NVIDIA BroadcastのないMacでもWeb会議にノイズキャンセルを使いたい

M1MaxのMacBook Proを導入し、自宅デスクトップとしても当面はメインに使うことになりそうなわけです。今のご時世大抵のサービスはWinows/Mac両対応でほぼ問題ないのですが、悩ましいのがWeb会議で活用しまくっていたNVIDIA Broadcastです。NVIDIAのグラフィックボードRTXシリーズのコンピューティングパワーを活かして音声ノイズキャンセルやWebカメラの背景ぼかし処理、オートフレーミング処理などを行ってくれる仮想デバイスツールです。こればっかりは将来に渡ってMac版が提供されることはなさそう。UT実査などでWireless Go2をなどダイナミックマイク系の特性(近くの大きな音だけ拾う)のマイクを使う時はまぁなくてもいいかなと思いますが、自宅のコンデンサマイクはエアコンなどの微細なノイズも拾いまくってしまうので、なんらかのノイズ除去が必要です(ダイナミックマイクをカメラの画角に入ってしまうような口元にマイクスタンドで持ってくるのは避けたい)。これにはNVIDIA Broadcastがうってつけだったのですが、、

■札束で殴る方法は自重

以前から気になっていたのはUNIVERSAL AUDIO(以下UA)のオーディオI/FにC Suite C-Vox Noise & Ambient Reduction(以下C-Vox)プラグインを組み合わせる方法。UA社のオーディオI/FはDSP搭載で各種フィルターをハードウェア処理でかけることができる特長をもっています。そのひとつに超強力なノイズ軽減フィルターであるC-Voxがあります。ほぼ遅延なしで声を削ることなく綺麗にノイズを消せるらしいし、PC側に処理負荷もかからないので良さげなんですが、なにせハードが最低でも数万、C-Voxプラグインが$349もするのでうっかりすると10万円コースです。なかなか日本でのレビューもなく、ちょっとギャンブルでもあるのでなかなか特攻もしづらい。しかも今回はMac本体に多額の出費をしたばかりなのでさすがに自重。

UAのApolloシリーズは値段でDSPコア数が違うんですが、C-Voxをきっちり動かすのに何コアあればいいのかとかも公式サイトみてもよくわからず。基本1つのプラグインは1つのDSPコアがあれば動くんでしょうかね?

■ソフトの力でなんとかしてみる

Audio Hijack

そこで見つけたのがRogue Amoeba社(読めない)のAudio Hijackとうソフトウェア製品です。Web会議用ツールではなく、どちらかといえばソフトウエア・オーディオミキサー?エフェクター?兼レコーダーという感じ。様々な入力ソースはアプリの出力音声に色々なエフェクトをかけて録音したり、別デバイスに出力したりできます。この中に学習型のノイズ低減フィルターが入っており、最大3秒のノイズサンプルを覚えさせることで同種の音を消してくれます。ざっと試した感じノイズ以外の音声の劣化は少なそう。グラフィカルなUIでエフェクターブロックをつないでいく形で構成を作っていきます。エフェクターをかけるごとに遅延は伸びていきますが、低遅延モード(処理が追いつかないと音が飛ぶらしい)にしてNCと音量調整をかける程度ならWeb会議には充分でした(M1 Maxだしというのもあるかも?)。また途中の好きな時点のレコーダーブロックを挿入できるので、例えばエフェクトをかける前の生音をバックアップで録画しておくということがOBSで無駄にソースを増やして例のチェック間違えるとエラいことになるミキサー設定でやりくりしなくて済みます。音声もOBSのマルチトラックで録ってしまうとバックアップトラックが含まれた動画ファイルになってしまい、即渡しには不便になってしまいます。そういう時に万一のバックアップ録音はAudio Hijack側で録っておきつつ完成トラックだけをOBSに渡す、みたいな使い方もできるかなと。NC学習は一瞬ですが毎回環境がかわるような使い方だと地味にひと手間あるかも知れません。でもまぁそれで精度が上がるのならむしろアリかなと(現時点では)思っています。例えば空調音だけでなく打鍵音も除去したければ3秒の学習中にキーをガチャガチャしてやればキーも割と消えます。NVIDIA Broadcastは問答無用で人間の声以外の全てを除去するので、手を叩いたりスイッチを押す音がなくなって場合によっては映像とあわないなんてこともありました。そう考えると、「この音を消せ」とその場で教え込めるのは過不足なくていいのかも知れません。ちなみにグライコやハイパスフィルターなどは普通に揃っているので少し組み合わせてみましたが、結局とNCとボリューム調整だけでいいかなという印象。重ねると遅延も出やすくなりますし。ただDeEsser(サ行の音の余計な成分を消す)があると良かったなと思います(ざっとみて見付からなかっただけで同等のフィルターはあるかも)。

