんも機会があれば是非体験してみてはいかがでしょう。

Nielsenに反論。音声認識は非効率か?!

Alertbox: 映画の中のユーザビリティ — 間違いトップ 10(2006年12月18日)

7. Star Trek の喋るコンピュータ

 未来のコンピュータ予想で、音声によるインタラクションは、昔から永続的に人気のあるものだ。これまで注目を集めてきたもう 1 つの UI 技術である 3D よりも、人気があるのではないかと思う。音声認識には使い道があるものの、毎日行うようなインタラクションの大半には、3Dよりも適さない。なぜならそれは、データとして豊富ではない伝達方法だからだ。何かを言葉で特定するのは、目にみえる画面上で選ぶよりも、難しいのだ。

 むぅ、これはNielsen博士ともあろうお方が異なことをおっしゃる。 音声認識フェチ、トレッキーとしてw反論せざるを得まい!

 スタートレックをちゃんと観ていればわかると思いますが、なにも全てのコンピューター操作を音声でやりまくってる訳ではありません。船の操舵などはGUI+タッチパネルで行いますし、シビアな操舵が必要な時はジョイスティックに切り替わったりもします。ちゃんと適材適所で使い分けているワケです。その上で、戦闘でパイロットが傷ついて操舵不能になった際には、「コンピュータ、防御シールドオン。地球にコースをセット。最大ワープで発進!」というように、操作に不慣れな非戦闘員が音声操作できるようになっているのです。

 実際、GUIと音声認識に適不適はあっても優劣はつけられません。たとえばカーナビで山手線の駅名リストから目的の駅を選択する場面を想像してみれば、必ずしもGUIが効率的だとは言い切れないでしょう。スタートレックには、「アールグレイ、ホット」と名前を言うだけであらゆる星のあらゆる料理、飲み物を瞬時に合成してくれるフードレプリケイターという機械が登場します。もしこれが、目的の料理名をメニュー形式で一覧から選ばされたり、キーボードで入力する設計だったらと思うとゾっとしますね。項目数の膨大さもさることながら、食堂では往々にしてすでに手が塞がっていることも多いからです。

 まとめると、音声認識が有利な場面は、

  • 操作フローを知らなくてもダイレクトに指示が出せる
  • 選択肢が膨大になるケースで効率が良い
  • 手がふさがっている時や別のタスクから目が離せない時でも操作できる

などが挙げられるでしょう。もちろん、実用レベルの認識率が実現できれば、の話ですけどね…

 博士は冒頭で「ハリウッドが表現するユーザビリティは、間違いだらけだ。」と書いてますが、実際には彼らの方がよっぽどUIの適材適所について深く考察しているのではないかと。どうせスケープゴートにするなら、『ナイトライダー』や『2001年宇宙の旅』のような自我をもって自然言語対話をするようなモノの方が適切だったのではないでしょうか?まぁ、

 トレッキーは怒らせると怖いぞ!!

てことで。 

 更に余談ながら、ツッコミついでにいえば、

2. タイムトラベラーが今のデザインを使いこなせる

未来から来た人だったら、知識が豊富なため、現在のシステムをより簡単に使いこなせると思うかもしれない。それは間違いだ。過去からのタイムトラベラーのように、彼らには、画面表示されているものを理解するための概念モデルが欠落している。たとえば、コマンドラインをみたことがない人や、コマンドをタイプして実行したことがない人は、DOS の時代を生きた人よりも DOS を使いこなすのに苦労することになる。

なんて話も、スタートレックの脚本家はとっくに気づいていて、『劇場版スタートレック4 故郷への長い道』で23世紀から20世紀にタイムスリップしたクルーが、Macのマウスをマイクのように手にもって話しかける、というシーンがありますね。

 

 

またもタンジブルUIに走るNintendo Wii

 PSPとNintendo DSが揃って登場した時、正直DSのタッチパネルは「ヘッ」って感じでした。でもフタを開けてみると、直感的で新しいインタラクションを盛り込んだアプリケーションでPSPを圧倒、という結果になりました。例えば、σ(^^)が本体と一緒に買った アナザーコードではペンやマイクを使って興味深い演出していましたし、最近は手書き文字認識ライブラリを使った脳力トレーニング系のソフト、言語学習、辞書まで登場しています。

 当初スペックで飛びついたのはPSPの方でしたが、UMDの読み込みストレスもあって、最近ではたまに動画ビューワーとして使うだけ。ゲーム機として活躍しているのは後から買い足したDSばかりです。

 最近ですと、数独というパズルゲームが両機種で発売になっていますが(PSPでは「カズオ」というタイトル)、内容が同じなだけにUIの差が如実に表れていて興味深かったです(DS版しか持ってないですが、UI比較資料としてカズオも買ってみようかと思っています)。

