[3Dプリント] Sesameフェイス用傾斜設置マウント

CandyHouse製スマートロックSesame5を顔認証と静脈認証(とNFC)で解錠できるSesameフェイスど導入して一ヶ月経ちました。自分が運転して駐車場に車庫入れをする関係上、同居人が先に玄関で解錠することがほとんどで、自分は数日に一度くらいしか使用しませんが、認識率、速度などはほぼ不満なく使用しています。

外出時の施錠もSesame Touchでは未登録指紋をトリガにする関係で、わざわざ未登録の指や手のひらで認識エラーを起こす必要があったのが、本機では専用ボタンがついてスピーディになりました。ボタンは少し小さいですが、我が家では3Dプリンターでボタン大型化カバーをつけて使い勝手を改善しています。

■バッテリー消費と認識不備と設置の問題

Facebookグループを見ているとSesameフェイスシリーズの電池寿命が公式が謳っているほど保たないんじゃないかという言説が飛び交っています。ウチも写真のように3Dプリンター部品製作作業をするために卓上に一日置いてたら激減りして既に一度電池交換していますが、やはり近接レーダーが物体の接近を感知して認識処理を走らせることで電力を消費するため、人通りが多い道路/通路に面していたりすると想定以上にバッテリーが減ってしまうといったこともあるようです。アプリからレーダー範囲を狭めたりもできるので、設定環境にあわせた設定調整が必要となります。

もうひとつは赤外線で物体を読み取る関係上、直射日光が本体センサー部や認識対象の顔/手のひらに強く当たっていると認識しづらいということもあるようです。その場合は、日照条件ごと(例:日が当たる時間帯とそうでない時間帯)に顔や静脈を登録すると良いとアナウンスされています。

■そうだ向きを変えよう

そんな中Facebookグループで、ドアや壁にベタ付けするのではなく、ナナメに角度をつけて設置することで、

  • アプローチアングルに最適化しより早い段階で反応させる
  • 通りすがりの人に反応しにくいようにする

といった仮説でDIYされている方をお見かけしました(リスペクトしておりますが実名参加なのでお名前は出さないでおきます)。その方が「3Dプリンターで作ってくれないかなー」と呟いておられたので、手を挙げてみました。

仕掛けとしてはSesameフェイス背面の取り付けパネルの形状にあわせて介在させる形で、Fusionのパラメトリックデザイン機能(数値変更で形状を自動変化させる機能)を活用して、リア側とフロント側の角度と距離を自在に調整できるようにしました。ナナメにすることでリアとフロントが干渉しうるので距離も調整事項になっている形です。実際のパラメーター変更で様々なバリエーションにしている様子は下記の動画でご覧いただけます。

同じくFacebookグループで直射日光を避けるために上下にもアングルがつけられると良いのではという書き込みがあったので、左右だけでなく上下の角度も変えられるようにしてみました(その組み合わせも可能)。

もし使ってみたいという方がいたら希望の角度を伺ってカスタムオーダーが簡単に受けられる環境が整ったというわけです。実際に角度をつけることでバッテリー消費が抑えられたり認識エラーが減らせるかどうかは環境次第なので保証はできませんが、これらの現象に悩まれている方がいたら同じSesameフェイスユーザとして一助になれればと思います。

なお同グループでの当該の書き込みに対してCANDY HOUSE社CEO自らも「製品化したい!」というコメントを書き込んでおり、いずれ公式からもなにかしらのアクセサリが販売される可能性もあります。それがいつどのような選択肢になってくるかは未知数ですが、アングルをつけるというアプローチ自体はCEOも一定の価値を認めているのかなというところです。

■設置例

テスト用のPLAフィラメントで造形したのでグレーです。本体に合わせるなら黒がいいんでしょうが、日光が当たるところで発熱しやすいと考えると、白寄りの明るい色がいいのかなと思います。我が家はガラス面につけてますが、壁側の色にあわせるのもアリかも知れません。

左に20°傾けた例
下に15°傾けた例

製品付属の背面プレート形状に沿った形で、Sesameフェイス本体の下側は飛び出る形になります。

■頒布情報

期待される効果として、

  • 自身がアプローチする方向に向けることで、より早い段階で認識させる(ノーウェイト解錠)
  • 余計な人通りに反応させないようにしてバッテリー消費を軽減する
  • 日照など強い赤外光を避けることで認識率を向上させる

