TPUフィラメントを乾燥させてみたらスゴかった

3Dプリンターの素材であるフィラメントは様々ですが、ものによっては吸湿性が高く、開封後しばらく放置すると湿気を吸って造形品質が悪くなる場合があります。もっともメジャーなPLAはそこまででもないですが、PETGやABS、TPUといったものは気を使います。

通常真空密閉されて送られてくる新品を開封した後は、乾燥剤を入れた密閉容器に保管するなどする必要があり、ものによっては改めて使用直前に加熱乾燥することが推奨されているものも。

とはいえ自分は売り物を作ってるわけでもないので、「使えればいいや」くらいで最低限の除湿剤保管くらいしかしてきませんでした。先ごろ購入したX1-Carbonはヒートベッドの加熱機構を流用して乾漆乾燥するモードが備わってますが、実際やるとなると8時間とか12時間とか占有されてしまいプリントができなくなるので躊躇していいました。

そんな折、久しぶりにTPUフィラメントを使う機会があったので、実際どれくらい違いがあるもんかと試しに加熱乾燥をして比較してみました。

1月(4か月前)に購入して除湿剤(シリカゲル)を入れて密閉バッグに入れていたフィラメントです。X1cのプリセットでは12時間となっていましたが、途中で切り上げたので10時間くらいだったと思いいます。X1cの加熱チャンバー容積はフィラメントスプールに対してかなり大きいので、フィラメント購入時に入ってる段ボール箱をかぶせるか、配布されているカバーのモデルを自分でプリントして使うことが推奨されています。ただ後者は加熱に耐えるPCなどの素材が指定されており今回は段ボール箱で実施。

なにもしないで造形したのが写真右、乾燥後に再度造形したのが左です。

結構違いが出ましたね。ブルーの半透明フィラメントですが、未乾燥の方はところどころ白くなっている上、糸引きがちぎれたようなプツプツが無数にできて全体にザラザラしていますが、乾燥してからやった方はそれが完璧とはいわないまでもかなり改善されています。

やっぱり効果あるんだなぁと実感。

TPUの使用頻度はそこまで高くないですが、柔らかいものを作りたい時などは第一選択しになる素材です。PLAの次に使うPETGなどでもそこそこ効果があるみたいなので、やはり面倒でも仕上げにこだわるときは乾燥した方がよさそうですね。

ということで専用ドライヤーを購入

ということで、長時間X1cで乾燥させるのは不便だし、熱量的にも効率が悪いと思うので、専用のフィラメントドライヤーを購入することに。ものによっては一度に複数のフィラメントを乾燥できるものもありますが、設置場所の問題もあるのでとりあえず1スプール用から。

要件として考えたのは、

  • 静音性が高いこと
  • 温度x時間指定しなくてもフィラメント種別指定で済むタイプ

あたり。

候補として挙がったのがSANLUとCREALITY。

価格差は誤差程度。ちなみにアリエクでもそんなに値段がかわりませんでした。

操作系もほぼ同じ、というか同一パネル?

大きく違うのが設置方向。SANKUは横向きにスプールが入って、フタも横に開くので左右方向にスペースが必要。逆にCrealityは前後方向にスペースを食う感じ。想定した設置場所の都合でSANLUにしてみました。デザイン的にはCREALITYの方がかっこいいんですけどね。

しばらく使用しての所感

動作音はほぼ無音で気になりません。最大消費電力も48Wなので電球くらいでしょうか。設置位置の都合上、X1cと同じコンセントから電源をとっていますがタコ足で心配する必要はたぶんなさそう。そうした基本的な使い勝手は概ね満足しています。いくつか不満点としては、

電源アダプタのコネクタ形状がイマイチ

本製品は付属のAC-DCアダプタで電源供給をするわけですが、プラグは一般的な丸型コネクタで、背面側から垂直に突き出る格好になります。なので本体を壁ピタで設定できなかったり向きをかえる時に引っかかったりしがち。どうせ足で浮いてるんだから底面とかからもう少し上手く生やしてほしかったなと思います。

フタ形状がイマイチ

スプールの出し入れにフタをほぼ180度バカっと開く必要があるので、実質のフットプリントはやや大きめ。出し入れのたびに本体の位置や向きをかえています。

またフタをロックする機構がなく、フタの穴にフィラメントを通して造形を行うと、たまに穴をスムーズにフィラメントが通過できなくてフタがパカっと開いてしまったり、スプール毎持ち上がったりしてフィラメント供給が止まってプリンター側でエラーになったりします。

