かなり理想的なBluetoothリモコンに出会った ‎Satechi ST-BTMR2M [技適マーク有り]

寝モバ中に動画アプリや電子書籍アプリを片手コントロールするBluetoothコントローラーが定期的に欲しくなり、過去に10個近くは買っています。

最近では元々の意図は違うんですが、AZ-MacroというBluetooth接続のマクロパット(キーカスタマイズができる小型キーボード)がかなりお気に入りです。

これの良いところは設定画面で8つのキーのアサインを変えることができるので、あらゆるアプリのキーボードショートカットに対応できたり、スマホやタブレットなどAutoHotKeyのようなキーマッピングツールが使えない環境にも対応できる点です。先日は強化パーツでトラックボールも装着しました。

便利過ぎてメインPCの側から離せないのと、机がない場所で使うには向かない形状なので、ハンドヘルドなものを物色。

要求仕様としては、

  • タブレット(Chromebookなど)で使えるBluetooth対応であること
  • PowerPointやKeynote専用とかではなく普通のUSBキーボードデバイスとしてキーコードを送るもの
  • (まぁこれはほぼないけど)キーコードのカスタマイズができれば神
  • 最低限、カーソル左右キーが送れる
  • なるべく小型で持ちやすい形状
  • 充電式

辺り。

最近はスマホVR向けのミニゲームコントローラー型のものが多く出ていますが、あぁいうのは何種類かのキーセットモードを切り替えて使えるのはいいんですが、そのきりかえに「特定キーを押しながら電源ON」とになっていて、毎回するのが面倒だったりしばらく使わないと忘れてどれだっけ?とかなりがち。ドンピシャで理想のキーアサインになってるのがいいかなと。

で買ったのがこちら。

特徴は、

  • 上側Dパッドは上下左右+Enterアサイン
  • ジャイロマウスにもなる
  •  P(C)モードとM(ac)モードは再度のスイッチで切り替え
  • USB Type-C 充電

といったあたり。かなりシンプルでキーアサインもシンプルでよいです。PモードとMモードの切り替えはスライドスイッチ式なので勝手に切り替わることもなし。上記アサインはPモードにした時で、Mモードだとメディアコントロール系のアサインになります。ジャイロマウスは本体を振って動かすタイプのもの。けっして思い通り自在に動くとまではいきませんが、ショートカットキーだけでどうにもならないコンテンツ選択などでさっと切り替えて使えるのは便利。Type-Cなのも今時で良いです。

握った感じはAppleTV 4K 2021の新型リモコンみたいな感じ。両面ともフラット。握りやすさというよりは携帯時の操作性優先という感じですがボタンも大きいし操作感は良好です。マウスのL/Rクリックボタンがもう少し押しやすい位置だと良かったなとは思いますが。

気になる技適マークは他の型番情報などと一緒に背面にフィルムシールで貼られていました。剥がすと見た目にも手触り的にもスッキリするですが技適マーク込みだとはがしづらい…

激安のVRリモコン(数百円)とかよりはお高いですが、キーアサイン的にも必要十分で、いざとなったらマウスとしても使えて、ほぼ理想的な製品だったなと思います。動画、電子書籍、紙芝居ゲーなどが捗りそうです。

AZ-Macroを強化パーツでトラックボール化

先日も業務で大活躍してくれた小型ワイヤレスマクロキーパッドAZ-Macroですが、ふと見ると複数の強化パーツがリリースされていました。

です。元々左側にあったアクリルカバーの部分に、それぞれトラックボール(左右クリックスイッチ付き)か、サスティンペダルを接続するための3.5mmジャックを増設するキットになります。こうした後付けパーツで強化できるのは燃えますね。

残念ながら両方同時装着はできなそうなので、今回はトラックボール接続ユニットをキットで購入。トラックボールユニットはリンクに沿って遊舎工房さんで買いました。それぞれに送料がかかるので、実は最初から完成ユニットを買うのとキットはそんなに変わらない値段になります。できればBOOTHの方でトラックボールユニットも含んだキットをハンダ工作好きな人の為にラインナップしてくれると嬉しいなと思ったり。

