AirPlay/ChromecastレシーバーにもなるワイヤレスHDMI送受信機、j5 create JVAW75

最近、都内のインタビュールームを借りてユーザテストやインタビューを実施することが増えて来ました。こういうルームはきちんとした天井カメラやマジックルーム越しの見学ルームなどの設備があるのですが、ご存じの通り昨今ではスマホ画面など手元を見ることが多く、天井カメラの映像もマジックミラーもあまり活用されません。結局書画カメラや画面キャプチャーの映像を見学ルームに投影します。その際、インタビュールームから見学ルームへの映像/音声の伝送には、

  • 長いHDMIケーブルを使う
  • Zoom/Teams/Meetなどで配信する

といった方法を採ることが多いです。クライアントが外からも見学したいとなれば後者を使うことが多いですが、そうでない場合は遅延の少なさや画質(解像度/フレームレート)の面でローカル伝送をした方が有利です。しかしこの手のレンタルルームでは自由に配線をいじれないことが多く、インタビュールームと見学ルームの間に勝手にケーブルを這わせることは難しかったりまします。先日の案件でもそんな感じでした。あと5mを超えるような長いケーブルは信号が不安定になるので光ファイバー式のケーブルを使うか途中でリピーターを挟む必要がある場合もあるし、単純に持っていくのにも嵩張るという問題もあります。

HDMI信号を無線伝送するデバイス

そこで以前から気になっていたワイヤレスHDMI送受信機を導入してみることにしました。文字通り、送受信機のペアで送信機のHDMI端子に入力した信号を受信機側のHDMI出力端子から出すというものです。インタビュールーム側でOBS Studioで作った映像をPCのHDMI出力から送信機に入れ、見学ルームに備えられた大型モニターのHDMI入力端子に受信機を接続すればケーブルレスで映像を送れることになります。

この手のデバイスには大きく2種類あると思います。ひとつはHollylandのような放送機器メーカーが作っていて、独自無線プロトコルで超低遅延を実現している放送業務グレードの製品。液晶モニター一体型でないものでも数万円します。例えばこれなんかは150m飛ばせて遅延が60ミリ秒とのことです。

かたやWi-Fiやキャプチャーボードなどの民生技術を組み合わせたような安価な製品なら1万円しないようなものも。4K対応でも1万円台くらい。業務で使うので信頼性を第一にしたいところではありますが、今回は自腹だし、録画はインタビュールーム側で行うので、まぁ最悪見学ルームで多少映像が乱れてもご勘弁いただこうということで、こちらのカテゴリの商品で妥協することにしました。ただ聞いたこともないようなメーカーは避け、レビューやスペックなども吟味して、一応4K対応品にしておこうと思って決めたのがこちらです。

j5createは台湾の周辺機器メーカーで、老舗というほどでもないですが新興でも無名でもなく、国内代理店もあるしヨドバシやヤマダといった家電量販店でも扱いがあるブランドです。以前にもAirPlay/Chromecastレシーバーを買ったことがあり、しっかりした品質だと個人的には思っています。

こちらのブランドから出ているJVAW75にしました。仕様としては、

  • 5GHz帯のWi-Fiが使える(2.4GHzより使えるチャンネルが多く混信しづらい)
  • 4K/30p、フルHD/60p
  • 伝送距離30m
  • HDCP1.4(著作権保護信号)対応
  • 受信機側単体でAirPlay/Chromecast/Miracastレシーバーになる

といった感じ。面白いのは最後の部分。つまり先に記事をリンクしたJVAW56相当の機能も内包しており、iPhone/Android/Windows/macOSの画面キャプチャをRODE CasterVideoやATEM MiniのようなHDMIスイッチャーのソースとして入れる用途にも使えてお得なわけです。実はJVAW56が行方不明で買い直すかずっと迷ってたんです…

ちょうどAmazonがセールでお届けに日数がかかるところ、ヨドバシカメラ店頭で購入できたのもポイントです。

使用感は上々

今回の案件ではメイン用途である送受信機ペアによるHDMI信号の伝送でしか使っていませんが、OBS Studioで録画しているMacBook ProのHDMI出力から送信機につなぎ、サブモニタとして認識したところにOBS Studioの「全画面プロジェクター」で投影しました(詳細はこちらの記事)。

またモデレーターである自分もその映像をモニタリングしたかったので、HDMI分配機を途中に入れてモバイルディスプレイにもミラーしました。

部屋の配置は、インタビュールーム|マジックミラー見学ルーム|バックルームという並びで、1部屋挟んだバックルームの壁に設置された大型モニターに受信機を接続しました。なぜかモニターには720pで認識されてしまいましたが、これはテレビが結構古くてフルHD未満だったのかなと思います。ひと部屋またいで少しカク付きがあったので、受信機をマジックミラー見学ルーム側まで移動しておきました。

自分はモデレーターとしてインタビュールームにいたので常時見ていたわけではないですが、特にクライアントからもクレームはなかったので品質に問題はなかったかなと思います。mac側でマイクの入力音声をそのままHDMI出力に出すのには一工夫はいりますが、きちんと音声も伝送できました。これが「音声だけはルーム備え付きのマイク音声をPA設備経由で」とかすると映像と音声がズレたりしがちなので、まとめてHDMI経由で送るのは重要です。またルームに設置された固定マイクと、RODE WirelessProを持ち込んでの話者別マイクで聞き比べをしてもらって、後者の方が圧倒的に聞き取りやすいとおっしゃっていただき、全体として品質の高い見学環境を作れたかなと自負しています。

まとめ

インタビュールームと見学ルームの間にHDMIケーブルを通せない場面で、外部配信を使わずに映像と音声を伝送する手段としてワイヤレスHDMI送受信機を使ってみました。あらかじめペアリングされており、ケーブルの代わりに双方のHDMI端子にさしてUSB電源を供給するだけで機能するので非常にお手軽です。

あくまで無線機器なのでその場の電波環境によっては映像/音声が乱れたりする可能性はありますが、一般的なオフィスで隣り合った部屋くらいなら充分対応できるスペックじゃないかなと思います。また追々別環境でテストできたら追記もしていきたいと思います。

ガチ固定ラボの設備だったらHollylandのようなグレードの製品を推しますが、出張鑑定やコストを抑えたい時などには良い選択肢だと思います。またAirPlay/Chromecastでスマホ画面のキャプチャーにも使える点もコスパが良いんじゃないでしょうか。

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