[3Dプリント] Starlink Mini用モバイルバッテリー運用キットの大幅アップグレード!

以前製作したStarlink Miniをモバイルルーターでスタンドアローン(ケーブルレス)運用するためのプレートキットですが、頒布希望をいただいたのを気に第二世代への刷新しました。

初期モデルの記事はこちら。

今回のアップグレードの要点は、

  • INIU P63-E1以外のバッテリーでも使える汎用化
  • 市販GPUステーを使った傾斜設置スタンド
  • 三脚固定用ステーオプション

などです。

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■メインプレート+カバー

メインプレートにINIU P63-E1モバイルバッテリー(以下INIU)を装着した状態がこちら。DCコネクター-USB Type-C変換アダプタ経由でバッテリーのUSB Type-Cポートに装着しています。バッテリーはベルクロ(マジックテープなどで貼り付けます)。

将来的にINIUバッテリーが入手できなくなっても使いたいということだったので、一定のサイズ以下であれば貼り付けて使えるようスペースを設けています。

例えば、UGREENのPB205を使うと、後端ははみ出ますがこんな感じで使用可能です。

裏返すとこんな感じでケーブルを色々な経路でコネクターまで引き回せるようにしています。

初期モデルではケーブルを完全に隠蔽することを優先してL字アダプタを駆使してこういう配置でした。

しかしこれだと都度バッテリーを外さないと充電ができないので、第二世代ではバッテリーのコネクター面をStarlink Miniのお尻側に向ける想定です。ただINIUであれば上記配置も可能だと思います(使用するケーブル次第)。

ELECOMのLANケーブル用の防水キャップも干渉しないで取り付けられるよう小型化しています。

(メインプレートのカットモデルでの検証写真)

メインプレートには小さいマグネットを6点仕込んであり、フタパーツがパチっと脱着できます。

こちらはコネクター部分を覆い隠す汎用のフタ。

こちらはINIU P63-E1専用のフルカバーです。

見た目をスッキリさせたくてバッテリーの電源ボタンを押す穴はあけませんでした。

  • メインプレートにバッテリーをセットしてケーブルを接続
  • バッテリーの電源を投入
  • フルカバーをマグネットでアタッチ
  • Starlink Miniに装着

という手順になります。

■傾斜スタンド

バッテリー駆動化したStarlink Miniをいざ設置するとなると、緯度に応じて仰角(傾き)を調節することになります。そこで、ある程度強度を保ちつつ長さ調節が可能なものとして、PC自作erにはお馴染みのGPU保持スタンドを活用することにしてみました。

こんな感じでネジで長さを調整し、固定リングを締めて動かなくします。左の筒が3Dプリントしたパーツです。

こんな感じで直角に差し込んでGPUステーの先端側をメインプレートの穴に差し込んで使います。

差し込む穴が左右両側にある理由は後述。

使わない時はこの向きに差し込んでコンパクトになります。

■三脚ネジ用アダプター/ブラケット

Starlinkの使用には開けた空が必要です。上記のスタンドで角度は調整可能ですが地面置きだとどうしても障害物に電波を遮られがち。そこでより高い位置に設置する方法も検討しました。Starlink Mini用の純正オプションや社外オプションでポールマウントや三脚ネジマウントなどは存在していますが、今回製作したバッテリープレートキットとは排他利用になります。

そこで本バッテリープレート互換の三脚ネジ治具を2つ作ってみました。

三脚ネジ穴アダプター

ひとつはGPUステーの先端を差し込む穴を使った三脚ネジ穴アダプターです。GPUステースタンドのかわりにミニ三脚など汎用的なスタンドを活用できるようにするもの。

ただし位置的に端っこにあるので、仮に左右にとりつけたとしても重要バランス的に高所に浮かせることは難しいです。

三脚ネジ穴固定用ブラケット

そこで、全体の中心付近に三脚ネジ穴がくるように保持するブラケットがこちら。

同様にGPUステースタンドを挿す穴を活用します。中心部に金属製の三脚ネジ(1/4)穴互換のナットを熱圧入で埋め込んで強度を出しています。

角度は三脚側の自由雲台で調整する想定ですが、思いの外しっかり固定できました。三脚ネジで重量を支えられるか心配でしたが、もともと1/4の三脚ネジは3~5kgほどのカメラ機材を支えられるということで、1.1kgのStarlink Miniとモバイルバッテリー、ケーブル、本プレートキットなどを入れても2kg程度なので余裕かなと。ただカメラと違って風に煽られやすい形状なので、三脚ごと転倒するリスクはあると思います。一脚などは論外で、それなりにどっしり安定した三脚を使ったり、既存のポールにクランプアームなどで固定するとかになるでしょう。

