ホテルルーターをWi-Fi6に対応したGL-AXT1800(Slate AX)に更新

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最近のホテルには普通にWi-Fiが完備されていて、それにつなげばインターネットには出られますが、私はマイルーターを持ち込みます。SIMカードが入るモバイルルーターではなく、ホテルの有線またはWi-Fiネットワークを使いつつ、独自にネットワークを作りWi-Fi電波を飛ばすタイプのルーター(ここではホテルルーターと呼びます)製品です。

理由はいくつかあって、

  • 持ち込む機器がたくさんあり個別にホテルWi-Fiの設定をするのが面倒。自宅のWi-Fi設定のまま接続できると便利。
  • ホテルのWi-Fi設備の規格が古いと損した気になる。できるだけ有線に近い最高速度で使いたい。
  • 持ち込んだ機器同士で自由に通信できるローカルネットワークを構築したい。

などです。仕事でひとりで止まる時でも、ノートPC 2台、スマホ2台、iPad、Meta Quest2、Amazon FireTVくらいは持ち込みますし、同居人も持参デバイスが多い方です。もうSSIDの方を自宅に揃えちゃう方が楽なのです。またPC上のコンテンツをQuest2やFireTVで再生しようなんてことをすると、ローカル通信がブロックされないことや速度が出ることも重要です。

■GL iNet一択?

ホテルルーターの要件としては、

  • WAN側が有線とWi-Fi両方対応していると柔軟性が高い
  • 小型で持ち運びが楽
  • 電源がUSBで取れると専用ACアダプタ不要で荷物が減る

という辺りでしょうか。ホテルによって有線があるところとWi-Fiオンリーなところがありますが、もし有線があるならそちらを使いたいものです。個人的には最後のUSB電源であることも重視。どのみちマルチポートのUSB充電器やケーブルは色々持っていくのでそれで済ませたい。

ただこれらは性能と相反する要素で、できるだけ小さく、USB 5Vで駆動でき、とするとWi-Fi性能は低かったり有線ポートも減らされたりしがち。

そして「ホテルのWi-Fiでいいじゃん」って人が大半でしょうから各社ともあまり積極的にこのカテゴリの開発を進めてない気がします。例えばBUFFALOだと2019年に出たWMR-433W2が最新。11ac(Wi-Fi5)にはかろうじて対応しているものの、433MHz止まり。有線ポートも100Mbpsが1つだけで有線->有線のルーティングはできません。

これだったらそれこそホテルのWi-Fiに直接つないだ方がマシじゃないかってレベルでしょう。

そんな中で頑張っているのが海外(香港?)メーカーのGL.iNetです。実はここのホテルルーター製品を買うのは3台目。

最初がGL-AR750S(ペットネームSlate)。

Wi-Fi規格はBUFFALOと同じ5GHzで433Mbpsですが有線がWAN/LAN完備で1Gbpsでした。これが電源コネクタの接触不良か電源が勝手に切れるようになり、次の買い換えたのはGL-MT1300 (同Beryl)。

5GHzが867Mbpsにアップ。電源ポートがUSB-Cになりました。電源投入後、起動して電波が跳ぶまでの時間が「あれ?」って思うくらい遅いのが気になりましたが、どうせ滞在中は入れっぱなしだし概ね満足していました。

下の今回購入の最新モデル含め、共通機能としては、

  • 有線WAN x1、有線LAN x2
  • WAN側は有線、Wi-Fiに加えUSBテザリングも対応。iPhoneの高速回線を内蔵テザリングよりマシな条件で共有可能。
  • オープンソースのOpenWRTというLinuxベースのルーターを拡張して作られており、豊富な拡張が可能。
  • VPNサーバーを搭載しているが、相変わらずL2TPなどスマホと相性の良いものは非対応。
  • Beryl以降はUSB-C電源駆動

■Wi-Fi6対応モデル登場!

