完全オーバースペック!! 録画対応小型モニター、BMD Video Assist 7″ 12G HDRを導入

現状の課題

普段UTやインタビューの実査業務で録画/中継をする際、ミスや破損に備えて二重で録画するよう心がけています。ちなみにZoomやTeams、Meetなどで中継することが多いですがクライアント(発注元)のライセンスで使うことが多く、クラウド録画機能は容量や個人情報管理の観点で使えないことが多いです。後者は例えば参加者の顔が映った映像をクライアントが保持するのがNGで、後日ボカシをかけて納品するような場合、一時的にもクライアントがアクセスできるストレージにデータを保存できない、みたいな事情です。そんなこんなで手元での録画を多重化することが多いです。具体的には、ATEM MINI Extreme ISOでマルチカメラの映像を合成したPGMを作り、ATEM自身で作りつつ、中継用PCに入れてOBSで録画&Web会議サービスに中継、という感じです。

で、OBSのPGM映像(合成後の出力)を配信に載せる場合、映像だけが出ているウインドウが欲しくなるのですが、なぜかMac版OBSで作ったプレビューウインドウがMeet(ブラウザ)の共有画面選択一覧に出てこない問題があったりします。そこで自分はサブモニター全体にPGBを映す「全画面プロジェクター」を使用します。

が、ここに罠があって外付けの小型モニターの電源がなんらかの理由で落ちるなどして外付けモニターをロストするとOBS自体がクラッシュしてしまうのです。そうはならんやろ、と思うかもですがUSB-C電源で動いているモバイルモニターだとわりとちょっとコネクタに力がかかったくらいで瞬断することがあったりして、コネクター周りをパーマセルテープでガチガチに固定するなどしています。

ちなみにWindows版OBSだとこの辺りどうなのか検証できてないですが、たぶん全画面プロジェクターでなくウインドウプロジェクターでもたぶんブラウザの共有画面として使えたと思います。

てことで長い前フリですが、「安定した外部モニターが欲しい」が課題の1つ目。

もうひとつは小型の録画機が欲しいというもの。3つ以上のカメラソースを合成する場合、ATEM MINI Extremeに処理を投げられるのはPCの負荷軽減もでき安心感があります。一方、そこまで複雑な合成が必要ない場合や、車で行けない現場の場合、Extremeを持っていかずにPC+OBSで済ませたいなということもあります。実際来月そういう案件があるのでこの時期に動いたというのもあります。ということで、ATEM MINI Extreme ISOをもってくほどでもない軽合成案件でも、OBSとは別に録画系統を確立したい、というのが2つ目の課題というか目標です。

ということで今回の要求使用は

  • HDMI入力された映像をSDカードやSSDなどのシリコン媒体に保存できる
  • 現場にもってく負担にならないよう、なるべく小型で配線なども簡略化できると良い
  • 業務グレードの信頼性
  • 1案件まるごと(90分x12セッションくらい)を単一のメディアに不安なく収録できるビットレート、コーデックが理想

みたいな感じで探しました。画質はFHD/30pくらいで充分ですが、4Kとかも使えるとホビーでも流用できるかもなぁ、くらいで。あくまで前線にATEMやOBSがいてのバックアップ用なのでマイクが直接つくか、などはさほど優先度は高くない感じ。

■なるべく小型で長時間録画ができ信頼できる録画機を求めて

まず1万円前後で買える安い「PC不要」を謳う録画機は端から除外です。

こういうのは2GBとかでファイルが分割されるものばかりで、ファイルの扱いがめんどくさくなるからです。小さいのでバックアップ録画用としては悪くないのですが、このクラスの新製品をみつけてはメーカーサイトにいって説明書をチェックすると、たいていどこかにちっちゃく「2GB毎に分割されます」って書いてあります。大抵はH.264でビットレートもそれほど高くないので、割と長く録っても2GBにいかないとかはあるかもですが、、

そして挙がったメンバーがここら辺。業務製品なのでややお高いですが信頼性も担保されるだろうと。

・HyperDeck Shuttle HD

Blackmagic Design HyperDeck Shuttle HD (HYPERD/PTSHD)

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フルHDの再生と録画ができ、シャトルで頭出しがしやすい点が特徴。駆使するとUTの回顧法とかでも使えて面白いかなーと思ってかなり悩みました。小型でATEM MINIシリーズと並べて置きやすい形状もGood。お値段も手頃です。保存はSDカードかUSB SSD。

一度ほぼ決めかけたんですが、「どうせならモニターと一体化してれば10インチモバイルモニターもってかなくて良くなるんじゃね?」と閃いてからモニター搭載機にぐぐっと傾いて、今回は見送りました。でもいずれ欲しいかも知れない。

・HyperDeck Studio HD Plus

同じくHyperDeckシリーズの録画HD、再生4K機。この下のminiだとHDMI入力がないので自動除外。4K再生もできるので提示刺激映像(クルマ案件で走行映像とか)を高画質で映せるのが魅力だなと思ったんですが、ちょっと持ち出すにはサイズが大きいなということで断念。一応ちっさいながら液晶モニターとスピーカーもあるので画角などは確認はできるんですが、ピントがあってるかとかまでは厳しい。

ちなみにちょっとした動画を見せるだけならPCでもできるんですが、こういう機器だと再生制御UIとかを一切画面に映さずに済むので運転シミュレーターなどで使うには没入感を出しやすいというメリットがあります。ATEM MINIと組み合わせてソースにするとATEMのスイッチャーで選択したら再生が始まる、みたいな連動ができるのもHyperDeckシリーズの良いところです。ATEM以外からもネットワーク経由で再生制御ができるので、アプリでリモート制御したり、スクリプト書いて自動化したりもしやすい。

・Video Assistシリーズ

Video AssistとNINJA Vは録画もできるモニターとして双璧というか、他に選択肢がないくらいメジャーです。ただしガチプロすぎてコーデックもプロくてビットレートが高いProResとかBlackmagic RAWとかになってしまうのが難点。SDやSSDのコストが高くついてしまいます。

Video Assistは5インチと7インチ、FHDと4Kで4製品あります。今が10インチでモニタリングしてるので、5インチはさすがに厳しいかなと思います。合焦箇所を色付けして可視化する機能(ピーキング)などはあるとはいえ。あと7インチだとSDスロットがデュアルになり(溢れたらもう片方で録る)、ミニXDRで高音質マイクを直結できるといった違いも。

H.264/265といった圧縮率の高いコーデックが使えないので、先に書いた十数時間分の映像をメディア交換なしで録るのが難しい(大きくて高いSDやSSDが必要)のが最大の難点。

・NINJA Vシリーズ

ATOMOS(アトモス) NINJA V ATOMNJAV01 ATOMNJAV01 ブラック

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こちらは5.2インチ。19インチとか大きいモデルもありますが2,30万するのでさすがに除外。4Kモデルと8Kモデル(V+)があり、拡張モジュールで機能を足せるのもガジェット好きとしてはたまらない。ちょうど悩んでた時にネットワーク経由でプロキシ映像(編集作業用の低画質映像)をframe.io(クラウド編集サービス)にリアルタイム送信するモジュールが発表され、その記念としてアメリカで$399になったのでかなり悩みました。日本で18万くらいするV+でも$599です。無印VはH.265ライセンスを$99で買う必要があるので、V+との差が$100。日本代理店で同じセールが来るかもわからず、米Amazonでカートにいれるところまでいきました。

こちらのメリットは背面にSATA SSDが装着できる点。Video AssistはUSB-Cで外付けなのでケーブルがややゴチャつきます。そのかわりあちらにはSDカードがあるので大容量SDが買えるなら補えます(NINJAはSDスロットなし)。

ただいまいち踏み切れなかったのはH.265収録がイマイチ不安定という指摘と、ファン音がVideo Assistよりも大きいというレビュー。UTで無言で操作してもらってる時のファン音は意外と気になります(マイクが拾うと後処理もしたくなる)。ATEMを冷やす外付けファンとかも使用を躊躇うことがあるので、やはり音は静かなのにこしたことはない。H.265収録は後付けの機能でもあり、低画質ファイルを編集ソフト上でランダムシークすると真っ黒になることがある、と公式でもアナウンスしてたりして、せっかく容量小さくでも扱いにリスクやフラストレーションが伴うのはイヤだな、という印象。

■Blackmagic design Video Assist 7 12Gに決めた!

