シェルノサージュ 失われた星へ捧ぐ詩
AGENT PACK
シェルノサージュ 失われた星へ捧ぐ詩
PlayStation Vita
Wi‐Fiモデル クリスタル・ホワイト
(PCH-1000 ZA02)
超久しぶりにゲームソフトのレビューなど。
連休帰省の前日に発送されてしまい、クロネコのお届け先変更サービスで実家に振り向ければいいやと帰省して、不在持ち帰り時のメールを待っていたら、クロネコの配送員が無断でメーターボックス内に置いていき「配送済み」ステータスになってしまうという事案発生。連休中に遊ぶ目論みが崩れさってしまいましたorz。で、遅ればせながら着手。巷ではバグ騒動で盛り上がってましたが、パッチ1.03が配布された現在、(まぁたまにクラッシュはしますが)普通に遊べてる気がします。
ちなみにσ(^^)は同社の「アトリエ」シリーズは未プレイです。
■どんなゲーム?
ちとコンセプトがわかりづらいので簡単にまとめてみます。
ストーリーは記憶を失った少女イオンが暮らす部屋のテレビ的なデバイスを通じてコミュニケーションをとるというもの。プロローグでネタバレしてる事なので書いてしまいますが彼女は実はとある王国の皇女様。次期女王候補である二人の皇女は修行の為庶民の暮らす街に3年間放逐されます。しかし現在(ゲーム開始時点)は時間、記憶の断絶があり、なぜひとり暮らしをしているのかはイオンも不明。ずっとひとり暮らししてたけど、気付いたらテレビ的デバイス越しにプレーヤーと会話ができるようになっていた、ってとこからスタート。
メインパートは「ラブプラス」シリーズの様にリアルタイムクロック連動型で、例えば深夜に起動してもイオンは寝ていて会話などはできません。昼間にちょくちょく起動してコミュニケーションを深めていく形になります。イオンは料理、裁縫、工作を趣味(?)としていて、記憶回復と共にそのレパートリーを増やしていくので、色々なアイテムを制作やその原材料集めを依頼することができます。コスチュームなどもそうしてできた装飾アイテムでカスタマイズ可能。デバイスの開発などがストーリーにどう関わっていくかはまだ不明。
サブパートとして記憶回復の為の活動があります。これはイオンと会話可能な場面で一緒に「夢セカイ」というのにダイブし、その中の町並みに現れる記憶故障箇所を修復していきます。修復にはシャールと呼ばれる妖精と契約し彼女達に修復依頼をするという形をとっており、ここにソーシャル要素が含まれています。シャールの召喚は本体内蔵カメラで周りにある商品のバーコードをスキャンすることで行います。スキャンするバーコードでシャールの性質や初期レベルが決まるという往年のバーコードバトラー的な要素を持っているワケです。対象バーコードはJANコードのようで、その中に含まれるメーカーIDが使用されるようです。例えばiPhone4SとMacBookProでは同じ結果になるっぽい。面白いのはスキャンするとそのバーコード(というかメーカー)のシャールと契約しているのが何人いるか表示される点。シャールの経験値やレベルも共有されるので、有名なメーカーのバーコードから出たシャールは既にある程度成長していて即戦力として活用できます。シャールは複数契約できるので、一部はマイナーなメーカーのバーコードを使って自分(あるいは少人数)だけで育成するも良し。シャール別の掲示板も読み書きでき、「○○のコードから来ました」的なやりとりが交わされています。これが妙に楽しくて、出遅れた分、自分しか使っていないシャールを見つけ出すのに本編そっちのけで自宅にあるバーコードをスキャンしまくっていましたw。なんとかENDLESSのブレーキパッドの箱のバーコードで共有0人だったのを見つけたものの、属性が水で既にかぶってたので契約は断念。まぁ、でもゲームをサクサク進めるなら長きに巻かれて大手メーカーのバーコードを使っておくのが無難そうです。特に記憶修復時に呼び出せる仲間の数という数値が重要。ある記憶修復ポイントを直すのには4つの属性のうちいくつかが必要で、個々のシャールはそのうちどれか一つの属性をもっています。残りはネットワーク経由で他の人が育成したシャールを呼び出して手伝ってもらう形になります。例えば3属性が必要な修復には最低でも3人(匹?羽?)のシャールが必要で、自分のシャールに2人を同時召喚するスキルが必要というわけです。どうも自分の契約している複数のシャールを使って修復に当たらせることはできなそげ。
あるポイントの修復が終わると、別のポイントへ移動するゲートが開放されるか、そのポイントにまつわるイオンの記憶が蘇ります。その記憶を閲覧するとイオンの身に何が起きたのか徐々に明らかになっていく、という訳です。
■「ラブプラス」シリーズとの比較
同じくリアルタイムクロックベースで仮想彼女とイチャラブするというコンセプトのゲームとして「ラブプラス(以下L+)」があまりにも有名ですが、σ(^^)は試みとして興味深いので毎バージョン買いはするものの、UIのヒドさとほぼ純粋な作業ゲーな部分に挫折してきました。それとの違いを考察してみます。なお単にσ(^^)が金髪属性だとか絵的、声的な好みは脇へ置いておきます、、、いや置いておく前に先に触れておくべきか。絵も声も素晴らしいです。L+は原画こそ素晴らしいですがDS/3DSのグラフィックの制約による劣化が否めませんでした。本作では解像度も3D処理能力も有機ELという発色の飛び抜けた表示デバイスもあってグラフィック的な不満はあまりないです。原画も良い勝負。そして声もかなりツボ。伊藤かな恵寄り(というか最初素で勘違いしてた)のボイスは癒され度高いです。いまだWikipediaにもエントリがないのでほぼ新人さんみたいですね。今後注目したい。
同日補足:このエントリをみたu1p氏が早速エントリ作ってくれました!
