Meta Quest3を開封したのでインプレ

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Meta Quest3を買いました。Quest、Quest2、Quest Proと来ての買い増しというか2からのリプレイス予定。Proは着け心地、画質とも満足していますが、ハードタイプのストラップで固定で嵩張るのが難点。最近割と出張に持ってくのでこれがQuest2のようにゴム生地のベルトになり、更にQuest2よりコントローラーがコンパクトになり、画質も向上したのであれば出張持ち出し用として最適ジャナイカと考えたわけです。

Meta Quest 3 512GB

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容量は一応512GBにしました。ImmersedとかVirtual Desktop、PCVRなどをする分には128GBで充分かなとも思ったんですが念のため。

Meta Connectの基調講演中にふと公式ストアをみたらはやくも予約可能になったので速攻で注文入れたんですが発売日の10/10ではなく10/14着となってしまい、後から発売日到着のヨドバシで注文しなおしました。公式の色違いストラップも注文していたんですが、冷静になってみると付属品と同等品で本当に色が違うだけということだったのでこれはキャンセル。ナックルストラップとシリコンフェイスカバーのみ同時購入しました。

結局出張で開封できたのは10/13。公式でもあまりかわらなかったかも。

以下、Quest2はずっと人に貸しっぱなしで最近はQuest Proしか使ってない身からのレビューです。だいたいあちこちで書かれていることと同じになりますが、

  • パススルーの画質、解像度は確かに高いけど、歪みが大きい
  • コントローラーが軽くて扱い易い
  • パンケーキレンズで隅まで綺麗

という感じ。パススルー歪みは頭を動かさなくてもウネウネしてるので若干気持ち悪い。一方でパススルー越しにPCの画面をみて文章を書くくらいはかろうじてできるかなという解像度はあります。

液晶自体の画質差はアプリが最適化されてないのか(Pro比で)そこまで進化を感じないです。全体にレスポンスは良い印象。MRはパススルー綺麗だなーと思う一方で、実用的なキラーアプリがまだないかな。Immersedとかはまぁ周囲が見えて普通に便利ではあるんですが。

問題は装着感

Proの装着方式に慣れた身から久しぶりに顔面圧迫型に戻るとかなり装着感が劣るなという感触。ベルトを緩めにすると荷重が頬骨にかかって顔面の神経や血管が圧迫される感じが辛い。だからといってベルトをキツく締めるとフェイスパット全体が水中メガネのように顔面を押さえ付けてやっぱりしんどい。またピントをガチピンにするために頭頂ベルトを持ち上げるようにキツくすると、後頭部側がズルっと上にずれていきます。あー、Quest2のベルトに戻ったなという感じ。逆Tから逆Y字になったことで装着感が向上したかと期待しましたが、なんかすごく懐かしい「しっくり来ない」感。ぐぬぬ、やっぱりハードストラップを買わないとダメか?でもハードストラップならQuest Proでよくないか?というモヤモヤが拭えません。元々ハードバンド専用のProと比べてフニャフニャに小さく折りたためる点に期待してたので、、、あと寝転がって使う時やハイバックの背もたれ椅子に座って使う時に後頭部にハードパーツがない点が重要だったんですよね。あと純正ハードストラップ(Eliteストラップなど)はQuest2向けのが強度不足で破損しまくった経験があるのでいまいち買う気にならない。脱着するのが恐い。

とりあえず現在はこちらのパーツを注文して到着待ち。これだとEliteストラップのように後頭部が上にずれるの防げる上、ソフトパーツなので持ち運び時に嵩張らないんじゃないか、とか。

こいつが売り文句通りの性能なら福音になり得るかなと期待しています。

あるいはインナーレンズを作れば多少雑な装着でもピントが合う範囲が広がるかなぁとも思案中。

全体にメカ部分は進歩しているものの付属ストラップはやっぱり微妙、、というのが第一印象。

改めてMeta Quest Proな長時間装着が快適になるよう念入りに設計されていたんだなと。特にドリキンさんの頭頂バンドカスタムをすると、後頭部が枕や背もたれに当たること以外はとても快適(自分はパッド除去や重りはつけず、頭頂バンドだけ真似してます)。特にメガネerには断然オススメ。

あとフロント側にカメラが搭載されたことで、そちらを下にして机などに気軽に置きづらくなりました。この向きが一番安定感あったんですが。ハードカバーなども売られているようですが、そこまでするのもなぁという感じ。どちらかというとレンズ保護フィルムが欲しいかも。既に売ってはいるようですが日付もかかるし待ってればPDA工房あたりから出るかな?

