新世代のフィラメント真空保存バッグが良かった

エンプラフィラメントやPETG-HFなど事前乾燥必須なフィラメントが増えてきて、以前買ってあった真空保管バッグが足りなくなったので追加で購入しました。

2年ぶりくらいな気がしますが、地味に改造されてて良かったのでご紹介。買ったのはアリエクですが、たぶんこれと同じものです。ただAmazonのこれは付属の電動ポンプが有線っぽいので注意。今回紹介したいのがバッグ自体なので、付属ポンプはお好みで。

なにが良いってポンプを密着させて空気を吸い出す弁のところがハードパーツになっていて、雑にさっと当ててもしっかり噛んで吸い出しができる点。この1点に尽きます。以前買ったものや百均などで売っている汎用品だとペラペラの弁でかなり位置取りが難しく、真芯を捉えないと吸いだしが行われない感じでしたが、これだと厚みのあるハードパーツにテーパーがついていて一発でピタッと位置固定ができます。またペラペラの旧型は固いテーブルの上などに置かないとなりませんでしたが、弁自体が固いので、裏から手で押さえてやればしっかり吸い出せます。場所のないところでも処理できて地味に便利。そんなこんなで吸い出すまでの時間がとにかく早い!これだと手間に感じて結局使わなくなる、ということが避けられそう。

弁がハードパーツというだけなら、今は3Dプリンターメーカー純正のeSUNやELEGOOのものも改善済みっぽいですね。ただeSUNはトップ写真以外は旧型弁のものも写ってるのでやや不安。

ただ最初に紹介した黒いタイプは追加で良い点もあって、まず角が丸くカットされていて手に刺さらない点が良き。あとギチギチに吸い出した時のサイズというか余白感も若干小さい気がします。バッグ自体が正方形に近いのが効いてる気がします。フィラメントの残量にもよるので主観ですがかなりコンパクトになる印象。もうこれに全部交換しようかな。唯一何点としては透明部分が少ないので中見がやや判別しづらいところかな。全く見えないわけではないし、なんなら表面にテプラとか貼っておけばいいかなとも思案中です。

ちなみにアリエクだとポンプ無しでも買えるので、5枚とか10枚バッグだけ追加したいといった場合割安です。本記事執筆時点で5枚792円、10枚1,369円でした。

3Dプリンタービルドプレート取扱メモ

X1-Carbonで使用するビルドプレートの種類が増えて、IPA洗浄NGとか糊禁止とか注意事項が覚えきれなくなってきたので自分用にまとめてみます。特に最近PCやナイロンなど高温フィラメントにも手を出しつつあって、使い分けが重要になってきてるので。

間違いもあるかもなので参考程度に。

■まとめ観点

  • 特徴メモ(使用感、テクスチャなど)
  • 使用可能フィラメント(NGがあれば明記)
  • 洗浄方法(NGがあれば明記)
  • 糊(推奨される糊、NG)
  • 上限温度
  • 剥離タイミング(冷ましてから/熱いうち)

あたりかなと思います。特にNGでプレートをダメにしてしまうのを避けるのが主目的です(造形失敗よりも重大)。

スムーズPEIプレート

一時期メインで使っていたプレートです。底面が文字通りスムーズなので出荷品には重宝。ただ使い方や剥がし方を間違えるとダメージを受けやすく、買い換えるにも良いお値段なので、最近は必要最低限にしています。表面に跡が残るようだともう造型物にも影響してしまうレベルの劣化です。ただし600番のサンドペーパー で磨くとある程度は復活するようです。

  • 対応フィラメント:ほぼ全て
  • 洗浄方法:洗剤と水(アセトンNG)
  • 糊:PLA以外では液体orスティック糊を使用。PC/PAはスティック糊
  • 上限温度:120℃
  • 剥離:冷ましてから(公式記載は「数分待って」)

常温プレート SuperTack

比較的低温でもしっかり定着するので、加温時間や電気代を節約できるという触れ込みの割と後発のプレートです。耐久性も高めでPLAやPETGなど一般的な用途の普段使いに便利。標準の常温プレートが置き換わったと思われます。ただいうほど「常温」ではない印象。加熱オフにこだわって使おうとすると定着せず、結局70℃くらいにした方が安定する感触。