などがありますが、実際に効果があるかは環境次第なので保証はいたしかねます。あくまでご指定いただいた角度通りに製作してお届けするものとお考えください。設置してみて角度があわなかった場合、1回は無償で再作成をいたします

Sesameフェイスにはイタズラや盗難で持ち去りにくくするための固定ネジ(実測でM1.4×4と推察)が付属しています。本品を使うことで二箇所のネジ止めが必要になりますので、互換性があると思われるネジを添付します。ただし添付品と同等の固定力や盗難防止効果を保証するものではありません。

造形カラーはその時のフィラメント材料の在庫の範囲でご希望に添うように調整いたしますが、太陽光の熱線を吸収しやすい黒の場合は耐熱性の高い素材を使用するため材料費が少しあがります

本品は数字キーのないSesameフェイス用です。現状SesameフェイスPro(数字キー付きモデル)は手元に実機がないので対応不可です。要望が多かったり、設計に必要な採寸にご協力いただける方がいらしたら対応するかも知れません。

角度の考え方

アダプタ無しで壁面に普通につけた状態を0°とします。真左に向けたら「左に90°」で、真正面と真横の中間なら45°となります。坂道の傾斜角と同じで、数字に対して抱くイメージよりも大きく傾くとお考えいただくと良いと思います。10°というと誤差くらいの印象だと思いますが、実際には結構傾きます。

また傾けるほど手前への突き出しも多くなりますのでご注意ください。

以上で問題なければ、コメント欄よりご希望の角度とカラーを添えてお問い合わせいただければと思います。また手数料や送料が少し高くなりますが、匿名でのお取引をご希望の方向けにBOOTHにも出品しておきます。

顔&静脈認証で鍵が開けられる!Sesameフェイス設置

2025年5月に発表されたCANDY HOUSEの新型スマートロックアクセサリ、Sesameフェイス(以下Sesame Face)が届きました。Youtubeのプレミア動画で公開した直後20:30から予約受付のところ、注文完了メールのタイムスタンプが20:30分なのでかなり早い予約だったと思います。発売日の朝イチで配送されました。

■Sesame Faceとは?

従来のSesame Touchが指紋とNFCタグ(Suicaなど含む)、Proだと更に暗証番号で認証してSesameを解錠できたのに対し、今回のSesame Faceは更に顔認証と静脈認証に対応しています。ほぼ時期を同じくしてSwitchBotも顔&静脈認証モデルを投入してきたし、ロジテックも法人向けで同機能のスマートロックを発表したので、良いモジュールがパーツメーカーからリリースされたのかも知れませんね。

iPhoneのFaceIDと同じくアクティブIRステレオによる三次元形状解析による顔認証なので、Androidスマホの顔認証に多い静止画像の解析に比べ精度が高いのが売り(写真などでごまかせない)。というかスマートロックとしてはそれくらいでないと恐いですしね。静脈読み取りも赤外線だと思うんでセンサーが共有化できるのかも知れません。マスクとかで顔認証が難しい時の代替非接触認証手段として対応したようです。

今回も無印とPro(テンキー付き)があり、しかも差額が500円しかないので若干迷いましたが、顔+静脈+指紋+NFCがあればテンキーまではいらんだろということで見た目のスッキリさで無印にしました。

■早速取り付けてみた

Sesame Touchは初期ロットでは背面を3Mの両面テープでガッチリ固定する方式で、電池交換する時は必死こいてはがす必要がありました。それが途中からスライドハメ込みの固定プレートがついたり、マグネットが別売されたりした経緯がありますが、さすがに今回は最初からスライドプレート式です。本体はSesame Touch ProとSesame Face無印は同サイズらしく、もしかするとプレートも互換性があるかもですが、我が家はTouch無印→Face無印の乗り換えなのでプレートも貼り替え。結構ガッチリついていて大変でした。ヒートガンなどで温めればいいんですが玄関にコンセントもなく。今回Face無印になって更にプレート/両面テープの面積も大きくなったので、次またなにかに乗り換える時は更に苦戦しそう…