70℃までしか設定できない

最近ASAを使ってみてるんですが、Bambu Lab製の公式の推奨乾燥要件は80℃で8時間です。しかしSanlu S2は70℃までしか対応していません。実際フィラメントプリセットにASAがありません。PLAやPETG系なら55℃とか60℃なので問題ありませんが、ABS/ASA/PCなどを利用する場合はちょっとスペックが足りないので要注意です。

自分はアニール処理やシリカゲル乾燥用途も兼ねてこちらの低温コンベクションオーブンを購入しました。

これはこれで専用機ではないので温度によってはスプールが溶けてしまうなどのリスクがあるし、そもそもフィラメント乾燥を目的として開発されている商品ではないのでご参考まで(ご利用は自己責任で)。

まとめ

多湿な日本の夏において、やはりフィラメントの乾燥は気を配った方がいいんだなということが実感され、ドライヤーを購入しました。一回に数時間とか半日かかるので、さほどきっちり毎回やるのは難しいですが、誰かに納品するような品質重視の時にはしっかり活用していきたいと思います。

またABS/ASA/PCのような造形温度が高いフィラメントは乾燥に必要な温度も高く、この機種では不足も感じます。それらを多用する場合は他の機種を検討した方がいいかも知れません。

AMSで紙スプール使うにはもうビニールテープでいいんじゃないか?

3Dプリンターのフィラメントはスプールと呼ばれるリールに巻き付けて売られています。このスプールが元はプラ製だったのが最近一部メーカーは段ボール的な紙で提供しています。OVERTUREとかeSUNといった大手も基本紙のようです。

これがBambu Lab X1-Carbonのフィラメントフィーダーシステム、AMSと相性が悪いです。

  • 摩擦の関係でローラーが滑って正常に送り/戻しができない
  • 紙が削れて粉塵となりギアなどに噛んで故障の原因となる

などと言われています。(と思っていました)。

そこで、写真のようなフレーム部品(緑色)を3Dプリンター自身で造形してとりつけるのが一般的です。

しかしこれがやってみるとなかなか上手く機能しませんでした。むしろ滑ってしまって巻き取りができず出力が止まりまくりです。ツルツルのPLAがダメなんかとPETG素材で出してみたり、外周がギザギザしたデザインのものを使ってみたりするもどれもイマイチ。「もう二度と紙スプールのフィラメントなんか買うもんかウワーン」と思いながらなんとかあるだけ使い切ろうと頑張ってきました。

しかしようやく写真の2スプールとも残りあとわずかというところで、なかばキレつつフレーム無しで使ってみたところ、ウソみたいにばっちり回転してくれるじゃないですか。「紙だと滑ってダメ」というのは都市伝説か自分の記憶違いで、普通に使えます。冷静に考えてみれば見るからに樹脂より摩擦高いよねと。

しかし、「紙が削れた粉塵が機械に悪い」というリスクは以前と残るのでそのまま使うわけにもいかず。あらためて海外掲示板なども含めてググってみると「electrical tape巻いときゃOKよ」という記述が。絶縁用のビニールテープのことですよね。

確かに摩擦だけでいうとパーマセルテープみたいなのがヨサゲですがこれも結局紙なので削れてしまいそう。早速手近にあったビニールテープを巻いてみました。

もうね、いままで散々苦労した紙スプールのフィラメントが魔法のように正常に使えちゃいましたよ。今までの苦労はなんだったのかと。多色出力すると層毎に何度も引き戻しして、その度にエラーになってで、つきっきりで手動巻き取りしないとだったのがウソのよう。これまでの造形トラブルはほぼすべて社外フィラメント(というかスプール)に起因するもの(紙スプール、小径スプールなど)だったので、「今度は(高いけど)Bambu Lab純正フィラメントでやってくぜ。少なくとも主要素材・カラーは純正NFCチップ入りスプール付きを揃えて、フィラメントを入れかえて使うぜ」と心に誓ってましたが、紙スプールでもこんな簡単なハックで普通に使えるならフィラメントの質としては問題なくコスパも良いOVERTUREやeSUNを使っていってもいいかなーとか。

