スマホからご飯が炊けるぞ!Panasonic 自動計量IH炊飯器SR-AX1

以前、PanasonicがIoT炊飯器SR-AX1を抽選テスト販売しました。タンクに水とお米をセットしておくと、スマホアプリで遠隔指示して自動で計量と炊飯を行ってくれるというものです。IoTとつくものが大好物な私は速攻で抽選にエントリーしたんですがあえなく落選。

そのSR-AX1がついに2023年7月から一般販売を開始ということで、速攻で通販予約を入れ、昨日届きました。

特徴としては、

  • (原理的に洗米ができないので)無洗米専用
  • IHだが圧力ではない
  • お茶碗一杯相当の0.5合から炊け、0.25合ずつ増減可能、Max2合
  • 内釜含め「おひつ」として取り外して食卓にもっていける一方、保温機能はなし
  • スマホアプリからタイマー予約または今すぐ炊飯実行させることが可能

という感じ。Wi-Fiは2.4GHzのみ対応。アプリのみでPCからブラウザで実行とかはできません。

基本的には出先や布団の中から「今すぐ炊いて!」と指示を出して炊けたら(帰ったら)すぐ食べるという使い方でしょう。タイマー使うなら普通の炊飯器でいい気がしますが、まぁ夜布団に入ってから「しまった朝ご飯の炊飯をセットし忘れた!」って時はタイマーもアリかもですかね。

個人的には外食予定だったのにたまたまスーパーでよい食材や惣菜が手に入ったのでやっぱ内食にするか、でも帰ってからご飯炊くのはなぁ、、って時や、風呂の中で「出たらご飯食べたいな…」と思ってしまった時などに良いかなと思います。

■ハード周り

お米と水のタンクを抱えているため、普通の炊飯器よりはかなり背が高いです。一方、2合まで、保温無しに割りきってることで、フットプリントはかなり小さい。つまり細くて高い。コーヒーメーカーに近いフォームファクタですかね。通常の炊飯器のサブとして置くには良い形状かも知れません。ただ水もお米も上方向にタンクやフタを外して出し入れする必要があるので、本体の高さよりもう少しスペースが必要になります。

おひつ部分が取り外せて食卓に持って行けるのは新鮮かも。とはいえ慣れたら食卓で場所をとるので、結局キッチンでお茶碗によそってもってく気がします。フタが5mmくらい回してロックする方式なのがイマイチ。簡単に取り外して洗えるようにするにはこういう単純な機構が適してたんでしょう。ただもうちょっと位置あわせの目印を目立たせるなど工夫がほしかった気はします。

水のタンクは取り外して洗えます。常温の水道水を使うので、メーカー推奨では毎日水替えが必要で、たまに使う、というスタイルだとちょっと不便かも知れません。出先で急にご飯炊きたくなっても「あー、水替えてないわー」ってなる未来しか見えません…基本的には帰ってご飯を食べることは確定している、またはその可能性があるという時にあらかじめ水替えしてからでかけるという使い方しかできなそうです。まぁ水道直結とかしない限り、そこはどうしようもなさげですね。せめていつ水を替えたか(タンクを脱着したか)のログくらいはアプリで確認できると嬉しいかも。

早速炊いてみる

アプリはシンプルですが、トップ画面が常に(持ってもいない)機器の一覧なのは国産家電メーカーの操作アプリあるあるって感じですね。「お前さんとこの製品これしか持ってないんだから、最初からその画面出してくれよ」と。ここから他製品の認知、購買につながると期待でもしてるんでしょうか。「レシピ」画面から始まらないだけ他社よりちょっぴりマシですが、希望としては最後に使った機器を最初から選択した状態からスタートしてほしいですね。

機器名は好きに設定できます。某アニメより「炊く」とかけてw。

炊飯を始めると、残り時間がリアルタイムで確認できます。逆にいうと(本体にはLEDランプしかないので)スマホからしか確認できません。また炊き上がりにホットクックみたいに「ご飯が炊けました。美味しくできたかな?」みたいなことをしゃべったりもせず、「ピピー、ピピー、ピピー」とPanasonicの他の炊飯器と同じ音が鳴るだけ。ここは好みもあるでしょうが、IoT家電ならもうちょっとなんかあっても良かったんじゃないかなという気も。