そして今回購入したのがGL-AXT1800(ペットネームはSlate AX)です。外観はBerylの色違いという感じですが色のせいかSlate(屋根瓦)にWi-Fi6(802.11ax)を示すであろうAXをつけた感じになっています。

そう、Wi-Fi6に対応し5GHzで1,200Mbpsに対応しました。果たしてホテルのWAN条件的、Wi-Fiチャンネル空き状況的に実効性のある速度差が出るかはなんともですが、UT現場やセミナーなどに提供したりもするので、少しでも余力があり安定動作するなら投資価値はあるだろうと。

実はまさにホテルに滞在している時にふと「新型出たかな?」と検索して知って、その場でホテル宛てに注文。しかしAmazonの配送遅延を喰らいチェックアウト日の受け取りとなってしまった為、まだ実際のホテル環境でテストができていません。今回は簡単なファーストインプレのみ。

・微妙に大きくなった外観

Slate AX(左)とBeryl(右)の比較

今まで使用していたBerylと並べて撮ってみました。写真だけみて購入したのでてっきり中身だけアップデートしたイメージでしたが、筐体も少しだけ大型化していました。並べなければ忘れてしまうような違いですが、ちょっとだけショック。

またフロントの動作ランプが小型化し、下向き(トップカバー側は切り欠きがなく被さってる感じ)に変更され、眩しさが軽減したかなと思います。正直Berylはホテルで就寝時ちょっと気になってたので、これは歓迎。

ビルドクオリティは特別高くもないですがまぁルーターとしては普通。Berylはちょっとガジェットぽくない水色でしたが、Slate AXはまぁ普通のダークグレーという感じ。

少しだけ大きい(;´Д`)

重ねてみました。一回り大きくなったのがわかりますでしょうか?まぁこれでも一般的な家庭据置用Wi-Fi6ルーターよりは全然小さいのでアリなんですが。

背面ポート比較。レイアウトは違うが内容は同じ。

背面のポートは微妙に配置が逆順になっています。WANポートが一番外側なのは同じ。

冷却ファンが装備された(Berylは少なくとも外からは観察不能)

なんと底面を覗くと冷却ファンが見えました(左はヒートシンク?)。Wi-Fi6/1,200Mbpsの負荷を処理するにはやはり発熱量が大きいんでしょうか。まだそれほど負荷をかけていませんが、とりあえず(故障してなければw)アイドリング時は回転しないようです。ただそれだけにトップカバーは結構温かい状態です。ヤケドするレベルでないですが、カイロ代わりに肌に当てるには熱すぎるというレベル。まぁ静かなのに越したことはないですが、基本触るものでもないので安定第一でしっかり冷やしてくれるならアリかなと思います。

ちなみにBerylは底面を見ても通気穴が狭く中にファンがあるかどうかは視認できません。少なくとも記憶にある限りは音が聞こえたことはない気がします。そこまで性能を求めず、静音性、コスパ、サイズを重視するなら今からであってもBerylを選択するのも手かも知れないですね。

付属ACアダプタの出力はPD 40W

付属ACアダプタは5V x 4Aで20Wタイプのものでした。コンセント形状を国ごとに付け替えできるタイプでやや大きめ。交換パーツは日本向けのもののみ付属。出張/旅行用なので荷物を減らしたい人はもっと小さくてコンセントのブレードが畳めるものが使いたいところです。例えばこれとか。

・管理画面がサクサク化

管理画面のデザインは基本的にBerylと同一ですが、全体的にレスポンス良く動くようになったなという印象。IPQ6000 1.2GHz クアッドコアプロセッサーのお陰なんでしょうか。

基本設定項目としては、

  • 電波の強さはマックス/高/中/低の4段階。ホテルで使うだけなら相当に弱めても平気でしょう。
  • 5GHz帯はDFS(法律で義務づけられた定期的に混信を防ぐためにチェック)を要するチャンネル(W53/56)を使っていいかON/OFFがあり、デフォルトOFFでW52だけが選べるようになっています。わかりやすいかも。
  • 2.4GHz、5GHzそれぞれにメインのSSIDとゲスト用SSIDを設定可能。ちなみに有線LANはメイン側(192.168.8.0/24)に接続され、ゲスト側(192.168.9.0/24)で相互通信はできません。
  • ちなみにWi-Fiの暗号化はWPA3まで対応していますがBerylの時になぜかiPhoneからつながらなくてWPA2-PSKに落としていました。

