UTに向きそうなビデオカメラ2020

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私は産業技術大学院大学(AIIT)の社会人向けコース「人間中心デザイン」で毎年ユーザビリティ演習の講師をしていて、7チームくらいが同時進行で模擬ユーザテストを行います。その際、記録機材など大学で用意しきれないものを私物から貸し出ししていて、ビデオカメラもそのひとつです。最近はスマホやPC画面を直接録画するケースも増えていますが、バックアップの意味も含めてビデオカメラでの撮影もまだまだ欠かせません。昨年も割とビデオカメラで録りたいというチームが多くて少しタマ不足でした。AVCHD録画モデルなら余裕あったんですが、さすがに今時それでは取り回しが悪い。セミナーなので撮ったその日にデータを持ち帰りたいし、シンプルに1セッション1ファイルでPCで簡単に再生できるMP4形式で録れるものを貸してあげたい(AVCHDは2GB毎にファイルが分割される)。

ということでもう一台くらい安いのでいいから増やそうと機種選定。結局「どうせ買うなら」病でそこそこいいやつを買ってしましました。

■2020年にUT向けビデオカメラを買うならどんなのがいい?

まずはユーザテスト記録に向いた仕様を改めて2020年の機能トレンドを元に整理してみます。

・スマホじゃダメなん?

スマホでもフルHDはもとより4Kで録れる時代ですもんね。ただUTでいうと操作している手元や画面をズームアップして撮りたいことも多いと思うので光学ズームで解像度を落とさずにクローズアップできるビデオカメラはやはりメリットがあると思います。

あとはマイク。どうしても話者の背後から録ることが多いUTでは声をクリアに録るのが難しく理想的には外付けマイクを使うことが望ましいです。スマホで使える外部マイクも登場増えて来てはいますが選択肢という観点ではビデオカメラ圧勝です(ただしビデオカメラも外部マイク入力を装備している必要があります)。

そしてストレージ容量と安定性。1時間以上安定して録れるという意味でも専用機は安心です。スマホは着信があったり通知が出たりしても録画が止まらないかとか不安があります。基本的にはスマホやデジカメは短時間のスナップショット的な動画を撮るものだと思います。UTのように60〜90分回し続ける前提の設計では熱暴走やそれを防ぐための安全装置による録画停止のリスクが否めません。またSDカードスロットがないiPhoneやPixelなどの機種では容量面の不安もあります。「あ、足りない!」ってなった時にすぐに予備SDカードを刺し替えられるものが良いでしょう。

・フルHDか4Kか?記録容量とも兼ね合い

予算に余裕があるなら大は小を兼ねる的な意味で4Kモデルを買ってもいいとは思いますがマストではないと思います。解像度に余裕があると、遠くから撮っても後で拡大して画面内容などを見られる可能性があるので保険としてはアリ。ただその分データも大きくなるので録画ファイルを後でPCにコピーして見ようとか部内でシェアしよう、とかいった時に不便を感じるかも知れません。

手元(評価対象物)を撮るのか、全景を撮るのかにもよりますが、実質的には720p(1280×720)くらいで事足りるし、ファイルサイズも小さいのでむしろこうした低めの解像度(それでもDVDよりは上)設定をもっていることも重要だと思います。

例えばPanasonicのVX992Mという機種の仕様で比較してみます。この機種は内蔵メモリが64GBあります。4KのMP4で録画した場合、ビットレートは72Mbpsにもなり録画可能時間は約1時間50分。UTでいえば1セッションしか録れないことになります。セッションの合間に64GBものデータを吸い出して内蔵メモリを空けるのも現実的ではありません。これがフルHDになっても28〜50Mbpsで3〜5時間。1日分も録れないでしょう。しかし720pまで落とすと9Mbpsまで減り、約16時間50分となります。一気に2,3日分となります。数名〜10名程度の実査なら丸々録画できます。コピーも早いし低スペックのPCでも楽々再生できるので現実的には良いバランスの画質設定だと思います。この画質設定で単独で録れるものを選ぶと良いでしょう。「単独で」というのは、SONY製カメラの場合、4KやフルHDをメインで撮りつつ、サブで720pを撮るような仕様になっている為です。メインを残すようにしつつ、その場でサっとSNSにシェアしたり編集用仮ファイルとしてサブという意味合いです。これだと高画質と低画質の2本を同時に残るのでむしろストレージを圧迫します。セッション毎に高画質の方を消せばいいんですが、これを忘れたりうっかり低画質の方を消してしまったりとトラブルの種にもなりかねません。SONYさんには是非720p単独モードを実装してほしいです。

なお内蔵64GBでの試算を引用しましたが、最近では128GBや256GBのSDカードも比較的手頃な値段で入手できるようになってきていますので、少し追加投資しておけば2〜4倍は録れるということになるので、解像度を優先するならばそれもアリでしょう(ただし256GBはまだ出てから日が浅くメーカー公式にはサポートリストに載ってなかったりもするので事前確認は必要です)。

・マイク入力

UTは操作の様子を映した映像はもちろん対話内容を重要で、それがしっかり聞き取れる音声収録も軽視できません。上述の通り、背後から撮影した時にもしっかり参加者の声を拾うため、卓上にバウンダリーマイクを置くなどしてそれをビデオカメラのマイク入力端子に接続するのが理想的です。2,3万円くらいのエントリーモデルではマイク入力端子自体がついていないことがほとんどなので注意が必要です。だいたい5万円くらいのミドルグレード以上ならついています。

・ネットワーク機能

最近のモデルはWi-Fiを内蔵していて、スマホアプリから遠隔操作できたりスルー画(レンズが捉えているリアルタイムの映像)を視聴できたり、多人数で視聴できる配信サーバーに接続できたりします。

UTでは別室で観察役が観察や記録を行ったりするのにリアルタイムの映像や音声を中継することが多いですが、こうした機能があれば長いケーブルを取り回すことなく別室に中継ができるので便利です。またスマホアプリ側から録画/停止操作もできるので役割分担に幅をもたせられ、万一モデレーターが録画をスタートし忘れてても観察室側から開始できたりもします。ただしSONYなどは音が飛ばせなかったりするので事前の仕様を確認する必要があります(カタログにはそこまで書いてないことが多い)。

配信については少し前までUStreamが元気だったため、多くのメーカーはそちらに対応していることが多いですが、いまはIBM傘下になり2018年に無料プランが廃止されたので、有料契約(月$99で5クライアント〜)が必須になっており、ちょっと使いづらいです。ただ無料サービスと違ってしっかりパスワード制限もかけられるので、秘匿性の高いUTなどではむしろアリなのかも知れません。

・あんまり重視しなくて良い要素

UTで使う分にはあまり気にしなくて良い要素としては、

  • バッテリーのスタミナ(基本ACアダプタ給電)
  • ビューファインダーの有無
  • 光学ズーム倍率
  • センサーサイズ

などがあるかなと思います。

■で、今回買ったのはコレ!

