ユーザースクリプトを駆使してWebサイトの簡易的な改善プロトタイプを作る

開発中の製品をユーザーテストにかけるには、参加者が実際の動作をイメージできる程度には具体的なモックアップ(プロトタイプ)が必要になります。

一番ローファイなものではペーパープロトタイピングといって、簡単なスケッチを使って文字通り紙芝居を作って、参加者がクリックするといったボタンに応じて他のページを差し出します。簡単に用意できる反面、参加者は想像力を働かせて色々と補完してタスクを進める必要があります。

ここ10年くらいでそれをPCやスマホ画面上でよりリアルに実行するツールが台頭してきました。ある領域をクリックすると指定した画面に遷移する仕掛けのスライドショーを作成します。画面はワイヤーフレームでもいいし、実際のデザインモックアップがあるならそれを使えば見た目は本物そっくりになります。ただし基本は「クリックして画面遷移」の組み合わせで、文字入力とか条件分岐とか複雑なことは難しかったりするのが現実です。入力フォームなどがある画面でも、実際の文字入力はせず、「フィールドをクリックすると”文字入力後の画面”に遷移する」ので、あくまで「入力はした体(てい)」で進めてもらうことになり、ここもやはり参加者の想像力で補う部分が大きかったり、文字入力ミスなどが検証できなかったりしがちです。これらのツールも日々進歩しているので、いずれ入力内容やデータベースを反映した表示などもリアルにできるようになっていくのかも知れませんが、結局そうなると本番システムに近いプログラムを書くこととかわらなくなっていくので、痛し痒しな気がします。もしかすると現在でも可能かも知れませんが、少なくとも私の請けた案件でクライアントが作ってきたモックアップは、「クリックで文字がテロっと入る」動作まででした。

プロトタイピングツールでモックアップを作る欠点はもう1つあります。現行サイトの1部分だけを改善したプロトタイピングをした時です。ある1画面の表示を変更して達成率が上がるか検証しよう、といった時に、タスクで通過するフロー全部をモックアップで再実装しなければなりません。元々プロトタイピングツール上でも一通り実装してあれば問題ないですが、ユーザーテストのために新規でフローを再現するのはあまり効率の良い話ではないでしょう。しかも実際には参加者は正解フローだけを一直線に突き進んでくれるとは限らず、関係なさそうなところもどこまで遷移できるようにしておくかは悩みどころです。

実際に完璧に動いている現行サイトがあるのに、たった1箇所のためにプロトタイピングツール上にフローを再現する、しかもインタラクションが限られたローファイなものになる、というところがジレンマなように思います。

■ブラウザのユーザースクリプトで現行サイトをプチプロトタイピングするという発想

先日請け負った業務でも同じようなことがありました。かなりページ遷移の多い申込みフローの中で、数カ所のペインポイントで改善案を検証したいということで、プロトタイプ作成から請け負いました。見積時点では、「本番サイトで申込みフローをやってもらいつつ、該当箇所に来たらモックアップに画面を切り替えて試してもらう」という了承を得ていましたが、やはりタスクの流れとして不自然でなんとかできないかなと思案し、「ブラウザのユーザースクリプトを使う」という方法を思いつきました。ユーザースクリプトとはブラウザの機能で「指定のURLで所定のJavaScriptを実行する」仕組みです。通常はURLとスクリプトのマッチングの管理などでなんらかの拡張機能を使います(Tampermonkeyなど)。弱視などの方が自分が見やすいようい文字サイズや色を書き換えるユーザースタイルシートはご存じの方もいるかと思いますが、それのスクリプト版になります。DOM操作を通じてほぼなんでもページを改編することができてしまいます。最近ようやくスマホ向けブラウザでも実行環境が整ってきて、モバイル向けサイトの検証でも使えるようになりました。改編はスクリプトを仕込んだ端末のクライアントサイドでのみ実行されるので、本番さサイトに対して実行しても通常利用者にはまったく影響を与えないので、別途テストサーバーを用意するといった手間も必要ありません。

結果としてその業務ではかなり自然に「98%本番通りに動き、ほんの2%だけプロトタイプ仕様」という体験を作り出すことができ、参加者にはプロタイプであることを意識させずにタスクに臨んでもらうことができたと思います。

■ちょっとこれは真面目に布教したいぞと本を書きました

世の中の開発現場でこの仕組みを使ってモックアップを製作している現場がどのくらいあるか未知数ですが、少なくともFacebookのフレンドに問いかけた限りでは「そんなん普通にやっとるわい」って人は皆無だったので、情報発信してみようと思った次第です。

業務でJavaScriptを書ける人にとっても有益な情報として、実際にユーザースクリプトとして動かす手順や、効率的にスクリプトの編集を端末に反映させる方法などを。そしてJavaScript初心者の人にはDOM操作の基本くらいはカバーしてみようと思ったら、ちょっとブログ記事にすると長いなと。以前OBS Studioの基本操作をPDF資料にまとめてGitHubに公開しまいたが、今回もそんな感じでする予定でした。

が、今回は文字も多いしePubでリフロー可能な電子書籍にしてみようかな?ついでに前から興味あったKDP(Kindle Digital Publishing)でいわゆるKindle出版をしてみようかなと思い立ちました。

年末年始の余暇を使って書き上げ、KDPの登録と出版手続きは割とサクっとすることができ、実際にリリースされたのがこちら。

USIP ユーザビリティ評価のためのWebサイト部分プロトタイピング法

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古田 一義
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無料でも良かったんですが、Kindle Unlimitedにも興味あったので一応ちょっとだけ値段つけさせてもらいました。めちゃめちゃニッチでほとんど注目されないと思うので、どっちがどうという比較もできないとは思いますがw。

とりあえずAmazonで私の名前を検索した時に出てくる書籍が3冊になりました。よろしくお願いいたします。直接のお知り合いの方には添削や感想をフィードバックしていただけるのであれば献本(?)いたしますのでご連絡ください。

RODECaster Videoをテストしてわかったことメモ

RODECaster Video(以下RCV)が液晶保護フィルム製作から返ってきたので色々検証を始めています。

実査投入の時のために色々判明したことをメモしていこうと思います。

■ストレージ周り

本機は内蔵ストレージ、microSDカードスロット、USBポート3にSSD接続という3つのストレージがあります。マニュアルによると内蔵ストレージは基本的に設定を保存したりファームウェア更新に使用するためで、挿入用のメディアファイルはSDカード、録画はUSBストレージにしてね、ということぽいです。microSDに録画できないのは残念ですが、書き込みスピード的に難しいのでしょう。今は1TBのmicroSDとかもあるのでISOは無理にしてもPROGRAM出力だけでも録画できたら良かったんですが。逆に挿入用メディアファイルはmicroSDからしか読み出さないようです。

ATEM MINIでは相性があってSanDiskのSSDが認識しなくて(途中まで使えてた気もするけどどこかのアップデートでNGになった記憶j)、SamsungのT5やT7 Touchを買い足すなどしていました。そこら辺の動作検証をしておきたいと思います。

本機はATEM MINI Extreme ISOと同様、合成後のPROGRAM映像と別に各映像ソース、音声ソースの生ストリームを個別に録画しておくこともできます。あとで編集で映像切換をしたり、音声のリバランスをしたりができるわけです。特にUTでは参加者毎の音量差がある時にあとで補正できるのは安心材料です。

このISO記録を有効にすると当然ながら書き込み速度は何倍も必要になるので、こちらでテストをしておけば、ISO OFF時は余裕と考えてよいでしょう。

なお録画用ストレージはexFATでフォーマットしてある必要があります。今のところPCでフォーマットしたものが普通に使えているようです。

テストに使ったSSDは、

  • SanDisk Extreme Pro 500GB (Model No.SDSSDE80-500G)
  • Samsung T5 2TB (Model: MU-PT2TB0B)
  • Samsung T7 Touch 500GB(Model: MU-PC500K)

の3モデル。

(↑リンク先は1TBモデル。今はもっと後継モデルが安く手に入るはず)

(↑リンク先は2TBモデル)

特にATEMで使えなかったものの速度は最も速いSanDiskと、指紋認証ロックがかけられるT7 Touchの挙動が気になります。PCレスで指紋認証がかけられるT7 Touchは録画して持ち帰る時に紛失しても安心なので、引き続きメイン録画ストレージとして使いたいものです。

結果としてはどれも大丈夫そうです。T7 TouchはATEMの時と同じで、USB接続して電力供給された後で指紋センサーにタッチすればランプがグリーンになり録画可能になります。

映像のISO録画オンの状態で、500GBのT7 Touchの録画可能時間は12時間以上と出ます。これだけあれば通常のUT実査では問題なさそう。少なくとも1日分撮れないということはないでしょう。そもそもUTでは映像のISOはオンにすることはあまりないですし。

2時間くらい録画して、PROGRAM出力のmp4が7GB位でした。Windows11のExplorer読みで8Mbpsくらいのようです(1080@30p)。ちょっとそのまま納品ってサイズじゃないですね。編集耐性も考えるとまずまず良いバランスかなと思います。

■音声遅延周り(映像 vs 音声)

RCVでは遅延しがちな映像に対して、音声を揃えるために意図して遅延を入れる設定があります。さすがに音声ソース毎は無理ですが、Mix音声に対してフレームまたはミリ秒単位で遅延をさせて映像とあわせることができます。この辺りも自前のカメラ、マイクで最適値を探っておきたいと思います。

テスト環境はRCVに直接ペアリングしたRODE Wireless Proです。XLRなど有線マイクなら更に遅延が少なく映像と差が開くのかも知れませんが、現状自分の利用シーンではほぼWireless Proを使うことになると思うので、当面それ基準で行きます。