ということを延々と悩み抜いて、

  • 老眼来てる目は大きな画面が良い、ピント来てるかチェックしたり、クライアントにちょい見せするにも大きいは正義!
  • ProResで一番画質が低い ProRes Proxyで512GBストレージならどうにか要求仕様の収録はできそう。最悪1TBのSDかSSDを買う。
  • FHDで足りるけど、いつかBlackmagic RAW出力に対応したカメラを買ったりしたら試してみたいので12G

としました。

正直FHDでのバックアップ録画には過分なスペックですが、そもそもの「画面付きレコーダー」に選択肢がほとんどないので致し方なし。けっこうずっしり重いですが、Hyperdeck Shuttle HD + 10インチモバイルモニターを持ち歩くことを思えば似たり寄ったりで配線も簡略化できるのでいいかなと。できればSDカード運用で外付け機器は最低限にしたいところ。また上下に3つずつ三脚穴があるので、ケージをつけなくてもSSDやマイクレシーバーを固定できてよさげ。卓上三脚ともどもヨサゲなのを物色していきたいと思います。

■ファーストインプレッション

・外観

実使用想定イメージ

USB-Cポートが下部にあるので、外部SSDを使う場合は三脚などで本体を浮かせる必要があります。傾斜もあった方が見やすいし、卓上で使うならミニ三脚はマストでしょう。SSDなどの付属物を入れると1kg位になるので、三脚も割としっかりしたものが安心です。手近にあったSONYのシューティンググリップをつけてみたところかなりしっくり来ました。つなぐ先がαなどSONY製対応カメラの場合、グリップのリモコンでカメラ側のズームや録画開始停止ができるのもアリかも知れません。

右側面

右サイドは電源ボタン。ヘッドフォンジャック、SDカードスロットx2、電源ポートなどが並びます。7インチモデルはSDカードスロットが2つあることで容量溢れた時に別スロットに継続録画してくれるので安心感。電源コネクタはがっちりネジ止めするタイプなので多少面倒ですが収録中にうっかり抜ける心配もなく、これぞ業務用という感じです。

左側面

逆サイドにはミニXLR、SDI入出力、HDMI入出力が並びます。SDIは当面利用する機会はなさそう。HDMIよりもケーブルが長くなっても安定するのですが出力機器(カメラ)をもっていないので、コンバーターをかましてまで使うような遠距離設営の現場機械があるかどうか。HDMIのINだけでなくOUTもあるのが地味に重宝しそう。さらに大きなモニターにつなぐとか。ミニXLRは高音質収録に良いですが、最近はDJI MicやWireless GO2といったワイヤレスマイクを使うことが多いのでこれもまだ活用の場面は訪れなそう。いつか感染対策とか不要になってバウンダリーマイクで収録できるようになったら、ですかね。

・使用感

起動が瞬時で、全体的な動作もサクサク。BlackmagicOS製品ですがメニュー構成もシンプルで見ればわかる直感的操作で良い。画面が大きいのでボタンも指で普通に押せるのがスマホやタブレット感覚で、ダイヤルやジョイスティックでちまちま操作するミラーレスカメラのUIとは違うところ。BMPCC欲しまる。頻繁に切り替えそうな項目は画面上にショートカットが設けてあり、練り込まれている感じ。自分でカスタムできるとなお良いですが、多分できなそう。

電源はネジ締めロック付きで不用意に外れたりしなそうな安心感。さりとてATEM MINIシリーズと違って電源ボタンもあるのは良い。現場は日を跨いで設営しっぱなしということも多いので、毎回ケーブルを外すのは地味に面倒なんですよね。

重量はバッテリーをつけなければそれほどズッシリ感はないです。基本屋内使用なのでとりあえずバッテリーは手配せず。SONYのビデオカメラ用バッテリーが2つセットできますが(なぜかこの界隈でSONYバッテリーがデファクトみたいな扱い)、買うとしてもさすがに純正でなくてもいいかな?あんまり怪しいのもなんですが。

5インチモデルだと三脚穴とUSB-Cポートが違すぎるとよく指摘されてますが、7インチモデルならその心配もなさそう。そもそも底面なのはどうかと思いますが。なんらか三脚やリグに組み込むの前提みたいな作りです。

録画データに影響なくタッチでズームできるのが良い。PinPの子画面でピントが合ってるか調べたい時、ソースを切り替えなくてもサクッと拡大して(録画データに影響与えず)確認できます。リアルFHD液晶なのでFHD収録ではそこまで必要ではないかもですが、4Kで撮る時なんかは重宝しそうです。

・タッチ操作によるズーム

画面の映像部分をダブルタップすると2倍のズームモードになります。そこからさらにピンチで拡大も可能。ピントがあってるか不安な時に重宝します。しかも録画に影響しないし、カメラに触れてブレが発生してしまう心配もない。これは普通の外部モニターでは適わないメリットかなと思います。

・ストレージ周り

SanDiskの256GBの入れてVideo Assist側でexFATに初期化直後で、

  • ProRes Proxyで713分
  • ProRes LTで325分
  • DNxHR LB MFXで716分
  • 同SQ MXFで210分
  • Blackmagic RAW固定品質 Q5で507分
  • 同Q0で131分
  • 同 固定ビットレートの12:1で507分
  • 同 3:1で131分

という予測収録可能時間表示に。品質固定は映像の動きや細かさで大きく違うので、参考値として固定ビットレートの12:1や3:1の場合の数値を出してるっぽいですね。まぁいずれにせよBM RAWは対応カメラがないと使えないので当分宝の持ち腐れです。DNxHRはあまり使ったことがないですがProResに比べてアドバンテージがなさそう?当面はProRes Proxyかな。実際に録ってみないとですが、713分だと90分x12セッションは録れない。512GBのSDを買えば足りそう。ProRes LTだとそれでも足りない。

512GBや1TBのSDカードはV30の並行輸入品は結構安いですが、Blackmagic design社の動作検証済みモデルリストに載ってないものは業務で使うのはちょっと不安。買うならコレかな?と。

これでも最もビットレートの高い収録は無理。そもそもUHS-IIの大容量モデルってまだ存在してないぽいですね。FHDでProResの比較的低ビットレート収録専用なら外付けデバイスなしでたっぷり録れるこれか512GBがいいかな。

でも今回はコスパとそろそろ入手困難になるかもという恐怖心で、同じ値段出すならと外付けSSDの2TBモデルを買ってしまいました。(リンク先は1TB)。AmazonではSAMSUNGの正規代理店のものは2TB在庫なし。海外配送のものは不安だったので避け、Joshinに残っていたのをゲット。3万ちょうどくらいだったので、SDカードメディア単価は半額程度です。

さすがに2TBあると、残収録時間表示が

ProRes Proxyで5576分
ProRes LTで2546分
ProRes 422で1785分
ProRes HQで1196分

となって、LTや422の使用も視野に入ってきそう(90分x12本として余裕みて1200分くらいほしい)。実際には映像の動きなどで圧縮量がかわるので実際に録ってみないとなんともですが、UTやインタビューは動きはさほど激しくないので、大幅に上回ることはないんじゃないかと。

T5は2017年発売の500MB/sモデルで、すでに1050MB/sのT7シリーズに置き換わりが進んでます。T7の方が安いことすらあります。ただATEM MiniといいVideo AssistといいなぜかT7は動作確認リストに載ってないばかりか、海外のコミュニティでも「T7はアカンかった、認識しない」みたいな書き込みが目立ちます。ウチではATEM Mini Extreme ISOで短時間のISO収録まで試して一応T7 Touchで録れてた気がして、T5とT7 Touchをローテしてますが、そういえば録画中に停止ボタンをおしてもランプが消えず、結局電源ブチ抜いて録画をロストしてことが何回あって、あれT7のことだったかなぁという感じ。

BMD社がT7についてなんらかアップデートを出してくれない限り、終息モデルのT5が争奪戦になっていきそう。

他社製品もリストにあるんですが日本であまり馴染みのないメーカーやモデルだったり。あとSAMSUNG T5/T7はSmallRigのクランプが色々あっていいんですよね。2245を使ってマウントしています。

下部の三脚穴にSmallRigのクランプでSSDを固定した例

試しにMacBook ProのHDMI出力をつなぎ、1080/30pのProRes Proxyで2時間ほど録画してみましたが、R170MB/s、W90MB/sのSanDisk Extreme Pro(256GB)でも止まること無く録画できました。ファイルサイズは50GBほど。デカいはデカいですが、どのみちこのまま納品することはほぼなく、簡単なカット編集や顔ボカシ入れ、音声ノイズ除去など加工してトランスコードしてから渡すことがほとんどなので個人的にはストレージに入りすれば良し。むしろPremiere Proに食わせた時の動作の軽さに驚きました。動画編集性能が売りのM1 Max MacBook Proを買ったものの、いまいち快適に編集できずにフラストレーションでしたが、Pro Resだとサクサクです。H.264だと1ファイルのシークくらいなら問題ないですが、複数の動画をPinP合成したり早回し効果を入れたりすると途端に重くなりがち。まだ4Kでは試してないですがFHD 2ストリームで10倍速のシークエンスを作ってみた限りではシークもサクサクでした。これはもうH.264/5ソース運用には戻れないかも…もうこっちがメイン?