■まとめ

今月また仕事でホテル泊まり予定があるので、実使用レポートはその時に追記しようと思います。忘れなかったらBerylも持っていって速度比較などもできればなと。

ともあれ、国産メーカーが実質撤退したかというような気すらする希少なホテルルーターカテゴリでWi-Fi6対応モデルが出て嬉しく思います。活発に開発をしているGL.iNetのことなのでiPhone15?がWi-Fi 6Eに対応する頃にはまた新型が出てくれると期待して、それまでがっつり活用していこうと思います。

新天地6GHz帯が使えるWi-Fi6Eルーター BUFFALO WNR-5400XE6を即買いしたが…

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今か今かと待っていたWi-Fi 6E対応製品。2022年9月2日に6GHz帯Wi-Fi使用の認可がおりたことを受け、本日9月5日に以前からチラ見せされていたBUFFALOとNECの6E対応製品が発表になりました。

NECは6GHz帯で4802Mbpsが使え、有線LAN/WANポートがそれぞれ10Gbpsの上位モデルWX11000T12と、廉価のWX7800T8を出しました。発売日は少し後で9/15。単体でみるとWX11000T12の全部入り性能は魅力でしたが、2台でメッシュとなるとちょっとお高いので敬遠。

対するBUFFALOは有線WANのみ2.5Gbpsで、LANは1Gbps x3。6GHzも2401Mbps止まりとやや妥協のみられるスペックのWNR-5400XE6、1機種のみ(2台セットはある)。

我が家はもともとBUFFALO中心でEasyMeshを組んでいたので、6Gbpsの拡張という意味ではお手頃かなと思いこちらをチョイス。

4台で組んでたうち、なんだか調子が悪い中継機とEasyMesh互換だからと買ったLynkSys製ルーターをルプレイスするべく2台セットモデルを購入。

現況の詳細は以下の記事で。

せっかく使い放題の6GHz帯域で2×2の2401Mbps止まりなのはもったいないんですが、スマホが2×2からアンテナを増やすことはそうそうないだろうなと思って妥協しました。

■5GHzの不満と6GHz帯への期待とは?

現行の2.4GHzや5GHzの不満と6GHzのメリットを簡単に説明してみます。最近のWi-Fi高速化技術はチャンネルボンディングといって複数のチャンネルを束ねて速度を出すことが基本です。まず2.4GHzはもっとも普及率が高く、電波の到達性も良いため、ご近所とチャンネルが被る率が半端ないです。しかも電子レンジ、コードレス電話、Bluetoothなど免許不要の規格が入り乱れる帯域なのでさらにノイズが多い場所でもあります。ここはもう一部の安い5GHz非対応のIoT家電用と割りきるべき帯域です。

次に電波の飛びは悪いものの、より速度が出やすいともてはやされてきた5GHzですが、W52、53、56とチャンネル域がわかれており、法律との絡みがあります。W52はもっとも初期から認可されていたチャンネルで屋外でも使える一方、4chしかなく最近のボンディングをしたら1束しか入りません。次に拡張されたW53やW56まで使えばチャンネルにこそ余裕が出るものの、DFSという航空や気象レーダーと干渉してないかチェックする機能が義務化されています。DFSが定期的に働いて1分ほど通信が途切れるのです(一部業務グレードのアクセスポイントだと5GHzを2系統もっていて、途切れないものもあります)。我が家は木造2F建ての割に4台もアクセスポイントを設定して電波強度なども試行錯誤して最適化しているにも関わらず、定期的に通信断が起こるのがストレスでした。それがDFSのせいか確証はないのですが、もうあとはそれくらいかなと。

そこに新しくWi-Fi使用が認可されたのが6GHz帯です。基本屋内用ですがDFSが不要なのです。24時間不断で使えるチャンネルがドカっと拡張され、利用者のほぼいない現在であれば使い放題というわけです。

