カッティングマシンを15年ぶり新調 Silhouette Portrait4 ~ クラフトロボからのデータ移行も

十数年前の2009年にこちらのカッティングマシン(カッティングプロッター)を購入。

その後、死蔵していたのですが同居人が業務で活用できそうということで、サポートの切れた10年後の2019年にWindows10環境でどうにか動かす方法を模索したりしました。

その後、同居人はバリバリ活用していて、生産完了した今でも予備機機や消耗品であるブレード(カッター刃)をフリマで出品される度にゲットしたりしていましたが、いつ使えなくなるかは不安に感じていました。

そんな中、自分も3Dプリンター造形品を作ったり売ったりするようになり、その貼りつけ用に両面テープを精密カットしたいニーズが出てきたので、改めて現行品の再導入を検討することに。

自分と同居人の用途、ニーズは若干違っており、

  • 両面テープがカットできる
  • トンボ印刷による位置合わせができる
  • できればPCレスで使用したい
  • サイズはA4で足りる

というのがありました。

両面テープは1mm前後のやや厚めの基材を使用したものを使いたい。よくガジェット製品についてくる3Mとかの少しクッション性のあるヤツ。あぁいうのを自分でカットしたいという感じ。ウチにある16年選手の我が家のCraftRobo C330-20では多分対応したブレードが入手困難だし、下手に今あるブレードを使ってダメにしてしまったら同居人も巻き込んで困ったことになります。

トンボ印刷とは、ステッカー印刷などでプリンターで印刷したものをカッティングマシンでカットするといった場合に、正確な位置合わせをするための手法です。印刷データの用紙外周に目印となるトンボを印刷しておき、カッティングマシンが内蔵スキャナでそれを読み取りトンボからの相対位置基準でカットを実行します。これがマスト。

また同居人が業務で作成するステッカーの形状は数パターンだけなので、CraftRoboではSDカードにテンプレートデータをコピーしておき、本体液晶画面でそれを選んでカット実行をしていました。データ作成時にはPCが必要ですが、普段の運用はスタンドアローンなわけです。このスタイルもできれば継続したい。

そんな観点で現行品を眺めてみたところ、ブラザーの製品はタッチパネル液晶でファイルを選んでカットが実行できる一方、トンボによる位置合わせ機能があることは確認できませんでした。かわりにプリントや手書きした紙をスキャンさせてその外形を認識してカットする機能を売りにしています。それでも実現できそうな気がしますが、

  • 正円は画像認識で検出した境界線より正円のベクターデータで切り抜いた方が綺麗なはず
  • 同じパターンで複数シートを連続カットする時に効率が悪そう

といった理由で、トンボ方式の代わりにはならないなということでブラザーは除外しました。商品ページに書いてないだけで、あるのかもは知れないです。

■シルエット製品からのチョイス

ということでトンボ方式が使えると明示されているシルエット製品群から選択することにしました。候補に挙がったのはこれら。

たぶん主力ラインのカメオの最新世代。3mm厚まで対応。デュアルヘッドでカッターとペンなど2本のツールを同時差しして使い分けながらカット/描画/箔押しなどが可能。本体カラーは4色。

A4サイズまでに抑えることで小型化、低価格化したポートレート4。こちらは2mm厚まで。カッター/ペンも1本のみ。カラーはホワイトのみ。CrafRobo C330-20に限りなく近いサイズ感、機能と言えます。

ローラーで用紙を動かすのでなく、ヘッドをX-Yで動かすことで、厚みのある素材に箔押しやペン書きができるモデル。デカい。薄い紙を静電気で吸着するベッドも標準で一体化。

実際に三機種とも展示があるビックカメラ有楽町店まで見に行って決めました。箔押しなどのクラフトワークもちょっと興味あったのでキュリオ2もいいなと思ってたんですが、まーデカい。使ってない時も常時このスペースをとるのはちょっと無理だね、となりました。カメオ5とポートレート4は最後まで迷いましたが、当面のやりたいことはポートレート4でできそうだし、そこまで高くもないので、使ってみてまた不満が出たらアップグレードしても良いかってことでポートレート4をお持ち帰り。

廉価モデルながらロール紙も使えるし、別売りの静電気マットユニットもあるし、ヒートペンを買い足して箔押しもできるしと、なかなか妥協のない仕様になっています。サイズがA4で足りるという人ならそうそう不満は出なさそうです。

シルエット社の製品は本体に液晶画面がなく、CraftRoboのように単体でファイルを選んでカット実行するようなことはできないですが、どうやらBluetooth経由でスマホアプリからカットができるようなので、おそらくPCで作ったカット設定もスマホにコピーしておけば呼びだせるのではないかと期待(結果は後述)。

■CraftRoboのカットデータを読み込めた!

さて導入にあたって何はなくとも今までCraftRoboでやってきたことをPortrait4でもできるようにしなければなりません。これまでIllustratorで作ってあるステッカーのデザインオブジェクト(例えばA4の紙に円形ステッカーの図柄が6つ配置されている)+CraftRobo用トンボの.aiファイルと、それを元にCraftRoboの専用ツールRoboMasterで作ったカットデータファイルがあります。RoboMasterで編集できるデータファイルの拡張子が.gpd、それをプロッターで実行可能な定義ファイルにしたのが.gspです。SDカードには.gspファイルをコピーして使いますが、元となるファイルは.gpdの方です。なんとこの.gpdファイルが、Silhouette Studioというシルエット製品用のツールでそのまま読み込めたのです!

