群盲、象を撫でる~局所的知覚による誤解釈

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 久々のユーザビリティ・パターン案の追加です。

下りエスカレーターの案内板

 家電量販点の店内の写真です。エスカレーター前に真っ赤に目立つ案内板が置かれています。実はこの奥にあるエスカレーターは上りなんです。2つ見えるのは、下から昇ってきたものと更に上に行くヤツがあるからです。下りのエスカレーターは写真右手に写っている食洗機コーナーの前を進んだ方向にありますよ、ということを示しているんです。この写真ではわかりにくいですが、左から歩いてきた時に見える向きに上りエスカレーターを示す黒い案内板も出ています。

 つまり、まっすぐこの写真の向きにエスカレーターに向かう人に、「おっと下りはあっち(右)ですよ」ということが言いたいんですが、たまたまエスカレーターの進行方向にマッチしているために、非常に紛らわしいことになってしまっています。


 おそらくもっと広く見渡して総合的に吟味をすれば間違えることはないのですが、ある視野角に切り取って局所的な情報だけで判断するとミスガイドになってしまう。こういうパターンって結構あるんじゃないでしょうか?

 例えばアプリケーションのメニュー項目を考えてみてください。ある機能がどのメニュー項目の中から実行できるか探している時に、あなたは全てのメニューを開いて全ての項目を吟味した上でもっともそれらしいものを選択するでしょうか。おそらくしないですよね?ひとつのプルダウン・メニューを開いて、その中にある程度それらしいものが見つかれば、まずそれを選んでみたりしますよね。

 つまりシステム全体が視野に入っている設計者が大丈夫だろうと思ってデザインしたものも、ユーザがある一部を切り取って認知した時には全く別の解釈が成り立ってしまうよね、という問題提起です。

 どうでしょう?パターンとしてアリでしょうか?またなんと名付けましょうか?

 思いつきでは、やはり「局所的」とかってキーワードが入るかと思います。逸話系のネーミングだと「群盲、象を撫でる」という言葉がありますね。確か仏教系の話です。目の見えないお坊さん達が象に触って、たまたま耳に触った人は「象とは大きくて平べったいものだ」と言い、足に触れた人は「象ってのは太い丸太みたいなものだ」と言う。みんな自分の触った部分の印象だけで表現して、ちっとも全体像にたどり着けない、というアレです。ちょっと正確なリファレンスを探したんですが見つかりませんでした。こういう文脈で使って適切かどうか、どなたか詳しい人がいらっしゃいましたらご教示いただければと思います。

“群盲、象を撫でる~局所的知覚による誤解釈” への7件の返信

  1. “群”盲だと思うぞ(前回の訂正も含めて、間違いの指摘は直したら消しといて下され)。
    # もっと正確には「撫でる」ではなく「撫ず(づ)」ないしは「評す」だが…。
    どちらにせよ、MS-IME、ATOKでは「盲」という字が入っているせいか、「ぐんもう」ではちゃんと変換しないようになってるなぁ。全くいい加減にして貰いたいよ。

  2. あはは。どうりでGoogle先生でちゃんとヒットしないワケですね。さすがにGoogleサジェストも効かないか。>郡
    指摘ありがとう。タイトルなどは修正しました。
    「群盲」ならちゃんと色々ヒットしますね。
    撫でる、撫ず、評すと色々。「群盲撫象」なんてのもあったり(なんて読むんだろう?)。意味的には大丈夫そうですかね。この文脈だと「評す」がいいかな?「撫ず」ってあんまり耳慣れない日本語ですね。どのみち翻訳に公式もなにもないだろうし、音で聞いても伝わりやすいものが良いかなと。そういう意味では「撫でる」か「評す」?
    いや、全然別の案もお待ちしてますですよ。

  3. 「群盲撫象」、いわゆる漢文の返り点が無い奴で、日本語の四字熟語ではないと思っております。
    模すというのもありますね。
    衆盲と言う言い方もあったと思う。当時の視覚障碍者を群れとか衆とか表したのはやっぱり差別的なのでしょうかね?
    こういう表示って、下っ端の人らが適当に考えたんではなくって、多忙でしかも本業バリバリのマネージャクラスが「ああ、お客さんが間違わないように表示しとけ」って感じでディティールまで指示せず簡単なメモを渡して…現場はそれをきっちり守った結果できたって気がしますね。
    私が6年と1年ちょい仕事した二箇所ではそういうことが頻繁に起きていた。まさにこれに似た例もあったなぁ。
    建物入り口にある「禁煙」サインの前の灰皿とか。
    施設内は全部禁煙だが、ここでだけなら吸って良いように喫煙馬鹿には捉えられるらしい。外から持ってきたタバコをここで消して入場する、って意味なのにね。そうじゃなければ、皆が通る場所、それほど広くない通路に、喫煙スペースを設ける訳が無いのに、喫煙者は脳がタバコで侵されているので気付けない。
    上長はタバコを辺り構わず棄てられたら困るし、施設内は禁煙なので、判りやすいサインと、捨てやすい位置の灰皿設置を命じたんだけど、現場ではその意図が伝わらず、結果、直接の利用者には誤解を与え、これによる受益者にとっても役に立たないどころか迷惑になったと言う。
    ちょっと違うかな、書いてたら違う気がしてきた。(けど送信)

  4. トイレのサインもあれですね。一括発注するには便利かもしれないけど、男子トイレはこの階、女子トイレは上の階、とかの方(相対表示)が、初めて来た客には便利だと思う。
    わしは職業柄、自分の位置を絶対表示で覚えているので、階数で書かれても良いけど。

  5.  群盲撫象、わかりやすいんだけれど、どっちかっていうとユーザの側の失敗を指しているみたいで気になりますね。
    むしろ設計する側の人がユーザ側の局所的な視点を持てない、みたいな表現の方が適切な気もします。

  6. アプリ作っていても、よくあります。社内の人やユーザさんに指摘されて、「あれ、そういう見方もあるのかぁ」と思うことしばしば。しかも全体の設計思想と対立するケースもあり、悩ましいなぁ、というやつです。
    ある意味、設計のバグなんですけれど、全体を理解している設計者だけに、特殊なバイアスがかかっていて、見つけづらかったり。もしかしたら、全体としては小さな問題で、解決を後回しにされることもあるのかもしれません。
    ゾウがアリの視点をもてない、という感じでしょうかね。ゾウつながりですが。

  7. それにしてもこのコメント欄みにくいなぁ。研究します。
    タッチパネルのカーナビで、地図の縮尺変更する「詳細」と「広域」ってボタンが画面下の両端にわかれて配置されてますよね?あれの「詳細」だけ見て何かサブメニューみたいなのが開くと思って押しちゃう人がいるんですよね。開発者はもちろん、本人すら普段は地図の拡大に使ってるはずなのに、ある時点ではそれが別の入り口に見えてしまう。つまり、空間的だけでなく、時系列的な視野狭窄も起こっちゃうみたいです。

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