PICASOU2 ProからCarMate TV + FireTV Stickに乗り換え

クラウンの車載映像環境ですが、これまでOttcastのPICASOU2 Proを使っていました。

これはいわゆるAIBOXと呼ばれるジャンルの有線CarPlay端末をエミュレートするAndroid端末で、CarPlay対応カーナビからはiPhoneが接続されたかのように振る舞い、CarPlayやAndroid Auto接続では使えないアプリも自由に使え、タッチパネル操作も可能で、なおかつ走行中も制限なく利用可能というデバイスです。最近の純正ナビは従来のキャンセラーとは相性が悪い(GPS信号をカットして停止状態に見せかけると、ナビや運転支援機能の精度に支障が出る)ので、その代替として注目を浴びています。特にこのPICASOU2 ProはHDMI入力を備えているため、AppleTVやFireTV Stick(以下FireTV)、Chromecast with GoogleTVのようなストリーミング端末、Switchのようなゲーム機、果ては地デジチューナーなどの映像もこれ経由でナビ画面に映せるという特長を持っていました。

ただし問題点もあって、クラウンなどの12.3インチ超ワイド画面のナビだと、多くのアプリが想定外の縦横比なため、異常に横に長くなり、結果的にものすごく使いづらくなりがち。横幅基準でかなり大きい画面だと認識されて表示要素がかなり大きくなり、逆に縦スクロールがめちゃめちゃ必要になる感じです。まあタッチパネルによる操作も近くは良いのですが、自分の座席と反対側の端っこのボタンは背中を浮かせないと手が届かなかったりしがち。

購入当初はせっかくのワイド画面を活かして、ナビアプリと動画アプリを二画面表示して運転席寄りにナビを表示しつつ、助手席には動画を見せる、みたいなことをしたかったんですが、メモリが4GBしかないせいか不安定で、しまいには車載側のナビまで影響が出たりして最近はナビ系アプリは一切使わないようにしていました(なんとなく車両からGPS信号をとってるとダメな気がしたので)。

他にもNetflixアプリがAndroidTV用ではなく多分スマホアプリ版なせいだと思うんですが、トップ画面に使いもしないゲームがズラっと並ぶなど使い勝手が最悪だったり。

ではPICASOU2 Proの特長であるHDMI入力にAppleTVを使ってリモコンで操作すればイイジャナイ、というかもともとそれがしたくて購入したわけですが、これも問題があって、ナビ側の処理落ちでヒドく音ズレが起きて視聴に堪えないという…。ほんならシステムレベルで音ズレ補正があるFireTV Stickなら、、、と思うワケですが、今度はずっと放置されているバグで音声が左のみのモノラルになってしまうという。

もう「ハンパなAndroid機能なくていいから、HDMI入力映像を単純にCarPlay出力してくれて、音ズレやモノラルバグがなければそれでいいのに…」と思っていたんですが、そしたら当のOttocastから出ました。Car Mate TVおよびCar Mate TV Proです。

送出側が有線CarPlay、入力側がHDMIの単機能変換デバイスです。PICASOU2 ProやPICASOU3のようなAIBOXが4,5万円するのに比べ、これらは実質1.5~2万円程度と半額以下で購入可能です。もちろん技適取得済みです。

・ラインナップ整理

無印とProの違いは、ProにだけワイヤレスCarPlayレシーバーの機能が追加されています。車両の有線CarPlayポートを専有してしまうかわりに、無線経由CarPlayを受けられるようになります。値段はほぼ変わらないんですが、自分は無印をあえてチョイス。何故ならProは起動時に「CarPlay」「HDMI」の選択画面が毎回出るっぽいからです。もしかするとHDMI信号の入力を検知して自動で「HDMI」が選ばれるかもと思ったんですが、公式サイトやレビュー動画をみても触れられていなかったので、滅多に使わないCarPlayのために毎回1タッチ操作が増えるリスクを嫌って無印に。CarPlay使いたい時はUSBを刺し替えればいいかなと。

また非常にわかりにくいですが無印にも2種類あるようです(上記リンクの1番目と2番目)。型番やスペック、最新ファームウェアのバージョン番号までどう見比べても同じなのですが、見た目が明らかに違います。2番目の方は外観はProと同じで〇の中にロゴが入ったデザインです。サイズは誤差レベルで1番目の方が小さいのかなと思いましたが、たぶん2番目の方が「2024新型」と書いてあるのでより新しい改良モデルの可能性があったのと、本体から生えているUSBケーブルが2番目の方が短くて取り回しが良さそうなのでそちらを選びました。設置環境によってはケーブルが長い1番目を選ぶのも良いかも知れません。

■不満は解決した?