よくよく調べると、RoboCraftを設計販売しているグラフテック社(本社:神奈川県)は、米Silhouette America Inc.の親会社でした(あー、なんか以前にもどこかで認識してたかも…)。グラフテック社はRoboCraftこそ終息させましたが、業務用の大型カッティングマシンは現役で販売しており、ホビー向けのエントリーグレードを「シルエット」ブランドに移行したという形でしょうか。Silhouette America Inc.の子会社として日本向けの販社であるシルエットジャパン株式会社があるという構図のようです。なるほどそりゃトンボ機能なども共通して搭載してるわけですね。偶然にもCraftRobo C330-20からの移行先を求めて、実質後継機Silhouette Portrait4を引き当てたと言えるかも知れません。

ちょっと悩んだのは、Silhouetteアカウントを開設するともらえる1GBのクラウドライブラリに.gpdファイルをドラッグ&ドロップして登録しても、スマホアプリSilhouette Goからは見えない点。ライブラリ上では拡張子が非表示なのでわかりにくいですが、.gpdデータのままではスマホは開けず、一度PCソフトのSilhouette Studioで開いて保存しなおすと、拡張子が.studio3になって別名保存されます。その状態であればスマホアプリからも認識でき、もちろんスマホから選んで出力できます。懸念だった同居人の通常運用(既存データのカット)はスマホは必要なものの一応PCレスで実現できる運びとなりました。

トンボデータの打ち替えが必要かどうかはまだ未検証です。

ちなみに最後に実行したカットデータは本体内に保持されており、「もう一度実行」だけなら本体単体でもできるっぽいです。

クラウド経由でファイルを共有できるので、こちらでデータを作成して同居人に納品するという受け渡し作業もNASを介さなくてもスムーズにできるようになりました。

小さいメディア(用紙)の紙送りトラブルの回避策

同居人の運用データは移行がスムーズに移行できそうなので、あとは自分の用事です。こちらはステッカー用のシール用紙ではなく、少し厚みがある両面テープです。基本的には3Dプリント造型物に貼って出荷するので、ハーフカットではなくてもいいかもと思っています。まぁ半端にシートを使うとロスが多くなるので、シールだけ多めに作って在庫しておくにはやはりハーフカット(台紙まで切り抜かず元のシートのまま)が便利かもですが。

A4にびっしり敷き詰めるような数を一度に使うことはまずないので、少し小さめのシートを物色しました。とりあえずテストで買ってみたのは以下の2点。

3Mについでよく見かける気もするNITTOブランドの両面テープ。厚みはそれほどでないく、0.16mm。ナイスタックでいえば青色の強力タイプ(0.15mm)に近い厚みで、粘着材も同じアクリル系。青色は普段ももっともよく使っており、そのままシートタイプにしたという位置づけ。サイズはほぼA6。

もうひとつはA4しかなかったんですが、もうちょい単価が安いものを物色してこちら。

0.05mm厚なので、ナイスタックの赤(一般タイプ、0.09mm)よりもさらに薄い。0.08mmとも書いてありますが、おそらく剥離紙2枚を足すと0.08mmという意味?まったく知らない、おそらく中華ブランドでしたが、レビューもそれほど悪くないのでともかくコスト重視な場合用に。

あとは車載パーツの貼り付けなどに使うエーモンのNo.3930。

厚みが1mmもあり、基剤はグニっと柔らかいアクリルフォーム。滅多なことでは千切れないので、綺麗に剥がせる点が重宝します。単価はNITTO NW-5000NSよりも更に高いですが、なんだかんだでよくカットして使うので、これも切れたら嬉しいなと。

小さい用紙はローラーが送れない!?

Portrait4には紙送りのローラーが左右両端に2つ+その間に補助のバネ抑えが2つ。モーターで駆動するのは一番左の1つだけです。なので、小さいメディアを左のローラーだけで回すと、すぐに傾いてしまいます。メディアがナナメになってしまうと正しい形状にカットできるはずがなく、最初に試したエーモンNo.3930は惨敗でした。またカット厚の調整も上手くいかず裏側の台紙までカットが貫通しない。ちょっと高くてもったいないので一旦保留。

次にNITTO NW-5000NSです。これもやっぱり真っ直ぐに紙送りができず、「やはり小さい紙は粘着台紙を使わないとダメか?」と思い始めたんですが、よくよくメカをじっくり眺めると、ローラーが当たる金属バーの一部範囲に写真のようなザラザラした加工が入っている箇所があります。すごく目の細かいおろし金みたいな。左右端と真ん中辺りの三箇所に、それぞれ幅4cmくらいんも区間がこうなっています。

もしやと思って、左端のローラーをこの区間にあわせてみるt、、

ローラーがザラザラ区間に載る位置に調整

ばっちりローラーが紙を噛んで真っ直ぐ紙送りできました!A5級のメディアを使う場合、横置きにして右端がこのザラザラ区間にかかるようにしたらよさそうです。

2026.6.15追記:

何度かやってみましたが、やはり小さめの用紙送りには難がある気がします。だんだんナナメになっていきます。A4などの用紙を使うのが無難かもしれません。

試しに小さい3Dプリントパーツを貼り付ける様のシールをカットしてみました。コの字状で1辺の太さはわずか2mmの形状です。ピンセットでないと貼れないレベル。これを人力でカッターを使って切るのもなかなか大変ですが、この通り。時間的にも10秒程度なので量産も軽々。

カット設定はプリセットの「両面粘着シート」を使用。ハーフカットではないですが、厚みがあるので意識して取り外さない限りはシートにはまったままという絶妙な切れ具合。両側に剥離紙がついた状態で切り抜けるので、貼らずにそのまま添付品として同梱することもできます(予備用とか)。

実際に貼り付けた様子がこちら。まさにこれがやりたかった!

