MacOSXで使えるユーザテスト記録ツールSliverback2.0

Silverback — guerrilla usability testing

いつかiSight付きMacを買ったら試してみようと思っていたユーザテストツールSilverbackを使ってみました。

このツールはMacOSX向けのユーザーテスト用スクリーンキャプチャーツールで、

  • iSight(MacBookなどの液晶画面に内蔵されているWebカメラ)で被験者の表情を撮影できる
  • クリック箇所などにマークを表示できる
  • Apple Remote(赤外線リモコン)でタスク境界やハイライトのチャプター入れができる
  • $69.95とお手ごろ価格

という特徴を持っています。Windowsでユーザテスト用画面記録ツールとしては、CamtasiaやMoraeが有名で、あれもクリック箇所に波紋を合成してくれて、「ボタンではないのにクリックした」というのが後から見て取れるよう工夫されています。この機能のためだけにフリーのキャプチャーソフトではなくCamtasiaを使っているといってもいいほど、ユーザテスト記録には重要だと思っています。Silverbackはこの機能を押さえつつ、Camtasiaの1/4程度のお手ごろ価格というのがありがたいですね。そしてiSight搭載Macなら気軽にどこでもテストができるフットワークの良さ、まさにコピー通り「ゲリラユーザビリティテスティング」というわけです。なお、かけてるのかどうか不明ですが、本ツールの売り上げの1割はゴリラ保護に使われるんだそうです。あと、どうも日本語版が存在するっぽいんですが、公式サイトからリンクもないしググっても見つけられませんでした。

ちなみに、今気づいたんですが、Camtasia for Macなんてのも出てたんですね。こちらはWindows版と違って$99で買えるみたいです。追ってこちらも試用してみます。

■MacBookAir 11’でも使えましたが、ファイルサイズェ…

Core2 Duo/1.4GH、4GBメモリのMacBook AirでもWebブラウジング程度のタスクなら普通に全画面キャプチャ+iSight撮影できました。残念ながらAirはApple Remoteに非対応なのでタスク区切りやハイライトシーンなどのチャプターを入れることができません。是非なにがしかのBluetoothデバイスで代替できるようになってほしいですね。

2010.12.15追記: RemoteBuddyというソフトで色々なデバイスをApple Remoteの代用にできました。こちらの記事をどうぞ。

出力形式は「Full」設定でmovコンテナ、コーデックはApple Animationなる形式。iSight画面を320×240で合成した状態でなんとビットレートが20MB/sもあります。2分で341MBにもなりました。単純計算で1時間10GB近くになります。デジタル放送も真っ青、Blu-rayに迫るレートです。さすがにビットレートが高いだけあって、QuickTime Playerで再生するとかなり綺麗で滑らかです。これはもっとも短時間で出力できる形式で、より小さいフォーマットに変換出力もできますが、少なくともテンポラリとしてそれくらいは領域を確保しておく必要がありそうです。保存時点では画質設定できますが、記録時にはフル画質でしか記録できない模様。プロジェクトファイルを覗いた感じ、画面キャプチャが200MB、iSightキャプチャ(320×240)が43MBありました。外付けディスク必須かも知れません(せっかくの機動性が…)。ただ思ったより変換(出力)時間はかからず、感覚的には実時間+α程度で終わってる印象。そうは言っても1時間のセッションごとに変換出力1時間かかってたら現場では使えませんが。少なくともAirでやるような作業ではないとw。。以下、2分の録画を変換してみた数値です。

画質設定

Full

High

Medium

Medium
カメラ無

Law

出力サイズ

341MB

35.9MB

25.8MB

19.5MB

8.3MB

コーデック

Apple Animation

MP4

H.264

H.264

H.264

Mediumまでは文字もしっかり読めてほとんど劣化を感じない、Lowは論外って感じです。ただし変換時間は長め。また解像度を100%、75%、50%、25%と指定もできます。50%でもかなりボケますがなんとか文字は判別できるレベルです。ちなみにMediumの50%で8MBになりました。バランス的にはMediumの75%辺りが良さげ?