■同時購入アクセサリのレビュー

Meta Quest アクティブストラップ (Touch Plusコントローラー用)

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歴代Questにもこれ系のナックルストラップはつけていました。手首用ストラップよりも脱着が簡単ですし、プレイ中に手指を開いてパーにしたりしても落ちないのでめっちゃ扱い易くなります。やっと純正品が出たかという感じ。ちょっと高いけどマストだと思って購入。Proで使ってる社外のシリコンのものみたいに伸びないので若干窮屈ですがまぁいいかなと。社外品でもっと安いものが出たらそれでも充分かも知れません。

Meta Quest 3 シリコン接顔部

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Beat saberやFitXRなど汗だくになるタイトルを遊ぶ時に、汗を吸収しないシリコンカバーはやはり必須です。汗の拭き取りや丸洗いが断然楽。シリコンという単語をみて脊髄反射的に購入してしまいましたが、なんとこれはフレームと一体化しており、なんと付属のファブリック版と比べて開口部の横幅が狭い!今のメイン眼鏡だと干渉して無理でした。付属の方なら一応入る。そこサイズ違うんかい!という。正直返品したい。こちらも社外の純粋なシリコンカバーを買い直し。これどうすっかなー。

・追加購入したアクセサリー

レンズ保護フィルムです。Quest2ではフロント面を下にしてテーブルなどに置くことが多かったので、この面にレンズがあることは不安でした。たぶん縁があるので完全にフラットな面ならレンズに接触することはない気もしましたが念のため。値段は安かったですが粘着力が弱いのか、ふと気付いたら1枚剥がれてなくなってました。真面目に探してませんがおそらく見つかることはないでしょう。再注文するにも送料別だし海外発送なので2週間くらいかかるので微妙。これなら500円でも予備を入れて5枚組とかにしてほしいかもです。

こちらは写真のように標準バンドの後頭部部分につけるパッドです。バンドが頭上方向にずり上がってくるのを防いでくれます。標準バンドだとずり上がりを防止するためにキツ目に締める→ゴムの伸縮力でますますズレる、の悪循環になってしまいますが、これがある程度うなじ寄りのところにひっかかってくれる為、Eliteストラップに近い安定感が出ます。締め付けるにも面積が広く圧が分散される感じで楽です。そしてEliteストラップにしてしまうと後頭部にハードパーツができて枕やクッションとの相性が悪くなるんですが、コイツならギリ許容できます。また柔らかい素材なので運搬時にも嵩張りません。安定度でいえばEliteストラップより優れているとまでは言わないですが、コスパ、携帯性、装着感の向上などでいうと純正採用してほしいくらいの良パーツだと思います。おそらく当面これがあれば自分はEliteストラップは買わないでいいかなという気がしています。ハードにしめて使いたい時はQuest Proがあるので。Quest Proを売却したり、長時間使う必要が出てきたらバッテリー付きのEliteストラップを買うかも、というところ。高いEliteストラップやゴツいサードパーティヘッドバンドはちょっとなぁ、という方にはオススメです。

■まとめ

普段はハイバックでヘッドレスト(頭部クッション)があるけど、VRゴーグルする時だけそこが後ろに倒れるなどして後頭部の干渉がさけられるオフィスチェア、どっか発売しないですかね…

Quest2からは間違いなく上位互換なので2は売却できそうですが、Proは残しておくどころか今後もメイン残留になるんじゃないか説。

XREAL Air + Nebula for Macを外で使ってみた

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ようやくレンズなどの周辺パーツが揃ったのでXREAL Air(以下XREAL)をマクドナルドでノマド中に使ってみました。

