Sesame 5 Proをつけてみて5無印との比較など

木製ドアにとりつけるためのプレートなどを開発する関係で、採寸用に購入したSesame 5 Pro。せっかくなのでしばらく自宅玄関ドアにつけて使っています。

(Sesame製品はAmazonより公式サイト直販の方が安いことが多いのでご注意ください)

横向き設置
縦向き設置

こちらのマグネット対応プレートもPro対応版ができました。

本記事では5と5 Proを両方使っての比較レビューなど。

といってもそんなに書くことはないかな…

そもそも2機種の違いというか、Proの特徴は、

  • ブラシレスモーターで耐久性、静音性アップ(100万回耐久。無印は5万回)
  • 形状が細く長く成り設置性がアップ
  • カラーは白黒2色のみ(5無印はシルバーもある)

といったくらい。一般家庭では5万回でも10年くらいは保つ計算になるんじゃないでしょうか。Proはオフィスなど毎日何十回と人が出入りするような場所向けという感じですね。5無印では形状的に無理、というご家庭でない限りProに+3,000円払う価値がるかは微妙です。

その他、ソフト(OS)も共通だし、アプリからの使い勝手も同じ。反応速度も顕著な違いはない気がします。

■静音性

これははっきりと違いがわかるくらい動作音量に差があります。ただ5無印が耳障りなくらいうるさいというわけでもなく、むしろリビングから遠隔操作した時に音が聞こえて確実にロックできたとわかって安心まであります。Proは耳を澄まさないと聞こえないという感じ。さりとて無音というほど静かでもない。音質的には多少高級感があるかなという感じ。

■サイズ差による使い勝手

Proはサムターンのツマミも小さいです。普通に手でもって回すのにはむしろ5無印の方が大きくて回りやすいとも思います。ただ、SesameタッチやSesameリモートからの操作がほとんどでツマミを直接回ることはほぼない、という環境であれば、小さいことはメリットだと思います。

自分は手が荷物で埋まっている時など、脚や背中でドアを押して開いておき、閉まる前に身体を滑り込ませる、みたいな出入りをしますが、その際にSesameの出っぱりが背中を直撃して悶絶したり最悪Sesameが外れて落下したりということが意外と頻繁にあります(笑)。そんな横着をする人には出っぱりが小さくなることはリスク回避にもなるでしょう。個人的にProに感じるもっとも大きなメリットはそこかなと。

■まとめ

すみません、記事にするほど違いもなかったかも。商品コンセプト通り、ビジネスユースなら5 Proが耐久性の面で有利。

個人宅で使うメリットは、

  • 動作音(モーター音)がやや小さい
  • フットプリントが小さくぶつかりづらい

くらい。

逆にツマミを手で回す人は5無印の方が大きくて回しやすいですが、個人的には帰宅時はSesameタッチ、出かける時はSesameリモートを使うのが快適でオススメです。

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■宣伝

ASSAアブロイという海外メーカーの、サムターンが360°以上クルクル回ってしまいSesameと相性が悪いドアをお使いの方向けに、回転範囲を制限するアダプタを製作しています。また同社ドアは木製が多いと思いますが、両面粘着テープで貼り付けたくない、という方向けのサムターン共締め式のバックプレートもあります。最近5Pro対応版も開発していますので、ご興味おありでしたら下記の記事をご覧ください。

5無印用

Proの方も先にこちらをご覧になることをオススメします。

5Pro用

Pro用の差分情報はこちら。

ちなみにASSAのクルクルスカスカ回るサムターンは以前使っていたQrio2だと360°ですら非対応で上手く開閉できませんでした。Sesameシリーズだと開閉自体は可能だが、手や鍵で360°以上回してしまうと認識ズレが起きて誤動作するという感じなので、そこに物理的に一回転以上しなくするストッパーをつけることで不具合を防止しています。SwitchBotなどは試してないのでわかりません。

eufy SoloCam S340 + HomeBase S380半月後レビュー

eufy (Anker)のセキュリティカメラ SoloCam S340とHomeBase S380を導入して半月が経ったので追加レビューを書いてみたいと思います。