わかりにくいですが、上の直線パーツは上辺の両角がナナメに切り落としてあるんですが、そこもきっちり再現されています。

このギザギザを意識してセットすればエーモンのNo.3930シートもいけるかも?追々試してみます。

Silhouette Studio無課金版だとSVGが読み込めない!?

Silhouette Studioはマシンを買えば無料で使用権がもらえますが、一部の機能は追加課金でアップグレードしないと使えません。その中でも割と申告なのがベクターデーター形式である.svgのインポートができない点。JPEGやPNGのビットマップを読み込んでトレースして切り取り線を決定することはできますが、Illustratorなどのベクターツールで綺麗な正円などを描画してその通りに切り抜くにはベクターデーターのままエクスポート/インポートしたい。もちろん.aiファイルも非対応な上に、ベクターデータの近年の標準である.svgを封印するとは…

別途Silhouette CONNECTというIllustratorのプラグインとして機能するツールもありはするのですがこれも5,500円の有料…

などと「グヌヌ…」となっていたのですが、私が3Dモデリングに使用しているCADツールのAutoDesk Fusionではスケッチを直接右クリックから.dxf形式(Autodesk RealDWGフォーマット)で書き出すことができ、それならばSilhouette Studioに読み込めることがわかりました。しかもIllustratorもdxf書き出しができる!

ベクターデータのやりとりには.svgにこだわらず.dxfを使っていけば問題なさそうです。上のコの字パーツのデータもFusion上で3Dモデルからおこしたスケッチを.dxfに書き出し、Shilhouette Studioにインポートしてカットしました。

2025.6.15追記:

.dxfで読み込む際の問題点として、インポート時、Studio側で用紙サイズ一杯にリスケールされてしまう、というものがありました。Illustrator側でエクスポートする時にスケール設定をしても効果なし。.dxf形式には絶対サイズ情報が含まれないのでこういう仕様のようです。幸い縦横比をロックしておいて正しい縦か横のサイズをボックスに入力してやれば補正は可能ですがひと手間ですね。複数オブジェクトの場合は先にグループ化しておけば大丈夫そうです。.svgであればこのような手間もないのかも知れません。

また、FusionではなくIllustratorで.dxf書き出しをする際、2018形式だとエラーになることがあり、2007など古いフォーマットを指定すると書き出せました。ただその後試したら2018でもエラーでなかったりとちょっと謎です。

■まとめ

3Dプリンターで造形した出力物を貼り付けるのに、貼り付け面形状にあわせたカット済み両面テープを綺麗に作成したくて久しぶりにカッティングマシンを導入しました。

  • 想定通りに綺麗にカットできた(1mm厚で柔らかいアクリルフォームのものは要追加検証)
  • RoboCraftのデータ形式とも互換性があり最低限の操作で引き継げた
  • Bleutooth接続したアプリでファイルを選んでリピートカットも簡単

と期待通りの働きをしてくれました。カッターなどの消耗パーツもしばらく入手に不安を覚えることはないし、最新のWindows11などでもサポート付きで利用できます。当時CraftRobo C330-20が2.3万円、今回のSilhouette Portralit4がポイント還元で実質2.7万なので、16年ぶりの物価高も加味すればほぼ据置きのお値段で買えて満足です。

人力では綺麗にカットできないような複雑な形状の粘着シートも作り放題なので、3Dプリント品の商品力向上に貢献してくれるでしょう。また機会があれば箔押しなどにもチャレンジしてみたいと思います。

RFIDタグで無くし物発見?XIAOMAI BH-01-C

我が家にはガジェットがたくさんあり、細かい付属品なども含めると行方不明になる品も多いです。フリマアプリで手放そうとしたら箱がない、純正付属充電器はどれ?などなど日常茶飯事。そんな時に役に立ちだなと思ったのがGREEN FUNDINGでクラファンしていたXIAOMAI BH-01-Cです。

こういうさも画期的っぽい中華ガジェットのクラファンは、AliExpressとかで格安で既に一般販売されてるものを輸入してるだけだったりしがちですが、本品については探した限り同一品ぽいものも同価格帯で類似した商品も見付からなかったので、超早割の25% OFFだしいっか、と買ってみました。

正直ハードもソフト(アプリ)も60点くらいの出来映えですが、現時点ではユニークで(家庭用では)代替品が見付からないカテゴリのアイテムなのでまぁアリかってところです。

■どういうもの?

日本人に馴染みが深いのは、特許侵害訴訟で話題のUNIQLOやGUのレジシステムです。商品のひとつひとつにRFIDタグをつけてあり、買い物カゴをレジにセットするだけで非接触で何が入っているか読み取って会計できるアレです。

Suicaなどでも使われるNFCチップを読み取り専用で極小のシールやカードにして安価な使い捨てにしたものというイメージで良いと思います。NFCチップは改札や決済端末などにほぼゼロ距離でかざす必要がありますが、RFIDタグは数m離れていても読み取りができる点も大きな特長です。またNFC同様にAirTagなどと違ってタグ側にバッテリーがいらず、スキャナーからの電磁波を電力源として応答します。バッテリー不要なので恒久的かつ安価に読み取りができます。

BH-01-CはUNIQLOレジよりも長い距離(公称6~7m)の範囲でRFIDタグの内容を読み取れるスキャナーで、スマホアプリとBluetooth接続することで、特定のRFIDタグを探すことができます。スマホアプリから探したい物品(事前に登録したタグを貼り付けたもの)を指定して、スキャナをもって部屋の中をウロウロすると、近くにある時に音が鳴って教えてくれます。

