Quest ProとImmersedでいきなり未来が来た

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ImmersedというVRヘッドセット向けのバーチャルデスクトップアプリをドリキンさんの動画で知りました。Virtual DeskropなどのようにPCの画面をリモートでVRヘッドセットに飛ばして仮想ルームで作業ができるアプリの1つです。かなり前からあるジャンルなんですが、以下のような理由でいまひとつ“技術デモ”の域を出ていない感じで常用には厳しいなというイメージでした。しかしこのImmersedとQuest Proとが合わさることで、割と実用できてしまうレベルの仮想環境ができあがってしまい「いきなり未来来たやんけ!」という状態で盛り上がっています。

以下、従来のVRデスクトップツールではこんな制約あったよね?という視点ごとに、これらがそれをどう解決しているか触れていきたいと思います。

■Quest ProとImmersedなら本当に仕事が出来る?

どうせ解像度が足りて無くて文字とかは読めないよね?

従来の製品はヘッドセットの解像度もさることながら、プロセッサの処理能力、デスクトップからのデータ転送が不足していて、動く映像などを見るならまだしも、ブラウザやエディタを表示して文字を読み書きする厳しい状態でした。なので、バーチャルホームシアターが実現します!みたいなものはたくさんあったんですが、ネットサーフィンやWordで文章書いたりという雰囲気ではありませんでした。

しかしQuest Proの表示品質が向上したことでかなりイケてるというか充分実用になる文字の視認性が実現しました。主にはピクセル同士の隙間にある黒い枠線部分が目立ちにくくなった(VR界隈ではスクリーンドア効果が軽減した、と表現します)ことが大きい印象。またパンケーキレンズを採用したことで視界の端の方で映像がボケたり歪んだりしにくくなってるのもあるんじゃないかと、こちらも実効的な視野角が広がって、例えば画面の端の方にあるツールバーだったり、後述のサブモニタなどが周辺視野を使いつつ自然に見えるという効果になっているのかと。

Quest2とQuest Proは解像度や視野角の数字スペックでいうと実は大して進歩している感がないんですが、こういう実効的なところで素晴らしい違いを見せているかなという感じがします。カタログスペックだけではなかなかわかりづらい部分です。まだImeersedをQuest2で試してはないですが、感覚的にこのクリアさはQuest2では出てなかったよなという感じ。

オシャレ仮想空間にPCのモニターが置けるってだけですよね?

VRデスクトップアプリというと、オシャレな山荘の暖炉がパチパチいってる書斎や、展望のよい高層ビルのオフィス、果ては宇宙船や宇宙空間を背景にしてPC作業をできる、というイメージないですか?そこに普段のPCのデスクトップを持ち込んで作業ができます、的な。「普段のデスクトップ」をそっくりそのままってだけだと、他の色々なデメリットの方が目立ってしまいます。自分が以前から望んでいて、かつImmersedが実現してくれたのが、マルチモニター環境です。

例えばリアルのディスプレイが14インチWQHDだったとします。この画面をVRワールドに転送してそのまんまWQHDで見られても「( ´_ゝ`)フーン」というだけです。しかしImmersedは(課金すると)最大5モニターまで置けます!しかもmacOSでいうならSpacedでもともと作っていた仮想デスクトップがそのまま対応する形で転送できるので便利。私は普段3つのデスクトップを作って3本指スワイプで切り替えて使ってますが、それがそのまま横に3画面並んだような形でVR空間に映せるのでとてもシームレスに行き来できます。

今まではノマドやホテルではどうしても外部モニターを持ち歩くわけにもいかず、ノートPCの物理ディスプレイ1つで我慢するのが普通でした。そこでの作業性と携帯性を天秤にかけて13インチか15インチか、いやあいだをとって14インチか?みたいな微妙なところで頭を悩ませて機種をチョイスしていたんですが、そういうのからいきなり開放される可能性が現実味を帯びていました。ドリキンさんもノートPCではなくヘッドレス(ディスプレイがない)小型デスクトップPC+Quest Proという出張環境を模索し始めているようです。まぁ全く物理モニタがないと起動や接続処理どうすんねんという懸念はまだありますが、イメージとしてはそういう世界が到来している感じはします。

どうせパワフルなデスクトップのゲーミングPCが必要なんですよね?

これは単純にヘッドセットのパネルがもつ物理解像度だけでなく、PC側で内部的にレンダリングする解像度とかも関係していて、設定画面などでPC側の負荷を上げてやると多少クリアになったりはしていました。しかしそれをするにはそれなりにパワフルなゲーミングPC(というかGPU)が必要だったりしました。

Immersedがどちら側でどんな処理をしているのかよくわかりませんが、基本的には平面のデスクトップ映像を画面数だけストリーム送信しているだけなので、ものすごくGPUパワーを使うというほどでもない気がしています。M1 MaxのMBP16で4画面くらい出しても別段ファンもうるさくならずに普通に使えています。MBPとWi-Fiルーターは有線、Quest Proは5GHzのWi-Fi6接続でレイテンシは5msくらい。気にすればほんのわずかに遅延に気付くかなという程度。むしろWi-Fi6とか2.5GbEといったネットワーク環境が重要なんじゃないかという気がしています。

ともあれRTX30x0だの40×0だのいうガチゲーミンググレードのGPUが必須というわけではなさそうで、普通にノートPCで使えてしまう。

前項もあわせて、「出先でモニターを4枚も5枚も出して作業ができる」というユートピアを実現できるわけです!

両手にコントローラーもって仮想キーボードぽちぽちするんですよね?

ディプレイ環境として素晴らしいことはわかりました。しかしVR空間で作業するのにもう一つ重要なトピックがあります。マウス、キーボードといった入力手段です。従来Meta Quest 2の公式対応も含めて、

  • 画面内に仮想キーボードを出してポチポチ打つ
  • 特定のキーボードをカメラで画像認識し、仮想空間内に出現させる

といったアプローチが取られていましたが、どちらもイマイチ。前者は効率ガタ落ちだし、後者は対応したキーボードが少なすぎで、しかも日本語(JIS)配列自体対応しておらずわざわざ対応キーボード買ったとしてもJIS民にはどうしようもない状況でした(と理解して試しておらず)。

その点Immersedがスゴいのは、キーボード周囲をくり抜いてパススルーカメラの映像を文字通りパススルーで仮想空間内に見せてしまうというアイデアを実現した点です。見た目としては野暮ったくなりますが、実用性は劇的に向上しています。キーボードと自分の手が見えているので、慣れればほぼ通常通りにタイプできます。さしものQuest Proのカメラでもキーの刻印がはっきり読めるほどの解像度は出てないですが、例えばMacBookの指紋センサーにタッチしたい、みたいなことは遅滞なく実行可能です。またノートPCであれば手前のトラックパッドを操作するところも目視できます。Proでこの映像が一応カラーとなっているのも良い。この”抜き”の位置やサイズはカスタマイズできます。デフォルトでもノートPCのキーボードより少し幅をもって見えているので、キーボード脇においたコントローラーを拾い上げるとか、飲み物の入ったコップなどを掴むといったことも難なく行えます。

これによって、物理のキーボード、トラックパッドがほぼ違和感なく使えるので、普通にメールを書いたり資料を作ったりという作業が実現しました。

Questシリーズのキャプチャ機能ではこのパススルーカメラ映像部分は黒く塗りつぶされてしまうので、映像でイメージをお伝えすることができないのですが、この動画などにちらっと映っています。

ヘッドセット被ってると肩が凝ったり蒸れたり長時間使用はしんどいですよね?