前記事はこちらの2件。

現在、S340が2台とHomeBaseの構成で稼働しています。

■画質(昼夜)

Nest CamやATOM CamのフルHDから3Kになった違いは明らかで、解像度以外の面でも画質の向上を感じます。ビットレートが高いのかな?色も濃いめで映える画質です。

撮影場所が元々それなりに照明があるのもありますが、夜間の画質も上々です。

■動作精度

1台は自宅の門付近から門を開けて入ったところにある集荷ボックス辺りを映していますが、きちんと家族や宅配業者が来た時に反応してると思います。見落としがないとは言い切れませんが、感覚的には充分検知している気がします。またイベントとして検出したものはきちんと人が映っているので誤検知はしておらず、検知エリアの設定で自宅前の路上を歩いて行った人、みたいなのが検知されてることも無さそう。近いアングルのGoogle Nest Camよりも検出イベントが多いです。厳密に同じ画角ではないので公正な比較ではないかも知れませんが。

もう一台は共同の駐車場を映していて、人間と車両をAI検出対象にしていますが、これもきちんと人や車の出入りを検知していると思います。ただこちらはたまに何も映ってないイベントがあります。雨とかがチラついているだけの動画が残っていたり。

どちらもパンチルトで追尾しており未来的だしより広範囲に動きが追えて良いです。その後でホームポジションに戻るタイミングは不明ですが、一応リアルタイムで覗くといつのまにか戻ってる印象です。

HomeBase S380を組み合わせると可能になる人物識別ですが、設置位置が高くて頭上しか映っていない状態なので、顔自体の検出イベントがほぼなくてあまり役に立っていない状況です。家族は手動登録してますが、その他の未検出の人物が挙がってこないので登録も増えないという感じ。できれば宅配業者さんを見分けてヤマト/佐川/日本郵便とか識別できるとなんの荷物が来たか推測できて有り難いですが、まぁAmazonとかUberは毎回違う人がくるので微妙ですね。制服識別してほしい。

1台目はイベント検出時にライトを点ける設定にしており、作業灯としても普通に便利。いままでもソーラーLEDライトを点けてましたが、冬場に充電不足で点かないことも多く、サブライトとしても重宝しています。他人も通る可能性がある2台目のような状況ではライトをオフにすることも可能です。

総じてNest Camよりも進化、ないしパンチルトの効果を感じます。Nest Camはクラウド利用料がかかるので、セールなどを狙って順次リプレイスしランニングコストを0にしていきたいです。

集荷ポストのソーラーLEDライトをS120にリプレイスすればより手元を明るく照らせて、人物識別も捗るかな?

■バッテリー、ソーラー発電状況

もうひとつの大きな懸念は「ソーラー発電で長期稼働できるか?」でした。初日に有線充電でほぼフル充電にしたものが1日で20%くらいに落ちて「ダメじゃん!」ってなりかけましたが、その後HomeBaseを設置したせいか、全然減らなくなりました(3月後半から4月前半の日照条件)。当初カメラがイベント検出(人が来た)をして、HomeBase側で人物識別(それは誰か?)処理をすると思ってたんですが、どうもヘルプを見る限りHomeBaseがあれば全ての処理をHomeBase側で行うのでカメラの電池消費が抑えられるということのようです。ということは逆にカメラの映像ストリームは常時垂れ流しになるような気もしますが、そっちの電力や通信量の増加はどうなん?という感じ。そのために自宅Wi-Fiとは別接続にしてるんですかね。近いチャンネルだと結局干渉してスループットに影響しそうな気もしますが、まぁ2.4GHzはあまり使ってないからいっか、とも。特に実害は感じないです。

で、電力状況は以下のような画面で確認できます。バッテリーは100%で劣化が進むので、97%を切らないとソーラー充電は行わないようです(画面下部参照)。で、上のグラフのようにほぼ98%付近を維持していて、ソーラー充電はたまにしか行われていない模様(下のグラフ)。これなら「日光が当たらなくても3ヶ月保つ」も嘘ではないかもと感じます。

