ネットデイに参加してきました

 今日は横浜市内の小学校で実施されたネットデイに参加してきました。

 ネットデイとは教室にインターネットを引き込むボランティア活動のことです。教室のPC普及率が全国最低の横浜市は、小学校へのインターネット導入に保護者や地域のボランティアをベースにした導入計画を採用していて、それをサポートするNPO「NPY(ネットデイ・プロジェクトよこはま)」という団体もあります。σ(^^)が元いた研究室は最近では教育系の研究が盛んで、認知科学的アプローチやコンピューターを活用した教育実践の話には少なからず興味もあるし、推進派だったんですが、横浜市の現状を知り、「なにはともあれインフラ整備しないことには、先生や後輩達の実践研究も現場で活かしようがないじゃんっ!」ってことに。元々知人宅のインターネット導入支援やPC設定代行などが趣味とも言えるほど好きだし、スキルを役立てられるかとも思って、早速NPYに連絡を取り、とりあえず体験として今日の某小学校のネットデイへ参加させていただきました。

 元々ネットデイはアメリカ(シリコンバレーだっけ?)でお古のPCを教室に寄付して学校教育に活用してもらおう的な活動だったと記憶しているので、PCを持ち込んで設定までする、というイメージで参加してみたんですが、これが大違い。もちろんアフターネットデイと呼ばれるそういうフェーズもあるんですが、今日はその手前、教室の壁にローゼットを組み付けるまでの配線工事。体育館の床下とか校舎のフロア間の配線は別の日に済んでいて、今日の部分は比較的簡単なところではありましたが、なんと結局PCには一度も触らず、電動ドライバやケーブルキャッチャーばかり手にしていました(^^;)。小学校の校舎なんてフリーアクセスなワケもなく、天井あけてカテ5eケーブル通して成端してテスターかけてハブにつなぐ、って工程です。天井の石膏ボードを扱う時に粉塵をずいぶんかぶってしまったので、次の機会では防塵ゴーグルを持ってこうかと。イーサケーブルの成端なんて何年ぶりだろ。配線の順番なんてすっかり忘れてました。白オレンジ、オレンジ、白緑、青、白青、緑、白茶、茶だったか。うん、忘れないようにしておこう。

 面白かったのは、児童も一緒に参加ってことです。この辺りは学校によってスタンスはまちまちのようですが、今日参加したところでは保護者だけでなく児童自身も積極的にヘルメットかぶって脚立登ってって状態でした。お昼は校長先生や保護者の方が振る舞ってくれたり、ちょっとしたお祭り気分。横浜市があえてこういう形で学校のIT化を進めようとする理由が、単なるコストの問題だけではないんだなって感じですね。

 一緒にいった同研究室出身の後輩しんご君とも話してたんですが、インフラはあくまでインフラ。あとはどういう実践でそれを役立てていくかがその後のより重要な問題なわけです。普段使えない道具を扱えたりする配線作業も楽しいですが、実際の活用方法の提案などのフェーズでもお手伝いできればいいなと思います。

 早起きがとにかく苦手なσ(^^)ですが、当面横浜市では毎週のように市内のどこかの小学校でネットデイ、という状況が続くようなので、また予定が合い次第お手伝いに行きたいと思います。NPOの正会員にもなったことですし。一緒にいってみたい、という人があればお声をおかけ下さいませ。

 

P.S.

 児童の移った写真のネット掲載は色々と問題なので作業風景の写真は無しです。あしからず。

 

『古田さん、それって使いやすいですか?』第四回掲載

“使いやすさ”への取り組み / 古田さん、それって使いやすいですか? 第4回 | ricoh JAPAN

 報告が遅れましたが、株式会社リコーさんのサイトで書かせていただいているコラムの第4回が掲載されました。

 今回は、以前ヒューマン・インターフェイス学会(当時は部会)の大会HISで発表した「道具眼モード」という2つの評価視点について触れてみました。

 この話も、その後放置気味でもったいないとは思ってるんですけどね。当時の予稿集のコピーやポスター発表のポスターは使いやすさ研究所のこちら(7番目)からPDFなどでダウンロードできますので、ご興味をお持ちになった方はどうぞ。是非色々な方と議論をさせていただけたらと思います。

 とか言っているうちに第5回分の原稿締め切りが近づいてたり。うぅ、次どうしよ…

省電力周りがかなり改善されそうなWindows Vista

これでゆっくりスリープできる?–Windows Vistaの電源管理対策 [CNET Japan]
 この記事を見ると、Windows Vista(XPの次のバージョン)では省電力周り、というか「電源を切る」というユーザ・エクスペリエンスが随分向上しそうで楽しみですね。
 今まで、

  • スタンバイ…Suspend。メモリ上にデータを保持。すぐ起きるが、電気を消費している。Macはこっちのみ
  • 休止状態…Hibernation。HDD上にデータを保持。完全に電源が切れるが復帰もちょっと待たされる