2024.7.26追記

夏になって室温が上がったら貼ったビニールテープがデロデロに剥がれてきました。粘着剤が緩くなってビニール素材の真っ直ぐに戻ろうとする力が勝ってしまったという感じ。うーむ、粘着力の強さ自慢のビニールテープとかあんのかしら?とPerplexityさんに聞いてみたところ、スコッチの電気絶縁用ビニールテープの「プレミアム」というのが出てきた。調べると、一般品が80℃に対しプレミアムは110℃までの耐熱性があるらしい

Super 33+、No.35、Super 88の三種類あって、最高使用温度は同じ。最低使用頻度に差があるけど今回の用途ではどうでもよし。ちなみに剥がれてしまったトラスコのは、

  • 厚み(mm):0.2
  • 粘着力:1.4N/10mm
  • 引張強度:25N/10mm
  • 使用温度範囲:-5~80℃

だそうなので、粘着力でいえばノーマルでも倍の2.8N/10mmある。逆にNo.35だと2.2N/10mmだから差は縮まる。うーん、耐熱温度と粘着力のどっちを重視するべきだろう?

あとはコスパかな?てことでAmazonの相場を調べると、

Super 33+高いなっ!さすがスペック上位。これをAMSのためだけに買うのはどうなのって気が。No.35、Super 88も数十円で買える普通のビニールテープと比べたら桁が違う。ただしトラスコの75円は10m。スコッチの3つは20m。それでも数倍の単価差かぁ。

こんなのも発見。

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粘着力高めの3.0N/10mmで使用温度も-10~100℃。幅がちょっと狭くて12mm(他は19mm)、長さは5m。メートル単価としてはNo.35やSuper88より割高ですがご家庭用の少量版パッケージといったところでしょうか。スプール用としてみた時に、幅が19mmだと広すぎてフィラメントを通す穴を塞いでしまうのが気になっていたので、むしろ12mmは良いのかも。お試しでこれを買ってみようかなー。もしかするとホームセンター店頭で買えば安いかも?買ったら追記します。

2024.7.26追記

上記のEL-12が届きました。なんとSuper 33+の表記が。表のスペックと多少差異がある気もしますが、テープ幅の関係?

EL-12 = Super 33+でした

とりあえず貼り直ししてみました。思ったとおり、12mmと幅が短い分、エッジに貼ってもフィラメント留めの穴を塞がなくていい感じです。その分、接着面は少ないわけなので剥がれやすさについてはなんともですかね。

トラスコのがあまり剥がれていないスプールについては、応急処置的に端っこをこんな形で止めてみました。

まぁ剥がれる時は全体に剥がれてくるので気休め程度ですが、Super 33+は単価が高いので、こういう末端処理で間に合うならそれに越したことはないかなと。

と感覚ですがやはり密閉空間であるAMSにセットしていたスプールほど剥がれがひどい印象です。乾燥剤が入ってる分多少は湿度が低く保たれているはずですが、動作時含め温度は上がりやすいんでしょうかね。その辺の違いも含めて継続ウォッチしつつ、剥がれてこないかなどレポートしたいと思います。

3Dプリンターフィラメントの真空バッグ保管を電動ポンプで効率化

3Dプリンターの素材となるフィラメントは湿度に弱く、長時間空気中に晒すと湿気を吸ってしまいプリント品質に影響(汚くなったり脆くなったり)が出ます。

プロい機材としてはフィラメントのリールごと加熱して湿気を散らすヒーターがありますし、普段はシリカゲルと一緒に防湿庫などに入れておく等の対策もあります。ただそれらはどうしてもスペース的に非効率だったり高くついたりするので、我が家ではこちらの真空バッグを使っていました。

これなら裸でリールを保管するのに比べてほぼ体積は増えないですし、コストも1袋辺り200円前後なのでコスパも良いです。

ただ難点は付属の手動ポンプでシュコシュコするのが大変ということ。かなり厳密に位置決めをした上でポンピングしないと全然空気を吸い出してくれません。いつも100回くらい無駄にポンピングをしながら位置を探り、そこからようやく吸い出しが始まるという感じで数分から10分近くかかっていました。面倒くさいのでつい使い終わったフィラメントを保管するのが億劫になり、最後に使ったものはプリンターにセットしたまま、ということになりがち。

そんなある日、3COINSのこちらの真空ポンプ機の記事を読みました。

https://www.palcloset.jp/display/article/detail/?acd=2304053co_001&b=3coins

食品用のポンプですが専用バッグの空気抜きの穴を見る限り同じような仕組みで流用が効きそう。しかも1,100円!ということで記事を読んだ翌日に速攻で3COINS店舗に買いにいったんですが、なんと近隣店舗含め長期欠品中有で次回入荷は2ヶ月先orz。