  • 対応フィラメント:TPUはNG、PLA SILKも非推奨
  • 洗浄方法:汚れたら洗剤と水(アセトンNG)
  • 糊:PLA以外では液体orスティック糊を使用。PC/PAはスティック糊
  • 上限温度:120℃
  • 剥離:スクレイパーでそっとはがす。くっつきすぎている時は50℃くらいに温める

BIQU CryoGrip Pro Glacier

水色が特徴のSuperTackに近い特性の社外プレート。同じ水色のCyroGrip Proシリーズには2種類、Frostbite(フロストバイト)とGlaicier(グレイシャー)があるので注意。自分はより使用フィラメントが多く、テクスチャーもスムーズ寄りのGlaicierのみ購入しています。エンプラまで対応するGlaicierとPLA/PETGにベストはFrostbiteという棲み分けのようです。

ただこれもSuperTuckと同様、そこまで万能、完璧じゃない印象。定着しない時はしない。結局ちょこちょこ温度を上げて使ってます。

  • 対応フィラメント:ノズル300℃以下ならなんでも
  • 洗浄方法:洗剤と水、またはアルコール
  • 糊:不要
  • 上限温度:記載無し
  • 剥離:プレートを曲げてはがす。くっつきすぎている場合は少し冷ます

Bambu 3D効果転写プレート

表面の微細な凹凸を転写して底面に構造色でキラキラ模様を出すプレートです。面白いですが意外と難易度が高いというか実質PLA専用という感じ(公式にはTPUも対応らしい)。PETGはほぼ定着しないので注意が必要です。ASAは一応いけましたが、たぶん糊を使うと凹凸が埋まってしまって回復不能なダメージを負います。Bambu Studioのプレート選択ではスムーズPEIを指定します。

表面シートが劣化したら貼り替えも可能なんですが、なぜか個人的なお気に入りのカーボン柄はシートの販売がなくプレート付きで買うしかない。

  • 対応フィラメント:PLA/TPUのみ
  • 洗浄方法:油分が残っていると模様が綺麗に出ないので温水と洗剤でしっかり洗浄
  • 糊:厳禁
  • 上限温度:記載無し
  • 剥離:プレートを曲げてはがす。くっつきすぎている場合は少し冷ます

Darkmoon G10 Garoliteプレート

ガラス繊維とエポキシ樹脂を主材料とするガロライトという材質を使ったプレート。3Dプリント用途以外で販売されている板を買って来て磁石で鉄製プレートに貼り付けて使うのが主でしたが、海外のDarkmoonという個人ブランド(?)がBambu互換形状のプレートとして販売していたので買ってみました。送料が結構高くて総額1万円超えでしたがキヨミズりました。

メリットはとにかく耐久性が高く、-CFフィラメントを使っても劣化しにくい。また糊を使わなくても定着が強く、反りやすいPA6ナイロンに向いてるとのことで買ってみた次第。ただこれらはG10 GaroliteについてChatGPTが言ってることで、Darkmoon公式としては以下の仕様を記載しています。この販売者としてはスムーズPEIの上位版という位置づけのようです。傷みやすい(かつ高い)スムーズPEIを置き換えてかつ長持ちするなら投資価値があるかなという判断で購入しました。まだ届いたばかりなので使用感はまた後日書きたいと思います。

  • 対応フィラメント:PLA/PETG/PCTG/TPU/ABS/ASA(それ以外は非推奨)@公式(CharGPT/Gemini曰く、TPUはくっつきすぎて非推奨、PCは100℃超えの温度なので非推奨)
  • 洗浄方法:普段はIPA、時々温水と中性洗剤
  • 糊:記載無し(ChatGPT曰く厳禁。定着が弱い場合は、4~600番のペーパーで軽く研磨)
  • 上限温度:記載なし(ChartGPT曰く100℃程度推奨)
  • 剥離:記載なし(ChartGPT曰く完全に冷ましてからでないと劣化)
  • Bambu Studioで「高温/スムースPEIプレート」を選択