 さて、そんな中、E3で両社の次世代機の詳細が明らかになりました。PlayStation3は、2の時と同じく、次世代メディアの再生機としても利用価値のあるAVセンター的なコンセプトに対し、Wiiはこれまた現行機と同様、完全にゲーム機という姿勢を貫き、大変興味深いコンセプトのコントローラーを前面に押し出して来ましたね。詳細は、言葉で説明するより、下記リンクからイメージ映像をご覧いただいた方が早いでしょう。

コンセプトビデオ : E3 2006 : Nintendo (注:動画です)

 それぞれが実際のタイトルとしてリリースされるかどうかはさておき、かなり刺激的ですね。むしろ逆にこのUIデバイスを利用して、AVセンター的な活用法もできたら、XMBでビデオ予約がいまひとつできないウチの両親とかでもスンナリ使えたりして。

 まぁ、結局いつかは両方買うんだろう、既にXbox360持ちのσ(^^)ですが…

これぞSNS!? mixiGraph

mixiGraph [公式サイト]

 σ(^^)は比較的mixiをゴリゴリ愛用しています。人的ネットワークを外化するというSNSのコンセプトに興味を持ち、日本語化されたSNSがなかった時代からいくつかのシステムのアカウントを取ったりして試用していました。まぁ、mixiは日本ではデ・ファクトだから使っているという感じですね。

 ただ本来のSNSとしては大きな不満点があって、

  • “友達の友達は友達”的なつながりを発見するのを支援していない
  • 所属コミュニティが似通っている同志を発見するのを支援していない

といったあたりがないと、やっぱり醍醐味に欠けると思うわけです。

 で、なんか良い外部ツールがないか探していて、mixiGraphというツールを見つけました。

mixi Graph 画面写真

 写真の通り、マイミク(直接の知人であるつながり)を辿って可視化してくれるツールです。Windows版とMacOSX版があります。これはなかなか面白いです。いじってたら「仕事の知り合いと高校の同級生に共通の知人がいる!」なんてことがわかったりしました。可視化のアルゴリズムもなかなかのもので、ある人物のアイコンをドラッグすると、そこにつながったマイミクが納豆の糸に引かれるようにぬちゃーっと(笑)移動していきます。

 惜しむらくは、自分で各人物をダブルクリックしないとその先が探索されないので、ある程度あたりをつけて自分でネットワークを展開していかなければならない点ですね。まぁ、これは完全自動でやるとなればデータ量が指数関数的に増大することになるので、アプリもサーバーもとんでもない負荷になることでしょう。実際、mixi自身がこういった機能を実装できないでいるのはそういう技術的な制約なんでしょうね。

 あとは、mixiComComのように、所属コミュニティの重複っぷりを調査してくれるような機能が追加されれば、「友達の友達にすごく趣味が合いそうな人がいるから紹介してもらおう」みたいなことができたりするんでしょうね。

 mixiの有料サービスには今のところ必要性を感じていませんが、投資の意味で一銭を投じてみようかなと思いました。

MS、HUDでゴーストカーを映すナビ?

Engadget Japanese
 お、これは面白いですね。HUDで先導ゴーストカーを映して案内するナビだそうです。Microsoftが特許申請してるんだとか。
 ちゃんと精度が出れば直感的でヨサゲですね。σ(^^)は右と左を言葉で聞くとすぐ逆に解釈してしまうクセがあるので、ゴーストカーのウインカーが光ったりする方が間違えないかも。

キートップ表示がかえられるキーボード

全キートップにカラーディスプレイを搭載したキーボード
 これは面白いですね。例えば、Shiftをおしたらキートップの文字が大文字になるなんてのはもちろん、Ctrlキーを押してるあいだは、Cキーに「Cut」とかショートカット名が表示されたり、なんてこともできちゃうわけですね。その時にショートカットが割り当てられているキーだけが点滅したり色変わったりして誘導もできると。
 個人的には写真にあるPhotoshopモードも欲しいかも。
 てかCtrlとCAPSを綺麗に入れ替えられるだけでご満悦w。使ってみたい!
 やっぱキータッチが悪い(重い?)のかなぁ。
 一体、いくらになるんだろ。

ハンドロールピアノ

handroll.jpg
テレビで見て、ちょっと気になっている商品があります。山野楽器ハンドロールピアノです。
紙鍵盤のように薄くぺらぺらしていて、何所にでも持ち運びが可能のようです。
実際に触ったわけではないので何ともいえないのですが、キーストロークが無い(少ない)鍵盤で、表現力のある演奏ができるのでしょうか?
キータッチのフィードバックはあるらしいのですが、どんな感触なのか気になります。
フィードバックは、クリック感や音で「感じられれば良い」というものでもなく「自分の癖が反映できる」まで感覚にフィットさせる必要があると思います。
そのためには、ある程度のストロークによる“遊び”が欲しいのです。
以前のブログでバーチャルキーボードについて取り上げたこともありますが、楽器のキーボードだけなく、パソコンのキーボードも携帯性などが追求されている時代です。
ミニマムにしつつ、遊びを持たせるなんて大変だとは思いますが、気軽にピアノが弾けるようになるために、これからの技術に期待します!

