AppleTV 4Kを2021年モデルに買い替え

2021年5月発売のApple新製品群の中では、iPad ProもiMacもスルーでしたが、AppleTV 4Kだけゲットしました。これとてある注目要素がカタログ値ではわからないので購入者レポートの報告待ちということで予約もせず発売日を待っていたというところです。

2021 Apple TV 4K(32GB)

2021 Apple TV 4K(32GB)

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その要素とは「Youtubeで4K HDRが再生できるのか?」という点。AppleTVは2017に4Kモデルを発売しており、普通に考えたらなんだって4K対応だと思うのですが、実はそうではありませんでした。Youtubeでは3820p(4K)と1440pについてはVP9というコーデックを使用していたんですが、AppleTVがそれに対応しておらず長いこと4Kは非対応(フルHD再生止まり)だったので。tvOSの更新で低レート(24fpsや30fps)ならば4Kでも再生可能となったのが2020年。それでも4K/60pやHDRには非対応のままだったのです。本体が4K/HDR対応だからといって個別のアプリがそうとは限らないわけです。こういう使用はカタログには可とも不可とも記載がないため、購入したユーザの報告を待つしかなかったというわけです。

■ついにYoutubeの4K/60p/HDRに対応

A12 Bionic搭載のおかげか、わざわざVP9ハードウェアデコーダーを搭載したのかは定かではありませんが、ついに今回のモデルチェンジでYoutubeアプリでも4K/60p/HDRが再生できるようになりました。まぁ日常的に見るコンテンツで4K/60p/HDR率はそう高くはないですが、たまにdrikinさんが実験的にアップする動画や、自分でiPhone 12 Pro Maxで撮った動画など、リファレンス的に検証したい時があります。またこれぞ4K/60p/HDRというのを味わいたい時に、店頭デモ映像のような美麗コンテンツがいつでも無料で見られるのもYoutubeのメリットです。今まではそのためにChromecast with GoogleTVを買っていました。一方AppleTVはHomePod 2台を使って仮想サラウンドを組めるアップデートが提供され、わざわざ買い増しして環境を組んだのに、4K/60p/HDRをとるかシアターサウンドをとるか、みたいな状態でした。これでようやくそのジレンマが解消することになります。

Youtubeで4K/60p/HDR動画を再生した時の統計画面

写真は実際にYoutubeアプリで4K/60p/HDRなコンテンツを再生し、統計データを表示したところです。上から2段目はViewportなので出力画面サイズ(4K TVがつながってますねってこと)。3段目が重要。「Current / Optrimal Res」(現在/最適解像度)で、両方とも「3820 x 2160@60」となっています!またCodecはVP9(5段目)、Colorが「bt2020」つまりHDRであることを示しています(SDRだとここが「bt709」と出ます)。

■ARC/eARCにも対応(ベータ)

同時にたぶん発表イベントでも触れられていなかったサプライズアップデートとして、ARC/eARCへの対応が判明。ARC (Audio Return Channel)は、HDMI経由で出画デバイス(TV)からサウンドデバイス(AVアンプなど)に音声データを逆送りできる規格です。通常HDMI信号は再生デバイス(プレーヤー、ゲーム機など)から出画デバイスに向かって信号が送られます。ホームシアターを組む場合はその途中にAVアンプを経由し、AVアンプがセレクターの役目も兼ねます。この場合、AVアンプが最新規格に対応しなくなると、再生デバイスと出画デバイスが対応していてもその規格では再生できなくなります。過去にも3Dとか4KとかHDRとかいうたびに途中経路のAVアンプまで対応/買い替えを迫られた人も多いんじゃないでしょうか。これがARCであれば、再生デバイス->TV-(ARC)->AVアンプ、のような経路が組めるようになり、(音声規格が刷新されてないなら)AVアンプは古いままでOKということになります。eARCはさらにその進化版でより新しい音声規格が通せるようになります(ウチのリビングのBRAVIA X9300cは非対応)。

さてこれがAppleTVにどう関わってくるかというと、前述の通りAppleTVは少し前にHomePod 2台に対して音声を送ってHomePodをホームシアタースピーカーとして鳴らすことが可能になっていました。しかしAppleTV自体は入力端子を持たないため、AppleTV上で再生できるコンテンツでしかHomePodをスピーカーとして使うことができなかったわけです。ところが2021年モデルのAppleTV 4KがARC/eARCに対応したことで、例えばPS5 -> TV -(ARC)-> AppleTV -> HomePodという鳴らし方ができるようになったというわけです。TV側がセレクターとしても機能するのでTVの入力端子数だけ機器をつなげることもできます。高い出費だったHomePod 2台の活躍の場が広がります。