これは1.5kgだから微妙かな?まぁイメージとして。

■まとめ

あくまでモバイルバッテリーを使って2,3時間程度の稼働を想定したものにはなりますが、屋外イベントや災害時などの短時間運用や、モバイルバッテリーをとっかえひっかえしながらの想定ならケーブルレスでWi-Fi空間を構築できるかなというものです。

問い合わせ&お見積フォームを作成しました。ご興味をお持ちの方はこちらからお問い合わせください。カラバリやカスタマイズなどもご相談にのれるかと思います。

WordPress記事に3Dモデル(STL)を貼る

3Dプリンター製作物の紹介記事が増えるにつれ、その形状をブラウザ上でグリグリできるような形で紹介したいことが増えてきます。

以前はEmbedSTLというプラグインを使用してこちらのような貼り方をしていたのですが、あまり自由度がなくイマイチでした。また2年ほどアップデートがされておらず、メンテナンスが終了している可能性もあり、ちょっと使い続けるには微妙かなと。

EmbedSTLの表示例

そこで改めて物色し、Woo3DViewerを発見しました。こんな感じの表示になります。まずはそれぞれ使い比べてみてください。

操作方法は共通で、

  • 左ドラッグでアングル
  • 右ドラッグで位置移動
  • ホイールでズーム

です。

Woo3D Viewerの表示例

Loading file
  • Fullscreen
  • Wireframe
  • Zoom In
  • Zoom Out
  • Rotation
  • Screenshot
  • Help

Controls

×
  • Rotate with the left mouse button.
  • Zoom with the scroll button.
  • Adjust camera position with the right mouse button.
  • Double-click to enter the fullscreen mode.
  • On mobile devices swipe to rotate.
  • On mobile devices pinch two fingers together or apart to adjust zoom.
  • On mobile devices 3 finger horizontal swipe performs panning.

サイズやモデル、背景の色もことこまかにカスタムできるのがいい感じで、乗り換えることに。

■Woo3DViewerの特徴

Woo3DViewerは基本機能無料で、一部の機能は有料版のProのみ利用可能となります。ちなみにWordPressのプラグインディレクトリでは「Easy 3D Viewer」という名前で表示されます。

以下がプラグインの画面です。WordPressプラグインあるあるですが、入り口がサイドバーの歯車アイコンで、他のプラグインとかぶっているのはご愛敬。メディアライブラリにアップロードした3Dモデルを「Set Model」から選択し、各種パラメーターをプレビューを見ながら設定し、「Generate」ボタンでショートコードが生成されます。これを記事にコピペすることで上記のような表示ができます。正直手間としてはEmberSTLに比べるとひと手間かかります。また修正したい場合も、ショートコードを記事からこの画面にコピペして戻してやる必要があったりします。データベースには残らず、あくまでショートコードジェネレーターという仕組みですね。簡単なパラメーター変更ならショートコードの中身を直接書き換えてもいいんでしょうけど。

そのちょっとした使いにくさを補ってあまりある機能的長所があります。[PRO]と書いたのは有料版の機能です。

  • モデル色、背景色、質感などをカスタマイズできる
  • 全画面モードがある
  • 自動回転アニメーション
  • STL以外のファイル形式にも対応(.OBJ, .STL, .GLTF, .GLB, .ZIP [以下PROのみ].3MF, .WRL,)
  • 各種初期パラメーター(角度、ズームなど)も指定可能
  • [PRO] PNG、アニメGIFなどへの変換
  • [PRO] モデルの修復、ポリゴン削減、圧縮(読み込み高速化)
  • [PRO] 外部サイトのモデルを表示
  • [PRO] 1ページ内に複数モデルの表示(10個まで)