面白かったのは炊飯設定で量をかえると炊飯完了予測時刻が見られること。なんとなく1合と2合で倍までは違わないにしても多いとそれだけ時間かかるイメージがあって、今まで急ぐ時は1合にしたりしてたんですが、以外と変わらないということがわかりました。例えば1合で58分が2合で60分という具合で誤差レベルなんですね。

炊けた!

実食。

我が家のメイン炊飯器は同じPanasonicで圧力IHの2014年か16年くらいのフラッグシップモデルです。お米の品種別メニューもあり、古いとは言えそれなりに美味しく炊けるものだと思います。それとの比較でいうと、やはり今一歩(Panasonicが得意とする)甘みがやや負ける気がします。でもまぁ普段保温したご飯を食べることもなんだかんだ多く、炊きたて補正付きで食べれば全然美味しく炊けてる印象。触感が飲食店とかの↓こういう業務用の大きな電気炊飯器で炊くようなご飯に近い気がしました。粘りが少なめなのかな?

カレーとかには良さそう(カレー用の炊飯メニューは別にあるんですが)。

まとめ

同居人に「いらん、邪魔」と言われるのは目に見えてたのでこっそり注文して当日お披露目しましたが、まぁ一応食べてくれました。でも潔癖なので当日水替えしてないと絶対食べてくれなそうで、必要になる時に前もって水替えできるかが勝負になってく気がします。もしくは(基本的に朝は食べるタイミングが違うので)自分だけ0.5合だけ炊くとかですかね。実際どういう場面でどれだけ使うかは未知数です。保温機能もないのでうっかり炊きすぎたり、食べるつもりで炊いたけど予定がかわったりした時もどうなるやらです。そもそも炊き上がって何分くらいで食べられないくらい温度が下がるのかも気になりますね。30分は無理かなぁ。

など実用的な評価はもう少し使わないと定まってこないですが、とりあえずIoT家電コレクションがまたひとつ増えた喜びは噛みしめています。

屋根裏部屋の換気に電源が欲しいがコンセントがない!そんなあなたにセパラボディ

昨年移り住んだ賃貸戸建て住宅には屋根裏(天井裏)部屋があります。購入したガジェットの箱などが捨てられない派にはとりあえずの仕舞い場所として大変重宝します。しかし住宅自体はかなり古い作りなのでなんと換気扇がありません。夏の日差し照りつける屋根の真下になるのでこもる熱も半端ない。空き箱類ならまだしも本とかCD/DVDは大丈夫か?というレベルです。

さりとて借家なので勝手に電気工事するわけにも行かないし、そう何万も掛ける気も無い。昨年の夏の終わりに引っ越してとりあえずやり過ごした感じでしたが、今年もそろそろ温度が上がってきており、少し探し物をするだけでも汗だくです。なんとかしないとなぁと思って暇を縫ってリサーチ。

コンセントはないですが唯一E26の電球ソケットがあります(さすがに照明はついている)。これってAC100Vが直接配線されているものなので、理屈的にはここから電気取れるんだよなぁーと思って探してみると、バッチリ私が求めていたものが存在しました。

名前がちゃんとついていてセパラボディというそうです。Wikipediaに載ってすらいます。なんだか怪しげな美容商品みたいですが、PanasonicやELPAなど老舗が販売している真っ当な商品のようです。

パナソニック セパラボディ WH4101

パナソニック セパラボディ WH4101

232円(12/22 21:45時点)
Amazonの情報を掲載しています

セパラボディ

奥側がE26口金、手前側がAC 100Vのコンセント穴になっています。

つまりこうなる

適当な電源コードを差し込んでみるとこんな感じ。現在の感覚だと賢いんだか頭悪いんだかよくわからない商品ですね。まぁ電気的には至極当たり前で形状を変換してる(元に戻している?)だけとも言えます。いや本当に電気が家庭に普及しだしたころは、このねじ込み式が先で、これを分岐して使うのが普通だったわけで、むしろそこから現在のコンセント形状に移っていく過程では当たり前に使われていたのかも知れません。