■新型リモコン Siri Remote 2

アップデートの目玉としてリモコンがフルリニューアルされました。従来タッチパッドだった部分に物理的な4方向ボタンが復活。おそらくゲーム利用を促進させる狙いではないかと思います。中心の円部分は従来通りタッチパッドとして使えます。また若干レイアウトがかわり、材質や厚みがかわりました(分厚くなった)。Lightning端子で充電する方式は継続です。

背面がフラットではなくなったため、多少握りやすさは良くなった気もしますが、テーブルなどで安定感がないのは個人的には気になります。そのうちカバー製品が出てきたらつけるかも知れません。

このリモコン、単体販売もされているようなんですが、\6,500円とややお高いです。単価がどうのというより、新型AppleTV 4Kが32GBモデルで2万円であることを考えた時の割高感が否めません。旧モデルユーザなら買い換えて旧型売却費用を新型購入費用の足しにした方が総合的な満足度は高そうです。

Siri Remote

Siri Remote

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■画質補正機能

iPhone X以降のFaceID対応フロントカメラを備えたiPhoneでTV画面を映して画質のキャリブレーションする機能もイベントで発表されました。正直これが一番刺さりました。これを使えばAppleリファレンスに近い画質で映像を楽しめるぞと。しかし直後にリリースされたtvOSで旧モデルでもこの機能が利用できることが判明し、一時的に買い替え良くが萎んでいましたw。でもまぁ良いものです。

BRAVIA X9300cは画質モードを[HDR]にすると微調整できる項目が減りがちなので、あとは再生デバイス側が補正を行ってくれるなら歓迎。キャリブレーション後に補正前後を比較できる画面があるんですが、わずかながら補正後の方が色温度が低くなり「シアター」モード寄りの色味になりました。個人的には普段地上波番組でもシアター寄りの色味が好きなくらい(スタンダードは青白すぎる)なので、満足度の高い補正です。

 

■ファーストインプレ

物理リモコンこそかわれど、画面上のUIは旧モデルとなんら変わりがなく新鮮味はあまりないです。早速ARCを使ってPS5やBDレコーダー(SHARP 4B-C40AT3)でBlu-rayを再生してみましたが、どうもPS5での音はしっくりこなかったです。PS5では音声出力設定としてTV、AVアンプ、サウンドバーが選択でき、AVアンプにした場合は5.1chや7.1chといったチャンネル数の指定ができるようになります。また優先出力コーデックとしてリニアPCM、ドルビー、DTSが選べます。正直細かいんだかおおざっぱななんだかわからない設定画面です。サウンドバーや今回のAppleTV+HomePodだって疑似サラウンドスピーカーとして振る舞うわけなので、「AVアンプ」を選んでおくべき?その場合チャンネルは?となります。コーデックもどうすればいいのかよくわかりません。DTSだったかにドルビーだとセンターチャンネルがならずにセリフがほとんど聞こえない状態になりました。AppleTV側の仕様がはっきりしない問題もありますが、どうもこの組み合わせはしっくり来る設定が見つけられませんでした。

4B-C40AT3の方は特に設定をいじらずともそこそこ良い音で鳴ってくれました。TVと比べて明らかに重低音は増し、PS5と違ってセリフもしっかり聞こえてきます。ちょっとバリバリにサラウンドを感じられるコンテンツ/シーンまでは試せてないので疑似サラウンドの効果までは確認できていませんが、普通にTVで聞くより良い音です。ただまぁHomePod自体が重低音出過ぎな嫌いがあるので、若干やりすぎに感じるシーンがあったり、深夜に使いづらい感はあります。ほんとこれマニュアル調整させてほしい…

BRAVIA側の視聴中メニューで音声出力先を内蔵か外部か切り替えられるので、適宜使い分けかなという気がしています。いずれにせよ映画とかアニメとか音質重視なコンテンツでより良い音が選べるようになったのは買い換えた価値があったなと思います。

一方、ネットコンテンツの複合ブラウズUIとしてChromecast with GoogleTVがなかなか優秀なので、日常使い端末として捨てがたい印象もあり、こちらの音声をARC経由でHomePodで鳴らして使っていくのもアリかなぁと思ったり…

 

5年使った洗濯機を分解大清掃 Panasonic VX9600

2016年に購入した洗濯乾燥機Panasonic NA-VX9600が二度の引越しも経て色々と不調になってきました。

症状は乾燥性能の低下(時間がかかる、「ふつう」では乾ききらず「しっかり」常用)と、トップパネルにある乾燥フィルターの部分に水が残る(フィルターの下1/3位が水に浸かった状態)といったもの。