タグ捜索中の表示

ウチみたいにガジェット機材が何十点、細かい付属品までいれれば3桁はありそうな環境で、「あれどこしまったっけ?」みたいな時に重宝してくれます。公称6~7mですが実際には電磁波を反射する金属製の障害物(壁や箱)があると検知できないので、「家の中のどこにあるか見つける」というより、ロッカーや引き出しを1つ1つ開けて中にむけてスキャナーをフリフリする位の距離感だと思っておいた方がガッカリしないと思います。AirTagなどと違ってタグ自らが電波を発するわけでないので、どうしても通信距離は短いです。それでも電子マネーのようにビタ付けはしなくても数m先まで検知できるのはありがたい場面もあるでしょう。

■本体仕様

本体は充電式で、珍しく電池タイプ3,300mhAのバッテリーが脱着可能な形で搭載されています。一般的な電池サイズではないですが、将来的に劣化した際にすぐ交換できそうなのは良いですね。

普段の使用ではUSB-Cで充電して使います。ただしPower Deliveryには非対応で、A-Cケーブルでないと充電できないタイプです(60点)。

スマホとはBluetooth経由でリンクして使います。

■RFIDタグの種類

3種類のタグが用意されています。製品にも一定数同梱されていますが、もちろん追加購入も可能です。消耗品で、なければはじまらないものなので、本体と同時に追加パックもいくらか購入しておきました。

写真の右上が「汎用タグ」、左が「書籍タグ」、右下が「洗濯タグ」です。

共通要素として、表面に中国語と英語でタグ形状と、ユニークID、QRコードが記載されています。自分で何かを書き込める余白はほぼありません。ぱっと見なんだかわからないので、例えばこれを貼ったノートPCを拾得した人がみても「???」となりそう。海外旅行者の忘れ物かな?的な。NFCタグみたいに情報書き込みができるといいんですが、

汎用タグ

その名の通り一般的に使う基本形です。実測で60 x 15mmのシールタイプ。長期的にはわかりませんが、ガジェットなどの曲面にもしっかり貼れるくらいの粘着力はもっている印象です。

書籍タグ

蔵書管理などに使う用で、細長いです。実測93 x 8mmでこちらもシールタイプです。クラファンのページをみる限りでは、特に粘着力や通信距離に違いがあるかどうかは不明で、単に形が違うだけかな?という理解。貼り付けるスペースにあわせて使い分けてもいいのかどうか、いまいちはっきりしませんが、普通にそうしています。アプリ上でも特に書籍タグだから書籍アイテムにしか紐付けできない、みたいなことはなさそうです。

洗濯タグ(防水)

こちらは上の2つと違って粘着テープがついておらず、穴があいておりぶら下げる紐もセットになっているまさに「タグ」という感じ。サイズは60 x 25mm。衣料品店で値札やサイズタグと一緒にタグガンで留めて使うような感じです。ただタグカードというにはやや薄くてペラペラな感じ。また特徴として防水仕様であると書かれています。

衣類などにぶら下げるようの紐が同数付属してきます。プラパーツでパチっと留める方式。

個人的に衣類に使うことは考えていませんが、シールで貼り付ける必要がなく再利用もしやすいので、箱やバッグに入れておくような利用方法もアリかなと思っています。書籍なども一時的な用途であればしおりの様に挟んでおくのもアリかな?

RFIDタグのコスト

気になる価格ですが、クラファン後の一般販売価格はそれぞれ90枚で税込1,780円になる予定らしいので、1枚の単価は約20円というところです。3種セットパックなどもあります。もし一般通販サイトや家電量販店で販売されればもう少し安くなる可能性もあるでしょうかね?

■気になる点

使用アプリが探しづらい

専用アプリとして「Xiaomai Home」というのを使うんですが、付属のマニュアルペラ紙の記載がやや不親切。Android版はQRコードが載ってますが、iOS版は「AppStoreで”xiaomai home”と検索」とだけ書かれており、正式なアプリ名称やアイコンなども載っていません。検索した結果、違うアプリがトップに出てきたりしてもわかりません。なんといっても名前が紛らわしい。「Xiaomi(シャオミ) Home」というアプリも実在します。こちらはXiaomai(シャオマイ)です。これを手打ちで検索してインストールしろ、というのは危険すぎます。今時、iOS/Android共通のQRコードだって難しくはないと思うのですが、なぜこういう表記にしたのか謎です。ちなみにワンチャンリダイレクトしてくれるかな?と思ってiPhoneでQRコードを読み込んでみたんですが、Xiaomaiサイトから謎の(数字ファイル名の)zipファイルをダウンロードしようとしました。もしかしてAndroidもGoogle Play経由ではない?!