LoopBack

ただしAudio Hijack単体ではエフェクトをかけた後の音声を他ソフトからみた音声入力(仮想マイクデバイス)にアサインすることはできず、更に別のツールを組み合わせる必要があります。同じRogue Amoeba社からはLoopBackというツールが出ています(有償)。フリー昔だとBlackholeというのがメジャーっぽいです。オープンソースでM1にも対応済みだとか。今回はAudio Hijackとバンドル購入ができ、同じソフトハウス同士相性問題もまずないだろうということで安全牌としてLoopBackにしておきました。こういった仮想デバイスなどハードウェアやOSに密接に絡むツールはOSのセキュリティの仕組みが変わるごとに互換性の問題が出たりするので、きちんとサポートが継続されそうなところがいいかなと。実際、インストール手順は少し面倒です。Audio HijackとLoopBackは共通のドライバーレイヤーがACEとかいう名前で独立していて、M1のMacの場合インストールするにはリカバリーモードで起動してセキュリティレベルを落とす(サードパーティの署名付きドライバーを許可する)設定変更が必要になります。こちら英語画面ながらスクリーンキャプチャ付きの紙芝居形式で説明がありわかりやすかった気がします。

Audio Hijackが$65、LoopBackが$109(前者の方が多機能で高そうなイメージあるけど)で、セットで買うと割引きが効いて$143でした。安くはないですが、M1Max買った勢いで少し金銭感覚麻痺してる中で特攻してしまいました。

オススメは一旦Audio HijackをBlackholeで試用してみて不都合なさろうならAudio Hijackのみ購入、ダメならLoopBackとセット購入、という感じですかね。

■カメラの背景ぼかしとフレームトラッキングはどうしよう?

背景ボカシは質を問わなければまぁZoomにもTeams、Meetなどにも一応機能はありますね。ただ個人的にはあの品質はちと許しがたい。こちらもハード製品として気になっているのはOBSBot社のMeet 4K。ソフト処理より綺麗に人物抜き、フレームトラッキングができるようです。カメラのセンサーも今使っているLogicool Brioよりも大きいので画質も良さげ。現在クラウドファンディングで先行予約受付中。ここで安く買うか、日本代理店での発売を待って買うか悩ましいところですが、いずれにせよ最短で来年初頭です…既製モデルをみると日本の代理店は並行輸入品はサポート対象外のようなので、後のことを考えると国内販売を待つ方がいいのかも知れません。

あとはATEM MINI Proでキッチリとグリーンバック用意してガチでクロマキー合成するかとかですね。これ買うか、、、

ゲリラセール?でWF-1000XM4をゲット

コロナ禍で外出、ノマド作業が激減し、外で音楽を聴く機会もとんと無くなりました。ノマドが好きな割に集中力がない自分はノイズキャンセリングイヤホンをあれこれ買ってきましたが、昨年手放したWF-1000XM3の後継モデル、XM4は見送っていました。

しかし唐突にAmazonや大手家電量販店で1万引きセールがスタート。

2万ちょいで買えるなら買っておこうかなと、別件でヨドバシに行ったついでにゲット。

前機種XM3との違いは、

  • LDAC対応
  • 本体、充電ケースの小型化
  • ノイキャンやマイクなどの進化
  • バッテリー保ちが6->8時間
  • AndroidやWindows10でクイックペアリング
  • マルチポイント接続が進化(音楽+通話待ち受けのみでなく音楽を複数デバイス同時接続)
  • アップスケーリングがDSEE HXからDSEE Extremeに進化

など。もっとも惜しかったLDACが完全独立ワイヤレスとしてはついに、という感じ。Bluetoothイヤホンの欠点である音質面をかなりのレベルで改善できます。ただしiPhoneは送信側が非対応なので、AndroidかWALKMANを買うしかないですが。XM3のマイクは一度オンライン会議で使ったら静かなホテルの部屋だったにもかかわらずやたら聞きづらいと相手に言われて、それきり使っていません。XM4での進化はどうなんでしょうね。