逆に初日一日で80%くらい減ったのはなんだったのか、という感じですが、HomeBaseの登録解除すると設定もほぼ初期化されてしまうので試していません。導入初期は学習とか色々あって電力消費も多いとか?あの減り方がS340単体の時の標準的な電池消費だとしたらちょっと実用にはならなそうな気もします。導入してみたけどすぐ電池なくなるじゃん!って方はHomeBaseの導入も検討してみてもいいかも知れません。

バッテリー面でも現時点ではとても安心感があり満足しています。真冬が楽しみ。

■その他、気になる点

ほぼほぼ不満はないですが、惜しいのはやはりアプリのカメラ映像一覧画面でリアルタイム映像を同時に見られない点ですかね。バッテリー消費を抑える意味合いもあるのかも知れませんが、前述のようにHomeBaseに常時ストリーミングしているのであれば関係ない気も?

あとはGoogle Home/Alexa/Apple HomeKitにもストリーミング映像を連携できないっぽいことかな?ちゃんと調べられてないですが、公式のここの機種一覧にS340やS380は出て来ないし、商品ページにもGoogleやAlexaのロゴがないし。以前の機種(または海外発売モデル)では対応してたけど外されたってことなんでしょうか、、スマホからはeufyアプリで見ればいいんですが、できればGoogle NestHubとかEcho Showでもさっと見られるといいなとか。

■まとめ

総じて満足しています。画質や認識性能、バッテリー保ちも進歩を感じるし、なによりクラウド不要でランニングコストがゼロなのも良い。

紹介した以外にも屋外、屋内含めて様々なモデルがあるので、ペット監視など用途があえば導入してみてもいいんじゃないでしょうか。プライベートな自宅内を映すカメラとして、無名の中華メーカー製品を使うのも不安だし、さりとて国産メジャーは高い(Panasonicとか)。そんな中でAnkerならまぁまぁ妥協できるブランドかなと思います。

増車に備えてGPSロガー参号機を作る

我が家のクルマにはRaspberry Pi Zero Wを使った自作GPSロガーを密かに搭載し、自前のWebサーバーにリアルタイムに位置情報を送信しています。防犯/追跡的な意味と、家族と合流する時などに詳細な現在位置を把握するためです。トヨタ車のアプリによる位置は駐車時しか更新されないので、「今こっちに向かってて、到着まであと何分くらいかかりそう」といった予測には全く使えないんですよね。

詳細はこちらの記事など。

さて、クラウンより前に契約していた某長納期車がぼちぼち1,2ヶ月以内に生産日が確定しそうという気配がしてきたので、GPSロガーももう一台作ろうと思います。盗難ランキング首位独走の車種なので、もちろんなんらかのきちんとした盗難防止セキュリティも導入するとは思いますが、それでも盗られた時に、誰も知らない秘密のGPSロガーがバックアップとしてあると無効化されにくいだろうというのと、前述の日常使いにもいいかなと。まぁ同居人が買いながら99.99%運転するのは自分になるので、そこまでリアルタイム位置情報が必要にはならなそうですが、、

先代製作から時が経ちすぎていて…

2019年にカロスポ用に壱号機を製作(後日クラウンに移設)した後、2021年に30プリウスを増車した時はまったく同じ構成のハードを揃えて、microSDの中身もクローンして設定だけ変更して流用しました。

しかしそこから4年経った現在では、

という変化が起きていました。

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ZeroからZero2になるとCPUがArmV6からV8になり64bit化され、シングルコアからマルチコアになっています。当時のOSイメージでは最適化されていないどころかまともにブートしない可能性が大です。当時のOSはまだRaspberry OSという名前にすらなっていないRaspbianの頃のものなのでapt updateするにも限界があるでしょう。ということで、OSは完全新規インストールすることに。GUI関係のパッケージを省いてRaspberry Pi OS Lite (64bit)を選択。当時パッケージは何を追加したとかまったく記憶もメモも残っていないので前途多難です。

そしてもうひとつ重要なGPSモジュール+アンテナが販売終了になっていた件。直接の後継製品も同社から販売されておらず、まったく異なるチップのGPSモジュールを再セットアップする形になります。車載用なので感度を得やすいGPSアンテナは別体型から物色して、Pi Zeroと同一基板サイズのHAT型モジュールのこれを選びました。

