WordPress記事に3Dモデル(STL)を貼る

3Dプリンター製作物の紹介記事が増えるにつれ、その形状をブラウザ上でグリグリできるような形で紹介したいことが増えてきます。

以前はEmbedSTLというプラグインを使用してこちらのような貼り方をしていたのですが、あまり自由度がなくイマイチでした。また2年ほどアップデートがされておらず、メンテナンスが終了している可能性もあり、ちょっと使い続けるには微妙かなと。

EmbedSTLの表示例

そこで改めて物色し、Woo3DViewerを発見しました。こんな感じの表示になります。まずはそれぞれ使い比べてみてください。

操作方法は共通で、

  • 左ドラッグでアングル
  • 右ドラッグで位置移動
  • ホイールでズーム

です。

Woo3D Viewerの表示例

Loading file
  • Fullscreen
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Controls

×
  • Rotate with the left mouse button.
  • Zoom with the scroll button.
  • Adjust camera position with the right mouse button.
  • Double-click to enter the fullscreen mode.
  • On mobile devices swipe to rotate.
  • On mobile devices pinch two fingers together or apart to adjust zoom.
  • On mobile devices 3 finger horizontal swipe performs panning.

サイズやモデル、背景の色もことこまかにカスタムできるのがいい感じで、乗り換えることに。

■Woo3DViewerの特徴

Woo3DViewerは基本機能無料で、一部の機能は有料版のProのみ利用可能となります。ちなみにWordPressのプラグインディレクトリでは「Easy 3D Viewer」という名前で表示されます。

以下がプラグインの画面です。WordPressプラグインあるあるですが、入り口がサイドバーの歯車アイコンで、他のプラグインとかぶっているのはご愛敬。メディアライブラリにアップロードした3Dモデルを「Set Model」から選択し、各種パラメーターをプレビューを見ながら設定し、「Generate」ボタンでショートコードが生成されます。これを記事にコピペすることで上記のような表示ができます。正直手間としてはEmberSTLに比べるとひと手間かかります。また修正したい場合も、ショートコードを記事からこの画面にコピペして戻してやる必要があったりします。データベースには残らず、あくまでショートコードジェネレーターという仕組みですね。簡単なパラメーター変更ならショートコードの中身を直接書き換えてもいいんでしょうけど。

そのちょっとした使いにくさを補ってあまりある機能的長所があります。[PRO]と書いたのは有料版の機能です。

  • モデル色、背景色、質感などをカスタマイズできる
  • 全画面モードがある
  • 自動回転アニメーション
  • STL以外のファイル形式にも対応(.OBJ, .STL, .GLTF, .GLB, .ZIP [以下PROのみ].3MF, .WRL,)
  • 各種初期パラメーター(角度、ズームなど)も指定可能
  • [PRO] PNG、アニメGIFなどへの変換
  • [PRO] モデルの修復、ポリゴン削減、圧縮(読み込み高速化)
  • [PRO] 外部サイトのモデルを表示
  • [PRO] 1ページ内に複数モデルの表示(10個まで)

有料版は$29で、購入時点で税込み5,477円でした。正直プラグインとしてはお高いなと感じてしまいましたが、個人的には1記事に複数貼りたいケースもあるなということで購入に踏み切りました。特に今後取り組んでいきたいクライアントワークで、客先にイメージを伝えるのにブラウザ上でプレビューを見せられるのは有用だなと思い。WordPressで固定ページを作りパスワードをかけて共有すれば、相手がSTLビューワーをもってなくても超簡単に閲覧してもらうことができます。全画面モードでみてもらえばかなり詳細まで確認できて良いなと。

STL保護が課題

EmbedSTLでも同様ですが、一番の懸念は生stlファイルをアップロードしてURLで参照するので、HTMLソースをみれば直リンクが露呈してしまう点。例えば販売商品紹介で使うとSTLを取得され勝手に複製されるリスクがあります。それもあって、今までもあまりEmbedSTLを積極的には使ってこなかったし、そこはWoo3D Viewerになっても同じかなと。当面は「販売予定がなくSTL盗用されても惜しくないもの」と、パスワード付きでクライアントワークの成果物共有用という形になるかなと思います。

はんだごてを買い換え。goot PX-280はインサートナットにも最適解!