ちなみにDarkmoonブランドでは他にSatin(サテン)プレートというのを出していて、こちらの方が「PLA/PETGからナイロン、ポリカーボネートまで」と幅広さを謳っています。ただしテクスチャーが粗めのようで見送りました。

エンジニアリングプレート(旧)

  • 対応フィラメント:ABS/ASA/PETG/PA/PC/TPUなど
  • 洗浄方法:油分が残っていると模様が綺麗に出ないので温水と洗剤でしっかり洗浄
  • 糊:基本使用を推奨。液体かスティックかは使い分け。
  • 上限温度:120℃
  • 剥離:剥がす前に10分は冷ます。冷めると勝手に剥がれる。

エンジニアリングプレート(新)

上記エンジニアリングプレートがしばらく購入できず、今のがダメになったらどうしよう、、と思ってたんですが、今年頭くらいかしれっと発売されていました。以前は低温プレートと裏表だったんですが、新発売のものは両面エンジニアリングプレートで、耐久性が向上している模様。まだ買ってないですが、いずれ手を出すと思います。

Bambuから出ている全てのフィラメントに対応ということなので、「迷ったらこれにしとけ」感がある万能プレートです。ただし糊はどのフィラメントでも使用を推奨なので手間。

  • 対応フィラメント:Bambu全フィラメントOK
  • 洗浄方法:油分が残っていると模様が綺麗に出ないので温水と洗剤でしっかり洗浄
  • 糊:基本使用を推奨。液体かスティックかは使い分け。
  • 上限温度:不明
  • 剥離:スクレイパー。がっちり付きすぎている時はアルコールを隙間に流し込む。

■ほぼ使っていないもの

低温プレート

エンジニアリングプレートの裏面。SuperTuckもあるし今は基本使ってないです。

テクスチャードPEIプレート

たしか標準で付属してきたもの。テクスチャーが大きすぎて好きではないので基本使ってないです。定着力も耐久性も高いは良いので初心者向けではあります。

■まとめ

G10 Garoliteプレートが届いたので、これから評価していきたいと思いますが、基本はこんな使い分けかなと思っています。

  • PLA/PETG: SuperTackかGlaicier
  • ASA/ASA-CF/PA6-CF: G10
  • TPU: G10かスムーズPEI

Darkmoonを信じるならPLA/PETG/TPUもG10でいいかもですが、お高いので温存していきたいなという感じ。使ってみたい前々平気そうならG10をゴリゴリ活用していくかも知れません。あと、耐熱温度が高い一方、SuperTackでも割と反りやすいPolymaker HT PLAに最適なものも探したくて、これもG10に期待してみようかな。

あと次にBambu公式で買い物するついでかセールの時に新エンジニアリングプレートは買うかも。スティック糊や液体糊は仕上がりが気になるのでスプレー糊(ケープ)前提で消耗品として使いつぶす用に。

3Dスキャナー RevoPoint INPIRE2、あらためて良いぞ

新車が来て色々形状取りしたい機会が増えて昨年購入したINSPIRE2が本格稼働してきているので再レビュー。なおなぜかAmazonや楽天のRevoPoint公式ストアで取扱がなく、これを書いている時点では公式サイトでしか買えないかも知れません。

前回の記事

■ケーブルレス運用

前のPOP3 Plusもそうでしたが、RevoPointのモバイル系スキャナは純正グリップ型バッテリーが用意されています。T字になる感じが狭い車内で取り回しに影響するなと思い、写真のように薄いモバイルバッテリーを貼り付けてみました。

薄型モバイルバッテリーと一体化

INSPIRE2はUSB-Cポートですが5V給電で動くので、モバイルバッテリー側はUSB-AのものでOKです。それほど長時間稼働させるわけではないので容量もさほどいらないです。なのでホームセンターでワゴンセールになっていた適当なものを買い、短めのA-Cケーブルでつないでます(ケーブルレスではない…)。

ショートUSBケーブルで接続(まだちょっと長い)