Windows版Camtasiaの場合、専用コーデックでドットバイドットでもかなり低いビットレートでかつ変換時間無しで綺麗に録画できるので、この点では不利ですね。ただ、QuickTime形式だと汎用性は高そう。CamtasiaはAVIで出力した場合でも、TSCCという専用コーデックをインストールしないと再生できないのが難点です。その辺、Mac版がどうなのか別エントリで検証してみたいと思います。

ナンチャッテ・カー・シミュレーターとしてのGT5

PlayStationシリーズの定番カーレースゲームのPS3対応最新版「グランツーリスモ5」がついに発売されました。PS3だけあってとてもリアルです。

カーナビやカーオーディオのユーザーテストで疑似運転状況を作り出すためにカーレースゲームの画面をプロジェクタ等で映し出して使うことがあります。2003年にこちらのコラムでそうした用途に使える要求仕様をまとめました。今回GT5発売を記念して、改めてこの項目に照らして本作の利用可能性を検証してみましょう。各チェック項目の詳細は上記コラムをご参照下さい。

・BGMをオフにできる

できます。音楽だけでなく各種効果音の音量も細かく調整できます。

・画面上のステータス表示をオフにできる

残念ながらこれはできないようです。ラップライムやコース図などはどのモードでも基本的に常時表示されます。

・GAME OVERにならない

これは大丈夫です。練習用のモードなどで同じコースを何周でもノロノロ運転できます。

・ライバル車両がいない状態で走れる

これもほぼ大丈夫。タイムアタックモードなら単騎で走行できます。ただし2ラップ目からはゴーストカー(練習用に半透明で表示される前周回時の自車)が表示されてしまうようです。

・ステアリング&ペダル・コントローラーに対応

当然対応しています。ロジクール等何社かから対応製品が発売されています。今はGT5景気でどこも品切れのところが多いようですね。

・景観が市街地など一般道

日本のコースだと東京の国道246があります。ただし好きな交差点を曲がれるとかではなく、さりげなく看板などでブロックされていて行けるのはほぼ一本道です。信号などもありますが赤になったりはしません。

その他、都市高速っぽい道路で、夜間や雨天などのコースがあります。

・ドライバー・ビューで表示できる

可能です。しかも車種毎に実際の運転席を再現しており、メーターパネルはもちろんAピラー(フロントガラスと運転席ガラスの間の支柱)や天井を含めきっちり描かれていて結構リアルです。

■GT5ならではの特徴

・ネットワーク対戦ができる

ハード+ソフトを2台用意すればネットワーク対戦ができます。基本的にはマッチングサーバーを経由することになりますが、片方のIDでレースを開催して参加者数を2名に限定し、レース番号指定でもう一台を参加させれば無関係なプレーヤーに乱入される心配はないでしょう。ただしラップ数無限という訳にはいかないかも知れません。その辺りは実際に対戦できる環境(相手)がいないので試せてません。

例えばR246コースで前走車を用意して交差点などでいちいち停車させ、被験者には「前の車に追突しないよう追走して下さい。」な課題を出す手もあるかと。

・ワイヤレスコントローラーが使える

細かい話になりますが、PS3のコントローラーはBluetooth(無線)です。例えばコントローラーを観察室側に持ち込んでおけば各種操作を遠隔で行うことができて地味に便利そうです。

 

総評としては80点というところでしょうか。細かい情報表示をオフにできないのは残念ですが、こういうした使い方の本来の目的であるリアルさ、没入感はかなりものだと思います。

どうして今まで気付かなかったっ!~Explorerのドロップ領域

WindowsのExplorerでファイルをドラッグ・コピーする際、写真の様にコピー先にファイルがたくさんあると、その上にドロップしてしまわないように気を遣いますよね。うっかりフォルダの上に落とすとその中に入っちゃうし、.exeファイルだったりするとアプリケーションが起動してしまったり。で、いつもはちょうどファイルとファイルの間で横線が表示される瞬間を狙ったり、右端の空白部分(サイズ列)などに置いてみたりと、マウスが迷走してました。

dropzpne

が、本日つい先ほど、赤丸の部分にドロップすればこのフォルダの中に入ってくれることに気付きました!

なんで気付かなかったんだorz。確認したのはWindows7ですが、もしかしてWindows98とか95とかから平気でできてたかも、と思うと布団に潜って枕を涙で濡らしたくなります。

ウチにはXPとVistaはかろうじて残っているので、後で調べてみます。95/98/Me/2000あたりはどうなんでしょうね?