4年ほど前に購入したこちらの半田ごてが壊れました(以下Manelord)。

電源ランプは点くものの、全く温まりません。というか温まったり温まらなかったり。分解してみるとヒーターにつながるコードのハンダが剥がれてました。ヒーターに通電しないんだからそりゃ温まるわけがない。というか普通に危ない。最近、インサートナット用のこて先が固着してペンチでグリグリしたのも良くなかったかも。

(インサートナットとは3Dプリント造形品に専用ナットを熱で埋め込んで、頑丈な金属ナット受けを作る技法です。)

ハンダ付けし直せば治りそうですが、それには半田ごてが必要ですw。自動車のインロックみたいな状況。

仕方ないので追加で1本買って、古いのはもし直せたらインサートナット専用にしようかなと。ちなみに使っているのはこれ(以下ShineNow)。先端のチップがネジで脱着式になっていて1つで様々なサイズに適用できてコスパが高いです。

■どうせ買い直すなら良いのにしよう!

なんだかんだでちょいちょい使うので、どうせなら性能や使い勝手の良いものに投資しましょうということで検討開始。

まず思ったのは温度がデジタル表示付きで確認&設定できるものがいいなと。海外の劇安品でもあるにはありますが、やはり信頼性で国産のHAKKOかgoot(太陽電機産業)くらいを狙いたい。有名なHAKKOは7千円くらい、gootで5千円、海外製だと2千円台といった相場感。

値段もさることながら、いくつかの理由でPX280に決定しました。メーカー公式ページはこちら

・goot PX-280の魅力

インサートナット用こて先ラインアップが豊富

古いのを直してインサートナット用にするつもりではありますが、万一きちんと治らなかった時の選択肢として重視。アリエクで売っているようなインサートナット用こて先は古めのデ・ファクトスタンダードの規格で作られていて、現行の国産半田ごてには使えないものがほとんど。色々なサイズがセットになっててお手頃なのはいいんですが、逆にまたそれにあわせて古い規格の半田ごてを買い直すのもなんだなと。

その点、PX-280は純正でインサートナット用のこて先が何種類も出ているのが良き。ただアリエク品のように先端だけねじで交換できる方式ではなく、サイズ別のこて先まるごと交換なので、M3,4,5…と買い揃えると地味に値段がはります。それでもまぁあるのは有り難いなということでPX-280選択の理由のひとつになりました。

耐熱保護キャップがある

太洋電機産業(goot) PX-280専用 耐熱保護キャップ PX-28CAP

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440円(07/09 16:15時点)
Amazonの情報を掲載しています

別売りになりますが、シリコン製のキャップが用意されており、熱いままの半田ごてをすぐに収納できます。気持ち的に収納までするのはやや不安ですが、少なくともそこらに転がして冷ましておくことができます。もちろんManelordに付属していたこてスタンドもあるので、それに挿して冷ませばいいんですが、猫とかもいるしキャップしておけるのは安心感あります。

PX-280側がネジのように見えますが、実際には押し込むだけでピチっとはまり、瞬時に脱着できます。PX-280を買うなら是非セットで買うことをオススメします。

その他の機能として、

  • Manelordの60Wに対し80Wなので加熱が早く、すぐ使える
  • 振動センサーで使っていない時は200℃(設定で変更可能)まで温度を落として待機、手に持つと自動で設定温度に向けて復帰開始
  • 更に長時間放置(初期値60分で0〜999分で設定可能)すると、自動で電源OFF
  • 断線、異常などのエラー表示

といった感じ。省電力、安全面でも配慮がされているなという感じ。80W、操作UIがある分、今までのManeloadに比べて一回り太くて重いので取り回しが悪くなりますが、立ち上げの速さは感動ものです。

なんということでしょう!