さて前置きが長くなりましたが、現時点で私的チョイスはこちら。

ビデオカメラの写真

PanasonicのVX992Mです。ずっとSONYを買ってきたので充電器やバッテリーの使い回しを考えると揃える方が楽だったんですが、上述の

  • スマホアプリで音が聞けない
  • 720p単独録画モードがない

が不満だったのと、たまには違うメーカーのカメラも触っておいた方がUI知識の幅が広がるかなというところで決めました。

特徴としては、

  • スマホビューワーで音も出る(SONYは映像のみ)
  • 720p単独録画モードがある

というSONY機にはない要求仕様を満たしているのに加え、

  • スマホカメラの映像を子画面としてWi-FiでとばしPinP録画ができる(3台のスマホをつなぎ、うち2画面を子画面として合成できる)
  • 4Kなのに軽い(SONYのAX45/65が500g超だけどこれは300g台。バッテリー別で)

などがありました。UTでは手元映像と全体俯瞰映像を合成機でPinP録画することも多いので、それをよりシンプルな機材(カメラとスマホのみ)で録れるのは面白いなと。

SONYの同グレード機と横並びな部分としては、

  • もちろんマイク入力あり
  • USB 5V充電もOK(ただし充電専用プラグより遅い?)
  • USBでPCにマウントしてデータ吸い出しもOK
  • Ustream改めICM Cloud Videoストリーミング配信(有料)

など。SONYに対し劣っている部分としては、SONYの中級機以上にはマルチインターフェイスシューという専用外部マイクなどを装着できるインターフェイスが備わっており、Bluetoothワイヤレスマイクなどユニークな周辺機器があります。これに相当するものがありません。ただし買ってから知ったんですが、背後に差し込むシューマウントが付属しており、一般的なガイマイクなどであればここに固定することもできます。

ビデオカメラ背面側の写真

シューアダプター装着状態の写真

■実機レビュー

4K AIRを名乗るだけあって4K機としてはコンパックとで手のひらの収まりも良いです。SONYのAXシリーズは運動会、学芸会などのハレの日に気合い入れてもってくという感じですが、本機であればもう少し気軽に普段使いできそう。ミラーレスとコンデジくらいの感覚です(コンデジ並に小さいという意味ではなく、気持ち的なニュアンスです)。

充電プラグは丸型でその先はUSB 5V/1.8Aの充電器です。完全に専用品のSONYよりは汎用性が高くていいですね。ただしどちらも充電ポートとは別にある通信用MicroUSB端子から5V充電することもできます(おそらく充電速度は遅め)。

ところでSONYのCX670はハンドストラップ部分にUSB Aコネクタのついたショートケーブルを内蔵していて、単体でPCに接続して録画ファイルを吸い出せるのがとても重宝していましたが、最近ではPCがUSB-Cになってきていて結局変換アダプタやハブが必要になりがち。その意味では内蔵ケーブルを止めてUSBジャックのみにするのは正解なのかも知れません(自分のPCに合うケーブルを持ち歩く)。ただせっかくUSB-Cコネクタも小さいのでCケーブル直出しな機種も残ってくれると嬉しいなと思います。AndroidやiPadに直結できたりすると便利かなと。

で992Mに戻ります。スマホカメラ映像とのPinP(ワイプ撮り)ですが、スマホを横にして撮った場合、子画面は16:9になります。しかしスマホを縦持ちにすると9:16にはならず正方形映像に。UTでスマホ画面などを子画面とする場合、縦長の9:16になるといいなと思ったんですが、まぁより重要な操作画面を子画面にすることもないからいいかな?どうせならもう少しレイアウトに選択肢があると良かったかも知れません。また4Kでは本機能は使用不可です。せっかくの解像度の使い道としてPinPは有用なのですが、さすがにまだ処理性能的に厳しいのでしょう。4Kでもリアルタイム合成できるようになった頃、「ワイプ撮り誰も使ってないから廃止でよくね?」とならないよう、微力ながら推し続けていきたいと思います。

以下、ワイプ撮りを使った様子を動画にしてみました。

また合成前の(カメラ側の)元映像も別保存できますが、その場合形式がAVCHDになってしまうようなので多分使わないかなと思います。

UI的にはSONYが長かったので違和感がなくはないですがおおむね良くまとまっていると思います。iA(インテリジェントオート)に露出と色合いのみマニュアル調整できるiA+なんかもツボをついていると思います。できれば色合いではなく色温度で調整したかったですが。ピントがあってる箇所を強調表示したり、拡大して確認できるモードなど、必要なものを一通り揃っています。露出オーバーの部分をゼブラ表示するのだけはナサゲ。

また本機にはベビーモニター(赤ちゃんが泣いたら通知する機能あり)や外出先からの見守りカメラといったモードもあります。なるほど「ビデオカメラって運動会、学芸会、旅行など年数回のハレの日にしか使わないから買うのもったいないね」って人向けなんでしょう。普段はこんな使い道ありますよと。ただ見守りモードを試してみたところアプリ側でエラーになりつながりませんでした。もしかしてUPnPとかポート開放とかが必要なのかな?そこらへんUI的にはなにも表示されず、カメラ側ではWi-Fiにはつながっているぽいというフィードバックのみ。ちょっと原因究明ができないまま保留となっています。

 

年始のお年玉気分で衝動買いしたので、まだ実践投入はしてないですが、とりあえず映像(と音声)を観察室にとばす要件の案件が発生したら早速使ってみたいと思います。是非ご用命くださいませ。

安くなった「グランツーリスモsports」で疑似走行映像を作れるか?

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MicrosoftのカーシミュレーターAirSimを使ってカーナビ等のユーザテストで使う走行映像を作れるか?という検証記事を出したまさにその日、PlayStation4のリアルカーレースゲーム「グランツーリスモsports」がなんと1,990円に値下げされていました。

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PSVR対応が気になりつつも他のVRレースゲームで寝込むほどのVR酔いを体験した私はいまいち手が出せずにいましたが、この値段ならばと早速買ってきて、走行動画生成に使えるか検証してみました。現在のレースゲームは16年前に(個人的に)策定した要求仕様を満たせるのか!?