ともあれこれさえあれば屋根裏部屋唯一の電球ソケットから通常のAC100V製品が使えるコンセントを得られるというわけです。ちなみに一般的な壁付けのコンセントや延長タップが15A上限なのに対し、こちらは6Aと半分以下が限界となります。電子レンジやドライヤー、ストーブなどの大きな電力を使う電気器具には向かないので注意が必要です。

■薄暗い照明環境をアップグレードする

電源が取れるとなれば色々可能性は広がります。夏に向けて換気をどうにかするというのはさておき、とりあえず電球ひとつでいまいち薄暗かった照明を改善してみることにしました。まず電球のソケット数を増やすためにライティングレールを導入。既存ソケットが天井ではなく壁面だったので使用したのはこちら。

これで1m幅の任意の位置に電球ソケットを設定できます。足りない場合は延長用レールとジョイントを買えばさらに伸ばすことも可能。

ソケットはとりあえず3つ、角度が変えられるものがいいかなと思ってこちら。

3個中、1つだけ接触が微妙なのがありましたが、一度位置決めすればそうそう触るものでもないかと思いそのまま使っています。

そして電球ですが、いずれ換気扇なりをつけたなら廊下にある壁スイッチは常時通電することになります。ので電球だけ独立でON/OFFできなければならず、他の廊下や階段でも愛用しているIKEAのTRÅDFRI(トロードフリ)を追加導入することにしました。E26口金タイプでホワイト系だと1000lmで色温度も変えられる2,499円の対応と、806lmで調光(明るさ変更)のみ799円のものがあります。今までの階段、廊下はセットモデルだったのもあり前者だったんですが今回は後者にしてみました。価格が3倍違う割に明るさはそこまで差がないので調色が不要ならばかなりコスパが高いです。ライティングレールで数を増やさずに一番明るい電球にする手もありましたが、今回は物陰ができやすい屋根裏部屋物置なので、配光的には点光源で明るいよりは複数箇所から照らせることが重要だろうと。806lmタイプは60W相当の明るさで消費電力は8.9Wとなっています。3つ点けても27Wなので、6A(x100V=600W)のセパラボディ経由でも余裕ですね。

IKEAのTRÅDFRIはスマホアプリで制御できるのはもちろん、Google Home、Amazon Echo、Apple HomeKitなどと連携することもでき、声でON/OFFもできます。ちょうど廊下の天井から屋根裏への格納式階段を下ろしたあたりにGoogle Home miniがあるので、階段を出し入れしたり上り下りしながら「OK Google、屋根裏の電気を点けて」などと言えばバッチリです。なんならモーションセンサーを追加してもいいかなと思っています。IKEAのTRÅDFRIシリーズはコスパも高いですが、こうしたアクセサリが豊富なのもポイント高いです。

ともあれまずは照明環境をアップグレードでき、収納物を探索する時の快適度が大幅アップしました。いつでも元に戻せる非破壊施工できたのはセパラボディのお陰です。あとは夏が本格到来するのに備え、本命の換気環境を検討していきたいと思います。

6年目の正直。スマートロック、SESAME 3を導入

IoT好きな私はスマートロックもAkerunQrioQrio2と買ってきましたが、どれも今ひとつでした。あとRemoLOCKなんてのも販売元にご提供いただいたことがありますが、ドアに改造が必要で賃貸住まいの我が家には導入できず知人に譲ってしましました。これはドア改造が必要な点とクラウドサービスが有料なことを除けば悪くない製品でした。

一番最近買ったQrio2は初代の不満点をきっちり改善して仕上がってきてはいましたが、残念ながら昨年引っ越した我が家のドアにはあわずに結局半年ともたずに撤去してしまいました。