装着者以外、なかなか動作イメージがわかりづらいと思うので、イメージ写真を作ってみましたw。

Premiere Proで動画編集作業をしているイメージです。ちなみにWindowsなのは並行して評価中のParsecで自宅のデスクトップPCをリモート操作しているせいです。また別記事にしようと思いますが、iPhoneのテザリングでも割とサクサク使えました。

さてXREALですが、全体としてはやはりアプリNebula for Macの不安定さが厳しいです。特にSpacesなど仮想スクリーン周りとコンフリクトしやすいのか、サブディスプレイにウインドウが開いた瞬間に固まってどうにもならなくなったりしがち。Nebulaを使わないで単純なミラーリング動作にしておけば単純な外付けモニターへのミラーリングと同じで安定感はあるんですが、モニタが空間固定されず頭の位置に追従してしまい、結果として頭の揺れにともなって画面がブルブルするので微妙。

その辺りに一旦目を瞑ればなかなかいい感じです。MacBook側の液晶を最低輝度(オフ)にしておけば、周りに作業内容を見られることがないので、壁を背にした席が確保できなくても気兼ねなく仕事のファイルを開いたりできます。

直接XREALの背面に液晶モニタが光ってなければ遮光アクセサリも特になくていいかなと思いました。試したのは夜で、窓の外が見えてる状態だったので、街路灯や向かいのビルの灯りがちらほら光点として見えたり、クルマが通るとスゥーっと流れてったりはしますが、作業に集中していればそこまで気にならないかなという印象。

キーボードも打てますし、テーブルにおいたドリンクのカップなども周辺視で普通に扱うことができました。

総じてなかなかに可能性を感じるデバイスジャンルだなと思います。これからモデルチェンジのたびに視野角や解像度が上がっていけば、VRデバイスとはまた別の系統のツールとして広がっていくんじゃないでしょうか。

■用途別評価

文章作成(WordPressによる記事執筆)

余裕です。この記事もXREALで書いています。文字サイズと画面倍率のバランスは人それぞれかもですが、個人的には充分な文字の視認性と最低限の画面の広さが確保できてると思います。もちろんより大きな領域を見渡すことができればそれに越したことはないですが、現状でも今書いてる段落くらいは視野に入ってるので大きな問題はないです。

Premiere Proによる動画編集

簡単に過去のプロジェクトを開いていじってみた限り、そこそこ実用になります。後述のLightroom現像と違ってプレビューが小さいので全体を見渡せるますし、メニューやタイムラインを使う時は頭を動かせばOK。音だけヘッドホンを使ってやれば仕事の動画編集も外でできちゃいそうです。

Lightroom Classicによる写真現像

これはちょっと微妙。動画編集と違って写真のプレビューエリアをできるだけ広くとりたいので、若干の手狭さを感じます。細かいピント状態を確認したいなんて時に視点移動量が増えがち。まぁ画面レイアウトをもう少し最適化できれば対処可能かもは知れません。XREALは有機ELで発色は素晴らしいので、その意味では現像向きなので、より視野角/解像度が改善していくのを期待したい利用シーンではあります。

Webブラウジング

これもサイトの種類や目的によるかなという印象。サムネがズラっと並んで広く見渡したいような場面ではちょっと不便というか頭の動きやスクロール頼りになるので効率は悪いかも。

■まとめ

そんな感じで、用途で向き不向きはあるものの、ノマドで守秘性の高い作業をする時なんかには割と良い感じ。期待したマルチモニタ環境としてはまだ安定度が実用域にはちょっと届いてないかなという印象。Mac版のβがとれたり、Windows版が出るのが楽しみです。

P.S.