乾燥フィルターの掃除用に純正のおそうじブラシ(VX用)を買ってみてダクトの埃を取れる限りとってみたものの改善せず。

Panasonic おそうじブラシ AXW22R-9DA0

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1,550円(04/20 13:31時点)
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ヤマダのThe安心に加入しているので(洗濯乾燥機は6年)修理を手配しようと思いつつ、片付けとか面倒で放置していました。

しかし価格.comで分解清掃の話題がいくつも出ているのに気づきDIYチャレンジ。手順についてはYoutubeでザクザク見付かります。わかりやすかったのはコレかな。

作業に手一杯で写真が全然撮れなかったんですが、次回に備えて記憶の限りメモ。

道具立てとしては、長い目のプラスドライバーがあると良いです。後述の脱水受けカバーのネジがかなり奥まったところにあるためで、ネジを落とさないようマグネタイズされたもの、電動ドライバーがあるならロングビットを使うのがいいと思います。ウチで使ったのはたぶんこれ。

脱水受けカバー以外はさほど奥まったネジはなく、ロングビットだと取り回しが悪いので、ほどほどの長さのものと使い分けるのが理想だと思います。あとケーブルを固定しているプラスチックパーツをつまんで引き抜く時に細めのラジオペンチがあると楽です。

ネジの総数と種類が多いので、白紙にペンで各部位のスケッチを描きその上にネジを並べて置いておくようにしました。

■乾燥フィルターボックスの水溜まり対策

このシリーズの作りとしては、乾燥フィルダーを取り外したボックスの奥にヒートポンプユニットのアルミフィンがあり、手前側は拳大のゴムダクトを通ってドラム側に落ちていきます。まず後者は上記おそうじブラシである程度清掃できますが、いちど分解して仕組みを把握した方がより効率的に掃除できます。ブラシを入れられる口が上の写真の右上に移っている部分で大きな異物が入らないよう水平のガードがついており、手などを直接入れることはできません。最初ここから奥の綿ゴミを一生懸命掻き出すイメージで掃除していましたが、むしろ奥につっこんでドラム室に落としてしまう方が良さそう。最終的には排水とともに排水フィルターの方へ流れてキャッチされるはず。

問題は前者のアルミフィンです。これはトップパネルを外さないとアクセスできません。トップパネルは蓋で隠れているものも含め、9本のネジで止まっていますが割と簡単に外れます。フィルターボックスの奥側のガードも2本のネジを上から抜けば外すことができ、フィンの手前側は露出します。ここにゴミがビッシリ詰まっていて言われなければエアコンのようなアルミフィンだとわからない状態でした。

こちらの動画の5分辺りのところがわかりやすいと思います(ここまでではなかったですが)。

アルミフィンは簡単に曲がってしまうので、乱暴に擦ったりはできませんが、動画のようなブラシもなかったので、価格.comで言われていたDoltzのジェットウォッシャーとスチームクリーナーを試しました。結果的にはスチームよりドルツの方が聞きました。元が髪の毛などの繊維的な綿ゴミが水分吸って重くなっているようなものなので、熱よりは水量と勢いで流したという感じでしょうか。

最近すっかり使わなくなったドルツがまさかこんなところで役立つとは…処分しないでおいて良かった(笑)。

ただフィンの奥へゴミを押し戻すのはよろしくないので、できるだけ上下方向から水圧をかけて手前に押し出すように意識しました。タンクに数杯分の水を吹きかけるので、その水は排水路に溜まります。続けて下部を分解していくと排水フィルターを外した時に水が大量に溢れるので注意してください。ドルツ洗浄の後はいちど電源を入れて脱水(排水)操作をしましょう。

基本、前面の見えている部分を綺麗にしたことで水溜まりは改善されました。が結局後述の事情でもう一度分解することになったので、その時はさらにヒートポンプユニットの天面カバーも外してさらに奥の方までドルツで徹底洗浄しておきました。

■ドラム周辺のゴミ取りと部品交換

次にフロントパネルを外していき、上述のダクトやドラム周辺部のゴミを除去しました。その際、上記写真に写っている白いドラム前面のリングパーツの手前にかぶっている「脱水受けカバー」という部品が破損していることが判明。この方のケース(4:50秒辺り)と同じ。

一度は見なかったことにして組み上げたんですが、同居人がこれを見たあと、「このせいで水が溜まらなくなったのだ!前はもっと水位が高かったと思う」と言うので交換することに。有り難いことに楽天で普通に買えました。