ともあれ別個に注文したパーツが揃ったので早速取り付けてみました。

紙の説明書などは付属せず、QRコードで誘導される公式の説明書きがこちら。設定画面での設定方法は記載されていますが、取り付け方法についてはほとんど説明がなく、完成写真を見ながら「こうかな?」と考えながらするしかなくやや不親切です。特にユニット基板とトラックボールユニットの固定はどうしたらいいか悩みました。基板側にユニット大の四角い穴が空いていますが、固定方法がありません。スカスカです。しかし結果から言えば配線だけハンダ付けし、付属のコンスルーでAZ-Macro本体にとりつけると本体基板上のチップの上に載っかる感じになってほどよく固定されます。後でプラリペアか瞬間接着剤で固定しようかなと思ってましたが不要と思えるくらいしっくり固定されまる。そうひと言書いて置いてくれれば無駄に悩まずに済んだのになと。

ハンダ付けする箇所はトラックボールユニットの5芯フラット線とクリックボタンが2つx2箇所づつ、そして6ピンのコンスルーです。全体に小さい端子が多くて緊張しました。一番小さいコテ先にしてルーペで覗きながら慎重にハンダ付けしていきます。特に5芯のフラットケーブルは隣とショートしてしまわないよう細心の注意が必要だったのと、トラックボールユニットから直接生えているので失敗してケーブルが足りなくなるとアウトです。クリックボタンも基板上に固定できる場所はないので真っ直ぐ取り付けられるまで何度かやり直しをしました。コンスルーは増設基板側と本体基板側にそれぞれあって両者をつなぐわけですが、私は増設基板側のみハンダ付けしました。どちらもしなくてもテストではきちんと動いてましたが、増設基板側はボタン近くで指が触れるのでハンダが盛ってあった方がチクチクしないかなと。逆に本体基板は将来的に「やっぱ踏みキー接続ユニットに換装したいな」と思う日がくるかなと思い脱着可能な状態を維持することにしました。

全体的に細かい作業が多いので、特別ハンダ付け工作が好きという人以外は完成品の購入をお勧めします。増設ユニットと本体との接続はさほど難しくはないと思います。

■使用感

おそらくキーボードからマウス+キーボード扱いになるからなんでしょうけど、Bluetoothのペアリングは一度やり直す必要がありそうでした。

ボールの大きさが大きさなので、常用できる快適なトラックボールとはなりません。クリックボタンも割と深く押し込まないとならないので、操作性はイマイチ。しかし左手キーボードとしてちょっとしたカーソル移動とクリックができるというのはなかなかに便利。本体の大きさがかわるわけでもないので、とりあえず付けとけというオプションだと思います。

私は左手で使うことが多くなると思うので、クリックボタンは左右入れ替えてみました。割り当ての自由度はメイン8キーと同じなので、クリック動作ではなく特定のキーコンビネーションやWebHookもアサイン可能です。仮にトラックボールの必要性を感じなくとも、8+2で実質10キーのマクロパッドになる、と考えることもできます。

■まとめ

  • 標準でBluetooth化され、バッテリー駆動でワイヤレス動作できる
  • 設定用Webインターフェイスを備えている

などオンリーワンなマクロパッドという価値が更に強化されるパーツシステム。「最近出てた」と書きましたがファームウェア更新とかはしなくても設定メニューがあったので、もしかしたら最初から売ってたか、少なくとも仕込みはしてあったということなんでしょう。逆にいうと現時点ではこれ以上の強化パーツラインナップはなさそうですが、今後も色々な選択肢を提供していってくれたら嬉しいです。むしろいつ買えなくなるかもわからないので、踏みキー接続ユニットも一緒に買っておけば良かったなと後悔。というか本体ごと予備で買っておきたいレベルです。次は完成品でもいいかなw。でもキースイッチはカスタマイズしたいかも。

基本はEnterとCtrlで読み進める紙芝居ゲーで、たまに選択肢やセーブ操作をするなんて用途にもピッタリかも知れません。

 

 

 

 