嬉しい誤算なのですが、前述のShineNowのインサートナット用のこて先がPX-280にもピッタリ装着できました!これはManelordの半田ごてはいらないんじゃ?実はManeloadにShineNowのこて先つけると微妙に長さが合わなくてしっかり固定できなかったり、装着したまま冷ますと固着して外せなくなったりと微妙に合わなかったんですよね、、それを考えると、無理にハンダ作業用とインサートナット用で使い分けなくても、どちらもPX-280で使っておけばいいのかも。まぁManeloadをインサートナット専用にするなら別に脱着できなくてもいいし、温度調整もそれほどシビアに感がなくていいので、付け替えの手間を思えば使い分けもメリットあるんですが。ちょっとその辺りは実際に運用しながら検討してみます。MakerWorkdなどにモデルがたくさんある、インサートナット専用スタンド(垂直にまっすぐナットを入れる工具)を作ってみるのもいいですが、置き場所がなぁ…

■Bento3Dで専用ボックスを作る

Maneloadのセットに付属のプラケースでは入らないし、ツメが折れたりもしてきてるので、ハンダ用品一式を入れる収納ボックスを用意しようと思い足しました。百均で物色してきても良かったんですが、せっかくなので前々から気になっていたBento3Dでジャストフィットなボックスを作ってみることに。Bento3Dはブラウザ上で簡単に仕切り付き、フタ付きの収納ボックスを設計してSTLファイルをダウンロードできるWebサービスで、3Dプリンターがあれば簡単に思い描いたボックスを出力することができます。

まず外形サイズはこんな感じ。本当は250mm取りたかったんですが、X1-cのビルドプレートに収まらなかったので縮小。PX-280はナナメにすれば入るという感じ。

せっかくなのでパーティションもつけてみました。

この設計を元に自動的に

  • 外箱
  • フタ
  • リッド(留め具)
  • 内部仕切りボックス

の4パーツのSTLファイルがダウンロードできるのでスライサーに読み込んで造形します。

内部仕切りボックス以外の3点はレイヤー高さ0.1mmが推奨設定でしたが、めちゃくちゃ時間がかかってしまうので、0.4mmノズル・0.12mm高で妥協。「お好きに」と書いてある内部仕切りボックスは久々に0.6mmノズルを使ってさらに大雑把に造形しています。所要時間とフィラメント量はこんな感じ。フタは文字を入れたのでその分増加しています。

フィラメント使用量所要時間
外箱172g5時間46分
フタ104g2時間38分
リッド(留め具)1.8g31分
内部仕切りボックス193g5時間21分
合計約470g約14時間

まぁまぁの大物プリントです。フィラメント使用量は約0.5kg=半スプールと考えると、原材料は1,000円弱というところでしょうか(主にELEGOO RAPID PLA+を使用)。

プリントパーツ以外のネジ類が必要です。

Amazonではねじは30本入り1,419円しかなく、平行ピンは売ってすらいません…

すでに大半の造形を終えていたので焦りましたが、どうにかモノタロウで発見。それぞれリンクしておきます。小計799円+送料500円でしたが、初回登録500円クーポンが適用できたので、税込み879円で購入できました。少し高いですが4,5回分はあるのでまぁヨシ。ネジはコーナンとかでもありそうだけど、平行ピンはどうかなぁ。今度行ったら探してみます。

実質の原価合計でいうと1,100円というところかな。百均で買うことを思えばかなり割高ですが、一度Bento3D使ってみたかったのでヨシ!

代行出力のご相談もお受けしています(とはいえ上記の値段にはなりませんが)。

仕上がり

使い道がなくスペースをとっているゴールドのフィラメントを消費しようとも思ったけど、さすがに派手すぎるのでワンポイントだけ使用。

■まとめ

安物の半田ごてManeloadが壊れたので、これを気に少し良いgoot PX-280を購入しました。デジタル温度表示で通電後みるみる温度が上がっていくのは非常にストレスなく使い始められます。耐熱キャップの存在や、電源切り忘れても自動でOFFになるなどの安全面でも安心感あります。それでいてHAKKOよりはお手頃だし、結果的にShineNowのインサートナット用こて先も流用できたので、非常に満足度の高い買い物になりました。

数年使ったManeloadより一回り大型化してしまった点だけが気になっていますが、総合点では明らかにメリットの方が大きいのでしっかり慣れていきたいと思います。

2025.7.9追記: 専用こて台も買ってしまった

PX-280が予想以上に気に入ったので、専用こて台まで買ってしましました。

PX-280専用というよりgoot製汎用ですが。

最近はスタンドはManelordの付属のものを使い、こて先クリーナーはHAKKOのワイヤータイプ(金だわしみたいなヤツ)の599Bを使ってました。が、ManeloadのスタンドだとPX-280はやや重くて不安定だったのと、ぼちぼち599Bの金だわし部分が寿命かなという感じだったので、これを気に買い換えることに。