Quest2はバッテリーを含む全てのアセンブリがフロントに集中しており、前後バランスに難がありました。特に標準のゴムバンドではしっかりと頭部に固定ができずすぐにズレてきたりしました。ズレはそのまま見え方の焦点ボケにも直結するので、クリアな視界を維持するのが難しいです。ユーザー達は別売りのハードバンドに交換したり、後頭部にモバイルバッテリー等の”重り”をぶらさげるなどのDIYで対処していました(純正バンドがまたすぐ折れるなど品質に問題があったり…)。

Proでは可搬性と没入感を犠牲にしつつ、長時間オフィスで快適に使うことに重きを置いた設計になっている感じがします。まずバッテリーが後頭部側に移動したことで吊しの状態でも非常に安定感があります。ただし頭頂側のバンドが廃止されたので若干締め付けに頼る構造になっている気はしていて、はやくもユーザー界隈では頭頂バンドをDIY追加するムーブメントが起きていますw。Quest2ほど交換を想定した作りではありますが、サードパーティ品などで装着感を改善するものがでてくれば更に快適になるかなと。

またQuest2がバンドの締め付けだけで焦点距離も決めていたのに対し、Proはバンドの締め付けと、レンズの前後距離が独立で調整できます。なので、ガチピンのために頭をぎゅうぎゅう締め付ける必要がなく、無理のない装着感とクリアな視界が両立します。レンズの前後距離とIPD(左右距離)の調節幅が広がったことで、締め付けと無関係にガチピンのクリアな視界を得やすくなり、結果的に画面も見やすいと感じます。いまや14インチで2560×1440のPCだと標準の125%表示では辛く150%にしたり、文字の小さいサイトはブラウザのサイズ調整機能を使ったりしがちな自分も、Immersedで画面を顔に近づけてやればより高解像度のままはっきりした文字視認性を得られる感じです。ただそれなりに疲れ目は感じます。もしかしたら輝度を落としたりするといいかも?

重量はQuest2が502g、Proが722gのようです。Quest2に”重り”もつけたのと同じ位ですね。なんだかんだいってもこれだけの重さが頭に乗っかるのはそれなりに負担に思えます。ただノートPCを卓上に置いて下を見下ろすのも首の負担が大きいです。数kgある人間の頭部を支える首にバランスよく載ってない状態が長く続くのはストレートネック民には元からしんどい姿勢です。これがむしろImmersedを使って真正面に仮想ディスプレイを”持ち上げ”られることで、デスクトップPCを使っているのに近い姿勢をとることができます。結果として実重量の増加と姿勢の最適化というメリデメの差し引きがどうなるかは、もう少し長期でテストする必要があるかなと思います。

“蒸れ”についても言及したいと思います。Quest2では水中メガネのようなフェイスクッションをギュっと顔面に押さえつけるような方式でした。これは余計な光を遮断して没入感を高める一方、締め付け感と蒸れの問題がありました。特に動きの激しいゲームだとレンズが曇るレベルです。ProはPSVRやHoloLensのようにおでこで締め付けて、そこからレンズ部分がぶら下がる構造なので目の周りが締め付けられないので遙かに楽です。遮光性はほぼなくなりますが、マグネットで脱着できるシリコンのブロッカーが、サイド用が付属、フルブロッカーが別売りで用意されています。

まとめると、装着感はかなり改善されていて重さ以外は特に我慢が必要ない上に、視界もクリアなので、現時点の感覚ではノートPCを使わざるをえないモバイル環境だったらメリットが上回るんじゃないかと感じています。自宅で人間工学的に快適なデスクトップ環境があるならそっちでいいかなという感じ。

■必要なネットワーク環境について

Immersedを使うには、PCとQuestが同じネットワーク下におり、かつインターネットにもつながっていることが必要のようです。Immersedが起動時にライセンスやアカウントチェックをしているらしく、サーバーにつながらないと起動プロセスが止まってしまいます。

またより低レイテンシの接続が命なので、Wi-Fi6などの高速な接続が望ましいです。例えばスマホテザリングの場合、多くのOS/端末では2.4GHzになったりしてしまうので、別途アクセスポイントを用意した方がヨサゲ。

自宅やオフィスであれば高速なアクセスポイント(Wi-Fiルーター)があれば良いですが、出先でインターネット接続と高速なWi-Fi規格を両立させるのはやや壁が高いかも知れません。モバイルルーターでWi-Fi6が使えるものはまだ少ないですし、家庭用ルーターだと電源が必要になり、モバイルバッテリーで5VやUSB PDで駆動できるものもあまりない気がします。

ウチはWi-Fi6 & 有線2.5GbEのSH-52Aがあるので、今後はこちらを活用していったらいいかなと思っています。Mac用に以下の2.5GbE対応USBハブを買ってみました。

Mac ↔ ルーター間はこれで有線接続し、ルーター ↔ Quest ProはWi-Fi6です。WANは最初に認証をするだけなのでさほどスピードは必要ないと思われるので、povo2.0 SIMなどを挿して必要な時だけチャージして使うのも良いかも知れません。近々テストしてみます。

またホテル等で安定したWAN接続が望める場合は、先日購入したGL-AXT1800ですかね。

実際これで1GbEのUSBアダプタ経由で5ms出ています。

■Quest 2だとどうなの?

比較のためにQuest 2にもインストールして試してみました。

  • 意外とスクリーンドア効果(格子模様)の体感差は小さい
  • 一方視野はかなり狭い印象
  • やはり標準ゴムバンドではピントをがっちり合わせられないので文字の視認性がかなり落ちる
  • ピントを合わせようとバンドをキツく締めたくなるので血流が堰き止められる感

という感じ。Razer Blade 14 2021でWi-Fi6接続と条件が多少違いますがレイテンシは7msで、映像品質としては意外とMBP + Quest Proと大きくは変わらない感じがしました。パススルーカメラがモノクロにはなりますが、キーボードの見え方もそこまで違いはないかな?(どのみちキートップの文字を読むのは厳しい)。

大きく違いうのはバンドのホールド性で、これによって結果的にピントが合わせられず全体がボケてしまうという感じ。Quest 2でやろうという方は素直にハードバンドを使った方が良さそう。高くて壊れやすい純正ではなくKIWIなどで良いと思います。フリップができるので一時的に現実世界に帰還するのも楽ちん。

■まとめ

ともあれモバイルでも自宅作業スペースに匹敵する広いモニター環境を構築できる可能性が一気に高まってきました。周囲の目などもあり、まだなかなかファミレスなどで検証する勇気はないですが、ホテル泊まりの時などは活用していきたいと思います。

Macで独立型のWebカメラ背景ぼかし XSplit VCam

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オンライン会議で部屋の背景を見られたくないみなさんこんにちは!

