PICASOU2 ProからCarMate TV + FireTV Stickに乗り換え

クラウンの車載映像環境ですが、これまでOttcastのPICASOU2 Proを使っていました。

これはいわゆるAIBOXと呼ばれるジャンルの有線CarPlay端末をエミュレートするAndroid端末で、CarPlay対応カーナビからはiPhoneが接続されたかのように振る舞い、CarPlayやAndroid Auto接続では使えないアプリも自由に使え、タッチパネル操作も可能で、なおかつ走行中も制限なく利用可能というデバイスです。最近の純正ナビは従来のキャンセラーとは相性が悪い(GPS信号をカットして停止状態に見せかけると、ナビや運転支援機能の精度に支障が出る)ので、その代替として注目を浴びています。特にこのPICASOU2 ProはHDMI入力を備えているため、AppleTVやFireTV Stick(以下FireTV)、Chromecast with GoogleTVのようなストリーミング端末、Switchのようなゲーム機、果ては地デジチューナーなどの映像もこれ経由でナビ画面に映せるという特長を持っていました。

ただし問題点もあって、クラウンなどの12.3インチ超ワイド画面のナビだと、多くのアプリが想定外の縦横比なため、異常に横に長くなり、結果的にものすごく使いづらくなりがち。横幅基準でかなり大きい画面だと認識されて表示要素がかなり大きくなり、逆に縦スクロールがめちゃめちゃ必要になる感じです。まあタッチパネルによる操作も近くは良いのですが、自分の座席と反対側の端っこのボタンは背中を浮かせないと手が届かなかったりしがち。

購入当初はせっかくのワイド画面を活かして、ナビアプリと動画アプリを二画面表示して運転席寄りにナビを表示しつつ、助手席には動画を見せる、みたいなことをしたかったんですが、メモリが4GBしかないせいか不安定で、しまいには車載側のナビまで影響が出たりして最近はナビ系アプリは一切使わないようにしていました(なんとなく車両からGPS信号をとってるとダメな気がしたので)。

他にもNetflixアプリがAndroidTV用ではなく多分スマホアプリ版なせいだと思うんですが、トップ画面に使いもしないゲームがズラっと並ぶなど使い勝手が最悪だったり。

ではPICASOU2 Proの特長であるHDMI入力にAppleTVを使ってリモコンで操作すればイイジャナイ、というかもともとそれがしたくて購入したわけですが、これも問題があって、ナビ側の処理落ちでヒドく音ズレが起きて視聴に堪えないという…。ほんならシステムレベルで音ズレ補正があるFireTV Stickなら、、、と思うワケですが、今度はずっと放置されているバグで音声が左のみのモノラルになってしまうという。

もう「ハンパなAndroid機能なくていいから、HDMI入力映像を単純にCarPlay出力してくれて、音ズレやモノラルバグがなければそれでいいのに…」と思っていたんですが、そしたら当のOttocastから出ました。Car Mate TVおよびCar Mate TV Proです。

送出側が有線CarPlay、入力側がHDMIの単機能変換デバイスです。PICASOU2 ProやPICASOU3のようなAIBOXが4,5万円するのに比べ、これらは実質1.5~2万円程度と半額以下で購入可能です。もちろん技適取得済みです。

・ラインナップ整理

無印とProの違いは、ProにだけワイヤレスCarPlayレシーバーの機能が追加されています。車両の有線CarPlayポートを専有してしまうかわりに、無線経由CarPlayを受けられるようになります。値段はほぼ変わらないんですが、自分は無印をあえてチョイス。何故ならProは起動時に「CarPlay」「HDMI」の選択画面が毎回出るっぽいからです。もしかするとHDMI信号の入力を検知して自動で「HDMI」が選ばれるかもと思ったんですが、公式サイトやレビュー動画をみても触れられていなかったので、滅多に使わないCarPlayのために毎回1タッチ操作が増えるリスクを嫌って無印に。CarPlay使いたい時はUSBを刺し替えればいいかなと。

