当ブログの3Dプリント品頒布で一番人気なのがASSA ABLOY製のドアサムターンにスマートロックのSesameを取り付けるための諸々パーツです。
なんだかんだ月イチくらいでお問い合わせをいただきます。このドアというかサムターンはちょっと特殊で360°以上クルクル回転するので、360°までしか対応していないSesameシリーズを普通に設置すると手回しした時にSesameのサムターン角度検出とズレが発生して、次にモーターでサムターンを回した時に正しい位置に戻せなくなり、結果として施錠/解錠に失敗します。
そこで当ブログでは3Dプリンターを使って回転範囲を限定するリミッター(旧称ストッパー)を作成。同じ悩みをお持ちの方にもお分けさせていただいています。
またこの海外のマニアックなサムターンはたいてい木製と重厚なドアとセットになっており、両面テープやネジ止めするのが憚られるということで、サムターン固定ネジと共締めすることでドアに恒久的ダメージを与えずにSesameを設置するバックプレートやサムターンアダプタも人気です。サムターンアダプタはCandyHouse公式でも数百円でセミオーダーしてもらえますが、以前見せていただいた感じだと割と必要最低限のシンプルな形状で、当ブログ製作のものの方がガッチリ三次元形状に沿って固定できるのでご好評いただいています。詳細は上記ポストをご覧ください。
さて、このパーツシリーズは我が家で使用しているSesame 5用に製作しています。Sesame 4以前だと厚み(奥行き)が違うので使用できるかは未検証です(元々はSesame 3用だったので基本は同じのはずですが)。またかなり形状が違う北欧向けモデルも一度相談を受けてモデルまでは作ってあります。そして今回ついに上位モデルのSesame 5 Proをお使いの方からお問い合わせいただきました。「もしかしたらそのうち来るかもなー」と思っていたんですがついにという感じです。Sesame 5 Proはブラシレスモーターで耐久性が上がり、動作音も静かになっている上位モデルで、形状はSesame 5無印とかかなり違います。自分でもちょっと気になってはいたもののわざわざ買い換えるには至っていませんでした。
手元にないのでリバースエンジニアリングすることもできず、実機入手しました!(後述)
- 依頼主に測ってもらった数値で作成し根気よく合うまでやりとりさせてもらう
- Proを購入して設計が済んだら返品する(気に入れば自宅でそのまま使う)
のどちらかかなぁと思っていたのですが、ふと公式商品ページをみていたら一応サイズと真正面、真横の高画質な写真があったので、これだけあれば理論的には採寸不要でできるんじゃないかな?と思って着手してみました。Sesame 5と違ってサイドが斜めになってなくて寸胴スタイルなので、理論上は一意の外径サイズを確定できます(横からみた時のメインプレートの厚みとサムターンのツマミの幅は不定)。
なんとか完成したのがこちら。




ごらんのとおりモデリングツール上で3Dモデルデータができたという段階で、実施検証はできていません。なにせ手元に実機がないので、基本的には各パターンの引き合いがあった時点で造形して送付して試してもらうという形になります。
もしSesame 5 ProをASSAドアに取り付けたいという方がいらっしゃって、一発で付かないかもだけど何度か試行錯誤にお付き合いしてでも欲しい、という方がいらっしゃればコメント欄にてお問い合わせいただければと思います。
選択肢が増えて色々ややこしくなってきたので、問い合わせ&概算見積フォームを作りました。おわかりの範囲で記入していただいて送信いただければと思います。
2025.3.27追記 実機マッチング
複数のSesame 5 Proのご依頼をいただいたので、思い切って実機を購入してみました。自宅に取付ての長期使用はまだですが、とりあえず製作したパーツのマッチングはとれました(びっくりする位そのまま付きました)。またSesame 5向けに製作していたdタイプのリミッターも改めてSesame 5 Pro用もご用意しました。180°以上の回転角が必要な方向けです。
以下、実機での写真を掲載しておきます。シルエットがわかりやすいよう、あえて白モデルに黒パーツを使用していますが、パーツの色はお選びいただけます。
固定プレート

写真はバッテリー左付け用です。バッテリーの入る設置部分が綺麗にプレート内に収まっています。サムターンの丸プレートに「ASSA」刻印のあるバージョンは丸プレートに対して穴位置が低いので、穴位置をズラしてお作りします。バッテリーが左右のものは、下図の下のような形になります(CGはSesame5用)。

回転リミッター a. 側面取り付けタイプ
サイド面から針を生やすタイプ。a./b./c.共通ですが、針をもう少し細くするか短くしてもいいかも知れません。写真の状態で針に当たってこれ以上ノブが回らない状態です。どこまで回転できないとならないかはドアの設置状況に拠るのですが、個別にカスタムいたします。
針を細くすると強度面で不利なので、短くする方向かなと思っています。

回転リミッター b. 手前面取り付けタイプ
上からペタ貼りする形です。Sesame 5と違ってLEDとリセット穴に干渉しないので加工が少なくて楽だ~。これも一杯まで回した状態なので参考になさってください。

回転リミッター c. サムターン側取り付けタイプ
丸みのある側に取り付けるタイプです。白モデルに黒パーツだとカツラみたいですが、同色にすればそこまで目立たないと思います。

以上が針を生やす方向のバリエーションです。デザインのお好みではなく、実際の施錠、解錠がカチっと動作する回転範囲と、本体取り付け向きの絡みで選択になります。更に針の角度や太さをカスタムする必要がある場合もありますので、お手元のドアでの動作状況をお伺いしてコンサル/カスタムさせていただく形になります。
回転リミッター d. 180°以上回転タイプ
a./b./c.タイプは三角形の針を差し込んでいる都合上、その太さの分だけ回転範囲が狭まります。例えば、解錠から180°回さないと施錠されないようなケースでは角度が足りなくなってしまいます。これまでケースでは、写真のようにデッドボルトがフック型をしているタイプだと通常より大きく回す必要があるようでした。

そういうケースのドアに対応したのがd.タイプです。
ツマミ部分にキャップとして被せて片側だけ本体外周から飛び出す形で伸ばすカバー部品Aと、サイド面にピンを生やしてその突出部分を止めるパーツBx2点で構成されています。

この「片側だけ飛び出す」のがポイントで、写真でいうと左側は干渉して回転を止められますが、飛び出していない右側は素通りできます。パーツBの貼り付け位置で微調整可能ですが、右のパーツBをもう少し下に下げれば、3時から9時の180°範囲だけ動く形にできるというわけです。
実際にはもっと違った範囲でピンを出す必要があって、こちらも手前面や上側に貼り付けるBパーツ亜種が必要になるかも知れませんが、現状ご相談いただいたケースではこれでバッチリだったそうです。
実機で精密に採寸できたおかげで、接着不要な位ピッタリ固定できる精度が実現しました。なおカバー部品Aは強度を保つために1mm厚にしているので、標準のツマミに比べてトータルで2mm太くなります。バリエーションとして、こういう奥側のみで手前側はオリジナル状態の開放型キャップもアリかなと思っています。ご希望があればお知らせください。

もろもろご希望の方は問い合わせ&概算見積フォームからお問い合わせください。おわかりの範囲で記入していただいて送信いただければと思います。
はじめまして。牛来です。セサミ5プロを取り付けてましたが、ASSAで空回りがあり、角度を調整してもすぐズレてしまい、取り外そうと思っていた時にこのサイトを見つけました。ありがとうございます。固定用バックプレートバッテリー下、ASSA刻印あり。サムターンアダプター、回転ストッパー。希望です。よろしくお願いします。