UPSにもなるEcoFlow River 3 Plus着弾!

予約商品にも関わらずBlackFrydayセールで割引き販売されていた新商品のポータブル電源、EcoFlow River 3 Plusが到着しました。

なお執筆時点で今度は2025年1月5日まで年末年始セールをしているようで、税込み¥39,800が¥29,850で買えるようです。バナー貼っておきますのでこの記事を参考に買ってみようかなと思われたら是非こちらからお買い求めください(筆者にアフェリエイト収入が入ります)。

商品の特長などはこちら。

本記事では早速開封&設置をしていこうと思います。

付属品は比較的シンプルでAC電源ケーブル、車載用シガーソケットケーブル、UPS用USBケーブルの3本が付属するのみ。

各入出力ポートの配置はこんな感じ。

フロント

フロント面はディスプレイ、AC出力、DC出力、USBポートx3に加え、主電源ボタン、AC/DCの各ON/OFFスイッチ、ライトON/OFFスイッチとなっています。理路整然とした配置なのでマニュアルを見なくても操作方法は明確です。

ただ後でも述べますが、UPSとして常用しようと思うと、AC ON/OFFボタンは不用心すぎます。NASやサーバーをつないでいても短押しでパツンと電気が遮断されます(サーバーが落ちます)。せめて3秒長押しとかにできるといいのですが設定を見た限りできなさそう。

続いてリア。

リア(入力系ポートのフタ閉)

2つのAC出力ポートがあります。UPS用途として常用するにはこれらが背面にあるのは前面がスッキリしてGood。

入力ポート類とUPS用USBポートはフタの中に隠れています。アウトドアで使う時なんかは余計な水や砂塵の侵入を防ぐには良さそう。

フタを下にスライドして開いたところがこちら。

リア(入力系ポートのフタ開)

■設置してみた

USBポートは手元にあるとさっと使えて便利かなと思い、デスク脇のメタルラックの、デスク天面に近い高さの段に置いてみようということで、Mac miniの下に入れてみました。サイズピッタリ。Mac miniのオシャレアクリル台の形状までは合わず触るとちょっとガタつきますが、どちらも振動に弱い部品はないと思うし、一旦これで。

サーバー用のMac miniの下に設置

左下にチラっと写り込んでるのがサブデスクなんですが、ちょうど脇にUSBポートが来るので便利に使えそう。ライトも手元を照らせて便利かなと思ったんですが、色がオレンジな上に割と拡散するというか、単に眩しいだけでしたw。

■スマホアプリで設定

我が家では以前に別機種(Delta2 Max)をセッティング済みなのでアカウント登録などは済んだ状態。River 3 Plusの電源を入れアプリを開くと、なにもしなくてもアプリが認識して登録ポップアップが出ます。この段階ではBluetoothで通信しています。AirPodsなどが近くにあるとポップアップするのと同じ感じで直観的です。そこからWi-Fi情報を教えてやると本体が自力でインターネットに接続できるようになります。ここら辺はこの手の製品にありがちなフローなので慣れてれば特に迷うことはなさそう。

アプリ周りは是非こちらの記事もご覧ください。

設定が終わるとこんな感じで登録デバイスが並びます。

グラフィックも綺麗でカッコ良き。名前は自由につけられます。複数台持ちの場合、集中管理できて便利なので今後も理由がなければEcoFlowにベンダーロックインされておくのがヨサゲ。

デバイスを選択した状態がこんな。

バッテリー寿命を最大限にするのは最大充電量を80%、最低を20%にしておくのが推奨となっていたのでそうしています。そもそも太陽光パネルでオフグリッド充電とかするのでなければ最低の方はあまり考える必要はないんでしょうけど。

HDDを5機搭載したSynologyのNASをつないだ状態で、57W前後使用してるようです。そして入力側も同じ57Wになっているということはパススルー状態ということなのかな?

