ZOOM F3を使ってた所感

先日「ユーザーインタビューのやさしい教科書」のイベントがあって、大阪に行って来ました。

ユーザーインタビューのやさしい教科書

ユーザーインタビューのやさしい教科書

奥泉 直子, 山崎 真湖人, 三澤 直加, 古田 一義, 伊藤 英明
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発売日: 2021/09/24
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基本的に配信は主催のHCDNetさんが引き受けてくれて自分はノータッチだったんですが、後日一部ダイジェストなら書籍のYoutubeチャンネルにアップしても良いということだったので、録画用に自前機材を持ち込みました。その時に初投入したのが前回の記事で書いたZOOMのF3です。

貸し会議室にはPA設備があり、そのミキサーからこちらのケーブルを使って音をもらいました。

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/225818/

ステレオの標準プラグまたはミニプラグからXLR x2に変換するケーブルです。他にもRCAプラグからとる事態になるかも知れないと、こちらのアダプタと懐かしの赤白オーディオケーブルも持参。

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/24906/

どちらもサウンドハウスのオリジナルブランド品でお手頃です。

イベントは契約の関係で開始30分前にしか入室できず、かなりバタバタでした。持ち込んだカメラからのHDMI信号がATEM Miniで認識できなかったり(Video Assistでは映った)、PAからの音が配信PCに入らなかったりとトラブルの連続で前半はリモート視聴者さんにもご迷惑をおかけしてしまいました。

そんな中でもこのF3で録ってた音は非常にクリアで、途中からは配信用に転用したくらいです。Windows PCにオーディオドライバも必要なくUSBケーブルでつないだだけで(配信の方の)Zoomで認識されました。ただし残念ながらF3内録音とUSB I/Fは排他らしく、録音を止めないと配信には使えませんでした。16bitや24bitでもいいので同時録音できると良かったなと思います(もしかしたら設定でできるかも?)。ともあれPAからの音を(XLRのソース設定をマイクからラインに切り替えはしましたが)デリケートなレベル調整なしでポンと録音できたのは非常に良かったなと。コンパクトで大阪までのスーツケースでさほど容量を食わなかったのも有り難かったです。バッテリーもリチウム電池で余裕でした。

昨今のUT現場ではマスク対策もあってワイヤレスマイクを使うことが多いですが、いずれピンマイクやガンマイクで録る現場があったらまた活用したいです。

■PAを録音してみて気付いたこと

通常の業務UTでは、今回のようにPA(会場の音響設備)経由で音をもらって録音するといった機会はなく、貴重な経験となったのでついでにメモを残しておきます。

まず上に書いたとおり32bit float録音ができたのは良かったです。PA側のミキサーを一切触らずにジャックにケーブルを挿すだけで音が録れました。今回は音声スタッフはおらず会場備え付けのミキサーを勝手に使え、というスタンスの会場でしたが、やはり勝手がわからないのでいじるのは気がひけるものです。

今回登壇者は自分を含めて5人おり、ワイヤレスx3、ワイヤード2を用意してもらいました。ワイヤレスはマイクスタンドにつけて卓上置き。ワイヤードはミキサーよりの2席に普通に転がしておきました。このマイクスタンドがクセモノだなと思います。我々話者もそこまでこういう場に慣れていないので、必ずしもマイクに向かって話すということを意識しきれず、スクリーンや隣の話者に顔を向けて話してしまいがち。そうすると集音範囲の狭いダイナミックマイクでは途端に声が小さくなってしまいます。後編集をしていてマイクスタンドを使っていた人達の声が大きくなったり小さくなったりを繰り返していて「あちゃー」という感じ。今後こういう機会があった時にはできればスタンドは避けたり、必ずマイクに向かってしゃべるよう話者に念押ししときたいなと。程度の差はあれピンマイクでも同じことが起きるのかなと思います。顔につけて常に口元にマイクがくるヘッドセットタイプが最強かも知れません。

あと、そうしたダイナミックマイクだけで話者の音を録ったPAの出力は、ノイズがなく聞き取りやすいものの、会場の空気感が抜け落ちた音声になってしまうので、イベントのライブ感みたいなものを出したい時は所謂”エア”のような環境音も録って軽くミックスしてあげるのが大事だなと思いました。ちょうど客席の一部においた引きアングル用のビデオカメラの内蔵マイクの音が録れていたので、今回はそれを流用しました。

実は今回F3との組み合わせでもよく挙げられるBEHRINGERのC-2というペアコンデンサマイクを買いました。2本で1万円切りの良コスパのXLRコンデンサガンマイクです。

べリンガー C-2

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さすがにF3に2本直差しだとあまり意味ないでしょうが、付属スタンドで少し角度を開くようにして使えば良いステレオ収録にもなります。メインの音声をワイヤレスマイクを録る片割れ、このF3とC-2の組み合わせでエア兼バックアップを録って置くのも良さそうだなと思いました。

スマホアプリでレベルメーター付きで確認できたのも良かったです。登壇者席にいながらにしてこっそりチェックしたり録音の開始/停止ができるのは大きなメリットでした。(別売りBluetoothユニットが必要)。

■まとめ

小型で32bit float録音ができるZOOM F3で、レベルを気にせずまさに録音ボタンだけで綺麗な収録ができました。どんな音が出てくるかわからないPA経由の収録では大きなメリットかなと思います。

しばらく色々な活用法を模索してみたいと思います。

Wireless GOを首から下げるアダプタDIY

前記事でWireless GOの新クリップオプションも評価しましたが、やはり次々と使用者が入れ替わるユーザーテストや商品インタビューのような用途ではネックストラップが一番手早いなということで、ワイゴーを首から吊すための方法を検討しました。