最近は新規ではハイレゾでしかほぼ買わないので、ワイヤレスイヤホンでもほぼ原音で楽しめるというのは魅力です。

まだ音質を評価するほど聞き込んでないですし、どうせクソ耳だし、すでに散々レビュー記事もあがってるので、とりあえず個人的に使い勝手などの面をメモしてみます。主にXM3やAirPods Proなどとの比較で。

■取り回し

本体もケースも小型化されたということですが、AirPods Proと比べてしまうと、耳からの左右方向への突出量はまだまだという感じ。特に寝ホンとして見た時にはしんどいですね。柔らかめの枕であっても横向きになるとグっと押し込まれる感じ。寝られないというレベルではないですがAirPodsがあるならそっちを使うかな。いずれもBose SleepBudsのつけ心地には適わないですがやはり好きな音楽を聴いて寝たいという場面はあるので、寝ホンとして使えるのは重要。その意味ではXM4のバッテリーが8時間というのは頼もしいです。

外れやすさはAirPod Proはイヤーピースをコンプライに替えているので、直接比較は難しいですが、まぁ朝起きたら外れてるだろうなという感じ。外れたら自動で一時停止するので、無駄はないし、シャカシャカなり続けて同室の人に迷惑かけることもなさそう。まぁ、それはAirPodsも同じなのでアドバンテージではないですが。出先でも安心して歩きたいので、そのうちコンプライ系のイヤーピースに交換するかも知れません。

■ケース素材、充電周り

AorPods ProはプラながらAppleお得意のツルツルですぐに傷がつきそうな仕上げ。本製品は少しシボが入っているというかマットな仕上がり。普通にしている分には傷がつきにくそう。ただ剥き出しの鍵とかと一緒にポケットにつっこんだらどうなるかはわからないので、傷ひとつつけたくないという場合はやはりケースにカバーをつけたいですね。せっかくいい色味(買ったのはシルバー)なので隠れちゃうのは勿体ないですが。透明だとピカピカしちゃってこれまた風合いは損なわれちゃうんですよね…

充電はUSB-Cに加えQi充電もOK。不満なし!

■エコパッケージ

プラゴミを出さないこだわりで、簡易紙パッケージを採用したのは興味深い取り組みです。卵の紙ケースみたいな素材の箱を、紙ラベルで巻いたような簡素な作り。中の本体もApple製品でよくある十字のフィルム包装をペラペラのトレペみたいな素材の紙で代用しています。

紙素材を両面テープで貼り付けてるので、ほぼ不可逆で、買い換え時にフリマに出したい、かつパッケージを極力綺麗に元通りにして梱包した派には難敵です。事前情報がなければ簡単に破ってしまっていたことでしょう。今回は知っていたので、逆に意地になってカッターで丁寧に開封しました。それでも中の方の包装はちょっと破損してしまった。

正直、ストローだとレジ袋だの日用品に比べたら微々たる誤差の範疇な気がしますが、チャレンジとしては面白いかもですね。中古商品はパッケージなんてないのが当たり前、となってくれば(世の中とっくになってるw?)、こちらとしても余計な気を遣わず楽になるのかも知れません。

■総評

アダプティブサウンドコントロールとかは途中で音質がかわるのが違和感でXM3でも初日に速攻オフしたきり。たぶん使わないんじゃないかな。

その他にも、アプリでバッジシステムみたいなのが導入されて、使った時間や設定した機能でバッジ(トロフィー)がもらえる「はいはい、ゲーミフィケーション、ゲーミフィケーション」みたいなのがついたりしてますが、「いるかこれ?」という感じ。その分、アプリの初期設定フローでユーザ登録を促されたりで、開封から使い始めるまでの時間が30分くらいかかった(ファームウェア更新含む)。色々設定をアシストしてくれるのはいいんですが、やっぱりまずは音を聴いてWAO!って思わせる方がユーザ体験としては大事なんじゃないですかね。

また実際に使ってみて気付きがあれば追記します。ともあれ1万円引きはとてもレアなチャンスだと思うのでもともと関心があった、という方は特攻してみてもいいんじゃないでしょうか。