ちなみに背面の40ピン端子がメスヘッダーなので、ラズパイZero2の方はオスヘッダー付きのWHモデルをチョイス。ブッ刺すだけで結合完了。おそらく今回は半田付けも不要でケース内はかなりスッキリ作れそうな気がしています。

バックアップ電池としてML1220という規格の充電式コイン電池をセットできます。入れておくと衛星の位置情報をキャッシュしておけるので、電源投入からGPSを掴むまでの時間を短縮できるんだと思われます。壱号機、弐号機の秋月のGPSモジュールは普通のコイン電池だったので定期的に交換が必要でしたが、充電池ということで寿命も期待できます。残念ながらAmazonでは信頼できそうなブランドのものは見付からず、Yahoo!フリマでゲットしました。一応Amazonならコレとかでしょうけど送料も高いのでご注意ください。

ちなみにこちらのセルラーモデルもあって、車内Wi-Fiに依存せずに位置情報を発信しつづけられるならいいかもと思ったんですが、技適マークの有無について記載がなかったのと、アリエクだったかで「GPSとセルラー通信は同時に使用不可」みたいな記述があり、ちょっとリスクが高いなということで見送りました。

microSDカードも大きいサイズは不要(Lite版OSのインストールサイズは2GB程度)なので、あえて小さい容量で、むしろ速度面や耐久性を優先したものを選定。最近のmicroSDはA1とかA2とかいうアプリケーションパフォーマンスクラスというランダムアクセス基準の規格があり、PiシリーズもA1まで対応してる(Zero2がどうかはよくわからず)ようなので、A1を要件としてみました(A2は対応してても活かせない)。まぁ別に直接触るものではないので、普通のU1とかU3とかでも全然問題ないんですが、値段もかわらなかったのでこちらに。購入時、Amazonが販売するもので697円でした。

容量は8GBとかで全然足りるんですが、そんな小さいのでA1は見付かりませんでした。

今回はGPS HATを取り付けるので壱/弐号機と同じケースは使えないだろうということで3Dプリンターで自作。Raspberry Pi Zero2の3Dモデルを海外サイトのGrabCADから取得(要登録)。HATも同一基板サイズなのでコピーして間隔をあわせ、それらが収まるケースをデザインしました。

■ハードウェア組立

ケースの材料は耐熱100℃のASA。GPS HATの上に高さのあるジャンパー(黄色)があるので、トータルの高さは壱、弐号機に比べてだいぶ出ちゃいました。幅70 x 奥行き35 x 高さ31mmという感じ。

右側面から生えているのがGPSアンテナです。

SDカード&端子面がこちら。miniHDMIとmicroUSB端子を挿せるようにするのに、基板と壁の隙間を極限まで狭めて、肉厚も1.8mmとしました。結果としてかなりギチギチでネジ止めの必要がなさそうなレベル。むしろ取り出しに苦労します。底に押しだし用の穴を空けておけば良かった。GPSアンテナのコネクターもホットボンドで固めようと思ったんですが、将来的に基板を取り出す時に困りそうなので保留。外側にケーブルガイド的なものをつければ良かったかも。

結果としてケーブルもそのまま挿せるし、microSDも素手で抜ける形にまとまりました。

あとは排熱性が不安ではあります。もう少し穴をたくさんあけて通気性を確保しようとも思ったんですが、車内でホコリやゴミが入るのを嫌ったのと、3Dプリント的に側面に穴があくと造形が難しくなるという理由でまずは穴開けは端子部のみとしました。どうにも動作が不安定になりそうならヒートシンクをつけたり最悪ファンをつけようと思いますが、ChatGPTさん曰く、ロード100%でぶん回すとかしない限りヒートシンクも不要、とのことだったのでまずは様子見。

■ソフトウェア整備

OSは前述の64bit版LiteをPi Imagerでサクっとセットアップ。一旦自宅のWi-Fiに接続し、基本sshでセッテイング作業を進めます。スクリプトはPythonで作られているので、それ回りをインストール。

GPS HATの公式ガイドはこちら。赤字の

If you use bookworm system, only the lgpio library is available, bcm2835 and wiringPi libarary cannot be installed or used. Please note that the python library does not need to install, you can directly run the demo.