ストレージで悩ましい点としては、SDカード/SSDのファイルシステムにexFATとHFS+が選べる点。当然Mac/Windows混在運用ではexFATがいいと思ってたんですが、ジャーナリングシステムのあるHFS+だと万一ディスク障害が出た時に復旧可能性が高まるっぽいんですよね。悩ましいですがやはりWindowsで扱えないのは困るのでexFATかな…

■キャリングケース探し

大きな液晶画面がついた機器なので運搬時はしっかりと保護できるものを物色しました。とはいえ、さらに大きな機材ケースに入れていくのであまり容積が増してしまうのもなんなので、ハードケースは除外。本機は19cm x 13cm 4cm程度なのでヨサゲに思って買ってみたものがこちらの2つ。

かなりいい感じにACアダプタ、SSD、HDMIケーブルまで収まったんですが、SmallRigのSSDクランプつけたままでは閉じられませんでした。SmallRigつけない人にはかなりオススメできます。下側は仕切りを好きな位置に移動できるのでピッタリの位置で固定できます。上蓋は厚みがあるのでACアダプタなどをメッシュ側に入れれば問題なく閉じられます。

通常はHDMIケーブルは色々な長さを別で用意していく感じなので、かわりに取り外したクランプと六角レンチを入れておくのもアリですね。

ちなみにSmallRig製品全般で使う太さの六角レンチを網羅したこちらが便利です。

もうひとつはこちら。

ポイントは上下二段構造になっている点。

下段に本体がギリギリ収納。またもSmallRigクランプが微妙ですが、ソフトケースなので多少変形しつつもファスナーは閉じられました。空きの部分にHDMIケーブルをいれてクッション代わりに。
上段に付属品

で、上段側にACアダプタ、SSD、USBケーブルを。これもかなり微妙ですが一応ファスナーは閉まります。上段のマチ(厚み)が思ったほどなく、ACアダプタはちょっとこんもりしちゃう感じ。

2022.7.1追記:最終的にこれに落ち着きそうです。ACアダプタやミニ三脚、ケーブル類まできっちり収まる感じ。ソフトケースなので保護力はさほどではないですが、大型ハードケースに入れるバッグインバッグとしてはピッタリなサイズ感でした。フタが半透明なのもいいかと思いましたが、取り外し式のポケット付きボードが上に収まるのでVideoAssistは見えない感じです(見えるようにVideoAssistを上にすると、さすがに保護力が不安)。

■まとめ

一般的なユーザテストやインタビューには明らかにオーバースペックでかなり趣味が入った選択をしてしまいました。しかし、

  • 出張実査に持っていける小型、高信頼性録画デバイス
  • タッチ(ピンチ、スワイプ)で任意箇所のズームできピントなどの確認が手早くできる
  • 後編集が快適なProResで録画可能
  • いざとなれば4Kで撮ったりバッテリー駆動で使えたり汎用性が高い

という観点で満足度は高いです。頑張って元取ってこうと思います。

Web会議サービスより高画質にオンラインインタビュー収録ができるRiverside.fm

2021年に刊行した「ユーザーインタビューのやさしい教科書」ではYoutubeでインタビューの実例をみられるチャンネルを公開しています。

ユーザーインタビューのやさしい教科書

ユーザーインタビューのやさしい教科書

奥泉 直子, 山崎 真湖人, 三澤 直加, 古田 一義, 伊藤 英明
2,465円(12/22 09:28時点)
発売日: 2021/09/24
Amazonの情報を掲載しています

だいたい月一本ペースで更新していますので是非チャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて、著者陣で定期的に集まって収録もするわけですが、時節柄、またそれぞれが忙しく夜の集まりになる都合などもあり、オンライン収録が多いです。最初のころはZoomやTeamsで集まり、OBS Studioで録画をしていました。特にTeamsはNDIという規格を使って1人1人の映像ストリームを取り出すことができるので、あとでビデオ編集時にレイアウトを自由に変えられて重宝します。Zoomはサービス側で勝手に並びやサイズが決められてしまい、特に画面共有した時に使い勝手が悪かったです。

TeamsとNDIを使った方法はこちらに詳しく書いています。

■参加者のネットワーク帯域に依存せず高画質/音質収録ができるRiverside.fm

ということでZoomよりはTeamsの方がインタビューや対談、パネルディスカッションを収録するには都合がよかったんですがいくつか難点もありました。

  • 参加者のネットワーク送信(上り)帯域に応じて送出画質が自動調整されてしまう
  • Teamsのテナント管理者権限でNDIを有効化する必要がある
  • 音声が独立ストリームで取り出せない
  • OBS Studioでの録画も含め設定がややこしい

1つ目の画質や解像度が変わってしまうことは、リアルタイムの会議を円滑にする上では非常に重要ですが、収録して編集素材として使うには困りものです。解像度も頻繁に変化してしまうので編集素材としても扱いづらい。

会社のTeamsだとNDIの利用許可設定をしてもらうのも一苦労だったりするでしょう。

また何故か音声は独立では取り出せず、誰か1人の音が小さいなんて時に後で編集ができません。

そんな不満点をまるっと解決できるクラウドサービスを発見しました。それがRiverside.fmです。

(上記リンクからアフェリエイト収入を得る場合があります)

URLで招待してブラウザ(スマホではアプリ)から参加できるWeb会議ができるサービスです。もちろん画面共有やチャットなど一般的な機能は備えています。大きな特長として、ホストが録画ボタンを押すと各自のPC上で各自の映像と音声が録画され、終了後にアップロードされる、という点があります。リアルタイムのカメラ映像、マイク音声はZoomやTeamsと同じくネットワーク帯域に応じて品質が落とされますが、同時に綺麗な録画が残るという点がポイントです。そしてこれらは自動的に行われるので、ホスト以外は普通のZoomやTeamsを利用するのと変わりません。ただ会議終了後にアップロードが終わったと出るまではブラウザを閉じずにネットにつないでおいてね、と伝えるだけです。ホスト/ビデオ編集者は後から個別の高品質ファイルをダウンロードしてビデオ編集ソフトに素材としてつっこめば良いということになります。個別のストリームなので、後で「この人だけカメラから距離あって顔が小さいので拡大しとこう」とか「この人は声が小さいから少しゲイン上げよう」みたいなことが自在にできます。画面共有も独立した動画ファイルとして残りますし、音声だけのファイルをダウンロードすることもできます。

UTやインタビューの記録でそこまで手間暇をかけることはあまりないですが、きちんとした動画コンテンツを作るような場合では涙が出るほど有り難いです。

無料サービスではありませんが、価格に見合う価値はあると思います。

・細かい仕様と使用感

ということで最近の「ユーザーインタビューのやさしい教科書」動画の収録は専らこれを活用しています。使ってみて気付いた点とコメントをまとめておきます。

録画される解像度は最大で4Kまで指定可能。上限を指定する形です。例えば4K設定にしてあったとしても参加者のWebカメラが720pであれば720pで録画されます。無駄に高画質にすると参加者のPCやネットワークの負荷が大きくなるので注意が必要です。実際参加者の中に上りのネットワーク帯域が細い人がいて、その人だけ終了後のアップロードが延々終わらない、ということがままあります。普通に光回線だとリアルタイムでアップロードも進んでいるので、会議を終了した時点で95%くらいはアップできていることが多く、見ている間に完了してしまいます。結局のところリアルタイムであれ事後であれ参加者側から高画質な動画をアップロードすることには変わりないので、事前に相手のネットワーク環境や通信量制限の有無などを確認し、了承を得ることが重要でしょう。

音声も48kHzが指定できるなど音楽用途などにも使えそうです。

β実装として録画中にマーカーボタンでチャプターを打つことができます。ただ現状でこれの取り出し方がよくわからず。そのうちサポートに質問投げてみようと思います。

Web会議サービスとしてはさすがにZoomやTeams、Meetなどに比べるとやや劣ります。例えばバーチャル背景とかホワイトボードなどは現時点ではないので注意が必要です。音声ノイズキャンセルはあるようです。使い比べてないので品質は不明ですが、最近はブラウザのAPIが備えてるのを有効化してるだけという可能性も。

URLは繰り返し使えるのが良いです。ダッシュボードで「Studio」という単位を作り、その単位でURLが発行されます。例えば「やさしい教科書」というStudioを用意すれば毎回同じURLで参加者はアクセスすることができます。録画ボタンを押す毎にStudioの下にイベント単位が増えていくイメージ。もちろん後で名前をつけて区別することができます。今までは毎回誰かがZoom会議を作成してURLを通知してもらってましたが、その手間は不要になりました。

あとChrome/Edgeで使う様指定があります。参加者にSafariやFireFoxしか使わん!って人がいるとちょっとお手間とってセッティングしてもらう必要がありますね。WindowsならEdgeが最初から入っているから良いでしょうけど。

・不具合っぽい点

Web会議中の表示は問題ないのですが、裏側でファイル名やメッセージなどで参加者名が「_______」のようになってしまいどれが誰のファイルやねん!となりがち。アップロードを終えずにブラウザ閉じちゃった人がいるよ、というメールも「Your guest ____ left the studio before the entire recording got uploaded. (97%)」などとなり、誰なのか調べるには、ダッシュボードに入って100%になってる人をサムネイルで見分けるか全員ダウンロードして調べる必要があります(終了してない人はサムネイルも出ないので)。

ちなみに最終的にアップロードが達成されなかったりされたけどデータが壊れてた、という場合、リアルタイムでサーバーに送られていた画質の録画は取り出すことができます。Web会議中に見えていた低画質の映像は最悪でも使える、ということです。実際これで助けられました。

今のところ感じた不具合はその

  • 名前が化ける(2バイト文字?)
  • 1回だけアップロードされた動画ファイルが壊れていた
  • マーカーを打ったはいいが取り出し方がわからない

くらいです。欲を言えばUIが日本語になると良いですが(ボランティアでもいいからやらせてくれと)。

■まとめ

オンライン会議、セミナー、セッションを後で綺麗に編集してコンテンツ化したいと思った場合の、個別ストリーム録画を簡単に行うことができ、遅延アップロードをすることで画質/音質も担保できるという、ツボる人にはツボりまくるソリューションでした。

個人的にはサブスクよりもイベント単位の単発レンタルの方が有り難いですが、当面はお世話になると思うので何ヶ月かは契約しておくことになると思います。

ユーザビリティが大幅向上。ワイヤレスマイクDJI Micを実査投入してみました

本ブログではUT/インタビューの音声収録に繰り返しRODE WirelessGoシリーズを推してきました。

終いには3Dプリンターでオリジナルアクセサリーまで作ってみたり。

とりわけマイク(送信機)が2台ペアになったWireless GO II(以下WiGO2)は2人収録が多いUT/インタビューには最適で複数のクライアントさんにもオススメして買っていただいたりしました。

が、しかし時が経てば優れた競合が登場するもの。ドローンやジンバルで有名なDJIからDJI Micが確か2021年末くらいに発表。そこからかなりかかりましたがようやく正式に一般販売が始まったので買ってみました。60分5セッションのUTで早速使ってみたのでレビューしてみたいと思います。

■WirelessGO IIとできることの違いは?