もちろん、端末側も対応が必要ですが、我が家では現時点で、

  • 同居人のMSIゲーミングPC、Tiamat
  • 自分のゲーミングPC、Razer Blade 14
  • 同居人のメインスマホPixel 6 Pro

があります。まぁ順調にいって今月でるiPhone 14シリーズも対応するんじゃないでしょうか。ということで、メインのノートとスマホはわりと対応してそうなのでどんなものかと、国内最速で導入してみることにしました。

■設定画面

2台セットで、EasyMeshのコントローラー(親機)とエージェント(子機)のペアリングが組まれた状態で出荷されていますが、我が家の既存EasyMeshメッシュに追加するために速攻で初期化。

設定画面の見た目は従来機とほぼ同じで、6GHzの項が増えてる感じです。

設定画面

・チャンネル番号の謎

手動選択できるチャンネルは、191/195/199/203/…/279/283chと24チャンネルもあります。これはチャンネルを束ねない場合の数になります。飛び飛びなのは6GHz帯域のチャンネル番号の振り方のルールのせいのようです。ここに並んでいるのはチャンネルを束ねない20MHz使用時のチャンネル番号ですが、40MHz(2束)、80MHz(4束)、160MHz(8束)も場合にも番号が振られていて、ITmediaのこちらの図表のようになっています。1chと5chを束ねて40MHzで使う時は3ch、みたいになっています。

そして6GHzのチャンネルは1ch始まりで2.4GHzや5GHzのチャンネル名と被ってて、チャンネル名だけではどの帯域か区別がつきにくいよねって話だったんですが、何故かこのBUFFALOの画面では191ch始まりとなっています。

もっと以前の海外動勢に関する記事では、こんな風になっており、190番台はかなり右寄りになっています。しかし今回日本で認可されたのは5925~6425MHz帯(1〜93ch)で、右寄りの6425~7125MHz帯は保留となっているはずなので、正直よくわからん状態です。既存の2.4GHz、5GHzのチャンネル番号とかぶらないナンバリングがどこかの段階で決まったんですかね??肝心のBUFFALOのサイトの図表ではチャンネル番号が記載されていないのですよね。

ちなみに「倍速モード」を変更してもチャンネルの刻みは変わりませんでした。

・EasyMeshのコントローラーはなんとなく移行

BUFFALOのEasyMeshの仕様上、コントローラー(メッシュの親機)以外はWi-Fi設定が電波強度(100/75/50/25%)以外ロックされてしまいます。6GHz帯の設定項目が存在しないWXR-5950AX12をコントローラーにした場合、なんだかおかしなことになりそうだったので、思い切ってWXR-5950AX12をコントローラーにしてみました。EasyMeshのコントローラー/エージェント切り替えは側面物理スイッチのROUTER/APかWB(中継機モード)でかわるらしく、WNR-5400XE6を(ウチではルーターとしては使わないので)APにし、元々APになってたWXR-5950AX12含め、全てWBにしてしばらく放置したところ、勝手に各エージェントが新コントローラーに紐付けなしできたっぽいです。引っ越し機能は一切使ってないです。ちなみにバックホールはすべて有線LAN。

・管理画面の見た目変わらないけどHTMLレベルでは作り直し?

ほとんどの人にはどうでもいい情報ですが、管理画面のHTML構造が結構かわってました。ウチはEasyMeshのデバイス一覧画面が全部UNKOWNと出るだけで識別ができないので、JavaScriptでMACアドレスを照合して機種名に置き換えるChrome機能拡張を作ってるんですが、結構改修しないと動きませんでした。デザイン(見た目)は使い回しなものの、内部的に色々と再構築されてるのかも知れませんね。

■え、まだつながらない??