という部分に注目。bookwormシステムの場合はlgpioライブラリだけでOKということです。bookwormとはDebian 12系のことで今回使用したRaspberry OSも当てはまります。minicomというツールをいれてサンプル通りにテストしたらあっさりデータが落ちてきました。いうてシリアルポート通信するだけなのでドライバーとかライブラリといっても特殊なことはなかったです。

先代はgpsdというシリアルポートからGPS情報を取り出してネットワーク経由で配信するデーモンを介していたんですが、対外的な通信をするわけではないので、今回はPythonから直接シリアルポートを叩くアプローチに変更。先代よりパワーアップしているのでそこまでリソースをケチる必要もないですが、無駄を残す必要もないかと。というかここでもChatGPTさん大活躍。必要なライブラリを挙げてもらい先代スクリプトを渡して書き直してくれと指示したらほぼ一発で修正してくれました。これがなければ自分で書き直そうとは思わず、そのままgpsd経由を踏襲していたと思います。

pipでgps3というライブラリを入れようとしたらセキュリティポリシーでエラー。今時はシステムワイドにライブラリを入れずにユーザーレベルの仮想環境というのを作ってやる作法らしい。全部ChatGPTさん情報!マジありがたい。

継続的にシリアルから送られてくる行のステータスがA(正常)の時は緯度経度などの値をコンソールに出力。それ以外のステータスではエラーメッセージを吐いてくれるので状況が一目瞭然です。新規導入ハードであるGPS HATがすんなり動いてくれてホッとしました。

また本番スクリプトでは徐々にサーバー送信が遅延していく現象が起き、ChatGPTさんの見立てでは、print文によるコンソール出力のバッファーあふれではないかということで、「, flush=True」を追加しています。これでバッファーに貯めずに即時出力されるらしい。もう少し検証予定。

あと、別記事のリソース最適化をする中でBluetoothを無効化したところ、使用するシリアルポートが/dev/ttyS0から/dev/ttyAMA0になりました。

Raspberry Pi Zero 2 WによるGPSビーコンの消費リソース最小化

前記事でRaspberry Pi Zero 2 Wを使ったGPSビーコン(現在位置を定期的にサーバーに送信する追跡デバイス)を自作した際、ChatGPTさんのアドバイスを元にメモリや消費電力周りを最適化したので覚え書き。OSレベルというか、自作スクリプトと関係ない情報なので別記事にしておきます。

■ROM化

microSDカードのようなフラッシュメモリは書き込み回数により劣化が進むので、通常運用時は書き込みをしないようにします。現在のRaspberry OS 12系はBookwormという世代のDebianベースで、Overlay File Sytemというのを有効化するだけで、メモリ上に仮想ストレージを生成してログなどは全てそちらに書き込み、電源オフですべて消える、という形になります。電源投入毎に真っ新な状態から始まるので、ログが溢れるとかもないし、SDカードの劣化も抑えられるので長期放置運用にはもってこいです。

設定は標準設定コマンドraspi-configで簡単に行えます。

「Performance Options」→「Overlay File Systemなんちゃら」でYesで有効化、Noで無効化。続けてbootパーティションも無効化にするか聞かれ、raspi-config終了時に再起動を促されます。

色々設定を変更する時は無効化し、終わったら有効化するのを忘れずに!(有効化したまま設定変更しても再起動で戻ってしまいます)。

現在の状態確認は、

として、「overlay on / type overlay (rw,relatime,lowerdir=…,upperdir=…,workdir=…)」みたいなのが出れば有効、なにも出なければ無効です。

■リソースチェック法

諸々最適化を図る前に数値を取って効果検証します。

メモリ使用量

で現在のメモリ総量、残量、スワップ使用状況などが確認できます。

今回の場合、スタート状態はこんな感じでした。Pi Zero2はメインメモリ512MBですが、GPUメモリに初期状態で64MB割り当てられて目減りしていました。実質の残量が267Mi、スワップがわずか(2.8Mi)に使用されています。最終的にスワップ無効化までもっていきたい。