当時の記事はステコンをつないで被験者自身にリアルタイムに操縦してもらう前提。今直近ではとりあえず動画としてそれらしいものが撮れればいいかなくらいの違いはありますが、とりあえず以前の項目に照らしてチェックしてみます。

・BGMをオフにできる?

可能。

・画面上のステータス表示をオフにできる?

可能。さらにスゴイのはリプレイモード時点でUI表示ON/OFFや視点制御が変更できる点。つまりまずは走りやすい第三者視点モードやUI表示ありで走行し、いい記録が撮れたと思ったらリプレイモードに行き、UI表示OFF、運転視点に切り替えて動画を流す、ということができちゃいます。

・GAME OVERにならない?

タイムアタックモードにすればOK。他の車も走らせたい場合もカスタムレースで周回数を多めにしておけば大丈夫でしょう。

・ライバル車両がいない状態で走れる?

タイムアタックモードで可能。

・ステアリング&ペダル・コントローラーに対応?

対応。

・景観が市街地など一般道?

日本の首都高速を模したコースがあります。レベル7で開放なので1,2時間ほど頑張ってプレイする必要があります(笑)。コースがループなので、うまくつなげば自然なループ動画が撮りやすそう。

残念ながら日本の一般道を模したコースはありません

・ドライバー・ビューで表示できる?

もちろん可能。運転席が映り込むもの、ボンネットがけ見えるもの、何も見えないものなどがあります。

 

ということで高速道に限っていえばかなり理想的なシミュレーターとなりそうでs。AirSIMと違って他の車のブレーキランプなどもきっちり点灯しますし、日本の公道で見かける車種も多く収録されています。さらに晴天、雨天や昼/夜間も選択可能。

ただしAI車達はあくまでレースとして走行するので、無闇やたらと車線変更をしたりします(首都高なので反対車線はなく基本二車線道路)。またこちらはリアルに80km/hくらいで走行すると後ろからビュンビュン抜いてく感じになります。AIカーの上限速度も設定できれば文句なしなんですが。動画としては、こちらもそれなりに高速で走って動画にした後、遅回しで再生するという手もありそうですがまだ試していません。その場合、こちらも接触せずに綺麗なライン取りで走れる腕前が必要になります。ステリングコントローラーが欲しくなりますね…

あとヨサゲなのはリプレイモードで好きな車両のカメラを選択できる点。上手いAIカーの視点ならばそつなく走ってくれる動画が簡単に得られます。ただしトップ車両だと他の車両との絡みがほとんど映りませんw。

とまぁ完璧ではないですが、「高速道路を走っていて、たまに横から車が来て抜いてったり割り込んできたりする(ブレーキランプも点灯)」みたいな動画くらいなら割となんとかなりそうです。しかもかなりリアル。ナンバープレートがついてない(車名プレート)くらいかな。

あとは二人プレイで上手く連携すればもう少し割り込みなどを意図したタイミングで発生させられるかもは知れません。

ゲーム映像を目的外に利用することは権利侵害になる恐れがあります。配布や納品などの際には利用許諾などを確認願います。

 

車載機器UTのための走行映像をMicrosoftのAirSimで作れるか?

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室内でカーナビなどのユーザーテストをする際、前方に走行映像を流したいことがあります。走行中の操作タスクをする際、少しでも被験者の意識を前方に向けて、あくまでサブタスクとしてナビ操作をさせたいわけです。その為、車載カメラで想定シチュエーションにあわせた映像を撮りにロケに行ったりもします。例えば「狭い道路でいつ脇道から人や自転車が飛び出してくるかわからない」映像とか「高速道路を巡行していて前方に渋滞が見えてくる」映像とかです。これがなかなか大変。
理想を言えばきちんとしたシミュレーターを使って、タスクの進行にあわせて飛び出しや渋滞が発生した映像を呈示できるのが望ましいですが、多くの案件ではそこまでの準備は適わないことが多いです。時にはカーレースゲームを使ったりしたこともあり、使いやすい要求仕様をまとめてみたこともあります。なんとまぁPlayStation2とかの時代の記事…。

そして昨今ではコンピューターパワーも飛躍的に高まり、また自動運転研究のためのシミュレーター環境などが無償または安価に利用可能になってきました。そこで今回はMicrosoftがクルマやドローンの自動運転研究のために無償公開したAirSimというオープンソースのシミュレーターを試してみました(日本では同名の格安SIMサービスがあって非常にググラビリティが低いです…)。

結論からいうと今一歩でした…(終わり)

以下、興味のある方向け。

■Microsoft AirSimとは?

Microsoftが自動車またはドローンの自動運転研究の為のシミュレーションを仮想世界で好きなだけ行うために開発、公開しているプラットフォームです。ゲームエンジンのUnreal Engineをベースにしているようですが、最近Unityでも使えるようになったようです。ただWindowsで既成のマップワールドを利用する分にはUnity環境込みのバイナリパッケージが公開されているので、.ダウンロード&解凍してexeファイルを実行するだけで利用可能です。標準ではキーボードで簡単な操作ができたり、Pythonスクリプトで制御したりできます。昼夜や天候なども簡単に変えられます。

■やりたかったこと

私もUnreal Engineの知識ゼロの状態で、とりあえずこの吊しのマップデータを使って、

  • フォトリアルな走行風景
  • 前走車の急停止や側方からの割り込みなどあらかじめ既定したタイミングでイベントを発生させた映像を動画ファイルに保存できる
  • またはキーボード操作などで任意のタイミングでそれらのイベントを発生させられる

などができたらいいなという期待がありました。

■残念だったところ

Unreal Engineに精通しており自分でマップやオブジェクトを作成できればまた違うのでしょうけど、とりあえず吊しのデータを使い、標準のAPIドキュメントを眺めた限りでは以下の点で要求を満たすことができませんでした。

・市街地、道路のマップがアメリカで、走行車線も右側通行

グローバルな案件ではアリかもですが、私の請ける範囲ではちょっと使いにくい。特に市街地マップは信号や標識も違うし、モブのクルマが反対車線を走ってるのが厳しいです。郊外で高速道路想定であればまだ許容範囲かも知れません。

・カメラアングルの自由度が低い

FOV(ドライバー目線)はありますがハンドルを含む運転席のパーツを消せないので、UTで用意する治具とバッテイングする場合があります。

また第三者視点で選べるプリセットはやや上空から見下ろすアングルのみで、真後ろ視点が選べません。自動で真後ろ視点で追尾できると便利なんですが。

ただしマニュアルカメラモードにすることで好きなアングルに変更できます。ただし一度マニュアルモードにするとキーボード制御はそれ専用になってしまうので、別途車両を操作するコントローラーが必要です。とりあえずXBox Oneコントローラーは使えました(有線)。ステアリングコントローラーもLogicoolのG902などが使えるぽいです。

つまり、これらの外部コントローラーで操作して、その背後視点のカメラ(または運転席)から見た映像を得ることはできるので、あとは画面録画ソフトを使って録画すれば動画ファイルは得られることになります。

しかし!