映像デバイスとして使ったのは、Webカメラ2台とHDMI出力のついた書画カメラです。

  • Logicool Brio
  • OBSBot Tiny2
  • iPEVO VZ-R

RCVはUVC準拠のWebカメラが使えるといっても非圧縮(YUV)伝送ができるものに限られるので、国内で手に入る対応Webカメラは10種類に満たないレベルで、ややお高いものが多いのは仕方ないです。

書画カメラはスマホを操作する手も含めて画面収録するのに使います。これもUSB(UVC)出力がありますが非圧縮ではないのでHDMIで接続する必要があります。

VZ-Rはフリッカー防止スイッチを60Hzにすると1080@60p、50Hzにすると1080@50pになりました。GoProみたいですね。フリッカー観点だと関東だと50Hzにするべきなんですが、1080@60pで撮ったり最終的に15や30フレームに落とすのであれば60Hzにしておきたところ。どのみち今時はLED照明器具なので、関東関西はあまり関係なく、その場でチラつかない方を選ぶ感じになるかとも思います。

さて遅延としては24フレーム/秒止まりのBrioがもっとも大きく、Tiny2と並べると明らかに1テンポ遅れがある感じです。どうしてもカメラが足りない時でないとBrioは使わないかな。

で、Wireless Pro音声との差ですが、HDMI入力のVZ-Rは0遅延といって良いレベル。Tiny2は1フレームだけ音声を遅延させると合う感じ。ただ1フレームなんて波形を見なければ気にならないレベルです。

次にマイク入力のあるFX30にRode Wireless Proを3.5mmアナログケーブルで接続し、映像と音をHDMIソースとして入力した時は2フレの遅延がありミックス音声はエコーのような状態になってダメでした。そこでRCVの遅延設定で+2フレームにしてやったところ改善。これは全ての音声ソースにかかるものの、HDMIソースの音声は対象外で、結果としてHDMI経由の音声とそれ以外の音声のタイミングが揃えられるみたいです。HDMI音声はLRをスプリットして独立音声トラック扱いにできるので、本体操作パネルで個別に音量調整ができたり、ISO録音ファイルも別個になるので、RODE Wirelessシリーズのように2子機の音がステレオで入るケースではこの遅延設定でズレを解消しつつ活用できそう。

現時点の結論として、

  • UVCはモデルによるが、Tiny2は実質気にしなくて良いレベル
    • Webカメラにマイクが内蔵されていても音は入らなそう(未確認)
  • HDMIは音声ともども遅延があるが、本機のディレイ設定でほぼ解消できる

という感じ。ちなみにたぶんデフォルト状態だと思うんですが+5フレームの遅延が設定されていました。

■音声遅延周り(音声ソース間)

続いて、音声をマルチトラックで録音して、トラック間のズレがどうなるか実験してみました。機材構成は、

  • XLR接続のガンマイク(ベリンガーC-2)
  • 直接ペアリングしたWireless Pro x2
  • USB接続のWireless Pro x2

の4トラック。USB接続のWireless Proはステレオトラックとして認識されました。ATEMのように設定でセパレートトラックとして扱えないかと思ったんですが見当たりませんでした(HDMIとコンボのみ可能ぽい)。Premiere Proで個別調整する時は手動で左右分離をしないとならずひと手間かかりそうです。今回はステレオペアのままで比較しました。ちなみに表示上「Wireless Pro」と表示されるので、USBデバイス名などから認識はしてるらしいです。もしかしたら同機種固有にチューニングもなにかしらされてるかも?

また音声ディレイは0設定です。

結果はこんな感じ。青いトラックの上側がミックスされたPROGRAM OUTの音声、その下はISO録画された映像トラックに入る音声。緑のトラックが個別トラックで、上からXLR、直接ペアリングしたWireless Pro、USB接続のWireless Proです。USB接続したWireless Proはステレオ扱いになり、ATEMのようにモノラルスプリットはできなそうです。Premiere Pro等で個別バランス調整したい時はトラック分割のひと手間が必要です。

パンっと拍手をした瞬間を撮っており、マーカー(縦線)がPROGRAM映像でみて両手のひらが当たったと思えるフレーム位置です。まず前後の誤差は30fpsで1フレーム程度。個別に聞けば違和感は感じない程度です。それでもミックスした音声を聞くと「パンッ」が「パパンッ」とか「パララッ」という感じで聞こえます。

不思議なのはISO録画された個別映像トラックに入る音声の方がミックス音声よりも1フレームほど早い点。ISO録画にはミックス音声がそのまま入るということだったような?ただ映像も1フレームずれている気がするので、ISO録画は開始が1フレ遅れるということなのかも知れません(Premire上で先頭を揃えて配置している)。

次に直接ペアリングしたWireless ProはXLRに対してほぼ遅延がありません。この2トラックだけをONにして聞いてもほぼ違和感はないレベル。それに対してUSBで親機を接続したWireless Pro(一番下のステレオTr)はほんの少しだけ遅延があります。1フレ以下なので補正もできないレベルですが、やはり同時に聞くと多少のズレは感じます。気にしなければ気にならないレベルかも知れませんが、音声を長時間聞き取るユーザーテストやインタビューだと聞き疲れはどうかなというところです。3台以上のRODEワイヤレスマイクを使う時は、両方の親機(Tx)をUSBか両方アナログ(コンボジャック使用)で揃えた方が無難かも知れません。もしくは直接ペアリングとコンボジャックならさほど気にならないと思います。この辺りはまた実際にグルイン等の案件があった時に検証しようと思います。

とりあえず1on1のユーザーテストならWireless Proの直接ペアリング2台か、Wireles Pro + XLRマイクで同期処理いらずで問題なさそうなのは安心です。

■まとめ

現状、セッテイングとしてはこんな感じを基本にしていけそうです。

・PC Webのユーザーテスト

  • PCのHDMI出力をRCVに
  • 音声はWireless Pro
  • 表情カメラはTiny2、またはOBSBot Tail AirをHDMI入力
  • 遅延設定は±0

・スマホWeb/アプリのユーザーテスト

  • VZ-RのHDMI出力をRCVに
  • 音声はWireless Pro
  • 表情カメラはTiny2、またはOBSBot Tail AirをHDMI入力
  • 遅延設定は±0

・カーナビ等のユーザーテスト

  • FX30に距離に応じたレンズをつけてHDMI出力をRCVに
  • 音声はWireless Pro
  • 表情カメラはTiny2、またはOBSBot Tail AirをHDMI入力
  • 遅延設定は±0

・グループインタビュー

  • 4名までなら2台のWireless Pro。ただし直接ペアリングは使わず、親機をUSB接続して遅延を揃える。コンボジャックだと充電時に(グラウンドループ)ノイズが心配。ただUSB接続しても親機が充電されないっぽいので、定期的に外して充電する必要がある。だったらアナログノイズ対策をした上で充電しながらコンボジャック入力もありかなぁ。カメラがFX30ならそちらのマイク入力に入れて、HDMI音声をスプリットすればRCVで個別音量調整もできそう。その場合の遅延設定を2フレームとか入れると良さそう。
  • 5名以上ならXLRかUAC経由でマイクを追加。時間差が出るようなら音声はZOOM F6でまとめて遅延補正してUACで本機へ入力(オートスイッチは使えない)F6は認識しませんでした
    • おそらく直接ペアリングした場合はXLRと比較して実用上問題になる遅延は発生しなさそう。親機をUAC接続した場合の遅延をテストしておく。いっそアナログの方がマシ?
    • ただUSBマイク入力がUACならなんでもなのか、Webカメラのように要件があるか不明。RODE製マイク以外でも使えるかは別途確認。→Zoom F6はダメでした
  • 映像は必要に応じてチョイス。オートスイッチ機能を活用して話者の映像に自動切り替えしてみるのも実験したい。

・ストレージ周り

録画ストレージは手元のどのSSDでも良さそう。セキュリティを考えるとT7 Touchをメインに。容量が不足しそうな案件ならT5 2TB。

・安定性

現状、映像3、音声2のISO録画程度ではなんの不具合もなく収録できてそうでひと安心です。発熱も底面もほんわり温かい程度で、これなら普通に室温が維持された室内ならなんの問題もなさそうです。プロセッサーは不明ですがATEM MINI Extreme ISOの時代から進んでよりプロセスルールの細かいものに進化して電力効率上がってるのかも知れません。とりあえずここまで書いたあと、録画回しっぱなしで2時間くらい出かけてみたいと思います。>問題ありませんでした。

RODECaster Video用に安全な代替USB PD電源アダプタを購入

RODECaster Video(以下RCV)はUSB PD 65W電源で駆動します。もちろん専用のACアダプターは付いてくるのですが、箱の両端にUSBケーブルとACケーブルが生えているタイプで箱のサイズもそこまで小型化はされていません(写真は記事末尾)。しかもAC側は海外仕様の3ピンで、3ピン→2ピン変換アダプタも必要なタイプ(付属はしてます)。両端ケーブル型は出張UTの時の取り回しも悪いので、せっかく汎用規格であるUSB PD給電であることを活かすべく代替品を調達することにしました。