私もワークデスクの後ろはすぐ壁なんですが、そこに作業デスクを追加設置してかなりゴチャゴチャしてきているので、ちょっとそのまま見せるのはどうかという感じです。最近のオンライン会議ツール(Zoom/Teams/Meetなど)には当たり前のようにバーチャル背景がついていますが、個人的には品質はイマイチだと思っています。人物と背景の境界線処理が雑。また業務で使うブラウザベースのオンラインインタビューツールなんかだとバーチャル背景のような高級な機能は含まれておらず、そのまま参加してしまうとインタビュー相手はもとより見学にきた多数のクライアントに部屋が丸見えになってしまいます…

そこで私はNVIDIAがリリースしているNVIDIA Broadcastを愛用していました。これは同社のグラフィックボードRTXシリーズ(20×0シリーズと30×0シリーズ)の処理性能を使って背景をボカしたり、フェイストラッキングをしたり、音声面では強力なノイズ除去も利用できるフリーソフトウェアです。これのためにRTX dGPUが搭載されたノートPCに買い換えたほどです。

ところが最近M1Max搭載のMacBook Pro 16′ 2021を購入し、やはり仕事のオンライン会議ツールでそちらも活用したくなります。音声のノイズキャンセルについてはAudio Hijack + Loopbackというツールでほぼ不満は解消されました。

しかし背景交換については良い案がなく、結局ほとんどの場面でWindowsデスクトップを使っていました。

■ハードウェア処理できるOBSBot Meetは来年春まで出ない

まず目に付いたのは超小型のAI人物追跡機能付きWebカメラOBSBot Tinyで有名なOBSBot社のクラウドファンディング中の新型OBSBot Meetがあります。

(ちなみにOBSBot Tinyは最近手に入れてとても良いカンジなので近々改めてレビューしたいと思います。)

OBSBot Meetはカメラ内でAI処理をして背景を消したりボカしたりできるという触れ込みで、PC/Macにはボカし済みの映像が最初から届くので、専用ソフトのインストールもいらないし画像処理の負荷がないのが特長です。しかし今予約しても届くのは来年2022年の3月。クラウドファンディングとはいえ海外購入したものが、将来的に国内代理店でサポートが受けられるのかも不透明。故障時に本国送りとかになるくらいなら多少高くても国内販売後でもいいかと思ってしまいます。

■そこでXSplit VCamですよ

もうハードでもソフトでもいいからウェブ会議ソフトから独立して仮想カメラとして機能する背景交換ツールがないのかなぁ。そうWindowsでいうXSplit VCamみたいな…などと調べていたところ、当のVCamが今年8月にMac対応していたことを知りました。M1対応については明記がないですが、アクティビティモニターでみると種類が「Apple」になってるのでM1(Appleシリコン)対応済みのようです。

なんだよはやく言ってくれよ!XSplitはOBS Studioの競合となる配信ソフトXSplit Broadcasterなどで有名なところで映像処理技術には定評があります。国内ではソースネクストがパッケージ版、ダウンロード版ともに販売していますが、Mac版はまだないっぽいです。Mac版が必要な人はXSplit公式サイトから購入しましょう。

公式の購入ページ(投稿時点)

こんな感じの画面になるんじゃないでしょうか。英語なので簡単に説明します。Vcamは一番左のグリーンのところです。隣のPresenter、Broadcasterは別のソフトなので今回は関係ありません。ただしこれらも抱き合わせしたセットに興味ある場合は一番右のPremium Bundleもチェックしてみると良いでしょう。

Premiumというのが背景ぼかしを含む有料版機能が使えるバージョンなので、今回気にすべきはこのVCam Premiumということになります。

上のLicense Duration(ライセンス期間)のバーで1ヶ月、3ヶ月、12ヶ月のサブスクかLifetime(買い切り)が選べます。12ヶ月が$30、買い切りが倍の$60だったので買い切りにしてしまいました。有料機能を試用したい場合は1ヶ月$8をとりあえず買ってみるのもアリかも知れませんね。

使ってみた

試した感触は上々です。精度面ではNVIDIA Broadcasterと同等レベルと言えるんじゃないかと思います。髪の毛のふちが多少誤爆したりはしますがZoomやTeamsの内蔵機能よりは明らかに上です。手を素早く振っても多少指が欠けたりしますが通常のオンライン会議でそんなことしないので問題ないかなと。遅延は皆無ではないですがオンライン会議なら問題ないかなと。OBS Studioに貼ってみた感じサイズは1280×720までのようです。

機能としては、以下のものを背景に指定でき、そのボカシ量をスライダーで100段階で選ぶことができます。

  • オリジナル(カメラ映像のまま。これにぼかしをかければ背景ぼかしに)
  • 消去(真っ黒)
  • 静止画、動画などローカルのメディアファイル
  • Youtube動画
  • Webページ
  • Unsplashの写真

Youtube動画やWebページを背景にできるのは面白いですね。Unsplashは動画素材サイトのようです。

まあウォーターマーク(透かし)画像を入れられたり、背景映像の明るさコントラスト、サイズなどの調整もできます(「オリジナル」のカメラ映像の背景を独立で調整することはできません)。

更に凝ったことをしたい時は、OBS Studioにいれてそちらで加工するのがいいかなと思います。「消去」を使って黒背景にすると黒髪の日本人だと上手くぬけないので、緑一色(OBSのクロマキーフィルターのデフォルト値に合わせるなら#00ff00)の画像を作って背景にしておくのが良いです。で、OBSで映像ソースに「クロマキー」フィルターを適用すれば綺麗に背景が透明になるので、あとは他の画像を重ねたりサイズを変更したりはし放題です。二重に仮想カメラを通るので遅延は多少ありますが、少なくともM1MaxのMacBook Proなら「気にしてみれば」程度かなと思います。

ひとつ惜しいのはボカシがいまいち綺麗ではないという点。写真は標準の部屋の背景(右側中断)を選択し、ぼかし強度を38にした状態。

なんだか縦横に縞のような模様が目立って気になります。元画像に直線要素があるとそれがやたらと強調される感じ。NVIDIA Broadcastでは気になったことがないので、ブラー処理のアルゴリズムの違いなのかな?と思います。後ろに本棚やキャビネットがあるような環境だと少しうるさく感じるかも知れません。実際ウチの背景ともちょっと相性が悪くて残念です。いっそ背景を写真でとってPhotoshopで綺麗なボケ加工をしたものを静止画として合成しようかな(笑)。