色々とあやしいです。一般販売までにもう少し体制が整うとよいのですが、、

起動が遅い

デバイスの電源ボタンを押してから、スマホとBluetooth接続できる待機状態にいくまでがけっこうかかります。起動画面が消えてホーム画面的な表示にかわるまで1分。そこからアプリで接続ボタンを押しても何度もタイムアウトになり、最終的に接続完了までコミコミで1分38秒かかりました。一般的なマウスやイヤフォンのようなBluetoothデバイスの接続と比べるとフラストレーションです。

タグが大きい

タグの中にはコイル的なアンテナが入っているので仕方ない(小さくすれば検出距離が縮む)のですが、小物ガジェットに貼ろうとするとはみ出てしまうケースも多々あると思います。機材でいえばRODE Wireless Proみたいなワイヤレスマイクとかは本体はもちろん充電ケースも微妙。小さいものほど無くしやすいと考えると、使いどころ自体が限られてしまう可能性も。

またデザイン的にも正直カッコいいとは言えないので、背面や底面にこっそり貼ろうと思うと、なかなか場所探しが厳しいなという感じ。

金属(アルミ)と相性が悪い

これまたRFIDタグの技術的弱点だと思いますが、金属面に貼ると電波が遮断なり反射されてしまい正常に機能しません。例えば、AppleTVの「Siriリモート」リモコンの裏面に汎用タグを貼ってみたんですが、数cmの距離まで寄せても検知できません。シールをペロっと剥がすと途端にピーピー鳴る、という感じ。たぶんアルミだと思うのですが、アルミはとても電波を通さないランキング上位の金属なんですよね。Apple製品の多くはアルミ筐体なので相性悪いかも知れません。追々iPadやMacBookでもテストしてみたいと思います(ていうか普通に使いたい)。

アプリが中国語中国語しい

Xiaomai Homeの主要な画面は一通り日本語化されているんですが、全体に中華フォントだし、一部画面で中国語が残っており、「中華製品」感がとても高いです。

実用面でも、意味がまったくわからない表示があったりして結構困ります。例えば、以下の画面はどういう状況だと思いますか?

これも是非一般販売までには改善していってほしいところです。

日本語翻訳されたワードがラベル領域からはみ出てしまっていて「マイデ…」とか「フィー…」とか意味不明な表示になってる箇所も目立ちます。これは英語表記に切り替えても同様です。

もう少しローカライズに力を入れてほしいところです。

アイテム登録に写真登録が必須

操作フロー面では、物品や部屋の登録に写真登録が必須な点が煩わしいです。

個人的には登録物からテキスト検索で探したい物品を選んで、スキャナーでピーピー音が鳴ってくれてよくて、画面で写真を見たり写真で探したりはしないかなと思います。何十、何百というアイテムを登録するのであればなおさらです。登録の手間は少しでも少ない方がよい。本を百冊登録しましょうって時に、1冊1冊表紙の写真を撮る手間があるとないとでは大違いでしょう。部屋(保管場所)にもいちいち写真を要求する意味がわかりません。アイテム登録時の部屋選択UI上は文字タグしか出ないのです(写真赤丸部分)。

いちいち全ての写真を要求するのは手間だし容量の無駄でもあります。使えてもいいですが必須にするのはやめていただきたい。

その他、全般的にアプリが使いづらい

その他にも、デバイスとBluetooth接続する時にいちいち確認ダイアログが出るとか、ユーザー名がメールアドレス表記で、識別しやすい名前をつけられないとか、微妙に使いづらい、気が利かないところは多いです。おいちゃんユーザビリティの専門家だからコンサル発注しないかい?と。

■まとめ

全体にこなれてない感が拭えませんが、現状家庭用製品としてはかわるものがなく、ユニークな価値をもっている商品だと思います。一般販売時までには色々とブラッシュアップを期待したいところです。

あと予備タグの販売経路も充実させ、かつ継続を期待したいですね。

[3Dプリント] Sesame Face用クイックハック2点

Sesameフェイス(以下Sesame Face)は概ね順調に使えていますが、ちょっとだけ不便なところがあったので3Dプリンターでサポートツールを2点ほど製作しました。

■施錠ボタンを押しやすくする拡大カバー

Sesame Faceはサイドに施錠ボタンが装備されました。Sesame Touchでは「登録されていない指で指紋センサーにタッチする」必要があり、認証失敗を踏む必要があるので若干タイムラグがありました。

Sesame Faceは物理ボタンになってノータイムでロックができスムーズに外出ができるようになっています。ただ、このボタンがいささか小さく狙って押すのがややストレス。特に夜間の薄暗い玄関だと手探りが必要になります。

そこでボタンサイズをちょっとだけ拡大するカバーを作ってみました。

色もあえて派手めのフィラメントを使って目立つようにしています。

■NO.00(PH00)ドライバーL字アダプタ

Sesame Faceのスライドバックプレートには小さな固定ネジがついており、両面テープでドアに貼り付けたベースプレートとがっちり固定することでスライドできなくし盗難しづらくすることができます。

ただプレートの厚さ内に抑えるため、

  • ネジがとても小さい(No.0/PH0相当)
  • ドアにビタ付け

となりとても回しづらいのです。

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それでも通常はこのような細身のドライバーを使えば問題ないのですが、我が家では更に困ったことに2つ上の写真のように凹んだガラス面に取り付けていて、右方向にクリアランスがなく、長いドライバーだと入りません

DAISOのメガネ用ドライバー(PH00)でどうにか締められたのですが、外すのが大変でした。細くて力が入りづらい上に、このドライバーは反対側がマイナスになっていてネジでフタになってるのですが、緩める時はこのフタ側も回ってしまうのです。あらかじめ外しておけばいいんですが、そうすると掴める箇所がかなり短くなります。入手性が良いので緊急用としてはいいのですが、何度も使ってるとネジをナメそう…

