Keychron K7の長すぎるスペースキーを3Dプリントで改造

先日購入して、スペースキー長すぎ(英数、かなキーを押すのに親指を深く曲げなければならない)問題を指摘しました。

(リンク先はUS配列です。キー配列、LED色、軸の違いにご注意ください)

本記事はそれを改善すべく3Dプリンターでオリジナルキートップを作ってみた、というものです。

■普段使いのMX Mechanicalを観察

自宅の作業部屋でメインのWindows機とMacで使っているMX Mechanical(JIS配列)を眺めてみます。

英数(無変換)キーの右端はCキーの真ん中くらい、かな(変換)キーはMキーに少しかかるくらいです。特にこれまで違和感を抱いたことはなかったので、これくらいであれば問題ないと思われ、これを目標にしてみたいと思います。

あとスペースキーのテカりをみると、基本的に右手で右寄りを叩いているみたいですね(^^)。

■補助ステムが問題だった

いきなり完成体も見せてしまいますが、英数、スペース、かなキーを外したところがこちら。それぞれのキーの下の赤軸キースイッチと、スペースキーの両端部分には長いスペースキーをまっすぐに押し込めるよう補助的なダミーのステム(正式な名前がわからないので本記事では便宜上「補助ステム」と呼んでおきます)があります。

さきほど見た理想位置でいうと、黒い補助ステムまでカバーするような幅の英数&かなキーを作ればよさげということになりますが、これがうまくいきませんでした。まずこの黒ステム同士は裏側でつながっており、片方を押すと反対側もへっこむ構造になっていたのです。スペースバーが綺麗に傾かずに押せるようにするためのものなんでしょうが、今回は裏目に出ます。一応そういうスイッチを作って装着してみて、反対側の補助ステムまでへっこむものの、そちら側の赤軸スイッチまではぎりぎり押されないくらいの傾きで済みました。多少見た目や手触りに違和感はでますが、まぁ動作としてはギリギリ許容範囲。しかしさらにもうひとつ問題が。両端の支えを失ったスペースバーがまっすぐ押せないのです。さきほどみたように自分はスペースキーを右寄りで叩きます。そうすると徐々に左側が浮いてきて、十回も叩けば赤軸ステムに差し込んであるだけのキーがポロっと外れてしまうのです。代わりにベースプレート(あるいはキー裏)に張り付けられるようなダミーステムでもあればいいんですが、単なる高さ固定のブロックとかではダメそう。

ということで写真の「Mod」のように、スペースキーがギリギリ補助ステムにのっかる幅に縮め、それに接触しないギリギリまで英数、かなキーを伸長する、というところで妥協。キー同士の感覚も他よりもかなり狭くなっています。英数カナキーもステムに対して片側が伸び、そこばかりを押す形になりますが、一応外れてしまうことなく使えています。

MX Mechanicalと比べてみると、かなキー側はむしろ大きく内側に張り出していて十分な感じ。英数キーはまだまだ足りてないですが、デフォルト状態よりはいくぶんマシという感じです。英数モードに切り替えるつもりでスペースおして空白文字が入ってしまった、ということはほぼなくなりましたが、しばらくタイプしていると若干左手首に痛みを感じる、といったところです。

■見た目を綺麗にしたい

まずキー上の印字ですが、スライサー上でプレビューしてみた感じ、0.2mmノズルを使っても1mmを切るような細い線はきれいに造形されないぽいことがわかり、一旦断念しました。シールで貼るとかも考えましたが、かなと英数の2キーで特に間違えることもないので、自分で使う分にはまぁなしでいっかと。

面のきれいさについては、造形の向きなども試行錯誤しました。表面に傾斜をつけているので、表面が滑らかになるように水平をとろうとするとステムを斜めに造形することになり精度が落ちて刺さらなくなりがち。ステム部分だけ別造形して接着剤でくっつけることも試したんですが、なかなかうまくまっすぐにつかなかったり。やはりこのサイズの造形物だと綺麗さと精度を両立させるのは難しいですね。光造形方式の3Dプリンターならワンチャンあるかもですが。

最終的に、スペースキーは表面が水平になるように(ステムはやや斜める)、英数、かなキーは垂直に立てて造形しました。きれいにサポートがはがれるようにサポート専用フィラメントも活用(これめっちゃ便利なのでおいおい別記事にしたいと思います)。

