音割れの心配がないレコーダー ZOOM F6をヤンチャ買い

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仕事用ブログとどっちで紹介しようか迷いましたが、まぁ大抵の現場でオーバースペックだし趣味性の方が強いかなということでこっちに。

2020年最後のヤンチャ買いとなる(したい)ガジェットとしてZOOMのF6というUSBオーディオインターフェイスにもなる6chフィールドレコーダーを買いました。

■32bit float録音とは

この製品の大きな特徴となる32bit float録音について簡単に。通常のレコーダーは8bitや16bit、ハイレゾなら24bitという音量分解能で記録します。時間方向ではなく音の大きさ方向の解像度、一般的な”波形”でいう上下方向の細かさです。これが更に細かい32bitになった上でさらにfloat(浮動小数点)、つまり小数点の位置を変えられるということで単なる32bit整数よりも更に更に幅広いダイナミックレンジ(極小さい音からめっちゃ大きな音まで)をカバーできると思ってください。

通常デジタル録音では録音できる最大の音量を超えるとクリップという状態になって音が破綻します(ノイズになる)。波形でみるとある一定のラインで刈り取られたみたいになり、耳で聞いても違和感というか深いな感じになります。なので、ゲインを絞って大声や騒音など大きな音が入っても最大音量(0db)を超えないように全体の音量を小さくします。しかりこれを絞りすぎると、今度は小さい音や声が聞き取りずらくなってしまい、後から編集ソフトで頑張って音量を上げてみてもデジタル録音なので粗い情報しか復元できません。あらかじめその収録で最大の音はなにかを意識し、それがオーバーしないギリギリを攻めてゲインを調整するという気配りが必要なわけです。理屈としては写真で白飛びと黒潰れを同時に抑えるよう露出を調整するようなものです。ただ音に関しては刻一刻変化するものなので事前の予測が難しいわけです(動画もですが)。

さて、写真や動画の場合は保険としてRAWで録っておけば後からちょうどいいバランスを検討して現像することができました。ちょうどこれと同じようなことが32bit floatなら可能になるのです。めちゃめちゃ小さな音から大きな音まで解像度を保って録音できるので、最終的に16bitや24bitに落とし込んでしまうにしても、編集段階で部分部分でゲイン調整をかけて最適化することができます。つまるところ、事前に慎重にゲイン設定を調整するストレスから解放されるわけです。私の場合、クリップを恐れてついレベルを小さめにしがちで、編集段階で大きくするということがありがちで、そういう時に音質劣化を起こさないのはメリットに感じました。

ユーザテストなどの業務場面でも保険として32bit floatで録音できると安心だし、現場入りしてからの短い設営時間の中でゲイン調整というステップをスキップできるのもメリット。まぁ人の会話を録るだけだし、実況動画みたいに大声だしたりもしないので、そんなにダイナミックレンジ広くもないジャンルなんですけどね。なので現時点ではこの分野の業務デバイスとしてはオススメまではしません。もうちょっと自分で使い込んで検証してみようという段階。

■民生機で32bit float録音ができるレア機種

で、Adobe Auditionなどのソフトでは以前から32bit float録音されたデータは扱えはしてたのですが、ハードとして単体で録音できるレコーダーはあまりありません。ZOOMではF6が出たのが2019年。今年はF2シリーズというラベリア用小型機が出ました(Bluetoothでリモート操作できるF2-BTもあり)。

ユーザテストに使うならF2を二台、モデレーターと参加者に装着するのも手ですが、昨今は録音よりもリアルタイム配信が重要なので、USBインターフェイスとしても使えるF6の方が使い道が広がるかなと。F2はロケ録りなんかで失敗が許されない場面で有用でしょうね。

とまぁそんなこんなで、カメラのRAW撮りが好きなσ(^^)が音声でも32bit float使ってみたかったという動機です。

■32bit floatか24bit 先読みリミッターか?両方いけるじゃん

仮に32bit floatで録って、声が小さいことが発覚した場合、Auditionのような編集ソフトで劣化なくゲインを上げるとします。この場合、当然ノイズも一緒に大きくなってしまいます。32bit floatであっても魔法のように目的の声だけが綺麗に取り出せるわけではありません。ただ後からノイズ除去をかけるにしても解像度が高いので有利ということはあろうと思います。ただ、それだと毎回ノイズ除去の手間は減らせないことになります。

一方、本機は「先読みリミッター」という機能も特徴のひとつです。通常リミッターとは突然大きな音が入った時に自動で音量を下げてくれる機能ですが、あまりにアタックが速い急激な音量増には追従しきれず、音が残ってしまうことが多々ありました。本機の「先読み」はこれの精度をあげてきっちり処理してくれるというもの(ただし遅延が1msでる)。そもそも音割れせずリミッターというものが必要ない32bit floatモードでは使用できず、24bitモード用とはなります。相当ガチに音質にこだわる用途以外では現実的にこちらの方が利便性が高いかも知れません。

さて32bit floatか24bitかどちらで録音するべきかと悩ましいところですが、なんと本機は並行して両方のフォーマットで録音することができます。しかもチャンネル毎独立で、です。頼もしい限りです。

■その他レコーダーとして

その他、一般的な点として本機の気に入っているところは、レベルメーターが見やすいカラー液晶でレベルオーバーの確認がしやすい点やXLR x 6chで接続性が良い点です。

ICレコーダーでもレベルメーターを重視していましたが通常これらはモノクロ液晶です。F6はカラー液晶でグリーン->黄色->赤と色分けして表示されるので一目で状態を把握できます。