・クルマオブジェクトが無人でブレーキランプが点灯しない

標準ライブラリのクルマが無人なんですw。最初から自動運転制御前提ですかねw。ちょっとこれもリアリティに欠けます。ダミーでいいので載せておいて欲しかった。

またさらに痛い点として、ブレーキ制御をしてもランプが光りません。例えば前走車が急ブレーキを踏んだ!というプレッシャーを与えることができません。

・期待したほどフォトリアルな映像品質ではなかった…

各記事の写真をみた限りでは結構綺麗そうだったんですが、少なくともウチのGeForce GTX 1080では「スゲー!」ってほどの感じではないです。画質もそうですが例えばぶつかった時にびよーんと車体が撥ねたりする時の挙動がすごくゲームちっくです。まぁ指定ルートを事故らずに走行している分にはいいのかも知れません。できれば車両のモデリングデータだけ実在の車種に近いもの、ナンバープレートがついていて、ブレーキランプがつくものに差し替えられればなぁと思います。マップも同様。ここら辺、UEやUnityを勉強するとか、有料であれモデリングデータを買ってきたりすればどうにかなるのかも知れません。

動画サンプルはこちら。

■使用方法メモ

・とりあえずAirSimを起動してみる

WindowsならUnreal Engine込みでビルドされたバイナリをダウンロードするだけ。GitHubのReleaseページでWindowsの最新版(執筆時点で1.2.2)の「Assets」リンクを展開すればマップ毎のビルド一覧が出てきます。サイズの大きなCityEnviron.zipだけは001と002に分かれています。同じフォルダに置いて7-zipで解凍すれば勝手に両方つなげて展開してくれます。でてきたフォルダを開くとUnreal Engineのアイコンがついた.exeファイルが1つあるのでダブルクリックすれば起動します。

「Choose Vehicle」というダイアログが出るので、クルマなら「はい」、ドローンなら「いいえ」を選びます。

F1で操作ガイド、F10で気象コントローラーです。標準ではカーソルキーで車両が走り、BSで初期状態に戻ります。「F」「B」「\」「/」でカメラ視点が変わります。「M」がマニュアルでこの状態だとカーソル上下やPage Up/Downなどで好きな視点にできますが、逆にカーソルで運転できなくなります。他のカメラモードにするとカメラ視点はリセットされてしまい、マニュアルカメラ視点で運転するには別途コントローラーが必要です。

・コントローラーを使う

Xbox OneコントローラーをUSBで接続しておけばとりあえずは使えます。RTがアクセル、LTがブレーキ、左スティックがステアリングで、ともにアナログ制御です。画面左上のリアルタイムでパラメーターが表示されます。

ただしこの状態だとバックができません。そこで初期設定を少しいじりました。

・初期設定を変更する

初期設定ファイルはユーザの「ドキュメント」フォルダに「AirSim」フォルダが作成されてsettings.jsonというテキストファイルができています。これをテキストエディタで開くと、

などとなっており、これを書き換えて.exeを再起動すると反映されます。ちなみに.exeの終了はメニューがないので、私はAlt+F4でやっています。

とりあえずこんな感じに変更。記法はJsonなのでカンマや{}の位置に注意。

"SimMode": "Car", があると、起動の度にカメラかドローンかを聞かれなくなります。 "Vehicles": {} で1台目のクルマを指定し、 "RemoteControlID": 0 でWindowsが認識している最初のコントローラーを使うことを明示します。なぜかこれを明示すると、左スティックの下でバックができるようになりました。上とAボタンでもアクセル全開(1)が入るようになります。ただし注意点として.exeファイルを起動する時点ではコントローラーのケーブルを抜いておかないと起動後におかしな挙動をするようです。再起動の度に毎回ケーブルを抜き差しするのがちと面倒になります。初期状態ならそうはならないので、バックが使えることとトレードオフのようです。
"X": -4, "Y": 0, "Z": -2, "Yaw": 0, "Roll":0, "Pitch":0, は初期出現位置と向きです。Yawをかえると向きがかわります。RollやPitchは平らな地面の上に置くクルマではいじる必要はないでしょう(ドローン向け)。Vehiclesの下に複数のクルマ設定を書けば出現する数を増やすことができます(同じRC設定をしてしまうと両方が動きます)。

これでとりあえずマニュアルカメラ視点をとりつつコントローラーで快適に操作できると思います。

・Pythonから制御する

さて目玉であるプログラム制御についても軽く触れておきます。Python詳しくないのですが一応動くところまで。

まずPython環境がない場合はAirSim公式推奨のAnacondaというツールを使ってインストールします。配布サイトからWindowsを選び、Python 3.7の64bit版インストーラを落として実行します。またPythonスクリプト自体は好きなテキストエディタで書き、コマンドプロンプトからpython3コマンドで実行すればいいのですが、デバッグ効率などを考えるとMicrosoft Visual Studio Code(以下VS Code)を使用するのがお勧めです。あわせてインストールしておきます。UI日本語化の方法は適当にググってください。

Anacondaをセットアップすると、スタートメニューから関連ツールが選べるようになります。まず「Anaconda Prompt (Anaconda3)」を開き、必要な追加ライブラリをインストールします(最初の1回のみ)。

次に「Anaconda Navigator(Anaconda 3)」を起動します。ここからVS Codeを「LAUNCH」します。(直接VS Codeを起動するとコマンドパスの関係で動かない場合がある)