■まとめ

ともあれ現状ググって見付かる唯一、Macで独立型、高画質の背景交換ツールかなと思います。ちなみに往年のChromaCamもM1対応済みだったので試してみましたが数年前から進歩が見られず、切り抜き精度などはZoomなど以下という感じで速攻アンインストールしました。

ようやくこれでMacもオンライン会議案件でバリバリ活用できそうです。

M1 Max MBPのために高速SSDをブラックフライデーセールで購入

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せっかく最新インターフェイスを搭載したM1 Max MacBook Proを導入したので、いろいろ周辺機器も刷新したいなと思っていたところ、ちょうどBlack Fridayセールが始まっていい感じにSSD類が安かったので買ってみました。

■M1 Pro/Max MacBook Pro 2021のインターフェイス

MBP 2021のUSB-CポートはThunderbolt/USB4に対応でそれぞれ40Gbps(ギガビット/秒)に対応しています。USB3.2 gen2が10Gbpsなのでさらに上を行く最新高速規格です。ただ現状どちらも対応製品は数えるほどしかなく、今回のニーズにあう製品がまだなさげだったので、涙を飲んでThunderbolt3とUSB3.2Gen2製品を選ぶことになりました。まぁThunderboltは速度でいば3でも40Gbpsなので別にいいんですが。

■ポータルブルSSD SAMSUNG T7 Touch

最近は配信と録画を持ち込みのPCで行うユーザーテスト案件が多く、動画を撮ったり編集後の動画ファイルを納品したりで受け渡しに大容量のストレージを使うことが多いです。USBフラッシュメモリはコンパクトで良いですが速度が遅いので動画ファイルのやりとりではスムーズさに欠けます。逆に速度でいえばThunderboltなドライブ/ケースがありますが、これも搭載機が少ない(特にWindows)ことを考えると仕事での受け渡し用には厳しい。USB4.0もケースが1,2種類あるだけでほしいなというものはなし。現状ではUSB3.2Gen2が最適解でしょう。ちなみにGen2x2という2,000MB/s級の規格もあるみたいでSandiskから出ていますが、PC側の対応が壊滅的らしくどうもUSB4.0対応のMBP2021ですら使えないぽいです(USB4.0の必須規格ではない)。

最近はATEM MINIのダイレクト録画にも使っているSAMSUNGのT5が一番活用されていました。これもUSB3.x/Gen1で500MB/s出るので、ギガ単位の動画でもものの数秒でコピーでき大きな不満はないのですが、せっかくRazer Blade 14MBP 2021もそして自作デスクトップ機もGen2に対応しているので、さらなる高速化を果たしたく1,000Mbps級のSSDを物色していました。というかSandiskのがあるんですが、どうもコイツはATEM MINIで使えないばかりかPC/Macでも一発で認識されなかったりして信用がおけず。

そこでド安定しているT5の後継/上位モデルであるT7に目を付けました。中でもT7 Touchは指紋認証によるハードウェア暗号化に対応しており、Windows/macOSでマウントするたびに専用ツールを実行してパスワード解除、みたいな手間を経なくても暗号化ができ、安全に業務データを持ち運ぶことができます。うっかり紛失しても安心(?)。最近お仕事をした某企業さんのセキュリティチェックでも「ポータブルストレージは暗号化しているか?」みたいな項目があったりしたので、そういうのにも自信をもってYesをチェックできそう。

また指紋でアンロックしておけば開錠ユーティリティのないOSやIoTデバイス、デジカメでも使える可能性があります。いまんとこUSBストレージに直接録画できるカメラは使ってないですが、ATEM MINI Proで使えるといいなと(未検証)。まぁ使えるにしても電源を入れるたびに指紋タッチしないとなので、見た目にアンロックされているかわかりにくく、録画できてない、みたいなこともあるかも知れませんが、、この辺りの使い勝手は実機が届いてから検証しレビューしようと思います。

ちなみにメジャーモデルなせいかSmall Rigで専用マウントも出ています。

さて、このT7 Touch、MBPを買ったひと月前くらいから気になっていたんですが、500GBがヨドバシで1.7万(-10%)、Amazonでも1.4万円くらいしていて悩んでたのが、Black Fridayでなんと9,990円(-1%)に!これはチャンスとばかりに購入。T5はATEM MINI PRO専用に戻し、Sandiskは処分でいいかな。

■Mac用のTB3/USB3Gen2ドックに動画バックアップ用のM.2 SSD

次なるニーズはまずMBP2021用に高速規格対応のハブかドックが欲しいというのがありきでした。うちは自宅ではほぼクラムシェル仕様なので、持って出て帰ってくるたびに、

  • 電源(MagSafe3)
  • Thunderboltディスプレイケーブル
  • USBハブ(イーサネット、Webカメラ、オーディオI/F(マイク)などを接続)

をつながなければなりません。USB Type-Cはそう頑丈な端子とも思えないし、見えない側に手探りで入れるのも至難の業なので、もっとスムーズに抜き差ししたいと。

そこで良いハブやドックがないか物色。ドックも今は中華メーカーのものがわんさか出てますが、(MBP2021に標準搭載されたから)いらないHDMIポートやSDカードスロットなどがついてる一方、USBの規格が古かったり微妙なものが多い。ハブもGen2(10Gbps)に対応したものは少ない状況。またAnkerのThunderbolt3/4ドックもSDカードスロットやHDMIがついている一方USBポートを少なかったり遅かったり微妙。

ちなみに10GbpsハブとしてはELECOMのを使っていますがボチボチ安定しています。これは引き続き持ち出し用に続投にしたい。

あとLANポートはマルチギガビット(2.5~10Gbps)のものを希望だったんですが、どれも1Gbpsでした。まぁ発熱が大きいのでドックとして一体化は難しいのかもですね。

そんな中で目を付けたのがWDのWD_BLACK D50というSSD内蔵ドックです。仕様としては、

  • Thunderbolt™ 3 x 2
  • DisplayPort™ 1.4 x 1
  • USB-C™ 10Gb/s x 2(前面/背面各1)
  • USB-A 10Gb/s x 3(前面x1/背面各x2)
  • オーディオI/O x 1
  • ギガビットイーサネット x 1
  • USB PD給電 最大87W

という感じで、USB周りがGen2でポート数も多めなのが良い。PC/Macとの接続はThunderbolt3で2ポートでディジーチェーンもできるので、ウチみたいにThunderboltケーブルで外部ディスプレイを使用している環境にそのまま割り込ませることが可能。あるいはDPも使える。イーサネットが1Gbpsなのが残念ですが、SDカードスロットがないところも無駄がなくて良い。Power-Deliveryが87WなのでM1Maxの140Wには足りないですが、そもそも常時全力運転した上で、Thunderboltディスプレイをバスパワーで駆動した場合の最大想定らしいので、(うちはディスプレイは普通にコンセントから電源とってるし)まぁ大丈夫かなーと。最悪MagSafe3ポートは使っても他のインターフェイスをつぶさないのでいいやと。