また非常にわかりにくいですが無印にも2種類あるようです(上記リンクの1番目と2番目)。型番やスペック、最新ファームウェアのバージョン番号までどう見比べても同じなのですが、見た目が明らかに違います。2番目の方は外観はProと同じで〇の中にロゴが入ったデザインです。サイズは誤差レベルで1番目の方が小さいのかなと思いましたが、たぶん2番目の方が「2024新型」と書いてあるのでより新しい改良モデルの可能性があったのと、本体から生えているUSBケーブルが2番目の方が短くて取り回しが良さそうなのでそちらを選びました。設置環境によってはケーブルが長い1番目を選ぶのも良いかも知れません。

■不満は解決した?

・FireTVのモノラル化バグは解消

最大の懸念であったFireTVの音声がモノラルになる(L音声が左右両スピーカーから出る)バグは出ませんでした。こういうテスト用動画でみてもちゃんと「右」って出ている時に声でも「みぎっ」って聞こえます。PICASOU2 Pro + FireTVだとなにも聞こえない状態でした。

・音ズレはマシにはなってるが完全ではない

では音ズレは?というと、PICASOU2 Pro + FireTVよりいくぶんマシになった気はしますが、ゼロではないという感じ。下の写真はFireTVのシンク補正画面です。

真ん中の青いブロックが左から右へと繰り返し流れていき、緑のボールはずっと上下にバウンドしています。ブロックとボールがブロック崩しのように衝突する瞬間に音がなり、視覚と聴覚のズレを見極める仕組みです。リモコンの左右ボタンで下の黄色いノブを左右に動かしズレ幅を補正します。おそらく▲のところが補正ナシだと思います。

さすがに補正ゼロ(▲位置)だと音ズレを感じ、Car Mate TV + Toyota 22ナビだと写真の位置(-12ノッチ)前後がいい感じです(正直前後2,3ノッチくらいだと違いがわからないレベル)。PICASOU2 Pro経由の時はさらに5ノッチくらい左にしていました。

一度補正すればOS全体に反映されるので普段はほぼ気にする必要はありません。ただ自分の知る限りこの補正機能はFireTVにしかありません。音ズレが完全に解消できるならAppleTVに戻したかったんですが、現状それは難しそうです。この音ズレはカーナビ側の性能に依存しているらしいのでCarPlay端末がなんであれゼロにはならないっぽい。ので、CarPlay端末かHDMI出力デバイス側が意識して音をズラして送出してくれる必要があって、現状はFireTVくらいしかそれができなそう、ということです。できればCar Mate TVに補正機能がついてほしいものです。

FireTVは4Kモデルでも実売価格安くていいんですが、最近はホーム画面にすらCMを流すようになっててウザい。あと早送り、早戻しの操作方法やレスポンスもAppleTVのスライドパッドが飛び抜けて快適なんですよね、、

ちょっとまだ電源配線の都合でCar Mate TV + AppleTV 4Kはテストできてないですが、FireTVで音ズレ補正が必要なのを見る限り難しいかなと思っています。tvOS18とかで音ズレ補正機能搭載してくれないかなー…

・補助電源ケーブル不要で動く!

PICASOU2 ProはクラウンのUSB Aポート直結では電力不足で、付属の二股ケーブルで別の充電用USBポートにも接続する必要がありました。しかし処理がシンプルな分、電力消費も抑えられるのか、本機はCarPlay用USBポートに接続するだけで動きました。コンソールボックス内が随分シンプルになった点も地味にメリットです。

そういえば起動時間も若干短いかも?