少しフットプリントも厚みも増えたのでやや異物感も増しましたが、ProやSwitchBot ドアロック Ultraよりはマシかなと。

今回CEOは発表動画の中でSesame Touchが盗まれたことはないと断言していましたが、FaceBookの公式コミュニティにも盗難報告挙がっていたので、スライドプレートは便利な分そういうリスクも気にはなります。

そんなことも思いながらFaceのプレートをみてみると、サイドから小さなネジでスライドできなくする仕掛けになっていました。改めて公式製品写真をよくみると従来からSesame Touch Proにはついていたっぽい。Touch無印にはサイズ的に難しかったのかな?

ともあれこれをしっかり締めておけば素手で取り外すのはそれなりに難しくなるので、思いつきのイタズラで外されることはなさそうです。

ただ仕方ないとは思いますが、位置的に真横からまっすぐアプローチしないとならない上、ネジサイズは電池交換時の背面プレートのネジと異なっており、ドライバーも付属していないので一苦労でした。ネジサイズはNo.00(PH00)くらいなので精密ドライバーセットやメガネ用プラスドライバーなら大丈夫ですが、我が家は1枚目の写真のように右方向に段差があり長いドライバーは入りません。家中の00番ドライバーやビットを試したのですがやはり真っ直ぐ挿さないと充分なトルクが出ず(ネジも結構固い)。結局、ダイソーで短いメガネ用ドライバーを買ってくるまで締め付けできずでした。

安心感は増しましたが電池交換は面倒になったので、これからやる人は電池をフルロードにしておいた方が良いかも知れません(本品は電池スロットが4本分で、出荷状態では2本セットされています。2本でも動きますが4本入れておくとより長持ちします)。

アプリからのデバイス追加と認証設定はこれまでのTouchシリーズと一貫していて、指紋やNFCタグの登録手順がわかっていれば全く同じ容量で登録できます。

■ファーストインプレッション

まず感激なのが施錠ボタンとしてハードウェアスイッチがついたこと。従来のTouchでは未登録の指先や手のひらを当てて認証エラーを出すことでロック操作を行っていました。これがボタンひと押しで済むようになって外出時に素早く確実にロックできるようになりました。サイドで小さいので若干押しづらいですが、それでも全然速いです。

肝心の顔と静脈の認識精度&速度ですが、今のところ上々かなと思います。顔や手をかざすと青色LEDが高速点滅を始めるので、認証処理中だなというのがわかります(手をかざすと隠れがちですが)。その位置で静止して待てば条件が良ければ1秒もせず認証されます。ただ手かざしについては割とドンピシャの距離と高さを意識する必要はある印象。直近というよりは10cmくらいは離し、手のひらのど真ん中をレンズに向けるくらいの感覚でしょうか。点滅始まってもなかなか認証しない時には1cmくらい高さをかえてやると認証する、といった感じ。

自分は外出時通年でマスクをしてることが多いですが、車で帰宅する時は車内で外すことが多いので、自宅ドアの前に立った時点ではマスクをしてないことの方が多く、今のところ顔認証がメインになりそう。それでも立ち止まって一呼吸みたいな待ちは生じるので、なんかもっと手前の通路のところに設置して歩いて通過するだけで認証できればいいなとも思いましたが、やはり今のレスポンスだとどこかで立ち止まる必要はありそう。

いつも指紋がだんだん認証されなくて定期的に再登録をしていた同居人については、やはり顔も静脈もいまいち認識されず「コイツもやっぱダメか…」となりかけたんですが、私がガイドしながらきっちり登録した後、今日の帰宅時は一発で解錠できたようで喜んでいました。もう少し継続観察はしてみます。

■まとめ

Sesame Touchの指紋は自分ではそこそこの認識率だと満足していましたが、唯一雨の日は(直接センサーや指に水滴などついていなくても)認識率ガタ落ちでした。今回は非接触なので(レンズさえ汚れていなければ)そういうブレもないのかなと期待しています。

サイドの施錠ボタンだけちょっと小さいので3Dプリンターで大型化にチャレンジしてみようかな?とは思ったり。