・FireTVのモノラル化バグは解消

最大の懸念であったFireTVの音声がモノラルになる(L音声が左右両スピーカーから出る)バグは出ませんでした。こういうテスト用動画でみてもちゃんと「右」って出ている時に声でも「みぎっ」って聞こえます。PICASOU2 Pro + FireTVだとなにも聞こえない状態でした。

・音ズレはマシにはなってるが完全ではない

では音ズレは?というと、PICASOU2 Pro + FireTVよりいくぶんマシになった気はしますが、ゼロではないという感じ。下の写真はFireTVのシンク補正画面です。

真ん中の青いブロックが左から右へと繰り返し流れていき、緑のボールはずっと上下にバウンドしています。ブロックとボールがブロック崩しのように衝突する瞬間に音がなり、視覚と聴覚のズレを見極める仕組みです。リモコンの左右ボタンで下の黄色いノブを左右に動かしズレ幅を補正します。おそらく▲のところが補正ナシだと思います。

さすがに補正ゼロ(▲位置)だと音ズレを感じ、Car Mate TV + Toyota 22ナビだと写真の位置(-12ノッチ)前後がいい感じです(正直前後2,3ノッチくらいだと違いがわからないレベル)。PICASOU2 Pro経由の時はさらに5ノッチくらい左にしていました。

一度補正すればOS全体に反映されるので普段はほぼ気にする必要はありません。ただ自分の知る限りこの補正機能はFireTVにしかありません。音ズレが完全に解消できるならAppleTVに戻したかったんですが、現状それは難しそうです。この音ズレはカーナビ側の性能に依存しているらしいのでCarPlay端末がなんであれゼロにはならないっぽい。ので、CarPlay端末かHDMI出力デバイス側が意識して音をズラして送出してくれる必要があって、現状はFireTVくらいしかそれができなそう、ということです。できればCar Mate TVに補正機能がついてほしいものです。

FireTVは4Kモデルでも実売価格安くていいんですが、最近はホーム画面にすらCMを流すようになっててウザい。あと早送り、早戻しの操作方法やレスポンスもAppleTVのスライドパッドが飛び抜けて快適なんですよね、、

ちょっとまだ電源配線の都合でCar Mate TV + AppleTV 4Kはテストできてないですが、FireTVで音ズレ補正が必要なのを見る限り難しいかなと思っています。tvOS18とかで音ズレ補正機能搭載してくれないかなー…

・補助電源ケーブル不要で動く!

PICASOU2 ProはクラウンのUSB Aポート直結では電力不足で、付属の二股ケーブルで別の充電用USBポートにも接続する必要がありました。しかし処理がシンプルな分、電力消費も抑えられるのか、本機はCarPlay用USBポートに接続するだけで動きました。コンソールボックス内が随分シンプルになった点も地味にメリットです。

そういえば起動時間も若干短いかも?

■設定操作周り

無印Car Mate TVをCarPlay対応ナビにつなぐとHDMI信号待機画面になります(Car Mate TV Proの場合はCarPlayかHDMIか選択画面)。HDMI信号が来ると自動で映るので基本的にCar Mate TV自体に操作要素はほぼありません。ナビ画面をタッチすると画面がフルかアスペクト保持の二択で切り替わります。クラウンのような超ワイド画面の場合、フルにしてしまうと横に太った映像になってしまうので基本触りません。また長押しすると純正ナビに戻ります。この長押し判定が若干渋いという意図通りにいかないことがあるので、できれば短押しに純正ナビ切り替えをアサインしてほしいです。