動作も軽くなったQrio2ですが、我が家のドアにあわなかった理由として、

  1. サムターン形状があわなかった
  2. サムターンの回転角度が90°超え
  3. リモコンキーホルダーQrio Keyがイケてなかった
  4. ドア面からの張り出し量が大きく、身体が当たったりしてもげ落ちまくった

と言った点があります。1に関しては自作のサムターンアダプタでどうにか工夫したんですが、それ以降はどうしようもありませんでした。

ウチのドア鍵はサムターンがフリーで360°以上回せるタイプで、そのうちのある角度でロック/アンロックがかかる仕組みです。他方Qrio2は90°、つまりサムターンのツマミ位置が垂直か水平かでガチャ、ガチャっと切り替わるタイプを想定した設計になっています。Qrio2側のツマミもフリー回転する作りですが、スマホアプリで施錠位置と解錠位置を記憶させ、その範囲でモーターが動きます。一見すると鍵がかかる位置と開く位置の角度差が90°以下であれば設定できそうなんですが、実際にやってみると上手くいきません。何故ならば手動で開閉した時にそれ以上の角度を回してしまうこともあるから。Qrio2の回転量の記憶方式は現在位置からの相対角度のみなので、現在の角度から一定角度を回すのみ。人力で想定外の位置まで回されていると、回転が足りなくて鍵が開閉しないということになります。じゃぁもう一切人力では操作しないことにしてスマホでしか開け閉めしないことにすれば?とも思ったんですが、現実的にはそういうわけにもいきません。宅配便とか来て慌てて開く時にスマホが手元になければ手であけますし、自分だけならともかく家族もいるとやっぱりそういうルールを押しつけるのは現実的ではありません。

次にQrio2のした大きな理由のQrio Keyという専用解錠施錠リモコンの使い勝手が良くなかった。スマホ不要でボタンを押すだけなので、スムーズに開け閉めできると期待したんですが、実際はQrio2自身がBleutoothで接続可能な相手端末が1台のみなため、先に他のスマホやAppleWatchと接続が確立してしまうとリモコンは効かなくなります。二人で複数の端末を持ち歩いているため、どれが最初に接続するかは予測不能でイライラが募ります。

そして仮にそれらが解決したとしても残る難点として3.のドア面から高さがあります。例えばドアを狭めに空けてできた隙間にサッと身を滑らすような入り方をすると、通過中の背中腰にQrioがガツンと当たって痛い思いをしたり、時に固定が外れてQrioが落下することもありました(賃貸なのでネジ止めはできず両面テープ固定なので)。そんな日々に嫌気がさして、ある時落下したのを境に再取り付けせず玄関に放置することに、、

■セサミなら万事解決!?3登場を機に購入

Qrio2購入前に比較検討していたセサミという新興ベンチャーの製品も知ってはいて、

  • 本体が小型
  • 回転角度360°まで対応
  • サムターンアダプタが合わない場合、3Dプリンターで作成してくれるらしい

という特徴で個人的には良さそうと思ってたですが、同居人がスマホ操作しなくていいQrio Keyが使いたいというのでQrio2になった経緯があります。

しかし結局イマイチなことがわかり使われなくなった頃、セサミから新型のセサミ3が発表になりました。少し長いですが発表時のライブ動画の録画がみられます。独特の味があるCEOのプレゼンテーションをご覧ください。

SESAME 3は上記のセサミシリーズの特徴を受け継ぎつつ、更に大きな進歩を遂げました。

  • 複数端末と同時にBluetooth接続できるMulti-Task機能
  • 別売りWi-Fiモジュールと組み合わせることでネットワーク常時接続。Bluetoothリンクを待つ必要無く瞬時に操作可能なAlways Connect
  • 先代セサミminiと同サイズでQrioやAkerunより圧倒的に小さい
  • 本体5,800円、Wi-Fiモジュール1,980円と、あわせて買っても1万円しない超コスパ