開いたVS Codeで新規ドキュメントを開き、以下のコードをコピペします。

8行目まではおまじない。10行目でステアリングを軽く右に切ります(負の数が左、最大は1)。11行目は以下を3回繰り返すという意味です。Pythonではインデントの範囲がブロックとみなされるので、それ以下が繰り返しの範疇ということになります(明示的に閉じ括弧がありません)。11,12行目でアクセルを全開(1)にして14行目で1秒待ち。15-17行目でアクセルを戻してブレーキをベタ踏み(1)。18行目でまた1秒待ち。つまり、微妙に右に曲がりつつ、チョイ前進を3回繰り返す感じです。AirSimはカーシミュレーターなので、オブジェクトとして位置を指定するのは初期設定ファイル側で最初のみ。あとはクルマの制御機構であるステアリング、アクセル、ブレーキを操作するというところがミソですね。

さてこのコードを拡張子を.pyにして適当な場所に保存すると、ウインドウがPythonモードになります。コードが着色され、右下のステータスバーが「プレーンテキスト」から「Python」に変わっていることを確認してください。

この状態でおもむろにF5キーを押します。すると下に「ターミナル」が出現し文字がパラパラと流れ、AirSim側でクルマが動けば成功です。VS Code側にはこんなツールバーが出現します。「□」で実行を停止。再度F5をすれば最初から実行されます。

またAirSim側でバックスペースを押せば初期状態に戻るので、コードをちょいいじっては実行するという作業をする時はこのVS Codeとの組み合わせが楽だと思います。また例えば「car_control.」まで打てばthrottle、brakes、steeringなどが推測候補として表示されるのでコーディング効率も良いです。

ただそれを見る限りでは、このAPIでは基本的なクルマの挙動しか制御できず、例えばブレーキランプやウインカーを点灯するとかそういうレベルまでは対応してないぽいです。そこは自前でそういうモデルデータを用意してAPIを拡張してやる必要があるということでしょう。その辺り、業務ニーズはあるのですが、私も3Dモデリング周りは全くの素人なので一朝一夕ではできそうにありません。願わくはこれを見たどなたかが刺激を受けて取り組んでくれたり、一緒にやろうと言ってくれればなと思います(笑)。

というところまでで今回の自由研究は一旦切り。覚え書きまで。

ユーザテスト/インタビューのためのApple Watch Series5

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Apple Watch Series5が出ましたね。ついに常時点灯に対応しました。もう時計を覗き見るジェスチャーをしなくても表示が見られるようになったのです!

ユーザテストのモデレーターやインタビューのインタビュワーをする時、あまり時計をチラ見して相手に時間経過を意識させたくありません。そう考えると明示的に時計を見るジェスチャーをしないと文字盤が見られない今までのApple Watchはやや使いづらいツールでした。一方で、各種メッセンジャーでメッセージを受信できるようにしておけば、観察室からの追加質問などの伝達事項を簡単にチェックできたりして重宝もします。

今回私もSeries 3から5に買い換えたので、モデレーター/インタビュワー目線でどう活用できそうかチェックしてみたいと思います。

■Series 5の常時点灯(Always On)とは?

Apple Watch Series 5の常時点灯は単純に画面が消灯しなくなったというものではありません。それをするとバッテリーの消費がエラいことになるからです。ではどういうことかというと、画面が暗くなり、更新頻度が1分おきになる省電力モードになる、という形で実現しているのです。もちろん今までの時計を覗くジェスチャーをしたり画面をタッチすることで明るさが復帰し、更新頻度もフルサイクルになります。そしてまたしばらくすると省電力モードになる、という繰り返しです。

例えば時計に秒針があったとしても画面を書き換えが1分おきでは意味がないので、省電力モードでは秒針が消えるなど、画面のデザインも簡略化されます。

■セッションの経過時間/残時間を把握したい

モデレーターが気になるのはやはり時間管理です。60分だったり90分だったりするセッション時間のうち、現在どれだけ経過したか、あと何分使えるか、ということは常に意識するべき点です。セッション開始が00分とか30分など切りの良い時に始まればよいのですが、例えば60分+休憩10分で進めていくと9時スタートの次は10時10分スタート、11時20分スタート、といったようにズレていきます。さらに相手が遅刻してきたりもしてカオスなことに。壁の時計で時刻が見えるだけだと直観的な時間管理は難しいのです(時計算が得意な人は平気なのかも知れませんが…)。

というわけで、ここでは(カウントダウン)タイマーに着目してみたいと思います。Apple Watchには当然タイマーアプリも搭載されているので、それを使えばいいかと思いましたが、なんと個別のアプリ画面は省電力モードに落ちるとぼかしがかかりその上に大きく時計だけが表示された状態になってしまうことが判明。つまるところ、ホーム画面というかウォッチフェイスの状態でタイマーの進行状況を見るしか無いということになります。秒レベルの精度は必要ないので省電力モードの1分更新でもOKです。

そんな観点で標準搭載のフェイスデザインとタイマーのコンプリケーション(フェイスに配置できる小さな情報窓)の組み合わせをあれこれ試して、一番ヨサゲなのは「インフォグラフモジュラー」フェイスで中コンプリケーションにタイマーを割り当てた状態である、という結論に至りました(写真)。

タイマーの残時間とだんだん縮んでいくバーグラフを表示してくれます(目の調整力が落ちてきてるので、あまり小さいコンプリケーションだと文字が読めない…)。「1時間」というのが設定した時間、つまりセッションの長さです。その下に「残り:59:44」のような形でカウントダウンが進みます。ただし省電力モードになると1分更新になり秒表示はナンセンスになるので、「残り:59分」のような表記に変わります。普通に時刻も見られる点も良い。時刻よりカウントダウンをもっと大きく見られた方が嬉しいですが。なお「インフォグラムモジュラー」はSeries 4と5専用だったかも知れません。Series 3以前では「モジュラー」か「モジュラーコンパクト」で代用できるんじゃないかと思います。

次点は「Siri」フェイス。残時間の表示はダントツにデカいです。時刻と同等。

ただし各モジュール毎の通知カードがどんどん入れ替わってしまうので、常時ここにタイマーがいることが保証されません。例えば時間の近づいたスケジュールが来るとそちらが上にきて、タイマーが下に降りていってしまうということです。もしかするとカウント中は優先順位が上がって常に一番上に居続けてくれるかもですが。もしくはモデレーション専用にしてタイマー以外のカードを全て非表示にしてしまう手もありますが。もしタイマー発動中は常時この位置に居続けてくれるならこちらばベストかも知れません。あとは数字でみたいかバーグラフで見たいかお好み次第ですかね。なお「Siri」フェイスはSeries 4より前のモデルでも利用できます。

「Siri」フェイスで表示情報を減らすには?