公式DiscordサーバーでMacのβアップデートやWindows版βが配布されてるぽいので試してみます。

XREAL Air用の遮光カバーが届いた

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前回記事の続き

XREAL Airの周辺視部分はサングラスのような半透過レンズなので、目の前に高輝度なモニタがあると透けて見えてしまって見辛いし気が散ります。選択肢として、日本のXREAL Air用度入りレンズの販売店であるJUN GINZAさんが販売しているBlack Lineサポートシールがあります。

こちらは有機ELパネルの背面部分だけを覆い隠すイメージで、メッシュ状になっており完全遮光ではありません(2段階の遮光度合いが選べます)。一応これも購入済みですが実質使い捨てなのでまだ試してません。

もうひとつ完全遮光の選択肢としてアリエクにあるこちらのはめ込み式のカバーを買ってみました。

https://ja.aliexpress.com/item/1005005799795396.html

2023.11.13追記:コメントで上記URLから購入したところ別モノが届いたというご指摘がありました。アリエクなのでさもありなん、という感じですがご購入の際は自己責任でお願い致します。一応購入履歴から貼っているので間違いはないと思うのですが、店舗側の管理が雑だとどうしようもないところです…同機種に間違いなく使えるか確認の問い合わせをするなど自衛をお願い致します。

届いたカバー(写真下)

まぁ本当にただのプラ製カバーです。ボトム側が遮光効果を高めるためか手前まで囲む形状になっています。

装着状態

装着した感じ。度付きインナーレンズもつけているとかなりゴチャついて、総重量もそこそこになります。まぁでもちょっと試した限りではズレ落ちるとかもないかな。

傍目から見るとあきらかに光を通さないのがわかるので、「なにやってんだコイツ!?」感は半端ないです。いっそ、左右レンズ部分に「A」「R」みたいなシールを貼りたい衝動に駆られます。もしくはキャラものアイマスクみたいに目を入れてもいいかも知れません。こういう図柄なら「ARデバイスだぞ」って伝わるかなw?

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良い点としては装着した状態で純正付属ケースに収まるという点。つまり最低限、保護カバーとしては有用ということですね。脱着は一瞬なので、ケースに入れるにせよ入れないにせよ運搬時に装着しておくと安心感はマシマシです。

まずはシールではなくこちらのカバーで運用してみようと思います。

Quest ProとImmersedでいきなり未来が来た

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ImmersedというVRヘッドセット向けのバーチャルデスクトップアプリをドリキンさんの動画で知りました。Virtual DeskropなどのようにPCの画面をリモートでVRヘッドセットに飛ばして仮想ルームで作業ができるアプリの1つです。かなり前からあるジャンルなんですが、以下のような理由でいまひとつ“技術デモ”の域を出ていない感じで常用には厳しいなというイメージでした。しかしこのImmersedとQuest Proとが合わさることで、割と実用できてしまうレベルの仮想環境ができあがってしまい「いきなり未来来たやんけ!」という状態で盛り上がっています。

以下、従来のVRデスクトップツールではこんな制約あったよね?という視点ごとに、これらがそれをどう解決しているか触れていきたいと思います。

■Quest ProとImmersedなら本当に仕事が出来る?

どうせ解像度が足りて無くて文字とかは読めないよね?

従来の製品はヘッドセットの解像度もさることながら、プロセッサの処理能力、デスクトップからのデータ転送が不足していて、動く映像などを見るならまだしも、ブラウザやエディタを表示して文字を読み書きする厳しい状態でした。なので、バーチャルホームシアターが実現します!みたいなものはたくさんあったんですが、ネットサーフィンやWordで文章書いたりという雰囲気ではありませんでした。

しかしQuest Proの表示品質が向上したことでかなりイケてるというか充分実用になる文字の視認性が実現しました。主にはピクセル同士の隙間にある黒い枠線部分が目立ちにくくなった(VR界隈ではスクリーンドア効果が軽減した、と表現します)ことが大きい印象。またパンケーキレンズを採用したことで視界の端の方で映像がボケたり歪んだりしにくくなってるのもあるんじゃないかと、こちらも実効的な視野角が広がって、例えば画面の端の方にあるツールバーだったり、後述のサブモニタなどが周辺視野を使いつつ自然に見えるという効果になっているのかと。

Quest2とQuest Proは解像度や視野角の数字スペックでいうと実は大して進歩している感がないんですが、こういう実効的なところで素晴らしい違いを見せているかなという感じがします。カタログスペックだけではなかなかわかりづらい部分です。まだImeersedをQuest2で試してはないですが、感覚的にこのクリアさはQuest2では出てなかったよなという感じ。

オシャレ仮想空間にPCのモニターが置けるってだけですよね?