といった辺りが注目です。これらによって、スマートロックの操作レスポンス遅れの問題が完璧に解消できると期待されます。もうQrio2に絶望した後なので自腹でつけても文句出ないだろうということでこっそり注文、、、しようとしたらさすがに大人気の初回ロットの注文を逃し、2次3次受け付けも見逃し、結局初回ロットが2021年1月末に発送されましたが、我が家に届いたのは3ヶ月も後になってしまいました。

■SESAME 3の特長

改めてSESAME 3の特長をまとめると、

  • 小型(ただし予備バッテリーは非搭載)
  • 海外製も含め多くのサムターン形状に対応
  • 付属部品で対応できないサムターンは3Dプリンターでアダプタ作成(600円?)
  • 回転範囲360°まで対応
  • 超安い(他社の半額以下)
  • iOS/Android対応
  • Multi-Task機能+Always Connect(Wi-Fi経由接続)により爆速
  • AppleWatch対応
  • NFCチップ読取りによる解錠/施錠操作(iPhoneXS以降、SE2含む/Android)
  • iOSのSiriショートカット、ウィジェット対応
  • Androidの通知領域ウィジェット対応
  • Alexa対応
  • Google Homeは間もなく対応予定

(一部、前機種からの特長含む)

という感じで、後発でベンチャーながらハード的にもソフト的にもかなり幅広い対応が優位点だと言えます。

特に我が家では回転範囲が90°しかないQrio2では対応しきれないことがわかっていたので、360°は心強い。またサムターン形状も♦型なので、最悪アダプタの特注もできるというところは安心材料です(注文フォームをみるとタテヨコのサイズを入力するだけなので、このような菱形にピッタリあわせで作れるかは不明)。

ASSA製のサムターン

唯一Qrio Keyによるハードウェアキー端末が存在しない点が負けポイントですが、それを補えるだけのスマホの操作レスポンス、各種ショートカット手段の提供があります。Siriショートカットに対応していることで、iPhoneでは背面ノック2回で施錠操作することも可能です(誤動作が恐いので解錠には使いたくないかな…)。

そりゃ売れるワケです。逆に生産能力はSONYなどより少ないのか、ともかく品薄で手に入らない。現状Amazonにもまだでてないぽい(旧モデルはある)。ただ本記事執筆時点で次回発送5/15分の予約を受け付けているので、半月待ちで買えるようになったとも言えます。

■設置

結論からいうと付属パーツだけでバッチリ取り付けできました。高さを出す金属製土台アダプターは使わずに済み、最低高での設置に。

設置状態

白木の板は、万一にも借家のドアに両面テープ跡を残さないよう、サムターンをバラして土台の下に共締めしたものです。ちょと見た目がアレなので、これで安定運用できるようなら一度バラして塗装やカットも検討しようと思います。

Qrio2との高さ比較

Qrio2を並べてみると、高さ(ドア張り出し量)が圧倒的に小さいことがわかります。ドアハンドルよりも低い。Qrioは嵩上げの土台アダプタ(写真のドア側の分割線のところまでの厚み)が必要で、その分厚みが出ていましたが、Sesami 3はそれを使わなくて良かった点も差になりました。これならば腰や背を攻撃されることもなさそう。またQrioシリーズはCR123A電池x2本駆動で、予備電池をさらに1ペア、計4本のバッテリースペースがあるのに対し、Sesame 3は駆動は同じですが予備を搭載しないので2本となります。万一電池切れしても予備で賄うか、適切なタイミングで電池交換を促して済ますかという設計思想の違いですね。物理鍵を絶対に持ち歩きたくないし、置き鍵もできないという人はQrioの方が無難かもは知れません。

サムターンを掴むところは幅を左右二段階(左右同じでなくてもいいので3パターン)、高さを3パターンに組み替えられます。我が家ではどちらも最大に組み替えました。菱形のサムターンに対して、普通に直線の板で挟み込む形だし、ピッタリでもないですが、イイカンジに滑って左右どちら周りの時も充分なモータートルクがサムターンに伝わっているようです。