産業技術大学院大学の履修証明プログラムの説明会があります

先日今年も講師を務めさせていただくことになったとエントリを書いた、産業技術大学院大学の履修証明プログラム『人間中心デザイン』ですが、今月26日からの願書受付に先だって説明会が開かれるそうです。安藤さんのミニ講義もあるみたいなので、多少なりともご興味のある方は是非足をお運び下さい。事前申し込み不要です。

動画眼にちょこっと機能追加 MP4チャプター化支援

動画眼にちょっとした機能を追加しました。

動画眼で作成したログ(タイムスタンプ付きメモ)を、MP4コンテナの動画に埋め込めるQuickTimeチャプター形式のテキストファイルとしてエクスポートする機能です。

■チャプター付きMP4コンテナ動画を作るとどうなるか?

MP4コンテナは三洋のXactiシリーズなど動画対応デジカメやiPhone、iPadといったiOSデバイスで中心的に使われているコンテナで、この形式は動画ファイル単体で音声トラックを複数保持したり、字幕やチャプターを保持したりといったことができます。

なので、動画眼で記録したログをチャプター情報としてファイルに埋め込んでしまえば、今までのように動画ファイルとログファイルをセットにしてやりとりする必要がなくなります。また動画眼なんていうよくわからないツールを先方にインストールしてもらわなくても(笑)、より一般的な再生ツールで閲覧してもらうことができます。

具体的な動作の様子をご覧に入れます。

まずはWindowsでもMacでもLinuxでも動作し、フリーで、もっとも多くの形式に対応したプレーヤーであるVLCでの例(各画面写真はクリックで拡大)。動画眼のログ単位でツールバーの「|<」、「>|」ボタンでスキップしたり、メニューで一覧を表示してそこから選んだりして頭出しをすることができます。

VLC_Sample 

こちらはAppleのQuickTime Playerで表示した例。タイムスライダーの脇にチャプター名が表示され、そこがそのままポップアップメニューになって一覧から選ぶことができます。ただし、QuickTime Playerで開く場合は動画の拡張子を.m4vに変更してあげないとチャプターを認識してくれません。またこちらは「|<」、「>|」ボタンは機能しません。

しかし、QuickTime Playerは今時はiTunesと一緒に入るし、仮に相手の環境に入ってなかったとしても、名の知れた大手企業のツールなので頼みやすいですよね。

QTP_Sample

お次は、(まぁ、役に立つかわかりませんが)iPhoneでの例。

IMG_0525 IMG_0526

チャプターが埋め込まれた動画を再生すると、矢印の位置にボタンが出現します。これをタップすると右の画面に遷移し、一覧からチャプター名で選ぶことができます。

残念ながらiPadのファームウェア3.2.1ではスキップはできるものの一覧は表示されません。おそらく2010年秋のiOS4で対応するんじゃないかと思います。iPadならプロジェクターにも出せるし、プレゼンとかでも使えそうですね。

とまぁ、クライアントさんに動画眼で区切った映像データを渡すのに、動画眼依存から脱却しより汎用性のあるフォーマットに移行できることはメリットがあるのではないでしょうか?

■実際の手順

今回動画眼が対応したのは、ログをMP4に埋め込む為の規定の書式に変換して書き出すところまでです。実際にMP4ファイルに埋め込むところは後述の別のツールを用います。規定の書式といってもファイル形式自体はテキストファイルなので、区別するために、.chapters.txtという二重拡張子のファイル名を用います。

作成はメニュー一発。「ファイル」->「chapters.txt形式でエクスポート…」を選ぶだけです。規定では動画ファイルと同じ場所に、動画ファイル名の拡張子違いのファイルが保存されます。「hoge.mp4」を開いていた場合は「hoge.chapters.txt」となります。この拡張子違いのファイル名で同じ場所にあることがポイントなので下手に変更しないで下さい。

さて、実際にchapters.txtをmp4の中に埋め込む作業がちと面倒ですが、慣れればどうってことないと思いますので、最初だけ頑張っておつきあい下さい。

・「パソコンとはDOS時代からの付き合い。コマンドプロンプト操作はへっちゃら」という人向けの乱暴な説明

こちらからmp4v2 tools trunkというアーカイブをダウンロードし、解凍してmp4chaps.exeというアプリケーションを適当な場所に保存します。で、実行はコマンドプロンプトで、

mp4chaps.exe –i –z 動画名.mp4

とするだけです。パスは適宜補完して下さい。動画名しか指定しないので、ここで同じ場所に拡張子違いでチャプターファイルを置いておくことが活きてくるワケです。-zオプションは「最適化」だそうで無くても平気かも知れません。

