HDMI出力にも対応したIPEVO書画カメラの上位モデルVZ-Rを導入しました

スマホ向けサイトやアプリ、モバイルデバイスのユーザテスト(UT)に欠かせない書画カメラ。台湾メーカーIPEVO社の製品をご利用の方も多いかと思います。私も2015年からから愛用しています。2019年にV4Kを購入し活用してきました。

IPEVO V4K 超高解像度 USB 書画カメラ

IPEVO V4K 超高解像度 USB 書画カメラ

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が、先日の実務で事前設営をしようとしたところなぜか映らず。USBポートを挿すと他のカメラも一斉に停止。ひどいとノートPCの内蔵キーボードまで効かなくなるという状態。そしてカメラ部分がかなり発熱していることに気付きました。これはショートなど物理的な故障の可能性が高いぞと。書画カメラはミッションクリティカルな装備なので、予備として念のため持参していた旧モデルiZiggiに交換してその場は乗り切りましたが、こちらのモデルはカメラ性能が弱く1028×768程度の解像度で15fps(コマ/秒)しか出ません。手などを素早く動かすと動画ブレが起き見辛い映像になります。非常用ならまだしもこれをメイン機とする気にはなれなかったので、大急ぎで代替機を手配することに。

ちなみにIPEVO社のサポート規定によると

  • 購入1年以内の不具合は交換対応
  • 修理はしていない

という割り切り仕様。つまり1年過ぎて壊れたら捨てるしかないということです。この辺りはELMOやEPSONといった国産メーカーと考え方が違うところでしょうか(この2社の体制は調べていませんし、価格差もあるので一概に非難をする気はありません)。

■修理できないので買い換える。どれにしよう?

選択肢として、

  1. もう一度、V4Kを買う(1.5万円)
  2. 最近出た上位モデルのV4K Proを買う(2万円)
  3. HDMI出力もついたVZ-Rを買う(3.3万円)

という感じでした。

V4K Proは先月か先々月くらいに発売されたばかりのUSBモデルでは最上位機種。V4Kとの大きな違いは、ライトがついたことと、マイクにAIノイズキャンセルがついた点。スマホ画面を撮る場合、ライトはむしろ反射して見辛くなるので不要です。IPEVO歴代モデルのマイクはク〇みたいな音質で、個人的には最初からないものとして見ていましたが、ようやくそこにテコ入れをしてきたなという感じです。マイクも個人的にはより品質の高い外付けマイクを使うのでさほど魅力を感じませんでした。よりシンプルなセッティングで済ませたい人にはいいかもですが、私の使い方だと+5,000円の価値はないなということで選外。

奮発してVZ-RにすればHDMI出力がつきます。つまりATEM MINIシリーズと組み合わせてPCレスで収録ができます。実はATEM MINIを手にした当初から書画カメラもHDMI付きがほしいなぁと思っていましたので、これはチャンスといえばチャンスです。臨時出費としては痛かったですが、これを気にVZ-Rにしてみました。

ちなみに他のラインアップとしては、USBモデルに小型軽量なDO-CAMと、HDMI & USBに加えiZiggiのようにワイヤレスにも対応した最上位機種のVZ-Xもあります。DO-CAMはマイクがないかわりに畳んだ時のサイズがかなりコンパクトそうです。出張UTには良いかも知れません(余裕ができたら予備に欲しい)。ワイヤレス機能もiZiggi以降使って折らず、やはり通信トラブルなどのリスクを考えると、UTのような固定位置での使用でわざわざ無線化するメリットはなく選外でした。

ちなみにカメラ性能は4Kモデルも含め30fps出るのはフルHDまでとなるので、実質同等と考えていいかなと思います。

IPEVO製品は国内では基本的にAmazonの公式ストアでの購入となります。プライム配送だったので本番の前日に入手することができました。

■VZ-Rレビュー

(照明の関係で明るい色味に見えますが、実際はもう少し濃い落ち着いたグリーンです)

アームを畳んだ状態

今回は既にセッテイングが固まっていたこと、同時にZoom配信をする必要があったことなどがあり、せっかくHDMI対応モデルを買ったものの引き続きUSBでの使用となりました。

USBモデルとの違いは関節数です。USBモデルは3箇所が可動するのに対し、HDMI系(VZ-R、VZ-X)は2箇所です。おそらくHDMIやワイヤレス機能を担うメイン基板が支柱部分に入っているのでしょう。そこが垂直に立ち上がり、その上端からアームが生える形です。この自由度の低さが設置性に影響しないかは懸念でしたが。実際被験者がスマホを構えた位置からの距離がとりづらく、アクリルパーティションと干渉してしまいましたが、斜めに配置してカメラ向きの回転で調整できたので実用上は問題とはなりませんでした。強いて言えば、アクリルパーティションの隙間から手を差し込んで角度を微調整するのが少しやりづらかったなという位。

アームが斜めになるように設置し、カメラだけ回転して調節すれば、奥行きが狭い場所でも使用可能

また関節部分にネジを増し締めできる機構がなさげ。今のところまったく問題ないですが、将来的に緩んできたらどうなんだろう?

