ワイヤレスマイクシステム RODE Wireless GOがとても良かった

UTのお悩みとして音声の記録や中継の問題があります。ビデオカメラや書画カメラの内蔵マイクでも一応は録れるのですが、これは品質としてはだいぶ損をしていると言わざるをえません。なんか注意して聞いていれば言っていることはわかる、というレベルと、対面会話のようにそこに意識をしなくても聞き取れる、という状態では疲労が違います。また今の季節や、昨今のように感染症が話題になってる時ですとモニタさんもマスクをして来ていたりして、「聞き取りづらいので外してください」とも言いづらく、なんとなくモゴモゴした聞こえ方になり、さらにしんどくなります。機材で解決できる問題は積極的に取り組んでいきたいものです。

今回試して良かったのはこちらのマイク。

同じような箱が2つありますが片方がマイク付き送信機、もう片方が受信機です。受信機のマイク出力をビデオカメラなどの外部マイク入力端子につないでやれば長々と細くて切れやすくてノイズが載りやすいケーブルを引き回さずに済みます。また隣室であれば壁をこえて観察ブースへコードレスで音声を伝送することもできます。au Payの20%還元キャンペーンでとりあえず買っておいたんですが、今回の実査で書き起こし担当の方がモニタさんの声が聞き取りづらく、リアルタイムの書き起こしができないという相談があったので急遽実践投入してみました。

その現場ではとりあえず映像伝送系に関してはリサーチルームの設備で一応まかなっていたので、それとはまったく独立に書き起こし担当者さん専用に追加の音声伝送経路を作った感じです。本製品の受信機の出力端子は(3段階に調整はできますが)マイクレベルです。TRS端子(ミニプラグ)ですがイヤホンをさしても音は出ません(聞き取れない位小さい)。本来はビデオカメラのマイク端子にいれ、ビデオカメラ内で増幅して録画したりモニタ用ヘッドフォン端子で聞くというものです。ただし今回は音声のみ聞ければいいので手持ちのICレコーダーを使用しました。外部マイク端子に本製品を接続し(便利なショートケーブルが付属しています)、ICレコーダーのイヤホン端子に適当なイヤホン/ヘッドフォンをつないで聞きます。結果として非常に聞きやすくなったと好評をいただきました。同じ室内でモニタさんから見て後方に席をおいて記録をとっていたのですが、遅延も全く気にならず片耳で直接音、片耳(イヤホン)で本機経由の音を聴いても違和感はほとんどなかったです。

今回の構成

理想を言えば受信機に直接イヤホンをさして聞ければなお良かったかもですが、想定している使い方ではないのでまぁそれは仕方なしです。ICレコーダーもビデオマイクも外部マイク端子付きのものを選んでおきましょう、ということです。

■詳細レビュー

まず類似製品としてSONYが発売しているECM-W1MとAW4があります。

ソニー SONY ワイヤレスマイクロホン ECM-AW4 C

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ソニー SONY ワイヤレスマイクロホン ECM-W1M C

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W1MはSONYの対応ビデオカメラ専用品になりますが、受信機側に電源が要らない(ビデオカメラ本体から給電)のがメリットです。ケーブルも不要でスッキリ。

W1MをHnadycam CX670に装着

AW4は今回紹介のWireless GOと同じでビデオカメラやICレコーダーの外部マイク入力に接続するタイプでSONYのアクティブシューがついていないビデオカメラや他社製品にも使えます。つまりAW4とWireless GOはガチ競合製品ということになります。この2者で比較した時のWireless GOの特徴は、

  • 受信機側にレベルメーターとバッテリー&電波強度ゲージがある
  • 受信レベルを3段階で調整できる
  • 乾電池式ではなくUSB-C充電式である
  • ちょっと高い

といった点になります。3番目はメリットでもありデメリットでもあります。長丁場の時や、本番直前に電池切れが発覚した時に、乾電池ならさっと入れ替えできます。ただ予防的に電池をマメに新品に交換したりするともったいない気もします。Wireless GOは仕様上7時間保つのでセッションの合間にこまめに充電しておけばまぁ大丈夫かなという感じです。最悪充電しながらの使用もできるでしょう。むしろバッテリーゲージ(受信機側のディスプレイに送信機、受信機双方の電池残量が表示されます)があることで電池切れトラブルを防ぎやすいのかなと。

レベルメーターも音量が振り切って音割れさせてないかを目視確認できるのは有り難いです。受信レベルの3段階も結構差があって、手軽に調整できて良かったです(1ボタンで3段階サイクリック動作)。電波強度も可視化されているのは安心感があります。外部マイク端子があるようなビデオカメラなら液晶画面にレベルメーター表示できたりもしますが、やはりカラーでクリップ(飽和)しそうな時は赤くなってくれた方がリスクに気付きやすいと思います。

今回は送信機側の内蔵マイクを使用しました。クリップがついているので適当なところに固定も手軽にできます。モニタさんの襟元や胸ポケットにつけてもらっても良いでしょう。またこれ自体に外部マイク端子があるので、ラペリアマイク(ピンマイク)を使用して、送信機本体はベルトなどにつける使い方もできます(これはSONY組も可能)。

このクリップが秀逸なのはビデオカメラなどのシューに取り付けもできる点です。AW4のクリップはビデオカメラのハンドストラップなどに止める想定ですが、それよりも幾分スマートで位置的にも邪魔にならない感じです。ユーザビリティ屋としてはこういう細かいアイデアでテンション爆上げです。これが購入の決め手になったと言えるレベル。

HXR-NX80 + W1M
HXR-NX80 + Wireless GO
VX992M + Wireless GO

ちなみにCX670のシューは奥に沈んでいてWireless GOは取り付け不可能でした。

電波の安定度についてはまだ1現場で使ったのみなので不明。ただ干渉しやすい2.4GHz帯を使いつつも途切れにくい工夫はあれている模様です。同室内で使う分にはまず大丈夫じゃないかと。部屋をまたいだ使用については追々試してみようと思います。

バッテリーは実感としてはスペック通りの7時間は保たないだろうという印象。ギリギリまで試せば使えるのかもですが、4時間ほども使えばバッテリーゲージがレッドになる感じです。

欲を言えばバッテリー切れが近い時にビープ音などで警告してくれるといいなと思います。SONYのでも何度か失敗したことがありますが、サイレントに電池切れして音声が途切れるので記録としては被害甚大です。収録機材としてノイズを出すのは問題かも知れませんが、音が録れてない方が致命的だと思うので、なにかしら通知手段をもっていてほしいです(電池切れギリギリまで使ってないのでっもしかしたら鳴るという可能性も残っていますが、まぁ説明書にもなにも書いてないしないんじゃないかなと)。

ともあれ高品質かつ汎用性の高い良機材だと思います。執筆時点でAW4より7,8千円高いですが、ディスプレイによる各種ステータス表示にはそれだけの価値があると思います。

 

 

 

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