ファームウェア更新を含む若干の設定は実は本機がWi-FiアクセスポイントとしてSSIDをとばしていて、そこにスマホで接続しWebブラウザから設定画面にアクセスします。SSIDは「Auto-xxxx」(xxxxは個体毎の数字)で、パスワードは「88888888」です。IPアドレスは192.168.1.101。購入時点で最新ファームウェアが適用済みでした。 後でよくみたら最新ファーム来てました。202407~みたいなのが2024年9月現在最新ぽいです。

■まとめ

多機能なAIBOXにかえてシンプルなHDMI変換デバイスのCar Mate TVを導入しました。おそらく手持ちのAIBOX二機種を処分すればお釣りが出るほど安くて良いです。AIBOXは多機能な分、Androidの基本知識がない人に進めづらい部分もありましたが、Car Mate TV自体はほぼ操作要素なしでかつ別途FireTVを買ってもトータルで安くあがるほど安価なので、CarPlay対応車両/ナビをお使いの人にとっては(色々問題のある)ナビ/TVキャンセラーに変わる有望デバイスになるんじゃないでしょうか。

個人的には値段が倍になってもいいのでプロセッサを強化するなどして音ズレ補正機能を搭載してほしいです。ちなみに現在公式情報として、

2024年8月7日時点、HONDA ConnectのZR-V ehev、VEZELやCIVIC及びシビックFLでは、音ズレする事象が確認されておりますが改善策を検討中です。

という記載があります。「トヨタ車でも起きるで?」と言いたいところですが、将来的になにかしら補正機能がついたファームウェア更新が期待できるかも?というところですかね。

■AppleTVも接続してみた。音ズレは…

翌日電源配線を直してAppleTVで再テストしてみました。モデルは第四世代のHD、tvOSは17.6系最新です。

・カラーバランス補正

最近のAppleTVはFaceTime搭載iPhoneを使って自動色味調整ができます。設定モードに入るとTV画面に「ここにiPhoneの画面側を向けて当ててね」っていう枠が出るんですが12.3インチといえどそれが小さすぎて実物のiPhoneサイズと全くあいません。苦心の末、ナビ画面をタッチしてアスペクト比無視のフルスクリーンにしてちょっとだけ拡大した状態で、iPhoneのインカメラを距離1cmくらいに近づけたら計測に進めました。結果として補正前より若干色コントラストが上がって鮮やかになったようです。

・ワイヤレススピーカー同期

実はAppleTVにも音ズレ補正的な機能がありました。「ワイヤレススピーカー同期」という項目で、文字通りBluetooth経由などのスピーカーを使った時の音ズレを補正しようというものみたいです。TV(今回は車両)スピーカーから信号音を出し、それをiPhoneのマイクに拾わせて時間差を計測してるみたいです。最初「トーン信号を検出できませんでした」的なエラーが出てなかなか計測できませんでしたが、ナビ音量を40以上まで上げ、iPhoneのマイク側をドアスピーカーに近づけてようやく検知してくれました。

結果としてはいまいち。補正できたかどうか微妙です。

本来は針が真ん中(真上)を刺した瞬間に音が鳴るはずが、若干遅れて左右に2目盛りほど針が進んだ瞬間に鳴っています。これだけズレていると、人がしゃべっている動画だとリップシンクが気になります。アニメやゲームとかでも爆発とか何かがぶつかってカン!とか衝突するような効果音だと違和感が生じます。

操作感ではAppleTVの方が抜群に良いのですが、このズレ補正ができるのがFireTV Stickという感じで現状は操作感を我慢してFireTVかなぁというところです。Car Mate TV自体に音ズレ補正機能が搭載されることを切望します。

新型クラウンのスペアホールにDタイプスイッチがはまらかなかった話(3Dプリンターで解決)

自動車のスイッチユニットはメーカー毎にサイズが規格化されていて、オプションの有無によって空きスロット(スペアホール)があり、そこに新たなスイッチや最近だとUSB充電器などを取り付けられるようになっています。トヨタ車だとA~Dの4タイプがあるようです。