NAS自体は50Hzでも60Hzでも動くと思いますが、商用電源パススルー時と周波数がかわってもよくないと思い、デフォルトの60Hzから関東圏の50Hzに変えておきました。あとX-BoostはUPS的には相性悪そうなのでオフに。

UPS機能をプッシュするなら「UPS使用オススメ設定」みたいなガイドが欲しいところです。

■UPSとして不用意に電源が切れるのが不安

UPSとしての機能もアピールしている本機ですが、UI的にはちょっと簡単にAC出力が遮断できてしまい不安です。前述の本体前面のボタンもそうですし、上記アプリ画面の「100V AC」のところの電源ボタンも1タップで確認なしに電源が切れるようです。ハードボタンは長押し、アプリは確認ダイアログくらいは出してほしいものです。また設定変更やファームウェア更新による再起動なんかのタイミングでもACが落ちるんじゃないかとヒヤヒヤします。全てのパターンをテストできたわけではないですが、とりあえず出力周波数(50/60W)の変更はACを遮断してからでないと変更できないよ的な警告は出ました。その他の場面で警告なくACが切れることがないと良いのですが。(まさかファームウェアを自動更新して再起動して切れる、とかないよなぁ…)

3Dプリンターでうっかり防止ガードを作った

ということでうっかり触れたり猫が押したりwしないように、開閉式のフタをさくっと作って貼りました。コックピットのミサイル発射ボタン的なアレです。とりあえずこれで物理でうっかり押してしまう心配は排除できそう。

フタ閉
フタ開

可能ならファームウェア更新で長押しが選択できるようになり、アプリ上ではAC電源を遮断するあらゆる操作に確認ダイアログを入れてほしいものです。

■UPSとしてどんなサーバーに連動できる?

一般的なUPSは単に停電時にバッテリー供給に切り替えるだけでなく、PC/サーバーにシャットダウン信号を送る連携機能があります。人が近くにいれば手動でシャットダウンできますが、そうでない場合、いずれバッテリーが尽きたらブツっと切れてしまいます。そのため、USBケーブルなどでPC側にシグナルを送って専用常駐ソフトが安全にシャットダウンを実行する仕組みが不可欠です。

さてこのRiver 3 Plus、それ用のUSBケーブルが同梱されているものの、予約時点では対応OSなど詳細が不明でした。ようやく発売されてマニュアルを見ることができるようになったわけですが、こんな記載があります。詳細は専用URLか、ふむふむ…

高度な設定
本ポータブル電源は、コンピューターや NAS(ネットワーク接続ストレージ)機器との
通信が可能であり、その結果ユーザーはポータブル電源の稼働状況を監視し、さらに
UPS の設定を構築できます。
通信を確立する方法は?

  1. Web サイト(https://www.ecoflow.com/support/download/)に進み、お使いの
    コンピューターや NAS オペレーティングシステムに適する Power Manager インス
    トールパッケージをダウンロードします。
  2. お使いのコンピューターや NAS にソフトウェアをインストールします。
  3. 基本的設定のセクションで説明されている、UPS 基本設定を完了後、同梱されている
    USB-B to USB-A UPS 通信ケーブルを使い、本ポータブル電源の USB-B 通信ポー
    トをお使いのコンピューターや NAS の USB-A ポートに接続します。
  4. ソフトウェアを起動して、手順を続行します

早速リンクを開いてみると…いやComing soonなんかーいっ!

というわけでまだまだお預けのようです。わざわざNASと書いてあるので、Windows/macOSだけでなく、SynologyのDSMにも対応するといいなぁ…

MagSafeスマホホルダーをクラウンに最適化

クラウンではこちらのMagSafe式のスマホホルダーを使っていました。

ナビアプリなどを使うのに一番見やすい位置にスマホを保持できます。今のスマホ(iPhone 15 Pro Max)のバッテリーもちなら特に車内充電の必要を感じず、単にMagSafe規格のマグネットでペタっとくっつくだけのものです。