入力がXLR端子でノイズに強い業務用マイクが直結できる点もポータブル機としてはなかなか得がたい点。手持ち機材では同じZOOMのQ8というビデオレコーダーはXLR x 2入力で内蔵マイクも加えると4chでWAVで24bit保存もできビデオカメラでありながらマルチトラックレコーダーとしてもなかなかのスペックでした(しかもカラー液晶!)。

F6はさらにチャンネルが増えXLRで6ch (ステレオ音源なら3組)、さらにそれらをLRミックスしたものも同時に別ファイルとして録音できます。音楽の録音はしないので当面フルで使いこなす機会はなさそうですが、もしかすると6人の音声をそれぞれの個別マイクで録るということはあるかも知れません。音声書き起こしを話者別にするにはトラックが分かれているのがより精度向上につながるので。本機はオートミックスという機能があり話者の声が入っているチャンネル意外を自動ミュートしてミックス状態の総ノイズ量を抑える機能などもついています。会議などでバウンダリーマイクを複数個つなげて録るなんで場面で、(バウンダリーマイクはたいがいコンデンサマイクなので雑音を拾い易いので)重宝しそうです。

またF6はゴツい見てくれですがフィールドレコーダーなので据置だけでなくバッテリー駆動でモバイル用途にも使えます。USB-Cケーブル給電だけでなく、乾電池/充電池も使えますし、なんとSONYのLバッテリーを背面に装着して使うこともできます。具体的な利用時間かカタログにも書いてないですが、単三電池よりはかなり長く使えることでしょう。

■USBオーディオI/Fとして

入力(録音)デバイスとしては2chまたは6chのデバイスとして認識されます。Windowsでは6chの時はASIOドライバーが必要で、そのせいかZoomなどで認識できないぽいです。まぁWeb会議ソフトで6chはいらないからいいんですが。Auditionなどではしっかり6chデバイスとして個別のトラックを録音できました。また出力(再生)デバイスとしては4chまで使えます。ループバックをオンにするとPCからの音と6マイク入力の音をミックスすることもできます。2chならiPadの外部マイクとしても使えるようです。

ややこしいのはこの状態(2chも6chも)ではF6側で録音ができないという点。これをするには別途AIF with Recというモードに切り替える必要があります。文字通り「オーディオI/Fでありながら録音もできる」ということっぽいですが、これをONにすると通常のオーディオI/Fメニューはグレーアウトして選択不能になります。ループバックも選べませんし、Windows用ドライバーも別に入れる必要があります。ただZoomなどのWeb会議アプリには入出力とも選択できます。ややこしいですね。あれもこれもできそうでいて、同時使用制限が地味に潜んでいるので油断できません。

またちょっと面倒くさいのは、電源を入れる度にUSB I/Fモードは解除されているので、常に自宅でPCにつなげてオーディオI/Fとして使う場合、電源ONするたびにUSBモードを切り替えないといけないというところですね。PC側からも認識は外れるのでZoomやTeamsといった会議アプリのマイク選択が切り替わったりとか地味に面倒です。

Tipsというか、当たり前かもですが、F6側のサンプリングレートを48kHzにした場合、Windowsのサウンドデバイス設定も揃えてやらないと音程がおかしくなります。当初Windows側がデフォルトの44.1kHzになっていて、録音された声が低くなってて驚きました。うっかり忘れがちなので気をつけたいところです。

ヘッドホンアンプは高品質なものが搭載されているらしく、先日購入したATH-AD900Xで音楽を聴くといい感じです。あまり高級なUSBヘッドフォンアンプをがっつり使ったことはないですが、本機をヘッドアンプにも使えると思うえば少しお得感が増すかも知れませんね。

■XLRではないマイクを接続する

本機の入力はXLR x6系統とUSBです。高品質なマイク接続ニーズにはとても良いのですが、例えばWireless GOみたいなマイクも使いたいことはあります。そういう時に使うと良いのはこういうミニジャック-XLR変換アダプタです。汎用品なので中国製の安いものから色々ですが、とりあえず品質重視でRODEのものを購入しました。

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上のVLXRは電源変換はしません。Wireless GOのようなプラグインパワーを必要としないマイクであればこちらでOK。ではプラグインパワー(電源供給)が必要なバウンダリーマイクはどうでしょう?

例えばAT9921みたいなマイク。付属の電源ボックスを途中にはさめば良いですが少しスマートではありません。またこういうものが付属しないマイクもあるでしょう。

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そういう場合はこちらのVLXR+(プラス)が使えます。なんとXLRのファンタム電源をプラグインパワー電圧に降圧して供給してくれます。F6側でファンタム電源を供給する設定にしてやれば、別途電源ボックスは不要でプラグインパワーマイクを駆動することができます。

【国内正規品】RODE VXLR+ XLR-TRS 変換アダプター VXLR+

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調べた限りではこのRODEのオンリーワンな商品のようでした。しかも品薄で当初どこも品切れで購入できず。しばらく「お気に入り」にしておいたところ入荷通知があったのでとりあえず1つ押さえておきました。RODEの商品は日本では銀一という会社が輸入販売をしているようですが、こういう小物類は割と品切れして入荷待ちになってることが多い気がします。見つけた時が買い時かも知れません。

■まとめ

32bit floatで録って意味があるのは基本的にマイク直結のアナログ生録のみで、テレカンなどデジタル伝送を入る経路だとそちらでクリップするのでおそらく意味がない。。のでまだ実際に活用したことはありません。先行投資です。それでも普段はオーディオI/Oとしても使えるし、レベルメーターがいつでも見られるのはなかなか便利で気に入っています。来年ちょっとしたビデオ教材を作るかも知れないので、その時は大いに活用したいと思います。

 

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