例えばこういうものがDタイプです。正方形なのが特徴。

今回クラウンのスペアホールにデータシステムのTV-KITの切り替えスイッチを取り付けようとしたところ、元からついてたキャップと同社の付属スイッチTSW016がサイズが全く違って取り付けられませんでした。

右が取り外したキャップ。左がTSW016。
ボタンの大きさは23×23で同じ。紛れもなくDタイプ。

ボタン自体は同じっぽいのですが、後方のスイッチのケース部分が大きく違っています。取り外したキャップの方が大きいので、TSW016がスカスカで固定できません。なにかサイズ変換アダプタのようなものが売ってないか探してみたんですが見つからず。テープなどでグルグル巻きで太くしたり、厚めの両面テープで止めるなども考えましたが、差し込み方向できちっと固定するのは至難の業。

2023.4.28追記:

データシステムさんから返信がありました。やはり仕様として4つあるスイッチパネルのうちの左端には取り付け不可とのことで、その隣につける想定のようです。ただウチの仕様だと左から2番目のパネルは元からウインドウシールドデアイサーのスイッチが入っています。ウインドウシールドデアイサーは寒冷地仕様に含まれるので、寒冷地仕様をオプションでつけた人や(それが標準となる)北海道の人はそもそもこのビルトインスイッチは取り付けできない、ということになります。それは是非適合表にも注釈を載せておいてほしいとお願いしておきました。

アダプタを自作

仕方ないので3Dプリンターで自作してみました。

当該スイッチをセットしたところ

フィラメント(プリント材料)は少しでも熱に強い方がいいかなと思いPETGにしたら色が半透明というかほぼ白なので色を塗らないとかもと思ったんですが、取り付けてみると全然見えないので平気でした。少し奥行きが短いのは単純に時短です。上下の三角の突起で固定されるので、それより後ろはなくても同じのはず。スイッチと作成したケースの固定は、スイッチを前から押し込む形で特にロック機構はなし。普通に使っている分には手前に引き出す方向の力はかからないのでいっかと。

パネル背面から装着した様子(白い部分が本アダプタ)

予定外の作業が発生してすっかり夜になってしまいましたがバッチリ取り付けできました(そのうち昼間に撮り直します)。

もしかしたら見落としているだけで既製品があるのかも知れませんが、とりあえず即日で対処できたので良かったです。クラウンのこのパネルはかなり他のパーツと絡んでいて、ここを取り付けなければ他のパーツも組み戻せず、車両を使えない時間が増えるところでした(翌日乗る用事が控えており焦りました)。

単純なプラスチック部品で済む話なので、データシステムさん含めどこかが商品化してくれるといいんですけどね。もしこんな間に合わせの設計データでも欲しいという方がいらっしゃいましたらDMM.make辺りにSTLデータを公開しようかと思います。

2025.3.13追記 造形パラメーター最適化

久しぶりに頒布希望のコメントをいただいたので、現在もてる材料、装備を駆使して改めて造形してみました。

材料は自分の時のPETG(耐熱性能70℃程度)からASA(耐熱性能100℃)に変更。ノズルも通常の0.4mmから0.2mmに変更し、レイヤー厚0.1mmで造形。小さな突起までかなり綺麗に造形できた気がします。ASAは材料の単価としては少しお高いし、車内使用といっても直射日光が当たる場所ではないのでPETGでもよっぽど平気かとは思いますが、万一変形したりすると面倒くさい位置に使うので、安心代としてはアリかなと。実際2年経ってPETGの部品は少し変形がありました。

印刷レシピは固まったのでバンバン作れます。ご要望の方はお気軽にお問い合わせください。

左右は少しやり方を変えて比較したもの。右の方が綺麗なので出荷版は基本こちらに。

以下個人的造形パラメーターメモ

ASAはPLAやPETGよりも表面が荒れやすいイメージでしたが、今回は(写真左の向きで造形して)トップに面が広くないのであまり粗が出なかったかも。壁面生成ロジックを通常の「クラシック」(右)と「Arachne」(左)で出し比べてみましたが、こういうカチっとした形状だとクラシックで良かったかなという印象。Arachneの方は側面に少しアーティファクト(余計な凹凸)が出来てしまいました。Arachneは動的に壁厚を変化させて局面をなだらかにでき精度も上がるとの話ですが、直線的な形状ではあまりメリットはないかなと(今回たまたま出た差かもですが)。