という2つのスリープ状態があったのですが、「ようわからんのでそのまま(起動しっぱなし)」って人が多かったらしく、単純化することで環境問題にも寄与しようってなことみたいです。
 記事によるとデスクトップ向けにはハイブリッドなモードが提供されるらしく、HDDに待避をしつつスタンバイ状態を保持。つまりすぐに起きられる浅い眠りをしつつ、もし停電とかでメモリ上のデータがトンでもHDDから復帰可能ってワケです。これは素晴らしい。言われてみると、今までなかったのが不思議なくらいですね。 
 アプリケーションがスリープに入るのを拒否できなくなるってのも重要だと思いますね。今までは、ノートPCの液晶をバタンと閉じてカバンに放り込んでしまうと、何かの調子でスリープに入るのを拒否するアプリがいて電源入ったままになってしまったりしてました。だから完全に電源が落ちるのを見守るまでカバンにしまえなかったんですが、原則それが無くなるのだとすればとても良いことだと思います。
 Office12の目的指向UI [PC Watch]にしてもそうですが、Microsoftはユーザビリティに本当に莫大なリソースを費やしている企業だと思います。(使いやすさに関して)「MSはダメで、Macは素晴らしい」と言われていた時代が懐かしいですね。今や完全に逆転してる気がします(もちろん、Microsoft製品にもまだ改善の余地はありますし、Appleも時折独創的なUXを創出している点は見逃せませんが)。
 成果が世の中の役に立つスケールを考えても、ユーザビリティ屋が仕事をする場所として、今もっともエキサイティングな会社なのは間違いないですね。羨ましい。

これぞSNS!? mixiGraph

mixiGraph [公式サイト]

 σ(^^)は比較的mixiをゴリゴリ愛用しています。人的ネットワークを外化するというSNSのコンセプトに興味を持ち、日本語化されたSNSがなかった時代からいくつかのシステムのアカウントを取ったりして試用していました。まぁ、mixiは日本ではデ・ファクトだから使っているという感じですね。

 ただ本来のSNSとしては大きな不満点があって、

  • “友達の友達は友達”的なつながりを発見するのを支援していない
  • 所属コミュニティが似通っている同志を発見するのを支援していない

といったあたりがないと、やっぱり醍醐味に欠けると思うわけです。

 で、なんか良い外部ツールがないか探していて、mixiGraphというツールを見つけました。

mixi Graph 画面写真

 写真の通り、マイミク(直接の知人であるつながり)を辿って可視化してくれるツールです。Windows版とMacOSX版があります。これはなかなか面白いです。いじってたら「仕事の知り合いと高校の同級生に共通の知人がいる!」なんてことがわかったりしました。可視化のアルゴリズムもなかなかのもので、ある人物のアイコンをドラッグすると、そこにつながったマイミクが納豆の糸に引かれるようにぬちゃーっと(笑)移動していきます。

 惜しむらくは、自分で各人物をダブルクリックしないとその先が探索されないので、ある程度あたりをつけて自分でネットワークを展開していかなければならない点ですね。まぁ、これは完全自動でやるとなればデータ量が指数関数的に増大することになるので、アプリもサーバーもとんでもない負荷になることでしょう。実際、mixi自身がこういった機能を実装できないでいるのはそういう技術的な制約なんでしょうね。

 あとは、mixiComComのように、所属コミュニティの重複っぷりを調査してくれるような機能が追加されれば、「友達の友達にすごく趣味が合いそうな人がいるから紹介してもらおう」みたいなことができたりするんでしょうね。

 mixiの有料サービスには今のところ必要性を感じていませんが、投資の意味で一銭を投じてみようかなと思いました。

EOS Capture、イイ!

EOS Capture 画面写真

 EOS Kiss Digital Nに付属のEOS Captureというツールを使ってみました。これはカメラをUSBケーブルでPCに接続して、遠隔シャッター操作をしたりするユーティリティです。撮影した画像はカメラの内蔵メモリではなく、直接PCのHDD上に保存され、Canon製写真管理ソフトDigital Photo Professionalですぐに展開表示されます。デジカメに外付けの巨大なストレージとモニタを増設したカンジです。

 利点としては、

  • PCの大きな画面で確認ができるので、カメラ内蔵の小さな液晶画面では気付かないようなブレやピンぼけもしっかりチェックできる
  • 遠隔シャッターを使えば本体のシャッターボタンを押した揺れでブレてしまう失敗もない(普通はリモコンやセルフタイマーを使う)。
  • 現在の設定モードが右の写真のように見やすく表示されるので、本体の液晶やファインダ内の表示で確認する必要がない。

 室内でブツ撮りする時にはすごく便利です。レポート作成用にケータイの画面写真をバシバシ撮りまくる時にも使えそう。


 最近までこのツールの存在しら知らなかったんですが、意外な付加価値ですね。Windows版だけでなくMacOSX版まで提供しているところがエラい。次回以降のカメラ選びでは重要な要件になりそうです。他社がどうなのか調べてみたところ、コニカミノルタは一部機種用にフリー。ペンタックスもフリー(Win/Mac)。ニコンは別売りのようですが有料だけあってかなり多機能っぽいです。

MS、HUDでゴーストカーを映すナビ?

