OBSのウインドウプロジェクターを画面共有できない時の覚え書き

皆さんOBS Studio活用してますか?

私はUT(ユーザテスト)で被験者の手元、表情、製品などをマルチカメラで撮って合成した映像を記録したり見学者に配信するといったことを行います。

その際、OBSは複数映像ソースをパワポやドローツールのような感覚で自由にレイアウトした合成映像が作れるので重宝しています。

OBS StudioにはYoutube LiveやFacebook Live、RTMPなどで配信する機能も備わっていますが、UTではあまりそういう一般配信用プラットフォームを使うコンセンサスは得られず、TeamsやZoom、MeetのようなWeb会議ツールに流すことを求められます。そういった場合困るのは、これらの画面共有機能では特定のモニタやウインドウ単位でしか共有対象を指定できないという点。そのままOBSのウインドウを共有すると余計なUIが映ってしまい、肝心な映像部分の実効解像度が落ちてしまいます。

以前の記事では、外部モニタをつなぎ、OBSから「全画面プロジェクター(プレビュー)」という機能でプログラム映像を全画面表示し、それを画面共有する方法をご紹介しました。

一方ノートPCで運用する場合など、外部モニタを用意できない場合は代わりに「ウインドウプロジェクター(プレビュー)」を使って、独立のウインドウを作ることができます。しかしここで1つ問題があって長年外付けモニターを用意せざるを得ないと思っていました。何故なら、ブラウザやZoomアプリの画面共有対象ウインドウ選択画面に、このOBSのウインドウプロジェクターが出てこないのです。たぶんこれはmacOSだけだったと思います。「Macで画面共有する時、OBSのウインドウプロジェクターが選べない」という状況です。

この解消方法がようやくわかったので記事にしました。

解説は1行で済みます。ウインドウプロジェクター上で右(副ボタン)クリックをして「常に手前に表示」をオフに(チェックを外)します。

一度共有画面選択ウインドウを閉じて開き直すと、

Boom! ちゃんと選べるようになっているんじゃないでしょうか。

想像ですが常に表示に昇格したウインドウはOS的な扱いが例外的になって他アプリでオーバーレイできないということなんですかね。どのみちこういう用途では「他のウインドウが被ってもキャプチャ(配信)される映像に影響が出ない」方が好都合なので、デメリットもないと思います。このウインドウがバックグラウンドに回ってしまってもZoomなどに配信される内容は影響を受けません。

とてもニッチなトラブルだと思いますが、困っている方の参考になれば幸いです。

ZOOM F3を使ってた所感

先日「ユーザーインタビューのやさしい教科書」のイベントがあって、大阪に行って来ました。

ユーザーインタビューのやさしい教科書

ユーザーインタビューのやさしい教科書

奥泉 直子, 山崎 真湖人, 三澤 直加, 古田 一義, 伊藤 英明
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発売日: 2021/09/24
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基本的に配信は主催のHCDNetさんが引き受けてくれて自分はノータッチだったんですが、後日一部ダイジェストなら書籍のYoutubeチャンネルにアップしても良いということだったので、録画用に自前機材を持ち込みました。その時に初投入したのが前回の記事で書いたZOOMのF3です。

貸し会議室にはPA設備があり、そのミキサーからこちらのケーブルを使って音をもらいました。

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/225818/

ステレオの標準プラグまたはミニプラグからXLR x2に変換するケーブルです。他にもRCAプラグからとる事態になるかも知れないと、こちらのアダプタと懐かしの赤白オーディオケーブルも持参。

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/24906/

どちらもサウンドハウスのオリジナルブランド品でお手頃です。

イベントは契約の関係で開始30分前にしか入室できず、かなりバタバタでした。持ち込んだカメラからのHDMI信号がATEM Miniで認識できなかったり(Video Assistでは映った)、PAからの音が配信PCに入らなかったりとトラブルの連続で前半はリモート視聴者さんにもご迷惑をおかけしてしまいました。

そんな中でもこのF3で録ってた音は非常にクリアで、途中からは配信用に転用したくらいです。Windows PCにオーディオドライバも必要なくUSBケーブルでつないだだけで(配信の方の)Zoomで認識されました。ただし残念ながらF3内録音とUSB I/Fは排他らしく、録音を止めないと配信には使えませんでした。16bitや24bitでもいいので同時録音できると良かったなと思います(もしかしたら設定でできるかも?)。ともあれPAからの音を(XLRのソース設定をマイクからラインに切り替えはしましたが)デリケートなレベル調整なしでポンと録音できたのは非常に良かったなと。コンパクトで大阪までのスーツケースでさほど容量を食わなかったのも有り難かったです。バッテリーもリチウム電池で余裕でした。

昨今のUT現場ではマスク対策もあってワイヤレスマイクを使うことが多いですが、いずれピンマイクやガンマイクで録る現場があったらまた活用したいです。

■PAを録音してみて気付いたこと

通常の業務UTでは、今回のようにPA(会場の音響設備)経由で音をもらって録音するといった機会はなく、貴重な経験となったのでついでにメモを残しておきます。

まず上に書いたとおり32bit float録音ができたのは良かったです。PA側のミキサーを一切触らずにジャックにケーブルを挿すだけで音が録れました。今回は音声スタッフはおらず会場備え付けのミキサーを勝手に使え、というスタンスの会場でしたが、やはり勝手がわからないのでいじるのは気がひけるものです。

今回登壇者は自分を含めて5人おり、ワイヤレスx3、ワイヤード2を用意してもらいました。ワイヤレスはマイクスタンドにつけて卓上置き。ワイヤードはミキサーよりの2席に普通に転がしておきました。このマイクスタンドがクセモノだなと思います。我々話者もそこまでこういう場に慣れていないので、必ずしもマイクに向かって話すということを意識しきれず、スクリーンや隣の話者に顔を向けて話してしまいがち。そうすると集音範囲の狭いダイナミックマイクでは途端に声が小さくなってしまいます。後編集をしていてマイクスタンドを使っていた人達の声が大きくなったり小さくなったりを繰り返していて「あちゃー」という感じ。今後こういう機会があった時にはできればスタンドは避けたり、必ずマイクに向かってしゃべるよう話者に念押ししときたいなと。程度の差はあれピンマイクでも同じことが起きるのかなと思います。顔につけて常に口元にマイクがくるヘッドセットタイプが最強かも知れません。

あと、そうしたダイナミックマイクだけで話者の音を録ったPAの出力は、ノイズがなく聞き取りやすいものの、会場の空気感が抜け落ちた音声になってしまうので、イベントのライブ感みたいなものを出したい時は所謂”エア”のような環境音も録って軽くミックスしてあげるのが大事だなと思いました。ちょうど客席の一部においた引きアングル用のビデオカメラの内蔵マイクの音が録れていたので、今回はそれを流用しました。

実は今回F3との組み合わせでもよく挙げられるBEHRINGERのC-2というペアコンデンサマイクを買いました。2本で1万円切りの良コスパのXLRコンデンサガンマイクです。

べリンガー C-2

べリンガー C-2

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さすがにF3に2本直差しだとあまり意味ないでしょうが、付属スタンドで少し角度を開くようにして使えば良いステレオ収録にもなります。メインの音声をワイヤレスマイクを録る片割れ、このF3とC-2の組み合わせでエア兼バックアップを録って置くのも良さそうだなと思いました。

スマホアプリでレベルメーター付きで確認できたのも良かったです。登壇者席にいながらにしてこっそりチェックしたり録音の開始/停止ができるのは大きなメリットでした。(別売りBluetoothユニットが必要)。

■まとめ

小型で32bit float録音ができるZOOM F3で、レベルを気にせずまさに録音ボタンだけで綺麗な収録ができました。どんな音が出てくるかわからないPA経由の収録では大きなメリットかなと思います。

しばらく色々な活用法を模索してみたいと思います。

音割れしないレコーダーZOOM F3とマーカー機能の話

2年ほど前、凄く大きい音から小さい音まで収録できる32bit float録音に対応したZOOM F6というレコーダーを購入しました。

32bit float録音について詳細はこちらの記事をどうぞ。

F6は6入力を備えてガチめのフィールドレコーダーでしたが、今年一月に32bit float録音に対応しつつ、入力を2系統に絞り、より小型化したF3が発売されました。同社の32bit float録音対応ラインナップが、6ch入力のF6、2ch入力のF3、ピンマイク用のF2となったわけです(F2=2系統ではないのでご注意ください)。

しかしまぁこれが当初から大欠品祭りで、全く買えなかった。本来3.5万円くらいのものが5万円以上で売られてたりしました。Amazonで7月くらいに一応注文可能になってるのを見たものの納期は未定っぽかったので悩んでいたら即消えてしまい、もう一度8月に一瞬復活したので、とりあえず注文だけいれけ!と思ってポチ。それがようやく届きました。