そしてD50の特徴として、内部にM.2 NVMe SSDを搭載している点があります。1TBモデルと2TBモデル、そしてSSD無しモデルがあります。無しモデルは公式にDIYで組み込めるとは言ってなさそうですが、先人達の検証で普通に使えることがわかっています。高速な外付けドライブがあれば業務用の各種動画データをオフラインでバックアップできます。案件終わったら一定期間をとった後削除が望ましいですが、いつまでも内蔵ストレージに入れておくより、自宅におきっぱでかつNASのように万一にもネット越しにみられる心配がないところに保管しておくのが一番です。そう考えるとこの外付けドックにストレージが入っているというのは良い塩梅なんじゃないかと。

D50の執筆時点の価格は、

  • 2TBモデル: 74,800円(SSD差額 37,000円)
  • 1TBモデル: 56,800円(SSD差額 19,000円)
  • 無しモデル: 37,800円

で、M.2 SSDの1TB/2TB製品の市価を考えると無しモデルを買って自分で組み込むのがコスパが良さそう。

てことで、とりあえずD50だけ買って後日M.2 SSDを買えばいいや、と思っていたんですが、Black FridayでSAMSUNG、Crucial、WD他主要SSDメーカー品の思わぬ安さにD50が届いたその日に注文してしまいました…

さて、D50はThunderbolt3対応であり規格上は40Gbps(メガビット/秒)まで出ることになります。メガバイト換算では5,000MB/s。しかしコントローラーの制限なのか実効速度は2,750MB/s程度っぽい。ということはNVMeでも最新のGen4x4みたいな7,000MB/s級の高価な製品を入れても活かしきれないということになるので、R/Wともに3,000MS/s前後のものをを狙って物色してみました。

最終的に選んだのがこちら。同じ速度/価格帯ではドックと同じWDだし、Adobe CC使用権ひと月分がついて(サブスク契約してるからいらんけど売れる?)最安でした。セール前が1.3万円が1万428円。

こちらは保管庫なのでT7 Touchよりも容量重視で1TBをチョイス。またD50に入れる際にはヒートシンクが必要なので、こちらをチョイス。

D50の冷却ファンがM.2 SSDの長辺方向に風が吹くレイアウトなので、風が抜けて良さそうかなと。逆にマザーボード上でこの向きに風を通すのって難しそう…

■まとめ

今月は出費が嵩んだのでこれらのSSDはもう少し先でいいやと思ってたんですが、セール価格が予想以上に安かったので勢いでポチってしまいました。なんかいつもここまで目ぼしい商品がない気がしていたBlack Fridayセールですが、今年はメジャーブランドの商品が割とたくさんあってヤバい気がします。さすがにこれで打ち止めにしておきたんですが…

NVIDIA BroadcastのないMacでもWeb会議にノイズキャンセルを使いたい

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M1MaxのMacBook Proを導入し、自宅デスクトップとしても当面はメインに使うことになりそうなわけです。今のご時世大抵のサービスはWinows/Mac両対応でほぼ問題ないのですが、悩ましいのがWeb会議で活用しまくっていたNVIDIA Broadcastです。NVIDIAのグラフィックボードRTXシリーズのコンピューティングパワーを活かして音声ノイズキャンセルやWebカメラの背景ぼかし処理、オートフレーミング処理などを行ってくれる仮想デバイスツールです。こればっかりは将来に渡ってMac版が提供されることはなさそう。UT実査などでWireless Go2をなどダイナミックマイク系の特性(近くの大きな音だけ拾う)のマイクを使う時はまぁなくてもいいかなと思いますが、自宅のコンデンサマイクはエアコンなどの微細なノイズも拾いまくってしまうので、なんらかのノイズ除去が必要です(ダイナミックマイクをカメラの画角に入ってしまうような口元にマイクスタンドで持ってくるのは避けたい)。これにはNVIDIA Broadcastがうってつけだったのですが、、

■札束で殴る方法は自重

以前から気になっていたのはUNIVERSAL AUDIO(以下UA)のオーディオI/FにC Suite C-Vox Noise & Ambient Reduction(以下C-Vox)プラグインを組み合わせる方法。UA社のオーディオI/FはDSP搭載で各種フィルターをハードウェア処理でかけることができる特長をもっています。そのひとつに超強力なノイズ軽減フィルターであるC-Voxがあります。ほぼ遅延なしで声を削ることなく綺麗にノイズを消せるらしいし、PC側に処理負荷もかからないので良さげなんですが、なにせハードが最低でも数万、C-Voxプラグインが$349もするのでうっかりすると10万円コースです。なかなか日本でのレビューもなく、ちょっとギャンブルでもあるのでなかなか特攻もしづらい。しかも今回はMac本体に多額の出費をしたばかりなのでさすがに自重。

UAのApolloシリーズは値段でDSPコア数が違うんですが、C-Voxをきっちり動かすのに何コアあればいいのかとかも公式サイトみてもよくわからず。基本1つのプラグインは1つのDSPコアがあれば動くんでしょうかね?

■ソフトの力でなんとかしてみる

Audio Hijack

そこで見つけたのがRogue Amoeba社(読めない)のAudio Hijackとうソフトウェア製品です。Web会議用ツールではなく、どちらかといえばソフトウエア・オーディオミキサー?エフェクター?兼レコーダーという感じ。様々な入力ソースはアプリの出力音声に色々なエフェクトをかけて録音したり、別デバイスに出力したりできます。この中に学習型のノイズ低減フィルターが入っており、最大3秒のノイズサンプルを覚えさせることで同種の音を消してくれます。ざっと試した感じノイズ以外の音声の劣化は少なそう。グラフィカルなUIでエフェクターブロックをつないでいく形で構成を作っていきます。エフェクターをかけるごとに遅延は伸びていきますが、低遅延モード(処理が追いつかないと音が飛ぶらしい)にしてNCと音量調整をかける程度ならWeb会議には充分でした(M1 Maxだしというのもあるかも?)。また途中の好きな時点のレコーダーブロックを挿入できるので、例えばエフェクトをかける前の生音をバックアップで録画しておくということがOBSで無駄にソースを増やして例のチェック間違えるとエラいことになるミキサー設定でやりくりしなくて済みます。音声もOBSのマルチトラックで録ってしまうとバックアップトラックが含まれた動画ファイルになってしまい、即渡しには不便になってしまいます。そういう時に万一のバックアップ録音はAudio Hijack側で録っておきつつ完成トラックだけをOBSに渡す、みたいな使い方もできるかなと。NC学習は一瞬ですが毎回環境がかわるような使い方だと地味にひと手間あるかも知れません。でもまぁそれで精度が上がるのならむしろアリかなと(現時点では)思っています。例えば空調音だけでなく打鍵音も除去したければ3秒の学習中にキーをガチャガチャしてやればキーも割と消えます。NVIDIA Broadcastは問答無用で人間の声以外の全てを除去するので、手を叩いたりスイッチを押す音がなくなって場合によっては映像とあわないなんてこともありました。そう考えると、「この音を消せ」とその場で教え込めるのは過不足なくていいのかも知れません。ちなみにグライコやハイパスフィルターなどは普通に揃っているので少し組み合わせてみましたが、結局とNCとボリューム調整だけでいいかなという印象。重ねると遅延も出やすくなりますし。ただDeEsser(サ行の音の余計な成分を消す)があると良かったなと思います(ざっとみて見付からなかっただけで同等のフィルターはあるかも)。