とりあえずハード面では大勝利を収めた気分です。

■使ってみた

続いてアプリ設定。Sesami 3(Sesami OS2)の特長としてユーザー登録不要で使えるというのがありますが、管理者くらいはIDもってた方がいいだろうし、iOSとAndroidの複数端末で使いたかったのでサクっとメアド登録しました。面白いのはこの会社のWebストアも含めてパスワードを一切廃している点。メールアドレスを入力するとそこに4桁のワンタイムパスコードが届き、それを入力すればログイン完了です。ログインか新規登録かの選択すらありません。未登録アドレスなら自動的にアカウントが作られるという感じ。毎回パスコードの受信をメーラーで確認して、というのがじれったいという人もいるかも知れませんが、基本はそんなに頻繁にログイン操作を要する製品ではないので、忘れたころに思い出せなくてパスワードリカバリー処理をするよりはいっそ潔い仕様かなと思います。

・回転位置のリアルタイム補足

アプリで鍵毎の表示部がこんな感じ(施錠されている状態)。

アプリのステータス兼操作部

注目すべきは鍵アイコンの周りを囲う衛星リングです。なんとリング上の●印がリアルのサムターン位置に応じて動くのです。単に解錠、施錠操作をした時に動作アニメーションとして回るのではなく、(リンクしている状態なら)手で本体側を回した分もリアルタイムで追従します。ということはつまり、Sesame 3は回転位置をQrioのような相対制御ではなく絶対位置制御で管理しているということです。手で余計に空回りさせた状態からでも常に正しい位置までモーターで回してくれます。これはウチのようなクルクル空回りするタイプのサムターンには決定的に重要な要素となります。普通の水平<->垂直で90°しか稼働範囲がないサムターンにはオーバースペックかも知れませんが、コスト的にも半額なので文句のつけようもありません。

ここでまたしても脳内で冬月先生が「勝ったな」とつぶやきました。

2021.07.10追記:

その後、ウチのサムターンは360度ですら足りていないということが判明。またSesamiアプリでは開錠位置と施錠位置をそれぞれ学習させることができますが、これが「モーターでここまで回したら開錠できる」という基準と、「手動でここまで回されたら開錠判定する」という位置を兼ねています。ですがウチのサムターン特有なのかわかりませんが、双方の位置が微妙に食い違う。なので、手動で回すと実際に施錠されていないのに施錠された判定される瞬間というのが発生してしまいます。これは鍵としては致命的ですね。AppStoreのレビューでも同じ指摘がされていましたが、ソフト的な改良でなんとかなってほしいものです。

現状は仕方ないので手動でも180度回転以内でしか動かさない、もしくはできるだけ手動で回さないという運用とし、サムターンが物理的にある位置以上に回らないようなストッパーをDIYであれこれ実装中です。回転するものなので右からも左からもつまみが来るので絶対に一か所でしか止められず下弦の位置に固いものをつけるイメージです。

・Wi-Fiモジュールの設定

これが宅内に存在すると、Sesame 3からのBluetooth信号を自宅のWi-Fiを経由してインターネットに常時中継できるようになり、宅外にいても鍵の状態を確認したり遠隔操作が可能になります。またAlways Connectと呼ばれる機能で、2,3秒かかるBluetoothリンクを待たずにより高速に操作できるのも利点です。

USB 5V駆動ですがUSB充電器は付属しません。わかってる人、余ってる人にはむしろ有り難いコスト削減策ですね。不安な人、デザイン/色をピッタリ揃えたい人向けに公式ストアで一緒に買えるようにしてくれてもいいんじゃないかとも思いましたが、まぁそれはそれで利幅も低いしコスト負担になるのかも知れません。

本製品は2.4GHz専用ですが、我が家が2.4GHzと5GHzを同一SSIDで運用しているせいか、(玄関に近い)リビングは中継機があるせいか不明ですが、リビングに設置した状態ではアプリからのSSID/暗号鍵設定が完了できませんでした。一旦2Fのメインアクセスポイントの直近で起動して設定、その後で再度リビングに移動させました。ドアのSesame 3から4m以内に設置する必要があります。ドアとWi-Fiアクセスポイント(ルーター)の距離が離れている場合、その中間点でどちらの電波も程良く届く場所、かつコンセントがあるところを吟味する必要があります。