有料版は$29で、購入時点で税込み5,477円でした。正直プラグインとしてはお高いなと感じてしまいましたが、個人的には1記事に複数貼りたいケースもあるなということで購入に踏み切りました。特に今後取り組んでいきたいクライアントワークで、客先にイメージを伝えるのにブラウザ上でプレビューを見せられるのは有用だなと思い。WordPressで固定ページを作りパスワードをかけて共有すれば、相手がSTLビューワーをもってなくても超簡単に閲覧してもらうことができます。全画面モードでみてもらえばかなり詳細まで確認できて良いなと。

STL保護が課題

EmbedSTLでも同様ですが、一番の懸念は生stlファイルをアップロードしてURLで参照するので、HTMLソースをみれば直リンクが露呈してしまう点。例えば販売商品紹介で使うとSTLを取得され勝手に複製されるリスクがあります。それもあって、今までもあまりEmbedSTLを積極的には使ってこなかったし、そこはWoo3D Viewerになっても同じかなと。当面は「販売予定がなくSTL盗用されても惜しくないもの」と、パスワード付きでクライアントワークの成果物共有用という形になるかなと思います。

パンチルト付きセキュリティカメラAnker Eufy SoloCam S340

増車準備シリーズ。

もし3台目が来たら自宅敷地内の駐車場には駐められないので、別で駐車場を借りる案が出ています。そしてちょうど裏手に駐車場があるんですが、もしそこが借りられたら自宅の2Fベランダに監視カメラをつければ常時監視できるんじゃね?ということになり、ちょうどセール中で20% OFFだったEufy SoloCam S340(以下S340)を購入しました。

Eufyはバッテリー製品で有名なAnkerの家電ブランドです。セキュリティカメラだけでも結構なラインナップが出ており、S340はその中でもレンズ部分が縦横に動くパンチルト機構搭載のモデルです。もちろんただ動くというだけではなく、アプリから遠隔操作で画角を選べます。本体だけでもある程度の画像認識、物体追尾はしてくれるのですが、別売りのHomeBase S380(以下HomeBase)と組み合わせるとそちら側のAI処理で人物認識などができるようになります。

また単体だと8GBの内蔵メモリに録画されますが、Home Base側には内蔵16GBもしくは増設ハードディスクで最大16TBまで拡張可能です。保管場所が建物内になることで、万一カメラ自体を持ち去られても録画データは保全できるということになります(どういうタイミングで同期されるのかわかりませんが)。ちょうど最近ATOM Camのクラウド保存が有料化されたのであわててmicroSDカードを挿したりしてローカル保存に切り替えたりしましたが、HomeBaseを使えば複数台のカメラの録画データを大きなストレージに集約できるのでヨサゲではあります。もちろん月額利用料はかかりません。本当にイケてたら現在屋外に設置してあるGoogle Nest Cam(年額8,000~15,000円)もまとめて移行してもいいかなとか。

今回は近隣駐車場を見渡すためにベランダに取り付けるため、そうそう持ち去られることはないだろうということでまずはカメラのみ購入。使えそうなら後日HomeBaseも買うかなって感じです。

■SoloCam S340設置(3Dプリント)

まずはDIY設定のお話から。興味ない方はファーストインプレにジャンプ推奨。

S340はソーラーパネルも付属しており、通信はもちろんWi-Fiなので、基本的に配線不要で物理的に設置するだけで利用できます。今回は2Fのベランダ手すりに設置することにしました。付属のマウンターだと基本的に壁にビス留めする想定なんですが、ウチは賃貸なので非破壊で取り付けたい。そんな時の3Dプリントですよ!