最近は専らワイヤータイプのクリーナーでしたが、やはり水を含ませたスポンジも一長一短でしっかり使い分けた方が良さそうということで、探したところ、ちょうどgootの純正スタンドに両方ついたST27が。少しフットプリントは大きいですが、485gとしっかりとした重みがあって安定感あります。また半田ゴテを挿入する部分の角度が調整可能なのもヨサゲ。

実際にPX-280を置いてみると、さすがのピッタリ感。そして写真のように金属のループが引っかかって半田ゴテが持ち手側にひっくり返る心配もなさそう。総じて安心感が高いこて台だなという印象です。

角度調整はしっかりネジで締め付けて固定する方式なので、こまめに調整するというよりは固定でガッチリ角度を決める想定なのかな?作業場に出しっぱなしな人向けという感じ。自分みたいに使う時だけデスクの空きスペースで作業するという場合は、都度都度角度調整したくなるかも?まぁでもネジの締め具合次第でいい感じの固さにもできるかな?

3Dプリント造型物に適したフォント選びと限界サイズテスト

3Dプリント品に文字を入れたいことはちょいちょいあります。凹または凸モールドで刻印したり、AMSで色をかえたり。「ON/OFF」のような操作や位置を示したり、最近だと使用したフィラメントの種類(PLA/PETG/ASA等)を入れておくと便利です。

そんな時に使うフォントを決めておきたいというお話。Fusion上で文字を入れて押しだしをする場合、結構な数のフォントはエラーになって使用できません。調べても原因はよくわかりません。.ttfや.otfといったフォーマットの違いでもなさそう。もちろんIllustratorなどでアウトライン化してsvgなどでインポートすればいいんですが、面倒くさいので除外。

第一要件はFusion上でそのまま押し出しコマンドが適用できること。

次の優先事項としては、「小さくしても線が潰れたりせず読めること」です。そのためにはゴシックというかサンセリフ系の飾りが少ないシンプルな字体が良いかと思います。かな漢字はそこまで使用頻度が高くないので、一旦英字のみで考えます。

FDM 3Dプリンターは鋭角コーナーがあるとヘッドの速度が落ちるので、丸っこい字体がいいかも知れませんが、そこはまぁおまじない程度のものかなと。

元々PCに入っていたものでいうと、BahnschriftとOCR-BがFusionでも押し出せてヨサゲ。

■Bahnschrift (Fusion OK)

Bahnschrift(発音はバーンシュクリフト?)はDIN(ドイツの工業規格。日本でいうJIS)フォントという道路標識などに使われる字体が源流でWindows標準で入っているので、なにも考えずにさっと使えるし、プロジェクトファイルを共有するにも面倒くささがなくてヨサゲ。シンプルで大文字の視認性が良いのがありがたい。

■OCR-B (Fusion OK)

OCR-Bは後から自分で入れたものだったはず。文字通りOCR(機械読み取り)用に作られたもので、結果的に人間からしても視認性は上々。Adobe FontsにあるのでCC契約してればインストール可能。EPSONも配布しているようだけど、ライセンスは不明。同社のプリンターユーザなら使用可能?

■WIP MARKS (Fusion NG)

一応探してみると、やはりといういか3Dプリンターで使うことを想定したフォントといものも既にありました。例えば、BOOTHでkj_makingさんが頒布(個人無料/商用500円)されているWIP MARKSです。WIPはWorking In Progress(開発途中)の意味のようなので、最終的にはMARKSという名前になるのかも?STLにした時のデータ量を小さくするのが目的らしく、かなり直線的な字体です。また整列などもしやすいよう文字高が揃えられているそう。かなり小さいサイズで実際に造形してテストされているのが好印象です。ただしトップ面に凹文字はあまり綺麗に出ないと作者自ら書かれてるのが気になる。トップ凸、サイドなら凹凸共に良好とのことですが。これが他のフォントと比べてどうなんだろうというところでしょうか。早速試してみましたが残念ながらFusionで押し出しはNGでした…

■Osifont (Fusion OK)