待ちきれないのでAmazonで類似品を探してこちらをゲット。

残念ながら価格は倍くらいしますが翌日にゲットできました。

使った感じ、ばっちり吸引することができました。あんなに苦労してシュコシュコしてたのがウソみたい。吸い出し口の上に置いてスイッチを押すだけ。手で押さえてる必要すらありません(ただフィラメントの方が圧倒的に重いので、吸い出し口の方が吸い寄せられて動くので、たまにポンプが倒れそうにはなります)。あの苦労はなんだったんだと。もっと早く知りたかった。3Dプリンター関連アイテムのショップはもっとこれを扱うべき!

充電はUSB microB。Type-Cでないのが惜しい。

また先端のノズルを付け替えることで空気入れにも使えます。

■ちょっとした不満を3Dプリンターで改善

少し不満もあります。先端が交換式になっており、吸引用のアタッチメントがこんな感じで細い支柱があってグラつくのです。受け側は空気が漏れないようゴムになってるのでなおさら。勝手に抜けるようなものではないですが、その辺に転がしておくにも少し扱いづらい。これのおかげで多少雑な角度で当ててもピッタリ吸える、というメリットもあるんでしょうが、手放しで上に置いて吸わせるだけならあまり利はありません。

商品写真ではこういう形状であることを意図的に隠してるんじゃないかとすら感じます。この点は3COINS製品のように吸引専用で割りきっている製品の方が面倒くささがないなという印象。

ということで、3Dプリンターのためのアイテムは3Dプリンターで改善を図ろうということで、簡単なアダプターを作ってみました。これで雑に扱っても折れるとか曲がる心配はなさそう。

アダプターを取り付けたところ。右が作成したアダプターの失敗作。

ちなみに、ちょうど買ったばかりのブラックのカーボン入りPETGを初試用。確かに普通のPETGやPLAより硬質な感じ。力のかかるパーツに使えそう。

これから買う人は(吸い出し専用が欲しいなら)3COINS製のように先端まで一体形状になってるものを選ぶとよいかも知れません。本製品の長所としては空気入れにも使えたり、汁物を真空にできるカップアタッチメントがついてくるところだと思います。

ついに3Dプリンター導入 Migda Magician X

ようやく3Dプリンターを導入しました。以前からDMM.makeでデータ入稿してプリントしたものを宅急便で送ってくれるサービスは活用していましたが、設置場所とか機種選定とかで悩み自宅には置けていませんでした。

最近でいうとレジンを使う光造形方式のものが精度感が高いぽいので気持ちが傾いていたんですが、居室で使うとかなり匂いが気になるということで躊躇していました。同居人の商売の在庫置きに使っている部屋に置いてもいいよとは言われてまましたが、それはそれで何度も行き来するのが大変そうだしなーとか。

そんな中、昨年11月のブラックフライデーセールでSK本舗さんでMingdaのMagician Xという機種が3万円台になっているのを発見。

定価8.8万円、通常4.7万円で売られている製品が4万切り。うーん、レビューも悪くないしこの値段なら最悪失敗してもいいかな?と特攻。入荷待ちで届いたのが2022年末ギリギリでしたが、年明けてようやく触ることができるようになりました。

Magician Xは所謂FFF方式、つまりフィラメントを溶かしてプロッタープリンタのように配置していく方式のもの。多くの人が「3Dプリンターってこういうヤツでしょ?」って思ってる方の方式です。このタイプは中華ブランドが乱立していて素人にはもはやどれを選んでいいかわからない状態です。またコストや輸送費削減のためか部品がバラバラのまま納品されて、自分で何時間もかけて組み立てる必要があったりすると聞きます。精度が勝負みたいな3DプリンターでDIY組立してチューニングして、とか初心者には不安要素でしかないですよね…

その辺り、本製品はだいぶ考慮されていて、ベースモジュールにガントリー部を突き立ててネジ数本、ケーブル数カ所を止めるだけ、というシンプルさ。かつオートレベリングという自動キャリブレーション機能も搭載してあるので、初心者泣かせな部分がだいぶ緩和されている印象。

■とりあえずテストプリント

製品には試供品のフィラメントや、テストデータの入ったSDカードが同梱されているため、とりあえず動作確認まではすぐにできるようになっています。初心者にはとりあえず達成感が得られやすい上、初期不良確認も確実にできて良い配慮だと思います。

