メインWindows機、Ryzen9 3900→5900X換装

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少し前に買ってあったRyzen9 5900Xを仕事用メインWindows機にインストールしました。元々は同じRyzen9の3900でした。同じ12コア24スレッドですが、世代がZen2からZen3になり、3.1GHzから3.7GHzにクロックアップし、TDPは65Wから105Wに増加しています。

もともとそこまで不足を感じていたわけではないですが、7×00世代が出たことで実売価格が下がったこと、今のマザーのチップセット(X570)で使えるCPUはZen3世代までということで、延命としてコスパの良い時に換装しておこうという狙いです。また3900を姪の3300X(4C8T@3.8GHz)のPCにスライドしてやれば無駄もないかなと。

また最近の用途としてはPremiere Proで編集した動画をTMPGEnc Movie Plug-in AVC for Premiere Proでエンコードすることが多いです。やはりGPUエンコードよりもx264のソフトウェアエンコードの方がサイズが縮むので、納品データの最終出力はTMPGEncでやりたい。同プラグインならPremiere Proの出力画面から直接x264出力が使えるので重宝しています。これのためにCPU性能を上げる価値があるかなと思ったとも言えます。

(ちなみにグラボのRTX3070も同じ様に40×0世代に乗り換えて3070をお下がりであげようと考えてるんですが、こっちはなかなか値段が下がらないですね…)

■RyzenのCPU換装は戦々恐々

Ryzenの換装は3つのリスクというか関門があると思います。これがあるので万全のリサーチと体制で臨もうとして放置期間ができてしまったという向きも。

・BIOS問題

マザー購入当時はZen3の5×00系CPUは出る直前だったのでBIOS未対応でした。古いままのBIOSでCPUを交換してしまうと当然ながら認識できません。もともと思い立った時にBIOS更新する派だったのでZen3対応BIOSにはなっていましたが、念のため最新の3.90に更新しておきました。

BIOSの更新画面で「fTPMは無効化することを推奨するよ」みたいな警告が出たのでいったんキャンセルして無効にしたんですが、うっかり再起動をせずにそのままメニュー移動して更新してしまいました。更新後にみたら有効のままになっており、(ノ∀`)アチャーとなりましたが、一応問題なく動いている様です。

BIOS更新後、fTPM設定をいじった影響かわかりませんが、Windowsのパスコードがリセットされており、ログイン時にMicrosoftアカウントの認証が必要でした。

・スッポン問題

スッポンとはCPUクーラーを外す時に意図せずCPUごとソケットから外れて持ち上がってしまい、落下などでピンが折れてしまう現象です。ピンがCPU側にあるRyzenで特に起きやすいと言われています。今回は、事前に下記ベンチをとって温め、CPUグリスを柔らかくしておいたのと、クーラーを持ち上げる前に左右にスライドして固着を緩めたおかげで無事回避することができました。

最近ではCPUとクーラーの間にはさむような形でCPUの持ち上がりを防止するブラケットなどもあるようです。

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・TPM問題

TPMはWindows11で必須化されたハードウェアセキュリティデバイスです。Ryzenの場合はCPU内にfTPMという形で内蔵されているため、CPUを交換することがそのままセキュリティデバイスを交換することになり、例えばBitLockerでストレージを暗号化していた場合、CPU交換で読み出せなくなり結果としてWindowsがブートしなくなります。

このPCは少し前にWindows11をクリーンインストールした時に、BitLockerを有効化してなかったので大丈夫だろうということで敢行。でも不安で二回くらいチェックしました。

2回くらい自動でブートしてドキドキしましたが無事ログイン画面に到達。BIOS更新後と同じく認証情報がリセットされ、MSアカウントで再認証を求められました。ライセンス認証はパスしました。

■ベンチマーク

CPUグリスの温めにとった3D MARKベンチを折角なので晒しておきます。今回はCPU換装なので3D BENCHは向かないかもですが、クラウドでログを取っておけるので重宝しています。