これめっちゃわかりづらいですが、iPhoneのWatchアプリで、「マイウォッチ」タブから「時計」を選び、一番下の「Siri文字盤データソース」です。極端な話ここで「タイマー」以外全部オフにすれば他のカードに邪魔されることはなくなるでしょうw。

いずれの場合も、カウントアップ時にアラーム音が鳴らないようミュートにしておく必要があります。その場合、時間がくるとバイブレーションで知らせてくれます。またメッセージが届いた場合でも同様にブルッと震えるので、相手に知られずに通知を受けることができます。これは一般的な腕時計では適わないスマートウォッチならではのメリットでしょう。

セット方法は上記のタイマー表示部分をタップするなどしてアプリに移動します。写真の1時間、2時間のショートカットの他に、1分、3分、5分、10分、15分、30分のボタンが並んでいます。写真は一番下にスクロールした状態で、「カスタム」を指定すれば75分とか90分といった好きな時間をセットできます。カスタムは最後にセットした時間を憶えてるぽいので、1タップだけ増えますがまぁ問題なさそう。

■自作アプリの夢も広がる

最近のwatchOSではアプリとしての自由度も上がってきてますので、

  • 一定時間毎に知らせる
  • タスク達成時間などを記録するラップ機能

などを搭載したUT専用アプリを作るのも面白いかも知れません。残念ながら省電力モードになってしまうと表示読めなくなってしまいますが、、この辺りはSDKの仕様や省電力設定をまた調べてみようと思います。

 

動画眼2をリリースしました!

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2004年からごく一部の方に愛用いただいているUT動画分析支援ツール動画眼をスクラッチから作り直した「動画眼2」を公開しました。

動作イメージ

もはや自分自身、VB.NETを触りたくないし当時の稚拙なコードをメンテナンスするのも苦痛だったので今回C#でゼロから書き直し、UIなどもモダンなシングルウインドウにしました。また別途開発中(現在クローズドベータ段階)のWatsonを使ったかんたん書き起こしツールのログをインデックスとして使うユースケースを強く意識した作りになっています。公開された暁には是非組み合わせてご活用いただければと思います。

動画眼2は引き続きフリーソフト、オープンソースでの公開です。

詳細はこちら↓。

https://do-gugan.com/tools/do-gagan2/

動画眼Noteも雪が降る前くらいには2にしたいなと。

ClickOnceインストールがブロックされる時の対処法

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当サイトでもいくつかのツールをClickOnceで配布していますが、Windowsの設定によってはブロックされることがあります。ActiveDirectoryで企業のセキュリティポリシーが適用されている場合もありますが、個人PCでレジストリなどを編集できる場合は以下の手順で回避することができる場合があります。

(レジストリの編集は自己責任でお願い致します。また編集方法の詳細は適宜ググってください。また本来ブロックするべき出所不定(未署名)のアプリケーションを使えるようにするわけですので、ご自身で安全と判断できるアプリケーションにのみ実行してください。)

現象:「セキュリティ設定は、このアプリケーションがこのコンピューターにインストールされることを許可していません。」と表示され先へ進めない。

本来なら警告が出つつも「閉じる」の左に「インストール」ボタンが並び先へ進めるはずですが、それがありません。

Winキー押して「regedit」などと入れ、レジストリエディターを開きます。そして、上部の検索欄に「コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\.NETFramework\Security\TrustManager\PromptingLevel」をコピペしていれるか左のツリービューから辿って書きの画面に行きます。

右ペインの上から2番目の「Internet」をダブルクリックし、「値のデータ」欄をDisabledからEnabledに書き換えOKを押します。

これで先の画面に「インストール」ボタンが出現すると思います。ただしツール自体が未署名の場合は依然としてスマートスクリーンの警告(青ダイアログ)が出ます。そちらは「詳細」リンクをクリックすると進めると思います。

ちなみにこの編集は保存操作や再起動なしに適用されます。なので、必要なツールのインストール中にだけ一時的にEnabledにしてOKし、レジストリエディターをそのままにしておいて、インストール終了後にまたすぐDisabledに戻しておくのも良いかも知れません。

新作ツールちら見せ ~UTビデオ分析をクラウドで書き起こしで支援

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7月に予定していた仕事がことごとく延期になったヒマになったので、以前から取り組もうと思っていたUT支援ツール2本に本格的に着手しました。

一般公開まではもうちょっとテストを重ねてからと思っていますが、だいぶ動くようになっているので動画でチラ見せです。

■UT音声書き起こしツール

以前にもトライアルを記事にしてますが、IBM CloudのSpeech to Text(音声からのAIテキスト起こし)サービスを使ってユーザテストの音声を書き起こすツールです。IBM CloudのAIサービス(いわゆるWatson)は有料サービスですが、ユーザ辞書登録的なことができるので、ユーザテストのような業務文脈の対話では有用です。例えば会話の中に出てくる固有製品名や部位名などをあらかじめ学習しておくことで認識精度を上げることができます。一応簡単なWeb UIは提供されていますが、本ツールの優位点として、

  • 動画から音声を自動抽出してアップロードする(Watsonは音声データしか受け付けない)
  • 複数のファイルを一括処理できる
  • 辞書学習周りもGUIで行える
  • 後述の動画眼で読み込めるタブ区切りテキストファイルで書き出す(標準の出力はJSON形式で扱い辛い)

以下、少し古いバージョンですが動いている様子。

■動画眼2

2004年から公開しているビデオインデックス付けツール「動画眼」を完全フルスクラッチで作り直しています。本ツールは動画の特定タイムコードに対してメモを記入し、そのメモを選択することでタイムコードの位置を頭出し再生するというものです。UTなどの記録と分析、プレゼンにと開発してきました。

現行版はVisual Basic.NET/Windowsフォームで作っておりもはや設計も古い為、メンテナンスがしづらくなっていました。今ならもう少し腕前も上がってるぞということでC#/WPFでゼロから作り直しています。

また分析工程でゼロからインデックスメモを書き込んでいくのも大変で現実の業務でもなかなかやらないだろうということで、先のクラウド書き起こしした全発話インデックスをとりこんで、それをみて当該箇所を探してジャンプする、というユースケースを優先した作りになっています。

こちらも動いている様子を動画に録ってみました。

どちらもそう遠からずリリースできると思うのでご興味のある方はこちらのブログかTwitterアカウントをウォッチしておいていただければと思います。

HCDライブラリ 7巻「人間中心設計における評価」が発売されます!