次にRedditで見つけたスレッド「Give me your favorite fonts to 3d print!(3Dプリント向けのお前らのお気に入りフォントを教えてくれ!」も色々寄せられていました。その中でPrintables.comにこれまた実際に3Dプリンターで造形したものを比較してTier付けをしてくれたポストがリンクされていました。おっとこれは有用。Tier SにランクされているのがOsifontOverpass。Overpassの方がわずかに好みでしたが、OFT形式でFusionでは押し出しNGでした。

このTier表でいうと、OCR-BはTier B、Bahnschriftの源流であるDINはなんとTier Cだそうです。

■造形してみた

実際に造形して比較してみました。

プロファイルはもっともよく使う「0.2mm Standard」。フィラメントはELEGOO PLA RAPIDの黒。

なぜかBahnschriftは不安定でした。同じスケッチ面に描画してるのに、なぜかベース面から距離があいて押し出してもベース面と結合しない。わざわざ0.01mm下げてやらないとならない、みたいな。それでもEとFはくっついてくれず諦めました。また、その問題のE,Fの他にAなども糸引きのように無数の線が発生。これがFusionで問題となる「パスが閉じていない」という状態なんでしょうか?でもAは普通に結合できるのが謎。

ともあれBahnschriftのE、Fは諦めてスライサー(Bambu Studio)へ。個人的によく使う文字高5mm、刻印の深さは0.3mmで、左が凸刻印、右が凹刻印です。トップ面のアイロンも無し。

プレビュー時点で、Bahnschriftは線や内部の〇が欠けてしまっています。「A」の横棒とか「9」の中の〇が出なさそう。osifontとOCR-Bではosifontの方が文間が狭く、より狭いスペースに配置できそう(文字高も違う?)

実際に造形したものがこちら。

凸はosifon、OCR-B共に良好。凹は欠損はないけど周囲の造形線が影響してかなり読みづらいです。パターンを変えたりアイロンをかけるとマシになるかも知れません。

次にフォントをosifontに絞って、サイズの限界値を探ってみました。上のが5mmなので、4/3/2/1.5mmで、凸と凹で。

凸の方はスライサーの時点で3mm以下は消失。Boldにしてもダメでした。凹の方は割と粘ります。

立ててみるとこんな感じ。凸は4mmでも擦れ気味。凹は3mmまでは欠損なさそう。

凹のサイド面を積層ピッチ0.12mmで造形してみました。

小文字は0.3mmが限界ですが、大文字と数字だけなら0.2mmも辛うじて、というところ。材料表示など「目をこらして読めればOK」みたいな表示であれば、0.2とか余裕もって0.25~3mmくらいはアリかな。

ノズルを0.2mmにするとかなり改善します。凸は2mm、凹は1.5mmも一応造形はできそう。

■まとめ

字形が好みなBahnschriftは残念ながらトラブルが多そうで除外。osifontが狭いスペースに書き込めるので良さそうです。スライサー上でのシミュレーションで見る限り、限界値はこんな感じになりそう。実際にはフィラメントや色、アイロン有無、積層ピッチ(レイヤー高)でも視認性が違ってくるでしょうが、とりあえずきちんと形が造形される限界値の目安として。

トップ面凸トップ面凹サイド面凸サイド面凹
0.4mmノズル5mm3mm5mm2.5mm
0.2mmノズル1.5mm1.5mm2mm1.5mm

特にサイド面は積層ピッチで縦方向の解像度は大きく変わります。スライサーのプレビューを見ながら微調整するのが良いでしょう。

また今回はFusion上で描いています。もしかするとスライサーのテキスト機能でやったら違う可能性もあります。

凹凸の選び方については、基本凸だと寸法に影響でるので凹の方が無難ですが、トップ面については造形線が縁取りのように出てしまって表面が荒れるのが悩ましいところ。可能であればサイド面の凹刻印が無難そう。凸でも0.3mmくらいならなにかをスライドして接合する面でもない限り実害はないと思いますが。

[3Dプリント] プリンターのLEDが眩しいのでカバー ~3Dスキャナで曲面形状を採取する

最近、3Dプリント販売品を発送するのにクリックポストのラベル印刷をすることが増えたので、使用頻度が低いので都度電源を落としていたレーザープリンターをスリープ待機させることにしました。プリンターはネットワーク対応のLBP6240です。