操作ボタンは支柱部分のフロント側に並んでいます。USB接続の場合は専用ユーティリティやドライバ画面(OBSの場合、プロパティ画面から呼びだせます)でも操作可能。HDMIの場合はそれができないのでオートフォーカスとかでうまく録れない時なんかは少し困るかも知れません。

操作ボタン。側面にラベルが入っているので、最悪この面が見えるとブラインド操作も可能?

背面には50/60Hz切り替えスイッチがありました。これは富士川をまたいで移動しない限り触らないので、むしろソフトの設定漏れで不適切な設定になってしまうことがなくて安心かも知れません(Logicoolのカメラが少し前までOSを再起動すると60Hzに戻ってしまうバグがあって大変悩まされた経験)。

充電ポートがUSB type-Cなのも今時で歓迎。HDMI出力時はこちらから別途電源供給する必要があります。

2022.1.14追記:この機種のUSB電源ポートはちょっとクセが強いみたいです。USBケーブルをメチャメチャ選びます。特にType-C to CでMacBook Proなどに直結しようとすると通電すらしないことが多いです。USB 3.2やPDに対応したケーブルを使ってみたり、逆にUSB2.0結線のみのC-Cケーブルにしたりするも電源が入りません。より確実なのはPC/充電器側がType-AになっているA-Cなケーブルを使うことです。MacBookのようにType-CしかないPCだとわざわざUSBハブを使う必要があり、なんだかなーという感じです。付属ケーブルが一番いいんでしょうが、長さの都合などで汎用品を使いたい場合などは、必ず本番環境で通電/認識することを確認できたケーブルを用意しましょう

足の円盤部分は2本のネジで固定してあり、持ち運ぶ時にさっと外して、というわけにはいきません。箱には簡易ドライバーが付属してはいました。基本的に裸で運搬することは想定していないんでしょう。キャリングポーチ的なものも付属しませんし。ちょっと機材バッグに入れて行くには嵩張るかなという感じ。円盤自体は金属製で重みがあるので、USB系より重心は高いものの、使用時の安定感は充分です。ちょっと手が当たったくらいで倒れることはないでしょう。

底面プレートはネジ止めで頻繁に付け外しする想定ではない

とりあえず今回の2時間 x 7セッションの間、一度も不具合なく安定して使用できました。

■V4KはDYI修理も失敗…

実査出張が終わって帰宅した後、なんとかDIY修理ができないか挑戦してみました。とりあえずUSBコネクタ側の接点不良などを疑い、コネクタをちょん切って新しいコネクタをつけてみましたが、やはりUSB 4ピンのうちの両端(電源の+と-)がショートしていました。ケーブルの途中でのショートを疑い、今度はカメラに近い側で切断してみましたがケーブルは問題なし。つまりカメラ基盤内でのショートかなと。さすがにこれ以上は私の技術ではどうしようもなく断念。廃棄としました。2年、数回の使用でした…

翌日セルフパワーのUSBハブも故障して電源アダプタをつないでおくだけで異常発熱していることが発覚。まだ一ヶ月くらいしか使っていない新品に近い状態でした。ショートしたカメラのせいでハブが壊れたのか、ハブのせいでカメラが壊れたのか知る術はありません。

■これからIPEVOカメラを買う人へのオススメ

今回の故障は外部要因かV4K自体の問題かわかりません。またIPEVOのサポート体制は先に書いた通りです。そこはまぁとりあえずそういうものだと思える人向けですが、これからIPEVO書画カメラを買おうと思う人へのアドバイスというか考え方を書いてみます。

・USBかHDMIか

HDMIがあるとプロジェクターに直結して投影することができます。ただUTではさほどニーズはないのかなと思います。どちらかといえばPCについないでOBSなどのツールで録画したり、ZoomやTeamsの入力カメラとして中継したりという使い方が中心になるのではないでしょうか。USBモデルの方が安いし、基本はそちらでいいんじゃないかなと思います。

USB系では先に書いたように、ノイズキャンセル(以下NC)マイクがついたV4K Proが最上位モデルとなります。このNC性能は自分で確かめたわけではないので定かではないですが、推奨距離は30-70cmとのことで、無指向性だとしても、書画カメラの真ん前に陣取った人(被験者)の声がよいでしょうが、モデレーターの声はどうかなという気がします。だったらV4KかDO-CAMにして差額でWireless GO2のような良いマイクに投資した方が良いかなと思います(差額で買える値段じゃないですけどw)。V4KかDO-CAMでいえば差額を考えるとDO-CAMにあまりメリットはない気がします。ただ違いを考えるとV4Kはもしかすると終息していきDO-CAMとV4K Proに集約されそうな気もします。見張っていればV4Kがなくなる瞬間にバーゲンプライスになるかも?

もしくはV4K Proのマイクは被験者用と割りきって、モデレーター用に別のマイクを用意するとかはアリですね。

UTユースでHDMIが欲しくなるのは、私のようにATME MINIなどHDMI入力の録画機器、スイッチャーを組み合わせたいケースになるかと思います。専用テストラボで録画機器が別室の観察ブースにあって、そこまでケーブルを長く引き回さなければならない時もUSBでは限界があるのでHDMIを使う必要があるでしょう。ワイヤレスのVZ-Xは一見手軽なように見えて、つながらない時のトラブルシュートはむしろ知識が必要になるので、玄人向けだと思います。画質、安定性の面では有線をオススメしたいです。

使い方次第なので、「これ一択!」というのはありませんが、参考になれば幸いです。

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