さて、いよいよ6GHzどうよ?というところなんですが、残念ながら一晩おいてまだ1台も接続確認ができていませんorz。

・Windows 11

Razer Blade 14′ 2021でAX210の8月頃の最新ドライバーをIntelからおとして入れてみました。デバイス名にWi-Fi 6Eが含まれてるし、各種設定項目には6GHzに関するものが見えるので対応/認識してるのは間違いないのですが、6GHz専用に設定したSSIDが見れません。メッシュ(バンドステアリング)のSSIDにつないでも、5GHzのチャンネルにつながってしまうようです。

Windowsで6GHzに対応したWi-Fiアナライザも発見できておらず、そもそも見えているかどうか不明。

・Android

Pixel 6 Proですがこちらも同じでWi-Fi一覧に現れません。こちらは6GHz対応のアナライザアプリを見つけて入れてみたんですが、6GHz帯域に反応なし。

これはどうも、どちらもハード的にはWi-Fi 6E対応なものの、ファームウェアレベルのリージョンロックがかかってるんじゃないかという気がしてきました。出荷時点では日本は6GHzが認可されていなかったので電波を飛ばさないようにロックされていた的な。今後あらためて技適通ったファームウェアやBIOS、ドライバーの更新を待たないといけないということになりそうです。

考えてみたら当たり前とも言えますが、勇んで初日に特攻した結果がこれで残念…

Pixelはおそらく対応してくれるものと思いますが、RazerとかMSIはどうなんでしょうねー。Intelのドライバーだけで対応できればいいですが、BIOS対応まで必要となると島国向けサポートがあるかどうか、あったとしてどれだけかかるか…

もう少し他の購入者の接続成功例を探してみつつ、対応を待ちたいと思います。結局、最速対応は今月末のiPhone14なんてこともあり得ますかね〜。

ついに我が家のBUFFALOルーターもEasyMesh対応更新、他社製品ともメッシュを組んでみた

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我が家のWi-Fi環境はBUFFALOのWi-Fi6 (4803+1147Mbps)、有線WAN/LAN 10GbpsのWXR-5950AX12です。スペックだけは立派なもののとにかく不安定で突然の再起動などしょっちゅう。夏は外部冷却ファンでずっと風を当ててないとまともに使えないシロモノですが、なかなか同格スペック(特に有線LAN仕様)のものがないので買い換えられずにいます。最近ではせっかくのWAN 10Gbpsを無駄にすることになりますがルーターをYAMAHA RTX1210に戻し、本機はWi-Fiアクセスポイントのみと役割分担させることにしてだいぶマシになりました。熱負荷の問題なのか、ルーター部分に致命的なバグを抱えていたのか不明ですが、かなり再起動の頻度は減った気がします(ログをみても起動時の記録が出ないというハンパ仕様なので気付かないだけかもですが)。

ちなみに現在は消費電力値だけわずかに落ちたWXR-6000AX12が登場しています。

あまりに熱暴走がヒドいのでなんらかの省電力対策をした(だけな)んじゃないかと疑わしいモデルですが、少しはマシになってるんでしょうか。

また我が家は木造2階建てなんですが、こんな立派なアンテナでも全然電波が行き渡らず、(当時同型機のみしか中継機能が使えなかったため)なんとこれを2台も設置しています。それでもトイレや風呂場など微妙なところが多々あります。「3F建て対応」とはなんなのか。

■BUFFFALOのWi-Fi6モデルが全機種EasyMesh対応することになった

そんなこんなで騙し騙し使いつつ、良い代替機種が出たら思い切って買い換えかなぁなどと思っていた折り、BUFFALOから見出しのようなアナウンスがありました。EasyMeshとは業界標準方式でメッシュ(中継ネットワーク)を組む規格です。従来メッシュWi-Fiは各社独自規格でしたがEasyMesh対応を謳う機種同士ならばメーカーが違っても使えるようになるわけです。BUFFALOがWi-Fi6世代のモデルは既発売製品も含めすべてEasyMeshにアップデート対応するぞといいだしたわけです。ということは将来的に中継端末を増やす選択肢が増えたり、徐々に様子を見ながら入替をしていったりと自由度が高まることになります(メッシュモデルはまとめ買いすると高いので)。