ZOOM F6を使ってPC音をループバックでオンライン会議に流す設定メモ

ZOOM F6で出来るとは思ってたけどあんまり真面目に設定を確認していなかったループバック設定について確認。

ループバック(録音)とは、PCの音をミキサーに入れ、マイクの音とミックスしてPCに戻すということ。どんな時に使うかというと、ゲーム実況などでゲームの音と実況者のマイク音声とを重ねて配信側に流したい場合などです。通常、配信ソフトや録画ソフトは入力デバイス(マイク、ライン入力等)からの音声を選択できますが、出力デバイス(スピーカー、ヘッドフォン等)は選べません。役割(方向)が違います。そこで一旦PCの外の機器に出力して、その機器がそれをそっくりそのまま出力したのをPCが入力する、という手順を踏みます。また配信/録画ソフトが単一の入力デバイスしか選べない場合(ZoomとかTeamsなどのウェブ会議ツールなど)、その機器にPCからの音とマイクからの音を両方入れて、音量バランス調整した上でミックスしてPCに戻すということも必要になります。これをしてくれるのがオーディオインターフェイス(以下オーディオI/F)機器(のミキサー機能、ループバック機能)というわけです。ちなみにこれらを外部機器なしに行えるソフトウェアも存在はします。それでもより高品質、安定性、また物理ツマミやフェーダーでの直観的な音量調節操作などを好んで、外部オーディオI/Fが好まれる傾向がある感じです。

さて、昨年導入したZOOM F6というフィールドレコーダー、32bit float録音で音割れしないというのが売りでそれを目的でのチョイスでしたが、オーディオI/Fとして機能し、ループバック機能もついています。

普段はこのオーディオI/FモードでXLRのガンマイクの音をPCに入れてウェブ会議のマイクソースとして使っています。先日そこで動画ファイルを再生する必要があり、その時の音声(つまりWindowsのシステム音声)が相手に聞こえない問題が発生したので、改めてループバック機能をきちんと理解して使えるようにしておこうと思った次第です。ちなみにTeamsは画面共有時にはシステム音声を流す設定があり、その時はわざわざ会議の場をTeamsに切り替えてもらい凌ぎました。

(国産のレコーダーメーカーZOOMと海外のウェブ会議システムZoomは全く無関係な別モノです、本記事では前者を大文字ZOOM、後者をスネークケースZoomで書き分けます)

■ZOOM F6によるループバック機能の使い方

ループバックというまんまの機能/設定項目があるので、それをONにするだけなんですが、色々と付帯条件があったり音量調節の仕方などをまとめておきます。

まずループバックはUSBオーディオI/Fのいくつかあるモードのうち、「ステレオミックスモード」のみで利用できます。これは文字通り全トラックをステレオ1トラック(2ch)にミックスした音を入出力する(2IN/2OUT)モードです。6IN/4OUTのマルチトラックモードやオーディオI/Fと本体録音を同時に使用する「AIF with REC」は使えないので注意が必要です。

ステレオミックスモードの起動方法

  • システム->USB->オーディオI/F->ステレオミックス(PC/Mac)

ループバックの有効化

ステレオミックスモードが起動しPC/Macとつながっている状態で、メニューを開くと「ループバック」というまんまの項目があるので、これをオンにすればOK。最後のON/OFF状態を記憶しているようなので注意が必要です。意図せずONになっていると、他の話者の音声がミックスされてしまったり、内職でみていたYoutubeの音声が流れたりします(笑)。必要な時だけONにし、終わったらOFFを心がけるのが良いと思います。

PCの音をZOOM F6に送る

OSが認識している出力デバイスのうち、「ZOOM H & F Series Audio」を選べばOK。アプリ毎に選択できることもありますし、なければOS側のデフォルト出力デバイスで選択します。これをすると動画/ゲームの音はZOOM F6に送られPCのスピーカーやヘッドフォンからは出なくなります。F6にヘッドフォンなどをつないでモニターします。F6からPCにループバック(リターン)する音は動画/ゲーム音とマイク音がミックスされたものになりますが、ヘッドフォンにマイク音(自分の声)を入れるかどうかは設定で変えられます。

出力設定->ヘッドフォン出力->ルーティングで当該マイクchをプリ(青)またはポスト(赤)でチェックするようにすればマイク音がヘッドフォンからPC音に混ざって聞こえます。PC音が大きくで自分の声が聞こえないような時にはマイク音もモニターできるようにした方がよさげな気がします。プリとポストの違いは各種エフェクトやフェーダーを通る前の音か通った後の音かってことで、ここでは聞きやすい方で良いでしょう。実際の配信される音に近い状態で聞きたければポストの方がいいかも知れません。ちなみにここで「Line」がOFFでもヘッドフォンには常にPC音が聞こえます。ちょっとこの辺の仕組みがよくわからないです。ONにすると少し音量がかわる気はします(重なって大きくなる?)が、OFFにはできませんでした。ループバック中のPC音は無条件で一定の音量でヘッドフォンには流れるようです。