メディアを乗り継ぐスキル

人は、テレビを観るとき、後方に15度仰け反り、PCを見る時には前方に15度屈み込むのだという話を聞いたことがあります。
koushi.gif
例えば、テレビを観ていて気になったお店をみつけ、ネットで詳細をチェックするというようなシーンでは、この30度の間で何度も腹筋が使われるっていうことになりますね。
この腹筋、メディアの性質に応じて私達が無意識に行っている「目を凝らす」という動作と関わりがあるようです。公的なメディアから私的なメディアへの切替には、この「目を凝らす動作」が必要となります。
また、ネットでお店情報を確認した後そこへ行こうと思ったら、お気に入りに登録し「マーキング」を行います。持ち歩けるようにマップを印刷したり、時にはケータイにデータをメールしてみたりする場合もありますね。
この「目を凝らす」「マーキング」を行う間、人はより適切なメディアを選択し乗り換えることができるのです。
テレビ、ネット、ケータイ、雑誌、それぞれをうまく使いこなすのは大変なことです。
[media specifc information :特定のメディアでしかできない表現]がそれぞれあるということを意識し、うまく乗り継ぐための情報もデザインできればよいと感じました。

暗がりでも歩行者をロックオン

レスポンス 【ホンダミーティング】新型レジェンドのナイトビジョンは…「!」 [Response]
 ほぉ、人をロックオン(^^;)してくれるナイト・ビジョンですかぁ。サイバー(死語)だなぁ。ついでに歩きタバコの火を発見したらフェイザー砲でジュっと(以下略)。
 こういうのは高級車から装着されていくのが世の常。どこか後付キットを出してくれないすかね(カーナビはもとより、後方カメラ、後方センサ、車間距離センサ、ETC、ヘッドアップディスプレイなど全て後付でつけてあったりするσ(^^)の愛車…)。
 

暗号バッグ~公開鍵認証を直感的なメタファーで

暗号バッグ [公式サイト]
 昨今、インターネット上で情報をやりとりすることの危険性が意識されつつあります。…いや、実際そうでもないか。メールは本人しか読めないと頭から信じている人もまだまだ多いですね。わかっていてもPGPとか難しいそうで手が出せないという人もいるでしょう。
 いずれにせよPGPのような比較的安全な方法がもっと手軽に利用できるようなインターフェイスが求められているのは間違いありません。
 やはり公開鍵認証という枠組みそのものが、日常生活でお目にかかる何にも似ていないことが障壁を高くしているんだと思います。公開鍵と秘密鍵??会社の上司や家族に使わせようと思えば、デスクトップOSの「ゴミ箱」のような直感的なメタファーが必要だろうと常々感じていました。
 そんな折り、「NETWORK WORLD」7月号[goo雑誌ナビ]で「暗号バッグ」というソフトウェアを知りました。
 公開鍵認証では、相手に渡しても良い公開鍵をホームページなどで公開し、データの送り手にはそれを使って暗号化をしたファイルを送ってもらいます。暗号を解いて中身を取り出す(復号化)には、本人だけがもっている秘密鍵が必要になります。この公開鍵と秘密鍵のペアの概念がわかりずらいのが問題だったワケです。
 そこを「暗号バッグ」では、“バッグ”というメタファーを用いることで直感的なユーザ・エクスペリエンスを実現しています。本ソフトでは公開鍵を含んだファイルを“バッグ”と捉え、「自分だけが開封できる空のバッグを渡し、それに機密性の高いファイルを入れて送り返してもらう」という考え方をとっています。わかりやすいですよね?更に易しい説明は公式サイトのこちらをどうぞ。
 一度取得した空のバッグは何度でも複製して利用できますし、暗号化強度自体もPGPベースのようで、単にパスワード認証だけのZipアーカイブなどを使うよりは数段強固と考えて良いでしょう。
 これはブレイクするんじゃないでしょうか?

 古田の暗号バッグ
MD5: de7e048b7b547fcaab63f116b1b27674

 試しにσ(^^)の暗号バッグを公開してみます。何かσ(^^)に機密データを送りたい場合にご利用下さい。

 面白いから、他にも一般ウケしようなメタファーを考えてみよう。
○名刺メタファー
 連絡するにはまずその人の“名刺”を入手してから送る、ってのは自然な気がします。現在のvCardのようなフォーマットに公開鍵が載せられれば、メーラーでの扱いが随分楽になるんじゃないでしょうかね。
○直通トンネル
 暗号化クライアント自身に、公開鍵に含まれるメールアドレスへ自己送信するような仕組みがあれば、“その人へ直結したフォルダにファイルを放り込む”ようなユーザ・エクスペリエンスができそう。
○集荷エージェント・メタファー
 ポスペみたいなエージェント・アプリケーションで、“先方のエージェントに取りに来てもらう”みたいなのはどうでしょ?