簡単にマルチ映像配信ができるATEM Miniが来た、触った!

Pocket

■ATEM Miniがやってきた

テレワーク、テレカンファレンスの増加のせいか世界的に品薄で某店では2ヶ月、別の店では「納期未定」と言われたATEM Miniが楽天のあるショップで奇跡的に在庫有りになっており、別の店で予約済みだったにも関わらず速攻で注文してしまいました。

ATEM Mini | Blackmagic Design

ATEM Mini | Blackmagic Design

47,300円(10/20 04:36時点)
Amazonの情報を掲載しています

■どんな製品?

この機器については、以前の記事でも軽く触れましたが、

おさらいすると、

  • 複数の映像&音声ソース(HDMI入力x4)や音声ソース(アナログ3.5mmジャックx2)を自在に組み合わせた映像を作成
  • 1つのHDMI及び、USB出力に同時出力可能

な装置です。

つまり前回紹介したOBS Studioのようなことをハードで安定して簡単に行える装置ということになります。

OBS Studioでは(比較的性能が良い)ノートPCを使いますが、こちらはギリ3万円台で手に入ります。ただし録画、配信の機能はないので結局PCなり録画機器は必要になります。ただ合成処理をATEM Mini側でやることで、PC側の負荷は相当軽くなるわけです。個人的にはUSBカメラ扱いでZoom/Skype/Teams会議などに直接認識させられる点が強みだと思います。OBS Studioではそれができないので。まとめるとこんな感じでしょうか。

 録画Youtube Liveなど配信サービスZoom/Skypeなどテレビ会議サービスPC負荷
OBS Studio〇(直接配信)△(画面録画か外部プラグイン使用)
ATEM mini×(HDMI録画機器、USB録画ソフトが別途必要)〇(Webカメラとして認識)〇(Webカメラとして認識)

ただやはり大きなハードボタンでソースをポンポン切り替えられる簡便さ、気持ち良さは大きいかなと思いました。特に私のようにユーザテストなどでの利用を考えていて、セッション中にモデレーターが操作することを考えるとほぼノールックでボタン1つ押せば済むというのは強みだと思います。他方OBSのアドバンテージには複数ソースを複雑に合成したレイアウトをしかも複数作って切り替えられる点かと思います。ATEM Miniは1つの映像の全画面表示が基本で、1つだけ子画面が置けるという感じです。大抵のUTではそこまで複雑なレイアウトは求められないので、安定性と切り替え操作の手軽さを重視してATEM Miniを活用していく方針でいます。

・こんな場面に

  • ユーザテストで、スマホを録る書画カメラと被験者の表情を録るカメラなど、複数の映像を合成して見せる
  • 同じくユーザテストなどで、セッション中にカメラアングルを切り替える(タスク中とインタビュー中など)
  • オンラインセミナーなどでPowerPointプレゼンテーションの上に話者映像をかぶせる

■基本操作

左下の「1」〜「4」ボタンがそのままHDMI 1番から4番に対応しているボタンです。押せば切り替わります。それぞれの上に当該ソースからの音声のON/OFFと音量上下のボタンがあります。「1」と「2」の上だけ4つずつボタンが多いですがこれはHDMI 1,2とは関係なくてアナログ音声の1と2のON/OFF、音量の操作ボタンになります。「4」の右にSTILL(あらかじめ設定した静止画を表示)とBLACK(黒画面を表示)があります。たくさんボタンがあって難しそうですが配置がわかってしまえばなんてことはないです。

右側で目立つのは「CUT」「AUTO」「FTB」です。CUTとAUTOは排他(どちらか選択)操作で、CUTは一瞬でパッと切り替わるモード。AUTOはトランジション効果(PowerPointでいうアニメーション)をつけて切り替えるモードです。「AUTO」の上の6つがトランジションのパターン、「CUT」の上がその持続時間(0.5秒、1秒、1.5秒、2秒)です。「FTB」はFade To Blackの略です。どんな映像を映していようと問答無用で徐々に映像が暗くなって消えます。いわゆるフェードアウトです。もう一度押とフェードインで復帰します。動画の最初と最後に使ったり、放送事故がおきた時に問答無用で押すボタンと憶えておきましょう(笑)。

真ん中ちょい右の6つのボタンはピクチャインピクチャ(PinP)関係です。ON/OFFとどのコーナーに映すかを選べます、原則として子画面に使う映像はHDMI 1番の映像固定です。ただし、ATEM MiniにはPC/Mac用の制御ソフト ATEM Software Controlが無料で提供されており、こちらから操作を行えばそれ以外の入力を子画面にしたり、大きさや位置なども細かく調整できます。ATEM Miniは本体のサイズやボタン数こそ絞られていますが、ソフト上の広い設定画面からなら更に多くの機能多くの機能が使える、という二段構えになっています。ボタンをあれこれ押してもできなそうでも、ソフトからならできる、ということもあるかも知れません。

最後の右上のKeyのON/OFFはそのソフトである程度の準備が必要ですが、例えばロゴなどの画像を映像に重ねたりといったことに使います。

とまぁこれで全てのボタンが一応説明できてしまいました。どうでしょう?パット見よりは「なんとか使えそう」な気がしてこないでしょうか?Blackmagic design社は放送映像業界では大手で、現場で素早くミスなく映像をコントロールするためのユーザビリティ・ノウハウが盛り込まれている感じがします。