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近代科学社よりHCDライブラリシリーズの7巻として「人間中心設計における評価」が2019年4月25日に発売されます。ギリ平成に間に合いました(笑)。

人間中心設計における評価 (HCDライブラリー)

人間中心設計における評価 (HCDライブラリー)

黒須 正明, 樽本 徹也, 奥泉 直子, 古田 一義, 佐藤 純
3,960円(01/20 17:02時点)
発売日: 2019/04/25
Amazonの情報を掲載しています

著者は黒須先生、樽本徹也さん、奥泉直子さん、佐藤純さん、そして私となります。奥泉さんと私は以前マイナビから出させていただいた「マーケティング/商品企画のための ユーザーインタビューの教科書」に引き続き、「なるべくすぐ現場で使えるノウハウ伝授」を念頭に日々現場で使っているテクニックや注意点などを盛れる限り盛ったつもりです。加えて「やっぱ実例がないとイメージしにくいよね」ってことで、今回はなんと有志の方に模擬ユーザテストを行っていただき、その過程と作成した資料(スクリーニングアンケート、進行シート、報告書など)を掲載するというトライアルをしてみました(有志の皆さん、そしてプロダクトをご提供いただいたDMM様、この場を借りてお礼申しあげます)。解説を読んだあとに実際の事例をみて、「あー、実際のUTってこんな感じなのかー」とか「これなら自分達でもできそう!」って感じてもらえるといいなと思います(とはいってもUTに絶対の正解はありませんので、その時々のリサーチゴールにあわせて色々なスタイルにトライしてくださいませ)。

もちろん実践寄りの事例としてだけでなく、樽本さんがあちこちにインタビューしてまとめてくれた内外のユーザビリティ評価の歴史や黒須先生によるさまざまな評価手法の紹介や評価の意義(上司を説得するのに大切ですね!)、そして佐藤さんのアクセシビリティ方面のまとめなど、実践テキスト以外の情報もバランス良く盛り込まれている一冊に仕上がったかと思います(主に他の著者陣の皆さんのおかげで)。是非手に取っていただけたらと思います。

↓こちらは前著になります。

マーケティング/商品企画のための ユーザーインタビューの教科書 (プレミアムブックス版)

マーケティング/商品企画のための ユーザーインタビューの教科書 (プレミアムブックス版)

奥泉 直子, 山崎 真湖人, 三澤 直加, 古田 一義, 伊藤 英明
3,300円(01/20 01:13時点)
発売日: 2016/09/21
Amazonの情報を掲載しています

ユーザテストでの会話をリアルタイムで観察チームに中継する

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ユーザテストの音声収録機材について、下書きでずっと放置されてた記事を3件公開しました。これらは主に後行程で聞き返す時や書き起こし向けに良い音質で収録をするための考察でした。

しかし現場ではリアルタイムで隣室の見学者に明瞭に聞こえることもまた重要です。今回はそれについて使えそうな機材を紹介、検討してみます。

まずビデオカメラで収録をしている場合。カメラ内蔵マイクで背後から録ることはあまり推奨しないと以前の記事で触れました。ここではなにかしらの外部マイクを使ってカメラまでは綺麗な音が来ているとします。一般的なビデオカメラで録画中に音声を出力で経路は、

  • HDMI端子
  • ヘッドホン端子

でしょうHDMIの場合、画像と一緒に1本のケーブルで伝送できますので、観察側にHDMI入力のついたモニタを設置すれば万事解決です。ただし機種によって録画中はHDMI出力されなかったり、各種インフォメーションが消せなかったりするものもあるので注意が必要です。

ヘッドフォン端子はもちろん音声だけです。例えばインタビュー中心の実査で、マジックミラー付きルームで音だけ明瞭に中継できれば良い、という時なんかはこちらを使う手もあります。ビデオカメラではなくICレコーダーをマイクに使っても良いでしょう。

その場合、普通のミニプラグのついた音声ケーブルで引き回しても良いのですが、一般にヘッドフォン端子からの出力はレベルが低く、そのままヘッドフォンで一人が聴く分には良くても、複数人向けにスピーカーから出そうとすると別途アンプで増幅する必要が出てきます。

そんなケースで個人的にオススメなのが、TV用の手元スピーカーと言われるジャンルの商品です。

要は耳が遠くなったシニアや、夜間に家族に迷惑をかけずにひっそりテレビを視聴したい、でもヘッドフォンや嫌ずら、、という人向けの製品で、伝送方式は有線、無線(電波、赤外線)と色々ありますが、ここでは電波式のものをオススメしたいと思います。送信機を(電源と)ビデオカメラのヘッドフォン端子に接続し、スピーカー本体を観察室に持ち込めば、隣室でしたら配線不要で音を綺麗に中継することができます。製品の性質上、Bluetoothなどと違い遅延を減らすことにこだわって設計されています。σ(^^)はSONYのSRS-LSR100を購入しましたがとても聞きやすく重宝しています。また人の声をより際立たせるモードがついているのもこういう用途に向いていると思います(購入時のレビューはこちら)。普通にアンプ付きスピーカーとしても使えるので、たとえばHDMIで伝送した先がプロジェクターなのでスピーカーがショボくて聞こえない、という時なんかにも使えます。

ちょっちお値段高いなという時は余計な機能を省いた有線商品も。今年も産業技術大学院大学のユーザテスト演習で7チームの環境を同時構築する際にもこうした機材を用意したいなと思いつつも、さすがにSRS-LSR100を7台は買えません。そこで買ってみたのがこちら。

なんとまぁ900円。電源は単三x4本、ケーブルは5mです。動作時間は(音量にもよるでしょうが)約70時間のようです。背面に好きな写真をセットできるという謎の機能までついていますw。5mのケーブルは直付けですが、本体下部に収納ボックスが内蔵されているので、使わない時は割とスッキリ置いておけそうです。人の声だけを際立たせるとか凝った機能はついていませんが、とりあえずビデオカメラにヘッドフォン端子に直結でちゃんと音が出ることは確認しました。同演習は同室内でついたて越しに観察するので5mという距離はまぁギリ足りるかなという感じです(むしろハウリングが心配)。実務で別室までひく場合は延長が必要になるでしょう。でもまぁこれくらいのお値段ならポケットマネーで買えなくもないですね。