脱水受けカバーと脱水受けパッキングAという2つのパーツがセットになっています。後者は別段劣化は見られなかったですが、セットで売られているということは一緒に替えることが推奨ということでしょうし温存しておいても仕方ないので交換しちゃいました。脱水受けカバーのネジが数が多い上に奥まった場所にあるので、うっかり下に落とさないよう慎重に作業する必要があります。ケチらず上述のロングビットを用意するのが吉。ドラムは手で動くので隙間を広げるように押さえながら脱着します。幸いここのネジは一周全て同一なので、どれがどこのものかは憶えておかなくて大丈夫です。

同居人曰く、洗濯やすすぎ中に常時脱水フィルターの方に水が流れているような音がしていたのが収まったとのこと。ただいまのところ体感できるほど乾燥力が復活した気はしていないです。

■まとめ

2回に渡り写真のところまでバラしを決行し、とりあえず乾燥フィルターボックスの水溜まりは解決することができました。フィルターにつく綿ゴミも乾いているので除去も簡単になりました(本来当たり前)。

乾燥時間や消費電力などについては不明。本機はNFC経由でAndroidアプリにログを転送できるんですが、カスタムコースについてはデータが取れないんですよね…

価格.comの書き込みによるとヒートポンプユニットは保障期間が3年(5年の説/機種も)で、基本的には経年でゴミがどんどん詰まっていくのは構造上避けられないようです。特にペットがいる家庭(ウチも)なんかはどの毛がダメぽい(説明書にはそういうものを洗うなと書かれていますが、そういうワケにもいかないですよね)。ペットの毛が見付かった場合保証対象になるのかは不明ですが、理想は保証期間が切れる前にいちどサービスを呼んで清掃なり交換なりしてもらうのがヨサゲ。ウチはペット用品洗いまくりの後ろめたさもあるし、今回マスターしたDIY清掃を定期的にしていくのがいいかな。

OneMix 3 Proの液晶画面が映らなくなって修理に出した

先月買ったばかりのOneMix 3 Proの液晶画面が映らなくなりました。バックライトは光ってるっぽく、HDMI出力すれば問題なくWindowsも起動しており、単に液晶パネルだけがなにも出力されていない感じ。BIOSロゴからして映らない(HDMI側には映る)ので、OSとか設定とか以前のハードの問題ぽい。しばらく放置したりしても治らないので、ギリギリ購入一ヶ月を超える前にサポートにコンタクト。

メールで1,2度やりとりをし、ヒンジの角度を色々かえてもダメかなど聞かれて試してダメだと伝えたりしたところ、点検修理をするので送ってくれということに。保管してあった元箱にACアダプタも入れてヤマトまたは佐川で着払い送付。送付先拠点(日本代理店のテックワンさん)は渋谷で、修理も国内で行っているらしく、受領のメールがあった三日後には修理完了で発送しましたメール。「液晶ケーブルの交換」となっていました。保証内修理ということで無料です。

お約束の「修理に出す時点でデータ消去に同意したことになります」的な但し書きがついていましたが、今回はデータは消されずに残っていました。一応検証用に一般権限のアカウントを作り、パスワードを付箋で貼っておきましたが使われたかどうかは不明です(付箋はなくなっていました)。買ったばかりで特に重要なデータはなかったので初期化されるのは構わないですが、もし初期不良扱いまたは修理不能で新品交換になります、なんて時はデータがきちんと消去されるのか、とかは不安ですね。その場合は一旦返却してくれるかとか確認しようとも思いましたが、面倒で今回はそのまま送っちゃいました。

特に衝撃を与えたりもしてないのにわずか一ヶ月で画面が映らなくなるとか、、とは思いましたが、海外往復などすることなく短期間で修理対応をしてもらえる体制が整っているのは心強いと感じました。ちなみに私はヨドバシ店頭で買っています。並行輸入品とかだとテックワン扱い外になりこちらでのサポートは受けられないようです。

なおサイトには「※国内修理ができないケースの場合、中国のOne-Netbook社に発送して修理をする場合がございます。(修理期間1か月~2か月)」という記載もあるので、修理内容によってはやっぱり本国送りになるケースもあるかとは思います。1,2ヶ月は厳しいですね。大事に扱おうと思います。

ちなみに単純なコネクタ抜けや接触不良なら自分で直せないかなとも思ったんですが、裏蓋を止めているネジの4本中1本に封印シールが貼られており、剥がしても直せなかった時に保証も受けられなくなるリスクがあったので冒険はせずにおきました。修理後、シールはしっかり貼り直されていました。