・音声操作

iOSではSiriショートカットに対応しており、好きな音声コマンドで施錠/解錠ができます。基本は外では使わないし、誤動作すると危ないので施錠だけを「玄関をロック」という音声コマンドで設定しています。

Alexaでも「(鍵名)でロック」が固定コマンドのようです。

我が家ではGoogle Homeで「おやすみ」と言うと全ての照明が点灯するようにルーティンを組んでいます。Sesami 3がGoogle Homeに対応してくれれば、同時に玄関の鍵を施錠ということも可能になるので楽しみです。まぁAlexaでも定型アクションで同じ事ができるので、しばらくはそっちを使ってもいいんですが。

・AppleWatch

文字盤に配置できるコンプリケーションに対応しているので、モジュラー系の文字盤ならショートカットアイコンを配置して2タップで解錠/施錠操作ができます。Sesame 3が複数のBluetooth端末と同時接続できるMulti-Task機能に対応しているので、Sesame設定をしたスマホ、Apple Watchがその場に複数いても通信権を取り合ってもたつくようなこともなく、レスポンス、安定度も上々です。

2021.07.10追記:

やはり若干の遅延というかもたつきがあります。AppleWatchアプリの仕様でしょうが、前回の最後に表示した画面がまず起動します。つまり必ずしも赤(施錠)が緑(開錠)かの表示が正しいとは限らない。そもそも接続してないのに接続したかのように見せて状態を反転させるためにボタンをタッチ。それが無視されることもあれば、タッチする瞬間につながって、状態表示が反転して、結果タッチのせいでまた状態が判定され、希望とは逆の操作になってしまう、みたいなことがちょくちょくあります。昔初期のQrioでも同じようなことがあった気がしますが、開錠と施錠がワンボタンのトグル操作故の問題ですね。

きちんと動けば未通信の黄色という状態があるんですが、これが瞬時に出ないのが問題な気がします。なまじWi-Fiモジュールでインターネットを経由したパスがあるので通信タイムアウトを待っているんでしょうか。

・NFCタッチによる操作

NFCとはおサイフケータイなどで使う非接触通信規格です。機器同士の通信だけでなく、こういうシール状の”タグ”に固有IDが割り振られており、値札シール代わりに使われたりします。最近ではUNIQLOのセルフレジが有名ですね。

Sesame 3ではSesamiアプリの設定が済んだスマホをNFCタグにかざすことでスマホ内で解錠/施錠コマンドを起動することができます。製品にもセサミロゴ入りのNFCタグが1枚付属してきますが、なんとなくもったいないので予め購入してあった市販のNFCタグを使って設定しました。

NFCタグは電源もいらないただのシールのようなものなので、好きな場所に貼り付けられます。レスポンスの遅延を考えて、玄関のドア自体に貼るのではなく、その手前のポストとか、なんなら車の運転席に貼っておいて到着時にそこにスマホをかざすでもOKです。NFCタグ自体は固有IDをもっているだけで、Sesami 3に対してアクセスして認証するのはあくまでスマホ側です。万一見知らぬ人がそのNFCタグにスマホをかざしても鍵が開いてしまうことはありません。

iPhoneの場合とAndroidで設定方法、仕様が若干違うようです。

iPhoneでは「ショートカット」アプリで動作トリガに「特定IDのNFCをスキャンすること」を割り当てられるので、これを使って、アクションとしてセサミアプリでの解錠、施錠、解錠/施錠トグルのいずれかを割当てます。複数のNFCタグを割り当て放題なので、解錠専用のタグと施錠専用のタグを用意して使い分けることも可能です。ただし対応機種が「iOS13.1以上を搭載したiPhone XS以降の機種」となっています。おサイフケータイ対応機種ならOKということではないので注意が必要です。