ただこのモデルはスリープ中でも高輝度の青色LEDパワーランプが煌々と光っており、寝る時にウザい。パーマセルテープとかで完全に塞いでもいいですが、一応電源が入っているか確認できた方がいいので、3Dプリンターでほどほどに減光するカバーを作ることに。

しかしこのLEDがついているパネル部位はサイドに向かって湾曲しており、単にLEDの外径を元に円柱で押し出すだけではビタ付けができない…

完成したカバーを貼り付けた状態

そこで、3月に買ったばかりの3Dスキャナ、RevoPoint POP3でフロントパネル形状を読み取り、それに沿った背面形状をモデリングする手習い。

スキャンする部位が小さいのでスキャナを動かすまでもなく一発撮りできるし、色も白なのでハードルは低め。練習にちょうどいいかなと。実際にはLED自体が消灯でも点灯でもあまり綺麗にとれなかったですが、フロントパネルの曲面はしっかりキャプチャできたのでヨシ。

RevoScanで読み取ったテクスチャ付きデータ

RevoPoint専用ツールのRevoScanから.3mf形式で書き出し、Fusionに取り込んでボタン背面を削り取ったのがこちら。なおソリッドモデルをメッシュモデルで直接削り取ることは(たぶん)できないので、メッシュモデルに沿ってスケッチで線をなぞってソリッド化しています。今回はパネルが一時曲線なのでサクっとできましたが、上下にも左右にも湾曲している形状だと更に大変。この辺りはもう少し修行したいです。

ともあれ、できあがったのがこちら。曲線のフィット感はバッチリでした。

光の透過具体(部材の厚み)を少し試行錯誤して完成。

このプリンターも2016年購入でもうすぐ10年選手(発売は2014年)。公式にはWindows8.1位でサポートが止まっていますが、普通にWindows10/11でも使えてるので、まだまだ現役で使えそうです。

仕事でA4ドキュメントを印刷することはほぼないので、A6のラベル用紙をメイントレイにセットしてクリックポスト宛名印刷専用機となっていますが、、

X1-CarbonのPTFEチューブ交換記録、Modパーツ装着

BambuLab X1-Carbon Combo(以下X1c)を導入して1年3ヶ月。消耗品であるPTFEチューブ他、消耗品を交換したのでメモ。

■PTFEチューブ交換

要所要所でフィラメントを通しているPTFEチューブですが、摩擦ですり減るので消耗品とされています。摩耗しているとスムーズにフィラメントが送れず詰まりの原因となるようです。一概にどれくらいという指示は見当たりませんが、コネクタの抜き差しをするところの変形などが気になったので交換することにしました。

情報画面によると総プリント時間は1,738時間となっています。公式情報ではないですが、ChatGPTさん曰く、

  • 一般的には 500〜1000時間 程度の印刷ごとに点検するのがおすすめ
  • 高温フィラメント(例えばABS、PC、PA、CF混合素材など)を多用する場合は、摩耗や変形が早く進むため 300〜500時間 くらいでの点検を推奨
  • 交換の判断ポイント
    以下の症状が出ていれば交換した方が安心です:
    ☑ フィラメントの抜き差しが固い・引っかかる
    ☑ チューブの内径にスレや削れが見える
    ☑ チューブの先端が焦げていたり、変形している
    ☑ ノズル詰まりが頻発する
    ☑ 弾性フィラメントの押し出しが不安定

とのこと。-CFフィラメントも時々使うことも考えると、充分な時期は来てるというかむしろ遅いレベル。またノズル詰まりも頻繁に発生しています。こういうアナログ的な消耗は明確に発生を認知しづらいので、1年とか決めて定期的に交換するのが良さそうですね。

交換用のPTFEチューブは公式ストアで販売されています。別に市販品でも内径と外径だけ揃えばいいんでしょうが、公式のは機種毎に必要な長さにカット済みだし安心感を買う意味で公式サプライを購入しました。X1c用は送料別で680円。なにかのついでに買うのが吉ですね。交換手順も公式Wikiに動画が掲載されています。バッファー部分のチューブ交換は本体背面にアクセスする必要があるのでぎりぎりスペースに設置している我が家ではちと大変でしたが、作業自体は10分ほどで終わりました。