・「コマンドプロントは怖い。GUIでやりたい」という人向けに簡単なツール起こしました

dgMP4Muxerというツール作ってみました。元々個人の趣味用なので作りが雑だし、インストーラーもないですが一応GUIで上記作業ができます。ただし第三者のツールを裏で使うので、それぞれを拾ってきて解凍するなどの準備が若干必要です。具体的な手順はこちらのマニュアルをご覧下さい。チャプターを埋め込む分には、Audio欄やOther欄は空のままでOKです。Video欄、Chapter欄、Output欄だけが埋まってる状態で「Go!」を押せばできあがりです(普通はVideo欄に動画ファイルをドラッグ&ドロップすれば後は勝手に埋まります)。

■もし反響があれば、、、

やろうと思えば、動画眼から直接MP4ファイルにチャプターを書き込んでしまう機能を追加することはそう難しくはないです。逆にMP4ファイルを開いた時にチャプタ
ー情報があればログに変換して読み込む、といったことも可能でしょう。もはやMP4内のチャプターを直接編集するツール、といった装いです。XactiなどMP4形式がメインの人はその方が便利かも知れませんね。

MP4(内部映像H.264 AVC、音声AAC)はYouTubeやiPhone/iPadが採用したことで、多くの変換ツールや対応ハードが出回ってきています。グラフィックボードの演算能力を利用して高速に変換するソフトもあります。画質の割に小さなファイルサイズに縮みますし、こうしたチャプターや字幕といった付加データも自由に追加できるなど汎用性も高いです。PC上での動画ファイル形式として当面の主流になってくんじゃないでしょうかね。

あと、チャプターではなく字幕として埋め込みたい、なんてのもたぶん1日仕事くらいで対応できるんじゃないかと予想してます。こちらも要望があればチャレンジするかも知れません。

■オマケ:動画眼はMP4に対応してるの?

今回のバージョンアップで、動画を選択するファイルダイアログに置いて、.mp4と.m2ts(AVCHD形式のビデオカメラが使用)を対象として追加しました。時代的にこの2つはニーズが高いだろうと。

ただし実際に開けるかどうかはお使いのPCの環境に依存します。マニュアルにも繰り返し書いていますが、動画眼の動画再生周りはWindows Media Playerコンポーネントを利用しています。Windows Media Playerで開けるものは動画眼でも開けます。そしてWindows Media Playerがどの形式を扱えるかというのは、インストールされたコーデックによるのです。バージョンにもよります。Windows7に付属のWindows Media Player 12であればもしかするといきなりMP4が開けるかも知れません。逆にXP/Vista等に付属するWMP 8~11だと、別途コーデック(DirectShowフィルタ)をダウンロードして入れる必要があるでしょう。ウチはほとんどのマシンがWindows 7になってしまってますし、後から色々なソフトを入れてるので、もはや何と何を入れれば開けます、ということを調査するのは難しい状況にあります。場合によっては既存環境に影響も与えるので、そう気軽に「これを入れればOKですよ」と保証できないって側面もあります。ただ直感的には、ffdshowあたりが有力ではないかなと。

今年も産業技術大学院大学の履修証明プログラムで講師します

ユーザビリティを学ぶ実践講座 人間中心デザイン

去年に引き続き、産業技術大学院大学の履修証明プログラム(社会人向けの専門技能取得コース的なもの)で講師をやらさせていただくことになりました。

前回はユーザテストの演習を担当させてもらったんですが、今年はインスペクション法(専門家評価など)もやりたいというご意見をいただき、少しコマ数を増やして両方扱ってみることになりました。ドキドキ。

まだ受講者数が決まらないので具体的にどんな進め方にするかは決まっていません。というかそれなりに大勢でやった方が色々とできることが増えて面白くなると思うので、ワイワイ賑やかにやれるといいなと思っています。この機会にちょっとユーザビリティやインターフェイスデザインについて体系的に勉強してみようかなという方がいらっしゃいましたら是非上記リンク先をご覧になってみて下さい。σ(^^)以外の講師陣が豪華ですよ。

同日追記:

同プログラムの中心的存在である安藤先生が本プログラムの(とりあえず)非公式ブログとTwitterアカウントを立ち上げてくださいました。購読しておくと最新情報がわかるかも知れません。

履修証明プログラム「人間中心デザイン」 産業技術大学院大学―プログラム運営者のブログ

iPadとiPhoneのSafariのボタン配置にイラっ☆!