■マルチポート充電器のリスク

すぐに思い浮かぶのはマルチポートのUSB充電器です。UTでは他にも様々な機材を使います。例えばRCVからの映像をプレビューするためにモバイルモニターなど。これらもUSB Type-Cポートで給電するので、マルチポート充電器1つでまとめて給電できれば便利です。しかしここに落とし穴があります。世の中の多くのマルチポートPD充電器は、ポート間の給電バランスを最適化する為、各ポートにデバイス(ケーブル)を抜き差しする度に一旦給電を止める仕様になっています。その時点で各ポートのPD充電デバイスが何ボルト、何アンペアまで受け付けるのかをネゴシエートし、割り振りを計算してから給電を再開します。スマホやノートPCなどバッテリー機器を充電する分にはさして問題にならないのですが、RCVやモバイルモニターのようにUSBポートから常時給電を前提にしている機器だと、このタイミングで電源が落ちてしまいます。モバイルモニターも一瞬画面が暗転するだけならいいかもと思われるかも知れませんが、PC側でモニターの接続が切れた(モニタ数が変化した)と検出されると色々な問題がおきます。特にOBS Studioでディスプレイをキャプチャして配信している時にこれが起きるとOBS Studioがクラッシュして配信が止まってしまいます。

つまり、これらバッテリーがなく即落ちする機器を使うなら、

  1. マルチポート充電器を使わない
  2. マルチポート充電器を使う場合、配信中に絶対にデバイスを抜き差ししない
  3. デバイスのプラグ/アンプラグで給電が停止しないマルチポート充電器を使う

といった配慮が必要です。

3.の仕様の充電器があるならそれを使えば解決なんですが、この細かい仕様は商品サイトや仕様表にはなかなか記載がなく、買って試してみないとわからないことがほとんどです。内部的に独立回路になっているかかなり高度な制御システムが入っている必要があり、高くて大きな製品でないとほぼ期待できないでしょう。回路が完全独立ということはポート間で電力の融通が利かせられないということなので、一般的にはデメリットで、むしろ自動ネゴシエートを売りにしている製品の方が多いくらいです。

唯一期待できるのは、まさに同じ問題に着目してレビューをしてくれているドリキンさんのこちらの動画で紹介されている、AnekrのPrime Chagerの250W、6ポートタイプのものです。動画の9分45秒目あたりから検証しています。

トータルの供給電力量も250Wありヨサゲですが、現場にもってくにはちょっとデカい…

これだけあればPC、モバイルモニター、ルーター、書画カメラなどあらゆるもとをまとめて給電できそうではありますが、そこまで1つに集約するのも逆に不安も。

いずれ欲しくなりそうですが、今回は保留。

■結局買ったACアダプターはこれ

今回は安全運用を優先してマルチポート充電器は諦め、こちらのシングル充電器をチョイス。出力65Wな点以外に選定の理由としては、

  • ケーブルが固定で2mついている
  • プラグが折りたためる
  • その中でGaN IIs採用で小さい

といった辺り。以前の記事で書いた通りRCVは電源ポートがUSB Type-Cなので、ねじ式のロックコネクタのATEM MINIと比べるとスッポ抜けのリスクはあります(ケーブルがスッポ抜けて配信が止まるのと、本体ごと引っ張られて落下して壊れるのはトレードオフですが…)。少なくともコンセント側が固定式であることでリスクが半分にできます。

また運搬時はプラグを折りたためることで他のモノにキズをつけたりするリスクも減らせます。

ケーブル長は2mで壁コンセントや床上のタップから卓上に引き回すと考えるとギリギリ不安が残りますが、まぁ最悪タップを寄せればいいかなと。

ということで、RCV付属充電器との比較写真を参考に貼っておきたいと思います。

付属ACアダプタ(左) vs ELECOM EC-AC8665BK

だいぶスッキリしました。

現状特に問題なく使えています。小さいからめちゃくちゃ発熱したりとかも心配でしたが、そこまで熱を持つこともなさそうです。

RODECaster Video、手持ちWebカメラ動作確認

RODECaster Video(以下RCV)はUSBポートの4と5にUVC(Univeral Video Class)仕様のWebカメラを接続することができます(標準ではカメラ5と6に割り当て)。

UVCはWebカメラの事実上標準規格ですが、WebカメラならなんでもOKというわけではなく、非圧縮(Uncompressed)コーデックである必要があるぽいです。大抵のWebカメラはUSB帯域が狭いため、カメラ側でMotionJPEGとかH.264で圧縮してPCに送ります。それをPC側でまたデコードして使用します。その分、レイテンシや画質が犠牲になりがち。

一方、USB3.xに対応して高速通信が可能なWebカメラでは、圧縮しない生映像をPCに送ることができます。この贅沢な仕様は配信者が使用するような高級な機種に多く、ゲーミングブランドから出ていることが多いです。

公式リストに挙がっている機種は、2025年1月現在、

  • AnkerWork C310
  • Elgato 4K X
  • Elgato Cam Link 4K
  • Elgato Facecam
  • Elgato Facecam MK.II
  • Elgato Facecam Pro
  • Elgato HD60 X
  • Logitech Brio STream
  • Logitech Brio ULTRA HD Pro
  • Logitech C920 HD Pro
  • Logitech StreamCam
  • Obsbot Tiny 2
  • Razer Kyio Pro(Kiyoの間違いでしょう)
  • Sony FX30
  • Sony FX3
  • Sony ZV-E1

となっています。ElgatoとかRazerはガチゲーミング向け。Logitechは日本ではLogicoolのことですが、Brioは高級ビジネスブランドです。Sonyの3つはミラーレスデジカメですが内蔵USBポートがUVCクラス準拠なためWebカメラとして使える、というものです。

■手元で試したWebカメラの接続可否をメモっていく

我が家には幸い、OBSBot Tiny2もBrioもFX30もあるので、活用できるだろうという目論見もあってRCVを購入したのですが、せっかくそれ以外にも同一メーカー製カメラもいくつかあるので、接続テストをしてみました。(随時更新予定)

・Logicool Brio V-U0040: OK

4K対応高級Webカメラの先駆けみたいなモデルです。今Brioブランドでいくつも派生モデルが出ていて、手元のが公式リストにあるBrioなのか不確定でした。ウチのはBrioナンチャラって一切ついてなかった頃の単なるBrioだったはず。モデルナンバーはV-U0040となっています。2018年発売なので、多分これだと思います。本体のどこにもC1000eRという型番は書いてないのですが…

結果はOK。インスペクト機能でみると「1920x1080p 24 YUV」と出ます。Brioは4K対応ですがRCVがフルHDまでしか対応してないので「まぁそうなりますわな」という感じ。

注記:初出時、「1920x1080p 30 YUV」としていましたが、後日映像が割とカクカクするなと思って改めてみたら24でした。設定をあれこれ見ても変えようがないので見間違えだったというのが現在の結論です。カタログスペックでは30いけそうなんですがLogicoolの仕様表はMJPEG時とYUV時で書き分けていないので、YUVではフレームレートが落ちるということなのかも知れません。

ユーザテストの納品ビデオは容量削減優先で15fpsで書き出すことが多いのですが、その際も整数倍の30fpsからダウンサンプルする方が滑らかになると思うので、できれば30fpsで使いたかったところです。

他に現在国内ではBrioを関するカメラとして、100、500、700といったモデルがありますが、公式リストにあるSTreamとかULTRA HD Proはどれやねん、という感じ。

・OBSBot Tiny 2: OK

これも公式リストにあるんだから当たり前ですがOK。表示は同じく「1920x1080p 30 YUV」。Tiny2の公式スペックをみるとYUV出力時はフルHDでも30p止まりのようです。残念。

またRCV経由だと強みであるPTZ(パンチルトズーム)が活かせないのがもったいないですね。一応AIジェスチャー認識やトラッキングがありますが、個人的には誤動作して思わぬ方を向いてしまうのがイヤでOFFにしています。Tiny2の公式FAQによると画質設定などはカメラ側に保存されるようなので、一度PCにつないでOBSBot Centerで調整してからRCVに繋ぎ直せば色味などのチューニングはそのまま反映されるのかも知れません(未確認)。

なお廉価モデルのTiny 2 LiteだとYUV出力時640×480までなので使えなさそう。

・OBSBot 初代Tiny および同4K: 実質NG

スペックはYUV時1920×1080@5fps。実機があるので試してみたところ、映りはしてインスペクタでは「1920x1080p 24 YUV」と出るのですが遅延が大きい。おそらく実際は5コマンしか出てないがRCVが想定してないコマ数なので最低の24と表示している、みたいな感じじゃないかと推測します。フレームレート低くても遅延がなければ使い道もあったかもですが、ちょっと実用性に欠けるかなということで「実質NG」。

・OBSBot Meet2: NG

残念ながら映りませんでした。インスペクト画面には「CONNECTED」と出るものの、上記機種達のように解像度やコーデックは表示されず、当然絵も真っ黒。公式スペックによるとこの機種はYUV時は640×480までしか出ないようです。Tiny2譲りの高画質、高コスパモデルだけに惜しいです。

ちなみに旧モデルのMeet、Meet 4Kは初代Tinyと同様YUV時1920×1080@5fpsのようなのでこれも映っても実用にはならなそうですね。だからあえてMeet2では削ったのかも知れません。Meet 4Kはつい先日手放してしまったので試せず。

・OBSBot Tail Air: NG

この機種はUSBだけでなくHDMI出力もあるので、あえてUSBを使う意味はあまりないですが(ケーブル1本で電源供給できる点くらい)、Tiny2と違って専用リモコンでPTZコントロールができるのは良いです。

結果は、NG。OBSBotの最上位モデルとも言えるのに残念。Meet2と同じ挙動で「CONNECTED」とは出るものの解像度、フレームレート表示にならず映像も来ません。非圧縮に対応してない時の挙動でしょう。仕様ではUSB2.0となっているので非圧縮伝送できる帯域がなさそう。多分高くて買えないけどもうすぐ予約解禁のTail Air 2に期待。