とりあえずサンドペーパーとリューターで表面を滑らかにしたのが写真の状態。ちょっとしらっちゃけてしまっています。積層痕も多少残っているので、本当はプラサフを噴いて塗装までしたいところです。ただたまたま在庫していたグレーの安物フィラメントの色がいい感じにKeychronのもともとのキーキャップと違和感なくマッチしているので、わざわざまた似た色の塗料を探して買ってくるまでもないかなー、どうしようかなー、というところです。

■まとめ

モバイル(ジム)用に導入したKeychron K7キーボードの大きな不満点の1つである英数・かなキーが外側に寄りすぎてて親指がしんどい問題が一応ある程度納得のいく形にモディファイできました。あとはカーソルキーだけまだ不慣れですが、かなり快適にキー入力できるようになりました。この記事もそれでご機嫌にタイプしています。

これだけ快適だと、MacBook ProやSurface ProXでも使いたくなってきます。早速MBPでも尊師スタイルで使えるようにタイプスティックを注文しました。

これはHHKBアクセサリで有名なバード電子さんのキーボードブリッジの携帯版みたいなアイテムで、MBPのキーとキーの隙間に足を置いて、二枚板でキーボードを支えるものです。まぁMBPのキーボードは特に不満はないのですが、気持ちよさではKeychronという感じなのでしばらく使ってみようかなと。ただ赤軸とはいえMBPのキーボードよりはカチャカチャ鳴ってしまうので、人のいるところでは使えないかも知れません。

2024.12.01追記

ご要望いただき別機種用のカスタムモデルを製作しました。

手元に対象モデルがない状態でサイズや位置関係を精密に合わせるのに苦労すると予想されたんですが、ふと閃いて、写真下段のようにステム部分を別パーツにしてキートップ側に少しマージンを持たせておくことにしました。先にステムをキーボードに取り付けておき、プレートに接着剤を塗ってからとりつける、という方法です。接着剤を垂らさないように注意が必要ですが、これならおおまかな位置関係だけわかっていればあとは現物合わせでなんとかなります。MX互換ならステム部分は共通なので、より多くのキーボードに対応しやすくなるかなと。

あと今回はじめて0.2mmノズルを使いました。標準の0.4mmノズルよりも細い線で造形するので、キートップのように表面が湾曲した形状でも年輪模様をかなり減らすことができました。Bambu Labのプリンターはノズル単体の交換ができずアセンブリ交換になるのでちと面倒ですが、やはりこういうモデルにはそれなりの効果があるなと。その代わり層数は単純計算で倍になるので時間はめちゃめちゃかかります。今後もきっちり使い分けていきたいと思います。

ジム用キーボードにKeychron K7

ChocoZAPに通い始めて五か月目。体重は一向に落ちませんが、新しいガジェットやバッグを導入することをモチベーションにどうにか続けております。

最近ではもっぱらデスクバイクというテーブルのついたエアロバイクマシンを使ってPC作業やゲームをしながら自転車漕ぎ運動をしています。

持ち込みPCは最軽量およびゲーミング装備はLenovo LEGION GO、ちょいテキスト書き込みしたい時はSurface Pro X、3Dモデリングなど重たい作業や広い画面を必要とする時はMacBook Pro 16’という感じ。

LEGION GOの時は ARグラスのXREAL AirをつけてフルHDの仮想大画面で作業することも。

XREAL AirはいまだにまともなPCドライバーがリリースされず、結局空間固定なしで頭をふれば画面が追従する状態で使っています。

さて、そんな時でも一応キーボードがないと不便なので、以前買ったHHKB Studioを持ち込んでいました。

しかし自転車でこれらの装備を一式持ち込むにはちとかさばりすぎる。また墨字の見づらさの改善ソリューションがいまだなく、ほぼサングラスであるXREALを装着したらさらに見づらいということでもっとコンパクトで使いやすいキーボードソリューションを導入することにしました。

想定した要件は、

  • テンキーレス、65%、40%など、必要最低限なキーは備えつつコンパクトなもの
  • 打鍵間がよく気持ちよく入力できるもの
  • Bluetooth
  • JIS配列
  • カーソルは逆T字が良い

といったくらい。ジムで使うのであまり打鍵音がうるさいものは厳しですが、もともとCherryでいうと赤軸のような静音のものが好みなので、自然とカチャカチャうるさいものは除外される感じです。

■検討した候補

現在自宅でもメインで使用している MX Mechanicalのテンキーレス版。 Fn列まで普通に備わっているのでめちゃくちゃコンパクト&軽量ってほどでもないですが、自宅と同じ感覚で使えるというのもポイント。