LoopBack

ただしAudio Hijack単体ではエフェクトをかけた後の音声を他ソフトからみた音声入力(仮想マイクデバイス)にアサインすることはできず、更に別のツールを組み合わせる必要があります。同じRogue Amoeba社からはLoopBackというツールが出ています(有償)。フリー昔だとBlackholeというのがメジャーっぽいです。オープンソースでM1にも対応済みだとか。今回はAudio Hijackとバンドル購入ができ、同じソフトハウス同士相性問題もまずないだろうということで安全牌としてLoopBackにしておきました。こういった仮想デバイスなどハードウェアやOSに密接に絡むツールはOSのセキュリティの仕組みが変わるごとに互換性の問題が出たりするので、きちんとサポートが継続されそうなところがいいかなと。実際、インストール手順は少し面倒です。Audio HijackとLoopBackは共通のドライバーレイヤーがACEとかいう名前で独立していて、M1のMacの場合インストールするにはリカバリーモードで起動してセキュリティレベルを落とす(サードパーティの署名付きドライバーを許可する)設定変更が必要になります。こちら英語画面ながらスクリーンキャプチャ付きの紙芝居形式で説明がありわかりやすかった気がします。

Audio Hijackが$65、LoopBackが$109(前者の方が多機能で高そうなイメージあるけど)で、セットで買うと割引きが効いて$143でした。安くはないですが、M1Max買った勢いで少し金銭感覚麻痺してる中で特攻してしまいました。

オススメは一旦Audio HijackをBlackholeで試用してみて不都合なさろうならAudio Hijackのみ購入、ダメならLoopBackとセット購入、という感じですかね。

■カメラの背景ぼかしとフレームトラッキングはどうしよう?

背景ボカシは質を問わなければまぁZoomにもTeams、Meetなどにも一応機能はありますね。ただ個人的にはあの品質はちと許しがたい。こちらもハード製品として気になっているのはOBSBot社のMeet 4K。ソフト処理より綺麗に人物抜き、フレームトラッキングができるようです。カメラのセンサーも今使っているLogicool Brioよりも大きいので画質も良さげ。現在クラウドファンディングで先行予約受付中。ここで安く買うか、日本代理店での発売を待って買うか悩ましいところですが、いずれにせよ最短で来年初頭です…既製モデルをみると日本の代理店は並行輸入品はサポート対象外のようなので、後のことを考えると国内販売を待つ方がいいのかも知れません。

あとはATEM MINI Proでキッチリとグリーンバック用意してガチでクロマキー合成するかとかですね。これ買うか、、、

M1 MaxのMacBook Pro 16’を導入しました

Pocket

ついに出ましたね。AppleシリコンのM1を搭載したMacBook Pro(以下MNP)の上位モデル。メモリが16GBに制限されず処理性能も更にアップした真の(?)Proモデル。Pro 13’をスルーしていてよかった。ナンバリングとしてはプロセスルールがかわってないからはM1のままでしたが、ProとMaxがつきました。iPhoneではProとMaxは排他関係にないんですが、M1ではProまたはMaxの2択(無印入れると3択)となります。ややこしい!

全体的にCPUおよびGPUのコア数が増え、最大メモリも64GBまでに増えました。8KやApple ProResなどの重たい動画もハードウェア支援でサクサク編集&エンコができるとのこと。個人的にはGPUの汎用的なパワーよりもハードエンコード支援が速くて綺麗で静かなことが重要なので、かなり惹かれました。

現在は仕事でOBS Studioで3カメラ+αくらいのリアルタイム合成をして配信や録画をしたり、Premiere ProでMax 4Kの映像を扱っています。それらが速く静かに安定して使えるなら、久しぶりにMacをメインに戻してもいいなと思い検討をすることに。

現在メインのWindowsデスクトップはRyzen 3900 + RTX3070です。SSDもGen4ですが、先日4Kソースx2本(正確には同一のソースを時間的に少しずらして重ねる的なレイアウト)を4K出力したら1時間くらいの映像に10時間以上かかってショッキングでした。また出先での実務ではRazer Blade 14のRyzen 5900HX + RTX3070構成。こちらの問題は結構ファンがうるさいことと、USB周りが不安定な点。普段は割と静かですが少し負荷がかかると結構ファンノイズが気になりだし、仕事の時は安定性も考慮して下にファンがついたノートPCクーラーをしいて運用しています。これも一緒にもってくので結構嵩張る。また一番困っているのがUSBキャプチャデバイスやWebカメラを複数つなぐと結構不安定でOBSの映像がブラックアウトしがち。個別に無効化->有効化をしたり、ひどいとOBSやOSを再起動しなければならないことも。USBの電流不足っぽいのでセルフパワーのハブをかましたりしてみてますが、なんかドキドキしながら使っています。

またどちらの環境でもNVIDIAのRTX Broadcastによるマイクノイズ軽減や背景ぼかし、フレーム追尾は重宝していますが、UT実査ではRode Wireless Go2で口元で収録すれば中継には充分な音質だし、それ以上は後でPremiere上でクロマノイズ除去でいいやという感じになってきていて、RTXマストではないかなという気もしてきました(普段のちょっとしたWeb会議にはめちゃめちゃ有効なのは間違いないですが)。

というわけで、

  • OBS Studioがカメラ多めの環境で安定して、かつ静かに使える
  • Premiere Proで4Kクラスのエンコードが速くなる

ならば是非使いたいなと思いました。もしかして今のデスクトップより速くエンコードできるのであれば、もういっそWindowsデスクトップはなくして、Mac/Windowsの高速ノート2台体制も夢ではないかなとか。

とはいえ一般の評価を見てからと思い、イベント即日には予約しませんでした。半導体不足の煽りで初回ロットを逃したら年内買えないかも?という不安はありましたが、、

■どうせすぐ買えないので構成をじっくり考える

シルバーかスペースグレーか

これまでMBPもMacBookもひたすらシルバーを買って来ました。なんかやっぱりMacBookって感じで綺麗だなと。しかし今回は初めてスペースグレーをチョイス。主な理由はキーボード部分がブラックアウトされていて、シルバーのボディからは浮いて見える気がしたから。スペグレでもまだ浮いてる気はしますが、まぁマシなんじゃないかなということで。iMacなんかだと上位モデルという感じもあってせっかく後述のM1Maxにするならより速そうな方にという理由も。