操作はタッチパネル。さすがにネットワーク機能はなくて、SDカードやUSBフラッシュメモリにデータを入れて使います。USB-C端子もあってもしかするとUSBケーブルで制御できるのかも知れませんが、PCから離れた場所に設置したので未検証です。

とりあえず付属データ、付属フィラメントで一発で出力完了しました。謎のキャラクターだと思ってましたが、どうやら北京五輪のマスコットキャラクターのようです。所要時間は1時間35分となっています。音は無音ではないですが充分静か。隣の部屋が寝室ですが動いていても全く聞こえません。なんなら同室でも全然寝られると思います。強モードの空気清浄機や布団乾燥機の方がよっぽど気になります。ヘッドがスライドするウィーンという音はしますが耳障りな音質ではないです。

出力されたもののアップがこちら。FFF方式につきものの積層痕はありますが、自分の主目的であるDIYパーツ類であれば充分かなと思います。頭頂の方の角度が急というか水平に近い斜め部分はさすがに目立ちますね。フィギュアやアクセサリのような見映え重視のものならやはり光造形方式の方が良いのかも知れません。

■ソフト環境

3Dプリンターのデータ作成には別途ソフトが必要です。用途にもよりますが部品設計など厳格な寸法ベースのものを作るなら3D CADソフトを使います。メジャーなのはFusion 360でしょう。個人利用なら無料で使えます。ただ商用となると一気にお高くなるのが悩ましい。例えば年数万円とかかかります。うーん、ちょっとしたパーツをDMMやフリマサイトで売るとかも商用なんですかね。まとまった収入につながらないとちょっと使いづらいかも知れません。そのデータ作る時だけ月額プランを申し込むとかですかね。

完全に無料でやるならBlenderもいいかも知れません。どちらもかじった程度ですが、フィギュアのような自由形状のものはBlenderの方が詰めやすい印象。なにか既存の製品を計測してそれにピッタリフィットする治具を作るならFusion 360かなという感じ。ここら辺、また使い比べて使い分けを考えていきたいと思います。

また3D出力段階でスライサーというジャンルのソフトも必要になります。Fusion 360やBlenderで作ったファイルを.stl形式などで書き出し、このスライサーに読み込んで3Dプリンターの制御情報に変換してSDカードやUSBフラッシュメモリに書き込むという手順になります。スライサーは文字通り3Dデータを層毎の描画情報にスライスするだけでなく、ラフトやブリム、スカートといったプラットフォームに食いつきを良くするための土台部分を自動生成したり、形状的に倒れたり折れたりしそうな箇所にサポートという支持部分を追加したりといった役割があります。色々な製品があるようですがMagician X、というかSK本舗さん添付の資料で推されていたUltiMaker Curaというものを使ってみています(無料)。同社の3Dプリンター向けのスライサーソフトのようですが、プリンターやフィラメントの定義プロファイルを追加することで他社製品でも使えてしまうようです。Magician Xもプリセットとして登録済みでした。フィラメント毎にスピードや送り出し量、温度設定などを細かく指定できるので便利そうです。

■定着ミスで四苦八苦

手習い的にいくつかの出力をしてたんですが、少し大きめの(10x10x20cmくらい)のモデルを出力していたところ、なぜか途中でフリーズして進まなくなってしまいました。仕方なく電源を落としたんですが、問題は出力途中だった失敗品の取り外し。ベタ面の底部分がガッチリくっついて剥がれず。ヘラをつっこんだりしてかなり強引にベリっとはがしました。後で調べるとMagician Xのようなガラスのプラットフォームでは充分に冷ませばかなり簡単に剥がせるらしく、失敗したなと反省。そのせいかのかどうか定かではないですが、その後の出力がことごとく失敗するようになりました。具体的には素材がプラットフォームに貼り付かずにクシャクシャになってしまう現象です。本機のプラットフォーム(出力物が載る台の部分)は「カーボランダム・ガラスプラットフォーム」となっており、たぶんカーボン的なブツブツが表面についていて滑り止めのような効果をもっているのですが、もしかしてそれごとベリっと剥がしてしまったのかと…?気持ち指触りがそこだけ滑らかになってるような?また写真にもある通り、印刷の最初に左端に1本線を描くのですが、ここはわりとしっかり定着します。