六角レンチのようなL字になったドライバーを探してみたのですが00サイズのものは見当たらず、仕方ないので自作しました。

・Ver.1 ビット使用タイプ

まず以前購入したこちらの精密電動ドライバーセットに含まれるPH00サイズのビットを流用するタイプ。

このビットは細身の六角タイプです。一般的な6.35mm(しぶいち)の六角ビットよりも細い太さ4mmのものです。単品で購入するとしたらコレでしょうか。

これを利用する形て作ったのがこちら。

リアにマグネットを仕込んで、ビットがピタっと吸い付くようにしました。

これでも若干軸が太くて手前に傾いてしまいますが、丁寧にやれば回すこと自体は可能です。

厚みが8mmあり、ドライバーの選択がΦ2mmなので、3mmほど奥にでっぱる形になります。3Dプリントなのであまり外周を薄くすると強度的にも不安なのでこれくらいが妥協点かなと思います。奥側に出っ張らないよう、オープンエンド(C型)レンチみたいな形状も考えましたが、やはり回す度に付け外しするのもそれはそれでビットを落としたりして不便そう。

あとストラップホールくらいつければ良かったなとも。

・Ver.2 ANEX 特小ドライバー流用タイプ

4mm六角の単体ビットも売っている様子がなかったので、もし今度同じお悩みの方に相談を受けた時に調達しやすい形にするため、こちらのドライバーをベースにしたバージョンも作成しました。

アネックス(ANEX) 精密ドライバー 特小タイプ +00×23 No.1030

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写真ではわかりにくいですが、柄の太いところが六角、お尻側が円柱状になっています。この六角部分にトルクをかけて回す作りになっています。ドライバーの価格も安いので、接着してSesame Face専用にしてしまっても惜しくないです。

ただ残念ながらこちらはメガネ用ドライバーと同じNo.00/PH00サイズの製品しかなく、回せなくはないけど、ちょっと気を遣う感じ(しっかり差し込まないとネジを舐めそう)。

・Ver.3 ビット使用タイプ改良版

ということでVer.1のビット使用タイプに回帰。できるだけギリギリまでドライバー先端を真っ直ぐにネジに当てられるように、フロントを後方にオフセットし、傾斜もつけてみました。

またできるだけ回転角をかせげるように、ベタ付け状態でも指を入れて持ち上げやすいよう、持ち手の部分を長方形から六角形に変更(3Dプリンターの特性として円柱よりは六角形の方が綺麗に出せるという事情がありあえての六角形です)。

ネジ自体が小さいので楽々とはいきませんが、丁寧にやればしっかりナメずに締めたり緩めたりできるようになりました。

BOOTHに出品しておきます。BOOTHアカウントがなく直接取引をご希望の方はコメントにて。

顔&静脈認証で鍵が開けられる!Sesameフェイス設置

2025年5月に発表されたCANDY HOUSEの新型スマートロックアクセサリ、Sesameフェイス(以下Sesame Face)が届きました。Youtubeのプレミア動画で公開した直後20:30から予約受付のところ、注文完了メールのタイムスタンプが20:30分なのでかなり早い予約だったと思います。発売日の朝イチで配送されました。

■Sesame Faceとは?

従来のSesame Touchが指紋とNFCタグ(Suicaなど含む)、Proだと更に暗証番号で認証してSesameを解錠できたのに対し、今回のSesame Faceは更に顔認証と静脈認証に対応しています。ほぼ時期を同じくしてSwitchBotも顔&静脈認証モデルを投入してきたし、ロジテックも法人向けで同機能のスマートロックを発表したので、良いモジュールがパーツメーカーからリリースされたのかも知れませんね。

iPhoneのFaceIDと同じくアクティブIRステレオによる三次元形状解析による顔認証なので、Androidスマホの顔認証に多い静止画像の解析に比べ精度が高いのが売り(写真などでごまかせない)。というかスマートロックとしてはそれくらいでないと恐いですしね。静脈読み取りも赤外線だと思うんでセンサーが共有化できるのかも知れません。マスクとかで顔認証が難しい時の代替非接触認証手段として対応したようです。

今回も無印とPro(テンキー付き)があり、しかも差額が500円しかないので若干迷いましたが、顔+静脈+指紋+NFCがあればテンキーまではいらんだろということで見た目のスッキリさで無印にしました。

■早速取り付けてみた

Sesame Touchは初期ロットでは背面を3Mの両面テープでガッチリ固定する方式で、電池交換する時は必死こいてはがす必要がありました。それが途中からスライドハメ込みの固定プレートがついたり、マグネットが別売されたりした経緯がありますが、さすがに今回は最初からスライドプレート式です。本体はSesame Touch ProとSesame Face無印は同サイズらしく、もしかするとプレートも互換性があるかもですが、我が家はTouch無印→Face無印の乗り換えなのでプレートも貼り替え。結構ガッチリついていて大変でした。ヒートガンなどで温めればいいんですが玄関にコンセントもなく。今回Face無印になって更にプレート/両面テープの面積も大きくなったので、次またなにかに乗り換える時は更に苦戦しそう…

少しフットプリントも厚みも増えたのでやや異物感も増しましたが、ProやSwitchBot ドアロック Ultraよりはマシかなと。

今回CEOは発表動画の中でSesame Touchが盗まれたことはないと断言していましたが、FaceBookの公式コミュニティにも盗難報告挙がっていたので、スライドプレートは便利な分そういうリスクも気にはなります。

そんなことも思いながらFaceのプレートをみてみると、サイドから小さなネジでスライドできなくする仕掛けになっていました。改めて公式製品写真をよくみると従来からSesame Touch Proにはついていたっぽい。Touch無印にはサイズ的に難しかったのかな?