正直これが一番使いたかったんですが、まぁHDMIでつなげばヨシ。

・SONY FX30: OK

「1920x1080p 30 YUV」でしっかり映ります。ミラーレスカメラなので光学性能の良いレンズと組み合わせて高画質映像を送るとか、望遠域が必要な時に重宝しそうです。

ただBrioに比べるとほんの少しだけ遅延があるようにも感じました。Tiny 4Kの時のようなあからさまな遅れではなく、注視しなければ気にならないレベルではありますが。

SONY α7IV: OK

RODE側の公式リストには記載がなかったですがちゃんと映りました。「1920x1080p 30 YUV」です。気のせいかFX30より遅延も気にならないような?ちょっとここは体感なのでなんともです。きちんとフレーム数表示している画面を撮るなどして比べるといいのですが、今回そもそもRCVとPCをUSBで接続しているので、そこの遅延も一定量ありそうで。HDMIでモニタを接続した際にまた検証してみます。

ともあれ、フルサイズセンサー機からフルHD@30pが取り出せるのは美味しいですね。とはいえこの辺の機種はHDMIでつなげば60p出るだろうからあえて2ポートしかないUSB使う意味はないかな…

・GoPro HERO 11: NG

GoProはPCに専用アプリを入れるとWebカメラとして使えますがUVC準拠とは言えないのかも知れません。案の定、GoPro側はUSB接続モードになるものの、RVC側で認識せずNG。

DJI Action 2: NG

アクションカメラでもういっちょ。これも他の非圧縮非対応カメラ同様「CONNECTED」と出るだけで映らず。

・[ネタ枠] iPhone 16 Pro Max

充電できましたw。

当然ながらUVCに対応していないので他にも何も起きません。RODE Captureとか純正カメラアプリを起動しても同じ。マイクとしても認識されず。RODE Capture(RODE謹製カメラアプリ)がRCVと連携できるようになったらしいですが、やはりUSB-C(またはLightning)-HDMIアダプタを経由してHDMIポートに接続しないとダメそげです。シンプルにUSBケーブルでカメラにできたら使いどころはありそうなんですけどね。

またスマホを使いたければ、こういうUSB-C – HDMIケーブルみたいなのを使うしかなさそうですね。(動作未確認です)

まとめ(音は出ない?)

非圧縮伝送できないと使えないことは事前に把握していましたが、それ自体が明記していないWebカメラも多く、いくつかは期待もしたんですがやはり非圧縮の壁は高かったという感じです。単にUVC対応WebカメラというだけでRCVに挿しても使えないので注意が必要です。

その他気になった点というか惜しい点として、どのWebカメラからも音が入りませんでした。RCVのUSB4/5端子はUAC(Unversal Audio Class)にも対応してるはずですが、もしかしたらUVCとUACは同時使用ができず、カメラかマイクどちらかとしてしか使えないのかも知れません。

■RODECASTER VideoにオススメなWebカメラ

ここからは自身で検証できていないものもあり、あくまで公式リストやカタログスペックを信じればという前提で書きます。

これからRCVを使ったシステムを組もうといった時にオススメのWebカメラを考えてみたいと思います。もちろん撮影対象次第で画角とか最短撮影距離(どこまで近づいてもピンとが合うか)といった要素の適不適は出てくるでしょうが、まずはそもそもあえてWebカメラを使う意義として、

  • コスパが高い
  • コンパクト

といった観点があるでしょう。その辺を気にしないならミラーレスからHDMI経由でいいじゃんってことになりがち。小さなWebカメラを三脚につけてUSBケーブル一本でつなぐというのが醍醐味な気がしています。

その意味でいうとダントツに安いのがLogicoolのc920でしょう。ただこれはちょっと仕様がはっきりとしない。公式リストにはあるものの、Logicoolの仕様表をみても非圧縮フルHDに対応してないような?またAmazon限定のc920nとc920の違いもわからない(値段が半額違い)。

LOGICOOL HDプロ ウェブカム C920

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この方のブログ記事をみると、後継のc922ですらYUVのフルHD出力は5fpsとなってるが大丈夫?という感じ。公式リストにあるとはいえ、ちょっと冒険かなという気がしています。たぶん自分では買わないかな。もし試された方いたら是非結果をコメントで教えていただければと思います。

全体にLogicoolの仕様表はYUVとMJPEGではっきり出力仕様を記載してないので、フルHD/60pを謳っていてもYUVでも対応してるの?ってところが曖昧です。

それでいうとOBSBotの仕様表は明確にMJPEGとYUV別個に記載していて安心感が高いです。

ただ現状Tiny2一択でお値段がお高いのが難点。その要因であろうPTZの部分もRCVで使うんだと活かしきれないというかAIトラッキングまかせになるのでちょっともったいない感じはします。

非PTZな選択肢だとKiyo ProかFacecamがセンサーサイズも大きめで良さそうではあります。自分がもしこれから買い増すならKiyo Pro、Kiyo Pro Ultra、Facecam Mk2あたりが1080@60pが狙えそうで気になりますね。

ともあれ、RCV用に買う場合、「YUV(非圧縮)フォーマット時の」解像度やフレームレート仕様を確認して買うのをオススメします。

ビデオスイッチャーをATEM MINI Extreme ISOからRØDECaster Videoに乗り換え

複数の映像ソースを画面合成して録画したり配信したりするビデオスイッチャーとかビデオミキサーと呼ばれるカテゴリの製品。自分はBlackmagic designのATEM MINIシリーズを初代からExtreme ISOと乗り換えて使ってきました。

入門機のATEM MINIでは二画面のPinP合成ができましたが、ユーザーテストで参加者の顔映像、手元映像、画面映像など3画面以上を合成したいこともあり、上位モデルのExtreme ISOに乗り換えたのが2022年。

そろそろモデルチェンジか?でも4Kとかにすると一気に高性能プロセッサが必要になって値段上がりそう。ていうか買った時から円安進行で定価も上がってる。手の届く値段で後継機出るの?という感じでした。

また使っていていくつか不満も出てきていました。

HDMIx8系統はオーバースペック

基本現場に持ち込んで使うので大きい筐体は負担で、ノートPC+OBS Studioでいっかーとなりがち。自分の使用実績では最大で4入力なので、4入力モデルで3画面以上の合成ができるスーパーソースが使えるモデルが出ればなーと思っていました。

最近はHDMI出力のビデオカメラ/ミラーレスよりUSB Webカメラ

またカメラもミラーレスやビデオカメラよりも高画質なWebカメラの方がコンパクトにまとまるし参加者の目からも存在感を押さえられます。今まではOBSBotのUVC-HDMIコンバーターを使ったりして、電源配線などがゴチャゴチャしがちでした。

自由なレイアウトを組むスーパーソースの複数管理と切り替えがし辛い

基本3画面以上の入力を駆使する時に使うので、PinPではなくスーパーソースを使うのですが、それを複数パターン(シーン)組んで切り替えるのがあまり使い勝手がよくない。

基本1つしか作れないので、マクロを使って瞬時に再配置する感じになるんですが、そのマクロをアサインできるボタンが小さく押しづらいし、そもそもOBS Studioではなく専用機を使う場面は、自分が操作するのではなく誰かにまかせる時だったりするので、ボタンが見つけづらいのも難点。

3.5mmアナログでマイクをつなぐとノイズが乗ることがある(グラウンドループ現象)

最近はRODE Wireless Proを使うことが多いですが、これをアナログ入力でつなぎ、かつ電源ラインをまとめたりすると、電気信号がループするとで起きるノイズが激しく乗ってしまし、ノイズアイソレーターを入れたり、電源を違うところから取ったりと工夫が必要になったり、これまた配線がゴチャつきがち。

たまーに熱暴走

動作するSSDが限られる

など。

そんな辺りが改善した後継モデルや競合機の登場を待っていました。YoloBoxとかOBSBot Talentとかタッチパネルモニター型の製品が出たりもしましたが、なんかAndridベースで大丈夫なん?とか高くね?とか思って躊躇してました。

■RODECaster Videoを導入!!

そんな2024年末に登場したのがあの音響機器メーカーRODEのRODECaster Videoです。

個人的に上記不満点がいい感じに回避できそうでかなり刺さりました。値段は正直高いです。US価格が$1,199なのでほぼ為替通りとはいえ、ATEM MINI Extreme ISOが実売13万くらいなのを考えるとかなり強気ですね。果たしてそれに見合うメリットはあるのか?