基本的にできることは同じです。

  • 2台の小型ワイヤレスマイク送信機で2名の音声を胸元などで高品質に収録できる
  • 受信機1台でPCにもアナログマイク入力付きの録画機器(ATEM MINI等)にも接続可能
  • 送信機内に録音ができ万一電波が途切れた時などのバックアップになる
  • 背面クリップで胸ポケットやシャツの襟、合わせなどに固定できる
  • マグネットプレートで衣服を挟むように固定もできる(Wireless GOでは別売り)
  • 屋外で風切り音を低減させるモフモフ付属

価格も誤差の範囲しか違わないので、比較レビューも多く迷われる方も多いかも知れません。

後発だけあってDJI Micの方がマイクはやや小型。でも厚みはちょっと増す。電池スペックでは劣る(7時間->5時間)。真正面から見た時の「なんかくっついてるな」感はDJI Micの方が抑えられますが、逆に衣類の下にマグネットではさんだりした時の膨らみ方は大きくなるかも知れません。

ただUT/インタビューではそこまでマイクを目立たなくする必然性はないのでこの辺りはさほど重視はしないかなという感じです。また公称で7時間持つというバッテリーも、どのみち終日で5セッションとかいうと心許ない感じなので、結局セッションの合間に充電は必要そう。だとすると後述する充電時の利便性が効いてくるかも知れません。

■マイクとしての音質差は?

まだ両方で同時に録り比べとかして厳密に比較してはないですが、Youtubeの比較動画とかを聞いてても、わずかにWiGO2の方が明るく自然な音に聞こえます。ただ裏を返せばDJI Micの方がより近い音源=声にフォーカスして周辺雑音をカットしていると評価することもできるかな、という程度の違い。DJI Micの音は聞き比べると若干籠もった印象はありますが、音声(人の声)の聞き取りやすさという面で不利になるものではないと思います。逆に楽器とか自然音とかを録るにはもしかするとWiGO2の方がいいとかはあるかも知れません(これも厳密に比べてはないので音の傾向からの想像です)。

少し気になったのはゲイン(録音される音の大きさ)がやや低いかも?という点。これは調整できるので今回は+8dBくらいにして使いました。その分、若干周辺ノイズも増幅されてしまったかなという感はありましたが、PC側でノイズ除去処理をリアルタイムでかけて消し去れるレベルなので実質問題には感じませんでした。WiGO2の時は(接続する機器にもよりますが)むしろゲインを落として音割れを心配することの方が多かった印象です。なおゲイン調整の細かさはDJI Micの方が高そうです。

■使い勝手で大きな進化

後発のDJI Micは使い勝手の面でWiGoIIの不満点が色々と解消されている感があり、ユーザビリティ面でこちらを選ぶ理由が多いかな感じました。以下ひとつずつ説明していきます。

受信機側がタッチパネル

めちゃ小っさいですがなんとタッチパネルUIで設定が色々変更できます。普段のモニター画面から上や下からスワイプして設定項目をスライドインするような感じ。WiGO2ではボタンの長押しでON/OFFしたりサイクリック動作でゲインが何段階かに変えられたりはしますが、ちょっと込み入った設定だとPCやスマホにつないで専用アプリから書き換える必要があったりします。DJI Micでは、やりやすいかっていったらそこまでではないものの、一応受信機(親機)上ですぐに変更できるのは現場では重宝すると思います。

例えば上述のゲイン調整もスライド操作でアナログバーを左右に動かすようにして調整できます。

録音制御が柔軟

送信機本体内への録音はWiGo2では手動操作できず、上記設定ツールから、電源が入った/親機とつながった、などをトリガにして自動録音開始にするかどうかを決めておく感じ。それはそれで録音忘れなどがなくて良いのですが、例えばセッション開始を待つ間に通常各種機材はスタンバイになってますから、その間もずっと録音されていることになります。無駄にメモリやバッテリーを消費する上、後で録音データから必要な部分を探す手間も嵩んでしまいます。

一方、DJI Micの場合、マイク送信機にあるRECボタンを押したり、受信機のタッチパネルからも開始/停止できます。参加者さんが入室して事前説明で録音録画の了承を得てから回し始めることもあると思いますが、そういうタイミングで録画と一緒にちょちょっと操作して録音開始、ということも可能です。ちなみに録音を開始すると一瞬ブブっと内蔵バイブが振動しますので、衣類につけている場合ちょっと驚かれるかも知れません。「じゃぁ録音開始しますね。一瞬マイクがブルっとします。」なんて断りながらやってました。

とはいえスタートし忘れたこともやっぱりあったので、どちらが良いかは運用次第なところも。

録音データの取り出しが劇的に楽

これが地味に有り難い。WiGO2では録音データの吸い出しにも専用PCアプリが必要でした。しかもコピーというよりエクスポートという感じで内部rawデータを吸い出し時にWAVやMP3に変換しながら保存しているのか結構時間がかかります。1時間分の録音データを書き出すのに数分は待たされる感じ。高音質設定で録音すると数時間しか保存できないので、セッションの合間に吸い出したくなるんですが、ちょっとやってられない感じ。逆に全て終わってから全セッションの録音データを吸い出して置こうかな?って思ったとしても、一括吸い出しができず、1件ずつ数分置きに操作して保存しなければなりません。これはPCアプリの更新で連続書き出しくらい対応してほしいと思います。

一方DJI Micの方は普通にUSBマスストレージクラスで外付けドライブのようにマウントされます。なのでエクスプローラー/Finderで普通にドラッグコピーするだけです。時間もさしてかかりません。細かい違いですが柔軟性が全く違いますね。

2022.6.19追記:今回また90分x12セッションのUTに使った時に気付いたんですが、この機種、仕様として録音データが30分毎に分割されるようです。

トランスミッターの録音済み音声フォーマットは、24ビットモノラルWAVです。長時間録音する場合、ファイルは30分ごとに自動分割されます。最大録音時間は約14時間です。ストレージがいっぱいになった場合は、新しく録音された音声が、古い録音済み音声ファイルを上書きします。

ユーザーマニュアル v1.0より引用

90分のセッションだと3,4個のファイルができるので管理がちょい面倒ですね。その辺りのエクスポート時にきちんとつなげてくれる(そもそも内部的に分割されてるかどうかも不明ですが)RODE Centralもちょっと見直しました。緊急時のバックアップ用としてならまだいいですが、常に高音質素材として録音データを活用しようとする場合はWiGO2の方がデータはとっちらかないというメリットがあるかも知れません。

録音データの削除にPCツールがいらない

UT/インタビューではマイク内録音はバックアップであることが多いので、特にメイン録画系でトラブルが起きない限りバックアップ録音はところてん式にどんどん消えてくにまかせる、ということであればさほど気にならないかも知れません。ただそれでいうともうひとつ問題点があって、録音データは機密情報、個人情報に当たる場合が多く慎重に扱う必要があります。終わったら確実に消去しておきたい。社内で共有とかしていて、つないでみたら他のプロジェクトの録音が残ってました、とかいったら事案になりかねません。

そんな時でもWiGO2ではPCソフトにつないがないと削除ができませんが、DJI Micでは受信機(親機)のタッチパネル操作で送信機(子機)をフォーマットすることができます(ファイルを個別に選んで削除とかはできない模様)。「使い終わったらこれこれの操作をしてフォーマットしてね」的な注意書きをつけておけば大丈夫という感じになります(ちゃんとみんな守ってくれれば…)。

充電が楽

WiGO2の充電は受信機と送信機x2がそれぞれUSB-C端子になります。短いケーブルが付属してますが充電器は別売り。マルチポートのUSB充電器を別途用意しケーブルをヒドラのように生やしておく必要があります。まぁ受信機はPCのUSBにつないで使う場合は常時給電されるので良いですが。

一方DJI Micはキャリングケースが充電器を兼ねています。最近のTWS(完全ワイヤレス)イヤホンみたいにケースに差しておくだけでケース内バッテリーまたはケースにつないだ充電器から各送受信機に充電がされます。使い終わったら所定のスロットにカチっと挿しておくだけなのでひと手間少ない感じ。ただ接続が底面のポゴピンなので深く奥まで差し込まないと充電が始まらないことがありました。必ず充電ランプの点灯を確認した方が良いでしょう。

UT/インタビューではあまり関係ないですが、充電ケース内にもバッテリーがあって充電できるのでフィールドワークとかで現場移動を伴うような時は移動中にも充電ができてヨサゲですね。