一方AndroidはOSレベルでそうした仕組みがないため、セサミアプリ上で特定の鍵に対して特定のNFCタグを割り当てます。説明書きにも明記されておらず、試してもないですが設定手順的にみて、1つの鍵に1つのNFCタグしか割り当てられない気がします。施錠か解錠かトグルかを指定する場所もなく、1つのNFCタグでトグル動作させることのみじゃないかと思います。つまり、iOSのように解錠と施錠でタグをわけたり、玄関ドアと車など複数箇所にタグを設置したりといったことはできなそげ。

仕方ないので(同居人がメインで使っている)Androidにあわせて、解錠/施錠のトグル動作のNFCタグを自宅のポストに貼り付けてみました。

2021.07.10追記:

コメントで感想を求められてこの追記をしていますが、正直あまり使っていませんw。スマホをポケットから取り出して当てるよりは、AppleWatchでやっちゃいます。そして上記のように私はメインがiPhoneなので本来は複数の箇所にNFCをつけたり、開錠/施錠で独立させたりできるはずなんですが、Android事情にあわせてひとつのNFCに集約するのが使いづらくて、、

ただ私より普段常用している同居人によると、ちゃんと反応しているとのことです。

・手ぶら解錠

AppleWatchやNFC解錠の安定感を味わいたくて、現状はオフにしていますが、基本的にはGPSを使った「手ぶら解錠」機能で帰宅時の解錠は自動化できそうです。GPS測定誤差で意図しないタイミングで誤動作しないよう、自宅から一定距離をジオフェンスとして設定しておきます。この範囲を一旦出ることで「出かけた」と判定され、その後でまたエリアに入ることで「戻って来た」というフラグが立ちます。この状態でないとBluetoothが通信圏内に入っても手ぶら解錠は実行されないことになります。この辺のおおまかな仕組みはQrioと同じですね。Qrioはドアセンサーが付属していてドアの開閉を手ぶら解錠やオートロックのフラグに使っていましたが、Sesame 3にはそういう機構がありません。この違いが動作精度にどう影響するかは不明です。

いずれにせよ、手ぶら解除は常時GPSを使うのでアプリがバックグラウンドで起動している必要があり、その分バッテリー消費もある程度覚悟しなければなりません。しばらく使ってみて常用するだけの精度と価値があるか見極めていきたいと思います。

■まとめ

まだ使い始めて日は浅いですが、過去に試してきたどのスマートロックよりもスマートで安定してストレスなく動いてくれる気がします。それでいて価格も非常に安いので、品薄が解消されたらもりもりシェアを奪っていきそうですね。

2021.07.10追記:

購入から二ヶ月位経って、いくつか使い心地の面で追記をしました。細かい点で若干不満点も見えてきていますが、同居人も「Qrio/2とは段違いに快適」といってくれており、買い換えたことは正解だったのは間違いありません。あとは回転位置の施錠判定位置とモーター目標点を別々に設定できるようになってくれると完璧かなと思っています。

2022.08.22追記:

試用開始から1年と3ヶ月。電池残量表示が30%くらいになったところで不安定になりました。電池を抜き差しするなどして延命していたものの、

  • 第一段階:スマホから操作を受け付けなくなる(認識はする)
  • 第二段階:手動でもサムターンが回せなくなり、認識もしなくなる

という感じ。認識しないのはまだしも、サムターンがロックされるのはヤバい。たまたま在宅中に気付いたのでSesame本体を外すことができましたが、外からだったら物理キーでも解錠できなかったんじゃないかと。思い切り回したら一度だけ動きましたが、その後は更にガッチリロックされてしまった感じです。これが仕様なのかは不明ですが、電池を替えたらあっさりゆるゆる回るようになりました。

30%というか1年くらいで予防的に電池交換するのがいいかも知れません。

ちなみに純正はPanasonicのこちらの電池だったようで、公式サイトでも比較的安く売ってるようでしたが、発送が少し遅かったのでAmazonで並行輸入品というのを4本セットで買いました(Sesameに必要なのは2本)。

Panasonic CR123A リチウム電池 1550mAh (4本組) [並行輸入品]

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1,400円(12/22 10:45時点)
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