先に挙げた不満点がどうなったか見て行きます。

[ATEMの不満1&2] HDMIx8系統はオーバースペック& 最近はHDMI出力のビデオカメラ/ミラーレスよりUSB Webカメラ→改善

本機はHDMIが4系統と必要充分な数に抑えられた上、、USB入力(カメラ&マイク兼用)が2系統という構成で、自分の使い方にはかなりフィット。UVC-HDMIアダプターも不要になります。

注意点としてはUVCのWebカメラならなんでもよいわけではなく、非圧縮映像を出せる機種でないとダメな点。カメラ側でH264などにエンコードしてたらNG。非圧縮伝送だとデータ転送量が多いので、総じてUSB3.0を使ってるカメラが多い気がします。一応、公式の対応リストとしては以下が上がっています。

  • AnkerWork C310
  • Elgato 4K X
  • Elgato Cam Link 4K
  • Elgato Facecam
  • Elgato Facecam MK.II
  • Elgato Facecam Pro
  • Elgato HD60 X
  • Logitech Brio STream
  • Logitech Brio ULTRA HD Pro
  • Logitech C920 HD Pro
  • Logitech StreamCam
  • Obsbot Tiny 2
  • Razer Kyio Pro (おそらくKiyoの間違い)
  • Sony FX30
  • Sony FX3
  • Sony ZV-E1

我が家にはLogitech(Logicool)Brio、OBSBot Tiny 2、FX30があるのでまずまず困らなそう。なぜかクライアントが使ってることが多いC920も入ってるのもGood(あれ非圧縮だったんだ)。

ただしOBSBot Tiny2をつないだ場合、パンチルトズーム操作はできなくなります。入力解像度はフルHDまでなのでレイアウト時に拡大すると画質的にはちょっと不利かも知れません。

OBSBot Tail Airはリストにないですがどうなんでしょ。こっちなら独立でリモコンから操作可能ですが、こちらはHDMIでもつなげられるんですよね。まぁ電源がUSB一本で済むのはいいかも。→NGでした

ポート類が最適化されて小型化はされたんでしょうか?RODECaster Videoの外形寸法、重量スペックは以下。

外形寸法重量
ATEM Mini Extreme / ISOW370 x D136.6 x H39.61.235kg
RODECaster VideoW305.9 x D132.5 x H61.41.257kg

幅がかなり狭まったので小さく見えますが、高さが結構違っていて、縦x横x奥行きのかけ算で容積を出すとRODECaster Videoの方が2割程度大きいかな?ポート並びだけで言えばHDMIポートが水平に並んでいたATEMに比べ、縦配置になったので、その分高さも出たという感じでしょうか。どちらもトップが斜めなのでそう単純な比較もできないですが。重さは誤差レベル。重量と容積関係でいうと、RODECaster VideoはUSB PD 65Wで動くみたいなので、他の充電器と共有できれば多少荷物を減らせるかも?

[ATEMの不満3] 自由なレイアウトを組むスーパーソースの複数管理と切り替えがし辛い→改善

RODECaster VideoはHDMI x4 + UVC x2の6ソースボタンに加え、A~Gの切換ボタンがあり、それぞれにカスタムレイアウトをアサインできるぽいので、セッション中にインタビューパートとUTパートでレイアウトを切り替えるなんて時にわかりやすくかつ押しやすいと期待できます。

[ATEMの不満4] 3.5mmアナログでマイクをつなぐとノイズが乗ることがある(グラウンドループ現象)→仕様的には改善?検証待ち

RODEは音響メーカーだけあって、オーディオ周りがかなり強化されている印象です。

  • まずノイズに強いXLR入力が2系統あり、ファンタム電源が必要なコンデンサマイクも対応
  • UVCカメラと排他ではあるもののUSB端子にUACのマイクを2台接続可能
  • 同じRODEのワイヤレスマイクを2台直接ペアリング可能
  • Bluetoothでスマホ通話音声もミックス可能

といった感じ。これらがオールインワンで最低限の外部配線で使えるのが魅力的すぎます。

ワイヤレスマイクはディレイの少なさでRODEしか勝たんと先日もWireless Proを買いましたくらいなので、RODE囲い込み上等です。親機の充電も気にしなくてよいなど、かなり機材構成をスッキリさせられます。

他、音声周りでいうと各種フィルタが使えるのはATEM MINIと良い勝負。映像との同期のためディレイをかけられますがおそらくオーディオミックス後でまとめてかけられるだけで、ソース毎の個別はできなそう。ワイヤレスマイクもRODE Wireless Proで統一したので、個別ディレイが必要になることはたぶんなさそうなのでまぁヨシ。

UTではあんまり使わなそうですが、音声入力にあわせて映像をスイッチすることも可能で、Web会議のように発話した人の顔が大きく映る、みたいな自動スイッチングもできるぽい。

また出力音声トラック毎にミックスがかえられるので、Bluetooth経由で通話参加している人に自分の声を返さないミックスマイナス、マイナスワン的なセッテイングもできるはず。

[ATEMの不満5] たまーに熱暴&動作するSSDが限られる→検証待ち

この辺りのカタログスペックに出てこないロバストネスは実際に使ってみないとなんともですが、観測範囲ではATEMほど熱暴走するとか冷却必須とかいう話は聞こえてきてないです(というか日本のレビューはまだほとんどない)

その他の進化点

これまで有線LANのみだったATEMに対し、本機はWi-Fiにも標準で対応しました。直接配信に使えるのももちろんですが、管理ツールによる設定作業も無線でできるのが良き。個人的にRTMPで直接ライブ配信サービスに使うことはなくて、PC経由でZoomなどクローズドなWeb会議に流すのがメインなので、主に後者です。例えば配信用PCへは有線でつなぐけど、スイッチング操作やオーディオ調整などは別室のPCから補助スタッフが行うなんて時に、LAN接続が不要になるならハブからのケーブル取り回しを考えなくてよくなります。

管理ツールの複数人同時使用でいうと、USBポートも配信用(UVC出力)のUSB1と別に操作PC専用のUSB2がついたので、USB接続の場合も配信と操作を別々のPCから行えるようになりました。

ということで年末駆け込み経費で注文しちゃった(てへぺろ

発表直後に少し迷っていたら、日本代理店の銀一で早々に初回入荷分は売り切れで、次は2ヶ月前後ほどかかる見込みとの表示。ヨドバシ、ビック、Amazonなども在庫無し、入荷未定な雰囲気で、来年使いそうな案件来た時に探すかーとなってました。

しかし年の瀬ギリギリになって、節税的になんか買っておこうかってなった時に、最近のMacBook Proは30万軽く超えて一括償却できないし、コイツが手頃かも!と思って探したら奇跡的にシステム5さんに在庫1表示が!大晦日だったので発送は休暇明けになりますが、速攻で注文を入れました。

■届いた!使用感チェック

年明け営業開始初日に発送され、本日届きました。とにかくどこも品切れの商品なので「やっぱ在庫切れてましたがスンマソン!」って言われる可能性も考えていましたが、無事届いてひと安心です。

ATEM MINI Extreme ISOとサイズ感比較

さっそくATEM MINI Extreme ISOと並べてみました。

やはりATEM MINI Extreme ISOよりは短いが高いという感じですね。これはまだ2本のWi-Fiアンテナを装着していない状態です。横からみた状態は倒したL字のようですが、実際は底面はフラットになっていて、直角三角形といった方が正しいです。底の部分にはファンを含めた冷却機構が収まってるようです。

持ち運びはどっちが楽かというと悩ましいところです。またATEM MINI Extremeは社外製のアクリルカバーがあったんですが、本製品にはまだそういったサードパーティアクセサリが充実しておらず、突起物であるダイアルやWi-Fiアンテナを保護しつつ持ち運ぶか、ケース探しからやり直しです。

現時点でポータビリティは互角というところでしょうか。

傾斜している分、デスクで使う時には扱いやすいと思います。そしてなんといってもボタン数が少なく、個々のボタンが大きく押しやすいのは長所です。先にも書きましたが、自分はモデレーターの集中して、誰かスイッチ操作をお願いします、ってなった時に「ここ押してくれればいいから」がとても言いやすいです。

電源周り

ATEM MINI Extremには電源スイッチがなく、専用ACアダプタのネジ式のロックコネクターを抜き差しすることでオン/オフします。正直煩わしさもありました。専用ACアダプタ忘れたらアウトだし、数日の実査で毎日電源を落として帰る度にネジをクルクル回してコネクタを抜くとかが地味に面倒。ケーブルがテーブルの裏に落ちてしまったりとか。

対して本機はUSB Type-CコネクタのPD(Power-Delivery)65Wの電源仕様です。汎用品が使えるので、もしもの時も調達しやすいです。ケーブルを抜き差ししなくても電源ボタンでオン/オフできるのもGood。ただそれ故に恐い部分もあって、

  • ロック機構がなく簡単に抜ける
  • マルチポートUSB充電器は鬼門

複数のType-C(PD)給電ができるマルチポート充電器は、どこかのポートに挿抜が発生すると、一度全てのポートの電源を落としてから改めて各ポートへの配分を決定して再給電する仕様のものが少なくありません(というかほとんどそうです)。つまり、同じ充電器でマイクを充電しておき、「さぁ始まるぞ」とマイクを抜いたら本機が落ちます(恐。実査中(配信中)に予備マイクと入れ替えようと思って抜き差ししても落ちます。これは別に本機が悪いわけではないのですが、運用としては注意が必要そうです。OBS Studioで外付けのモバイルモニターの画面をキャプチャして配信している時によくやりました。モニターが切れてOSが画面を見失うとOBS Studioはクラッシュするので、配信事故ります。モバイルモニターにしろ本機にしろ、マルチポート充電器で他機器と共有せず、付属アダプタなど1ポートのみで専用ラインを用意した方が良いでしょう。

この辺り、テレビ放送機器メーカーのBlackmagic Design(ATEMのメーカー)と、(個人的イメージですが)ハイアマ/プロシューマー位までがメインのRODEで考え方の違いを感じて興味深いです(優劣ではなくRODEはRODEで利便性ではメリットが大きいと思います)。

ソフトウェアも含め操作が圧倒的に楽で直観的

上述のハードウェアボタンの少なさもそうですし、管理ソフトのRODE Centralから行うシーン設定も圧倒的に楽です。例えば画面内に複数の映像ソースを並べてレイアウトを組む際、ATEMのはx位置/y位置/サイズ(ズーム率)を数値で入れていくUIでした。アスペクト比を変えたり一部を切り抜くなら別項目の「クロップ」で上/下/左/右をまた数値指定。これがなんともめんどくさい。APIが公開されているのでサードパーティソフトを使えば幾分マシではありましたが。

それと比べRODE CentralのScene BuilderならOBS StudioやPowerPoint感覚で各ソースの枠を直接ドラッグ&ドロップして位置、縮尺、クロップを直観的に制御できます。ATEMはなぜこれを実現してないのか小一時間問いたい、問い詰めたい。