 

同人ハード、小型マクロパッド(キーボード)AZ-Macro

同人ハードの小型マクロパッド、AZ-Macroを購入、作成してみました。

マクロパッドとは、ショートカットキーやマクロの実行を行うダイレクトキーを並べた小型の専用キーボードのことです。有名なものでは、ElgatoのStream Deckシリーズなのがあります。

クリエーターやYoutuber、ゲーマーな人達が作業効率を挙げるためによく使う機能を一発で呼びだせるようにカスタマイズして使うものです。中でもSteam Deckはキー1つ1つの中に小型ディスプレイがあり、キートップにどんなキーが割り当てられているか文字や色、アイコンを駆使して一目でわかるようにできるスグレモノです(静的にレーザー刻印やテプラなどで表示してしまうと、アプリケーションによってキーの内容を変えたりするのに追従できません)。

これはこれで使ってみたい製品ですが、今回はもう少しお手軽かつユニークな特徴を備えた同人ハードを見つけたのでそちらを使ってみることにしました。

■AZ-Macroとは

AZ-Macroは個人レベルの作家さんが設計開発をして頒布しているいわゆる同人ハードです。BOOTHや自作キーボード専門店の遊舎工房で購入できます(執筆時点で後者は品切れ)。

本製品は一見すると4×2の8ボタンのマクロパッドですが、オンリーワンの特徴として、

  • バッテリーを内蔵したBluetoothキーボードである
  • Wi-Fiにも対応し、設定をWebブラウザから行えたり、スタンドアローンでWebHookを叩いたりできる

といったものがあります。BluetoothキーボードであるということはiOS、iPadOS、Android、Chromebookなどのデバイスでも使いやすいです。また設定モード(左上のキーを押しながら電源ON)で起動するとWi-Fiアクセスポイントとして電波を出し、PCやスマホからつないでブラウザでキーの割当設定などを行うことができます。PCからファームウェアを焼いたり設定ツールを使ったりする必要がないので、原則PCレスで使うことができます(バイナリファイルをフォームでアップロードするファームウェアアップグレードだけはPCでした方が無難かも知れません)。

また単体で既存Wi-Fiにぶらさがることで、WebHook(Webアクセスをスイッチにしてなんらかの機能をは発動させる仕組み)を起動できるスタンドアローン機器として使うこともできます。例えばTwitterに1ボタンで定型文をつぶやかせたり、Nature Remoの任意のリモコン操作を割り当てて8ボタンリモコンとして使うとか。IFTTTのようなワービスを組み合わせればより多くのWebサービスに対して動作を与えることができます。

個人的にはPremiere ProやLighroomなどAdobe系ツールでツールパレットを使わずにツールを持ち替えたりするのを効率化したいのと、タブレット端末で動画を観る時のリモコンにできればというのが導入の狙いです。あとハンダ付け工作がしたかった(笑)。

本当はダイヤルデバイスものっているTONEのような製品の方がPremiere Proで各種数値パラメーターを入力するには良いかなと思うんですが、品切れで買えなくなってましたり、上記Blueooth/Wi-Fi機能というユニークな特徴も捨てがたかったのでまずはAZ-Macroから買ってみました。もしTONEが手に入ればそちらをPC用にして、AZ-Macroはスマートデバイス用と使い分けができるでしょう。同じ4×2ボタン配列というのも良いです。ちなみに配列にこだわらなければ、Quick7という製品もツマミを搭載することができます。

■組立て

今回はハンダ付け工作をたいかったこともあり敢えてキットを購入しました。作者さんのBOOTHでは完成品も購入することができます。差額は1,200円。ただしキットにはキースイッチをキーキャップが含まれていないので、それを別途買い揃えることを思えば、組立工賃としてはタダみたいなものです。電子工作に自信と興味がない人やキースイッチ/キャップを自分で選びたいというこだわりがなければ、完成品を注文しても損はないかと思います。またバッテリーも有り/無し選べますが、もっていなければわざわざ別で買うメリットもないかなと思います。

てことで私は今回キット+バッテリーを購入。

最初にGitHubから最新版のファームウェアをダウンロードしてきて焼き込むのと、ピンセットなどで各キーのスルーホールをショートさせて、Buetoothキーボードとしてabcdefghが入力されることをチェックします。ハンダ付けとかする前に初期不良でないかチェックするためです。この辺りの手順は公式マニュアルが非常にこなれていて迷うことはないでしょう。