最近は純正ナビよりもNP1の方でナビをすることが多く、毎回スマホを操作してNP1アプリを起動した上でペタっとつける、というのも手間に感じるようになってきました。そこでシール型のNFCタグを購入して、iPhoneをかざすとNP1アプリが開くようにしたんですが、このシールを貼る良い場所がまたない。

一応目立たないよう黒いものにしたんですが、やはり質感が違うのでメータークラスターのパネル正面に貼りたくはない。さりとてシボの入った上面部分だとかざしづらい。マグネットリングの中央だと動作としてもスムーズかなと思って3Dプリンターで魔改造してみました(ちなみにリングの中央に当たるパネル正面にも貼ってみましたが奥行のせいで届かないのか磁界が邪魔するのかNFCを認識できませんでした。)

完成したのがこちら。

リングの中にちょうどハマるパーツを作成し、裏蓋の中にNFCシールを貼って隠せるようにしました。シール面から手前のNFCロゴの面までは1mm程度しかなく問題なくNFCチップは動作します。

ついでにフレキシブルなアームのせいでややグラつきがあって扱いづらかったので、基台部分を取り外してがっちり固定できる台を独自に制作。ダッシュボードの微妙な傾きに沿うようにして両面テープで固定しました。これでスマホをやや雑に引っ張ってもいい感じに脱着できるようになりました。

当初、耐熱性が60℃程度のPLAより高いPETG(70℃程度)で造形してみたんですが、なかなか表面が綺麗にならず、結局ASAという100℃くらいまで耐えられて紫外線耐性も高いフィラメントを購入して作り直しました。表面の滑らかさではPLAに劣る気もしますがまずますの仕上がりになりました。仕上がりの綺麗さと強度でいったらカーボンファイバー配合のPLA-CFもいいかなと思ったんですが、調べてみると通常のPLAよりもさらに耐熱性は落ちるみたいで断念。

ASAはABSについて匂いが出ると聞いて躊躇していたんですが、心配していたよりは気にならない匂いと強さでした。確かに造形中独特の匂いはしますが、刺激臭というレベルではなかったです。ABSよりは高いですが、Bambu純正の価格でいえばPLA-CFなどよりはずっと安いので、こうした車内、屋外用途では積極的に使っていこうかなと思います。

AMSで紙スプール使うにはもうビニールテープでいいんじゃないか?

3Dプリンターのフィラメントはスプールと呼ばれるリールに巻き付けて売られています。このスプールが元はプラ製だったのが最近一部メーカーは段ボール的な紙で提供しています。OVERTUREとかeSUNといった大手も基本紙のようです。

これがBambu Lab X1-Carbonのフィラメントフィーダーシステム、AMSと相性が悪いです。

  • 摩擦の関係でローラーが滑って正常に送り/戻しができない
  • 紙が削れて粉塵となりギアなどに噛んで故障の原因となる

などと言われています。(と思っていました)。

そこで、写真のようなフレーム部品(緑色)を3Dプリンター自身で造形してとりつけるのが一般的です。

しかしこれがやってみるとなかなか上手く機能しませんでした。むしろ滑ってしまって巻き取りができず出力が止まりまくりです。ツルツルのPLAがダメなんかとPETG素材で出してみたり、外周がギザギザしたデザインのものを使ってみたりするもどれもイマイチ。「もう二度と紙スプールのフィラメントなんか買うもんかウワーン」と思いながらなんとかあるだけ使い切ろうと頑張ってきました。

しかしようやく写真の2スプールとも残りあとわずかというところで、なかばキレつつフレーム無しで使ってみたところ、ウソみたいにばっちり回転してくれるじゃないですか。「紙だと滑ってダメ」というのは都市伝説か自分の記憶違いで、普通に使えます。冷静に考えてみれば見るからに樹脂より摩擦高いよねと。

しかし、「紙が削れた粉塵が機械に悪い」というリスクは以前と残るのでそのまま使うわけにもいかず。あらためて海外掲示板なども含めてググってみると「electrical tape巻いときゃOKよ」という記述が。絶縁用のビニールテープのことですよね。