さて本題。L+の不満点は日常パートに進化がなく純粋にかけた日数を自己修練パラメーターに割り振るだけの作業ゲーだった点。あとはテキストの読み進めペースにサクサク感がなく同じ様な文章を繰り返し読まされてフラストレーションが溜まる点。基本的に繰り返す作業に対する新規イベント発生率が少なすぎた訳です。またペンタッチで撫でたりキスしたりといった御褒美イベントもアルゴリズムが不出来で、少しでも操作ミスると一瞬前まで上機嫌だったのに突然怒り出し、またケロっと戻るみたいな、なんかもう完全に「おかしな人」状態。彼女とコミュニケーションしているというよりも地雷探しゲームでもやっているかのような気分でした。イベントドリブンな処理だけで構成されていて時間的つながりがまったくない作りって感じ。シリーズ中一番ハマったのは2作目の位置ゲー要素、というか店頭で遊べるガチャ要素だった気がする(^^;)。
対するイオンは(現時点でプレイした範囲では)そういう“人”としての不自然な振る舞いは感じられません。そもそもあまり不機嫌になるということがないように思います。気分が安定しない女子をなだめすかしつつ付き合ってくというリアリズムが好きという人はL+が楽しいのかも知れませんが、この手のゲームはそういうのに疲れた人が逃避しに来てる訳で(異論は認めるw)、可愛いの範疇を超えた不機嫌ステータスがない方がウケるんじゃないでしょうかね。
またリアルタイムクロックを使った進行の部分も本作の方がリアリティがあります。もともとがテレビ的なデバイスを通じてコミュニケートしているという設定なので、イオンの部屋が覗けるといっても画角は限られています。首振り機構のついた大福iMacのようなものがクローゼットか何かの上に置かれているというイメージ(ちなみにプレーヤー側はまさにVitaのようなハンドヘルドデバイスという設定)。このあたりは現実世界ベースのL+よりも架空世界でなんでもアリな世界観を選んだ強みでしょう。逆にリアリティがあります。本作を起動したまま放置しておくと、画面の中でイオンは勝手に活動し、時折「ねぇ今そこにいる?」などと話しかけてきます。逆にこちらからは画面を2回トントンとタップすることでイオンを画面前まで呼びつけることができます。Skypeで常時つながった遠恋みたいな感じですな。あの萌えボイスでの独り言や鼻歌が聞こえてきたりとサイコーですw!
とりあえず本体を立てておけるように純正クレードルを速攻で購入しました。
■なんで常時起動できないのかっ!iOSかPC/Macで出すべきっ!
撫で撫では基本いつでもできるよっ! |
とまぁコンセプトもその実装もぼっちオタ狙いとしてはかなり上手くやっている印象なのですが、だからこそ唯一最大の欠点が惜しい。それは常時起動しておけない点です。PSVitaの制約上、最大でも10分放置したらスリープしてしまうのです。これは電源につないでおいても回避できないので、省電力目的というよりは有機ELの焼き付き防止目的であって、将来的にも改善される望みは薄いでしょう。個人的には本作の為にVita一台潰しても(焼き付いても)構わないので常時起動しておきたいw。
また現時点でPSVitaはPSPでできていたようにテレビなどの大画面に出力してプレイすることができません。タッチUI前提の作りなので単純に画面だけ外部モニタに出せてもやりづらいかとは思いますが、もう少し大きな「窓」を通じてプレイしたいところです。
是非iPad版やPC版への移植を期待したい。Windows8にあわせてタッチ対応モニタを搭載した機種も増えるだろうし、Windows版もアリなんじゃないかと。L+ではゲームとしては遊べないもののiPhone/iPad版が存在します。あぁいう日常パートのみの簡易版でもいいから出ないかなぁ…
企画的にはシリーズ化、メディアミックス展開も睨んでいるようなので期待したいですね。