VRデスクトップアプリというと、オシャレな山荘の暖炉がパチパチいってる書斎や、展望のよい高層ビルのオフィス、果ては宇宙船や宇宙空間を背景にしてPC作業をできる、というイメージないですか?そこに普段のPCのデスクトップを持ち込んで作業ができます、的な。「普段のデスクトップ」をそっくりそのままってだけだと、他の色々なデメリットの方が目立ってしまいます。自分が以前から望んでいて、かつImmersedが実現してくれたのが、マルチモニター環境です。

例えばリアルのディスプレイが14インチWQHDだったとします。この画面をVRワールドに転送してそのまんまWQHDで見られても「( ´_ゝ`)フーン」というだけです。しかしImmersedは(課金すると)最大5モニターまで置けます!しかもmacOSでいうならSpacedでもともと作っていた仮想デスクトップがそのまま対応する形で転送できるので便利。私は普段3つのデスクトップを作って3本指スワイプで切り替えて使ってますが、それがそのまま横に3画面並んだような形でVR空間に映せるのでとてもシームレスに行き来できます。

今まではノマドやホテルではどうしても外部モニターを持ち歩くわけにもいかず、ノートPCの物理ディスプレイ1つで我慢するのが普通でした。そこでの作業性と携帯性を天秤にかけて13インチか15インチか、いやあいだをとって14インチか?みたいな微妙なところで頭を悩ませて機種をチョイスしていたんですが、そういうのからいきなり開放される可能性が現実味を帯びていました。ドリキンさんもノートPCではなくヘッドレス(ディスプレイがない)小型デスクトップPC+Quest Proという出張環境を模索し始めているようです。まぁ全く物理モニタがないと起動や接続処理どうすんねんという懸念はまだありますが、イメージとしてはそういう世界が到来している感じはします。

どうせパワフルなデスクトップのゲーミングPCが必要なんですよね?

これは単純にヘッドセットのパネルがもつ物理解像度だけでなく、PC側で内部的にレンダリングする解像度とかも関係していて、設定画面などでPC側の負荷を上げてやると多少クリアになったりはしていました。しかしそれをするにはそれなりにパワフルなゲーミングPC(というかGPU)が必要だったりしました。

Immersedがどちら側でどんな処理をしているのかよくわかりませんが、基本的には平面のデスクトップ映像を画面数だけストリーム送信しているだけなので、ものすごくGPUパワーを使うというほどでもない気がしています。M1 MaxのMBP16で4画面くらい出しても別段ファンもうるさくならずに普通に使えています。MBPとWi-Fiルーターは有線、Quest Proは5GHzのWi-Fi6接続でレイテンシは5msくらい。気にすればほんのわずかに遅延に気付くかなという程度。むしろWi-Fi6とか2.5GbEといったネットワーク環境が重要なんじゃないかという気がしています。

ともあれRTX30x0だの40×0だのいうガチゲーミンググレードのGPUが必須というわけではなさそうで、普通にノートPCで使えてしまう。

前項もあわせて、「出先でモニターを4枚も5枚も出して作業ができる」というユートピアを実現できるわけです!

両手にコントローラーもって仮想キーボードぽちぽちするんですよね?