Engadget Japanese
 お、これは面白いですね。HUDで先導ゴーストカーを映して案内するナビだそうです。Microsoftが特許申請してるんだとか。
 ちゃんと精度が出れば直感的でヨサゲですね。σ(^^)は右と左を言葉で聞くとすぐ逆に解釈してしまうクセがあるので、ゴーストカーのウインカーが光ったりする方が間違えないかも。

“一番それっぽいの”ではなく、“それっぽい一番目の”

 株式会社イードさんのユーザビリティ・ポータルU-Siteで日本語訳が連載されてるJacob Nielsenの「AlertBox」、奥泉さんが翻訳スタッフに加わってペースがあがったのか、一気に3件も掲載されていますね。

 その中の一本、「デフォルトの力」に興味をひかれました。サーチエンジンの検索結果リストのうち、一番上をクリックする人の割合を調査した実験を紹介しています。もちろん一番上を選ぶ人が最多なんですが、この実験では裏で意図的に結果表示に手を入れていて、1番と2番が入れ替わって表示されるようにしてみたりしています。そうすると1番上をクリックする人は少し減るんだそうです(42%->34%)。概要などの内容を吟味している人がそれだけはいるよ、ということですかね。

 後半は、フォームの選択肢には最も選択される可能性が高いものをデフォルトで選択させとくべし、って主張です。通販サイトの住所記入フォームあたりなら確かにそうでしょうね。ただ、アンケートなどフォームの内容によってはちょっと危ない気はします。

 先日こんなことがありました。会社の同僚であり、一緒に道具眼活動もしているNA○KAさんと食事に行き、食後にアンケートの記入を依頼されました。で、「本日は誰と来ましたか?」みたいな設問があって、確か左から

 □会社の人  □友だち  □家族  □カップル  □(あと忘れた)

とかって順の選択肢になってました。なんの気なしに最初の「会社の人」にチェックして記入を続けていたら、彼女が「ねぇ、どれにした?」と覗き込んで来ました。そこでハタと「あ、なんか“会社の人”じゃ冷たいかな」と焦ってみたり。

 でもこういうことって常にあると思います。つまり、ユーザは与えられた選択肢をすべて吟味/比較した上で最適解を選ぶ、なんて方略は取らないってことです。以前のコラムでもユーザはそれほど誠意をもってアンケートには答えないだろうという議論を取り上げましたが、これはアンケートに限らず例えばUIメニューの項目選択などの文脈でも言えます。例えばあるアプリケーションの「ファイル」メニューの中に「保存…」と「エクスポート…」なんて項目が少し離れて存在したとします。やや特殊な形式で保存したいと思った時に、「そういう特別な形式は“エクスポート(輸出)”の方が近そうだね」って思う人はほんの一握り。大抵の人はメニュー項目を上から眺めていき、一番最初に出会った、一定値を超える“それっぽさ”を持った項目「保存…」を選びます。その後にあるもっとそれっぽい項目には気付きすらしないことが多いです。こういうのって、両方比較してちょっと考えれば論理的に正解が選べるってことが多いんですよね。でもSteve Krug曰く「ユーザの視界は猛スピードでハイウェイを疾走しながら看板を眺めるようにUIを見る」のであって、比較吟味なんて悠長なことはしてくれません。

 これはユーザテストをしていて本当によく遭遇するユーザーの行動です。こういうのはユーザビリティ・パターンとは別にユーザーの側の行動パターンあるいは行動ヒューリスティクスとかいう観点で類型化と事例蓄積をしてみたら面白そう。とりあえず、これなんかは名付けて「それっぽい一番目の」ヒューリスティクスなんてどうでしょう?(表題参照)

 というワケで、別にアナタを「友だちじゃない」とか「会社以外では付き合いが薄い人」と認識しているワケではないんです。大切な友人だと思ってます(>NA○KAさん)。しゃぶしゃぶ屋のアンケートごときが「それっぽい一番目の」方略で充分という価値付けだっただけなんです。と、こんなところでフォローしてみるチキン野郎が約一名。

ジャストシステム逆転勝訴

ジャストシステム、「一太郎/花子」訴訟で逆転勝訴 [PC Watch]

社会 一太郎差し止め取り消し ジャスト社が逆転勝訴(09/30 15:58) [Sankei Web]