同時に注意したいのは、ZoomやTeamsの出力デバイスをこれにしないことです。動画やゲームの音と一緒に他の参加者の声がミックスされ、それがまた会議に逆流してしまいます。Zoom/Teams上でデフォルトデバイスを選ばず、個別に他のスピーカーやヘッドフォンを選択しておきます。マルチトラックモードならこれらの音も独立トラックとして扱えそうなものですが、残念ながらWindowsではドライバが特殊なものになる為、そもそもZoomやTeams側で指定することからしてできなそうです。

音量調節

レベルメーター画面でみると右端の「LINE」の2chに音が入ってピコピコ動きます。しかし本体前面のツマミはマイク1~6の分しかないので直接操作をすることはできません。空いているチャンネルを入力設定->PFLでソースを割り当て直そうとしたり、LINEの音量をいじったりしてみましたがかわらず。PCのループバック音量は調整できないので、PC側の音量操作で調整するしかなさげ、というのが結論です。ちょいと不便だなと思います。単体のオーディオI/F&ミキサー専用機なら個別にフェーダーがあって調節できるのかなと。

ともあれ、PC音はOS上での音量設定のまま相手方にも聞こえると理解しておきます。それに対するマイク音のバランスをツマミで調節したり、それでも小さい時は

入力設定->PFL->(該当マイクインプット番号)->トリム

で調整するしかなさそう。またヘッドフォンに出る音量は本体右側のヘッドフォン音量ダイヤルで調整するという感じでしょうか。PC音に釣られて大きな声を出してしまいそうな場合は、当該マイクのリミッターもセットしておくと良いかも知れません。

RTX Broadcastなどノイズキャンセルツールとの併用に注意

入力された音声をRTX BroadcastやKrispのようなNCソフトに入れてその出力をZoom/Teamsにいれたりしている際は注意が必要です。これらのツールが音楽な効果音などをノイズとみなして消し去ってしまうからです。動画やゲーム音を流すときはNCはバイパスするようデバイス経路を変更するかNC効果を最弱にしたりOFFにするのをお忘れ無く!

■まとめ

一応ループバックできて目的は果たせましたが使い勝手としてはイマイチな気がします。そこはやはり専用のオーディオI/F & ミキサーには適わないというところでしょうか。私が完全に理解できてないだけで他のやり方もあるのかも知れませんが、F6はガチプロしか使っていないのか、こういう細かい具体的な使用方法はマニュアルにもあまり載っていないし、紹介しているブログも見つからないんですよね…

またAIF with RECモードではループバックが使えないので、このままF6側でバックアップ録音したりもできないのが残念。

いずれ使用する機会が増えそうなら専用機の導入も検討したいと思います。

 

 

3キーでカスタマイズ可能なマクロキーパッドKeybow miniを組んでみた

ElgatoのStream Deckや以前私が作ったAZ-Macroをみて、同居人もマクロキーパッドが欲しそうだったのでプレゼントすることにしました。

マクロキーパッドとは、特定のキーコンビネーション(含む単一キー入力)を入力できる小型のキーボード装置のことです。Ctrl+Alt+F4みたいな複雑なキーボードショートカットを押すかわりに1ボタンで同等の操作を完結できるものです。たまにキーボードの上の方にメディア操作ボタン(再生、停止、スキップ、ミュートなど)がついているPCがあると思いますが、あぁいうのの外付け版みたいな感じですね。昨今、テレワークや配信ブームでマイクやカメラのミュート操作なんかを簡単にしたい、みたいな文脈で注目が高まっている感があります。

で、同居人のニーズとしては「ネットショップの出荷作業の際に、注文管理サイトの未出荷オーダーの一覧画面に一発で戻るボタン」という感じ。マウス数クリックのことではありますが、連続して何十件も処理する時に少しでも効率化できたら、という感じでした。

基本1ボタンで済むのですが探してみても1ボタンのマクロキーパッドというのは見つかりませんでした。もっとも少なかったのはこちらのZoomでマイクとカメラをミュートにできる2ボタンのもの。