しかも複数シーンを7つのハードボタンにアサインしてサクサク切り替えられます。ATEMは各パラメーターを変更するマクロを組んで、小さな6ボタンに割り振る感じ。ハードボタン総数がエゲつないので、人にも教えづらいです。

各ソース毎の音量調整も、ATEMは▲/▼ボタンでポチポチで、しかも現在のレベルはハード上では視覚確認できませんが、本機は内蔵液晶でレベルメーターを見ながらダイヤルで調整できます。ソース毎に画面切り替えは必要ですが、ダイヤルでの回転と押し込みで上手く調整できるようになっているという印象です。

そんなこんなで、必ずしも専門要員がいない手弁当状態のプロダクトリサーチ系の現場にはかなり薦めやすいユーザビリティを備えていると言えます。

配線周りがシンプルに

先にも触れたことも含みますが、

  • USB(UVC)入力が2ポートついて、UVC-HDMIコンバーターを使わなくてもWebカメラを映像ソースとして使えるようになった
  • RODEのワイヤレスマイクを親機接続不要で直接ペアリングして音声ソースとして使えるようになった
  • 録画用ストレージとしてUSB接続のSSDだけでなく内蔵microSDカードスロットも使えるようになったSSDは合成素材読み込み用で、録画はUSB SSDが必要っぽい

といった点が重なって、使用時の接続ケーブル数や電源系統数が劇的に減る結果となりました。出張業務での持込荷物点数が減るとか信頼性の面でもメリットは大きいです。

■まとめ

2022年に導入したATEM MINI Extreme ISOから今回新登場の競合機器のRODE RODECaster Videoに乗り換えました。できることは大きくかわらないですが、設営や操作をシンプルにできより安定した収録ができそうで実践投入が待ち遠しいです。

とりあえず自宅で耐久録画/配信テストをしてみてまた追加で気付いた点などあれば追記するか別記事を出したいと思います。

また手持ちUSBカメラで試しまくってみた動作検証記事書きましたので、ご興味あればご覧ください。UVC/UAC機器を入手したら随時更新していこうと思います。

PDA工房さんにオリジナル液晶保護フィルムを製作してもらったので、プライベートブログの方で記事にしました。

2024年実務に使って良かった機材、ツールふり返り

年明けに書いているので、もう去年ですが、2024年に業務に導入して良かった機材やソフトウェアサービス、技術などを振り返ってみたいと思います。

■ユーザースクリプトを活用した既存Webサイト改修プロトタイピング技法

既存Webサイトの改修案をプロト作って検証したいという案件がありまして、当初はフローの中の該当ページだけ別URLのプロトタイプに移動してもらって体験してもらうという前提で制作依頼をいただいたのですが、ふと「ブラウザのユーザースクリプト実行機能を使って、本番サイトをリアルタイムで書き換えてやれば、現行ページをプロト側で再実装する手間も減るし、なにより途中でプロトURLに切り替えてもらう参加者にとって不自然なステップを挿入しなくて済むんじゃね?」と閃いて、実際にかなり上手くいきました。既存ページのほんの5%を改修して検証したいといった場合、95%をプロト上で再実装するのは無駄ですし、そのためにFigmaなどを使って本来の文字入力フローなどを「欄をクリックしたら文字入力された体でデロっとテキストが出る」みたいな省略動作になってしまいます。JavaScriptによる改編なら改編部分以外は現行サイト通りに動作しますし、本来の操作フローの中で違和感なくプロトを仕込めます。

ユーザースクリプト自体はJavaScriptによるDOM操作に精通した人なら普通に作成できるでしょう。一方その実行環境としてワンソースでPC/iPhone/Androidで効率的にユーザースクリプトを共有する実務ノウハウが蓄積できたので、近日中になんらかの形でドキュメントをまとめて公開したいと思っています。

■ワイヤレスマイク RODE Wireless Pro

コロナ禍でマスク、パーティション、換気という悪条件の下で明瞭な音声収録をせねばとなった時から、RODE Wireless Goからはじまった小型録音機能付きUSBワイヤレスマイクを活用しつづけています。GO、GOII、DJI Mic、Hollyland Lark Maxなど色々試して結局RODEに戻って最上位モデルのWireless Proしか勝たん、となっています。しかも2セット揃えてしまった…

32bit floatとかタイムコードとか尖ったカタログスペックはさておき、もっと可視化されづらい違いとして、「遅延の少なさ」が際立っていました。詳細はこちら。

今年グループインタビュー案件で2セットのワイヤレスマイクを使う機会があって発覚したんですが、両者の間に遅延の差があって、単純ミックスするとエコーのような音質になって非常に聞き取りづらくなってしまいました。少なくとも異機種、異メーカー混在は避けた方が良さそう。また1セットとしても映像との同期を考えると遅延は少ないに越したことはないなと思っています。遅延はカタログスペックが記載ないので、実際に試してみるしかないですが、自分は当面はRODE信者で行きたいと思います(RODEの他機種は計測できてないですが、、)

またハードにしろソフトにしろミキサーを選定する時は遅延補正機能も重要だなと思う一件でした。何年か前に買ったZOOM F6がチャンネル別に遅延補正量を設定できて持ってて良かったと思いました。

■リモコン制御可能なPTZカメラ OBSBot Tail Air

購入は2023年末ですが、実際に業務に投入したのが今年なので。

PTZとはパン/チルト/ズームの頭文字で、これらを電動制御できるのがPTZカメラになるのですが、本製品はHDMI出力またはUSB(UVC)カメラとして使えつつ、リモコンでPTZコントロールが使えるのがミソ。ネットワーク制御もできますがそういう面倒なセッテイング抜きでリモコンで動かせるので設営が楽ですし、見学者の方に渡して好きに画角調整してもらうこともできます。モデレーターに「ちょっと参加者さんの顔が見切れてるのでカメラ向き直して~」等とリクエストが来るのを避けられます。

惜しむらくは広角寄りの画角で、参加者の顔カメラとしては良いですが、手元や画面をアップにするにはちょっと望遠側が足りません。2025年早々に望遠モデルが出るようですが、結構お高いので悩ましいところです。案件が潤沢にあれば検討しますが、当面は画面寄りはFX30、顔をTail Airという組み合わせかなーと。

■音声テキスト化(書き起こし)AI周り

UTの発話記録を書き起こせると分析が捗りますが、今までは小規模案件ではなかなかプロのタイピストの方に依頼するのも難しかったです。私は、AI書き起こしを活用し、拙作ツール「動画眼」を使って、ある単語が出たシーンを頭出しできる環境を作ることで、精度が完璧でなくともビデオの見返しを劇的に楽にできるということを提唱していまして、そのための書き起こしツールを日々模索しています。実務案件だとクラウド系の書き起こしは機密上使えない(クライアントNG)ことがほとんどなので、ローカルPC上でエッジ処理できるものに限っています。これまではPremiere Pro内蔵の書き起こしエンジンを使っていましたが、去年くらいからChatGPTで有名なOpenAIがリリースしているWhisperとその派生エンジンを使い始めています。

これまでオリジナルのWhisper、VAD処理を一括で行い精度をあげられるstable-ts、Mac用GUIクライアントで手軽に使えるMacWhisperなどを紹介してきました。

日々進歩の激しいカテゴリなので、一概にこれがいいとは言えませんが、Windowsでそれなりに良いGPUを搭載してPCがあるならstable-ts、AppleシリコンMacならMacWhisperが良いスターティングポイントになると思います。

■ビデオスイッチャー RODECast Video

長らくATEM MINIシリーズ一強だったビデオスイッチャー界隈に期待の新星が現れました。RODEのRODECaster Videoです。これを書いてる時点でまだ手元に届いていないのですが、年末駆け込みで発注済み。どこも初回入荷分は品切れの中、奇跡的にラス1をゲットできたので、ショップの年明け営業が始まり次第出荷されるはずです。別途紹介記事を準備中。

後発だけに色々便利だったり配線をスッキリさせられる要素が詰まっています。特に前述のRODE Wirelessシリーズマイクを直接ペアリングできるのはヨサゲ。3画面以上の合成レイアウトを作るUIも直観的になっています。ATEM MINIがもともと放送機器メーカーのBlackmagic design製なだけあって、物理UIもソフトもかなりプロ仕様だったのに対し、本機はかなりアマチュア配信者フレンドリーなユーザビリティを実現してきている印象。

ATEM MINI EXTREME ISOよりも実売価格で上を行くのが悩ましいですが、3画面以上の合成が必要なら有力な候補になる気がします。逆にそれ以下ならATEM MINIの下位モデル(数万円)か、割と非力なPCでもOBS Studioでいける気がします。

■スマホ画面収録用ミラーリングツール ApowerMirror

定番だったReflector4を久々に使おうとしたら何故かAndroidの画面キャストを受けることができず、代替ソフトを模索しました。ApowerMirrorという製品に辿り着きましたが、Reflector4と比べるとかなりお高いので、月額サブスクを必要な月だけ契約する形にしつつ、Reflectorのアップデートを待っています。

■3Dプリンター

2024年は2台目の3Dプリンターとしてそこそこ良いもの(BambuLab X1-Carbon Combo)を導入し、個人ホビーとしても活用しまくりでしたが、業務で使うものもそこそこ作りました。

記事にはしてませんが、iPadの背面にスライド送りリモコン(Logicool SPOT)を取り付ける治具も作り、参加者に見せるパワポスライドの制御と、iPad + Apple Pencilでの記録を持ち替え無しでできる環境を作ったり。