14か16か

ここはかなり迷いました。昔ほどノマドでプログラミングなど長時間作業をするかどうかです。Razer Blade 14で14インチのハンディさは味わっていて、持ち歩いてノートとりなど系作業にはかなりジャストサイズなフォームファクタだなという実感はありました。今回のMBP14/16は少し重量が増していることもあり。そもそも99%は自宅でクラムシェルにして超ワイド5Kモニタにつないでいるので、あまり液晶モニタにコストかけるのはもったいない気も。ぶっちゃけMac miniのM1Max機があるなら自宅用に割りきってもいいかなって思ったくらい。

結局16にしましたが、これは積極的に選んだというよりは在庫やスペックの条件で買えたから買ったというところが大きいです。まぁRazerが14なので使い分けられる様、違うサイズがいいだろうというのも。

ハイパーモードの存在は知ってはいましたが特に気にはせず。あとはスピーカーの音質は16の方が良いらしいというのも聞こえてきていて、まぁあまり内蔵スピーカー使う機会もないけど、音がいいのはいいなって位。

M1ProかM1Maxか

これも正直自分の使い方でMaxいるかどうかは微妙でした。8KやApple ProResの編集とかは当面は機会がないでしょう。iPhone 13 Pro MaxでProRes撮るかもですが、ファイルサイズがエグいので常用はしないかなとか。Proでも「最大20ストリームの4K ProRes再生」ということなのでデコードや合成処理には充分すぎます。

ただコア数よりもメモリ帯域幅がProとMaxでは2倍違うのは気になりました。

まぁ前のMBPが2016年モデルで自分にしては長く使ったし、MacはOS対応サイクルが長いので今度も割と長く使うかもということもあり、そのうち活用するかなということ。あとは後述のメモリとかの組み合わせも考慮すると、M1Maxはコスパは高そうという気がしたこともあり、これまた積極的にMaxにしたというよりは組み合わせとして松モデルが手頃そうだったというところが大きいです。Mac ProやiMacみたいに上位モデルが70万だの天井知らずの価格差ならともかく、今回のPro/Maxの価格差は数万円程度で手が届かなくはない差なので、精神衛生上、上位モデルにしておこうかなという気持ちは働きます。Maxだとバッテリーがもたない、とか爆熱とかあればまた悩ましいですが、今回は仕様で謳うほどは差がなさそうでしたし、購入者の評判を見る限りMaxでもめっちゃ静かだということ。今のSoCは省電力モード専用コアとかがあるので、低負荷時は違わないんじゃないでしょうかね。静かでバッテリー減らないなら上位モデルを避ける理由はかなり減ります。(ちなみに16インチの場合重量が100g違います。Maxだと軽量スマホ1台分くらい重くなるということです。)

メモリ、SSD容量

M1ではCPUとGPUがメモリを共有してそれぞれが必要な分だけ確保するユニファイドメモリという仕組みになっています。つまり前モデルと同じ16GBモデルを買ったとしても、GPUに何割か持って行かれると考えると実質は少なく見積もる必要があるんじゃね?と考えました。初代M1のラインナップもそこが気にあった点ではあります。そもそもアーキテクチャが違っていてメモリの使い方を違うし、VMWareでWindowsも動かせないので、16GBもいらないかなとも思いつつ、まぁなんか数字として減るのは悔しいなと。てことで32GBを選びました。

SSDは出先で動画収録や編集に使うことを思うと大きいに越したことはないですが、まぁコスパを考えて1TB。Razerと同じ。まぁこれだけあれば1回の実務で不足することはないでしょう。またUSB4やThunderbolt4の外部ストレージが出揃ってくれば2,000MB/s級の読み書きができるので、足りなくなったらそっちに逃がせばいいかなと。

16インチの松モデルを選択

というわけで、メモリとSSDが希望通りである16インチの松モデルが結果として手頃だしコスパも良いし、しかもApple Store店舗なら結構在庫あるぞってことで決定しました。

  • M1Max
  • 10コアCPU
  • 32コアGPU
  • 32GBユニファイドメモリ
  • 1TB SSEストレージ

です。下位モデルにメモリやSSDを持っていくと、結局松に価格が近づいていき、だったらMax/32コアGPUにしてしまった方が「ストレージとメモリ容量以外は最高モデル」と思って買った方が気分が良いでしょう(笑)。

■Apple Storeなら結構ピックアップで購入可能!?

購入モデルを決めて探してみると、オンラインは1ヶ月以上かかるものの、Apple Store実店舗ならわりと在庫があるところがチラホラ。現場仕事を翌日に控えた日、残念ながら川崎は受け取りが翌日になっていましたが表参道なら当日受け取り可に!仕事も都内なので、受け取ってホテルでセットアップすれば次の日仕事(ちょうど機材テストの日)に持ち込めるじゃん!本番でないのでダメでもRazerに戻せばいいだけ、ってことでなんか気持ちが盛り上がって店頭受け取り注文をしてしまいました。

コロナ禍で受取時間は30分毎の枠で予約が必要でしたが、少し早く着いてしまい、行列が短いタイミングで係の人に相談してみたら店内に入れてくれて受け取りもできました。

ホテル開封になるとTimeMachineバックアップからの復元ができないわけですが、今回アーキテクチャが変わってる節目だし、久しぶりにクリーンセットアップしてみるのもいいかなと思い、データは後ほど手動でコピーすることに。

■OBS StudioとPremiere Proでテスト

でホテルであれこてセッテイングをし、翌日の機材テストに投入してみました。構成はOBS StudioでFHD録画、Zoomの画面共有でサブモニタ映像(FHD)をまるごと配信。カメラはFHDを3系統、マイクをUSBでWIreless Go2で、あとは簡単な図やテキストという感じ。結果は上々。一度外部モニタの電源が落ちてOBSがクラッシュしましたが、まぁ共有してる画面が突然消えたらしかたないかってことで配線をかえて対処。それ以外はド安定でした。ファンが回る様子もなし。RazerでUSB機器が増えた時のような不安定さもなくバスパワーハブでも安定して絵が出ていました。

また事後にPremiere Pro 22で録画した動画ファイルのサイズを縮め、バックアップの音声トラックを削除してもう一度MP4に再エンコードしてみました。4Kでもなく合成もないので編集操作はサクサク。ただ出力は90分のソースで30分くらい。3倍ですね。正直もうちょっと魔法のような爆速さを期待していましたが「まぁこんなもんか」と。冷静に考えると充分スゴいですが、drikinさんが8Kを3倍で書き出せたみたいなこと言ってたのでFHDなら一瞬じゃねーの!?と予想してたのも確か。DaVinchだともっと速いのかな?Appleのエンコード部分をFinal Cut Proから独立させたCompressorはもってますが、さすがにカット編集すらできないのではいくら速くても使い物にならないし、こういう時のためにもDaVinciを手習いしておくべきか…

