ユーザテストの音声収録機材について、下書きでずっと放置されてた記事を3件公開しました。これらは主に後行程で聞き返す時や書き起こし向けに良い音質で収録をするための考察でした。
しかし現場ではリアルタイムで隣室の見学者に明瞭に聞こえることもまた重要です。今回はそれについて使えそうな機材を紹介、検討してみます。
まずビデオカメラで収録をしている場合。カメラ内蔵マイクで背後から録ることはあまり推奨しないと以前の記事で触れました。ここではなにかしらの外部マイクを使ってカメラまでは綺麗な音が来ているとします。一般的なビデオカメラで録画中に音声を出力で経路は、
- HDMI端子
- ヘッドホン端子
でしょうHDMIの場合、画像と一緒に1本のケーブルで伝送できますので、観察側にHDMI入力のついたモニタを設置すれば万事解決です。ただし機種によって録画中はHDMI出力されなかったり、各種インフォメーションが消せなかったりするものもあるので注意が必要です。
ヘッドフォン端子はもちろん音声だけです。例えばインタビュー中心の実査で、マジックミラー付きルームで音だけ明瞭に中継できれば良い、という時なんかはこちらを使う手もあります。ビデオカメラではなくICレコーダーをマイクに使っても良いでしょう。
その場合、普通のミニプラグのついた音声ケーブルで引き回しても良いのですが、一般にヘッドフォン端子からの出力はレベルが低く、そのままヘッドフォンで一人が聴く分には良くても、複数人向けにスピーカーから出そうとすると別途アンプで増幅する必要が出てきます。
そんなケースで個人的にオススメなのが、TV用の手元スピーカーと言われるジャンルの商品です。
要は耳が遠くなったシニアや、夜間に家族に迷惑をかけずにひっそりテレビを視聴したい、でもヘッドフォンや嫌ずら、、という人向けの製品で、伝送方式は有線、無線(電波、赤外線)と色々ありますが、ここでは電波式のものをオススメしたいと思います。送信機を(電源と)ビデオカメラのヘッドフォン端子に接続し、スピーカー本体を観察室に持ち込めば、隣室でしたら配線不要で音を綺麗に中継することができます。製品の性質上、Bluetoothなどと違い遅延を減らすことにこだわって設計されています。σ(^^)はSONYのSRS-LSR100を購入しましたがとても聞きやすく重宝しています。また人の声をより際立たせるモードがついているのもこういう用途に向いていると思います(購入時のレビューはこちら)。普通にアンプ付きスピーカーとしても使えるので、たとえばHDMIで伝送した先がプロジェクターなのでスピーカーがショボくて聞こえない、という時なんかにも使えます。
ちょっちお値段高いなという時は余計な機能を省いた有線商品も。今年も産業技術大学院大学のユーザテスト演習で7チームの環境を同時構築する際にもこうした機材を用意したいなと思いつつも、さすがにSRS-LSR100を7台は買えません。そこで買ってみたのがこちら。
なんとまぁ900円。電源は単三x4本、ケーブルは5mです。動作時間は(音量にもよるでしょうが)約70時間のようです。背面に好きな写真をセットできるという謎の機能までついていますw。5mのケーブルは直付けですが、本体下部に収納ボックスが内蔵されているので、使わない時は割とスッキリ置いておけそうです。人の声だけを際立たせるとか凝った機能はついていませんが、とりあえずビデオカメラにヘッドフォン端子に直結でちゃんと音が出ることは確認しました。同演習は同室内でついたて越しに観察するので5mという距離はまぁギリ足りるかなという感じです(むしろハウリングが心配)。実務で別室までひく場合は延長が必要になるでしょう。でもまぁこれくらいのお値段ならポケットマネーで買えなくもないですね。