なお、UT/インタビューが捗りまくりなRODE Wireless GO2のレビューはこちらをどうぞ。

■首から下げるための様々なトライアル

Wireless GOシリーズは背面に胸ポケットなどに留めるクリップがついています。ぶっちゃけ適当な紐をここにひっかけて首に下げれば済むっちゃ済む。

ただマイクをできるだけ口元近くに持ち上げる為、こういう長さ調節機能のあるストラップを使いたかったのです。

ソニック ストラップ 多機能 丸ひも ストラップ 青 MH-223-B

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このストラップは本来社員証やカードキーを首にぶら下げるためのもので、先端の様々なパーツが選択可能になっているのですが、Wireless GOに留めるにはどれもイマイチでした。

(余談ですがこのストラップの紐は材質がPETとなっています。ポリエステル記事にアレルギーがある人にはあまり適さないかも知れません。そういう対象者が現れ、かつ襟のない服だった時のために代替手段を用意しておくと良いでしょう。自分も綿とかの素材のものを探してみようと思います。)

まず簡単なのはマグネットでつける方法。Wireless GO用のオプションでMagClip GOというのがあります(上述のFlexClip Goにも含まれます)。

これはクリップ部分にとりつける金属プレートカバーが含まれており、取り付ければ下の写真の白いRODEロゴがある部分が磁石のくっつく鉄板になります。

ホームセンターで入手できるパーツで自作したアダプタ

ということで、それを利用したものが上の試作治具です。右はただの金属プレートにリングを通したもの。これ自体に磁石がつくので、MagClip Goの磁石の両面にこれとWireless Go本体をサンドしてくっつけます。MagClip Goの磁石はかなり強力なのでバチーンと固定できます。ただ金属プレート+金属リングがカチャカチャ鳴ってマイクが拾ってしまう可能性がありそうで微妙。

次に作ったのが左のネームプレートに磁石を両面テープ止めしたもの。

ソニック 白 番号札 小 無地 10個入NF-751-W

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MagClip Goが2,300円ほどすることを別にすればかなり安上がりです。見た目はアレですがプレートを黒く塗ればマシになるでしょう。逆に初代Wireless GOのホワイトモデルの人はこれもアリ?

既にMagClip GOをもっている自分だけならここで満足するのもアリでしたが、ちょいちょいクライアントにも推奨機材として紹介するので、MagClip GO抜きで実現できるソリューションを開発したいと思いました。また強力なマグネットは時としてトラブルの元にもなるので、マグネットフリーにしたかったという理由も。

■3Dプリンターで自作!

といことでお正月休みを使って久々にCADソフトを使って設計してみました。ワンオフなのでプラ板や金属板などをカットして作ればいっか、と思っていたんですが、よくよくWireless GOを眺めると背面のクリップ付け根部分は無駄に(?)複雑な造形をしていて、綺麗に沿わせるにはCAD使った方がいいかなと。

FreeCADを使用。昔使ったFusion360よりとっつきづらかった…

3Dプリンターはないので.STLデータをDMM.makeのプリントサービスにアップロードして出力注文。毎度素材選びには悩みまくりですが、とりあえずある程度弾性があって割れにくそうなもので、短納期、低価格だったMJFという素材をチョイスしてみました。ナイロンベースの粉末素材を薬剤で固めてつくるようで、積層痕も目立ちにくいようです。研磨オプションは素材の厚み的にギリギリだったのでつけずで、表面は結構ザラザラしています。お値段は1,890円でした。量産品ではないのでまぁこんなものでしょうか。最近は機材を自前で揃えたいクライアントの相談に乗ることも多いので、その時にWireless GOリシーズを選定させていただいたお客さんには1つサービスで進呈してもいいかなくらいの価格です。

3Dプリンターで自作したアダプタ(Do-guganロゴ刻印入り)

上述のストラップと組み合わせてWireless GOに取り付けてみた感じ。横幅を本体幅にあわせたのでいい感じ。ストラップに付属しているフックやループパーツは使用せず、直接固定されているプラリングを使ってぶら下げています。

WirelessGO2に装着した状態

ロゴの部分をクリップで挟み込んでいる感じなのでガタついたりもしない感じ。ただ長時間身につけていると多少はズレて傾いたりはするかも。穴のサイズをもう少しギリギリに狭めればいいんでしょうが、手元に3Dプリンターがなく、毎回上記コストと数日の時間がかかるので一旦はこのままかな…壊れたりなくしたりして再発注する際にはもう少し調整するかも知れません。

首下げイメージ

実際に首に下げてみた感じ、しっかり上面のマイクが常に上を向く感じで良いです。

実際に実務で使ってみて、

  • すぐに壊れてしまわないか
  • マイクに擦れ音などノイズが入らないか
  • 向きがズレていったりしないか

などを評価していく予定ですが、とりあえず欲しい!という方のために、DMM.makeのクリエーターズマーケットというサービスがあり、3Dプリンターの知識がない人でも簡単に素材や色を選んで注文できるようになっていますので、そちらでの出品しておきます。

またご自身で3Dプリントできる環境がある方向けに生STLデータはGitHubに公開しておきます。充分な検証はしていませんが、as isでお使いになりた方はどうぞ。

2023.2.7追記:自宅量産可能になったので頒布受付します

自宅に3Dプリンターを導入しまして、簡単に出力できるようになりました。ご希望の方には送料程度で頒布したいと思いますので、コメントなどでご連絡いただければと思います。

材質はいまのところPETGというペットボトルなどにも使う透明樹脂で出力しています。一般的なPLA素材よりは弾力があって割れにくいんじゃないかという判断です。ので半透明というか濁った白です。使える素材、色はその時のフィラメントの在庫にもよるのでご相談となります。