しかしこれはMac用とWindows用が別製品になっている。つまり送出できるキーボード入力がハードコーディングされていて変更不可であるということです。カスタマーQ&Aに「私たちはあなたのためにプログラムを編集し、あなたにそれをカスタマイズさせることができます。 自分で設定したい場合は、お問い合わせください。」という返答があるので、なんらかの手段はありそうですが仕様がはっきりしないのでスルーしました。

ちなみにマクロキーパッドや自作キーボードの多くはProMicroという制御基板がデ・ファクトになっていて、これだとUSB経由で設定ファイルを書き込んでキー出力をカスタマイズすることができます。最近はBluetoothキーボードになる互換ボードもあるようです。

私が以前組んだAZ-MacroはProMicroを使わず、独自実装のようでした。設定もWebブラウザからできて扱い易かったです。

さて、今回購入したのはこちら。

1ボタンも2ボタンもいいのが見つからず3ボタンで落ち着きました。アドレサブルRGB LEDがついていて3キー独立で好きな色に光らせることができます。

制御ボードしてなんとRaspberry Pi Zeroを使います。

別売りなので総額はややお高めになります。一番安いスイッチサイエンスは売り切れていたので秋月電子で購入しました。Wi-Fi/Bluetooth機能はいらないので、Zero W/WHである必要はないですが、オスのピンヘッダーが必要なので、最初から装着されているWHが良いかも知れません。

あとはRaspberry Pi ZeroのOSをインストールするmicroSDカード。容量は全然いらないのでこちらの16GBをチョイス(実際には8GBでも4GBでも余裕なので手持ちがあればそれでOKだと思います)。

Raspberry Pi Zeroを使う難点としてはOSの起動に時間がかかる点。PC/MacからのUSB給電で起動し、キーが反応するようになるまで10~15秒ほどかかります。スリープ中でもUSB給電している機種/設定ならあまり気にしなくても良いかも知れません。

ちなみに起動後はオンメモリで動くので、いきなり電源をブチ切ってもSDカードのデータが壊れたりはしないとのことです。

キーユニットやキーキャップはバラバラで送られてきますが、ハンダ付けは要らず、差し込み、ハメ込みのみで完成します。購入時キーユニットがカチカチと静音タイプが選べましたがなぜか2,000円くらい差があったのでカチカチにしました。今は同額のようです。汎用品だしハンダ付けもしないので、その気になればキーユニットもキーキャップも交換できるでしょう。

接続ケーブルはRaspberry Pi Zero側のUSBはmicro B、PC側はAコネクタなケーブルが付属。USB Type-CのMacBookやPCの場合は別途変換アダプタ、ハブをかますか、ケーブルを買い直す必要があります。

■カスタマイズ方法がやや面倒くさく、日本語キーボード環境では問題あり

Raspberry Pieとか聞くとLinuxの知識がないといじれないんじゃ?と思われるかも知れませんが、本製品はそこら辺の知識は基本必要ありません。公式からOSファイルをダウンロードしてzip解凍した中身をSDカードにまるっとコピーします。そしてその中にあるテキストファイル形式の設定ファイルをエディタで編集するだけです。ただその記述方法は多少はプログラミング的な考え方が必要ですし、ドキュメントが公式サイトの英語のものしか見つからないのでそこは多少覚悟が必要かも知れません。

また

  • SDカードをPC/Macにマウント
  • 設定ファイルを書き換え
  • SDカードをアンマウントしてKeybow本体に差し替え
  • 起動に10~15秒待ち
  • キーを押してみて動作確認
  • 電源を落としてSDカードを抜く

の繰り返しになる設定プロセスはかなり面倒です。トラブルなくいけば数回で済むことですが、私はハマって試行錯誤をすることになったのでかなりストレス。

なにに困ったかというとMacで日本語キーボード環境だとキー配列に互換性がないため、意図した文字が送出されない、という点です。本製品は基本的に英語キーボードして動作します。しかしOS側でこれを日本語キーボードだと認識しているおかしなことになります。Macの場合、初めて接続したキーボードに対しては自動的にウィザードが起動して設定できるわけですが、そのステップとして「左右のShiftキーの隣にあるキーを押せ」というステップがあります。このキーが存在しない為、ここを突破できないのです。マニュアルでキーボード個別に配列を変更する箇所は発見できませんでした。標準キーボードともども英語配列設定にすれば問題ないのですが、、、多分Windowsならデバイスマネージャーでキーボード別にドライバ選択で使い分けられる気がします。もしかしたらGUIにこだわらなければMacでも設定できるかも知れませんし、これを書きながら、「一旦Shiftキー隣のキーを割り当ててやればよくね?」とも思いましたが試していません。