■ZOOM F3の特徴

単にF6の入力数を減らしたモデルかと思いきや、F3にしかない機能などもあったりします。個人的に注目の機能を挙げると、

  • 32bit float録音
  • よりシンプルなオペレーション(F3のみ)
  • 音声波形表示(F3のみ)
  • Bluetooth経由で専用スマホアプリによる遠隔制御(要オプション)
  • サウンドマーカー機能
  • マーカー機能(スマホアプリからのみ、F3のみ)
  • 32bit float対応オーディオI/F機能

辺り。F6はかなり込み入った設定ができる分、小さなパネルでの操作がかなり難解でした。一方F3は32bit floatで録ることを前提としており、「何も考えずに録音ボタンを押せば音割れしないで録れる」というユーザ体験ありきで設計されている印象(F2もそうでしょうけど)。実はF6はマニアックすぎて、あえてこちらのブログではなく個人の趣味ブログの方でのレビューとしていましたが、F3はガジェットマニアではないUT/インタビュー実務家の人にも選択肢に入りうる製品だと思いこちらで紹介させていただくことにしました。

音声波形表示もありそうでなかった機能。世の中のICレコーダーは通常(なにもないか)いわゆるレベルメーターというL/R 2本のバーグラフで入力レベルを視認します。これだと瞬間瞬間の音量チェックしかできません(最大ピークが一定時間残ったりはしますが)。これに対してF3は音声編集ソフトのように横軸に時間をとった棒グラフで数秒分の履歴を見られますので、平均的な音量をチェックできます。「音割れしないんだからチェックもいらないんじゃ?」という考え方もできますが、やはり安心感が違います。またこの画面上でちょうどいい感じにズーム倍率を設定しておくと、書き出される音量のデフォルト倍率に反映されるので、編集ソフトにいれてすぐに適当なゲイン設定がなされた状態になります(もちろん32bit floatの解像度は維持されてるので後で無劣化で再変更もできます)。何本も録る時は一応のズーム倍率を現場であわせておくと、後でちょびっと楽できるというわけです。よく考えられていますね。

サウンドマーカー機能とは録音開始時に「ピー」という音を0.5秒間入れる機能です。これは録音ファイルにも出力にも入るので、例えば本機からビデオカメラやPCなどに音を引き回しておけば、後で音声だけ本機で録った32bit floatの音声に刺し替えたいという場合の位置あわせが劇的に楽になります。これまたシンプルでアナログな工夫ですが強力です。

32bit floatのオーディオI/F機能は文字通りPCなどから32bit float対応のUSBデバイスとして認識させられるということです。PremiereやAuditionなどの32bit float対応ソフトに直接録音ができるというわけです。こちらは上位モデルのF6でも対応していない機能でファームウェアVer2.0から追加されました。F6でもアップデート来るかな?と期待してましたが、やはり32bit float x 6chとなると帯域の問題もあるのか今のところ気配はないみたいです。ので、現状PCに32bit floatをダイレクトに入れられるのは本機だけなんじゃないかと思います。

・インタビュー中にインデックスが打てるマーカー機能

やはり個人的に気になるのはマーカー機能です。録音中に「ここ!」ってタイミングでボタンを押すとWAVファイルにチャプターを打てます。残念ながら本体ボタンでは実行できず、別売りのBluetoothアダプタBTA-1を本機に挿し、スマホアプリZoom F3 Controlから操作する形になります(iOS/iPadOS/Android)。

録音中に「MARK」ボタンを押すと、01、02と連番付きでWAVファイル内にチャプターが埋め込まれます。Adobe Auditionで開くとこんな感じ(赤丸部分)。

Adobe Audition 2022で開いた様子

残念ながらPremiere Proでは認識されませんでした。Audacityもダメ。

ただ個人的にはAuditionからCSVでタイムコード一覧を書き出せたので動画眼に読み込ませることはできそうなので重畳。左の「マーカー」パネルで全マーカーを選択し、「ファイル」->「書き出し」->「選択したマーカーをCSVに変換…」でこんな感じのCSVにエクスポートできました。

Name Start Duration Time Format Type Description
01 0:07.991 0:00.000 decimal Cue
02 0:30.940 0:00.000 decimal Cue
03 1:12.283 0:00.000 decimal Cue
04 1:36.552 0:00.000 decimal Cue

F3で録り、ビデオカメラやOBS Studioで録った映像と合成、書き出したCSVを動画眼に食わせれば、UT/インタビュー動画の頭出しインデックスとして簡単に利用できそう。動画眼のインポート形式にこのCSVファイルも加えたいと思います。

ちょっと気になるのは、アプリ上の「MARK」ボタン(右下)が小さい点、そして録画(停止)ボタンと近い点。MARKするつもりでうっかり録音止めてしまったら大変です。残念ながらHOLD状態にするとMARKも打てない模様。ひたすらMARKだけ打てるようボタンを大きくしたレイアウトが選べたらなーと思います。

スマホアプリZOOM F3 Controller

・電池の話

本機は単三電池x2本、またはUSB給電(5V/1A)で駆動します。F6のようにSONYのビデオカメラ用バッテリーはつきません。

電池駆動時間は外部マイクにファンタム給電するかどうかで大きくかわるようです。48KHz/32bit float録音で、

ヘッドフォン無し
ファンタム給電OFF
ヘッドフォン有り
ファンタム給電ON
アルカリ乾電池8時間2時間
ニッケル水素蓄電池8.5時間3時間
リチウム乾電池18時間7.5時間
公式仕様より

となっています。2段目のがいわゆるeneloop的な充電池です。3段目のリチウム乾電池は見た目は同じですが内部の原理が別もので軽くて長時間保ち、ちょっとお高い乾電池になります。

ヘッドフォンもファンタム(マイク)給電もなければアルカリ電池で余裕ですが、それらを使用した場合で2〜3時間となるとちょっとしたイベントでは微妙。終日電池のことを忘れたい、と思うと、単三型のリチウム乾電池を使っておくのが無難そうですね。軽いし、最近ではそこまで高くもないので。ちなみにZOOMのレコーダーは電池種別毎に細かな制御をしているのか、単に残量表示を正確に出すためかわかりませんが、設定でどの種別の乾電池を使うか選ぶようになっています。違う種類の電池に替えた場合は忘れずに設定もあわせましょう。

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もしくは室内使用ならUSB給電が無難でしょう。5V/1Aなのでかなり初期のスマホ充電器やモバイルバッテリーでも足りる計算です。端子はUSB-Cです。

■まとめ

一般的なICレコーダー並の簡単操作で、現場で細かいレベル調整をせずとも音割れ、小さすぎ問題が起きず、マーカーで後から聞き直しを効率化できるという、UT/インタビュー現場でも活躍しそうなZOOM F3を入手しました(ちなみにオンライン会議のZoomとは縁もゆかりもない音響メーカーで、何ならこちらの方が老舗です。混同する人がいて困り果てているようなのでしっかり識別してあげてください)。

強いて言えば、元々普通のICレコーダーで済ましているような現場ではXLR接続の外部マイクを運用するのはやや壁が高いかも知れません。でもまぁ感染症対策もまだまだ続く現場ではマスク、アクリルパーティション、空調、窓開けなど音声収録の阻害要因が山盛りです。録画録音品質をランクアップしたいという方はそこも含めて検討の価値はあるんじゃないでしょうか。

大阪で著書イベント「ユーザーインタビュー」のもやもやなんでも相談会を開催します!

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昨年出させていただいた「ユーザーインタビューのやさしい教科書」の連動解説動画のYoutubeチャンネルを開設し、ユーザーインタビューの実際の様子をガイド設計から実査、分析まで月イチで公開して、ちょうど1年、Vol.13をもって一旦の完結を迎えました。それを記念し、また書籍や動画へのフィードバックをもらい、今後のコンテンツ作りの参考にさせていただくべく、ハイブリッドイベントを大阪にて開催させていただく運びとなりました!

人間中心設計推進機構(HCD-Net)の大阪支部主催の有料イベントとなります。詳細はこちらのリンクをご覧ください。

https://peatix.com/event/3351751/

かっちりしたセミナーというよりはユーザーインタビューに関心がある、日々実践しているが課題を抱えているという方達との交流会のような要素が濃いですが、せっかくなので各著者もLT(小話)は準備していって話題提供できればと思っています。

大阪会場、オンラインともにまだ残席ありますので、著者に直接質問をぶつけてみたい!という方は是非御検討くださいませ。

動画眼マーカーのスマホ最適化(v1.2)

動画眼用のインデックス打ちを実査セッション中にリアルタイムで行うWebアプリ、動画眼マーカーを更新しました。

■V1.2の更新内容

スマホ用のシェアボタンを設置

これまでPCブラウザなら動画眼で直接読み込める.dggn.txtファイルに保存できましたが、スマホではそれができずやむを得ずコピーボタンでクリップボードの格納になっていました。別途なにがしかのアプリにペーストして保存や送信をする必要がありました。それがシェア(共有)ボタンになったことで、スマホにインストールしてある任意のメッセンジャーアプリ(SlackやLINE、Messengerなど)で送信できるようになり、ちょっぴり楽になると思います。私の周りの現場でも関係者Slackがあることが多く、セッション後すぐにSlackにアップできたら重宝しそうです。

iOS15 Safari向け最適化

iPhoneのEdgeでばかり検証していましたが、Safariだと要素が画面に収まらずスクロールが必要になっていたのを最適化しました。iOS15以降のSafariはアドレスバーが下側になり太さが動的にかわるので新しい調整が必要だったようです(height: 100dvhという新しい単位を使うといいらしい)。