ディプレイ環境として素晴らしいことはわかりました。しかしVR空間で作業するのにもう一つ重要なトピックがあります。マウス、キーボードといった入力手段です。従来Meta Quest 2の公式対応も含めて、

  • 画面内に仮想キーボードを出してポチポチ打つ
  • 特定のキーボードをカメラで画像認識し、仮想空間内に出現させる

といったアプローチが取られていましたが、どちらもイマイチ。前者は効率ガタ落ちだし、後者は対応したキーボードが少なすぎで、しかも日本語(JIS)配列自体対応しておらずわざわざ対応キーボード買ったとしてもJIS民にはどうしようもない状況でした(と理解して試しておらず)。

その点Immersedがスゴいのは、キーボード周囲をくり抜いてパススルーカメラの映像を文字通りパススルーで仮想空間内に見せてしまうというアイデアを実現した点です。見た目としては野暮ったくなりますが、実用性は劇的に向上しています。キーボードと自分の手が見えているので、慣れればほぼ通常通りにタイプできます。さしものQuest Proのカメラでもキーの刻印がはっきり読めるほどの解像度は出てないですが、例えばMacBookの指紋センサーにタッチしたい、みたいなことは遅滞なく実行可能です。またノートPCであれば手前のトラックパッドを操作するところも目視できます。Proでこの映像が一応カラーとなっているのも良い。この”抜き”の位置やサイズはカスタマイズできます。デフォルトでもノートPCのキーボードより少し幅をもって見えているので、キーボード脇においたコントローラーを拾い上げるとか、飲み物の入ったコップなどを掴むといったことも難なく行えます。

これによって、物理のキーボード、トラックパッドがほぼ違和感なく使えるので、普通にメールを書いたり資料を作ったりという作業が実現しました。

Questシリーズのキャプチャ機能ではこのパススルーカメラ映像部分は黒く塗りつぶされてしまうので、映像でイメージをお伝えすることができないのですが、この動画などにちらっと映っています。

ヘッドセット被ってると肩が凝ったり蒸れたり長時間使用はしんどいですよね?

Quest2はバッテリーを含む全てのアセンブリがフロントに集中しており、前後バランスに難がありました。特に標準のゴムバンドではしっかりと頭部に固定ができずすぐにズレてきたりしました。ズレはそのまま見え方の焦点ボケにも直結するので、クリアな視界を維持するのが難しいです。ユーザー達は別売りのハードバンドに交換したり、後頭部にモバイルバッテリー等の”重り”をぶらさげるなどのDIYで対処していました(純正バンドがまたすぐ折れるなど品質に問題があったり…)。

Proでは可搬性と没入感を犠牲にしつつ、長時間オフィスで快適に使うことに重きを置いた設計になっている感じがします。まずバッテリーが後頭部側に移動したことで吊しの状態でも非常に安定感があります。ただし頭頂側のバンドが廃止されたので若干締め付けに頼る構造になっている気はしていて、はやくもユーザー界隈では頭頂バンドをDIY追加するムーブメントが起きていますw。Quest2ほど交換を想定した作りではありますが、サードパーティ品などで装着感を改善するものがでてくれば更に快適になるかなと。

またQuest2がバンドの締め付けだけで焦点距離も決めていたのに対し、Proはバンドの締め付けと、レンズの前後距離が独立で調整できます。なので、ガチピンのために頭をぎゅうぎゅう締め付ける必要がなく、無理のない装着感とクリアな視界が両立します。レンズの前後距離とIPD(左右距離)の調節幅が広がったことで、締め付けと無関係にガチピンのクリアな視界を得やすくなり、結果的に画面も見やすいと感じます。いまや14インチで2560×1440のPCだと標準の125%表示では辛く150%にしたり、文字の小さいサイトはブラウザのサイズ調整機能を使ったりしがちな自分も、Immersedで画面を顔に近づけてやればより高解像度のままはっきりした文字視認性を得られる感じです。ただそれなりに疲れ目は感じます。もしかしたら輝度を落としたりするといいかも?

重量はQuest2が502g、Proが722gのようです。Quest2に”重り”もつけたのと同じ位ですね。なんだかんだいってもこれだけの重さが頭に乗っかるのはそれなりに負担に思えます。ただノートPCを卓上に置いて下を見下ろすのも首の負担が大きいです。数kgある人間の頭部を支える首にバランスよく載ってない状態が長く続くのはストレートネック民には元からしんどい姿勢です。これがむしろImmersedを使って真正面に仮想ディスプレイを”持ち上げ”られることで、デスクトップPCを使っているのに近い姿勢をとることができます。結果として実重量の増加と姿勢の最適化というメリデメの差し引きがどうなるかは、もう少し長期でテストする必要があるかなと思います。