GPUも含めた性能を測るTIME SPYで、過去の履歴と比較。

TIME SPY比較

一番右が3900で採ったベストの記録。たぶん組んだ直後くらいにメモリOCなども実験しつつ採ったものでWindows10だと思います。真ん中が今回の換装直前に採ったWindows11のもの。OSバージョンの違いなのかメモリクロックが微妙に違うせいなのか不明。X570M Pro4はメモリ設定がいつのまにかデフォルトに戻る現象があって(ブートに失敗してフェイルセーフが働いている?)、最近は面倒で放置しています。で、左が5900X換装後。さすがに換装直前よりは多少CPU値が上がってますが、誤差のレベルですかね。Windows10時代に採った3900のスコアに負けてる…

続いてCPUメインのベンチで比較。

換装前(Ryzen9 3900)
換装後(Ryzen9 5900X)

コア/スレッド数は同じなので、1~Maxまで直接比較ができます。3割くらいアップしてるかな?

TPUが増加したことで、同じCPUファンで冷却が追いつくか心配でしたが、Monitoringグラフを見る限りベンチ中にスロットリングらしきことは起きて無さそう。追々動画エンコードもなどをしてみて経過観察してみようと思います。

Ryzen9 3900マシンでの動画エンコードテストと60fps化に目覚めた話

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CPU、マザー、メモリそして追加で電源を組み替えたメインPCで動画をエンコードして耐久試験をしてみました。

  • CPU: AMD Ryzen9 3900(定格)
  • マザー: ASRock X570M Pro4
  • メモリ: DDR4@3000 32GB
  • GPU: NVidia GTX1080
  • エンコードソフト: Amatsukaze
  • 入力ソース: 1440×1080 アニメ(NAS上)
  • 出力: MPEG4 1280×720@60p(SATA接続のSSDへ書き出し)
  • デインタレフィルタ: SVP 60fps化(CUDA)

という感じの条件で、丸一日でも連続稼働できています。CPU温度は64℃くらい。電源の出力ワット数が220W前後(21%)、電源効率90%くらい。特にファンの音がうなるようなこともなく。さすがTDP 65W。タスクマネージャー読みでCPU負荷が70%くらい。AmatsukazeGUIが20%、そこから起動されているH.264 encoderが50%くらい。メモリも他にブラウザやメーラーが起動している状態で41%とかなので余裕あります。

で、Amatsukazeコンソールによると、変換速度が180fpsくらい出ている模様。60fps化してるのでソース換算なのか出力換算なのかよくわからないですが、24分くらいのアニメが8分位で変換できてるぽいので60fps換算で3倍速という感じでしょうか。これはCUDAを使わずに24fps化していた時よりも、SVP + CUDAで60fps化した場合の方が速い感じです。あ、でも24fpsの時の読みは処理は80fpsだった気がするのでやっぱり3倍速くらいは出てるかも。

というかSVPスゴイですね。AmatsukazeのUIに設定項目があってなんじゃらほい?と思って調べたんですが、いわゆるフレーム補完をするライブラリで基本は家電テレビのように再生時に補完フレームを生成して視聴に使うもののようですが、Amatsukazeはその補完後の60fpsのコマを使ってエンコードをしてくれるようです。補完技術は年々高度化するはずなので、本来はソースに近い状態で保存をして、当代の最新鋭技術でリアルタイム補完をして視聴するのが良いとは思うんですが、今これで60fps化したMP4を作ればスマホやタブレット、カーナビなどでも高画質で視聴できる誘惑に勝てませんでした。実際かなり綺麗だと思います。たまに乱れもありますが、BRAVIAより頻度は低いくらいな気がします。体験版で試して惚れ込んですぐに購入してしまいました。

手持ちの最近めのiPhone、iPadやAndroid端末はもちろん、カーナビ(KENWOOD MDV-Z905、TOYOTA NSZT-Y68T)でもきちんと再生できました(Y68TはフルHDはダメかも)。

とりあえず電源を交換したことで高負荷時のシャットダウンも収まったっぽいので、新マシン環境をガンガン活用していけそうです。