またフォントや文字サイズをいじって視認性を向上させました。

再読込時の最新CSS適用

いわゆるキャッシュバスターを仕込み、常に最新のCSS(レイアウト設定)が読み込まれるようにしました。これはどちらかというと自分のように開発作業で繰り返し読み込む時くらいしか影響しないかもですが一応。

■動画眼マーカーのURLルール

動画眼マーカーはWebアプリなのでURLで簡単にバージョン切り替えができるようにしておきます。もし最新バージョンで不具合があれば以下のルールで古いバージョンをご利用ください。

/marker/に続けてバージョンナンバーを入れれば当該バージョン、なにも指定しなければ最新版、というルールです。

■今後のアップデート予定

本ツールのキモとなるタイムスタンプ同期をテコ入れしようと思っています。現在の手動同期(「せぇの」で合わせ)に加え、OBS StudioやATEM MINIなどのAPIからタイムコードを取得して同期する実装を考えていたんですが、もう少しシンプルに、時刻を使った方法にしてみようかなと。マーカー上では、「現在時刻 メモ 話者コード」のような形式で記録します。

録画ファイル側でどうやって正確な時刻を取得するかですが、

  • ファイルの生成時刻
  • ファイル名
  • 手動入力

辺りから選べるようにしようと思います。例えばOBS Studioの場合、デフォルトではファイル名に時分秒が入るのでそれを自動識別するようにします。(クラッシュ時のデータ保存のため)mkvで録って後からmp4に再多重化する運用の場合、mp4のファイル生成時刻は再多重化時点のものになってしまいます。運用によってファイル名かファイル生成時刻のどちらかを保全するようにします。あるいはOBSであればタイムスタンプを映像に合成しておくのも良いでしょう。これで再生開始時刻を見て手打ちできるようにしておきます。

言葉でみるとちょっと手間にも思えますが、できるだけ動画眼3側で自動化を試みるので、実査開始時に同期を気にする必要がなるメリットの方が多きかなと現時点ではイメージしています。もちろん従来の方法も残すようにします。

OBS StudioやATEM MINIの同期は同一PCや同一ネットワークで使う場合には確実、便利そうですが、自分の関わる現場だとリモートで見学している人がマーカー入力をする場合が圧倒的に多いのであまり活躍の場がないのが実情でちょっと優先順位を落とそうと思います。

リアルタイムクロックを使う場合、各PCの時計がきっちりあっていることが必須ですが、今時インターネットにつながっていればデフォルトでMicrosoftやAppleのNTPサーバーが使われてるでしょうし問題ないかなと。またリモートの場合、タイムラグが気になりますがたぶん多くの実務ではYoutube Liveなどの配信プラットフォームよりもラグが出にくいZoomやTeams、Meetといったオンライン会議サービスを使うことが多いと思うので、そう何秒もズレることは考えにくいかなと思っています。一応動画眼3インポート時にオフセット秒数を指定できるようにしてもいいかなと思っています。

なんとか夏休みの宿題ということで着手したいと思ってますが、動画眼マーカーと動画眼3の両方を更新しないとなので、ちょっとお待たせするかも知れません。

DJI Action 2で綺麗な車載動画を撮る設定(随時更新)

カーナビなど車載機器のユーザテストで、前方に走行動画を流すことがあります。Youtubeの動画を勝手に使うのもグレーだし、走行シチュエーションなどもニーズにあってないことがあるので、できるだけ自前で撮影するようにしています。

本記事ではアクションカメラのDJI Action 2を使って綺麗で臨場感のある走行動画を撮るための設定を煮詰めていきたいと思います。他にもGo Pro HERO9やiPhone 13 Pro Maxなどがありますが、追々比較もやっていければと。というか普通にiPhone 13 Pro MaxでHDRで撮ったものはメチャ綺麗で滑らかになりますけどね。

これがiPhone 13 Pro Maxでの撮影例。

まぁ普通に充分綺麗。HDRだと白トビ、黒ツブレ耐性もあるので、トンネルや高架下など明るさがダイナミックに変化する車載動画にも良いです。トンネルはもうちょい綺麗になるといいかとは思いますが。たぶん標準カメラアプリを使わずにマニュアルでISO上限を決めてやるといいんじゃないかと思います。

とまぁ、HDRで録れるこのサイズのカメラってないですし、iPhoneでいいじゃんってところですが、ストレージ的にも長時間回すのは厳しいので、できれば手軽にアクションカメラつけっぱなしで録れないかなというところなのです。

で録ってみたのがこちら。

動画中のテロップにも書きましたが、

  • LED信号がチカチカする
  • トンネル内の画質が悪い
  • 高速入り口の傾いた道路で映像が傾いてしまった
  • 白トビが酷い

といった辺りが課題かなと感じました。これらを改善する為の仮説はあるので、追々試しながら最適設定を煮詰めていきたいと思います。

■LED信号のチカチカ問題

これはLEDが肉眼では見えない速度で点滅していることに起因します。シャッター速度やフレームレートがそれと同期してしまうと信号がどれも光ってないような見た目になります。通常は東日本と西日本のAC電源の周波数に応じてるはずなので、(50Hzの)横浜では60pとかで撮ればいいかと思ったんですが、上記のありさまでした。ちなみにDJI Action 2は4K/120pでも撮れるのですが数分で熱暴走してしまうので実用性はないので除外。60pでも2〜30分で止まりますが、まぁできれば4Kで撮りたいので外部冷却とかもやっていきたいなと。

これについては4K/50pで撮ってみたところ改善しました。60pでもフリッカー低減をオンにすれば矢印信号は多少チカチカしたものの赤青黄の方は平気だったりしましたが、見比べると50p(フリッカー低減オン)が一番自然かなと感じてます。

この辺りはシャッタースピードも関わってきますがDJI Action 2はマニュアルではいじれないので、Go ProやiPhone(のマニュアル撮影アプリ)の方が対策しやすいかもです。

■横に傾いた道路の対策

これはDJI Actionの水平保持機能をオンにしていたため発生。オフにして通常の手ぶれ補正のみ(Steady)で充分そうです。

■快晴時の白トビ問題と暗所で画質が悪い問題

お日様サンサンな日に明るすぎて白い建物や車の階調がつぶれてしまう問題。Action 2 はISOの下限は100固定っぽいので、露出補正でEV -0.3など現場合わせで調整するしかなさそう。もしくはNDフィルターを取り付けるか。

ただこれらの対策で全体の明るさを落としてしまうと、暗所(トンネルなど)で画質が劣化する問題が悪化することになりかねません。昼間トンネルを通過するルートではバランスが重要。暗所ノイズはISO感度を上げすぎないのがポイントかなと。自動だと結構体感より明るく感じるくらいまで持ち上げてくれて結果として細かいノイズが乗りまくる感じ。だったら雰囲気暗くてもいいので(最悪あとで編集で持ち上げるので)、ISOの上限を制限してやるのがいいかなと。Action 2では露出オートのまま下限は100固定、上限を選択することができます。この辺りの勘所がまだつかめていません。800だと結構暗いなって感じ。3200はもうかなりノイズ出るので、1600か800かで撮り比べてみようと思っています。上記動画の首都高速7号線を通る度にサンプル撮って煮詰めます。

■DJI Action 2での車載動画設定(暫定)

  • 東日本なら4K/50p(画質を求めない場合は1080/50pの方が長時間撮れる。西日本なら60p?)
  • 手ぶれ補正はHorizonal Steadyを使わない。SteadyかRock Steady(やや画角が狭まる)。なんならOFFでもいいかも。
  • 露出オートでISO感度の上限を800〜1300にしてみる(検証中)
  • 快晴時は露出オートでEV -0.3(場合によっては-0.7)、もしくはNDフィルター?

[参考]SDカードの相性問題?