で、OS側での認識が日本語キーボードのままで例えば「所定のテキストを送信する」という

みたいな設定をしたとしても、「:」や「_」といった日本語キーボードと英語キーボードでキーの位置が違うような記号は正しく送られていきません。あくまでUSBキーボードなのでテキストを転送するのではなく、キーストロークに分解して1文字ずつ送信しているっぽいからでしょう。
ドキュメントも基本的なカスタマイズしか記載されておらず、キーコードを定義するところは見よう見まねで試行錯誤するしかありません。これには16進数のUsage IDというのを使います。こちらの表がわかりやすいですが、例えば左F1キーは10進数で58のところにあり、16進数なら0xをつけて0x3Aを指定します。実際に定義ファイルkeybow.luaをみると、

keybow.F1 = 0x3a

という定義行があります。

では「:」が「+」になってしまう問題を考えます。英語キーボードではShiftキーを押しながら「;」で「:」です。「;」キーのUsage IDは0x33です。実際に「:」を送信するよう設定をすると、日本語キーボード環境では(一番右のJISの列)では「;」のUsage IDは同じ0x33なものの、Shiftコンビネーション時の出力は「+」となっているのがわかります。

逆に辿るとJISで「:」は0x34であり英語では「’」だとわかるので、

keybow.text(“https’//”)

でいけるんじゃないでしょうか(未検証)。私は

keybow.semicoron_jp = 0x34

のように定義を追加しました。とりあえずこれを使ってコロンは出せました。

しかしこれで全て解決とはいかず。今度は同じ方法で「_」を出すために、日本語キーボードで右シフトの左にある「\_ろ」のキーに相当するキーコードを定義してみます。キー名は「International1」であり、Karabinar Elementに付属のEvent Viewerでも確認できます。

keybow.backslash_jp = 0x87

これで「\」が出てくれればShiftキーと一緒に送出するだけです。しかしこれは上手くいきません。原因は不明ですが、International1-9は英語キーボードに相当するキーがない(表でN/Aとなっている)ので、KebowのOSでも動作対象外となっているのかも知れません。「:」が出せたので考え方は間違ってないと思うのですが、これ以上はお手上げ。公式サイトに問い合わせるしかなさそうです。

ちなみに同じファイルkeybow.luaの冒頭にこういう定義あって、

どうやらこれを書き換えればShiftキー押しながら書くキーをタイプした時の挙動をカスタマイズできそうなんですが、エスケープ(\)されたものとかあって後半のキーまできっちり合わせるのが大変そうで手を付けていません。Shift+9くらいまでならこれでもどうにかなるかも知れません。一般には\tがタブ、\nは改行だと思うんですが、\bがバックスペースで\aは警告音??Shift+TABとかShift+BSが警告音になっちゃうってこと??みたいな。どっかにフルドキュメントないんかな…

■結局記号付きの文字列送出はほぼ諦めた

上述のように1つ設定を書き換えてはSD差し替えてブート待ちして、というサイクルが面倒くさすぎて心が折れました。結局使用者の利用シーンを聞き取りして、記号文字「_」の送出はしなくて良い形でまとめました。参考とバックアップの為に今回の納品設定を晒しておきます。layoutsファイルにあるKeybow mini用のテンプレートmini.luaをコピーしてmy_mini.luaなどを作り、ルートにあるkeys.luaの2行目で呼び出せばOKです。「– 」で始まる行はコメントとして認識されるぽいですが、2バイト文字(日本語)があっていいかは不明です。ここでは可読性を優先して日本語でコメントを追記しておきます。