この方がコンパクトにまとまるし、向きを縦横無尽にかえる時も手首の動きだけで自在にできる感じです。もちろんスキャン対象物の大きさは距離によるんでしょうけど、今のところこれが使いやすく感じています。いずれもっとフィットするバッテリーやケーブルがあったら順次交換していきたいと思います。

こう持った方が扱い易い

マーカースキャン一択

せっかくPOP3 PlusからINSPIRE2に買い換えたのでスキャンモードは「マーカースキャン」モードばかり使っています。文字通りマーカーを使ってスキャンするのですが、こちらでないとパラレルレーザーを使ったスキャンができません。RevoMetroを起動すると必ず「特徴スキャン」(=フルフィールド構造光)モードが選択され切り替えに20秒くらいかかるので、マーカースキャンをデフォルトにしてほしいものです。

今回後ほど掲載される車内の内装形状のスキャンでは、スキャンモードを「並行線」、トラッキング方式を「マーカー」、スキャン対象物を「黒い物体」にしています。カメラの露出とレーザーの明るさは「AUTO」にしています。

あとマーカー内径を3mm、6mm、10mmをそれぞれON/OFFできるので、使っている6mm以外はOFFにしておく方が正確に検知できると思われます。

とにかくマーカーをたくさん配置する

マーカースキャンの極意は文字通りマーカーをたくさん配置すること。ただ小さなシールをあちこちに貼るのは結構大変です。ひとつの解決策としてはマーカーブロックを使うことです。買うと高いですが3Dプリンターがあるならモデルデータを拾ってきて自分でプリントも可能です。水平面があれば置くだけ。片付けも一瞬です。マグネットをつけてあれば金属の垂直面にもつけられます。

しかし水平面に置くだけだとカバー範囲も限られます。そこでシールの出番なわけですが、今回はさらに一計を案じました。写真のようにマスキングテープを貼った上からマーカーシールを貼り付けるのです。

このやり方のメリットは複数あります。

  • 貼り剥がしが簡単
  • マステごと他の場所に貼り替えて再利用ができる
  • 黒い対象物に色がついてスキャン精度が高まる

など。、もう最初からこういうマーカーが印刷されたテープが売ってればいいのに!表面が反射材みたいなのだから難しいかな?

テープごと保存して再利用も

デメリットとしては、テープの厚みがスキャンに載ってしまう点ですが、どのみちCADソフト側で手作業でトレースする用途なら大した害ではないかと思っています。自分は使い終わったマステごと収納ボックスのフタに貼っておきました。何度かこうして再利用すればマーカーシールのコストも抑えられます。

しかしこれだけマーカーがあっても割と「マーカーが少ない」と怒られます。感覚的にはこの倍くらいの密度でマーカーをつけた方が結果的には速くスキャンできると思います。

■MacBook Pro M1Maxでも使える

INSPIRE2の最低要件がM1 Proで、推奨はM2 Proなので、M1 Maxはギリギリなところですが、今のところ普通に使えています。たまに画面更新が途切れるといえば途切れるけど、プロセッサの問題というよりはWi-Fiの問題かトラッキングが外れてるような気もします。USBケーブルの方がスムーズかもですが、やはりケーブルレスの方が煩わしさがない気がしています。

最新世代のMacやPCならより快適かもですが、現状手保ちのノートPCではこれが最高スペックなので、車内などでスキャンするにはこれを使うしかなく、まぁ良かったです。自室ではRyzen9 5900X+ RTX4090 + 64GBのデスクトップなのでより快適です。

■スキャン例

実際のスキャン結果はこんな感じ。改良後ランクル300のインパネに追加された小物入れにぴったりのトレイを作りたかったんですが、単純な長方形ではなくノギスで測るだけでは難しかったので3Dスキャンしました。

手前にあるピラミッドや左端の棒、5角形の面がついたボールみたいなものがマーカーブロックです。

黒い上に置くまで光が届きづらいですが、LEDライトで照らしながらなんとか形が取れました。マスキングテープが何か所が見えているのがわかりますでしょうか。あまり再利用を繰り返すとテープの端が浮いてくるので限度がありますね。

実際に製作したトレイがこんな形状なので、定規やノギスでは厳しかったと思います。

(これが何するものかはまた後日の記事にて)