CPU温度

とするとSoC(CPU)温度が出力されます。初期状態で60℃ほどでした。公式の推奨動作温度範囲は0~ 85℃で80℃程度からサーマルスロットリング発動するぽい。まだまだ安全圏ですが、これは室内での数値なので、車内に隠蔽設置した際は夏の気温や暖房の影響で更に上がる可能性もあります。できるだけ下げておきたいところ。

■やったこと

[予習] config.txtの編集方法

以下の設定のいくつかは/boot/firmware/config.txtを編集することで行います。通常は/bootパーティションはro(read only)でマウントされているので、シェルから直接編集はできません。mountコマンドでrwで再マウントするなども可能ではあるんですが、今回はmicroSDをPCにマウントしてルートディレクトリにあるconfig.txtをエディタで編集しました。

GPUメモリ割当を減らす(64GB → 16GB)

現在の割り当ての確認は、

です。64GBでしたが、GPSロガーではXのようなGUIは使わないので余剰に割り当てされていると言えます。最低の16GBに変更しました。なお実際の使用量をリアルタイムで確認するのはGUIツールが必要っぽいので本末転倒なので断念。どのみち使わなければ発熱にはさほど影響しませんが、メモリをがっつり取り返せるので効果は大きいと思います。

config.txtの[all]セクション辺りに、

と書きます。

動作クロックを制限する(1.2GHz → 1.0GHz)

発熱を抑える施策です。config.txtの「arm_boost=1」の箇所を「arm_boost=0」に書き換えます。

不要なデバイスを無効化する

該当箇所を探してコメントアウト(行頭に#をつける)していきます。

Bluetoothの無効化

いっさい使わないので無効化します。これはコメントアウトではなく、行を追加します。

LEDを無効化

ボード上のLEDを無効化します。どうせ見えないところに隠すし、光ってない方が見付かりにくいでしょう。ただし今回装着したGPSモジュールHAT上のLEDは消えないので気休め程度です。消費電力が1~2mA(全体の1~2%程度)減らせるようです。

これもconfig.txtの[all]ブロックに追加します。

Wi-Fiのパワーセーブを無効化

これは逆に消費電力を増やす措置ですが、通信を安定かさせるためにやってみました。GPSロガーでは一定時間毎にサーバーに現在位置情報を送信しますが、システムが一定時間通信がないとWi-Fiを節電モードにしてしまい、復帰に数秒かかってしまうことがあるということで、それを無効化(=省電力しない)。

現状確認

で、「Power save: off」とか「Power save: on」とか出ます。

オフにするのは、

ですが、システム起動時に自動実行するためには少し操作が必要です。色々方法はありそうですが、とりあえずChatGPTさんに聞いたやり方。

/etc/rc.localに記述。今回は存在していなかったので新規作成しました。

最初と最後の行も必須です。ファイルを作ったら実行可能フラグつけます。

次に、/etc/systemd/system/rc-local.serviceを以下の内容で作成します。

そしてサービスとして登録。

これで起動の度に無効化されるはずなので、念のため「iw dev wlan0 get power_save」してみましょう。

■ログインメッセージを省略

システムリソースへの影響はほぼないですが、デフォルトのログインメッセージ の「The programs included with the Debian GNU/Linux system are free software;~」みたいな10行くらいの英文がうっとうしいので削除しました。/etc/motdの内容が差し込まれるので、これを空にします(削除ではなく中身を消す)。

■スワップを無効化

あれこれいじったおかげで、メモリ総量が50Miほど増えて、スワップ使用量が0にできました。

残量も300Mi以上あるのでスワップを無効化してよさそうです。

sudo nano /etc/dphys-swapfileをエディタで編集し、「CONF_SWAPSIZE=0」とします(最初は512とかだった)。その後、

とします。free -hを実行して、Swapの行がすべて0になっていれば完了です。

■成果確認

諸々の設定を施して、

  • メモリ総量: 416Mi→ 464Miに増加
  • メモリ残量: 267Mi → 308Miに増加
  • スワップ使用量: 2.8Mi → 0Miでスワップを無効化
  • 温度: 60℃超え → 48℃程度に低下