早速こんなマウンターが完成(黒)。白いのがS340付属のブラケット。ビス穴が3つ空いています。

その3つ穴にあわせてマウンターにも穴を開け、受けネジは強度が出るよう金属のインサートナットを熱挿入しました。

熱圧入についてはこちら。

強度を出すためにインフィルを3Dハニカムにして密度が高かったせいか、押し込んだ奥から溶けた樹脂が盛り上がってきて半田ゴテやナットの内側にべったりついてしまいました。ネジ穴が埋まったらどうしようと思ったんですが、なんとかボルトは入りました。

ブラケットとはM4のボルトで締結。

今回はガチの屋外使用ということで耐候性や熱耐性が高いASAで作ろうと思ったんですが、どうしても途中でスパゲッティ化してしまい断念。定着とかの問題ではなく、スプールの巻きの状態が良くないのか、AMSでもそうでなくても途中で絡んでしまってフィラメントが送られなくなるトラブル。大きなモデルだけに失敗した時の時間的、材料的なロスが大きいので3回で諦めました。

で、同じくBambuが屋外用として推している高速PETG(PETG-HF)に切換。ASAの耐熱100℃に対してPETG-HFは69℃とかなり下がりますが仕方なし。ちなみに前回比較的短期間で変形してしまったPLAだと60℃前後なので、それよりはマシかなという程度。本当は黒じゃない方が真夏の太陽下で熱を持ちにくいんでしょうが、在庫がなかったのとベランダの手すりの色とのマッチングで。

裏にスリットを入れることも検討したんですが、ChatGPTさんと相談の結果、インフィルを3Dハニカムにするとえぇよってことでスリットは無しに。ちなみにスリットはいつもサポートがいらないよう▲の溝をつけてましたが、ChatGPTさん曰くそれだと頂点に応力が集中しやすいので、曲線でサイン波みたいに波打たせるのがいいそうです。なるほどトタン屋根みたいなもんですかね。次に機会があったら試してみたいです。

ということで、今回はそれなりに厚みを持たせてインフィルを3Dハニカムにしたことでとりあえず様子見。変形してカメラが地面に落下したらアウトですが…まぁ下は自宅の庭なので人を巻き込むことはないでしょう。

サイズは一発でバッチリでした。ギュっと押し込むと入るくらいの絶妙なキツさ。かなりカメラ側が重い重量バランスになりますが平気そう。撮影日は小雨だったので、後日念のため両面テープで貼るかも知れません。いずれにせよ夏には忘れずに定期的に様子をみてみないと。

2025.4.21追記

移設のために取り外してみたんですが、既に少し反って浮いてきてました。高速PETGでもダメかー。まだ春なのに。敗因は黒でスリットもなしだった点かな。当面ここにカメラを設置しないことになりますが、もし次やる時は白でスリットをつける、かつコの字に加えてもう少しひっかかりを追加するデザインにしてみようと思います。あとは両面テープで固定するかどうかですね。

別アングル。配線がないことも相まって、手すり上の好きな位置に固定できます。

ちなみにソーラーパネルの最適角度もChatGPTさんに効いたところ、方角は真南、傾斜角は30~40°が良いらしいです。発電効率も含めてしばらく試験運用してみます。

あと、推奨設定地上高は2~3mなので、それ以上の高さにした場合、ライトや動体検知の範囲外になる可能性はあるので、そこら辺もどうかは検証していきます。

S340ファーストインプレ

比較対象は国産のAtomCamと、GoogleのNest Camです。

まずシンプルにカメラ性能は良いです。3K画質は伊達じゃないですね。AtomCamもNest CamもFHDだったので、明らかに解像度感があります。広角で撮影した録画データも後からそこそこ拡大できそう。

また光学3倍ズームもあり、デジタルズームとあわせると8倍なので、望遠性能もかなりのもの。リアルタイムで使うことはあまりないかもですが。

アプリの作りとして惜しいのはカメラ一覧画面でリアルタイム映像が見られない点(ATOM CamやNest Camは可能)。複数カメラを設置した時に、いちいちどれかのカメラを選択して詳細画面に遷移しないとストリーミング映像は見られなさそう。HomeBaseを追加するとどうなんだろう?