ウチで最初使っていたSAMSUNGのEVO Plus U3 128GB(赤白のヤツ) はちょっと不安定でした。何度か録画していると急に録画できなくなります(録画開始5秒位で強制停止)。またフォーマットも完了しなくなったり。最初熱停止後に起きるような気がしてたんですが、そうでない時にも発生。録画フォーマットを変えた時にも起きやすい気がしますが、ともあれ一度起きるとその後なにも録れなくなってダメージが大きいので使用を中止しました。個体不良なのかこのモデルとの相性なのかは不明です。

ともあれ結局公式推奨リストにあるSandiskのこれに買い換えてからは再現していません。大きくストレスが減りました。

本当は512GBにしたかったんですが、Action 2の仕様では256GBまでとなっているので、今回は安定性改善を重視して推奨製品にしました。

BMD Video Assist 7″ 12G HDRを実査で使ってみて

前記事で紹介したBMD Video Assist 7″ 12G HDR(以下VA7)を本番実査で使う機会があったので感想をまとめてみようと思います。

■実施概要

まずVA7をMacBook Pro(以下MBP)のHDMI出力から接続しサブモニタとして認識させます。3つのカメラ映像をMacBook Proに入れてOBSで合成、録画し、「全画面プロジェクター」でVA側に表示。VA側でもバックアップ録画しました。またMeetでの中継も行いました。

90分のユーザテストを12セッション実施しました。

■録画

まずVA7の主な役割としてバックアップ録画ですが、非常に安定して稼働してくれました。冷却ファンの音も全く気にならず。

ポイントはOBSの音声モニターをON(=OBSの録画中音声がスピーカーから鳴る状態)にし、Macの音声出力先をHDMI先のVA7にすること。そうしないとVA7側に音が来ません。VA7は画面上に常時レベルメーターが出るので音が入っているか一目でわかるし、適正音量かどうかもチェックできて便利でした。

Apple ProRESは高画質な反面、非常にファイルサイズが大きくなるコーデックなのでMacBookが対応しているからと迂闊に4K60pとかにしておくとエラいことになります。VA7の録画解像度やフレームレートはHDMI入力に応じてしまうぽいので、Mac側で1080/30pにしておくことばポイントです。VA7の上部ステータス欄に表示されるので確認できます。

VA7側での録画コーデック設定は最も低いビットレートのApple ProRES Proxyを選択。それでも90分の録画で30-40GBほどになります。全セッション合計で400GBほどでした。奮発して2TのSSD買っておいて良かった….

ストレージ残量も常にグラフで見えているので安心です。

せっかく高画質に録れてるんだからこちらをソースにして納品用動画を作ればいいかなと思いましたが、MacBook Proにコピーしておけるサイズじゃないし、毎回SSDをマウントするの面倒だし、保管にも向かないので、やはりバックアップ録画として割りきるのが良さそう。

今回、別の観察スタッフに動画眼マーカーでチャプター打ちをしてもらったんですが、そのために録画スタートタイミングを中継越しに「せぇの」で同期する必要があり、OBSは中継がつながった後で録画を開始。それだと開始直前でバタバタしてて録画始めるのを忘れるリスクがあったので、完全独立なVA7をもっと前から録画しっぱなしにしておく、という運用もしました。幸いにもOBSのスタートし忘れはなかったですが、安心感はあったし、別件で実際に忘れたこともあるので良いかなと思いました。

■モニタリング

迷ったBlackmagic Design HyperDeck Shuttle HDと違い、本機はモニター一体型なので録画映像のモニタができます。きちんと各カメラ映像が来ているか、参加者が姿勢をかえてカメラから外れてないか、などが常時確認できて重宝しました。先に書いた通り、音声もレベルメーターで確認できるので安心です。これらはOBSウインドウでも出来ますが、MacBookのメインスクリーンはたいてい進行シートやチャットウインドウなどが前面に来ていて、OBSは録画開始押したらバックグラウンドに隠れちゃうことが多いんですよね。

そして単なるサブモニタよりもいいなと思ったのはタッチ操作による拡大機能です。ダブルタップで拡大モードに入り、ピンチで好きな箇所をズームアップできます。今回3カメラの合成映像を録画していますが、これを7インチしかない本機に映すと個別の画面はかなり小さいです。実査中に見たかったのは参加者の操作の手元だけだったので、録画映像に影響せずにリアルタイムのモニタとしてだけ拡大できるのはとても助かりました。

まぁ13インチとか15インチのモバイルモニターなら拡大の必要もなかったかもですが、コンパクトに単体でまとまることとのトレードオフですね。

■中継

VA7と直接関係ないですが、今回もMeetでの中継をしました。Meetは専用アプリがなくブラウザで参加しますが、Mac版のEdge/Chromeはなぜか一部のウインドウを画面共有対象として認識してくれないことが多く、OBSから全画面プロジェクタで映しているVA7をモニタ単位で選択することで凌ぎました。

ただ一般に画面共有は解像度が高い代わりにフレームレートが低いので動きがカクカクします。動きを重視する場合はOBSの仮想カメラ機能をONにして参加者カメラ映像として送ったりもしました。Zoomだとカメラ画像の解像度が低いこともあったりで、画面共有で送るかカメラに映すかはケースバイケースで選択という感じです。今回はカクカクが気になると言われてカメラ映像を使っていたんですが、途中でその映像が急に画質悪くなったというチャットがとんできて急遽画面共有も開始することになったりしました。VA7がサブモニタになっていることで素早くスイッチできて良かったなと思います。(帯域的には両方送ったらかえって共倒れにならないかなと思ったんですが、見学者から「綺麗になった!」と返信が来たので良しとしました)

2023.4.7追記:影響範囲は調べ切れていませんが、ブラウザから使用する一部のオンライン会議サービスで、画面全体を画面共有すると遅延がひどくなる現象がありました。OBSで全画面プロジェクターのかわりにウインドウプロジェクターを開いてサブモニタに配置し、それをブラウザから画面共有する形にしたらだいぶほぼ違和感なくなりました。M1MaxのMacで執筆時点の最新版OBSです。Video Assist 7″の問題ではないでしょうが、この記事のセッティングで配信をする人の参考に書いておきます。

ちなみにウインドウプロジェクターをブラウザの共有画面対象ウインドウ選択UIで選べない場合の対処方法はこちらの記事へ。

■まとめ

やはり画質、ビットレート的にはオーバースペックすぎますが大きなストレージをつけてそれだけ飲み込んでしまえば、トータルの利便性、安心感は満足の行くものでした。ストレージも90分12本で500GB行かないことがわかったので、SSDではなく安価で本体内に収まる512GBのSDカード運用でもいいかもと思いました。

完全オーバースペック!! 録画対応小型モニター、BMD Video Assist 7″ 12G HDRを導入

現状の課題

普段UTやインタビューの実査業務で録画/中継をする際、ミスや破損に備えて二重で録画するよう心がけています。ちなみにZoomやTeams、Meetなどで中継することが多いですがクライアント(発注元)のライセンスで使うことが多く、クラウド録画機能は容量や個人情報管理の観点で使えないことが多いです。後者は例えば参加者の顔が映った映像をクライアントが保持するのがNGで、後日ボカシをかけて納品するような場合、一時的にもクライアントがアクセスできるストレージにデータを保存できない、みたいな事情です。そんなこんなで手元での録画を多重化することが多いです。具体的には、ATEM MINI Extreme ISOでマルチカメラの映像を合成したPGMを作り、ATEM自身で作りつつ、中継用PCに入れてOBSで録画&Web会議サービスに中継、という感じです。

で、OBSのPGM映像(合成後の出力)を配信に載せる場合、映像だけが出ているウインドウが欲しくなるのですが、なぜかMac版OBSで作ったプレビューウインドウがMeet(ブラウザ)の共有画面選択一覧に出てこない問題があったりします。そこで自分はサブモニター全体にPGBを映す「全画面プロジェクター」を使用します。

が、ここに罠があって外付けの小型モニターの電源がなんらかの理由で落ちるなどして外付けモニターをロストするとOBS自体がクラッシュしてしまうのです。そうはならんやろ、と思うかもですがUSB-C電源で動いているモバイルモニターだとわりとちょっとコネクタに力がかかったくらいで瞬断することがあったりして、コネクター周りをパーマセルテープでガチガチに固定するなどしています。

ちなみにWindows版OBSだとこの辺りどうなのか検証できてないですが、たぶん全画面プロジェクターでなくウインドウプロジェクターでもたぶんブラウザの共有画面として使えたと思います。

てことで長い前フリですが、「安定した外部モニターが欲しい」が課題の1つ目。

もうひとつは小型の録画機が欲しいというもの。3つ以上のカメラソースを合成する場合、ATEM MINI Extremeに処理を投げられるのはPCの負荷軽減もでき安心感があります。一方、そこまで複雑な合成が必要ない場合や、車で行けない現場の場合、Extremeを持っていかずにPC+OBSで済ませたいなということもあります。実際来月そういう案件があるのでこの時期に動いたというのもあります。ということで、ATEM MINI Extreme ISOをもってくほどでもない軽合成案件でも、OBSとは別に録画系統を確立したい、というのが2つ目の課題というか目標です。

ということで今回の要求使用は

  • HDMI入力された映像をSDカードやSSDなどのシリコン媒体に保存できる
  • 現場にもってく負担にならないよう、なるべく小型で配線なども簡略化できると良い
  • 業務グレードの信頼性
  • 1案件まるごと(90分x12セッションくらい)を単一のメディアに不安なく収録できるビットレート、コーデックが理想

みたいな感じで探しました。画質はFHD/30pくらいで充分ですが、4Kとかも使えるとホビーでも流用できるかもなぁ、くらいで。あくまで前線にATEMやOBSがいてのバックアップ用なのでマイクが直接つくか、などはさほど優先度は高くない感じ。