■首掛けの工夫

WiGO2の時も問題になりましたが、不特定多数の方が次々に来て、かつ隠蔽のが必要ないUTやユーザ調査系のインタビューの場合、簡単に付け外しができることの優先度が高いです。お相手の服装に胸ポケットや合わせがあれば良いのですが、そうとも限りませんし、襟元やマグネットを使った固定などで本体やマグネットが素肌に触れるのも今のご時世だとちょっと気になります。

ということでWiGO2では簡単な器具を3Dプリンターで作って首掛けストラップを作成していたのは冒頭のリンク通りです。しかしDJI Micはいつもの長さ調節機構のついたストラップの付属品で簡単にぶら下げか可能でした。

↓のストラップで簡単に首下げ可能
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そのまま充電スロットにも刺さります。

充電スロットにそのまま刺さるし、その気になればフタも閉まる

またカスタムパーツを作ろうと半ば楽しみにしてましたがちょっと肩透かし。でも普通に市販品で済むのは良いと思います。モデレータはストラップをつけたままワンタッチコネクターのところで外して充電してもいいかもですね。

■総評

まだ1回の実査、5セッションで使っただけですが、特に電波の途切れもなく音質も良好で、使い勝手は様々な面で向上しているため、これから買うならこっちでいいんじゃないかなーという気持ちが強くなっています。予備も必要なのでWiGO2も当面は手元に残しておくつもりですが、なにか問題が起きるまではDJI Micが一軍かなと思っています。

音切れという意味では一度抱け親機のタッチ操作で録音を始めたつもりが1つ隣のミュートボタンを押してしまい見学者から「参加者さんの声が遠いです〜」ってチャットメッセージもらっちゃいました。タッチパネルとはいえ画面が極小なのでこうしたミスには注意が必要そうです。時折レベルメーターに振れ幅には目を配りたいものです。

あとバッテリーは60分x3セッション終えたところで各送信機の残量が半分くらいでした。概ねカタログ値通りでしょうか。ただし録音してなかったので、録音しながらだとまた少し違うかも知れません。

感染対策でマスクしたり距離を置いたり換気したりでUT/インタビューの音声収録品質に課題を感じている方は是非検討いただければと思います。

ブラウザ上でチャプター打ちができる動画眼マーカーを公開しました

当サイトでは、UTやインタビューの動画ファイルにチャプター(インデックス)を打って見返しを効率化する動画眼というツールを公開しています。念願のMac版もリリースできてだいぶ仕上がってきてる気がしますが、あくまで動画ファイルに対してチャプターを打っていくツールなので、UTやインタビューの実査中にリアルタイムでチャプターを打つということはできません。以前は動画眼ノートという別アプリがあったのですが、こちらもずっとメンテしなおらず放置していました。

今回、動画眼ノートに準じるツールとして動画眼マーカーを新規に作って公開してみました。ブラウザ上で完結して動作するWebアプリにしたので、URLを開くだけですぐ使えます。ちょっと見学者にチャプター打ちだけお願いしよう、なんて時に使いやすくなったんじゃないかと。

つまり、なにかしらの録画ツールでUT/インタビューを記録する傍ら、こちらのツール上でタスクや話題の区切りや「今重要なこと言ったな!」って時にボタンをポチポチ押しといてもらって、あとで保存ファイルを録画した動画ファイルを動画眼3で開いてもらうと、すぐに頭出し可能な状態で見返せる、という感じです。

ちょっとカラーリングがファンシーなのは、CSSグリッドのデザイン作業をしやすくする為だったんですが、見慣れてしまったのと、ヘルプでも「ピンクのエリアの○○ボタンが〜」とか書いたらわかりやすいなとか思って一旦そのままで。

今んとこスマホで動くもののテキストファイル保存ができないので微妙。スマホでチャプター打てると便利だと思うので、追々方法を考えていきたいと思います。

また動画眼ノートの時代やDVD/HDDレコーダーやDVカメラといった録画デバイス前提だったので、タイミング合わせてタイムカウンターを同期させるしかなかったですが、令和時代はOBS StudioやATEM MINIといったソフト/機材を使うケースも多いと思うので、これらと自動同期できるような仕組みは優先的に取り組んでいきたい所存です(どちらもWeb APIがあるので技術的には可能はなず)。

ご意見、ご要望などあればお寄せいただければと思います。

OBS Studioでリアルタイム日時を挿入する

先日OBS Studioを使った録画案件でリアルタイムの日時(時計)を入れてほしいという要望がありました。

以前も紹介しましたが、Windowsの場合はSnazという時刻やストップウォッチをテキストデータとして保存しつづけるユーティリティを動かし、そのファイルをテキストソースで読み込む方法がありました。

しかし最近MacBook Proを使うようになり、改めてmacOSでも同様のツールがないか探してみたんですが見付からず。ちょっとしたスクリプトを書けば済みそうな気がしたんですが、ならばと思いついてWebページとしてJavaScript + CSSでデザインも込みで実装しOBSの「ブラウザ」ソースで読み込んでしまえと。

同様の考え方は既にあったみたいで、こちらなど表示形式もカスタマイズできていい感じです。

ただ今回要望のあった日付は入れられないし、CSSもOBS上に設定が必要だったので、URL一発で日時表示ができるページを作ってしまいました。

URLはこちら。>https://do-gugan.com/obs_clock/

デザインはこんな感じです。位置やサイズはOBS側で好きに変更可能。

OBSにブラウザソースを使って日時を挿入

OBS Studioの「ブラウザ」ソースをシーンに追加し、上記URLを指定するだけです。

「ブラウザ」ソース設定例

OBSの内蔵ブラウザでJavaScriptを実行するので、最初に読み込んで表示されてしまえばあとはインターネット通信はなくても良いはず。1秒毎にサーバーに読みに行ったりすることはありません。フォントはGoogleフォントで丸ゴシック系のものを使ってます。白い背景でも見えるよう黒縁をつけています。

現状カスタム性はまったくありませんが、要望があれば日付のON/OFFや曜日表示、カラー変更くらいはつけてもいいかも知れません。あとローカルにファイル一式をおいて読み込むこともできそうな気がするので、GitHubにでも公開しましょうかね。

取り急ぎ現状のものでよろしければご自由にお使いください。(サーバー不調などで予告なく停止していたらごめんなさい)

2022.10.27追記:カラーなどスタイルの上書き方法について

フォントカラーの変更についてコメントいただいたので、OBS側の設定でスタイルを変更する方法について補足します。

OBSのブラウザソースにはCSS(スタイルシート)を上書きすることができ、ここでフォント、色、サイズ、配置などを自由にカスタムできます。「ブラウザ」ソースのプロパティ欄を下にスクロールすると、「カスタムCSS」欄があるはずです。

ここに例えば写真のように「body {color:red;}」などと入れれば赤色になります。

「ブラウザ」ソースのプロパティ画面

CSSの書き方は割愛しますが、現状のソースは以下のようになっているので、必要な部分を上書きする形で記載いただければ良いと思います。

「body{〜}」が全体共通、日付だけの指定は「#date{〜}」、時刻は「#time{〜}」をいじれば個別に調整可能です。

カラーコードはこちらなどでお調べください。

2023.10.19追記:秒表示バージョン

だいぶ前に作ったんですがここに掲載してなかったようです。秒表示が必要な方はこちらをご利用ください。

https://do-gugan.com/obs_clock/with_sec.html

年度末のヘビーなモデレーター業にはコレが効く

皆様、年度末のUT/インタビューラッシュをいかがお過ごしでしょう。

企業の皆様におかれましては年度末の予算消化的駆け込み実査ラッシュにならぬよう、年間計画で実査ペースの平準化を御検討いただけますようよろしくお願いいたします。

ということで恒例の年度末実査祭りで連日喉が潤うヒマもありません。そんな中で最近気に入って使っているのがこちら。

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過去には、ヴィックスドロップやボイスケアのど飴がお気に入りでしたが、実のところ飴の当分でごまかしているだけでさほど効果はないぞ、と教えられ宗旨替えをしました。

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オッサン的には龍角散といえば小麦粉のように細かい散剤のイメージですが、最近の、というか少なくとも「龍角散ダイレクト」のスティックタイプ(2022年2月現在ピーチとミント。マンゴーはトローチタイプなのでご注意ください)については飲みやすい顆粒タイプ。水なしでさっと喉に流し込むと唾液の水分でじわっと溶けてく感じ。飴だと舐めきるのに時間がかかるのであと1分でセッション開始!などという時には口に入れられませんが、本品は飲んだ瞬間に溶けて消える感じなので2,3秒で投入可能です。十数秒喉のあたりに粉っぽさが感じられますが、そのまましゃべることも可能な程度でセッションが始まっても問題ないレベル。眠気の原因になる成分も未配合なのが有り難い。

終日しゃべりっぱなしで喉に負担を感じるモデレーター/インタビューワーの皆様、一度試してみてください。

3画面以上合成できるATEM MINI Extreme ISOを導入しました

最近のUT録画/配信案件ではゲーミングノートPCやM1Max MacBook Proなど高性能ノートPCとOBS Studioを使って実施することが多かったです。特にHDMI-UVC変換がいらないWebカメラのOBSBot TinyシリーズがUTにかなり便利だとわかってからは4Kモデルも追加購入し、かなりシンプルに構成が組めるようになっていました。