■まとめ

周りにしっかりマーカーを配置してやれば、パラレルレーザーで割と黒いものでもいけるし、それなりのモバイルPCがあればクルマなどでも使えるし、本当に買い換えて良かったです。車内だとスキャンスプレーを使うのは躊躇われるので有り難い。更に出してMetroX/YやEinsterなどブルーレーザー機ならもっとサクサクスキャンできるのかもですが、当面自分の用途と使用頻度だと8万以下で買えるINPIRE2はベストフィットな気がしています。

とにかくマーカーを大量に配するのが重要だとわかったので、効率良くマーカーブロックやシールを配置する方法を模索していきたいと思います。あとは、できあがったメッシュデータからソリッド化する修行ですね。

3Dスキャナを買い換え、Revopoint POP3 Plus→INSPIRE2

今年3月に購入した3Dスキャナですが、1年を待たずに買い換えました。

買い換え先は同じRevoPointのINSPIRE2です。

■POP3 Plusの弱点

POP3 Plus(以下POP3+)は「デュアルカメラ赤外線構造化光」方式です。ようするにステレオカメラで2枚の画像間の視差を使った計測をするんだと理解しています。自分の場合3Dプリントで既製ガジェットや車内向けのフィットするアクセサリを設計するため、形状をキャプチャする目的で、そこまで細かい表面テクスチャのレベルまで精密にスキャンできる必要はなく、カーブ形状などがとれればいいという感じでした。POP3+は10万前後で購入でき、またスマホと組み合わせてもスキャンできる点が良いかと思って購入しました。

しかし使ってみるとなかなか思ったようなスキャンができません。弱点として、

  • トラッキングをロストしやすい
  • 黒色の物体がスキャンできない

といった点が挙げられます。黒い物体に弱いのは最初からわかっており、3Dスキャンスプレー(洗ったり時間経過で消える白色スプレー)を使えばどうにかなると思っていましたが、やはり対象がガジェットや車のインテリアだと、消えるとわかっていてもスプレーを吹くのは抵抗がありました。また使ってもイマイチでした。マーカーやターンテーブルを使っても、結局スキャン途中でトラッキングロスト(追跡不能)になり正常に完了できない始末。

やっぱり本格的に使うならマルチレーザー(並行または格子状のラインレーザーを使った方式)機にアップグレードするしかないのかなぁと思い、10万台後半〜20万くらいする産業グレードのRevoPoint MetroYか近日発売でクラファン中のEinster2かというところで悩んでいました。

安価な赤外線レーザーながら平行ライン式のINSPIRE2登場

Einster2のクラファンやAmazonのブラックフライデーセールがある11月に悩みつつ、同月にレーザー加工機xTool F2を買ったこともあり、予算的に厳しいし、そこまでの精度はいらないからコスパ的に微妙なんだよなぁ、と思っていたところ、INSPIRE2の存在を知りました。METRO Yと同時に今年8月に発表されたモデルのようです。なぜかまったく存在に気付いていませんでした。INPIRE2の方式は「デュアルカメラ式 赤外構造光&赤外マルチライン レーザー」つまり、POP3や初代INSPIREの赤外構造光に加え、同じIRのマルチラインレーザーが追加されたモデルということになります。私の理解では赤外構造光は赤外線領域をとるカメラで二次元の面として取得した画像を視差処理して形状を読み取ります。同じ赤外線でも複数のレーザーを線状に放って形状を構成します。iPhoneのFaceIDなどで使うLiDAR計測のようですが、距離の算出方法は異なるようです。ともあれ同じ赤外光を使いつつ、構造光とレーザーは全く別ものです。さらにマルチラインレーザー方式でもパラレル(並行)とクロス(交差)があり、クロスの方がより広い範囲を高速にスキャンできるので、自動車のボディなどをスキャンするにはクロスが良い。一方で狭い範囲であればパラレルの方が精度が出やすいようです。Metro Yはパラレルとクラス両方、Einster2はパラレルのみ。さらに上位のEinster Rockitだとパラレル/クロスです。車の外装パーツとか作るならクロスも有効そうですが、個人的にはパラレルがあればいいのかなと考えていました。

で、INSPIRE2もパラレルのみですがマルチラインもあるということでトラッキングロストを起こしにくく高速でスキャンできる可能性があります。また産業ラインのブルーレーザーと違い赤外線レーザーにはなりますが「暗所・光沢面もスキャンスプレー不要」と謳われています。しかもPOP3+よりも安くスタンダードセットで6万円台!これだっと思いました。

なぜPOP3 Plusより安い?