金融系の調査でダミーのマイナンバーカードを用意する必要があって、厚紙やプラ板を手でカットするのよりもかなり精緻なものが作れました。

こうした実査中の小さなストレスを解消したり、よりリアルな場作りをしたりするのに3Dプリンターは有用だなと思っています。汎用的なものはどんどん公開していきたいと思いますし、何か困り毎があればご相談いただければと思います。

■まとめ

2024年は正直仕事の量はガクっと減ってしまい、商売としては割とピンチでしたが、その分、ひとつひとつの案件には腰を据えてじっくり取り組め、こうした準備も手の込んだことが色々できたかなという気がしています。

これらのノウハウを活かせるお仕事が2025年はたくさんくるといいなぁ。お待ちしております。

最新AndroidからキャストできないReflector4に代わるソフトを探す

ユーザーテスト案件で、iPhoneとAndroidの画面キャプチャを録画/配信する機会があり、久しぶりにReflector4を使おうとしたのですが、なぜかAndroid14の端末からキャストできなくなっていました。複数の端末でテストし、他のGoogle NestHubなどには普通にキャストできているので、なにかしらReflector4側が最新Androidにキャッチアップできてないのかも知れません。ちなみに同じくらい老舗のAirServerもダメでした。

さて困ったぞということで代替ツールを探してみました。結果として見つけたのがApowersoftのApowerMirrorというツール。もう一つほぼ同じ仕様、価格のツールもありましたが、こちらの方が若干遅延が少ない気がしたのと、Reflector4のようにPC側でスマホっぽいフレームを付加できた点でこちらを選びました。

OS内蔵のUIからもキャストできましたが、専用アプリをスマホにインストールした方が手早くホストPCをネットワーク上から検索してキャストを開始できました。またホストPCアプリにQRコードを表示して、スマホアプリでそれを写して接続することもできます。切断状態からキャスト開始までの手順がアプリを使った方が手早い印象なので、素直に使っておくのが吉かなと思います。

無料は低画質720pモード+透かし有り+10分までなので、実務で使うには実質有料プラン一択です。買い切りの価格はReflector4に比べると3,4倍するので、年に数回しか使わない私は当面月額サブスクリプションを当月毎に使用することにしました。そうしてるうちにReflectorの方がアップデートして使えるようになるかなという期待も含め。

解約方法メモ

ちなみに課金はpaddle.comというソフトウェアの請求プラットフォームを経由していて、解約手続きはちょっとわかりにくかったです。paddle.netへアクセスし、「Look up my purchase」(私の購入履歴)をクリックしてメールアドレスを入力。そうするとhelp@paddle.comから「Verify your email」というタイトルのメールが届くので、その文中にある「Verify and show purchases」というボタンをクリック。するとサイトに戻って購入履歴一覧が出てきます。ApowerMirrorの履歴が見付かると思いますが解約などのリンクは見当たりません。

そこで右の「Get Help」を押すとチャットボットが開くので「Cancel subscription」(購読を解除)と打つと購読解除のリンクを返してくれて、そこから解約できました。

■まとめ

今時、OS標準ツールでiPhone -> MacやAndroid -> Windowsなどでスクリーンキャストする方法は色々ありますが、セッション(参加者)毎にiPhone/Androidが入れ替わり、かつそれをOBS Studioに取り込むといったことまで考えると、単一のツールで管理できた方が楽でしょう。その意味ではこうした汎用ツールもまだまだ有用と言えます。

$40程度で買い切りできるReflectorはまだまだ価格優位性があるので、どうにかAndroid14以降も使えるようになっていってほしいものです。4が出てだいぶ経つのでそろそろ5とかに有償アップデートでもいいので。

UTの回顧法用に画面遷移スライドショーを簡単に作る

ユーザーテストでタスク完了後などにふり返りでインタビューをしますが、その時により記憶を鮮明にしながら振り返ってもらうために各画面をもう一度見せたいことがあります。しかし、ECサイトの申し込みフォーム等だとブラウザのバックでは単純に戻れなかったりしますし、最初から辿ると再入力などでもたつきがちです。

そこであらかじめスクリーンショットを用意してスライドショーで見せたりするわけですが、それにもいくつかハードルがあります。例えば縦に長いスクショ画像を一般的な画像ビューワーで表示すると、大抵は画像全体がウインドウに収まるように表示されてものすごく細長~い状態になったりします。それを適切なサイズにズームさせなければなりません。また参加者の目の前にあるタスクに使ったPCをモデレーターが別席から操作するのにマウスだけですべてのオペレーションをしたいのに、例えばWindows標準の「フォト」アプリなどは画像の切り替えがキーボードの左右カーソルキーでしかできません。また理想の画像ビューワーがあっても、クライアントのPCに許可無くインストールできなかったりすることもしばしば。

というわけで、理想の回顧法向け画面遷移スライドショーができるスクリプトをHTML + JavaScriptで作ることにしました。HTML + JSならインストール不要でブラウザで開くだけです。作るというか、ほぼほぼGitHub Copilotに希望を伝えて作ってもらったというのが正しい。生成AIスゴい!何度か追加プロンプトを入れて書き直してもらいましたが、直接書いた行は1割もない気がします。

■設定した要求仕様

  • マウス左クリックで次、右クリックで前の画像を表示する
  • 幅を固定で表示し、縦にはみ出る分はホイールでスクロール
  • 初期位置は画像の一番上(ファーストビュー)を表示

基本的にこれだけ(以外とこれができる画像ビューワーがない!)。

本当はフォルダ内の画像ファイルリストを自動的に取得して先頭から順に表示するようにしたかったんですが、ブラウザのセキュリティ仕様的にJavaScriptでローカルフォルダをスキャンすることは不可能だったので諦めました。Node.jsのようなフレームワークを使い始めると受け渡しが煩雑になってしまい本末転倒になってしまうので。

■完成したコード例

index.html (HTMLファイル)

const images = {}; の中に画像ファイルを列挙します。”で囲って、最後に,をつけてください。必要な数だけ増減OKです。このhtmlファイルがあるディレクトリに画像ファイルを置く場合の例です。例えば「画像」というサブフォルダに入れるなら、

styles.css (スタイルシートファイル)

ポイントとしては、6行目のbackground-colorを変更すると、ウインドウの余白部分の色がかわります。実際にそのサイトでウインドウを幅広くした時の背景色にあわせるとより本物っぽく見えるでしょう。

もうひとつ重要なのが18行目のmax-widthの値です。単純に100%とかだとウインドウ幅一杯に広がってしまうので、なんらか実際の表示にスケールを固定したいです。画像キャプチャに使うツールにもよりますが、今時のディスプレイは画像のピクセル数と表示サイズが1:1ではありません。例えば画像ファイルの横ピクセル数が1763pxでした。これをそのままmax-widthにいれると実際より大きく表示される場合があります。これは例えばWindowsならディスプレイ設定画面の「拡大/縮小」設定値に応じて調整する必要があります。写真のように150%だった場合、1.5倍に拡大されているので、max-widthには1763を1.5で割った数値を指定します。

script.js (JavaScriptファイル)

このファイルは基本的にいじらなくて大丈夫です。当初最後のファイルで左クリックすると最初の画像にループする仕様でしたが、連打しがちなのであえてループしないよう修正してもらいました。

画像キャプチャのコツ

後は画像を用意するだけですが、注意するのは毎回同じ幅でキャプチャすることです。縦の長さはバラバラでもスクロールするので構いませんが、横が違うと表示サイズが大きくなったり小さくなったりして見栄えが悪いです。

なので、毎回矩形範囲指定するようなキャプチャーツール/機能(macOSのShift + Command + 4とか)だととてつもなく面倒です。ウインドウ範囲や繰り返し同じ範囲をキャプチャしてくれ、なおかつ連番でファイル名をふって保存してくれると良いです。Windowsだと古くはWinShot辺りでしょうか。Windows11で動くかわかりませんが…

Webサイトの場合、オススメなのはFireShotという拡張機能です。

  • 長いページを自動でスクロールさせて連続キャプチャし、1枚の長い画像につなげてくれる
  • 今みえている範囲だけのキャプチャも可能
  • ファイル名の初期値を日付や連番など柔軟に設定できる
  • 開発者モードでスマホ表示にしていても使える
  • 有料版もあるが無料版で基本的に充分事足りる

といった特長があります。今回のようなスライドショーを作る以外でも普通に便利です。

■まとめ

マウス完結で簡単に画面遷移スライドショーができるツールをHTML/JavaScript/CSSだけで作成しました。アプリインストール不要でローカルファイルで実行できますし、ブラウザ内で表示されるので、Webサイトのキャプチャなどはそれなりにリアルに提示できます。参加者とモデレーターがそれぞれマウスを持っていれば互いに「ここが~」などとポイントしつつページを行き来できるのも便利だと思います。

そのままWebサイトにアップしてURLを共有すれば誰かに見せるということもそのままできます。リモートUTなどでは遠隔の参加者にアクセスしてもらい、Zoomのリモートコントロールで双方が操作することは可能そうですね。

是非お役立てください。

RODE Wireless Pro用ネックストラップハンガー Ver3

RODEのクリップ型ワイヤレスマイクWireless Proをユーザーテスト/インタビュー案件で使用する際、色々な服装の参加者が入れ替わりいらっしゃるので、Tシャツのようなクリップ止めできる胸ポケットも合わせもない服装の方でも対応できるようネックストラップにぶら下げるということをしています。マイクがきちんと上を向いてぶら下がるようにするのに3Dプリンターでハンガーを作っていました。