■設定操作周り

無印Car Mate TVをCarPlay対応ナビにつなぐとHDMI信号待機画面になります(Car Mate TV Proの場合はCarPlayかHDMIか選択画面)。HDMI信号が来ると自動で映るので基本的にCar Mate TV自体に操作要素はほぼありません。ナビ画面をタッチすると画面がフルかアスペクト保持の二択で切り替わります。クラウンのような超ワイド画面の場合、フルにしてしまうと横に太った映像になってしまうので基本触りません。また長押しすると純正ナビに戻ります。この長押し判定が若干渋いという意図通りにいかないことがあるので、できれば短押しに純正ナビ切り替えをアサインしてほしいです。

ファームウェア更新を含む若干の設定は実は本機がWi-FiアクセスポイントとしてSSIDをとばしていて、そこにスマホで接続しWebブラウザから設定画面にアクセスします。SSIDは「Auto-xxxx」(xxxxは個体毎の数字)で、パスワードは「88888888」です。IPアドレスは192.168.1.101。購入時点で最新ファームウェアが適用済みでした。 後でよくみたら最新ファーム来てました。202407~みたいなのが2024年9月現在最新ぽいです。

■まとめ

多機能なAIBOXにかえてシンプルなHDMI変換デバイスのCar Mate TVを導入しました。おそらく手持ちのAIBOX二機種を処分すればお釣りが出るほど安くて良いです。AIBOXは多機能な分、Androidの基本知識がない人に進めづらい部分もありましたが、Car Mate TV自体はほぼ操作要素なしでかつ別途FireTVを買ってもトータルで安くあがるほど安価なので、CarPlay対応車両/ナビをお使いの人にとっては(色々問題のある)ナビ/TVキャンセラーに変わる有望デバイスになるんじゃないでしょうか。

個人的には値段が倍になってもいいのでプロセッサを強化するなどして音ズレ補正機能を搭載してほしいです。ちなみに現在公式情報として、

2024年8月7日時点、HONDA ConnectのZR-V ehev、VEZELやCIVIC及びシビックFLでは、音ズレする事象が確認されておりますが改善策を検討中です。

という記載があります。「トヨタ車でも起きるで?」と言いたいところですが、将来的になにかしら補正機能がついたファームウェア更新が期待できるかも?というところですかね。

■AppleTVも接続してみた。音ズレは…

翌日電源配線を直してAppleTVで再テストしてみました。モデルは第四世代のHD、tvOSは17.6系最新です。

・カラーバランス補正

最近のAppleTVはFaceTime搭載iPhoneを使って自動色味調整ができます。設定モードに入るとTV画面に「ここにiPhoneの画面側を向けて当ててね」っていう枠が出るんですが12.3インチといえどそれが小さすぎて実物のiPhoneサイズと全くあいません。苦心の末、ナビ画面をタッチしてアスペクト比無視のフルスクリーンにしてちょっとだけ拡大した状態で、iPhoneのインカメラを距離1cmくらいに近づけたら計測に進めました。結果として補正前より若干色コントラストが上がって鮮やかになったようです。

・ワイヤレススピーカー同期

実はAppleTVにも音ズレ補正的な機能がありました。「ワイヤレススピーカー同期」という項目で、文字通りBluetooth経由などのスピーカーを使った時の音ズレを補正しようというものみたいです。TV(今回は車両)スピーカーから信号音を出し、それをiPhoneのマイクに拾わせて時間差を計測してるみたいです。最初「トーン信号を検出できませんでした」的なエラーが出てなかなか計測できませんでしたが、ナビ音量を40以上まで上げ、iPhoneのマイク側をドアスピーカーに近づけてようやく検知してくれました。

結果としてはいまいち。補正できたかどうか微妙です。

本来は針が真ん中(真上)を刺した瞬間に音が鳴るはずが、若干遅れて左右に2目盛りほど針が進んだ瞬間に鳴っています。これだけズレていると、人がしゃべっている動画だとリップシンクが気になります。アニメやゲームとかでも爆発とか何かがぶつかってカン!とか衝突するような効果音だと違和感が生じます。

操作感ではAppleTVの方が抜群に良いのですが、このズレ補正ができるのがFireTV Stickという感じで現状は操作感を我慢してFireTVかなぁというところです。Car Mate TV自体に音ズレ補正機能が搭載されることを切望します。

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