これでフィラメント送出トラブルが減るといいな。

■スティック糊の買い換え

BambuLabプリンターには2種類の糊が付属してきます。固体のスティック糊(ビルドプレート専用スティックのり)と液体のり(ビルドプレート専用液体接着剤)です。正直使い始めた当初は2つある理由はわかっておらず、塗りやすさから液体のりを中心に使っていましたし、そもそもビルドプレートのメンテナンス(洗浄)の手間を惜しんで、どうしても定着しない時以外なるべく使わないようにしていました。特にスティック糊は粘度が高くフラットに塗り広げるのが面倒でほとんど使っていませんでした。

ただやはり2つあるのにはそれなりに理由もあるらしく、接着力の液体糊、剥がしやすさ、洗いやすさのスティック糊という感じっぽい。ABS/ASA/PCのような高温素材では液体糊の接着力がないと剥がれて反りが発生するが、剥がしが大変だったり、乾いてしまうと除去が大変。PLA/PETGくらいならスティック糊くらいの接着力が剥がしやすさとのバランスも考慮すると適当らしい。

ただスティック糊はダマになりやすく底面の荒れにもつながるのでChatCPTさんに相談したところ、「そりゃスティック糊が劣化してるわ」という回答。公式では24ヶ月となってますが、ChatGPTさんは12ヶ月で使い切るのが良い、と。まぁ保管環境によっても違ってくるんでしょうが、とりあえず1年経っているので買い換えてみることに。そもそもPLA/PETGだとそこまで反りに悩むことはないですが、今後はこういう観点で使い分けていってみようかと思います。

あと送料無料条件を満たすのに購入アイテムを詰むのに、安い糊製品は便利だったり。単価でいえばAmazonなんかで社外品を買う方が安いかもですが。

■BIQUのワイパーとプープ詰まり防止プレート

みんな大好きBIQU(Panda)のBIQU Purging Reliability Improvement Upgrades Multi Material Printing Enhancement Kit for Bambu Lab P1/X1 3D Printersという社外アクセサリ製品を導入してみました。

同じくX1cの消耗パーツとしてノズルワイパーがあります。フィラメント交換時にノズル先端を擦り付けてゴミを除去する部位で、X1cでは1cm程度の短いPTFEチューブを使ったローラーのような構造になっています。ノズル先端に前の色のフィラメントが残ってたりすると造型物に意図しない色が残ったりするので、確実に先端を綺麗にするのは重要です。これがA1やH2Dなど後発モデルではシリコンのブラシになっています。MakerWorldなどでこのA1用シリコンブラシをX1cのノズルワイパーの代わりに取り付けるモデルがたくさん公開されていて、自分も2つほど試してみたいんですがどれもイマイチでした。微妙に干渉してエクストルーダーが引っかかったり、PETG程度ではノズルの熱で溶けてフィラメントくずと溶着してしまったり。結局純正ノズルワイパーに戻してたんですが、BIQUで完成品のPanda Brush PXが販売されていたのでゲット。さすがの精度でぴっちり取り付けでき干渉もないです。またアルミ製なので熱で溶ける心配もナサゲ。予備のシリコンブラシも付属しています。MakerWorkdのモデルはもともとのノズルワイパーを固定している小さな小さなネジを外して組み付ける方式がほとんどで、ウチのように天面ガラスにAMSが載っていて全開放できない状態では作業性がとても割です。うっかりネジをパージシュートに落として、慌ててプープの山を探したり。その点、Panda Brush PXは横からスライドしてはめこむだけなのも良き。元のワイパーのネジはドライバーで外す必要ありますが、今後シリコンブラシを交換する時には工具無しでできると思います。

またセット商品で、パージシュート(プープを捨てる穴)にプープが貼り付くのを防ぎ、確実に背面から排出するための金属板Panda Purge Sheld付き。確かに、このパージシュートの手前面にちょいちょいプープが貼り付いて排出エラーが出ることあるので、良いかも!と。

MakerWorldで部品を作ってもA1用シリコンブラシを公式で買うと500円くらいするので、それも差し引くと、これらのセットが2,000円程度ならコスパも悪くないかなと。

■まとめ

1,700時間時点でメンテナンスとして消耗品パーツを交換/アップグレードしました。

世の中はH2Dが話題で、個人的にもデュアルエクストルーダーは魅力ですが、お値段的にも設置場所的にも当面は厳しいので、X1cはまだまだ活用してきたいと思います。