それ以外の機能、操作性は競合と似たり寄ったりかな。家族など別アカウントユーザーとの共有もできるし、Wi-Fi設定はアプリでQRコードを作ってカメラで読み込ませるだけ。プライバシーゾーン(動体認識しないエリア)を設定できるので、例えば隣家の敷地を指定しておけば隣人の出入りを検知しなくなります。AI機能はHomeBaseと組み合わせないとですが、必要な機能は過不足なく揃ってる印象です。

あとスピーカーから流せる威嚇用サイレンは思ったより大きくてビビりました。

総じてソフトもハードも作りはしっかりしており、月額費用を無くせるならHomeBase含めて完全移行もありかなと思います。ただ小型ペットのケージの監視用にはちょっと大きいモデルしかないかな?ATOM Camのコンパクトさと安さはちょっと突出してますね。解像度がFHDでいいなら引き続きATOM Cam + SDカード運用がコスパ最強。宅内集中録画したい、より高解像度/高画質で録画したいならeufyシリーズってとこですかね。あと屋外でソーラーモデルがラインナップに多いのもeufyかな。Nest Camの優位性はGoogle Homeアプリで他のデバイスと一緒に管理できる点ですが、そこまで大きなメリットでもないかなという印象。Google Nest Hubでさっと見たい人向けかな。ちなみにATOM Cam + Amazon EchoShowでも視聴はできます。そういう観点ではeufyはディスプレイ付きスマートスピーカーの類とは親和性は高くないかも。機種によってはできるのかも?公式のリストにはS3x0系はないようですね。リストにあるE40とかは古いモデルのようなので、HomeBase対応モデルはGoogle/Amazon対応を縮小してるのかな?

■まとめ

これまで宅内はATOM Cam、宅外はGoogle Nest Camでしたが、久しぶりに新プラットフォームのセキュリティカメラに手を出しました。ATOM Camの有料化、Nest Cam Awareの値上げなどクラウドベースの製品のランニングコストが上がっている中、初期コストだけで済むeufyは着目株な気がします。一覧画面でストリーミング視聴できない点だけ惜しいですが、全体として遜色はなく、今回試験的にカメラ単体で導入しましたが、遠からずHomeBaseを購入し、2台の屋外Nest Camもリプレイスしていきたいなと思った初期感想です。

ソーラーバッテリー運用の持続性、セキュリティ検知能力はもうしばらく検証してまた追記していきます。

配線工事不要というのは大きなメリットで、日当たりが良い場所ならS120も気になっています。パネルの向きは変えられないものの一体型でスマートですね。

2025.4.12追記: 半月使ったセカンドレビューを書きました。

Starlink Miniのモバイルルーター化と実地テスト

山奥でStarlink Miniを使ってみたいということで、伊豆のグランピング施設に宿泊してきました。ついでに前から取り組んでいたStarlink Miniへのモバイルバッテリーマウントがようやく形になってきたのでこちらも実際にテスト。

Starlinkをケーブルレスで運用する

以前の記事でモバイルバッテリーを背面に固定したらケーブルレスで巨大モバイルWi-Fiルーター化できるんじゃね?といっていたアレです。

PD 100Wモバイルバッテリー、INIU P63-E1を固定するマウンターを3Dプリンターで設計、出力してみました。

バッテリーの厚みが突出していましたが、こんな感じでケーブルレスでStarlink Miniを起動できています。

上下分割式でフタを開けるとこんな感じ。

モバイルバッテリーからL字アングルを介してUSB-Cケーブルを出し、Starlink Mini用防水プラグアダプタにつながっています。使用したパーツはこちら。

Starlink Mini電源アダプタはAmazonになく、アリエクでこちら。ショートケーブルではない変換プラグもありましたが、形状的に上手く収まらず、ショートケーブルの方が融通きいて良かったです。

一応、右下側に有線LANケーブルを通せる穴も開けてあります。電源ランプが覗ける穴も。

Starlink Miniには電源スイッチがないので、モバイルバッテリーの電源ボタンを押せる穴もつけたんですが、小さすぎて指が通らずw。今度造形する時は修正します。

