クラウンのデジタルキーとBluetooth有効範囲の関係検証

Pocket

クラウンを含む最近のトヨタ車一部車種はスマホをスマートキー代わりにできる「デジタルキー」が搭載されています。

クラウンのスマートキーはカロスポに比べて一回り大きいので持ち歩かなくて済むならメリットではあります(後述の理由でそう単純にもいかなそう)。

メーカーによってはiOSの「ウォレット」に登録してNFCでドアハンドル付近にタッチする方式のものもあります(BMWなど)が、トヨタはBluetoothを使用しているっぽいです。

基本画面

下の画面のようにアプリを起動してGUIで施錠解錠を行う方法と、アプリを起動(バックグラウンドでもOK)した状態でドアハンドルに触れる方法があります。後者の方がスマートキー感覚で手間が少ないですが、スマホOSはメモリ不足になるとバックグラウンドアプリを強制終了してしまうので、100%いつでも機能する保証はありません。ドアハンドルを触れてみて開かなかったら改めてスマホを取り出してアプリを起動して、、ということになります。

開閉ボタン画面

■本当にスマートキーいらなくなるの?

これさえあればあのデカいスマートキーを持ち歩かなくて良いかというと、単純にそうもいかなそうです。

まず上記のように完全にスマートキーと同じユーザビリティを備えておらず、多少の操作が発生しがちであること。

第二の理由として、もし災害などで車両を路上に置いて逃げるなどの事態になった場合、緊急車両の通行妨害になったりした場合に移動できるようキーは置いていくことが推奨されています。火事場泥棒などを考えるとなかなか勇気が要る判断ですが、ガチの災害の時はそうもいってられないかも知れません。この時、スマホを置いてくのは現実的ではないですし置いていっても現場の救助員の人も操作がままならないでしょう。最悪電池を抜くとかワイヤレス機能を無効化した上で車内に常備しておく手もありますが、今度は車上荒らしに見つかったら乗ってかれてしまいます。

第三の理由はリモートパーク機能を使うのにスマートキーで解錠する必要がありそうだということ。解錠することで車両のBluetoothが起動してリモートパークアプリを待ち受ける状態になるようです。デジタルキー(スマホ)でも同等の動作をするのかも知れませんが、少なくとも表記上は「スマートキーで」と書いてあります。なんでも全条件を書きたがるトヨタ構文なら、もし使えるなら「スマートキーまたはデジタルキーで」と書くんじゃないかとw。実際試してもてもデジタルキーの解錠ではリモートパークアプリが接続しない気がします。ただこのリモートパークアプリがまた不安定でつながったりつながらなかったりなので、まだきちんと検証できていません。もし使えたという方がいらしたらコメントで教えていただけると嬉しいです。

第四の理由としては、このデジタルキーが有料のオプションサービスだという点。3年間は無料ですが、それ以降は月550円もかかります。たかだか鍵の開閉でそこらのMVNOの最低料金よりかかるってのはちょっとなーという気はします。

■今時100mとか届くBluetoothで認証して大丈夫なの?

車両盗難にはリレーアタックという手法があります。スマートキーの電波を増幅して、持ち主(=スマートキー)が遠くにいて目が届いていない時に解錠したりエンジンを始動したりする攻撃手段です。

そこでふと思ったのは、そもそも最近のBuetooth 4.xとか5.xって見通しなら100mとか届くので増幅しなくても電波届いて認証状態になってしまうんじゃないの?という点。例えばデジタルキーとして機能している(アプリがバックグラウンドで起動している)スマホが自宅の寝室とかにあって家の前の駐車場に電波届いてたら、あとは車上荒らしがドアハンドルを触れるだけでアンロック&始動できてしまわないの?と。

実際、家の中(2Fとか)でアプリを起動すると、最初の画面のここの部分が「接続済み」になってしまい焦ります。

これはいかんと設定画面から「作動エリアのカスタマイズ」を開き、有効範囲を絞ってみたりしましたが、どうやっても「接続済み」になってしまいます。

作動範囲設定画面

今回、シャッター付きガレージのついた宿に泊まる機会があって、安心して実験環境だったので色々テストしてみました。

結論としては、

「接続済み」と出たスマホを2Fに置いて、1Fのガレージでドアハンドルを触っても解錠できない、ということがわかりました。そしてこの状態で2Fに戻ってスマホのGUIから解錠ボタン、施錠ボタンは聞きました。つまり、

  • 「接続済み」になっている状態でもスマートキー(スマートエントリー)としては使えないが、GUIボタンからは操作できる
  • 「作動エリアのカスタマイズ」はスマートエントリーとして機能する範囲の設定であり、「接続済み」判定になるかどうかには多分影響していない

という風に理解しました(あくまで私の解釈です。実際のところはメーカーにお問い合わせください)。

GUI操作を伴う場合は常にBluetoothで届く最大の範囲が有効で、無操作でスマートキーとして機能する範囲はそこから一定の電波強度(dB)を条件として絞り込んでいる、という感じでしょうか。そりゃそうだよな、という感じではありますが、この辺の仕様がアプリ上の表示や説明書の記載では全く読み取れないのをなんとかしてほしいなと思います。

感覚としてはまぁまぁ動作範囲を広くしていても家の奥に入ればスマートキーとしては反応しないようでしたが、玄関のドア1枚隔てたすぐのところでは開いてしまうこともありました。実使用場面やスマホの機種によってどうしても差が出ると思うので、きちんと自宅で動作検証してエリア設定は最適化しておくことをオススメします。スマートキーのようにリレーアタック対策で金属ケースに入れておくものでもないですし。

ちなみに動作範囲を広くした場合の弊害としては他にも、車両内にスマホを置き忘れていると誤検知して、警告が出たり安全のために無効化され再使用にはアプリ操作して生体認証が必要になったりする点です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)