2025.5.12追記 モデルVer.2

さらに立て続けにお二方より注文いただいたので、もうちょっとブラッシュアップしたくなり、モデルの方もバージョンアップすることにしました。

当初はバラし作業中に必要に駆られて即興で作って「使えればいいや」で済ませていましたが、今回改めてパネルをクロスオーバーから外してきて、バチバチに精緻化してガタツキを排除しました!単に元からついているダミーキャップを完全再現するのではなく、改めて形状をしっかり理解し、揃えるべき点、改良しても良い点を見極めて最適値を追求しています。ご要望いただく方の中には納車時にディーラーにつけてもらう、といった方もおり、その段になって不具合があると納車日程に影響が出たり再施工になって工賃が余計にかかったりというご迷惑になってしまうリスクがあるので、しっかり完成度を上げておきたいところです。

完成体がこちら。上が元からついているダミーキャップ、左下がテレビキットに含まれるTSW016スイッチです。トヨタ用Dタイプという規格のスイッチなので、データシステム製以外でも使える可能性は高いですが、当方では未確認です。

で、右下がVer.2アダプタです。純正パーツにあわせて上下がわかる▲マークを入れてみました。▲が向いている方が上です(といってもさぶん逆さまでも使えます)。全長は影響ないので少し短くしています。

TSW016をアダプターに装着した様子。

Ver.2の改善箇所ですが、例えばこの各面に2本ずつあるレール状の突起ですが、

(左がボタン側)

パネル側の枠に対してガタ付きなく固定するためのもののようです。これをピッチリ造形するのは3Dプリンターでは難しいので、少し傾斜をつけてみました。これで差し込むに連れてキツくなっていく形です。逆に側面からの距離や太さなどはあまり重要ではないことも判明(相手方にこれがささるレールがあるわけではない)。お尻側も3Dプリントの都合で45°傾斜をつけています(こうするとサポート材がいらない)。

その後ろの三角形の突起がパネル側の抑えプレートの穴に引っかかって後ろに戻らないよう固定する役目があります。抑えプレートが弾性で上下から抑えているのですが、あまりこの突起が大きいとプレートを大きく曲げなければならず、破損のリスクが高まります。プレートは0.8mmくらいでとても薄いのです。そこで元パーツよりも少しだけこの山の高さを抑えてみました。

基本的には一度つけたらそうそう外すものではないですが、なんだかんだで純正品ほど強度がないかも知れないし、脱着の手間や破損リスクも抑えています。

造形材料はより寸法精度と強度が上がるASA-CFにしています。ASAの耐熱100℃でも充分ですが、-CFだとさらに110℃まで耐えられ、なにより造形が綺麗になるメリットがあります。サイズ誤差も生じにくいとのこと。ただしカーボンファイバー入り材料はステンレス製ノズルが使えないので、(焼き入れスチール製が存在しない)0.2mmノズルでは造形できず、0.4mmに戻すことにはなりました。それでも現車合わせでしっかり精度が出せるよう各所調整しています。材料原価が1.5倍くらい高いですが、今後ASAを在庫するのは止めようと思っているので、ASA-CFに最適化しています。

Ver.2の利用実績

自分のも含め、ご使用いただいた方からのフィードバックを抜粋して記載していきます。

  • 2025.5.12 クロスオーバー改良前①(当方)
    • 問題なく使用できています。
    • 使用スイッチ:データシステム製TSW016
  • 2025.5.22 スポーツ①
    • 施工担当者曰く、多少緩くテープを巻いたとのことながらが取り付け自体は成功
    • JES TV NAVI コントロール(品番TXR-68)付属スイッチ
  • 2025.5.27 スポーツ③
    • 上記同様、0.3mmのビニールテープを2周巻いたら丁度良かった
  • 2025.5.23 エステート①
    • 曰く「ディーラー担当シュアも感心するほどジャストフィット」とのこと
    • 使用スイッチ不明
  • 連絡待ち スポーツ②