■なるべく小型で長時間録画ができ信頼できる録画機を求めて

まず1万円前後で買える安い「PC不要」を謳う録画機は端から除外です。

こういうのは2GBとかでファイルが分割されるものばかりで、ファイルの扱いがめんどくさくなるからです。小さいのでバックアップ録画用としては悪くないのですが、このクラスの新製品をみつけてはメーカーサイトにいって説明書をチェックすると、たいていどこかにちっちゃく「2GB毎に分割されます」って書いてあります。大抵はH.264でビットレートもそれほど高くないので、割と長く録っても2GBにいかないとかはあるかもですが、、

そして挙がったメンバーがここら辺。業務製品なのでややお高いですが信頼性も担保されるだろうと。

・HyperDeck Shuttle HD

Blackmagic Design HyperDeck Shuttle HD (HYPERD/PTSHD)

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81,312円(12/23 03:25時点)
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フルHDの再生と録画ができ、シャトルで頭出しがしやすい点が特徴。駆使するとUTの回顧法とかでも使えて面白いかなーと思ってかなり悩みました。小型でATEM MINIシリーズと並べて置きやすい形状もGood。お値段も手頃です。保存はSDカードかUSB SSD。

一度ほぼ決めかけたんですが、「どうせならモニターと一体化してれば10インチモバイルモニターもってかなくて良くなるんじゃね?」と閃いてからモニター搭載機にぐぐっと傾いて、今回は見送りました。でもいずれ欲しいかも知れない。

・HyperDeck Studio HD Plus

同じくHyperDeckシリーズの録画HD、再生4K機。この下のminiだとHDMI入力がないので自動除外。4K再生もできるので提示刺激映像(クルマ案件で走行映像とか)を高画質で映せるのが魅力だなと思ったんですが、ちょっと持ち出すにはサイズが大きいなということで断念。一応ちっさいながら液晶モニターとスピーカーもあるので画角などは確認はできるんですが、ピントがあってるかとかまでは厳しい。

ちなみにちょっとした動画を見せるだけならPCでもできるんですが、こういう機器だと再生制御UIとかを一切画面に映さずに済むので運転シミュレーターなどで使うには没入感を出しやすいというメリットがあります。ATEM MINIと組み合わせてソースにするとATEMのスイッチャーで選択したら再生が始まる、みたいな連動ができるのもHyperDeckシリーズの良いところです。ATEM以外からもネットワーク経由で再生制御ができるので、アプリでリモート制御したり、スクリプト書いて自動化したりもしやすい。

・Video Assistシリーズ

Video AssistとNINJA Vは録画もできるモニターとして双璧というか、他に選択肢がないくらいメジャーです。ただしガチプロすぎてコーデックもプロくてビットレートが高いProResとかBlackmagic RAWとかになってしまうのが難点。SDやSSDのコストが高くついてしまいます。

Video Assistは5インチと7インチ、FHDと4Kで4製品あります。今が10インチでモニタリングしてるので、5インチはさすがに厳しいかなと思います。合焦箇所を色付けして可視化する機能(ピーキング)などはあるとはいえ。あと7インチだとSDスロットがデュアルになり(溢れたらもう片方で録る)、ミニXDRで高音質マイクを直結できるといった違いも。

H.264/265といった圧縮率の高いコーデックが使えないので、先に書いた十数時間分の映像をメディア交換なしで録るのが難しい(大きくて高いSDやSSDが必要)のが最大の難点。

・NINJA Vシリーズ

ATOMOS(アトモス) NINJA V ATOMNJAV01 ATOMNJAV01 ブラック

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118,800円(12/23 03:25時点)
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こちらは5.2インチ。19インチとか大きいモデルもありますが2,30万するのでさすがに除外。4Kモデルと8Kモデル(V+)があり、拡張モジュールで機能を足せるのもガジェット好きとしてはたまらない。ちょうど悩んでた時にネットワーク経由でプロキシ映像(編集作業用の低画質映像)をframe.io(クラウド編集サービス)にリアルタイム送信するモジュールが発表され、その記念としてアメリカで$399になったのでかなり悩みました。日本で18万くらいするV+でも$599です。無印VはH.265ライセンスを$99で買う必要があるので、V+との差が$100。日本代理店で同じセールが来るかもわからず、米Amazonでカートにいれるところまでいきました。

こちらのメリットは背面にSATA SSDが装着できる点。Video AssistはUSB-Cで外付けなのでケーブルがややゴチャつきます。そのかわりあちらにはSDカードがあるので大容量SDが買えるなら補えます(NINJAはSDスロットなし)。

ただいまいち踏み切れなかったのはH.265収録がイマイチ不安定という指摘と、ファン音がVideo Assistよりも大きいというレビュー。UTで無言で操作してもらってる時のファン音は意外と気になります(マイクが拾うと後処理もしたくなる)。ATEMを冷やす外付けファンとかも使用を躊躇うことがあるので、やはり音は静かなのにこしたことはない。H.265収録は後付けの機能でもあり、低画質ファイルを編集ソフト上でランダムシークすると真っ黒になることがある、と公式でもアナウンスしてたりして、せっかく容量小さくでも扱いにリスクやフラストレーションが伴うのはイヤだな、という印象。

■Blackmagic design Video Assist 7 12Gに決めた!

ということを延々と悩み抜いて、

  • 老眼来てる目は大きな画面が良い、ピント来てるかチェックしたり、クライアントにちょい見せするにも大きいは正義!
  • ProResで一番画質が低い ProRes Proxyで512GBストレージならどうにか要求仕様の収録はできそう。最悪1TBのSDかSSDを買う。
  • FHDで足りるけど、いつかBlackmagic RAW出力に対応したカメラを買ったりしたら試してみたいので12G

としました。

正直FHDでのバックアップ録画には過分なスペックですが、そもそもの「画面付きレコーダー」に選択肢がほとんどないので致し方なし。けっこうずっしり重いですが、Hyperdeck Shuttle HD + 10インチモバイルモニターを持ち歩くことを思えば似たり寄ったりで配線も簡略化できるのでいいかなと。できればSDカード運用で外付け機器は最低限にしたいところ。また上下に3つずつ三脚穴があるので、ケージをつけなくてもSSDやマイクレシーバーを固定できてよさげ。卓上三脚ともどもヨサゲなのを物色していきたいと思います。

■ファーストインプレッション

・外観

実使用想定イメージ

USB-Cポートが下部にあるので、外部SSDを使う場合は三脚などで本体を浮かせる必要があります。傾斜もあった方が見やすいし、卓上で使うならミニ三脚はマストでしょう。SSDなどの付属物を入れると1kg位になるので、三脚も割としっかりしたものが安心です。手近にあったSONYのシューティンググリップをつけてみたところかなりしっくり来ました。つなぐ先がαなどSONY製対応カメラの場合、グリップのリモコンでカメラ側のズームや録画開始停止ができるのもアリかも知れません。

右側面

右サイドは電源ボタン。ヘッドフォンジャック、SDカードスロットx2、電源ポートなどが並びます。7インチモデルはSDカードスロットが2つあることで容量溢れた時に別スロットに継続録画してくれるので安心感。電源コネクタはがっちりネジ止めするタイプなので多少面倒ですが収録中にうっかり抜ける心配もなく、これぞ業務用という感じです。

左側面

逆サイドにはミニXLR、SDI入出力、HDMI入出力が並びます。SDIは当面利用する機会はなさそう。HDMIよりもケーブルが長くなっても安定するのですが出力機器(カメラ)をもっていないので、コンバーターをかましてまで使うような遠距離設営の現場機械があるかどうか。HDMIのINだけでなくOUTもあるのが地味に重宝しそう。さらに大きなモニターにつなぐとか。ミニXLRは高音質収録に良いですが、最近はDJI MicやWireless GO2といったワイヤレスマイクを使うことが多いのでこれもまだ活用の場面は訪れなそう。いつか感染対策とか不要になってバウンダリーマイクで収録できるようになったら、ですかね。

・使用感

起動が瞬時で、全体的な動作もサクサク。BlackmagicOS製品ですがメニュー構成もシンプルで見ればわかる直感的操作で良い。画面が大きいのでボタンも指で普通に押せるのがスマホやタブレット感覚で、ダイヤルやジョイスティックでちまちま操作するミラーレスカメラのUIとは違うところ。BMPCC欲しまる。頻繁に切り替えそうな項目は画面上にショートカットが設けてあり、練り込まれている感じ。自分でカスタムできるとなお良いですが、多分できなそう。

電源はネジ締めロック付きで不用意に外れたりしなそうな安心感。さりとてATEM MINIシリーズと違って電源ボタンもあるのは良い。現場は日を跨いで設営しっぱなしということも多いので、毎回ケーブルを外すのは地味に面倒なんですよね。

重量はバッテリーをつけなければそれほどズッシリ感はないです。基本屋内使用なのでとりあえずバッテリーは手配せず。SONYのビデオカメラ用バッテリーが2つセットできますが(なぜかこの界隈でSONYバッテリーがデファクトみたいな扱い)、買うとしてもさすがに純正でなくてもいいかな?あんまり怪しいのもなんですが。