こういう時はスティック糊をプラットフォームに塗ると良いらしいのですが、後片付けも面倒になったり底が完全フラットにならなくなったりと弊害もあるので、まずは他の方法で改善できないかとフィラメント(エクストルーダー)の温度や出力速度をCuraで調整してみても変わらず。マスキングテープも貼ってみましたがダメ(これはちょっと質感がツルツルだったせいかも)。

もうガラスプラットフォームを交換するしかないかー(泣)と思いながらSK本舗さんの関連アイテムを見て回るとガラスプラットフォームの交換品は単体では売って無さそう。かわりにPEIシートという便利グッズ的なオプション品があったので買ってみました。これは適度な凸凹がついたプラットフォーム用の樹脂シートで、出力後にプラットフォームから外して、グイっと曲げることでプリント物が剥がしやすくなるというものです。Magician X専用のものはガラスのかわりにマグネットシートを両面テープで貼り付ける仕組みでした。出力時はそのマグネットシートにPEIシートをペタっと固定します。指がかかる切り欠きがついているので、そこから簡単にペリっと剥がすことができます。裏表使えて1,800円ほど。利便性も考えると消耗パーツとしてアリかなと思います。

だがしかし、これを使っても未定着問題は改善せず。結果として効いた(と思う)のはプラットフォームの温度でした。CURAでは、エクストルーダー温度(1層目とそれ以降)、プラットフォーム(1層目とそれ以降)を指定できます。スライサーは1層目をしっかり定着させるために独立で温度や速度、送り出し量を設定できるのですが、プラットフォーム側の1層目温度を5℃〜10℃あげてやるとすんなり定着してくれました(PLA素材のデフォルトが60℃だったのを70℃にする等)。テスト出力も含めた数回はこれをせずとも普通に出力できてたんですがなんだったんでしょうね。室温?

カーボンドットが剥がれているかも知れないガラスでもプラットフォーム温度を上げれば大丈夫だった可能性がありますが、すでにPEIシートのベースマグネットシートを両面テープで固定しまったので、もはやガラスに戻すことが出来ず検証不可能です。まぁPEIシート便利だから良し、と思っておくことにします。

ちなみに、ブリムとかラフトといった土台追加ですが、今回はそもそも1層目がまともに定着してくれてなかったのであってもなくても同じという感じでした。ただそれはそれとして、層を積み上げていった後でボロッととれてしまわないようにするのには有効というか必須かなという感じ。ブリムは造形物自体は1層目からスタートしつつ、周りに補助材を付加。ラフトはベースの土台を何層か敷いた上に造形物を作り始めるという違いと理解しています。当然ラフトの方が時間もフィラメントもそれだけ消費しますが、完成品を剥がした時の面の綺麗さは一歩秀でるなという印象。これも形状というか1層目の面積次第なところだと思うので、引き続き試行錯誤や情報収集をして使い分けを極めていきたいと思います。

■フィラメントの湿気対策

3Dプリンターの素材であるフィラメントは湿気に弱いらしく、真空パックで送られて来ますし、開封後はきちんと防湿しないと綺麗に造形できなくなるようで、保管体制が悩ましいです。巷ではDAISOの樹脂製の米びつケースを流用して、中に入れたまま3Dプリンターに送出できるようにするDIYなども流行っているようです。とりあえず自分も改造まではしないですが、同じケースを買って来て、中にシリカゲルと湿度計を入れて管理してみようと思います。

なんでも除湿シリカゲル 1kg

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電気的に加熱して除湿する保管庫も売られていますが、価格、設置場所的にとてもフィラメントの数だけ揃える気にはなりません。

今後、どれくらいの素材、色のバリエーションを揃えて、どれくらいのペースで消費するかを見据えつつ検討したいと思います。カメラレンズ用の防湿庫をサイズアップしてまとめて放り込んでおくのも意外といいかなとか。

■まとめ

憧れの3Dプリンターを導入し、日常のちょっとしたDIYパーツが高品質に作成できるようになりました。

家庭内あるいは業務機材周りのちょっとした不便や不整合を埋めるパーツを色々作っていけたらなと思います。

あとはベースとなるアイテムをスキャンできる3Dスキャナーがもうちょっと手頃(数万円台)に落ちてくると、色々捗りそうな予感。

精度は低いながらもLiDAR対応iPhone/iPad Proでもそれらしいことはできるっぽいので、それも追々試してみたいなと思います。