ユーザテストの音声録音品質を研究してみる(3)〜ということで購入してみた機材

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ということで「ユーザテストの音声録音品質を研究してみる」の(1)(2)でUT(ユーザテスト)でどんな音を録るか、良い音声収録するのに参考にしたい基礎知識をまとめつつ、年度末予算(企業の使い切り予算というより、個人事業者はこの時期仕事が増えたり還付金があったりして懐がやや温かい的な意味でw)で機材投資をしてみましたのでまとめてみます。どれもまだ届いたばかりで実践未投入なので、是非使わせていただける機会をお待ちしています。

■ZOOM Q8

やや異様な外観をしたビデオカメラです。正確には、「音声品質を重視したビデオレコーダー」あるいは「映像も撮れるリニアPCMレコーダー」とでもいいましょうか。ZOOMというのはリニアPCMレコーダーやMTRなど音声機材を出している国産メーカーです。ここのレコーダーは特徴の違うマイクユニット(同社ではカプセルと呼んでいる)を交換して使い分けることができる、いわばレンズ交換型カメラのPCMレコーダー版のようなラインナップがあります。例えばこんな感じ。

ガジェット好きにはたまらないギミックですねw。仮面ライダーの武器のようですが、マイクは前記事で書いたように色々な目的で使い分けるものなので、理に適っていると思います。

で、このマイクカプセルをビデオレコーダーでも使えるようにした、というのがQ8というわけです。そしてもう一つユニークでオンリーワンな特徴として「XLRと標準プラグの両方が刺さるコンボジャックを2系統もっている」という点があります。XLRは業務用の2,30万クラスで大型のモデルについていたり、DSLR(デジイチ)のシューにオプションユニットとして追加できる位で、このクラスの小型のものについているのはとても珍しいです。というかこの機種しか知りません。MTRと違い所詮ステレオ2chにミックスして録音録画するビデオカメラに追加2系統で入力が増えてなにが嬉しいんだ、と思われるかも知れませんが、本機はそれらをビデオの音声に好きな音量とバランスでミックスできるのに加え、リニアPCM(WAV)で同時録音することができます。つまり動画ファイルとは別に、内蔵マイクも含めそれぞれのマイクのWAVファイルを並行して作成できるのです。動画(自在にミックスした音声入り)+内蔵マイクステレオ2ch+1ch+1chと最大4本のファイルが時間同期されて保存されます。

さすがに書き込み速度が大変なことになるので、安定動作させるためにSDXCカードもメーカー指定のExtreme Proをチョイス。WAV複数トラックでサイズも嵩むでしょうから128GBでし。

前記事に書いた「あとで音量調整や音質調整をする」という作業がマイク別に行えるので、被験者の声だけもっと大きくしたい、といったことも技術的には可能です。またWatsonなどのクラウドサービスに書き起こしをしてもらう時にも、最初から音声ファイルが分離されていた方が楽という期待もあったり。

ちょっとお高いですが、カメラカプセルを離れたところに設定するケーブルも用意されているので、背後録りで音声だけ前面、というレイアウトも可能です。

ただしカメラとしては微妙なところもあります。基本はビデオカメラというよりアクションカメラに近い仕様で120°の広角レンズで光学ズームもなしです。フルHDよりちょっとだけ高い解像度で録れますので、画角や外周の魚眼歪みが気になる場合はデジタルズームで真ん中を切り出して録ることになります。UTではそもそもそんなに解像度は不要なことが多いですが、これで足りるかは今後検証待ちです。どうも分解すればSマウントというIoTデバイスなどのレンズマウント規格のネジ式でレンズがついてるようなので、頑張ればもっと画角の狭いものやフォーカス距離が短いものに交換も可能かも知れません。Sマウントレンズはネジ固定ですがフォーカス調整も兼ねているため、ピッタリのところで接着剤で固定されてることが多いらしく、気軽につけかえとはいかなそうですが。リンク先の人はマウント自体を交換してしまうという暴挙に出たようですが、これはさすがに原型留めてなさ過ぎですね。付属のレンズフードを改造するか3Dプリンターで複製してフィルターねじをつけられればテレコン/ワイコンやクローズアップフィルターみたいなもので調整できるかも?

逆に良い点として上下反転撮影ができること。これはレンズを増したに向けて書画カメラ的に使う時に三脚ネジを向こう側に向けてられる。しかもQ8のマイク部分は角度がかわるのでマイクを話者に向けることも可能という。こんな感じ。ちょっと存在感ありすぎかなw。この距離だとX-Yマイクでもステレオ感はほぼ出ないので、エコーで声が聞きにくいということはなくそのまま音声録りにも使えそうです。

(写真)

ちなみに、「やはり映像と一緒に聞けてナンボなので別ファイルでどんなに綺麗に録れてもしょうがなくね?」という疑問もあるかも知れませんが、それこを本機と良いところで、録画開始/停止が各ファイルで一斉に行われるので基本同期がとれた状態になります。後で波形をみて少しずつズレして絵と音のタイミングを合わせる、といった作業は不要です。まぁ最近それはAdobe Premiere Proで波形解析して自動同期できることに気付いたので、ICレコーダーで同期無しで録った音でも簡単にあわせられるんですが。

■バウンダリーマイク audio-technica PRO42

そしてせっかくなのでXLRコネクタのバウンダリーマイクも買ってみました。単一指向性で比較的小型なaudio-technicaのPRO42というモデルです。

XLRコネクタのケーブルが直付けですが7.6mもあるので、背後の三脚のビデオカメラから落として床を這ってテーブルの奥側からまわすなどしても十分届くでしょう。

公式サイトで指向特性グラフを見ると、真正面(0°)から左右に60°ずつくらいは十分感度がありそうなので、その範囲に話者が入るようにすればよさそう。

実際にビデオカメラ(HandyCam CX670)内蔵マイクやICレコーダー(SX2000)
、Q8の内蔵マイク、PJP-10URと撮り比べてみましたが、PRO42はとても自然で綺麗な声が録れますね。低音も豊かです。SX2000といい勝負。HandyCam内蔵マイクはやはりゲインも高いけど背景ノイズが大きめ。Q8の標準X-Yマイクはステレオだけあってややエコーがかったような声になります。聞きにくいというほどではないですが。真正面に一人というX-Yマイクがあまり生きないテストだったせいもあります。PJP-10URも声としてはとても聞きやすいフィルターがかかってますが、自然さという意味ではPRO42かSX2000に軍配、という感じです。

また上の写真のようにQ8を書画カメラ的に近距離で使う場合は、標準X-Yマイクでもそこまでエコーが出ないので実用上は問題なさげ。気になるようなら真正面の被験者の音声がモノラルで録れるMSH-6に換装するかも知れません。