■その他所感

重量・サイズ感

やはりスペック通り、一回りゴツく重くなった感は明らかに体感でわかるレベルです。ズシっとしてます。持ち運ぶ時は14インチにすれば良かったかなと思いそう。まぁでも当面は自宅作業がほとんどなのでいいかなー。

端子類

方々で「Appleどうした?」っていわれるくらいレガシー端子が復活しまくっています。MagSafe3はちょっと磁力強めで、本当にコードのひっかけた時に抜けてくれるのかな?と心配になるレベル。

HDMIは2.0なのは残念ですが、まぁ自宅ではThunderboltだし、出先用と割りきるなら荷物減るし4K/30pも出れば充分でしょう。HDMI出力一体型ハブとか持ち歩くのはなんか悔しいので、その分他のポートが充実したハブを買い直しでしょう。

MagSafeがつくかわりにUSB/TBポートが減っているのが気にはなります。まぁ従来は電源用に1ポート埋まることが多かったので差し引きのダメージは少ないですが。PD 100Wがきちんと通るハブもあんまり選択肢がなかったですし。

SDカードスロットも地味に嬉しいですね。

もろもろポートがついたおかげでHDMIやSDカードのためにドングルやミニドックを持ち歩く必要がなくなります。むしろ配信系の現場ではカメラやマイクでUSBを多用するのでとにかく品質の良いUSBハブを探そうと思います。

一方でなくて惜しいのはLANポートです。Mac miniのように10Gbpsとかつけてほしかった。せめて2.5Gや5Gbpsでも。というのも現状でM1やMotereyでばっちり使えるという5G/10GbpsのLANアダプタってあまりなさそうなんですよね。QNAPもいつのまにかMacのサポート打ち切ってますし。あれドライバはかなり強引に入れる必要あるし、なんか使ってていつのまにかOSが落ちて電源切れてるみたいなこと多かったし、やっぱコイツのせいだったのかな?手持ちではBUFFALOとASUSTARの2.5Gbpsは一応認識してリンクアップもできてます(実効速度までは測定してないですが)。5Gbps以上で手頃なものがないんですよね…自宅用のThunderbolt4ドックで5G/10Gbps LAN付きを見つけたら買いかなと思っています。

充電周り

16インチは充電器が140Wタイプになるのも代替品がなくて悩みますね。まぁ普通の作業ならPD 100Wでも充分足りそうですが。充電器とケーブルはType-Cで脱着可能で、Type-C – MagSafe3ケーブルは予備で1本買っておきました。純正は自宅用にして、ホテルなどでは他のデバイスと兼用で100W級の充電器でいいかなと。ケーブルは編み編みタイプになっており耐久性が高そう。

ディスプレイ

M1 iPad ProがミニLEDでローカルディミングに対応した時、カラー表示画素に対してローカルディミングの解像度が低いために、文字が滲んだように見えるブルーミングという現象が話題になりました。正直買わなくて良かったと思ったんですが、今回のMacBook Proでも同じことが起きないか心配でした。初回予約を見送ったのもこれが一番理由として大きかったです。しかしその後のレビューでiPad Proの時より改善されていると聞き「じゃぁ大丈夫かな。やっぱ買おうかな」と気持ちの針が購入側にグググっと動きました。

実際見てみると全然気にならないレベル。目をこらしたらわかるかも知れませんが、黒地に小さな白文字のようなかなり特殊な条件なら見えるかもですが、普通にはわからないです。いいかえると電子書籍とかで反転表示はキツイかもですが、スマホやタブレットと違ってそいう使い方はしないので問題なさげ。Visual Studio Codeで黒背景でプログラミング作業もしてみましたが特に気になっていません。

120Hz表示はまだSafariですら非対応ということなので評価保留。

いずれにせよ現状では9割は自宅で外部ディスプレイ接続の使い方では活用しきれないのがもったいない。これから現場やノマド機械が増えていくといいなと思います。

スピーカーの音が確かに良い

2016から世代を重ねる毎に音質アップと言われていたので、その積み重ねが一度に来たのか、今世代がスゴいのかはわかりませんが、確かに高音から低音までしっかり、それもかなりの音量で鳴りますね。HomePods 1台よりも全然良いし、逆にHomePods 2台の低音ブーブーすぎてアレな音質よりも実用性では上。部屋のBGMにも充分使えそうなレベル。まぁこれもディスプレイと一緒で普段はクラムシェル使用で活躍の場は少ないですが。逆にホテルとかで使ったら壁ドンされるレベル。

キーボード

2016世代のバタフライキーボードは革命的で大好きでした。超浅ストロークで指の動きを最低限にして高速タイピングができる感覚が素晴らしい。ただバタフライは異物がはさまって不具合を起こす欠点がなかなか改善できず2019年モデルでは次世代のシザー方式に移行してしまいました。個人的にはこのシザー式はストロークも少し深くなっていて好みではなく買い控えの理由でもありました。たぶん今回に強いアピールがないので基本的にはシザーを踏襲したものだと理解していますが、久しぶりに店頭でタイプしてみて「これなら許せるかな」と思った次第。あらためて2019と比べたわけではないのでなにか改善されたのか、単に逆思い出補正なのかはわからないですが、なぜだか今作は特に不満なしです。バタフライと比べて上!という気もしていませんが。

先に書いたようにデザイン的に真っ黒でプラスチック感が増したのは減点要因な気もします。まぁ見慣れるでしょうし、どうせ9割クラムシェルで(以下同分

ケース周り

上面と底面がフラットになった点についてデザイン面では特に好き嫌いを感じないです。Surfaceっぽいかなってくらい。ただフラットということは保護ステッカーなどは綺麗に貼れそう、、という気はしていて、傷つけないうちになにか良いステッカー見つけて買おうかなとは思ったり。ただまぁMacBookの外装はちょっとやそっとで傷はつかないのは長年の経験で信頼しているので、この質感を活かして素で使うのもいいしなと悩ましいです。

iFixItによるとバッテリー交換はちょっとだけ手間がマシになった程度っぽいですね。2016でも交換を経験しているのでDIYでやれるレベルだと良いのですが。またSSDは交換困難なようで残念。統合メモリは仕方ないにせよSSDくらいはM.2でサクっと脱着可能にしておいてほしいものです。

まとめ

Macは筐体の刷新は数年置きで、ここ最近も2012のRetinaモデル、2016のTouchBarモデルと外観が刷新されるのを機に買い換えてきました。M1という意味では周りでAirや13’Proを買ったひとを羨ましく思いつつでしたが、15/16インチという意味では今回もその波に乗れた気がします。さすがにiPhoneのように毎年は買えないですが、OSサポートも長いしまたこの形が変わる頃まで愛用していければと思い、プロセッサとメモリを盛りめにしました。容赦なく肥大化する動画フォーマットを鑑みるとストレージが不足してかないかは不安要素ですが、しっかり活用していきたいと思います。