5インチモデルだと三脚穴とUSB-Cポートが違すぎるとよく指摘されてますが、7インチモデルならその心配もなさそう。そもそも底面なのはどうかと思いますが。なんらか三脚やリグに組み込むの前提みたいな作りです。

録画データに影響なくタッチでズームできるのが良い。PinPの子画面でピントが合ってるか調べたい時、ソースを切り替えなくてもサクッと拡大して(録画データに影響与えず)確認できます。リアルFHD液晶なのでFHD収録ではそこまで必要ではないかもですが、4Kで撮る時なんかは重宝しそうです。

・タッチ操作によるズーム

画面の映像部分をダブルタップすると2倍のズームモードになります。そこからさらにピンチで拡大も可能。ピントがあってるか不安な時に重宝します。しかも録画に影響しないし、カメラに触れてブレが発生してしまう心配もない。これは普通の外部モニターでは適わないメリットかなと思います。

・ストレージ周り

SanDiskの256GBの入れてVideo Assist側でexFATに初期化直後で、

  • ProRes Proxyで713分
  • ProRes LTで325分
  • DNxHR LB MFXで716分
  • 同SQ MXFで210分
  • Blackmagic RAW固定品質 Q5で507分
  • 同Q0で131分
  • 同 固定ビットレートの12:1で507分
  • 同 3:1で131分

という予測収録可能時間表示に。品質固定は映像の動きや細かさで大きく違うので、参考値として固定ビットレートの12:1や3:1の場合の数値を出してるっぽいですね。まぁいずれにせよBM RAWは対応カメラがないと使えないので当分宝の持ち腐れです。DNxHRはあまり使ったことがないですがProResに比べてアドバンテージがなさそう?当面はProRes Proxyかな。実際に録ってみないとですが、713分だと90分x12セッションは録れない。512GBのSDを買えば足りそう。ProRes LTだとそれでも足りない。

512GBや1TBのSDカードはV30の並行輸入品は結構安いですが、Blackmagic design社の動作検証済みモデルリストに載ってないものは業務で使うのはちょっと不安。買うならコレかな?と。

これでも最もビットレートの高い収録は無理。そもそもUHS-IIの大容量モデルってまだ存在してないぽいですね。FHDでProResの比較的低ビットレート収録専用なら外付けデバイスなしでたっぷり録れるこれか512GBがいいかな。

でも今回はコスパとそろそろ入手困難になるかもという恐怖心で、同じ値段出すならと外付けSSDの2TBモデルを買ってしまいました。(リンク先は1TB)。AmazonではSAMSUNGの正規代理店のものは2TB在庫なし。海外配送のものは不安だったので避け、Joshinに残っていたのをゲット。3万ちょうどくらいだったので、SDカードメディア単価は半額程度です。

さすがに2TBあると、残収録時間表示が

ProRes Proxyで5576分
ProRes LTで2546分
ProRes 422で1785分
ProRes HQで1196分

となって、LTや422の使用も視野に入ってきそう(90分x12本として余裕みて1200分くらいほしい)。実際には映像の動きなどで圧縮量がかわるので実際に録ってみないとなんともですが、UTやインタビューは動きはさほど激しくないので、大幅に上回ることはないんじゃないかと。

T5は2017年発売の500MB/sモデルで、すでに1050MB/sのT7シリーズに置き換わりが進んでます。T7の方が安いことすらあります。ただATEM MiniといいVideo AssistといいなぜかT7は動作確認リストに載ってないばかりか、海外のコミュニティでも「T7はアカンかった、認識しない」みたいな書き込みが目立ちます。ウチではATEM Mini Extreme ISOで短時間のISO収録まで試して一応T7 Touchで録れてた気がして、T5とT7 Touchをローテしてますが、そういえば録画中に停止ボタンをおしてもランプが消えず、結局電源ブチ抜いて録画をロストしてことが何回あって、あれT7のことだったかなぁという感じ。

BMD社がT7についてなんらかアップデートを出してくれない限り、終息モデルのT5が争奪戦になっていきそう。

他社製品もリストにあるんですが日本であまり馴染みのないメーカーやモデルだったり。あとSAMSUNG T5/T7はSmallRigのクランプが色々あっていいんですよね。2245を使ってマウントしています。

下部の三脚穴にSmallRigのクランプでSSDを固定した例

試しにMacBook ProのHDMI出力をつなぎ、1080/30pのProRes Proxyで2時間ほど録画してみましたが、R170MB/s、W90MB/sのSanDisk Extreme Pro(256GB)でも止まること無く録画できました。ファイルサイズは50GBほど。デカいはデカいですが、どのみちこのまま納品することはほぼなく、簡単なカット編集や顔ボカシ入れ、音声ノイズ除去など加工してトランスコードしてから渡すことがほとんどなので個人的にはストレージに入りすれば良し。むしろPremiere Proに食わせた時の動作の軽さに驚きました。動画編集性能が売りのM1 Max MacBook Proを買ったものの、いまいち快適に編集できずにフラストレーションでしたが、Pro Resだとサクサクです。H.264だと1ファイルのシークくらいなら問題ないですが、複数の動画をPinP合成したり早回し効果を入れたりすると途端に重くなりがち。まだ4Kでは試してないですがFHD 2ストリームで10倍速のシークエンスを作ってみた限りではシークもサクサクでした。これはもうH.264/5ソース運用には戻れないかも…もうこっちがメイン?

ストレージで悩ましい点としては、SDカード/SSDのファイルシステムにexFATとHFS+が選べる点。当然Mac/Windows混在運用ではexFATがいいと思ってたんですが、ジャーナリングシステムのあるHFS+だと万一ディスク障害が出た時に復旧可能性が高まるっぽいんですよね。悩ましいですがやはりWindowsで扱えないのは困るのでexFATかな…

■キャリングケース探し

大きな液晶画面がついた機器なので運搬時はしっかりと保護できるものを物色しました。とはいえ、さらに大きな機材ケースに入れていくのであまり容積が増してしまうのもなんなので、ハードケースは除外。本機は19cm x 13cm 4cm程度なのでヨサゲに思って買ってみたものがこちらの2つ。

かなりいい感じにACアダプタ、SSD、HDMIケーブルまで収まったんですが、SmallRigのSSDクランプつけたままでは閉じられませんでした。SmallRigつけない人にはかなりオススメできます。下側は仕切りを好きな位置に移動できるのでピッタリの位置で固定できます。上蓋は厚みがあるのでACアダプタなどをメッシュ側に入れれば問題なく閉じられます。

通常はHDMIケーブルは色々な長さを別で用意していく感じなので、かわりに取り外したクランプと六角レンチを入れておくのもアリですね。

ちなみにSmallRig製品全般で使う太さの六角レンチを網羅したこちらが便利です。

もうひとつはこちら。

ポイントは上下二段構造になっている点。

下段に本体がギリギリ収納。またもSmallRigクランプが微妙ですが、ソフトケースなので多少変形しつつもファスナーは閉じられました。空きの部分にHDMIケーブルをいれてクッション代わりに。
上段に付属品

で、上段側にACアダプタ、SSD、USBケーブルを。これもかなり微妙ですが一応ファスナーは閉まります。上段のマチ(厚み)が思ったほどなく、ACアダプタはちょっとこんもりしちゃう感じ。

2022.7.1追記:最終的にこれに落ち着きそうです。ACアダプタやミニ三脚、ケーブル類まできっちり収まる感じ。ソフトケースなので保護力はさほどではないですが、大型ハードケースに入れるバッグインバッグとしてはピッタリなサイズ感でした。フタが半透明なのもいいかと思いましたが、取り外し式のポケット付きボードが上に収まるのでVideoAssistは見えない感じです(見えるようにVideoAssistを上にすると、さすがに保護力が不安)。

■まとめ

一般的なユーザテストやインタビューには明らかにオーバースペックでかなり趣味が入った選択をしてしまいました。しかし、

  • 出張実査に持っていける小型、高信頼性録画デバイス
  • タッチ(ピンチ、スワイプ)で任意箇所のズームできピントなどの確認が手早くできる
  • 後編集が快適なProResで録画可能
  • いざとなれば4Kで撮ったりバッテリー駆動で使えたり汎用性が高い

という観点で満足度は高いです。頑張って元取ってこうと思います。

Web会議サービスより高画質にオンラインインタビュー収録ができるRiverside.fm

2021年に刊行した「ユーザーインタビューのやさしい教科書」ではYoutubeでインタビューの実例をみられるチャンネルを公開しています。

ユーザーインタビューのやさしい教科書

ユーザーインタビューのやさしい教科書

奥泉 直子, 山崎 真湖人, 三澤 直加, 古田 一義, 伊藤 英明
2,465円(12/23 09:59時点)
発売日: 2021/09/24
Amazonの情報を掲載しています