マルチラインレーザーを搭載しながらなぜかPOP3+よりも安い。POP3+も併売されており終売になる気配もない。なにか罠があるのでは?と思い念入りに調べました。ポイントはPOP3+には「CPU 2コア、1.6 GHz」と仕様欄にあるのに対し、INSPIRE2にはありません。INSPIRE2は単独動作せずあくまで周辺機器としての計測デバイスということなんだと理解しました。POP3+もスタンドアローンではないですがスマホをつないで計測することは可能。INSPIRE2は構造光モードでのスキャンはスマホからもできますが、マルチラインレーザーはPC必須です。しかもそれなりにGPUパワーも要求されます。我が家はM1 MaxのMacBook ProとRTX4090のデスクトップWindows機があるので使用は可能ですが、屋外や自動車内などPCルーム外での利用に制限がつくのが難点といえそうです。ただリモートデスクトップ的に画面を転送してスマホで疑似的にスキャン作業ができるRevo MirrorというPC&スマホアプリがあるということで、Wi-Fi圏内であればデスクトップPCから離れた場所でもスキャンはできそう。ということで、飲み込めるデメリットかなと判断しました。

2026.1.31追記:Wi-FiモードはINSPIRE2自身がアクセスポイントになるアドホックモードを使うようです。なので、自宅や会社のWi-Fiネットワークに関係なく、物理的にINSPIRE2本体とPCがある程度の距離にないと無理そげ。

RevoPoint公式のトレードインを利用

RevoPoint公式ストアでは比較的最近のモデルを下取りしてくれます。今回はそれを利用しました。INSPIRE2が68,600円、POP3Plusの下取りが39,560円で差し引き29,040円。国際配送料が3,500円と高めですが支払い総額32,540円でアップグレードできました。

しかも、返品は「スキャナーのみを返送してください。スキャナーに付属していたアクセサリーは返送しないでください。」とあり、POP3 Plusを買った時に二軸ターンテーブルとモバイルキット(グリップ型のモバイルバッテリーとスマホホルダー)を含んだアドバンスセットにしたんですが、それらは返さなくて良いので、INSPIRE2はモバイルキットを含まないスタンダードで済みました。ケーブルやマーカーシールなどの消耗品もダブつきます。後から「アクセサリーというのはセットのモバイルキットやターンテーブルのことで、ケーブルやキャリングケースは返せよ!」って言われないかドキドキでしたが、本当にスキャナー本体だけプチプチに来るんで宅急便コンパクトに入れて送っただけで特になにも言われずでした。

返品物が倉庫に届いて検品されたら新しいのを発送します、となってましたが、ブラックフライデー中だったからか、普通に注文した翌日くらい、返品物の発送すらしてない時点で発送連絡が来ました。UPSで中国から送られてきました。

使用感

とりあえず新たに使えるようになった平行レーザーモードをテスト。以前敗北したブラックのSesame5をスキャンしてみました。PCとの接続はUSBまたはWi-Fi。Wi-Fiはインフラストラクチャモード、つまり自宅のSSIDに接続することはできず、INSAPIRE2が飛ばすSSIDに接続する形。つまりPCがWi-Fiオンリーだとスキャン中はネットに接続できなくなります。ウチでは基本PCは有線でネットにつながっているので、Wi-FiはINSPIRE2専用にできる。試した限りWi-Fiの方が微妙にガタ付くけど実用上は問題なさそうなので、Wi-Fiで使おうかな。そうなると給電を小さなモバイルバッテリーで賄えるとヨサゲ。モバイルキットのグリップ型バッテリーでもいいんだけど、せっかくコンパクトなので、スティック型か薄型のバッテリーを本体に貼り合わせて一体感もたせた方が細かい角度調整とかできそう。