WXR-5950AX12のファームウェア更新もしばらく途絶えており、「このまま不安定さの抜本的解決もなされないまま放置かー」などと諦めてましたが、少なくともあと1回は更新が確約されたことになり、もし貯まっていた修正などもあれば一緒に適用されるかも!などと期待は高まります。「よし、じゃぁその更新までは付き合って、それでダメなら買い換えだ!」と決意し、更新を待つことにしました。

■適用してみた

そしてそれは9月末の予定だったのが大幅に延期されて11月末となり、なんのアナウンスもないまま本当に11月末日ギリギリの配信となりました…。長かった。実はその発表を受けてほぼ即座にこちらの中継機も購入済みでした。

もともと同居人の仕事部屋で内蔵Wi-Fiが2.4GHzオンリーだったりWi-Fi6以前のプリンター類などを高速化するためのイーサネットコンバーターとしてTP-Linkの製品を使っていたんですが、こいつも「日に複数回電源を入れ直さないと通信が切れる」とクレームがあり、本機であれば将来的にEasyMeshに組み込めるのでよかろと思って先行して買い換えをしてありました(こちらはすでにEasyMesh対応済み)。TP-Linkよりは安定したもののやっぱりたまにつながらないと言われます。なんか他にもGoogle Nest MiniとかNature RemoとかEchoがつながらなくなるんですよね。なんか大元のアクセスポイント(AX12)がなんらかの理由で再起動した後に再接続できないでつながらないままになる端末がちらほらいる感じ。どいつが原因か不明なんですが仕方ないのでそういう端末を再起動してしのいでいる状態です。

さて、ということでWXR-5950AX12を2台と、WEX-1800AX4EAの3台でEasyMeshによるメッシュネットワークを構築。

・設定は簡単だが使い勝手は微妙…

設定は割と簡単でわかりやすいです。各機種の設定画面でEasyMeshを有効にし、一旦有線LANでつないで放置するだけという感じ(他にもWPSを使う方法もできるぽい)。注意点としてはEasyMeshを有効にした状態ではバンドステアリングなど従来機能の一部が使用不可になる点。例えばAX12の場合、バンドステアリング画面で端末毎に2.4GHz/5GHzのどちらに優先的に接続するか指定したりできたんですが、EasyMeshにするとそれができなくなります。まぁメッシュの考え方はそこら辺を難しく考えなくても最適な電波を使ってくれる、というシロモノなのでわからなくはないですがちょっと悔しい。

設定画面ではこんな感じで接続機器を一覧できます。上の表がコントローラー(メインの親機)とエージェント(メッシュ子機)で、1〜4の番号が振られています。

その下の「デバイス」が個々の端末で、「接続先」の列でどのコントローラー/エージェントにぶらさがっているかを判別できます(画面は途中で見切れてるので全て1ですが)。

EasyMeshの端末一覧画面

またバグなのか仕様なのか、従来のバンドステアリング画面で個別につけられた端末名が適用されず、すべて「Unkown」となります。しかもEashMesh画面側で新規に名前をつけることもできず、Unkownから変えようがない!IPアドレスもほとんどの端末で「不明」となり、どの端末がどのアクセスポイントにつながっているかを知るにはMACアドレスで照合するしかなく事実上役立たずです。バグだと思いたい、アップデートで直ると信じたい!

とりあえずブラウザ側でMACアドレスをもとに端末名を書き換えるJavaScriptを作ってしのいでいます(そのうち別記事で公開するかも)。

・本当に他社製のEashMesh製品を追加できるのか?