■使ってみた

ちょうど動画を収録したい用事があって早速実践投入してみました。

アギレルゴコンサルティング株式会社の川口さんとコラボで、OBS Studio解説動画です。OBS Studioを操作する動画をATEM Miniで録りましたw。まだ設営途中の写真ですが、こんな感じでやりました。

奥のMacBook Pro 13’でOBS Studioを操作します。その画面をHDMIで出してATEM Miniへ。手前のSurface Goもパワポで目次などを出したりする用でHDMI出力をATEMへ。ATEMでスイッチ/合成した映像をUSBで左奥のDELLへ入力し、これまたOBS Studioで録画しました。

初めてでぶっつけ本番でしたがほぼ迷うことなく、また誤動作もなく機能してくれました。4つのソースボタンにはそれぞれなんの映像が来ているか横着せずに付箋などで書いて貼っておくのがミスを防ぐのに有用かなと思いました。また撮影に使った部屋は換気空調の音が非常に大きく、マイクやカメラのLC(ローカット)フィルタではほとんど消すことができず難儀しましたが、ATEM Mini側(要ATEM Software Control)で周波数別のカットを施すことでなんとか聞ける声で収録できました。単なるハイパス、ローパスで人の声より高い/低い周波数帯域をカットするだけでなく、人の声の帯域の中でもスポット的にある帯域を抑えころができ助かった感じです。ただこれらの音をイヤホンでモニタする音声モニタ出力(ヘッドフォン)端子があると良かったなとは思いました。

収録中のソース切り替えも大きなボタンでできるので、カメラ目線を外すのが一瞬で済みます。これがマウスやトラックパッドでOBS Studioのシーン一覧から選んでクリック、とかだとこうは行きません(ただOBSもシーン毎にキーボードショートカットをアサインできるので工夫次第なところはあります)。

■応用的な機能

他にも機能的にはこんなこともできます。

  • クロマキー合成でPinP時の話者の背景をくり抜く(ただしZoomなどにある画像高度な画像認識によるものではなく、グリーンバックなどを使う)
  • ロゴや透かし、画像などを重ねる
  • 音声の各トラックに各種イコライザーやフィルタをかけて聞きやすくする

など。これらは写真にあるハードパネルからではできず、別途専用ソフトを使って、USBまたはネットワー経由で制御する必要があります。ボタンとして見えてること以外にもできることが山盛りです。

クロマキー合成もちょっと試してみました。

Zoomなどは画像認識による背景マスク/合成ができますが、やはりたまに誤爆したり、境界が綺麗に抜けなかったりします。それに対し、こちらはグリーンバックを用意する必要があるものの、さすがに綺麗に抜け追従性も高いです(Zoomでもグリーンバック使用モードにするとさらに良いカンジにはなります)。壁一面のグリーンバックを用意するのは大変なので、私はハイバックチェアの背もたれのところにホームセンターで買ってきた緑色のボードをセットして顔の周りだけを緑背景になるようにしました(動画冒頭参照)。それ以外の部分は本機のマスク機能にて塗りつぶしてやればキー画面としては同じことです。カメラ映像をHDMIで入れてやるのがちと大変ですが(ウェブカメラとかではなくビデオカメラやデジカメが必要)、クオリティはアップすると思いますし、Zoom以外のテレカンツールでも使えます。

■新型ATEM Mini Pro発表

この記事を書いている間に、ATEM Mini に上位モデルのProが発表になってしまいました。価格が倍近くになるので単純に新型が良いというよりは選択肢が増えた感じですね。以下のような追加機能に魅力を感じる人はProを狙ってみてもいいんじゃないでしょうか。大きな違いは、

  1. 単体でYoutube Liveなどの配信サービスに映像送信ができるようになった
  2. USBストレージにH.264形式のMP4動画を録画できるようになった
  3. 6画面(4入力+最終出力画面+プレビュー)とレベルメーターを含むマルチビューが出力可能になった

といった辺り。4K非対応だったり映像スペックは同じ。

1.はYoutuberやゲーム配信する人にはよさげ。ユーザテストやテレカンに使う分にはあんまりという感じですね。同じようにHDMI入力信号をPCレスでYoutube Liveなどに配信するデバイスとしてはCerevoのLiveShellシリーズやLiveWedgeが有名です。機能的にはLiveWedgeが近いかもですね。価格帯も近いですが、USB出力も使えると思えばATEM Miniかなぁという気がします。

しかし2.の録画はかなり魅力的です。先の動画では結局さらにPCをつなげてOBS Studioで録画しています。だったらスイッチングもOBSでいいやんという話になりかねません。私もユーザーテスト記録用に当初、HDMIレコーダーを買う予定でしたが慌ててキャンセルしてProにするか思案中です。ただこれUSBを使うということはWebカメラ出力と同時に使えるのかどうかという懸念があります。単純にUSBハブをかませばいいという問題ではない気がしています。情報待ち。

3.については便利は便利ですが個人的には4画面(2×2)とかレイアウトにもう少し選択肢があったら嬉しかったなと思います。レベルメーターが視認できるのはいいですね。

ともあれProにしても無印にしてもATEM Miniはテストラボに設置していたような高価なスイッチャーの簡易版として非常にコンパクト、高コスパな良製品だと思います。新コロナ対策でユーザリサーチやインタビュー調査を遠隔中継しなければならないという方、是非ご相談くださいませ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)