3Dプリント品(ASA-CF)にレーザー彫刻を施してユーザビリティを向上させた

ウチの3Dプリント品ショップでたぶん一番買われているのがこちらのクラウン/ハリアー用のスイッチサイズ変換アダプタです。

こちらで注文できます

TOYOTA新型クラウン/80ハリアー向けスペアホール→タイプDスイッチアダプター

TOYOTA新型クラウン/80ハリアー向けスペアホール→タイプDスイッチアダプター

参考価格: ¥1,800(別途消費税、送料がかかります)

在庫: あり

それがなにかはリンク先を読んでいただくとして、これに念願のレーザー刻印を入れましたという話になります。

本品は特に説明書などもつけていないので、最低限、

  • 向きがわかるようにサイドに▲マークをモールド
  • ゴミ分別や接着剤の適不適などの判断用n材質名
  • 問い合わせがあった時のために世代(バージョン)

を刻印してきました。特にサイズなどの微調整をよくするアイテムなので、バージョン管理はしっかりしておきたい。で、今までは3Dモデル自体に文字を刻印してたんですが、あまり解像度があげられません。

造形の向きやレイヤー高を工夫すればマシになできますが、それらはプロダクトの性能のために最適化しているので、刻印のためだけにいじりたくはないし、AMSでフィラメント自体の色を切り替えて文字やイラストを描く方法は造形時間がとんでもなく伸びるしフィラメントの無駄が出るしで、いずれにせよコスパやタイパが悪化します。

またいつか購入した当人以外の誰かがこれを目にした時に「なんじゃこりゃ?」ってなるかも知れないので、出自がわかるようURL入りのQRコードで詳細を調べられるようにしておきたいというのもありました。例えば今後これを装着した中古車が売買される機会も触れるでしょうし。しかしこのサイズでQRコードを3Dプリントするのは現実的ではありません。なので、テプラの強粘着テープを使って貼るようにしてみたんですが、ASA-CF(炭素繊維入りASA)だと表面がザラっとしてたり粉っぽかったりであっという間に剥がれてしまいました。

で、前々から関心のあったレーザー彫刻機(加工機)を使えば、こういうのにかなり小さい文字高でも刻めるんだろうなぁというところで、「3Dプリント品にロゴやユーザビリティ向上のための表示、サポート情報のQRコードなど入れる」というのがレーザー彫刻機を導入するモチベーションの1つとなりました。

当初、黒材料にレーザー刻印(焼いて焦がす)って文字も黒くなるから視認性低いんじゃ?とも思ったんですが、ChatGPTさんとかに聞いて「赤外線レーザーを使って白化とか発泡化を起こすから白くなる」ということがわかり、買うならIR機だなとも決めたりしました。実際に導入してみると、むしろ白を黒く焼くほうが大変ということなんかもわかってきましたが、これはまた別途検証して記事にします。

やってみたらスゴかった

で、まずはこの売れ筋かつ向きやサポートURLなどの情報が重要な「TOYOTA新型クラウン/80ハリアー向けスペアホール→タイプDスイッチアダプター」から着手。素材はASA-CFです。炭素繊維入りで、表面が少しザラっとしているというか凹凸があります。

写真はPLAですが、こんな感じのマトリクスをテストプレートに刻印して、どのくらいのパワーと速度で、どれくらいの色が付くかを調べます。右の4列がIRレーザー、左の6列がブルーレーザーです。

写真のPLA PROだとパワー60%、速度300mm/sが一番綺麗でしたが、ASA-CFだと80%、400mm/sが一番はっきり色が出る。60℃で溶けるPLAと違ってASA-CFは120℃とかなので強めにしないとってことでしょう。ただそれでもいまひとつハッキリ出ない。特にザラザラの凹み部分に色がついていない感じ。100%にしてもかわらず。色々試した結果、まぁまぁ強めの出力80%にしつつ、あまり焦げないようスピードを速めの1,500mm/sにする、これを3回繰り返す(3パス)というのがいい感じでした。

そして出来上がったのがこちら。

色は白というより黄色というかゴールドっぽい色味になります。むしろ映える。多少「Ver.6」の文字の左端が擦れる傾向がりますがまぁ一旦OKとしました。

小さなフォントもクッキリ出るので、情報量も増やせました。▲だけだとわかりづらかったので「UP」の文字も入れ、さらには前後わかるよう「▲DRIVER」という文字も追加(FRONTだと車両前方か運転席視点での前方(=車両後方)か多義的なので)。また「V5」といれていたバージョン番号もわかりやすく「Ver.6」にできました。SFメカのマーキングみたいでカッコ良いので写真も気合いいれて撮ってしましました。

さすがに残りのスペースにQRコードを入れるとかなり小さくてザラザラでドットがつぶれてしまうのと見た目にもゴチャつくので、そちらは反対側に入れることにしました。

いちど組み付けてしまえば全く目にしない場所ではあるのですが、施工時の作業性が上がったり、部品の由来を辿りたい人が出た時のガイドになればと思います。

■まとめ

大枚はたいて導入したレーザー刻印機ですが、まずは一番にやりたかったことができてひと安心です。

色はなぜか白にはなりませんが。こと黒フィラメントに限っていえばゴールドっぽくて生えるのでアリかなと思っています。

今後、他のフィラメント種類、色で最適値を見つけていって、他の製品にも適応していきたいと思います。さし当たって白材料が鬼門で、色々と裏技が必要ということがわかってきたので、次はそれについて書きたいと思います。