ただ今回100セッション超の大規模調査をお手伝いすることになり、さすがに1人で回せないので進行役と機材操作をワンオペでシフト制で回すことなったので、「なるべく決まったスイッチON/OFF」だけで録画管理を済ませられる環境を構築することを目指し久しぶりにATEM MINIシリーズを活用することにしました。ちなみに配信は無し。結果的にOBSもバックアップ系として構築することになりました。

■3カメ合成にはEXTREME/ISOが必要

今回収録する映像は、PC画面(参加者に見せているプロダクト)+2カメラ(表情+α)でした。ATEM MINI/Pro/ISOはHDMI入力が4系統ですが、実のところ一度に画面に配置して合成できるのは2画面までです。1つがベースとして全画面表示、もうひとつはPinPで合成となります。位置やサイズは自由に変えられるものの、ベース画面のどこかに重ねる感じ。これでは今回の要求を満たせません。

これができるのは8入力の上位機種ATEM MINI ExtremeまたはATEM MINI Extreme ISO(以下まとめてExtreme/ISO)が必要です。

発売から2月でちょうど1年。そろそろ新型出るんじゃないかとドキドキでしたが、まぁ同等の機能を4Kでやろうとしたら同じ価格、サイズでは1年では無理だろうと信じて、新型出るとしてもマイナーチェンジ程度じゃないかと思いイヤな時期だけど購入することに。まぁ最悪そこまで値落ちもしないんじゃないかなとか。

Extreme 無印とISOの違いは個別系統の同時録画ができるかどうかです。Extreme無印ではスイッチング操作やテロップを入れた最終結果(PGM出力)のみが録画されますが、ISOだと8入力が独立のMP4ファイルとして残り、後の編集素材、バックアップとして使えます。録画/ストップは完全に連動で、例えば一部を常時録画して取り忘れを防ぐ、みたいな使い方はできないので使う機会はあまりないかなと思ったんですが、各チャンネルの音声も独立でWAVで保存されることがわかったので、そっちは割とあとで「別のマイクの方が音声が聞きやすかった」「うっかり複数マイクをミキシングしたら時間差でエコーになってしまった」みたいなことで役に立つかもと思い、どうせこんだけ出すならということでISOを選びました。購入時はさほど差額がなかったのもあります。残念ながらチャンネル毎に録画するかしないかを選ぶことはできず、なにも繋がっていない系統も真っ黒映像のMP4ができちゃうみたいです。まぁ途中から信号がくるソースもあるかもなので、妥当なところかもですが、なんかストレージと帯域の無駄遣いな気がしますね。それなりに高速なUSB SSDが必要になる点も注意。最近の動作保証リストをみるとSAMSUNGではいつのまにかT7が消えてT5 1TBのみになってるようです。T7の方がスペックは上なんですが掲示板みてるとトラブルが多かったみたいですね。ウチはT5 512GBとT7 Touchしかなくて微妙ですが、ISO録画しない分には今のところどちらもきちんと使えています。

容量的に1TBはいらないですが一般にSSDは容量で書き込み速度がかわることがあるので、これから買うならメーカーが対応を謳っている1TBが無難かも知れません(まぁ以前リストにあったT7がひっそり消されてたりするようですが…)。

・スーパーソースで4画面合成

で、Extreme/ISOはただ端子数が増えただけでなく、内部的にスーパーソースという機能がついたことで4画面を好きにレイアウトすることが可能になりました。1つ1つのHDMI映像やメディアプレーヤーからの画像や動画が”ソース”という呼称なのに対し、スーパーソースはそれの1つ上というかメタな存在であり仮想的なソースでもあります。スーパーソース上に任意の4ボックスを配置し、それぞれに好きなソースを割り当てられます。その結果できた映像を1つのソースとして扱うことができます(スイッチャーの並びの中に「S/SRC」ボタンがあり出力としては同格)。試してないですが、スーパーソースで4画面合成したのをソースとしてPinPなどすれば理論上5画面以上もできるぽいです。

スーパーソース(S/SRC)はソースの1つとして再入力できる

ともあれ、8入力ってなかなかUTでは使い道ないからイラネって思いがちですが、合成が3画面以上というのは割と普通になるので、筐体がデカいのとお値段が張るのが難ですが、やはりExtreme/ISOは汎用性が大きいなと。

・設定の保持により専門外のスタッフで運用しやすくなった

初期のATEM MINIシリーズは本体に設定を保存することができず、毎回ATEM Software Controlから流し込んでやる想定でした。つまり機材に弱いスタッフにいきなり使わせるのはやや壁が高い感じでしたが、今は本体にきちんと設定を保存でき、電源を入れ直しても同じ状態(最後に保存した状態)で立ち上がるので、事前にセッテイングするスタッフがいれば、実査当日は電源オン、RECボタンポチ、で運用しやすくなりました。初代無印だけ保存ができないのか、今はアップデートで対応したのかわかりません。ExtremeでないProでも今は保存ができています。

また少し凝ったことをしようとするとATEM Software Control(PCソフト)から操作する必要があることが多いATEM MINIシリーズですが、Extreme/ISOではマクロボタンが6つ装備されました。マクロ機能は元々ATEM Software Controlからならたくさん作って呼び出すことができましたが、本体からダイレクトボタンで呼び出すことができるようになったのがポイントです。これで大抵のことは操作スタッフがPCソフトを使わずにできるようになります。欲を言えばもう少し複雑なスクリプトが組めるとなおよいのですが。例えばテロップでセッション番号を入れたい、なんて時に「P01」から「P10」というテロップをあらかじめ画像で作ったとして、それを「次へ」「前へ」的に切り替えるマクロは書けません。あくまで「指定した画像を表示する」マクロしか作れないので10個個別につくりボタンも10個必要になります。今回は100セッション超なのでセッション番号を入れるのは諦めましたw。

・ヘッドフォン(モニタ)端子がついた

これがめちゃめちゃ重宝します。マイクの音がどのように拾えて収録でできているか、いままでは

  • 録画してみて、SSDをPCに刺し替えて再生してみる
  • HDMIに外付けモニタ(イヤホン端子付き)をつける
  • USBでPCに入れてOBSなどで聞く(基本PC入力音声をリアルタイムでスピーカーに出すのに向いてない

などが必要でした。Extreme/ISOでは本体背面に直接ヘッドフォンを挿すことができます。

・USBとHDMI出力も2つずつに増えた!

これも地味に制限を取り払ってくれます。USBが1つだと、SSD録画とPCへの映像(UVC出力)のどちらか片方しか使えませんでした。Zoomで中継しながら録画したい、とかは普通にあるので、いままではUSBで録画して、HDMI出力からのPGM出力をHDMIキャプチャアダプタ経由でPCへ、とかやっていましたが、USBケーブルだけで済むようになりました。

しかもHDMIが2系統になったことで、M/Vによる全ソースモニターと、最終出力であるPGMを別々のモニターに映し出せるようになりました。ATEM自体には映像をモニタできるところはないのでM/Vで全体をウォッチするのは重要です(ストレージ残量、録画時間、配信ステータス、レベルメーターなどもM/Vをみておく必要があります)。M/Vのレイアウトも8入力になったことで細分化、カスタマイズ対応していますが、残念ながらレベルメーターなどのステータス画像は大きく表示することができなさそう。

■使ってみて。熱暴走はあるのか?

Extreme/ISOでもっともアイコニックな特徴はHDMI入力が8系統に増えたことですが、実はそこはあまり重要ではなく、上記のスーパーソース、ヘッドフォン端子、USBとHDMI出力が2系統ずつに増えた、といったところが実用性向上に寄与していると思います。正直、入力4のままでいいから中間サイズ/価格みたいなモデルが理想な気もします。Extreme/ISOは多機能なのは良いですが、フットプリントはボタン数がハンパないことになってて、機材弱い人に使ってもらうにはちょっとビビらせてしまうレベルです。カメラコントロール系のボタンもBlackmagic Designのカメラを使ってない環境では無駄でしかありません。でもまぁとにかく入手して設置してみると、あれもこれもできるぜ!な万能感はあります。

もうひとつ懸念だった熱暴走ですが、確かに背面からの排熱はかなりあります。3入力をスーパーソースで合成し、非ISOで録画している状態ですが、背面の排熱はかなりムラがあります。全然熱くないこともあれば温風が出ていることも。室温との相関もあまりないように思います。映像機器なのでファンノイズを嫌って静音ファンにしてあるのでしょうがいささか不安。購入していきなり実戦投入なので安全第一で先人の例に倣ってこちらのファンを同時購入してみました。

これをサイドの吸気口(排気口?)に密着させパーマセルテープで固定して使っています。このファン、吸い出し専用なので、ATEMのエアフローに逆らってる気がしなくもないですが、冷えてる実感はあります。電源を入れるとデフォルトで風量が7になり少し音が聞こえます。たいていはそこまで必要無くて2とか3くらいに落としてほぼ無音にしてても平気。

そもそも一度も熱暴走、熱停止を経験していないので本当に必要かもわかりませんが、処理内容、季節(室温)、設置環境の風通しなどにもよるでしょう。今の現場から回収してきたら自宅であれこで検証してみたいと思います。