ソフトはPOP3+で使うRevoScanではなくMetro Yと共通のRevo Metroに変更になりました。まぁ基本操作は同じ、できることも多分同じっぽい。

実際のスキャンの様子を動画にしてみました。

目視ではレーザーは見えないですが、画面上では並行レーザーが表示されます。これが当たったところから形状がスキャンできていく感じ。ジャイロの追従性は上々でこの線で対象物を撫でるようにスキャンしていく感じです。構造光式のPOP3+とは効率もトラッキングエラーの少なさも雲泥の差です。これだけで買い換えた価値があった。

スキャンにはPOP3+とセットで買った二軸ターンテーブルを使用。標準のターンテーブルより少し広くて、天面に敷くマーカー入りのシートが付属。これだけでもなんとかスキャン可能ですが、周りにマーカーブロックを置いてやるとよりトラッキングエラーが減った気がします。平面だけでなく立体としてマーカーが増えるのが良いのかも。あとRevo Metro上でマーカーサイズが3mm、6mm、9mmをそれぞれON/OFFできますが、使っているのは全て6mmなので、誤認識しないよう3mmと9mmはあらかじめOFFにしています。Sesame5自体には消耗品であるマーカーシールを貼らなくてもこれだけスキャンできるのは感動。

裏表をとって合成すれば完全体モデルとして一応形にはなります。ただスキャンしたものの精密度という意味ではやや物足りない。小さなLEDやリセットホール、サムターン回転部分の溝なんかはつぶれてしまっていますし、平面が平面になっていなくてポリゴンがもこもこ凹凸になってます。仕様ではもっと精密に取れるはずなので、やはり黒物体というところで精度が落ちてるのかも。あと今回は三脚に固定せず手持ちでスキャンしたのも影響してる?リバースエンジニアリング用に基本形状が取れればいいっちゃいいんですが、ガジェットがメインだけに平面はもう少し綺麗になってほしいなと。

次は三脚にスキャナーを固定してやってみます。それでもダメならやっぱりスプレーかけるしかないのかな。マーカー貼ってもそこは改善しなさそう。

黒い物体もスキャンできるというのも買い換えの動機ではあったけど、仮にそこまででなくても並行レーザーのスキャンの早さと失敗の少なさだけでも充分買い換えた価値はあったと思うので、スプレー必須となってもまぁ泣きはしないかな。

まとめ

買い換えでようやく3Dスキャナーを実用的に活用できそうな気がしてきました。PC(GPU)パワーは必要ですが、それを満たせるならこちらをお勧めしたいです。

これでぼちぼち出るであろうSesame6シリーズが出てもリバースエンジニアリングが捗りそうです。スキャンのためにホワイトモデルを選ばなくてもよくなるかな?他にも市販ガジェットの3Dプリントアクセサリを作るのに活用していきたいと思います。

2026.01.31追記

改めて実際のプロジェクトで使ってみたので追加レビューです。

モノとしては、クルマの内装です。FireTV Stickのリモコンをシフトレバー脇の曲面部分につけるホルダーを製作しました。

ちょっと作業時間は日没しかかりでかなり暗かったので、LEDライトで照らしながら。新車でマーカーシールを貼るのが憚られたので、マーカーブロックを周りに置いただけでチャレンジ。内装は濃いグレーでシボ模様が入っている感じ。構造光のPOP3だとかなり厳しそうな条件でしたが、さすがに並行レーザーだといい感じにスキャンできました。

マーカーブロックを上面に置いただけだと、下の方にマーカーがないことになるので、せめてそちらにはシールを貼るか、線状ブロックをマステで貼り付けるなどすればさらに早かったかなという印象。ともかく充分なマーカーが周囲にあれば大抵のものはスキャンできるんじゃないかなという印象を強くしました。マーカーはとにかくたくさん配置しましょう。