以上、かなり単純な操作に落とし込みました。URLをキーボードから送り出すのは諦めて、使っていなかったホームボタンに指定URLを登録し、単にそれを呼び出すだけにしました。
また所定のアプリ起動はSpotlightを使ってアプリ名で検索して起動するアプローチになるんですが、デフォルトのCommand + SpaceはIME切り替えに使っていたので、OS側での呼び出しショートカットもF5にした上であわせています。標準ショートカットの場合はsnippets/mac_snippets.lusに関数が定義されているのでそれを使ってもいいかも知れません。

■PC側のツールでどうにかするアプローチ

今回はセットアップ先が自分のPCではなかったので、極力常駐ものを増やすのは避ける方針でいきましたが、AutoHotKey(Windows)やKeyboard Maestro(macOS)などのユーティリティを使えば、本体側は普段使いとあまり重複しないキーを送信するだけにしておき、あとの処理はPC側でどうにかする、という方向性もアリじゃないかと思います。

■まとめ

このボタン数で活カスタマイズ可能なキーパッドは希少で他に選択肢がなかったんですが、Raspberry Pie Zeroを使った独自実装で資料が少なく設定は難航しました。単純なキーコンビネーションを送出するだけなら問題ないと思いますが、日本語キーボード環境で文字列送信まで視野にいれるとかなりしんどいと思います。そもそもキーストロークを送出するUSBキーボードのふりをするので、OS側のIMEがONかOFFかも意識せず「aiueo」と送ります。「あいうえお」と送りたければ、IME ONにアサインしたキーコンビネーションを送るなどする必要がありますし、漢字変換まで考えると実質制御不能でしょう。そういうことがしたければStream Deckのような常駐ソフトを組み合わせて動作する製品を選ぶ方が幸せになれると思います。

設定が面倒くさい点に関しては、せっかくWi-Fiを内蔵したRaspberry Pi Zero WHをいれたので、sshでログインしてviやemacsで書き換えできるようにならないかな?と思いつつこれも調べていません。おそらくデフォルトでは余計なポートやデーモンは無効化てありそう(してあってほしい)。

色々可能性は感じつつも、試行錯誤の面倒くささとドキュメントの少なさで、とりあえずの動作要件を満たせたところで「もういいや」という気分になっていますが、とにかく小さいキーパッドが欲しいという方、AutoHotKeyなどの使用に躊躇がない方には良いかも知れません。

個人的には価格、ワイヤレスでも使用可能、Web設定インターフェイスなど統合したらAZ-Macroの方が遥かに優秀かなと思います。ハンダ付けが苦手な方には完成品もありますし。

ちゃんと4KキャプチャができるUSBキャプチャ Elgato Cam Link 4K

テレワーク需要を受け、高画質なデジタルカメラの映像をPCにリアルタイムでいれてWebカメラのかわりにオンライン会議の顔映像として使いたい、という需要も増し、USBタイプのHDMIキャプチャーがあちこちから安価に出まくっていますね。

私が最初に買ったのはAverMediaのBU110でした。

2018年当時、フルHDR対応していて1.5万円ほど。当時としては小さく、電源不要でHDMI映像をUVCドライバーでカメラ入力でき、様々な現場で活躍してきました。

今回これと同じことができるデバイスがもう1つ、2つ欲しいなということになり物色。BU110もまだ現役で売っていますが、より小型で安い商品が中華勢から続々と登場しています。なんと1,000円を切るようなものまで。一瞬そういうのでいいか、と思いかけましたが、ちょっと不安になって色々リサーチ。というか普通にレビューをみていても遅延が、、などとお値段なりの品質を思わせるコメントが続々。日常のウェブ会議でたまに不具合が出るくらいならいいですが、UT実査などの収録でトラブルは困ります。

新しさには欠けるけど実績のあるBU110を1.5万円ほど出して買おうか、同じくらいの値段で4KまでいけるElgatoのCam Link 4Kにしようかという流れに。

ちなみに安物はきっぱり止めようと思えた動画がこちら。

後半で、LogcoolのWebカメラ、一般的な$20のキャプチャアダプタ、Cam Link 4Kで遅延を比較してくれています。安物はひと目で「これはないな」と思えますw。逆にCam Link 4Kは大丈夫そうだなとも。Logicoolの上級モデルのカメラもさすがですね。今回は光学望遠が使える外部カメラをつなぎたかったので除外ですが(というか同社のBrioは毎日問題なく使えています)。