■リモート操作に便利なiOSアプリ「MixEffect」

ATEMにしろOBSにしろ、世界中にユーザがいて、サードパーティの支援ソリューションが充実している点も見逃せません。今回、録画機材は衝立の陰に隠して設置し、進行役が自席からREC操作をリモートでできるようにするため、iPad/iPhoneアプリのMixEffectを活用しました。ネットワーク経由での操作になるので、ATEM Miniもネットワークにつなぐ必要があります。客先のゲストWi-Fiを利用する時は有線接続がなかったりするので、自前でルーター持ち込んだり、イーサネットメディアコンバーターが必要かも知れません。

進行役席にスマホスタンドをおいてiPhoneを写真のように置くことで、席を立たずに録画操作ができるようになりました。録画ステータスも目立って確認しやすいです(まぁそれでも見落として録画漏れしちゃいましたがw)。

MixEffectの録画操作画面

ミキサー画面では録音レベルメーターがリアルタイムで確認できるので、これを持ち歩いて実際の参加者席、モデレーター席で声を発しながらレベル調整ができます。写真はiPhone13ProMaxです。iPhone7/8/SE 2世代目など4.7インチ級の画面サイズだとちょっと手狭で上のRECステータスと下のRECボタンをスクロール無しで見渡すのは無理でした。Plus系やホームボタンがない機種の方が良いかも知れません。

MixEffectのミキサー画面

またスーパーソースの画面レイアウトも純正PCソフトのATEM Software Controlよりグラフィカルで使いやすい気がしました。詳しい技術スタッフ以外が操作する時はiPad + MixEffectが良いかも知れません。

6,000円くらいしますがそれだけの価値を感じます。Androidではここまでできるものは見つけられていません(ご存じでしたら是非教えてください!)。

■まとめ

発売当初から「いやいやさすがにこのサイズと値段は…」と敬遠していたATEM MINI Extreme ISOをついに買ってしまいました。ちょうど1年で新型が出ないことを祈るばかりです。

持ち出しにはかなり厳しいサイズなのは間違いないです。非ExtremeシリーズはNintendo Switchのケースがピッタリという話が知られていますが、Extreme/ISOについてはそういう話がなく今後運搬をどうしていくかも課題です。とりあえずこのカバーは注文しましたが納期が長いようです。

ともあれ機能的には大満足。自分のPCを持ち込んで、自分が目の前にいて操作/サポートできるならOBS Studioの方が自由度は高いですが、何日も設営しっぱなしになるような現場で自分のデータを満載したPCを置いていくのは憚られます(さすがに貸し出し専用の高性能PCは常備しづらい)。その点ATEM + SSDなら録画データ以外に現場に残ることはないので安心して残して帰れます。また自分がモデレーターやっていて、録画操作やスイッチング操作を見学者などと分担したいという時や、今回の案件のようにそもそもシフト制で自分がいない日もあるなんて時、あらかじめ設定を組んで保存しておけば電源ONでスタンバイになり、RECボタンで録画開始できるのはOBSよりずっと楽です。

仮にクライアントが自社で一式揃えたいという場合、たぶんまずはOBSを進めると思います。ATEMは複雑な設定に必要なATEM Software Controlがやや専門的でリサーチが本業の人に薦めるのはやや躊躇われます。とはいってもPCもOBSの要求仕様を満足する機種選定から、常にアップデート管理をして正常稼働することを保証するのはそれなりに大変ですし、PCを買うとなると情シスが絡んできて面倒という企業さんも多いのは確か。誰か1人根性いれて操作をマスターして、事前に設定を作れる人がいるのであれば、逆に組まれた設定で起動してRECポチするまではATEMの方が断然楽。そんな事情毎の最適解があるような気がします。

道具眼ではそうした機材コンサルや設定補助、操作方法の勉強会なども随時受け付けておりますので、是非ご相談ください。

OBS StudioをUTで初めて導入したい人向けの資料も公開してますが、そのうちATEM MINI版も作れるといいなと思います。

■次期モデルに期待すること

一番欲しいのはXLR入力かなぁ。同社のカメラみたいにミニXLR端子でいいので今のマイク入力の代わりにつけるか、なにかしら外部拡張ポートみたいなので対応してくれると有り難い。なんだったらUSB端子にオーディオI/Fでつくようにしてもいいかも。

USBといえばWebカメラ入力もできたら神。絶対買い換える。HDMI x4 USB(UVC) x2くらいで。究極全部USBでWebカメラとUSBマイクつなぎまくれるようなのも面白いかも。

あとMixEffectのようなツールがより手軽に使えるようWi-Fiは載せてほしい。そしてプレビュー画面もストリーミングで流せるとなお良し。

また実務ではあまり必要ないですが、個人的には4K対応は欲しいなと思います。仮に合成や録画、配信は4K非対応だとしてもHDMI入力は4K対応でクロップして使えたりするだけでも意味はあるかなと。でもまぁ仮にExtremeの機能をすべて4K対応しようとすると値段は当たり前ですが処理プロセッサの発熱がエラいことになるので冷却系統にも余裕をもたせる必要が出てきて巨大化したり、爆音化してしまいそうな気はします。今のサイズでやろうとしたら3-5年はかかりそう。

最適化という意味ではスーパーソースついて、USBとHDMI出力が2系統、ヘッドフォンを維持しつつHDMI入力は5系統止まりくらいのちょい小型モデルがあると嬉しいですね。

YoloBoxみたいなモニタ一体型ソリューションも考えてたりするんですかね。これはこれでいいかも。

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Raspberry Pi 4でUSBカメラ映像をHDMIに変換できるか実験(ATEM Miniと使いたい)

最近、ユーザテストの撮影用カメラとしてOBSBot Tinyが小さくて画角調整がしやすくて大変気に入っています。この製品はUSB接続のWebカメラなので、PCでOBS Studioなどで録画/配信するには適していますが、HDMI入力しかないATEM Miniシリーズには使えません。

そこで、Raspberry Pi 4(以下RP4)でUSBカメラとして認識してそのリアルタイムスルー画をHDMIというかX上でフルスクリーン表示すればATEM Miniシリーズでキャプチャできるんじゃないかという発想です。しかもRP4にはHDMI出力が2つあります。複数のUSBカメラを接続し、それぞれを個別のHDMI出力に出せれば、2カメを1台のRP4で変換できるんじゃないか、とか。

■RP4の設定

今RP4は半導体不足の煽りで品不足、価格高騰気味なようですが、幸い少し買ったものがありました。

確か1万強くらいだったと思うので、お急ぎでない方は価格が落ち着いてから買った方がよろしいかと思います。

ケースはこちら。RP4のボードより一回り大きくなりますが、内部変換ケーブルによってフルサイズのHDMIポートが2つになる点が魅力です。

+1,000円でUSB電源アダプタが付属するセットもあるようです。自分は当初適当なUSB充電器を使えばいいやと買わなかったんですが、実際にUSBにWebカメラを接続してキャプチャしたりすると電圧不足警告が表示されました。一般的な非PDの5V充電器だと2.0Aが上限なので、やはりRP4に売られている3.0Aのものを買った方が良さそうということで結局追加しました。少し割安なので最初からセットで買うのがオススメです。

また派生モデルとして下部にM2 SSD(USB接続)を追加したモデルもあるようです。録画なども考える場合はこちらも良さげです。

ウチはとりあえずこちらのSDカードでセットアップしました。

小さいmicroSDは「あれ、どこいった?」となりがちですが、そんな時この水色のカラーが目立つので扱い易いです。

■OSインストール

ちょうどRaspiOSの64bit版が正式扱いになったというニュースをみたので、これを機に新規セットアップしました。公式から2022-01-28-raspios-bullseye-arm64.zipを落としてきて解凍し、これまた公式ツールのRaspberry Pi Imagerを使ってSDカードに展開しました。

当初X-WindowのないLiteで軽量なシステムを構築できないかもトライしましたが、色々ツールを入れるのが大変で断念。キーボードやらネットワーク設定やらもひと手間です。結局あきらめてフルバージョン(X-Windowsあり)で仕切り直し。結果的に必要なツールは揃っており苦労なく表示できました。

■USBカメラの映像をウインドウに表示する

当たり前っちゃ当たり前ですが、OBSBot tinyの初代および4Kモデル双方とも差すだけで認識しました。

表示ツールはVLCなども試したんですが遅延が大きく、ffplayがマシという感じです。ただしフルHDにするとかなり遅延が出てATEM Miniへの入力ソースとしては致命的。1280×720ならほぼ気にならないですがフレームレートは10fpsに強制的に落とされてしまいました。

起動はターミナルからこんな感じ。

-iで入力デバイス。OBSBot Tiny初代と4Kを同時に挿した場合、それぞれ/dev/video0と/dev/video2にアサインされました。

-video_sizeは1280×720や1920×1080のように書いてもいいですし、hd720、hd1080のような略記も使えます。

-anは音声無効化、-fsは全画面表示です(ESCで終了)。

-framerate 30などとつけるとフレームレート指定ができますが、hd720でも強制的に10fpsに落とすよ、というウォーニングが出て上書きされてしまいます。

実験したところ、サイズをwvgaにすると950×540になり15fps、vgaなら640×360で30fpsになりました。30fpsあると明らかに残像感がなく綺麗ですが、遅延としては差は感じません。HD720/10fpsかWVGA/15fpsが実用上バランスが良いかなと思います。