・キースイッチ選択

キットに含まれていないキースイッチとキーキャップは遊舎工房で購入しました。キースイッチは定番のCherry MX互換スイッチに加え、低背のKailhロープロファイルスイッチというシリーズに対応しています。Cherry MX互換スイッチの方が圧倒的に選択肢がありますが、本機に限っていえばより低背なスイッチ、キャップの方がマッチするのでKalihロープロファイルスイッチから選ぶことに。リンク先の遊舎工房のページにくと、白軸、茶軸、赤軸、Red Proの4種類がラインナップされています。白軸がもっともカチカチいうメカニカルなタイプ。続いて茶軸がクリック感があるタクタイル型。赤軸が最初から最後まで同じ力で押し超えるリニアタイプの押下圧が約45gで、Red Proは同じリニアでさらに軽い30gタイプとなります。ストロークは共通で3mm。

ちなみに作者さんが完成品として売ってるものは、

  • 白軸 – カチカチ音がするスイッチ
  • 茶軸 – 音が鳴らないスイッチ

の二択になっています。あれ?茶軸より赤軸の方が静かなのかと思ったけどそうでもないの???と混乱。もう触ってみるしかないわということで、それぞれ10個入りを全種類注文しました(笑)。とりあえずカチカチいう白軸はいらないと思ったんですが、まぁ大した価格差でもないし、今後また他の用途で作る時の参考資料にもなるかなと思い。

4種類のスイッチを並べて押し比べ

結果としては、

  • 白軸はかなりカチカチ言うのでメカニカルが好き!っていう人向け
  • 茶軸のクリック感は予想してたほどは無く、赤軸を多少重くした感じ
  • 赤軸、Red Proはクリック感なく、重さの違い

という順当な感じ。茶軸がイメージより赤軸との差がなかったかなという感じですが、目をつぶってシャッフルしても違いがわかる程度には重さに違いがちゃんとあります。高速でヘコヘコ連打した時の音は、茶軸がカシャカシャという感じ。赤軸とRed Proはほぼ無音。もちろんターン!と叩けばどれも音はします。

フルキーボードとして文字入力を行う場合は白軸や茶軸で明確はフィードバックを得た方がよいかもですが、AZ-Macroのような用途であれば静音性を重視したいなと思い、赤系にすることにしました。軽ければ軽い方がいいかなとRed Proにしようと思ったんですが、1点だけ気になったのはスイッチの色です。赤軸は軸だけ赤いのでキーキャップつけてしまえば赤は見えません。一方Red Proはベース部分が赤いという違いがあります。AZ-Macroはデザイン上スイッチがサイドから丸見えになり、Red Proの赤が浮いてしまわないか?と。で、実際に基板に載せてキーキャップもつけてみたのがこちら。

Red Pro(右)は赤ベースが目立つ?

キーキャップも黒でまとめたので、スイッチも赤軸の方がオールブラックでカッコイイかなぁと。でもまぁ使用感を優先したかったので、差し色としてありっちゃありかなと自分を言い聞かせて、今回はRed Proで行くことにしました。

キーキャップも低背のもので黒です。

・一番手間だったのはキースイッチの足のカット

ハンダ付け自体は数も少ないのですんなり終わりましたが、ちと苦戦したのはカット。AZ-Macroでは基板裏側に(耐熱フィルムをはさんで)リチウムイオンバッテリーが直にあたります。リチウムイオンバッテリーは穴があくと発火や爆発の危険性があるので、尖ってる部分は切っておけよ、という指示になっています。フタをすればバッテリーを押さえつける力はほぼかからない構造ですが、バッテリー自体は固定されないので確かに尖ってる箇所があると不安です。最初はよくても、知らず知らずのうちにバッテリーが膨張したら、、とか。

ハンダが終わった足をいざニッパーで切ろうとするもこれがなかなか上手く切れない。ニッパーが一般的な両刃ではなく、模型用などの片刃のものなら簡単だったかも知れませんが、手持ちが両刃しかなく、どう切っても先端が尖ってしまいます。仕方ないので金属ヤスリで削って平らにしました。

スイッチの足を切りそろえたところ

とりあえずスイッチの樹脂の足(赤色)よりも低くなるようにしました。いっそ厚手の両面テープでバッテリーを固定するのも手かも知れません。

完成!