だいたい月一本ペースで更新していますので是非チャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて、著者陣で定期的に集まって収録もするわけですが、時節柄、またそれぞれが忙しく夜の集まりになる都合などもあり、オンライン収録が多いです。最初のころはZoomやTeamsで集まり、OBS Studioで録画をしていました。特にTeamsはNDIという規格を使って1人1人の映像ストリームを取り出すことができるので、あとでビデオ編集時にレイアウトを自由に変えられて重宝します。Zoomはサービス側で勝手に並びやサイズが決められてしまい、特に画面共有した時に使い勝手が悪かったです。

TeamsとNDIを使った方法はこちらに詳しく書いています。

■参加者のネットワーク帯域に依存せず高画質/音質収録ができるRiverside.fm

ということでZoomよりはTeamsの方がインタビューや対談、パネルディスカッションを収録するには都合がよかったんですがいくつか難点もありました。

  • 参加者のネットワーク送信(上り)帯域に応じて送出画質が自動調整されてしまう
  • Teamsのテナント管理者権限でNDIを有効化する必要がある
  • 音声が独立ストリームで取り出せない
  • OBS Studioでの録画も含め設定がややこしい

1つ目の画質や解像度が変わってしまうことは、リアルタイムの会議を円滑にする上では非常に重要ですが、収録して編集素材として使うには困りものです。解像度も頻繁に変化してしまうので編集素材としても扱いづらい。

会社のTeamsだとNDIの利用許可設定をしてもらうのも一苦労だったりするでしょう。

また何故か音声は独立では取り出せず、誰か1人の音が小さいなんて時に後で編集ができません。

そんな不満点をまるっと解決できるクラウドサービスを発見しました。それがRiverside.fmです。

(上記リンクからアフェリエイト収入を得る場合があります)

URLで招待してブラウザ(スマホではアプリ)から参加できるWeb会議ができるサービスです。もちろん画面共有やチャットなど一般的な機能は備えています。大きな特長として、ホストが録画ボタンを押すと各自のPC上で各自の映像と音声が録画され、終了後にアップロードされる、という点があります。リアルタイムのカメラ映像、マイク音声はZoomやTeamsと同じくネットワーク帯域に応じて品質が落とされますが、同時に綺麗な録画が残るという点がポイントです。そしてこれらは自動的に行われるので、ホスト以外は普通のZoomやTeamsを利用するのと変わりません。ただ会議終了後にアップロードが終わったと出るまではブラウザを閉じずにネットにつないでおいてね、と伝えるだけです。ホスト/ビデオ編集者は後から個別の高品質ファイルをダウンロードしてビデオ編集ソフトに素材としてつっこめば良いということになります。個別のストリームなので、後で「この人だけカメラから距離あって顔が小さいので拡大しとこう」とか「この人は声が小さいから少しゲイン上げよう」みたいなことが自在にできます。画面共有も独立した動画ファイルとして残りますし、音声だけのファイルをダウンロードすることもできます。

UTやインタビューの記録でそこまで手間暇をかけることはあまりないですが、きちんとした動画コンテンツを作るような場合では涙が出るほど有り難いです。

無料サービスではありませんが、価格に見合う価値はあると思います。

・細かい仕様と使用感

ということで最近の「ユーザーインタビューのやさしい教科書」動画の収録は専らこれを活用しています。使ってみて気付いた点とコメントをまとめておきます。

録画される解像度は最大で4Kまで指定可能。上限を指定する形です。例えば4K設定にしてあったとしても参加者のWebカメラが720pであれば720pで録画されます。無駄に高画質にすると参加者のPCやネットワークの負荷が大きくなるので注意が必要です。実際参加者の中に上りのネットワーク帯域が細い人がいて、その人だけ終了後のアップロードが延々終わらない、ということがままあります。普通に光回線だとリアルタイムでアップロードも進んでいるので、会議を終了した時点で95%くらいはアップできていることが多く、見ている間に完了してしまいます。結局のところリアルタイムであれ事後であれ参加者側から高画質な動画をアップロードすることには変わりないので、事前に相手のネットワーク環境や通信量制限の有無などを確認し、了承を得ることが重要でしょう。

音声も48kHzが指定できるなど音楽用途などにも使えそうです。

β実装として録画中にマーカーボタンでチャプターを打つことができます。ただ現状でこれの取り出し方がよくわからず。そのうちサポートに質問投げてみようと思います。

Web会議サービスとしてはさすがにZoomやTeams、Meetなどに比べるとやや劣ります。例えばバーチャル背景とかホワイトボードなどは現時点ではないので注意が必要です。音声ノイズキャンセルはあるようです。使い比べてないので品質は不明ですが、最近はブラウザのAPIが備えてるのを有効化してるだけという可能性も。

URLは繰り返し使えるのが良いです。ダッシュボードで「Studio」という単位を作り、その単位でURLが発行されます。例えば「やさしい教科書」というStudioを用意すれば毎回同じURLで参加者はアクセスすることができます。録画ボタンを押す毎にStudioの下にイベント単位が増えていくイメージ。もちろん後で名前をつけて区別することができます。今までは毎回誰かがZoom会議を作成してURLを通知してもらってましたが、その手間は不要になりました。

あとChrome/Edgeで使う様指定があります。参加者にSafariやFireFoxしか使わん!って人がいるとちょっとお手間とってセッティングしてもらう必要がありますね。WindowsならEdgeが最初から入っているから良いでしょうけど。

・不具合っぽい点

Web会議中の表示は問題ないのですが、裏側でファイル名やメッセージなどで参加者名が「_______」のようになってしまいどれが誰のファイルやねん!となりがち。アップロードを終えずにブラウザ閉じちゃった人がいるよ、というメールも「Your guest ____ left the studio before the entire recording got uploaded. (97%)」などとなり、誰なのか調べるには、ダッシュボードに入って100%になってる人をサムネイルで見分けるか全員ダウンロードして調べる必要があります(終了してない人はサムネイルも出ないので)。

ちなみに最終的にアップロードが達成されなかったりされたけどデータが壊れてた、という場合、リアルタイムでサーバーに送られていた画質の録画は取り出すことができます。Web会議中に見えていた低画質の映像は最悪でも使える、ということです。実際これで助けられました。

今のところ感じた不具合はその

  • 名前が化ける(2バイト文字?)
  • 1回だけアップロードされた動画ファイルが壊れていた
  • マーカーを打ったはいいが取り出し方がわからない

くらいです。欲を言えばUIが日本語になると良いですが(ボランティアでもいいからやらせてくれと)。

■まとめ

オンライン会議、セミナー、セッションを後で綺麗に編集してコンテンツ化したいと思った場合の、個別ストリーム録画を簡単に行うことができ、遅延アップロードをすることで画質/音質も担保できるという、ツボる人にはツボりまくるソリューションでした。

個人的にはサブスクよりもイベント単位の単発レンタルの方が有り難いですが、当面はお世話になると思うので何ヶ月かは契約しておくことになると思います。

ユーザビリティが大幅向上。ワイヤレスマイクDJI Micを実査投入してみました

本ブログではUT/インタビューの音声収録に繰り返しRODE WirelessGoシリーズを推してきました。

終いには3Dプリンターでオリジナルアクセサリーまで作ってみたり。

とりわけマイク(送信機)が2台ペアになったWireless GO II(以下WiGO2)は2人収録が多いUT/インタビューには最適で複数のクライアントさんにもオススメして買っていただいたりしました。

が、しかし時が経てば優れた競合が登場するもの。ドローンやジンバルで有名なDJIからDJI Micが確か2021年末くらいに発表。そこからかなりかかりましたがようやく正式に一般販売が始まったので買ってみました。60分5セッションのUTで早速使ってみたのでレビューしてみたいと思います。

■WirelessGO IIとできることの違いは?

基本的にできることは同じです。

  • 2台の小型ワイヤレスマイク送信機で2名の音声を胸元などで高品質に収録できる
  • 受信機1台でPCにもアナログマイク入力付きの録画機器(ATEM MINI等)にも接続可能
  • 送信機内に録音ができ万一電波が途切れた時などのバックアップになる
  • 背面クリップで胸ポケットやシャツの襟、合わせなどに固定できる
  • マグネットプレートで衣服を挟むように固定もできる(Wireless GOでは別売り)
  • 屋外で風切り音を低減させるモフモフ付属

価格も誤差の範囲しか違わないので、比較レビューも多く迷われる方も多いかも知れません。

後発だけあってDJI Micの方がマイクはやや小型。でも厚みはちょっと増す。電池スペックでは劣る(7時間->5時間)。真正面から見た時の「なんかくっついてるな」感はDJI Micの方が抑えられますが、逆に衣類の下にマグネットではさんだりした時の膨らみ方は大きくなるかも知れません。

ただUT/インタビューではそこまでマイクを目立たなくする必然性はないのでこの辺りはさほど重視はしないかなという感じです。また公称で7時間持つというバッテリーも、どのみち終日で5セッションとかいうと心許ない感じなので、結局セッションの合間に充電は必要そう。だとすると後述する充電時の利便性が効いてくるかも知れません。

■マイクとしての音質差は?