スポーツの2台が緩かったが、エステートはジャストフィット、というのが謎ですね。

クロスオーバーとスポーツは部品検索サイトでみると、スペアスイッチカバーの部品番号は55539-42070-C1で共通なんですけどね、、ガワの方が違う?でもさすがにメーターフードも一体になったアッシュ単位でしか購入できないぽいので、スポーツのものも買うと高そう。現在フィッティングに協力いただける方にサイズバリエーションをお送りしてピッタリサイズを探ろうとしています。

また調査時点でエステートはまだ掲載されておらず不明。セダンは全スロット通常のDタイプスロットぽい(後述)のでそもそもこのアダプタは不要です。

クロスオーバーの該当箇所

■参考: 装着手順

実際にはナビ裏まで配線が必要なので、これよりもっと多くの部分の分解が必要ですが、以下はあくまでスイッチ部分までのアクセスということでまとめておきます。ちなみにそこまでならすべてクリップ止めなのでドライバーでネジを外す必要はありません。

なお全バラシ動画としてはこちらなどが参考になるかと思いますので合わせてご確認ください。

動画内でもやっておりますが、内装剥がしツールは樹脂製のものを使い、差し込む際には養生テープやマスキングテープを貼って傷にならないようご注意ください。以下手順に沿った結果傷や破損が起きても自己責任でお願い致します。

・パネル外し

最初に外すべきパネル部分を確認します。以下のパーツが一体になっており、メーター外周の光沢ブラックのパネルまでまとめて外す必要があります。ステアリングコラムの上の布状のパーツもついてきますので破らないようご注意ください。またこの裏にはグリスがついていて、余計なところに付着させないよう気をつける必要もあります。

手始めにドア側の2つのパネルを外します。ネジは使われておらず基本は引っ張るだけですが、力を入れすぎて破損させないよう丁寧に根気よく作業してください。

赤線のパネルはウィーサーストリップ(ゴム)を外しておいて、適当な隙間に内装はがしを入れててこの原理で剥がします。慣れると素手でも..

緑線の方のL字のパネルは手前(後席方向)に引っ張る感じ。

あとは順番に外周のクリップを外していきます。今回は後付けのカップホルダーがついていたので引っ張るのが楽でした。

まず下側のパネルが上にかぶっているので、少しだけ引っ張って浮かせます。

メーターの上部も丁寧に手前に引っ張ってクリップ(赤)を抜いていきます。

左側はナビ画面下の加飾パーツが上にかぶっているので、そちらを浮かせて隙間を作ります。このパーツは助手席側まで伸びていますが、おおむねボリュームツマミくらいまで浮かせておけば大丈夫そうです。

そんな感じで丁寧に重なるパーツを排除しながら当該パネル全体を引き出していきます。

その下の始動スイッチのパネルも少しだけ浮かせる必要があるかも知れません。

最後にステアリングコラムの上にある布パーツですが、写真のように左右2枚の位置決めプレートと、4本のピンが刺さっていますので、丁寧に外していきます。

パネル全体がフリーになったら、スイッチ裏の2つのコネクターを外します。どれもコネクター上面に固定爪があるので、つまんで後ろ(車両前方側)に引っ張れば抜けます。色(形も?)が違うので、戻す時に間違えないよう覚えておきます。ウチの場合は、手前から黒、白、青でした。さらにこの奥が問題の空きスロットで、ダミーキャップがはまっている区画になります。

コネクターは意外とこの3つだけで、メーター側は電気的な接続はありません。

・スイッチ部品取り付け

アダプター側面の△を上にして、TSW016スイッチのLEDが上になるような向きで取り付けます。

下の写真がダミーのフタを取り外したところです。上下にある四角い穴のあいたプレートで挟み込んで固定しています。四角い穴にはスイッチユニットの▲の突起がひっかかってロックされているので、ボタンを外すにはこの上下の薄いプレートを開いてロックを外してやる必要があります。このプレートが非常に薄くて割れやすいので開く時は薄くて幅広の内装剥がしなどでそっと作業します。