正直もうちょっと行けるかと思ってたんですが微妙な結果でした。もしかするとハードウェアデコーダーを使うなど何かしら設定で改善する余地もあるかもですが、吊しの状態だとこれが限度でした。

追記:

オプションでMotionJPEGを明示したところ改善がありました。v4l2-ctlコマンドで対応コーデックを調べたところ、こんな結果が。

先に書いた上限値はYUYVモードのもののようで、MotionJPEGとH.264ならばMax 60fpsが目指せそうだったので追加検証してみた結果、

  • H.264は重く、MotionJPEGが良いカンジ
  • それでもフルHDは遅延発生

ということで、現状のベストコマンドは、

ということになりそうです。これで30fpsになりました。-framerate 60を明示的につけるとlow voltage警告が出て絵が止まったりシステムがフリーズしたので、こちらは別途3A電源が届いてから実験します。とりあえず720p/30fpsが出ればATEMなどでPinPするソースとしては充分かなと思います。

・デュアルディスプレイに同時表示は無理そう

残念ながら1台のRP4でHDMI 2系統にそれぞれWebカメラ映像を出すことは現状ダメぽいです。上記の限界があるので単純に負荷2倍だと厳しいというのもありそうですが、どもそもffplayが現状マルチストリームに対応してないようです。別々のターミナルから同時起動しても、最初のプロセスを閉じるまで2つ目が開かない感じです。

■まとめ

Raspberry Pi 4を使って、USB接続のWebカメラを簡単にHDMI出力デバイスとして扱うことができました。ただしせっかくHDMI出力が2系統あるRP4でも並行出力は無理そう。そろそろ日本でも出回るRaspberry Pi Zero 2で同等のことができるなら、Webカメラ1台ごとにこちらを装着するのも良いかも知れません。結局電源がいるという意味ではビデオカメラを使うのとかわらないですが、物理サイズが大きく違うので、運搬が楽になったり、撮影中の存在感を減らすことができる点はメリットかと思います。なにか3DプリンターでOBSBot Tinyと一緒にマウントできるケースを作ってみたいです。

今後の課題としては、

  • 電源オンでHDMIに全画面出力が出るところまで起動処理の自動化
  • SDカードを損耗を防ぐためにシステムのRead Only化
  • 長時間耐久テスト

などを行っていきたいと思います。

Wireless GOを首から下げるアダプタDIY

前記事でWireless GOの新クリップオプションも評価しましたが、やはり次々と使用者が入れ替わるユーザーテストや商品インタビューのような用途ではネックストラップが一番手早いなということで、ワイゴーを首から吊すための方法を検討しました。

なお、UT/インタビューが捗りまくりなRODE Wireless GO2のレビューはこちらをどうぞ。

■首から下げるための様々なトライアル

Wireless GOシリーズは背面に胸ポケットなどに留めるクリップがついています。ぶっちゃけ適当な紐をここにひっかけて首に下げれば済むっちゃ済む。

ただマイクをできるだけ口元近くに持ち上げる為、こういう長さ調節機能のあるストラップを使いたかったのです。

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このストラップは本来社員証やカードキーを首にぶら下げるためのもので、先端の様々なパーツが選択可能になっているのですが、Wireless GOに留めるにはどれもイマイチでした。

(余談ですがこのストラップの紐は材質がPETとなっています。ポリエステル記事にアレルギーがある人にはあまり適さないかも知れません。そういう対象者が現れ、かつ襟のない服だった時のために代替手段を用意しておくと良いでしょう。自分も綿とかの素材のものを探してみようと思います。)

まず簡単なのはマグネットでつける方法。Wireless GO用のオプションでMagClip GOというのがあります(上述のFlexClip Goにも含まれます)。

これはクリップ部分にとりつける金属プレートカバーが含まれており、取り付ければ下の写真の白いRODEロゴがある部分が磁石のくっつく鉄板になります。

ホームセンターで入手できるパーツで自作したアダプタ

ということで、それを利用したものが上の試作治具です。右はただの金属プレートにリングを通したもの。これ自体に磁石がつくので、MagClip Goの磁石の両面にこれとWireless Go本体をサンドしてくっつけます。MagClip Goの磁石はかなり強力なのでバチーンと固定できます。ただ金属プレート+金属リングがカチャカチャ鳴ってマイクが拾ってしまう可能性がありそうで微妙。

次に作ったのが左のネームプレートに磁石を両面テープ止めしたもの。

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MagClip Goが2,300円ほどすることを別にすればかなり安上がりです。見た目はアレですがプレートを黒く塗ればマシになるでしょう。逆に初代Wireless GOのホワイトモデルの人はこれもアリ?

既にMagClip GOをもっている自分だけならここで満足するのもアリでしたが、ちょいちょいクライアントにも推奨機材として紹介するので、MagClip GO抜きで実現できるソリューションを開発したいと思いました。また強力なマグネットは時としてトラブルの元にもなるので、マグネットフリーにしたかったという理由も。

■3Dプリンターで自作!

といことでお正月休みを使って久々にCADソフトを使って設計してみました。ワンオフなのでプラ板や金属板などをカットして作ればいっか、と思っていたんですが、よくよくWireless GOを眺めると背面のクリップ付け根部分は無駄に(?)複雑な造形をしていて、綺麗に沿わせるにはCAD使った方がいいかなと。

FreeCADを使用。昔使ったFusion360よりとっつきづらかった…

3Dプリンターはないので.STLデータをDMM.makeのプリントサービスにアップロードして出力注文。毎度素材選びには悩みまくりですが、とりあえずある程度弾性があって割れにくそうなもので、短納期、低価格だったMJFという素材をチョイスしてみました。ナイロンベースの粉末素材を薬剤で固めてつくるようで、積層痕も目立ちにくいようです。研磨オプションは素材の厚み的にギリギリだったのでつけずで、表面は結構ザラザラしています。お値段は1,890円でした。量産品ではないのでまぁこんなものでしょうか。最近は機材を自前で揃えたいクライアントの相談に乗ることも多いので、その時にWireless GOリシーズを選定させていただいたお客さんには1つサービスで進呈してもいいかなくらいの価格です。

3Dプリンターで自作したアダプタ(Do-guganロゴ刻印入り)

上述のストラップと組み合わせてWireless GOに取り付けてみた感じ。横幅を本体幅にあわせたのでいい感じ。ストラップに付属しているフックやループパーツは使用せず、直接固定されているプラリングを使ってぶら下げています。

WirelessGO2に装着した状態

ロゴの部分をクリップで挟み込んでいる感じなのでガタついたりもしない感じ。ただ長時間身につけていると多少はズレて傾いたりはするかも。穴のサイズをもう少しギリギリに狭めればいいんでしょうが、手元に3Dプリンターがなく、毎回上記コストと数日の時間がかかるので一旦はこのままかな…壊れたりなくしたりして再発注する際にはもう少し調整するかも知れません。

首下げイメージ

実際に首に下げてみた感じ、しっかり上面のマイクが常に上を向く感じで良いです。

実際に実務で使ってみて、

  • すぐに壊れてしまわないか
  • マイクに擦れ音などノイズが入らないか
  • 向きがズレていったりしないか

などを評価していく予定ですが、とりあえず欲しい!という方のために、DMM.makeのクリエーターズマーケットというサービスがあり、3Dプリンターの知識がない人でも簡単に素材や色を選んで注文できるようになっていますので、そちらでの出品しておきます。

またご自身で3Dプリントできる環境がある方向けに生STLデータはGitHubに公開しておきます。充分な検証はしていませんが、as isでお使いになりた方はどうぞ。

2023.2.7追記:自宅量産可能になったので頒布受付します

自宅に3Dプリンターを導入しまして、簡単に出力できるようになりました。ご希望の方には送料程度で頒布したいと思いますので、コメントなどでご連絡いただければと思います。

材質はいまのところPETGというペットボトルなどにも使う透明樹脂で出力しています。一般的なPLA素材よりは弾力があって割れにくいんじゃないかという判断です。ので半透明というか濁った白です。使える素材、色はその時のフィラメントの在庫にもよるのでご相談となります。

Wireless GOの追加クリップ3種 FLEXCLIP GO

昨年の実査でも大活躍だったRODEの小型ワイヤレスマイクシステムWireless GOシリーズに新しいクリップパーツが追加されました。既発売だったマグネット式おMagClip GOを含む3種類の固定具がセットになったFLEXGCLIP GOです。

MagClip GOは単品で販売されていたものとほぼ同じですが、マグネットプレート側の質感、デザインがやや変わっています。

CrossClipは前留めのシャツの合わせ目にはさんで留めるタイプのクリップで、右前でも左前でも対応できるように左右にクリップが対になってついています。

VampireClipは安全ピンが2本、牙のように生えていることに由来するネーミングなんでしょうが、ちょい微妙でした。

自分がそうでしたが写真ではどう使うかいまいちイメージがわかない方もいると思い、元旦早々動画撮ってみました。

一日に何人も参加者が入れ替わるユーザテストや製品調査系のインタビュー業務では、標準クリップも含めどれもイマイチで、結局ネックストラップで首からさげてもらうことが多いです。ただこれだとWireless GO本体がおじぎしてマイクが口を向かなくなってしまったり、ストラップを付け外しするさいにWireless GOが外れて床に落ちたりということが頻繁に起きるので、今年は自作のストラップ吊り下げ治具を作成したいと思っています。