写真はiPhoneとiPadのSafariのツールバーです。iPhoneの写真で左から、

  • ブックマークに追加
  • ブックマークを表示
  • タブ切り替え

となっています。ところが、iPadではまったく逆の順になっています。実際よく押し間違えます。タブ切り替えしようと思ってお気に入り一覧を出してしまうのです。乗り換えではなく併用なので、常にどちらも使うわけで、この一貫性の欠如にはしばらく悩まされそうです。10年前にこの記事 [使いやすさ日記] を書いて以来のフラストレーションです(怒)。

IMG_0395 IMG_0004

ちなみに、ツールバーが画面上部に引っ越したこと自体も結構使いづらいです。画面全体を縦断して(見ているコンテンツを隠して)手を伸ばさなければ届かない位置ですから。アドレス欄は画面上部というデ・ファクトは大事かも知れませんが、個人的には丸ごと下に表示する設定オプションも提供して欲しかったなと。

なぜ人はググらないのか?

先日知人から、「Word2007がファイル毎に閉じるボタンがなくて不便。なんとかならないか?」という質問をもらいました。私自身Office2007は発売日から使ってますが、あまり不便を感じていなかったので「そう言われればMDIじゃなくなったんだっけ」と思いGoogleで検索。「Word 2007 閉じるボタン」で探せばすぐに解決策を発見できました。

σ(^^)は日々こういう質問を受けることが少なくありません。そして知らなかったけど検索エンジンで調べたらすぐ答えがわかった、という案件も多いです。だったら自分で検索すれば、午前中は寝ていてロクに返信がσ(^^)なんぞに電話やメールでヘルプを求めるよりも手っ取り早いのではないか?と思うワケですが、質問メールは減るどころか増える一方な気がします。

こういった検索エンジン・リテラシーと機械音痴の関係についてしばらく色々考察をしていきたいと思い、今回は思ったことをつらつらと書きなぐってみます。以下、全く整理されていない覚書レベルのエントリなのでご勘弁下さい。

■検索エンジンを使うのは難しいのか?

(Webフォームとしての)検索エンジンの使い方は特に難しいところはないと思います。テキスト欄にキーワードを入れて「検索」ボタンを押すだけです。難しい、というかコツがいるのは

  1. 適切な検索ワードの選び方
  2. 検索結果の見方
  3. リンク先のコメンツの吟味

いったところでしょうか。

1.は実は最近の検索エンジンはかなり柔軟に対応してくれます。仮に「Word2007に閉じるボタンがない」と自然文でGoogle検索しても勝手に単語に分解(形態素解析といいます)した上で処理してくれます。実際、先の3キーワードの時の同じような結果が得られます。ANDやORといった論理式の仕組みを知らないでもほとんど不自由はないでしょう。実際、ORやNOTなんてσ(^^)でも使ったことありません。Googleで使うのは””で囲むグルーピング位でしょうか。
それでも多くの人は1ワードで検索するもの、という意識が強いかも知れません。仮面ライダーWなんかを見ている子供の方が、「複数のワードでAND検索すると結果が絞り込める」ということを自然に理解してるのかも(笑)。

2.に関してはもう少しコツがいるのは確かでしょう。σ(^^)自身が結果を読み取る時、どんなことを気にしてるか考えてみます。
まずタイトルに「教えて」とか「OKWave」とかあればFAQサイトで似たような疑問とその回答が見られると期待します。その下の概要も読みますね。マッチしたキーワードが強調表示されるので、どれくらい関連がありそうかなどが読み取れます。また緑色で表示されるURLも、例えばmicrosoftとか調べたい製品のメーカーに関係するドメインなら有益な情報が得られそうだ、といったアタリをつけるのに活用します。
こうして考えてしまうとそれなりに大変そうに見えてきますが、実際のところはどうなんでしょうね。アイカメラなどを使ってデータとってみたい気がします。

3.は確かに玉石混淆だしレイアウトもバラバラなので場合によってはこれもそれなりに労力が必要かも知れません。

■無力感が学習された上でのことか?