これで電源を入れたらあとは北向きに空を見渡せるところに置いて、Starlinkアプリで向きを確認して修正するのみです。

ただバッテリーの膨らみだけでは角度が足りず、結局標準スタンドを下にかましました。将来的にはなにかしらスタンド機構も持たせたいところです。

山の上だから施設付帯のWi-Fiの速度もたいしたことなかろうと侮っていましたが、普通に下り400Mbpsとか出てStarlinkイラネって感じでしたw。

Starlinkもアンテナ内でのスピードテストでは下り250Mbpsくらい出てたんですが、このテントが少し電波を通しにくい素材なのか、室内に入るといっきに速度が落ちて65Mbpsに(下写真)。

やはり有線LANで室内までケーブルを引き込んで、別のモバイルルーターでWi-Fi電波を飛ばした方が良さそうです。ウチで使っているのはこういうの。

ただ今回のテントは外から中にケーブルを通せる穴は見付からず、結局わざわざStarlink使う必要ないわということで1時間ほどで回収。バッテリー残量100%から使い始め、1時間8分ほどで70%でした。3時間くらいは稼働させられそうですね。ただまぁ衛星に向けての電波送信が電力食いでしょうから、上り通信が続く配信などの使い方ではもっと短い時間で電力を使い切る可能性も。

■まとめ

Starlink Miniが届く前からチャレンジしてみたかったモバイルルーター(ケーブルレス)化に一応の目処がつきました。課題もいくつかあって、

  • Starlink本体の設置角度が調整できる足をつける
    • バッテリーを足にすると残量表示窓のクリアパーツが設置してキズが入りそう
  • バッテリーの給電ON/OFFをできるよう穴を広げる→広げました
  • 内部のケーブルも固定したい
  • バッテリー部分に防水性がない
  • 外した時に電源プラグが一緒に抜けない→改善しました
  • バッテリーを充電するためにフタを開けなければならない
  • 斜面は3Dプリント積層痕が目立つので削るとか0.2mmノズルで造形するなどフィニッシュ作業

など。もう少し厚みを出せば色々捗るんですが、なんとなくこのStarlink Mini背面の斜面とつながったデザインが捨てがたく、、、

ともあれStarlink Mini側にフィットする土台モデルはできたので、またもっと良い形のPD 100Wバッテリーが見付かれば上積み部分をそれにあわせて改良してもいいかも知れません。

2025.06.09追記: 汎用モバイルバッテリー版

上記で使用したINUI P63-E1というモバイルバッテリーが一時期Amazonで在庫切れだったり入手性に不安があったので、特定のバッテリーに依存しない汎用カバーを作ってみました。

なんのことはなく、表面を低くフラット化して、USBケーブルを外に出す穴を開けただけですw。

穴はバッテリーの端子位置にあわせて好きなところからケーブルを生やせるよう複数配置しています。ただ無駄に全部開けてしまうのもなんだなと思って、必要なところをバキっと折ってあけられるといいなと思い、分割線だけ入れるチャレンジ。でも厚みのチューニングが難しくてまだ成功していません。これは使うフィラメント材料の強度にもよるので、あんまり現実的ではないかも。開けたい人はドリルでどうぞ、の方が逆に綺麗かな?

バッテリーの固定は両面テープでもいいし、脱着したいならベルクロ(マジックテープ)のバンドが通せるスリットを開けて締め付けるか、いっそMagSafe互換マグネットリングを装着して、MagSafeバッテリーがペタっとくっつくようにするのもアリかも?まぁ、PD100WができてMafSafeなモバイルバッテリーってあんまりない気がするので、微妙かな?

もしMagSafe化するなら、ケース側にこういう非MafSafeスマホやケースをMagSafe互換にするマグネット付きリングを貼って、

バッテリー側はこういうただの金属リングで良さそう。

もちろんMafSafeで給電できるわけでなくあくまでワンタッチ脱着のためですが。

Starlink Miniでファミレスノマド

Starlink MiniをUSB PDで動作させるアダプタが来たので、早速やってみたかった実験。

ファミレスの駐車場に駐めた車内にモバイルバッテリー給電したStarlink Miniを置いてきて、店内からWi-Fiをつないで使用するチャレンジです。

これを実現するには、

  • 駐車場が北向きに開けている
  • その至近に客席があり壁でなく窓ガラスがある
  • その席に座れる
  • PCを出してノマドできる

といった条件が必要で、Googleマップとにらめっこしながら行動圏内のファミレスやファーストフード店をリサーチしまくり、ようやく実現にこぎつけました。

駐車位置。すぐ後ろに見える窓際席に着席

フロントガラス下にStarlink Miniを設置

写真のようなロケーションで駐車ができ、店内では反対側に案内されそうになったのを「こっちの席でいいですか?」と聞いて理想の席をゲット。Starlinkから10m以内といったところ。