という最適化ができました。消費電力としては測れてないですが、温度が10℃以上下がったのは達成感あります。

ASSAドア用Sesame固定プレートのマグネット対応

ASSAアブロイの木製ドアに粘着両面テープを使わずにスマートロックSesameシリーズを取り付けるプレートを3Dプリンターで自作してきました。

同社製ドアをお使いで同じお悩みを持つ方からもちょくちょく頒布依頼を受けたりしてきましたが、今回ふと思いついてマグネット固定Verを製作しました。

Sesameは少し前から鉄製ドアに取り付けるためのマグネット「SESAMEマグネット」を販売しています。見た目普通の直径20mmの円形マグネットですが、Sesame本体側に影響しないよう片側は磁力を遮断するカバーがついています。つまりこのマグネットのカバー側をSesame本体につけて、ドア側の鉄板にくっつけるという構成です。

またSesame製品汎用となっており、5つのうち4つとか2つを使って自分で適当に貼って使う形です。本体底面の粘着テープを利用する想定なのか、マグネットには粘着テープはついてきません。

今回はこれを活用して固定プレートにもマグネット装着を可能にしようという試みです。ちょっとしたメンテナンスやうっかり体当たりしてもぎ取れてしまった時など、マグネットであればすぐにつけることができます。

設計としては単純に従来の固定プレートに直径20mmの凹みをつけただけです。

背面の反り防止スリットに到達して貫通してしまってますが、これはこれでもし鉄板を取り外したくなった場合に後ろからマイナスドライバーなどをつっこめて便利かなと残してあります。

用意した部材はSESAMEマグネットに加えて、以下。

まずSESAMEマグネットをSesame本体に貼るための両面テープ。

本体付属の底面全体の両面テープだとマグネット以外の部分に粘着面が露出しホコリなどが付きそうなので、SESAMEマグネットとピッタリ同サイズのものをチョイス。こちらは10mm径と20mm径がセットになってしまってますが、厚みや耐水、耐熱仕様であることを重視しました。

そして固定プレート側に埋め込む鉄板。両面テープ付き。

もっと安いものも買ってみたんですが「マグネット用」とあるくせに全然磁石がつかずに返品。信頼性が高そうなこちらにしました。

■使用方法

最初にSesame本体にマグネットをはる位置決めテンプレートとして使用します。

マグネットをカバー面を上にしてセット。

その上に両面テープを貼っていきます。

剥離紙をはがしてSesame本体を上から押さえつけます。しっかり貼り付けた後で引き抜くと本体側はできあがり。

再び凹みが空いた固定プレートに今度は鉄板4枚を貼り付けます。

完成!

鉄板が1mm厚と薄いのでしっかり吸着するか心配でしたが、普通に使う分には問題ないくらいガッチリつきます。逆に体当たりしてしまった時に外れてくれる方が安全かなと。まさにMagSafe。

穴の深さが2mm、鉄板が0.4mm厚、粘着テープが1mm厚なので、0.6mmの段差が残るので、SESAMEマグネットがバチっと固定位置にハマってズレることもありません。

壁につけた様子。

逆に一度位置決めしてしまうと動かせないのは粘着テープ固定とかわらないですが、簡単に脱着できる点は自分のようにちょいちょい付け外しして採寸したり自作アクセサリのマッチングとったりする人間には便利です。まぁ、普通の使う分にはそうそう脱着の必要はないと思いますがw。

■頒布情報

とりあえずバッテリー左配置のだけ作りましたが、他のパターンやSesame 5 Pro用も簡単に作れると思うので、希望があったのから作っていこうかなと思います。

SESAMEマグネット以外の部材(両面テープ、鉄板)も余ってるので、必要数同梱して1,500円とかでしょうか(通常版が1,000円、送料、税別)。

ご関心お持ちであればこちらのフォームからお問い合わせください。