そんなこんなで完成。コントロール基板の部分はスモークのアクリル板で保護されています。ちなみに充電ポートはmicroUSBです。

充電ポート、電源スイッチ部分

■使ってみる

・まずはVLCの再生操作リモコンとして

電源スイッチを左にした状態で、奥側左から0,1,2,3番、手前側も左から4,5,6,7番キーと呼ばれています。0番キーを押しながら電源を入れると設定モードになり「AZMacro-xxxxx」的なWi-Fi電波を出します。PCなどから暗号鍵無しで接続すると自動的に設定画面がブラウザで表示されます、、、というはウチではなぜかmsnのポータルにリダイレクトされてしまいました(Windows10/Chromium Edge)。そういう時は手動で「192.168.4.1」をアドレスバーに入れてアクセスします。

とりあえずこんな感じに設定してバッチリ機能しました。

0: Fキー(フルスクリーン表示ON/OFF)

1:Pキー(前のファイル)

2:Nキー(次のファイル)

3:スペースキー(再生/一時停止)

4:Ctrl + ←(戻る)

5:←(少し戻る)

6:→(少し進む)

7:Ctrl + →(進む)

(進む/戻ると少し進む/戻るの具体的な秒数はVLC側の「ジャンプする長さ」で自由に変更することができます。)

単純なキー押下だけでなく複数キーの組み合わせも指定できます。オートリピート間隔も指定可。

所定の文字列の入力も可能ですが日本語(マルチバイト)文字を直接貼り込むことはできません。あくまでキータイプを再現する装置なので、「t,o,u,k,y,o,u,スペース,リターン」などと指定することはできますが、PC側でIME ON/OFFがどうなっているか、とうきょうを変換して最初に出る候補がなにか、というところまでは制御不可能ということです(IME ONの(トグルではない)キーアサインがあればIME ON固定はできるかもです)。

また前述のWebHook機能で所定のURLにアクセスしたり、その結果をキー入力として貼り付けることもできます。例えばアクセスすると今の日時を返すAPIがあったとすれば、1キーでそこへアクセスして結果である日時タイムスタンプを文字列として貼り付けるといった動作ができます。

ちなみにWebHookを設定したキーが1つでもあると常時Wi-Fiが接続されるためバッテリー消費は増えるようです。

・レイヤーを使う

単純なキーアサインでは8キーあるので8機能しか指定できません。それを回避するために2つの方法があります。共通な点としては「レイヤー」と呼ばれる設定セットを複数もたせておき、随時切り替えて使う方法。その切り替え方法が2つあるのです。

1つ目はあるキーをレイヤー切り替えキーとして使う方法。例えば0番キーを押している間はレイヤーを2にする、みたいなことにすれば、0番キーが使えなくなるので7 x 2で14の機能をアサインできます。レイヤーを3つにして、2つのキーをレイヤー切り替えに割り当てた場合、6 + 6 + 6で18機能ということだろうと(試してない)。レイヤーを増やすほど使えるキーが減っていってしまうし、同時押しも面倒なので個人的には使わないかなと思います。

もう一つの方法は、下段の4~7キーを押しながら電源を入れるとそれぞれ1~4番目のレイヤーが固定されるという方法。これならば常に8キーをフルに使うことも可能です(逆に1つ目の方法を併用も可能でしょうけど)。VLCを使う時は単に電源ON、Premiere Proを使う時は4番キーを押しながらON、といった具合です。面倒っちゃ面倒ですけど、まぁここら辺はPC側に専用ツールを常駐させるStream Deckなどとの違いですね。あちらはフォアグラウンドアプリに応じて自動的にレイヤーを切り替えることができるはずです(多分)。一方こちらは常駐アプリを使用しない分、スマホやタブレットなどの幅広いデバイスに対応するという利点でもあります。WindowsやMacのみでゴリゴリ使うのであればStream Deckの方が利点は大きいでしょう。できれば本機もWindowsやMacオンリーでもいいのでアプリでレイヤーを自動切り替えるしてくれるような常駐ツールが登場してくれたら有り難いですね。将来のバージョンアップに期待。

■まとめ

右手にマウス、左手にキャット、、ではなくマクロパッド

Premiere Pro編集作業に使える左手キーボードが欲しいと思いつつ、Stream Deckやゲーム用左手キーボードではサイズ的にもコスト的にも大仰すぎるなと思っていた中、同人ハードという世界の中でよりフィットした選択肢を色々見つけることができたのは幸いでした。

今後もこの界隈は注視していきたいと思います。

[オマケ] ガシャーン!

高校生になった姪にPCを組んでやる話~組立て編(2)

こちらの記事の続き。グラボとCPUクーラーが届いたので組み立ててWindowsをセットアップしていきます。

Windows10はメディアクリエーションツールをUSBメモリにセットアップし20H2をインストール。特に問題なく終了。光学ドライブがないのでマザー付属のドライバーDVD-ROMは使わず、ASRockのサイトからドライバー類をダウンロードしてインストール。その後、グラボドライバーやRazer Synapseなどを導入。特に問題なく終了。

■RGBライティング周り

クーラー、メモリ、マザーボード下部、ケース下部のライトが点灯!