最初期のバージョンがこちら。前モデルのWireless Goシリーズ向けに制作したもの。

その後に発売されたWireless Proでは本体形状こそほぼ同一なものの、専用充電ケースが付属するようになり、上記ハンガーを取り付けたままではこのケースに収納できなくなり、改良したのがこちら。

今回、あらためてイチから見直しマグネットも不要で簡単に脱着でき、よりしっかりと固定できるようにしたのがVer.3です。

クリップ部分に下から差し込むだけ。上のリングにストラップの紐を通して使います。

この通り、装着したままでも充電ケースにばっちり収まります。

今後4人のグループインタビュー案件を担当する用に1セット追加購入して2ペア4台になったので、せっかくなので色分けしてみました。今導入を迷っているこちらのミキサー兼オーディオI/F ZOOM PodTrak P8のカラーコードに沿って、CH.1~4の色で赤、オレンジ、黄色、緑となっています。(もしかするとCH.1はピンク?)。

更にこの4色を含むこちらのネックストラップも注文済み。

残念ながら長さ調整機構がないので、セリアで別途コードストッパーも買っています。

これで視覚的にも鮮やかでわかりやすいマイク環境が整いそうです。

こちらのRODE Wireless Pro用ネックストラップハンガーを御所望の方がいらっしゃいましたらコメント等でお知らせください。個数にもよりますが500円/個程度で頒布いたします。

現物確認できていませんが、おそらくWireless GO/II、Meでも使用できると思います。

メーカーの違う2.4GHzワイヤレスマイクを混在させると混信以外のところでハマるかも?

先日参加者4名のグループインタビューをお手伝いしました。私がモデレーターとして入って計5名の音声をZoomで中継する形です。先方には同時通訳者が入ってクライアントが聞く、という座組です。

当初、レンタルインタビュールーム備え付けのバウンダリーマイク(卓上置きマイク)で事足りると中間クライアントは考えていたのですが、エンドクライアントは各個人へのピンマイク装着を希望。テストをしてみてダメだったら私がワイヤレスマイクを4台持ち込みましょう、ということになりました。

で、案の定やはりピンマイク(個人別マイク)だよねということになったのですが、こちらも少しハマったので覚え書き。

セットアップとしては手持ちのRODE Wireless ProとHollyland Lark Max DuoをMacBook Proに接続し、モデレーター用としてMacBook Proの内蔵マイクとあわせてAudio Hijackを使ってソフトウェア上でミックスしてLoopbackの仮想オーディオデバイス経由でZoomのマイク入力として入れる、ということをしました。

同じ2.4GHz帯を使うデジタル通信を使う製品なので同じ部屋で使うと混信して途切れたりが心配でしたが、それはまぁ一応大丈夫そうでした。しかしエンドクライアントというか同時通訳者の方から「ハウリング(エコー)して聞きづらい」と言われてしまいます。当初バックヤード側の設定ミスで会場備え付けのマイク音声がZoomに載ってたりして少しずつ改善はしていったんですが、やはり2組のワイヤレスマイクを全てオンにするとエコーすると。一旦は2組4台を使うのを諦めて、1組2台を2人ペアの真ん中に置いてしのいでいたのですが、それはそれでやはり声が小さい(遠い)と言われるので、休憩時間になんとかできないかと試行錯誤。

■デジタルワイヤレスマイクは機種毎に遅延時間に結構差がある!

結果として問題だったのは各機種固有の遅延時間でした。Wireless ProとLark Max Duoとで音声の伝送時間に差があり、結果的にMacに入力される声がズレるのでエコーのようになってしまうというわけです。基本的には1人1人の口元で音を拾うわけですが、多少の漏話(隣の人の声を拾ってしまう)がある距離だったというのもあります。

そこでAudio Hijack上で「Delay」ブロックを使って、タイミングを補正してやることで解決できました。

以下のスクショが実際に使用したAudio Hijackのレシピです。

3系統のマイク(左端上からLark Max Duo、Wireless Pro、内蔵マイク)のうち、もっとも遅延が大きいのがLark Max Duoでした。厳密に録音して波形をみて合わせるまではせず、モニターイヤホンで声や拍手を聴いて感覚であわせた限りですが、Wireless Proに80msの遅延をかけてやっとLark Max Duoとのズレがなくなった感じです。同様に(あまり遅れなさそうな)内蔵マイクにも50ms遅延を入れています。

ついでに説明すると、Wireless Proの音声は「Volume」ブロックで200%に上げたあとでMixerブロックに送っています。それを(別売り製品である)RX10のVoice De-noiseフィルターで部屋の空調ノイズなどを提言し、最終的に更に音量をあげてLoopDeckの仮想音声デバイスである「UT Mic」に送っています。Zoomのマイク選択リストにこの「UT Mic」が見える感じ。

フィルターを入れれば入れるほどその処理遅延は大きくなり最終的に映像とのズレが出てきてしまうので、あまり多くはいれない方が吉なんですが、Zoom側のノイズ除去との兼ね合いも測りつつ、こんな感じでやっていました。

その後気になって調べてみたんですが、こちらのNote記事に定量的に検証してくださった結果が載っていました。

https://note.com/ocdp10ply/n/n02b9cce5e45c

Hollylandからの出走者はLark Duo Maxではなくより新しいLark M2ですが、やはりWireless Proよりは遅延が大きい。さらに安価なBOYA製品はもっとヒドい、という結果だったようです。大変参考になりました。やはりTx側でデジタルエンコードしてRxでデコードするというプロセルが生じる以上、プロセッサの処理能力が如実に出るという感じでしょうか。最近のLarkはノイズキャンセル機能もあるので、そちらも負荷として遅延原因になり得るのかも知れません。またRODEが全般に優秀なのか特に上位モデルのWireless Pro故の結果なのかも気になります。

実はまた来月同じく5名の音声をミックスする案件があるんですが、Lark Max Duoは引退させてWireless Proをもう1組買うか借りるかしようかなと思案中です。というのも前回は自分のMacBook Pro+ Audio Hijackで帳尻を合わせられたんですが、次回は別のモデレーターが使用する場面があるんですよね。なのでPCに入れる前の状態でハードウェア処理で遅延まで解決している必要があります。

なので最近使ってなかった6chミキサー+オーディオI/FのZOOM F6を起こしてきてワイヤレスマイク4台+固定マイク1台を入れてやろうかと。これなら本体前面のフェーダーツマミを別個にひねるだけでバランス調節ができます。ただF6内蔵のディレイは30msまでなのでLark Duo Maxだと厳しい可能性があります。

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■Auditionで追加検証

あらためてF6で検証してみました。マルチトラックでAdobe Auditionで録音した結果がこちら。拍手の瞬間を撮ったもので、上から

  • RODE Wireless Pro(緑)
  • Hollyland Lark Max Duo(紫)
  • XLR有線入力のマイク(黄色)
  • LRにミックスしたトラック(青)

という感じ。それぞれ記事執筆時点の最新ファームウェアを入れています。

やはり紫のLark Max Duoが明らかに遅く、Wireless Proは有線マイクとの中間という感じ。ピークの瞬間を速い方からタイムコードでみると、有線 0.962s、Wireless Pro 0.970s、Lark Max Duo 0.984sという感じなので、遅延量でいうと

  • Wireless Pro: 8ms
  • Lark Max Duo: 22ms

で、ワイヤレス同士で14msのズレがあるという感じですね。上記noteの記事の値とほぼ一致する結果となりました。

これくらいズレがあると、耳で聞いても拍手がパン!ではなくパララ!と複数人が「せぇの」で叩いたかなって聞こえ方になります。これで何言ってるかわからないくらい聞きづらいかっていうと微妙なところではありますが、やはり長時間集中して聞いたり、同時通訳しないといけないといった時にはこの差が疲労となってのしかかってくるんじゃないかと。

このミームと化している画像を貼らせていただきたい。

逆算してWireless Proに14ms、XLRマイクに22msの遅延をいれてやると波形もほぼ揃い違和感はなくなりました。拍手が乾いた「パン!」になります。F6のトラック別ディレイは30msまでですがなんとかその範囲で調整できたので良かったです。60msとか遅れるBOYAでは厳しかったところです。

■まとめ

互いの声を拾わないような距離の状況なら漏話リスクも少ないんでしょうが、静かなインタビュールームでテーブルを囲んで、みたいな状況だとこの遅延が致命的なエコーにつながる可能性があります。

そんな状況で複数のマイク、特に2.4GHzデジタルワイヤレスマイクを組み合わせて使う時はできるだけ機種を揃えましょう(同一機種で混線しないかという懸念もありますが、むしろメーカー側で検証して推奨台数なども出してれば安心かなというのと、実際に混線が問題になったことはないので、現時点では機種を揃える方がメリットは大きそう)。

遅延の大きい安価な製品でもむしろそれで同士で組み合わせて他を混ぜないなら問題は小さいかも知れません。

そしてとりあえず予算が許すならRODE Wireless Proは低遅延さでもかなり優秀らしいぞと。完全遅延無しの業務用のB帯アナログワイヤレスマイクよりはお安い。ただノイズキャンセル機能がないので、PC側やZoom側でなんとかする必要はあるかも知れません。

また今回は5マイクなのでたぶん買わないと思いますが最大4chで足りるのであれば、マイク子機4台の製品も見つけました。

これの遅延具合は不明ですが、この4台で完結する分には問題ないでしょうし、ノイズキャンセルもあるみたいで、それでいて4台で4万円はなかなかコスパヨサゲです。ただマイク個別の音量調節ができるか明記されてないのでできない気も。できたとしても小さい送信機の画面と少ないボタンを駆使して操作するのはインタビュー実査中にするのは厳しいかも知れません。