シールよりブロックが楽で良いです。純正は高いですが、別にこの形でなくてもいいので適当な物体にベタベタ貼って付近に転がしておけばいいと思います。

MakerWorldにもモデルデータがあります

上の写真はRevoMetro上で余計な部分を切り落として必要な部分だけにした感じ。この操作も慣れるとスムーズで、Fusionに持っていった時に重くなりがちなメッシュデータを必要最低限にそぎ落とせて良いです。

ちなみにメインのRTX4090機はデスクトップ機なので、本来ならWi-Fi経由で接続し、画面をスマホ+専用アプリでミラーしながら作業する形になる予定でしたが、なぜかデスクトップ機のWi-Fiが不調で、急遽MacBook Pro M1Maxを車内に持ち込んで作業。パフォーマンス的にも充分だし結果的に作業性も大幅アップしました。STL出力までM1Maxでやりましたが特に重たさは感じません。4,5年前の機種ですが普通に使えるとわかってこれも嬉しい誤算でした。ちなみに公式スペックは最低M1 Pro以上、推奨M2 Pro以上となっています。

実際にFusionにインポートして作成したモデルがこちら。さすがにSTLをそのままBooleanで切り抜くまではいかないですが、オフセット平面を3cm刻みで作って5面くらいでスケッチをして、そのスケッチ間をスイープでつなげてソリッドにしています。

曲面といっても割と単純だったので小一時間くらいでできたかかな?

プリントしてリモコンと一緒に貼り付けた様子。

かなりピッタリつきました。強度や設計的な形状はしばらく使ってみての検証ですが、曲面に沿わせるという意味でINSPIRE2はバッチリ機能しました。(PCが推奨環境を満たしていれば)7.7万でこれが使えるのはコスパ良いです。マジでPOP3から買い換えて良かった。実際の購入は去年なので2025年買って良かったものランキングBest5に入れときます(記事にしてないけど)。

更に再レビュー記事も書きました。

[3Dプリント] xTool F1/F2用アイテム配置治具の製作

レーザー加工機xTool F2にはカメラが搭載されて、適当に並べた複数アイテムに同じレイアウトでAIが位置決めをしてくれる「バッチフィル」機能があり、量産に便利です。

ただ、やはり最初の1つは毎回手動で位置決めをしないとならないし、その1つ目はしっかり水平垂直を出して配置しないとだし、それをしても厳密な位置決めは難しい。1回学習させておけば、次のセッションでは見本無しでレイアウトしてくれればいいんですが、どうも現状ではそれはできないっぽい。

そうなると結局それなりの数量産するなら配置用の専用治具を作った方がよくね?という話になります。そうすれば物理制約通りにアイテムをはめ込んでいくだけで毎回固定位置に配置できるので、あとはxTool Studio上でも同じプロジェクトファイルで一発加工できます。

ということで早速作りました。xTool F1/F2のベースプレート部分を差し替える形にしたので、ネジ止めなども不要です。

実際にアイテムを並べてみた様子がこちら。

ちなみに今まではこんな感じで、付属のL字固定後をベースプレートにネジ止めしてそこにピタっと寄せるように1つ1つ位置あわせをしていました。

関係ないけどF1付属のL字治具はプレート同色だったのにF2は黒になってちょっと残念…

このアイテムは正方形なので割とあわせやすいですが、それでもコツンと当てたつもりでも反動で離れてしまったり、アクリルシールドを降ろしたショックでズレてしまったりと、慎重な作業を求められていました。3Dプリント品は軽いのでわずかな振動でもブレてしまいます。さらにこれがもっと複雑な形状のアイテムだと単純に沿わせるだけ傾きなども気にしなければならなくなります。そしてなによる一度に1アイテムしか加工できない。

これを配置プレートにすることで、

  • 雑に配置してもズレない
  • 一度に多数のアイテムを加工できる

ということで大幅に作業効率をアップできます。

ベースプレートのCADスケッチはできたので、後は3Dプリントアイテム毎にカスタマイズはすぐに作れます。F1/F2ユーザーさんからカスタムオーダーも受け付けようかな?

ただベースプレートの脱着って本体を浮かせて下から押す必要があり地味に面倒。近いうちに本体を少し浮かせて指をやRA2が通せるようにするリフターを作ってかませようと思います。