とりあえずCPUクーラー、メモリ、マザーボード下部、ケース下部のライトが点灯(写真)。マザー下部にあるLEDはグラボに隠れてほぼ見えない…

このままだとそれぞれが勝手気ままに光っていて統一感がありません。そこでなんらかのRGB制御ツールが必要になりますが、ケース下部のライトが独自実装ぽくRazer Synapseが必要そうなので、こちらに集約するのが良さそうです。しかしそのままではSynapseでCPUクーラーやメモリを発光デバイスとして認識してくれません。CPUクーラーはこちらからWraith Prism LED制御ユーティリティを落としてインストールします。メモリ&マザーはマザーのサポートコーナーからASRock Polychrome RGBをインストール。これでそれぞれ独立にライティング制御ができますが、更にRazer Chroma RGB互換機能を有効化することで、Synapseの設定画面にAMD、ASRockの設定項目が出現する仕組みです。これで各ライトが同期して光るようになります。ちょいと面倒ですね。しかもRazer SynapseからPrismやASRock(メモリ、ARGBファン、マザー)の連動制御するにはそれぞれのアプリも起動してないと駄目。使い勝手はイマイチかな。

Wraith Prismの光り方は上品で良いです。専用ユーティリティだと、リング、ファン、AMDロゴの3つを独立して制御できますが、Synapseからだと3つが同じ色になってしまうぽいです。最終的には姪が好きにカスタムするでしょうが、個人的にはリングはレインボーの方が綺麗かなと思います。

ASRockとRazerのプリセットの中では「オーディオ」という文字通りスピーカ出力に連動して光るものが面白い。どういう味付けか不明ですが輝度が連動するだけでなく色が次々変わっていきます。なんとなく爆発音みたいな音ではちゃんと赤くなってる気がする(音量Max=赤?)。どうせならメモリのところがステレオのレベルメーターみたいになっていれば面白いのに。

ちなみにケースのフロントパネルのRazerロゴは緑単色です。あとこれもしかしてWindowsをスリープにしても消えない??下部ライトの方は「ディスプレイが消えたらOFF」という設定があるんですが、フロントパネルの方は消す設定が見付からない。これはちょっと存在感ありすぎかも…

ケースファンはこれをフロントとリア用に2台購入。リング前後とファンが光りますがUSBではなくアドレッサブルRGBコネクタ1つなので独立制御は不可能。ちょっとケバいので単色用かな?

マザーにARGBコネクタは1つしかないですが、クーラー側がディジーチェーン接続できるようになっているので同じ光り方をさせられます。ファンコネクタは独立なのでマザーのCPU2とCHASSIS1に接続。

■温度

ケースファンがついていない状態で、CPU温度はアイドリングで59℃、Cinebenchを回している状態で78℃くらい。もうちょっと冷えてくれると心穏やかですが、こんなもんですかね。ケースファンを取り付け後にまたテストします。

またグラボと電源は温度が低い時はファンが停止する仕様で、わりと止まってることが多いです。特に電源は壊れないか不安になるレベル。

■ベンチマーク

とりあえず3DMarkとCinebench R23回してみました。注文したモニターを想定してWQHD設定にて。

・3DMark (4258)

CPU+GPUのゲーミング性能を測る3DMarkdでは4200台。自分用のRyzen 3900 + RTX3070マシンが13430なので、おおむね1/3のゲーミング性能ってとこですね。

3DMarkリザルト

温度やクロックの推移グラフをみるに、途中でサーマルスロットリングを起きてる様子もなく完走できてたみたい。ケースファンなしでも。逆にファンつけてもたぶん変わらなそうなのでこれを正式スコアとして載せちゃいます(追記:ケースファンつけたら4278になったけど誤差かな)。

全体での位置づけ

2020年のゲーミングノートには負けるけど、オフィス用ノーとには大差で勝てるって感じだそうです。まぁ価格なりの結果と言えそうです。そもそも3DMarkで測ろうってPCはそれなりのゲーミング性能をもっているものに偏ってると思われますが、全体では下位3割くらい。

・CineBench R23

こちらはCPU単体のスコアを測るCineBench。マルチコアで5933。同じ4C/8TのCore i7-7700Kに僅かに届かないのがなんか悔しい。4GHzの壁ですかね。

CineBench R23