順番としては、まず上側を持ち上げて、スイッチを下に傾けるようにしてパチっと言うまで引きます。片側はおそらく指でもできますが、それによって反対側はピタっとくっつくので、下は薄い板状の内装はがしかマイナスドライバーを使うと良いでしょう。割らないようにそっとそらして下側のロックも外してスイッチ全体を引き抜きます。

ちなみに左右のパネルには2本のレール状の凹みが見えますが、これがスイッチ側の突起と噛み合うかと思いきや、全然ズレた場所にありました。単に曲がりを抑えるためのリブ構造かも知れません。気にしなくて大丈夫です。

スイッチの取り付けは基本真っ直ぐ奥まで差し込むだけです。上下パネルの四角い穴にスイッチの▲毒気がパチっとはまればOKです。少しスイッチが飛び出るところまで差さると思いますが、スイッチ前面を押し込んでやるといいところで止まるはずです。

今回のVer.2を使えば隣の純正ボタンなみにガタつかずに同じ感触でスイッチが押せるようになると思います。

表側を確認して、ツライチで他のボタンと揃っており、ボタンがしっかり押し込めることを確認します。

2025.5.20追記: モデルによって4スロットと5スロットがある!?

コメントでご指摘いただきました。同じ新型クラウンでもここのパネルのボタンスロット数に違いがあるようです。公式Webマニュアルで比較してみます。

クラウンクロースオーバー(改良前)

4スロットです。一番左だけ仕切りがあります。ウチはこれですが、寒冷地仕様で左端は空きスロットでした。内訳や空き状態はメーカーOPによって違いそうです。エンジンによっても違うかもですが、マニュアルでは追えません。

クラウンスポーツ

なるほど、確かにスポーツでは4+1スロットの計5スロットです。左端だけ仕切り線があるのは共通です。ここがナンチャッテDタイプ(表に出ている部分はDタイプ形状だが、裏はより大きなスロット)だる可能性はあります。

クラウンセダン

次に発売されたセダンも5スロット。ただし仕切り線がなく5つすべて通常のタイプDという可能性も?

クラウンエステート

こちらはスポートと同じ4+1スロット構成。PHEVもHEVも同様。

クロスオーバー(改良後)

そしてなんとクロスオーバーでも2024/4月の改良モデルだと4+1スロット化されていました。

モデル別スロット構成まとめ

  • 基本は4+1スロットが主流
  • クロスオーバー初期型のみ3+1スロット
  • セダンは仕切りがない5スロット
  • クロスオーバーの写真は改良前後とも+1スロットが手動光軸調整ダイヤルが写っている(ただし少なくともRS寒冷地仕様は空き)

となるようです。現状ではおそら総数4でも5でも+1スロットだけ別扱いしているということで、1つだけ裏面の規格がことなる可能性が高いかなと思います。セダンは全スロット普通のDタイプってことですかね?

これも推測ですが+1スロットは手動光軸調整ダイヤルが入るので、裏側のユニットサイズが通常のDタイプより大きくなるため区分けしてあるんじゃないかなと思います。手動光軸調整はグレードでBi-Beamと4眼が分かれるクロスオーバーのBi-Beam搭載車(X/G?)にのみに存在するらしいが、パネル部品を共有する他車種でも空きスロットは存在するってことですかね。セダンだけ仕切りがなくタイプDx5になってるのは、逆に5つ必要になるグレード/オプションが存在するのか、部品を変えてでもスッキリさにこだわったのか。

2025年5月現在では3+1スロの改良前クロスオーバーRSでしか本アダプタの検証ができてないですが、スポーツとエステートの納車待ちの方にはお送りしているので、フィードバックがあれば追記していきたいと思います。

現時点では本アダプタが出来ようできる可能性が高いのは。

  • クロスオーバーの4眼ヘッドライト搭載車(Z/改良前RS系/改良後RS/GALP/GLP。要はG/X以外)
  • スポーツ
  • エステート

でしょうか。クロスオーバーG/Xは+1スロットが使用済みだから除外。セダンは+1スロット自体が存在しないから除外。

スポーツとエステートは+1スロットはあるが、使用するグレードが無いと思われる(未確認)。

というところでかなと。

TVキャンセラー製品の適合表などをみて使用不可となっていれば可能性があるかなと思います。