ユーザテストの音声録音品質を研究してみる(3)〜ということで購入してみた機材

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ということで「ユーザテストの音声録音品質を研究してみる」の(1)(2)でUT(ユーザテスト)でどんな音を録るか、良い音声収録するのに参考にしたい基礎知識をまとめつつ、年度末予算(企業の使い切り予算というより、個人事業者はこの時期仕事が増えたり還付金があったりして懐がやや温かい的な意味でw)で機材投資をしてみましたのでまとめてみます。どれもまだ届いたばかりで実践未投入なので、是非使わせていただける機会をお待ちしています。

■ZOOM Q8

やや異様な外観をしたビデオカメラです。正確には、「音声品質を重視したビデオレコーダー」あるいは「映像も撮れるリニアPCMレコーダー」とでもいいましょうか。ZOOMというのはリニアPCMレコーダーやMTRなど音声機材を出している国産メーカーです。ここのレコーダーは特徴の違うマイクユニット(同社ではカプセルと呼んでいる)を交換して使い分けることができる、いわばレンズ交換型カメラのPCMレコーダー版のようなラインナップがあります。例えばこんな感じ。

ガジェット好きにはたまらないギミックですねw。仮面ライダーの武器のようですが、マイクは前記事で書いたように色々な目的で使い分けるものなので、理に適っていると思います。

で、このマイクカプセルをビデオレコーダーでも使えるようにした、というのがQ8というわけです。そしてもう一つユニークでオンリーワンな特徴として「XLRと標準プラグの両方が刺さるコンボジャックを2系統もっている」という点があります。XLRは業務用の2,30万クラスで大型のモデルについていたり、DSLR(デジイチ)のシューにオプションユニットとして追加できる位で、このクラスの小型のものについているのはとても珍しいです。というかこの機種しか知りません。MTRと違い所詮ステレオ2chにミックスして録音録画するビデオカメラに追加2系統で入力が増えてなにが嬉しいんだ、と思われるかも知れませんが、本機はそれらをビデオの音声に好きな音量とバランスでミックスできるのに加え、リニアPCM(WAV)で同時録音することができます。つまり動画ファイルとは別に、内蔵マイクも含めそれぞれのマイクのWAVファイルを並行して作成できるのです。動画(自在にミックスした音声入り)+内蔵マイクステレオ2ch+1ch+1chと最大4本のファイルが時間同期されて保存されます。

さすがに書き込み速度が大変なことになるので、安定動作させるためにSDXCカードもメーカー指定のExtreme Proをチョイス。WAV複数トラックでサイズも嵩むでしょうから128GBでし。

前記事に書いた「あとで音量調整や音質調整をする」という作業がマイク別に行えるので、被験者の声だけもっと大きくしたい、といったことも技術的には可能です。またWatsonなどのクラウドサービスに書き起こしをしてもらう時にも、最初から音声ファイルが分離されていた方が楽という期待もあったり。

ちょっとお高いですが、カメラカプセルを離れたところに設定するケーブルも用意されているので、背後録りで音声だけ前面、というレイアウトも可能です。

ただしカメラとしては微妙なところもあります。基本はビデオカメラというよりアクションカメラに近い仕様で120°の広角レンズで光学ズームもなしです。フルHDよりちょっとだけ高い解像度で録れますので、画角や外周の魚眼歪みが気になる場合はデジタルズームで真ん中を切り出して録ることになります。UTではそもそもそんなに解像度は不要なことが多いですが、これで足りるかは今後検証待ちです。どうも分解すればSマウントというIoTデバイスなどのレンズマウント規格のネジ式でレンズがついてるようなので、頑張ればもっと画角の狭いものやフォーカス距離が短いものに交換も可能かも知れません。Sマウントレンズはネジ固定ですがフォーカス調整も兼ねているため、ピッタリのところで接着剤で固定されてることが多いらしく、気軽につけかえとはいかなそうですが。リンク先の人はマウント自体を交換してしまうという暴挙に出たようですが、これはさすがに原型留めてなさ過ぎですね。付属のレンズフードを改造するか3Dプリンターで複製してフィルターねじをつけられればテレコン/ワイコンやクローズアップフィルターみたいなもので調整できるかも?

逆に良い点として上下反転撮影ができること。これはレンズを増したに向けて書画カメラ的に使う時に三脚ネジを向こう側に向けてられる。しかもQ8のマイク部分は角度がかわるのでマイクを話者に向けることも可能という。こんな感じ。ちょっと存在感ありすぎかなw。この距離だとX-Yマイクでもステレオ感はほぼ出ないので、エコーで声が聞きにくいということはなくそのまま音声録りにも使えそうです。

(写真)

ちなみに、「やはり映像と一緒に聞けてナンボなので別ファイルでどんなに綺麗に録れてもしょうがなくね?」という疑問もあるかも知れませんが、それこを本機と良いところで、録画開始/停止が各ファイルで一斉に行われるので基本同期がとれた状態になります。後で波形をみて少しずつズレして絵と音のタイミングを合わせる、といった作業は不要です。まぁ最近それはAdobe Premiere Proで波形解析して自動同期できることに気付いたので、ICレコーダーで同期無しで録った音でも簡単にあわせられるんですが。

■バウンダリーマイク audio-technica PRO42

そしてせっかくなのでXLRコネクタのバウンダリーマイクも買ってみました。単一指向性で比較的小型なaudio-technicaのPRO42というモデルです。

XLRコネクタのケーブルが直付けですが7.6mもあるので、背後の三脚のビデオカメラから落として床を這ってテーブルの奥側からまわすなどしても十分届くでしょう。

公式サイトで指向特性グラフを見ると、真正面(0°)から左右に60°ずつくらいは十分感度がありそうなので、その範囲に話者が入るようにすればよさそう。

実際にビデオカメラ(HandyCam CX670)内蔵マイクやICレコーダー(SX2000)
、Q8の内蔵マイク、PJP-10URと撮り比べてみましたが、PRO42はとても自然で綺麗な声が録れますね。低音も豊かです。SX2000といい勝負。HandyCam内蔵マイクはやはりゲインも高いけど背景ノイズが大きめ。Q8の標準X-Yマイクはステレオだけあってややエコーがかったような声になります。聞きにくいというほどではないですが。真正面に一人というX-Yマイクがあまり生きないテストだったせいもあります。PJP-10URも声としてはとても聞きやすいフィルターがかかってますが、自然さという意味ではPRO42かSX2000に軍配、という感じです。

また上の写真のようにQ8を書画カメラ的に近距離で使う場合は、標準X-Yマイクでもそこまでエコーが出ないので実用上は問題なさげ。気になるようなら真正面の被験者の音声がモノラルで録れるMSH-6に換装するかも知れません。

 

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