まだ両方で同時に録り比べとかして厳密に比較してはないですが、Youtubeの比較動画とかを聞いてても、わずかにWiGO2の方が明るく自然な音に聞こえます。ただ裏を返せばDJI Micの方がより近い音源=声にフォーカスして周辺雑音をカットしていると評価することもできるかな、という程度の違い。DJI Micの音は聞き比べると若干籠もった印象はありますが、音声(人の声)の聞き取りやすさという面で不利になるものではないと思います。逆に楽器とか自然音とかを録るにはもしかするとWiGO2の方がいいとかはあるかも知れません(これも厳密に比べてはないので音の傾向からの想像です)。

少し気になったのはゲイン(録音される音の大きさ)がやや低いかも?という点。これは調整できるので今回は+8dBくらいにして使いました。その分、若干周辺ノイズも増幅されてしまったかなという感はありましたが、PC側でノイズ除去処理をリアルタイムでかけて消し去れるレベルなので実質問題には感じませんでした。WiGO2の時は(接続する機器にもよりますが)むしろゲインを落として音割れを心配することの方が多かった印象です。なおゲイン調整の細かさはDJI Micの方が高そうです。

■使い勝手で大きな進化

後発のDJI Micは使い勝手の面でWiGoIIの不満点が色々と解消されている感があり、ユーザビリティ面でこちらを選ぶ理由が多いかな感じました。以下ひとつずつ説明していきます。

受信機側がタッチパネル

めちゃ小っさいですがなんとタッチパネルUIで設定が色々変更できます。普段のモニター画面から上や下からスワイプして設定項目をスライドインするような感じ。WiGO2ではボタンの長押しでON/OFFしたりサイクリック動作でゲインが何段階かに変えられたりはしますが、ちょっと込み入った設定だとPCやスマホにつないで専用アプリから書き換える必要があったりします。DJI Micでは、やりやすいかっていったらそこまでではないものの、一応受信機(親機)上ですぐに変更できるのは現場では重宝すると思います。

例えば上述のゲイン調整もスライド操作でアナログバーを左右に動かすようにして調整できます。

録音制御が柔軟

送信機本体内への録音はWiGo2では手動操作できず、上記設定ツールから、電源が入った/親機とつながった、などをトリガにして自動録音開始にするかどうかを決めておく感じ。それはそれで録音忘れなどがなくて良いのですが、例えばセッション開始を待つ間に通常各種機材はスタンバイになってますから、その間もずっと録音されていることになります。無駄にメモリやバッテリーを消費する上、後で録音データから必要な部分を探す手間も嵩んでしまいます。

一方、DJI Micの場合、マイク送信機にあるRECボタンを押したり、受信機のタッチパネルからも開始/停止できます。参加者さんが入室して事前説明で録音録画の了承を得てから回し始めることもあると思いますが、そういうタイミングで録画と一緒にちょちょっと操作して録音開始、ということも可能です。ちなみに録音を開始すると一瞬ブブっと内蔵バイブが振動しますので、衣類につけている場合ちょっと驚かれるかも知れません。「じゃぁ録音開始しますね。一瞬マイクがブルっとします。」なんて断りながらやってました。

とはいえスタートし忘れたこともやっぱりあったので、どちらが良いかは運用次第なところも。

録音データの取り出しが劇的に楽

これが地味に有り難い。WiGO2では録音データの吸い出しにも専用PCアプリが必要でした。しかもコピーというよりエクスポートという感じで内部rawデータを吸い出し時にWAVやMP3に変換しながら保存しているのか結構時間がかかります。1時間分の録音データを書き出すのに数分は待たされる感じ。高音質設定で録音すると数時間しか保存できないので、セッションの合間に吸い出したくなるんですが、ちょっとやってられない感じ。逆に全て終わってから全セッションの録音データを吸い出して置こうかな?って思ったとしても、一括吸い出しができず、1件ずつ数分置きに操作して保存しなければなりません。これはPCアプリの更新で連続書き出しくらい対応してほしいと思います。

一方DJI Micの方は普通にUSBマスストレージクラスで外付けドライブのようにマウントされます。なのでエクスプローラー/Finderで普通にドラッグコピーするだけです。時間もさしてかかりません。細かい違いですが柔軟性が全く違いますね。

2022.6.19追記:今回また90分x12セッションのUTに使った時に気付いたんですが、この機種、仕様として録音データが30分毎に分割されるようです。

トランスミッターの録音済み音声フォーマットは、24ビットモノラルWAVです。長時間録音する場合、ファイルは30分ごとに自動分割されます。最大録音時間は約14時間です。ストレージがいっぱいになった場合は、新しく録音された音声が、古い録音済み音声ファイルを上書きします。

ユーザーマニュアル v1.0より引用

90分のセッションだと3,4個のファイルができるので管理がちょい面倒ですね。その辺りのエクスポート時にきちんとつなげてくれる(そもそも内部的に分割されてるかどうかも不明ですが)RODE Centralもちょっと見直しました。緊急時のバックアップ用としてならまだいいですが、常に高音質素材として録音データを活用しようとする場合はWiGO2の方がデータはとっちらかないというメリットがあるかも知れません。

録音データの削除にPCツールがいらない

UT/インタビューではマイク内録音はバックアップであることが多いので、特にメイン録画系でトラブルが起きない限りバックアップ録音はところてん式にどんどん消えてくにまかせる、ということであればさほど気にならないかも知れません。ただそれでいうともうひとつ問題点があって、録音データは機密情報、個人情報に当たる場合が多く慎重に扱う必要があります。終わったら確実に消去しておきたい。社内で共有とかしていて、つないでみたら他のプロジェクトの録音が残ってました、とかいったら事案になりかねません。

そんな時でもWiGO2ではPCソフトにつないがないと削除ができませんが、DJI Micでは受信機(親機)のタッチパネル操作で送信機(子機)をフォーマットすることができます(ファイルを個別に選んで削除とかはできない模様)。「使い終わったらこれこれの操作をしてフォーマットしてね」的な注意書きをつけておけば大丈夫という感じになります(ちゃんとみんな守ってくれれば…)。

充電が楽

WiGO2の充電は受信機と送信機x2がそれぞれUSB-C端子になります。短いケーブルが付属してますが充電器は別売り。マルチポートのUSB充電器を別途用意しケーブルをヒドラのように生やしておく必要があります。まぁ受信機はPCのUSBにつないで使う場合は常時給電されるので良いですが。

一方DJI Micはキャリングケースが充電器を兼ねています。最近のTWS(完全ワイヤレス)イヤホンみたいにケースに差しておくだけでケース内バッテリーまたはケースにつないだ充電器から各送受信機に充電がされます。使い終わったら所定のスロットにカチっと挿しておくだけなのでひと手間少ない感じ。ただ接続が底面のポゴピンなので深く奥まで差し込まないと充電が始まらないことがありました。必ず充電ランプの点灯を確認した方が良いでしょう。

UT/インタビューではあまり関係ないですが、充電ケース内にもバッテリーがあって充電できるのでフィールドワークとかで現場移動を伴うような時は移動中にも充電ができてヨサゲですね。

■首掛けの工夫

WiGO2の時も問題になりましたが、不特定多数の方が次々に来て、かつ隠蔽のが必要ないUTやユーザ調査系のインタビューの場合、簡単に付け外しができることの優先度が高いです。お相手の服装に胸ポケットや合わせがあれば良いのですが、そうとも限りませんし、襟元やマグネットを使った固定などで本体やマグネットが素肌に触れるのも今のご時世だとちょっと気になります。

ということでWiGO2では簡単な器具を3Dプリンターで作って首掛けストラップを作成していたのは冒頭のリンク通りです。しかしDJI Micはいつもの長さ調節機構のついたストラップの付属品で簡単にぶら下げか可能でした。

↓のストラップで簡単に首下げ可能
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そのまま充電スロットにも刺さります。

充電スロットにそのまま刺さるし、その気になればフタも閉まる

またカスタムパーツを作ろうと半ば楽しみにしてましたがちょっと肩透かし。でも普通に市販品で済むのは良いと思います。モデレータはストラップをつけたままワンタッチコネクターのところで外して充電してもいいかもですね。

■総評

まだ1回の実査、5セッションで使っただけですが、特に電波の途切れもなく音質も良好で、使い勝手は様々な面で向上しているため、これから買うならこっちでいいんじゃないかなーという気持ちが強くなっています。予備も必要なのでWiGO2も当面は手元に残しておくつもりですが、なにか問題が起きるまではDJI Micが一軍かなと思っています。

音切れという意味では一度抱け親機のタッチ操作で録音を始めたつもりが1つ隣のミュートボタンを押してしまい見学者から「参加者さんの声が遠いです〜」ってチャットメッセージもらっちゃいました。タッチパネルとはいえ画面が極小なのでこうしたミスには注意が必要そうです。時折レベルメーターに振れ幅には目を配りたいものです。

あとバッテリーは60分x3セッション終えたところで各送信機の残量が半分くらいでした。概ねカタログ値通りでしょうか。ただし録音してなかったので、録音しながらだとまた少し違うかも知れません。

感染対策でマスクしたり距離を置いたり換気したりでUT/インタビューの音声収録品質に課題を感じている方は是非検討いただければと思います。