さすがにパッと思いつきで立ち寄った店でこれができる可能性はかなり低いでしょう。

■実用性チェック

モバイルルーターやテザリング、店内Wi-Fiと速度比較をしてみました。測定は16′ MacBook Pro M1 Maxでspeedtest.netのMac版アプリを使用。計測サーバーも安定して速度が出るIPA CyberLab 400Gで揃えました。

上り下りの速度だけでなく、ping(レイテンシ)も注目していきたいと思います。

車内設置のモバイルルーター(docomo 5G + 5GHz接続)

まずはモバイルルーター(FS050W)を同じ車内に放置して店内からつないでみます。SIMはdocomoのデータプラスで5G電波を拾い、Wi-Fiは5GHzで接続。

下り84.8Mbps/上り13.7Mbps/ping 40ms

妥当な数値ですね。車->店舗の減衰はさほど起きてないように思います。

車内設置のモバイルルーター(楽天モバイル 5G + 5GHz接続)

次にモバイルルーター内のSIMを楽天モバイルに切り替えて測ってみました。

やはり楽天モバイルは電波がよければ上りが速いのが魅力ですねー。

pingがどちらもキッチリ40msなのはルーター自体のレイテンシー?

iPhone 16 Pro Maxテザリング(docomo 5G + 2.4GHz接続)

回線は上記のモバイルルーターと同じdocomo 5G。MacBook Proの真横にiPhoneを置いてWi-Fiテザリング。iPhoneのテザリングはいまだに2.4GHzオンリーなので、そこがボトルネックになる可能性も。

下り81.2Mbps/上り12.1Mbps/ping 20ms

モバイルルーターとほぼ同じ結果。pingはむしろ半分になっています。2.4GHzのハンデはあまりないようです。もしくはたまたま相殺されて同じ値になったか。

ちなみにiPhoneにはセカンダリ回線としてLINEMOのeSIMも入っていたんですが、あまり速度が出ず、もしかしてギガを使い切っていた可能性もあるので今回は除外しました。

d Wi-Fi(5GHz接続)

おそらく多くの人は「ファミレスなら店内無料Wi-Fi使えばいいじゃん」と思うでしょうから比較してみました。今回の店舗ではドコモのd Wi-Fiが提供されています。座った席ではちと電波が悪く接続に手こずりましたがなんとか5GHzでつながりました。

下り9.76Mbps/上り5.32Mbps/ping 13ms

Wi-Fi電波の影響か多くのお客さんが利用できるよう帯域制御しているのか、速度は振るわず。しかしさすがにpingは今回最高の13msをマーク。

Starlink (5GHz)

本命のStarlinkです。座席からは車の後部が見えており、Starlink Miniはフロントダッシュボードに設定です。

下り147Mbps/上り17.2Mbps/ping 27ms

下りはダントツです。pingもぼちぼち。

■集計

■まとめ

Starlink Miniは初めてUSB給電に対応したことでノマドでも衛星インターネットができるようになりました。ただし空が開けた場所に設置する必要があるため、店内の窓際でも厳しく、駐車場の車内に設置してWi-Fiで接続するという文字通り離れワザで実現する必要があります。

そもそもノマドでそこまで帯域が必要なことはあまりないですが、一昔前の固定回線(プロバイダ遅め)くらいの速度が出るのは浪漫だなと思います。

ちなみに27,000mhAのモバイルバッテリーを使って実施しましたが、滞在した2時間くらいでLEDゲージが5灯から3灯になりました。4時間くらいはいけるかも知れないですね。