中継機のWEX-1800AX4シリーズはAX4なのでアンテナが4本ということですが、2.4GHzと5GHzでそれぞれ2本になるので、5GHzは1202MbpsとAX12の4803Mbpsに比べると抑えめ。その割に9,000円前後するのでやや割高感があります。どうせEasyMesh子機(エージェント)にしか使わないならルーター機能とかいらないんですが、量産効果なのか中継機よりルーターの方がお得ですね。これはほぼ同じ値段で2401Mbps。ちょっと失敗したかも。

ともあれすでに購入してしまった1800AX4はは階下のトイレやお風呂などの「多少遅くても2.4GHzでもいいから確実に届いてほしい場所」用にして、同居人の仕事部屋に確実に速度が出そうなメッシュ子機を導入してみることにしました。こういう柔軟性のある使い方ができるのはメッシュならではです。

同居人が「BUFFALOはなんとなく信用できない」というので、他社製品にすることに。しかし現在、国内市場でみるとBUFFALO以外ではEasyMesh対応機はそれほど多くありません。結局購入したのはこちら。

これまたWEX-1800AX4と変わらぬ値段で5GHzが4802Mbpsと高コスパです。(LinkSysもすべてEasyMesh対応済みというわけではなく、他のモデルでは独自規格採用だったりするのでご注意ください)。

結果としては一応つながりはしたものの、オススメはしづらいという感じです。なぜなら同じEasyMesh規格順序品のはずでも設定フローが統一されておらず、素直に画面指示に従って接続設定が完了しないからです。LynkSysは同製品をペアで使うことを想定しており、子機として設定を進めていくと「親機側で操作しろ」みたいな表示になって先へ進めなくなります。一方BUFFALOは(EasyMesh機能を有効にした上で)有線LANでつないで放置しろ、みたいな感じで噛み合いません。結果としてはBUFFALO側でWPS待機状態にした後、LinkSysもWPSボタンを押したり有線つないだりしているうちにいつのまにか登録されていた、という感じ。LinkSys側を何度もファクトリーリセットしましたし、接続後にLANアドレスを既存LANのセグメントにあわせるのは手動で管理画面に入ってIPアドレスを設定したりDHCPサーバーをOFFにするなど専門的な手順が必要でした(LynkSysの初期IPは192.168.79.1)。メッシュの規格としては統一を目指したものの、設定操作までは及んでない感じで、どちらのマニュアルをみても解決せず手探りで試行錯誤するはめになりました。ちなみに管理画面上で「Other」と表示されているエージェントが本機です。このあたりのデバイス名のやりとりも統一されていない感が伺えます。おそらくなにかあってもどちらからもサポートも受けられない予感。

増設子機としては素直にWSR-3200AX4Sか4800Mbpsにこだわるなら少し奮発してWSR-5400AX6S辺りがいいんじゃないでしょうか。

・で、安定性は?

LinkSysを含めた4台体制になってからまら2,3日ですが今のところ通信断はない気がします。ただ経路は全自動で”最適化”されてしまい、AX12同士が直接つながらないで、1202MbpsのAX4を経由してつながるなどもったいない感じのつながり方をすることがあります。あくまで途切れない(電波が強い)ことを基準に経路選択されているのかわかりませんし、実際速度的なロスがどれくらいあるかも定量的にわかるわけではないですが、気分的には悔しいw。この気持ちの同調できる人は、迂闊に低速端末を参加させない方がいいかも知れません。従来は同規格のメッシュ端末をセットで使うことが普通でしたが、今後色々な性能、メーカーの端末を混在させるようになってくるとこういう問題も気にかかってくるんだな、と思った次第です。

■まとめ

EasyMeshという業界標準(?)規格に準拠したメーカー、モデルを異にする端末でメッシュ環境を組んでみました。もともとバックホールの有線LANは引き回せない環境なので、とにかく電波が弱いなと思うところにメッシュ端末を自由に配置して試行錯誤をしている感じですが、こういう自由度はさすがだなと感じています。できれば「コイツとコイツは常に5GHzで直結」など任意で固定できる部分もあるといいなとは思いますが、それでつながらなくなったら元も子もないのでやはり規格上の「最適化」を信じるしかないんでしょうかね。それらが電波の強さ、バンド、速度などなにをもとに判断されているのか明示してくれると納得感も得られるんじゃないかなと思います。ユーザーがなにを優先したいか重み付けをすることができるとなお良いのですが。

ともあれもう少し様子をみつつ、位置やアンテナ向きをチューニングしていきたいと思います。