“蒸れ”についても言及したいと思います。Quest2では水中メガネのようなフェイスクッションをギュっと顔面に押さえつけるような方式でした。これは余計な光を遮断して没入感を高める一方、締め付け感と蒸れの問題がありました。特に動きの激しいゲームだとレンズが曇るレベルです。ProはPSVRやHoloLensのようにおでこで締め付けて、そこからレンズ部分がぶら下がる構造なので目の周りが締め付けられないので遙かに楽です。遮光性はほぼなくなりますが、マグネットで脱着できるシリコンのブロッカーが、サイド用が付属、フルブロッカーが別売りで用意されています。

まとめると、装着感はかなり改善されていて重さ以外は特に我慢が必要ない上に、視界もクリアなので、現時点の感覚ではノートPCを使わざるをえないモバイル環境だったらメリットが上回るんじゃないかと感じています。自宅で人間工学的に快適なデスクトップ環境があるならそっちでいいかなという感じ。

■必要なネットワーク環境について

Immersedを使うには、PCとQuestが同じネットワーク下におり、かつインターネットにもつながっていることが必要のようです。Immersedが起動時にライセンスやアカウントチェックをしているらしく、サーバーにつながらないと起動プロセスが止まってしまいます。

またより低レイテンシの接続が命なので、Wi-Fi6などの高速な接続が望ましいです。例えばスマホテザリングの場合、多くのOS/端末では2.4GHzになったりしてしまうので、別途アクセスポイントを用意した方がヨサゲ。

自宅やオフィスであれば高速なアクセスポイント(Wi-Fiルーター)があれば良いですが、出先でインターネット接続と高速なWi-Fi規格を両立させるのはやや壁が高いかも知れません。モバイルルーターでWi-Fi6が使えるものはまだ少ないですし、家庭用ルーターだと電源が必要になり、モバイルバッテリーで5VやUSB PDで駆動できるものもあまりない気がします。

ウチはWi-Fi6 & 有線2.5GbEのSH-52Aがあるので、今後はこちらを活用していったらいいかなと思っています。Mac用に以下の2.5GbE対応USBハブを買ってみました。

Mac ↔ ルーター間はこれで有線接続し、ルーター ↔ Quest ProはWi-Fi6です。WANは最初に認証をするだけなのでさほどスピードは必要ないと思われるので、povo2.0 SIMなどを挿して必要な時だけチャージして使うのも良いかも知れません。近々テストしてみます。

またホテル等で安定したWAN接続が望める場合は、先日購入したGL-AXT1800ですかね。

実際これで1GbEのUSBアダプタ経由で5ms出ています。

■Quest 2だとどうなの?

比較のためにQuest 2にもインストールして試してみました。

  • 意外とスクリーンドア効果(格子模様)の体感差は小さい
  • 一方視野はかなり狭い印象
  • やはり標準ゴムバンドではピントをがっちり合わせられないので文字の視認性がかなり落ちる
  • ピントを合わせようとバンドをキツく締めたくなるので血流が堰き止められる感

という感じ。Razer Blade 14 2021でWi-Fi6接続と条件が多少違いますがレイテンシは7msで、映像品質としては意外とMBP + Quest Proと大きくは変わらない感じがしました。パススルーカメラがモノクロにはなりますが、キーボードの見え方もそこまで違いはないかな?(どのみちキートップの文字を読むのは厳しい)。

大きく違いうのはバンドのホールド性で、これによって結果的にピントが合わせられず全体がボケてしまうという感じ。Quest 2でやろうという方は素直にハードバンドを使った方が良さそう。高くて壊れやすい純正ではなくKIWIなどで良いと思います。フリップができるので一時的に現実世界に帰還するのも楽ちん。

■まとめ

ともあれモバイルでも自宅作業スペースに匹敵する広いモニター環境を構築できる可能性が一気に高まってきました。周囲の目などもあり、まだなかなかファミレスなどで検証する勇気はないですが、ホテル泊まりの時などは活用していきたいと思います。