 まぁ、とりあえず良かったですね(意外に審議が早かったなぁ)。

 結局、アレがアイコンかどうかという争点ではなく、そもそも松下の特許が出願時点でありふれたものであり、進歩性がないから特許として無効、つまり侵害も起こりえない、という裁定だったみたいですね。ジャスト側が海外の文献を証拠として提出したようです。

 そう聞くと、「そもそもそんなものに特許を認めるなよ>特許庁」って気もしますが、まぁ先行例が「ないことを証明」するのは「悪魔の証明」なワケで、そんなことを要求したら特許取得にかかる時間が無限に伸びてしまうワケです。とりあえず特許の審査官は先行特許くらいしか調査対象にはできないってことですね。異議申し立てや今回みたいな裁判になって始めて真面目に検討される。しかも異議を唱える側が証拠を揃えなければならない。まぁ、その方が合理的ではありますねぇ。後はもっと異議申し立て時の審査手続きが簡略化できればいいのかも知れませんね。特許にしろ意匠や商標登録にしろ、今はネットを通じた世間の目があるわけですから、「とりあえず私(審査官)には拒絶すべき要件は見つからなかったので特許として認めようと思うがどうよ?」と公示して、一定期間のうちにみんなでダメ出しをするような仕組みにはならないもんですかね?

 ちなみに、もし過去に松下の主張に従って特許料を既に支払っていた会社がいた場合、返してもらえるんでしょうかね?

 さて、松下は最高裁に上告するんでしょうかね?

 

添付ファイルの暗号化どうしてますか?

 σ(^^)はメールのセキュリティに危惧が強いほうで、S/MIMEやPGPといった暗号化メールの普及を願う一人です。ただ、これらは双方が導入していなければやりとりはできませんし、比較的一般的なメーラーで導入が容易なS/MIMEは電子証明書が有料なものが多かったりとなかなか業務でも利用できる機会は少ないです。

 ではせめて、と添付データだけはパスワードで暗号化をすることを勧めています。意外なことにMicrosoft Office自体には閲覧を制限するパスワード機能はありませんので、なにかしらのコンテナで暗号化する必要があります。最近はAES暗号も使えるzipなんかもいいんですが、セキュリティに厳しいサーバーだと.zip形式の添付がついたメールをはねるところすらでてきていますので、個人的にはPDFがオススメです。最近のAcrobatはPDFファイルに添付ファイルを埋め込む機能がついています。レポートをPDFに変換し、その元ファイル(WordやExcelファイル)を必要に応じて埋め込んで渡す、というのが多いです。相手がOffice使ってて当然とばかりにWordファイルを送りつけるのも個人的には抵抗がありますしね。で、PDF自体は暗号化機能をもっているので、添付ファイルごと暗号化してしまえば良いわけです。今のところPDF添付をはじく設定のメールサーバーというのは聞いたことがありません。

 さて、電子証明書と違ってパスワードによる暗号化の場合はそのパスワードの伝達方法が問題になります。これが漏れたら意味がありません。暗号化ファイルを添付したメールの本文に書いておくというのは論外です。と思っていたら、最近「パスワードは別途メールします」と直後にもう一通別のメールで送る、という方法を採っている人を複数見かけました。これもあんまり意味はないでしょうね。あるメールが読まれているということは、その前後のメールも読まれるという可能性は高いです。送信側のミスで間違った相手に送ってしまった場合の予防策という向きもありますが、これも連続して送る分には同じ間違いを犯してしまう可能性は高いんじゃないでしょうか?やはりできるならパスワードは電話などの別手段で伝えることが望ましいでしょうね。ただしFAXのように物理的に残るものは避けるべきでしょう。

 ただ、σ(^^)のように夜行性だとやはりメールで済ませたくもなります。比較的付き合いがあってケータイのメールアドレスがわかっている場合は、パスワードのみそちらへ送ったりします。もちろん「これがパスワードです」なんて書いてはいけません。「さきほどPCのメールへお知らせした件です」みたいな感じで単独ではなんのことかわからないようにします。ケータイ上の情報って意外とPCとは隔離されているので安全ではないかと。

 ではケータイのアドレスもわからない時は?σ(^^)は相手だけが知り得るような情報を使うようにしています。相手にもらった名刺にある情報をつかって、「電話番号の下五桁です」とかしておけば、単にメールを傍受した無関係な人には展開できないでしょう(産業スパイに狙われたりすればまた別ですが)。以前に打合せに尋ねた時に食事でもしていれば、その時出た趣味やプライベートな内容を反映させるのも有効かも知れません。

 でもこの手の方法は同一の添付ファイルを複数の担当者に一斉送信する時なんかにはやりづらかったりしますよね。

 みなさんはどうされてますか?良いアイデアがあれば是非聞かせてください。