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珍しく富士通がクラウドファンディングで販売した、FMVシリーズご自慢のキーボードを単体化したキーボード。メカニカルではないですが打鍵感は普通に優秀で、トラックパッドがついていることが評価点。HHKB Studioも不満は大きいながらポインティングデバイスが一体化していることで装備を減らせてよかったし、XREALで物理視界が限られる中でマウスへの持ち替えが不要な点はよかったので。

Fn列のないいわゆる 60%キーボード。ヨドバシに展示があったポップは色使いといいキータッチといいめちゃめちゃ刺さりました。かなりお高いですがそれだけの価値あると。専用のキャリングケースもおしゃれ。ただ残念なことに英語配列のみ。どうせXREALしてて見えないんだからソフト的に配列だけいじってやれば、、とも思いましたが、スペースキー両端に英数/かなキーがないのはどうしようもないので断念。

最終的に購入したのはこちら↓

Keychronの5列キーボードK7のJIS配列、白色LED、赤軸モデルです。これもFn列がないので前後幅が抑えられ、狭いデスクバイクの卓上でスペースが稼げるかなというのが決め手。

実際に置くとこんな感じ。

ポインティングデバイスがないのと、カーソルキーが逆Tでないの点を最後まで悩みましたが、emacsバインドやリマップを駆使してなんとかなるかなと思って特攻。マウスはどこかにあるMX Anywhere 3を使おうと(写真はまだ発見できずMS Designer Mouse )。

Keychronは本当に種類が多くて、Keychronに目を付けた後もかなり迷いましたが、コンパクト系はJIS配列だとみんなカーソルが一列配置になってしまうようです。同じモデルでもUS配列なら逆T字です。まぁリターンが場所くってるあおりですね。

■Keychron K7レビュー

早速ジムで漕ぎながらこの記事を書いています。

打鍵感は非常によいです。音も適度に鳴ってタイプしてる感がある。実況者の配信に絶妙に載ってるくらいの音量が心地よい。傾斜スタンドもありますが個人的には使わなくてもいいかな。軽量モデルですが軽すぎず、位置が勝手に動いてしまうような気配もないです。

メカニカルながら厚みは控えめなのでジム用バッグにもおさまりが良い。

WindowsにもApple系にも対応するということで、一部キーのキャップが自分で選べるよう交換キーキャップと交換器具が同梱されています。具体的にはAlt/WinキーとOption/Commandキーです。どちらのOSにも対応していますが、主に使う方に交換して使えという感じです(出荷時はApple仕様)。両方の記号を無理やり印刷するよりはキートップがすっきりしてよいですね。加えて、左上隅のEsc/全半キーと右上隅のDELキーがグレーとオレンジが選べるようになっています。

バックライトはRGBモデルとホワイトモデルがあり、自分はホワイトモデルを選択しました。光るパターンはいろいろ選べて、多くはゲーミングゲーミングして常にちらちら光るものですが、Razorにもあったタイプしたキーがぽわんと光って消える、というのが面白くて使っています。まぁ見てないんですが。

配列にいくらか気になる点アリ

・カーソルキーが横一列並び

JIS配列モデルの宿命で買う前からわかっていたことですが、やはりまだ馴染めてないです。とりあえずPowerToysでPgUp/DnとCtrl+P/Nをカーソル上下にアサインしてしのいでいます。

・Backspaceの隣にDelete

右上隅がBackspaceではなくDeleteになっている点も間違えて押し勝ち。Deleteは普段使わないので、これもBackspaceになるようリマップしました。どちらを押してもいいように。これはまぁほぼ解決かな。

・スペースキーが長すぎて、英数/かなキーが押しづらい

親指をかなり曲げないと届かず、普段使っている他のキーボードの感覚だとスペース両端を叩いてしまってかなりフラストレーションです。こればっかりはリマップツールではどうにもならないので悩ましいです。3Dプリンターでオリジナルキーキャップを作ってどうにかなるかなぁと画策中。もしくはすでに同じ悩みを解決するべく既製品やモデルデータが存在するかも?

IMEのON/OFFなので他に代替操作がないわけではないんですが、他のPC/Macも含めて習慣をかえるのも大変だぞと。

■まとめ

とりあえず荷物がコンパクトになったし打鍵感は最高だけど、スペースが長すぎるのだけが最大のストレスです。

打鍵感にこだわらなければ薄くて雑に扱えるBleutoothキーボードは5千円未満で見つかりますが、やはりメカニカルの心地よさはプライスレスだなと感じます。

HHKB Studio、どうにも個人的には活用の場を見つけられないので手放そうかなぁ…