ともあれこれをしっかり締めておけば素手で取り外すのはそれなりに難しくなるので、思いつきのイタズラで外されることはなさそうです。

ただ仕方ないとは思いますが、位置的に真横からまっすぐアプローチしないとならない上、ネジサイズは電池交換時の背面プレートのネジと異なっており、ドライバーも付属していないので一苦労でした。ネジサイズはNo.00(PH00)くらいなので精密ドライバーセットやメガネ用プラスドライバーなら大丈夫ですが、我が家は1枚目の写真のように右方向に段差があり長いドライバーは入りません。家中の00番ドライバーやビットを試したのですがやはり真っ直ぐ挿さないと充分なトルクが出ず(ネジも結構固い)。結局、ダイソーで短いメガネ用ドライバーを買ってくるまで締め付けできずでした。

安心感は増しましたが電池交換は面倒になったので、これからやる人は電池をフルロードにしておいた方が良いかも知れません(本品は電池スロットが4本分で、出荷状態では2本セットされています。2本でも動きますが4本入れておくとより長持ちします)。

アプリからのデバイス追加と認証設定はこれまでのTouchシリーズと一貫していて、指紋やNFCタグの登録手順がわかっていれば全く同じ容量で登録できます。

■ファーストインプレッション

まず感激なのが施錠ボタンとしてハードウェアスイッチがついたこと。従来のTouchでは未登録の指先や手のひらを当てて認証エラーを出すことでロック操作を行っていました。これがボタンひと押しで済むようになって外出時に素早く確実にロックできるようになりました。サイドで小さいので若干押しづらいですが、それでも全然速いです。

肝心の顔と静脈の認識精度&速度ですが、今のところ上々かなと思います。顔や手をかざすと青色LEDが高速点滅を始めるので、認証処理中だなというのがわかります(手をかざすと隠れがちですが)。その位置で静止して待てば条件が良ければ1秒もせず認証されます。ただ手かざしについては割とドンピシャの距離と高さを意識する必要はある印象。直近というよりは10cmくらいは離し、手のひらのど真ん中をレンズに向けるくらいの感覚でしょうか。点滅始まってもなかなか認証しない時には1cmくらい高さをかえてやると認証する、といった感じ。

自分は外出時通年でマスクをしてることが多いですが、車で帰宅する時は車内で外すことが多いので、自宅ドアの前に立った時点ではマスクをしてないことの方が多く、今のところ顔認証がメインになりそう。それでも立ち止まって一呼吸みたいな待ちは生じるので、なんかもっと手前の通路のところに設置して歩いて通過するだけで認証できればいいなとも思いましたが、やはり今のレスポンスだとどこかで立ち止まる必要はありそう。

いつも指紋がだんだん認証されなくて定期的に再登録をしていた同居人については、やはり顔も静脈もいまいち認識されず「コイツもやっぱダメか…」となりかけたんですが、私がガイドしながらきっちり登録した後、今日の帰宅時は一発で解錠できたようで喜んでいました。もう少し継続観察はしてみます。

■まとめ

Sesame Touchの指紋は自分ではそこそこの認識率だと満足していましたが、唯一雨の日は(直接センサーや指に水滴などついていなくても)認識率ガタ落ちでした。今回は非接触なので(レンズさえ汚れていなければ)そういうブレもないのかなと期待しています。

サイドの施錠ボタンだけちょっと小さいので3Dプリンターで大型化にチャレンジしてみようかな?とは思ったり。

改めて考えるASSA ABLOY製ドアでSesameスマートロックを使う難しさと回転リミッターについて

スマートロックはモーターでサムターンを回転させ、施錠位置と解錠位置を行き来させる仕組みですが、我が家のASSA ABLOY(アッサアブロイ)という北欧ブランドのドア(サムターン)はクセがあり一筋縄ではいきません。サムターンと物理鍵を挿したシリンダーの回転と、デッドボルト(ドアの側面から出てくる金属の閂)の動きが直接リンクしておらず、サムターンと物理鍵シリンダーはクルクルと何週も回転します。何周かするうちのスイートスポットでのみデッドボルトが引っかかってカシャっと出たり入ったりする、といった独特の動作です。なので、一般的なスマートロック製品のように360°中「a°で解錠」「b°で施錠」という2つの角度を登録してその間を行き来させるだけでは意図通りにデッドボルトが出たり引っ込んだりしてくれないのです。手動でサムターンや物理鍵を使うと内部の回転角度が変化してしまい、Sesameが認識している現在角度とズレが生じ、結果としてSesameが設定されている角度までサムターンを回しても施錠・解錠できなくなります。

例えば我が家でSesameシリーズの前に使用していたSONYのQrio2では「45度以上110度未満」が動作推奨範囲となっています。論外です。

Sesameの旧モデルがこれが「360°まで」となっていました。Qrioよりかなり広くなっていますが惜しい。だったら物理的にストッパーをつけて360°以上回せなくしてやれ!という発想で生まれたのが回転ストッパーです(現回転リミッター)。

当時は3Dプリンターを所持しておらず、設計データをDMM.makeに送って造形してもらっていました。

時は流れSesame5では「360°以上の数回転も対応可能」が謳われるようになりました。あんなに安いのにこんなニッチなドア仕様も対応してくれて有り難い限りです。

(ちなみにSmartBotのスマートロックは使用したことがないのでどうなっているかわかりません)

しかし実際に使ってみると、UI的には施錠・解錠位置を記憶させる仕組みにかわりなく、使用感としては変化がなく、結局回転リミッターを継続使用する必要がありました。その後、この回転リミッターは徐々に知られ、月イチくらいで譲ってほしいというお問い合わせをいただくまでになりました。