さて、今回どうして4Kキャプチャーがいると思ったかというと、別に高画質ゲーム配信とかではなく、とあるUT現場で、ある製品の複数箇所、アングルを映す必要があったからです。当初3カメラで個別に映す予定でしたが、4KでキャプチャしてOBS側で必要な部分をズームして使えばカメラ台数を減らせるんじゃないかと。例えば引きの全体像と、表示部分のアップ、みたいなのを1台のカメラで撮れれば、機材も減らせるしキャプチャーの負荷も抑えられるかなと。もちろん4Kは単純にいってフルHDの4倍の解像度なので、1台でフルHD 4ストリーム分の帯域を食う可能性もありますが、どちらかというとUSB周りでデバイスが増えた時の不安定さの方を問題視しました。4Kでキャプチャできていればズームした部分もそれなりの解像度を維持できるのでいいかなと。

ちなみにAmazonでゴロゴロ出てくる中華製4K対応USBキャプチャ(2~3千円程度)のものも「4K」と書いてはありますね。ただこれはトラップです。4Kの信号を受けることはできるものの、キャプチャされるのはフルHDまでだったりします。4Kでゲームしている映像をフルHDに落として配信したい、とかならまぁいいんですが、4Kでキャプチャできるものはこの価格帯では現状ないと思います。

ということで最終候補として残ったのは、ElgatoのCam Link 4Kか、単独で録画もできHDRなどにも対応している4K60S+です。ノートPCで使うのでPCIexタイプは除外。他にはAverMediaなどでもいくつか仕様を満たすものはあります。

後者は単体録画ができたりパススルー端子があり、HDR対応しているので、PS5を4K&HDRで遅延なくプレイしながら録画したり配信したりができるのでかなり魅力でしたが、業務用としてはオーバースペックで、今回Razer Blade 14というCPU/GPUの強いPCを買ったので、懐が寂しかったのと、そちらのソフトエンコードパワーを生かしてやろうということでCam Link 4Kにしました。

■使用感

基本OBS Studioへの入力用なので専用録画アプリは入れただけでほとんど使っていません。

安定性はそこそこ。たまにOBS落としたりPCがスリープになったりすると映像がブラックアウトして、Cam Link 4KをUSBポートから抜き差ししたり、OBS上でデバイスを無効->有効にしたり、カメラをOFF/ONしたりしないと復活しなくなります。が、まぁこれはBU110も含めて似たり寄ったりじゃないかなという認証。今回話してる人を撮っているわけではないので厳密なリップシンクまでは検証できていませんが、見ていて明らかな遅延はありません。また一度映った状態、録画し続けている状態において途中で切れたとか熱暴走でフリーズとかはないです。

ちなみにUSBは直差しではなくハブ経由ですが電流不足にならないようバスパワーのこちらを使っています。

貴重なUSB 3.2 Gen2対応のハブで、Razer Blade 14のようにUSB Type-CでGen2なポートがあるノートにはぴったり。ちなみにCam Link 4K自体は要求仕様に「USB 3.x port」と書いてあるのでGen1(5Gbps)であれば問題ないですが、他のデバイスも同時につなぐならハブ-PC間はGen2(10Gbps)で帯域に余裕があるといいのかなと思っています(USBがそういう帯域の取り合いの仕方なのかわかっていませんが)。電源がとれてGen2なハブでしたらこれはオススメです(ただしダウンストリーム側にType Cはないのでご注意ください。A x4口です)。

USBポートに対して本体が幅広なので、短いUSB延長ケーブルが付属しています。これもUSB3.0で動作保証されているという意味では貴重ですが、絶対なくしそうなのでとりあえず元箱にしまって現場にはもっていきませんでした。がこれはやっぱり必要だったなと反省。上記ハブでも隣がデバイスだと干渉します。細いケーブルとかならいいんですが。今後はケーブルを本体につけて機材ボックスに保管しておこうと思います。

■まとめ

結果的に今回の現場では思惑の「4Kで撮って必要なところをアップで切り出す」という使い方はボツになりました。撮りたいアングルが乖離してしまったせいです。ただし4Kキャプチャはしていてその品質は満足しています。似たような仕様の中華製品が安くある中で1万円台を出すのは勇気がいりますが、価格なりの品質が伴った商品だと思います。