心理学に「学習された無力感(learned helplessness)」という言葉があります。実際にはちょっと頑張ればなんとかなってしまう事でも、過去の経験からの学習によって、「たぶん上手くいかないだろう」と諦めてしまう心理状態を指します。目の前の問題を検索エンジンで調べてみようと思わないのは、前節のような大変さを経験して諦めているからなのでしょうか?直感的にはそれ以前の人も多いんじゃないかと思います。

ここで、2chで有名なコピペを貼って見ます。

<わからない9大理由>

  1. 読まない …説明書などを読まない。読む気などさらさらない。
  2. 調べない …過去スレ、ググるなど最低限の内容も自分で調べようとしない。
  3. 試さない …めんどくさいなどの理由で実行しない。する気もない。
  4. 覚えない …人から聞いて、楽して得た答えは身に付かないから、すぐに忘れる。
  5. 説明できない …何に困っているのか、第三者に正確に伝わる文章が書けない。
  6. 理解力が足りない …理解力以前の問題で理解しようとしない。
  7. 人を利用することしか頭にない …甘え根性でその場を乗り切ろうとする。
  8. 感謝しない …教えてもらって当たり前。事がすんだらさようなら。
  9. 逆切れする …自分の思うようにならないと逆切れする。

まぁ、コピペなんで話半分に読むべきだと思いますが、いくつかはそれなりに的を射ている気がします。ではなぜそうなるのでしょう?それほど重要じゃないんでしょうか。仮にWordに閉じるボタンがなかろうが、PCがネットにつながらなくなろうが、生活全体からみたら些細な問題で後回しにできる。「エージェント」に投げておいて答えが見つかればラッキーてなものなのかも知れません。逆にσ(^^)のような「オタク」はそうしたトラブルの致命度は高いですし急を要します。質問者もさぞ困っているであろうと思って仕事を中断して調べた結果をメールしても返事がなかったり「ありがとう。今度ヒマな時にやってみます」なんて言われて肩すかしを食らったりします。重要度も緊急度も低ければ特に自分でなんとかしようとも思わないし、リテラシーも高まらない。「自分でググって解決できた!」という成功体験だって得られません。

動物は一度上手くいった方略を延々と繰り返そうとする習性を持っています。進化論的、環境学的妥当性的に言えば、いちどエサをたくさんゲットできた場所は「エサ場」として学習して再利用する方が、毎回ランダムだったり常に新しい場所を試すよりは合理的で生き残る可能性が高い訳です。こうした遺伝子レベルの習性は現代社会の問題解決でも活用されているという証拠は、心理学や認知科学の知見が明らかにしています。興味がある人は「ルーチンスの水瓶問題」等を参照してみて下さい。

つまり、検索エンジンで問題解決成功体験を持つ人は次回も検索エンジンを使おうと思うし、人に助けられた人はまた頼り続ける、という傾向はあるかも知れません。いっそパソコン教室等で、スタッフが教えないで自分で調べさせよう!という教育ポリシーを持ってみてはどうでしょうね。「じゃぁ私はなんの為にお金払ってここに来てるんだ!」とキレられること請け合いですが(
笑)、実はその行為自体がリテラシー、問題解決能力を育むという仮説は成り立つ気がします。

うーん、やっぱちょっとデータとってみたいですねぇ。リテラシーの高い人と低い人に検索エンジンを使った問題解決をさせてみて、使うワードの差やその後の方略の違いについてログをとって比較してみる。5人ずつくらいでよさそう。年度があけてヒマになったら(そしてリサーチ資金があったら)やってみようかな。

■テクノロジによる支援

常々思っていることですが、ソフトウェアのエラーメッセージダイアログに「このメッセージをGoogleで調べる」ボタンをつけたらどうなんでしょうね?使ってるOSバージョン等の周辺情報もANDで含めたりして。周りの人からσ(^^)はなんでも知ってると思われてるかも知れませんが、実際になんでも知ってるのはGoogle先生なワケです。とりあえず直接聞いてみて下さいよ、と。PC上の活動履歴を役立てようとロギングツールを研究開発している近藤さんとかに協力を仰いで、画面上のエラー表示エリアなりダイアログなりをマウスで囲うとテキスト抽出してGoogleに投げるツールとか作れないかしらとか思ったり。たぶん、PC上でテキスト抽出する方が確実なんですが、今時のWindowsならSnippingToolのような優秀な部分スクリーンショット撮影ツールが搭載されているので、ビットマップで送信するとOCRしてくれるようなASPを作った方が現実的かな?検索リテラシない人がそういう専用ツールをわざわざインストールするとも思えないし。OCRって簡単に利用できるライブラリとかあるんですかねぇ。(←あ、これからちゃんと自分でググりますんでw)