現在、Sesame5と5Pro用に様々な取り付け位置、サムターン形状に対応させたパーツを製作しています。詳細は下記の記事をご覧ください。

180°以上の回転が必要なフック型デッドボルトとdタイプリミッターでの不具合

多くの方からご相談をいただく中で、同じASSA ABLOY製といっても色々なバリエーションがあることがわかってきました。その中で、デッドボルトが真横に出入りするのではなく、下から引っ掛けるフックのような形のものがあり、こちらは180°を僅かに超える範囲でサムターンを回さないとカシャリと言うまで動作しないそうで、従来の途中に針を割り込ませるa~cタイプのリミッターでは対応できませんでした。針はツマミの両端に当たって回転を止めるので180°(マイナス針の太さ)分しかサムターンが回せなくなります。ご相談いただいた方のお宅ではこの角度範囲ではこのフックが完全に出入りしませんでした。

そこで考案したのが以下のdタイプリミッターです。

回転円盤内に針を差し込むのではなく、外周上にピンを生やし、ツマミの片側だけを外周まで延長することで、延長していない側はピンの内側を素通りすることができ、ピン1本なら360°(マイナスピンの幅)回転させることができるようになりました。実用上は更に回転範囲を狭めた方が便利なので施錠位置と解錠位置の外側にそれぞれピンを配置する想定です。

フック型ボルトのドアをお使いの方、お一人目はこれで解決したとご連絡いただきました。しかしお二人目の方からSesameが誤動作することがあると連絡をいただいたのです。

手動操作した後に、Sesameが反対に回そうとする!?

Sesame操作で動かしている分には問題ないものの、手動でツマミを回して施錠・解錠した後、更にアプリで操作すると、モーターがピンの方向に動こうとしてしまうということです。更に何度もやりとりしてい判明したのは、アプリ上の「角度の設定」画面で見えるリアルタイムの角度表示がリミッターで制限している範囲を超えて増えていってしまう(プラス方向もマイナス方向も)というのです。

例えば施錠・解錠位置をリミッターのピンに当たる位置でそれぞれ0°と180°にしたとします。物理的にそれ以上回転しないようにしているので、-1°以下や181°以上にはならないはずなのに、実際に手で回しているといきなり数字が飛んで写真のように範囲を超えた数値になります。

赤丸の位置の数値が物理的にあり得ない値になる

なるほど、Sesame5が360°を超えた角度に対応したという触れ込みの通り、大きな回転角度を検知はしてるっぽい。これによって「1周半回して施錠」みたいなことも可能なのかも知れません。しかし実際に回してないのに数値ばかり大きくなるのは問題です。当初はハード的な不良かも知れずメーカーサポートに連絡してみるようお願いしていたのですが、その方から「ゆっくりとサムターンを回せば大丈夫そうだ」ということも聞き、なるほどということで、我が家のSesame5でも同じ素早くカチャカチャ回転させてみたら再現しました!どうも固体不良ではなさそうだぞということで検索し、こちらの記事で重要な情報を得ることができました。その方がサポートから聞いた情報によると、

「速い速度で手動でサムターンを回すと、回転方向を誤認してしまうのは仕様。」

「センサーの動作頻度を上げると電池がもたないので、仕様」(意訳)

「北米版を含むセサミ製品は1秒以内に180度以上回すと回転方向を誤認識する」

とのこと。

なるほど。省電力のために角度検出のGMR(磁気)センサーの動作クロックを1Hz(1秒に1回)とかにしてるとかですかね?だからその間にグルリと大きく回転させてしまうと、Sesameはどっち周りでその角度に到達したかを区別できなくなるということかも知れません。結果として当てずっぽうで1秒前の角度と今の角度を足し算すべきか引き算すべきかが賭けになってしまい、外れると360°(180°?)が無駄に加算された角度になる、的な?なぜ360°ではなく180°でもう判別できなくなってしまうのかはよくわかってないですが、磁気を使ったGMRセンサーの仕組み的な都合ですかね?

おそらく世の中のほとんどのサムターンでは180°も回転することはないので、省電力優先のクロックにしたのは妥当だったのかも知れませんが、ASSA ABLOYのような何回転もするサムターンとは相性が悪かったということでしょうか。しかもこのサムターン、ほぼ空転してるかのように軽い回り方をするので、その気になれば本当に素早く回せてしまうことも要因のひとつな気がします。可能ならバッテリーライフを犠牲にしてでも角度検出クロックを上げる「高精度検出モード」みたいなのを実装してくれると世のASSA ABOLYドアユーザは救われるかも知れません。

dタイプリミッターを使う場合のワークアラウンド(対症療法)

「1秒以内に180度以上回すと回転方向を誤認識する」のが仕様だとするSesameで180°近くを回す必要があるフックタイプのASSA ABLOYサムターンをdタイプリミッターで使う場合の誤認識回避策としては、

  1. 意識して1秒以上かけてゆっくり回す
  2. アプリやSesameリモートを使うなどして、手回しを徹底的に避ける
  3. ロックボルトが動作するギリギリを見極め180°未満に範囲を絞り込む
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といったことになるかと思います。実際、この誤認識を教えてくださった方にこのアドバイスをしたところ、120°くらいでセッティングができ、今のところ誤認識を抑えられているとのことです。

そもそも120°で済むならいずれかの位置にa~cタイプのリミッターでも済んだ可能性すらありますね。やはり現地で実物を目にしてるわけではないので、写真や動画を拝見し、お話伺ったりして最善策を練るのもなかなかもどかしいところがあります。同じフック型のデッドボルトのドアでも、180°以上回さないと施錠解錠できないという方もいれば、詰めたら120°でOKでしたという方もいるので、実際にはモデルが違う可能性もあります。当分個別対応は不可避といえそうです。