確かに摩擦だけでいうとパーマセルテープみたいなのがヨサゲですがこれも結局紙なので削れてしまいそう。早速手近にあったビニールテープを巻いてみました。

もうね、いままで散々苦労した紙スプールのフィラメントが魔法のように正常に使えちゃいましたよ。今までの苦労はなんだったのかと。多色出力すると層毎に何度も引き戻しして、その度にエラーになってで、つきっきりで手動巻き取りしないとだったのがウソのよう。これまでの造形トラブルはほぼすべて社外フィラメント(というかスプール)に起因するもの(紙スプール、小径スプールなど)だったので、「今度は(高いけど)Bambu Lab純正フィラメントでやってくぜ。少なくとも主要素材・カラーは純正NFCチップ入りスプール付きを揃えて、フィラメントを入れかえて使うぜ」と心に誓ってましたが、紙スプールでもこんな簡単なハックで普通に使えるならフィラメントの質としては問題なくコスパも良いOVERTUREやeSUNを使っていってもいいかなーとか。

2024.7.26追記

夏になって室温が上がったら貼ったビニールテープがデロデロに剥がれてきました。粘着剤が緩くなってビニール素材の真っ直ぐに戻ろうとする力が勝ってしまったという感じ。うーむ、粘着力の強さ自慢のビニールテープとかあんのかしら?とPerplexityさんに聞いてみたところ、スコッチの電気絶縁用ビニールテープの「プレミアム」というのが出てきた。調べると、一般品が80℃に対しプレミアムは110℃までの耐熱性があるらしい

Super 33+、No.35、Super 88の三種類あって、最高使用温度は同じ。最低使用頻度に差があるけど今回の用途ではどうでもよし。ちなみに剥がれてしまったトラスコのは、

  • 厚み(mm):0.2
  • 粘着力:1.4N/10mm
  • 引張強度:25N/10mm
  • 使用温度範囲:-5~80℃

だそうなので、粘着力でいえばノーマルでも倍の2.8N/10mmある。逆にNo.35だと2.2N/10mmだから差は縮まる。うーん、耐熱温度と粘着力のどっちを重視するべきだろう?

あとはコスパかな?てことでAmazonの相場を調べると、

Super 33+高いなっ!さすがスペック上位。これをAMSのためだけに買うのはどうなのって気が。No.35、Super 88も数十円で買える普通のビニールテープと比べたら桁が違う。ただしトラスコの75円は10m。スコッチの3つは20m。それでも数倍の単価差かぁ。

こんなのも発見。

3M スコッチ 電気絶縁テープ 12mm×5mm EL-12

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粘着力高めの3.0N/10mmで使用温度も-10~100℃。幅がちょっと狭くて12mm(他は19mm)、長さは5m。メートル単価としてはNo.35やSuper88より割高ですがご家庭用の少量版パッケージといったところでしょうか。スプール用としてみた時に、幅が19mmだと広すぎてフィラメントを通す穴を塞いでしまうのが気になっていたので、むしろ12mmは良いのかも。お試しでこれを買ってみようかなー。もしかするとホームセンター店頭で買えば安いかも?買ったら追記します。

2024.7.26追記

上記のEL-12が届きました。なんとSuper 33+の表記が。表のスペックと多少差異がある気もしますが、テープ幅の関係?

EL-12 = Super 33+でした

とりあえず貼り直ししてみました。思ったとおり、12mmと幅が短い分、エッジに貼ってもフィラメント留めの穴を塞がなくていい感じです。その分、接着面は少ないわけなので剥がれやすさについてはなんともですかね。

トラスコのがあまり剥がれていないスプールについては、応急処置的に端っこをこんな形で止めてみました。

まぁ剥がれる時は全体に剥がれてくるので気休め程度ですが、Super 33+は単価が高いので、こういう末端処理で間に合うならそれに越したことはないかなと。

と感覚ですがやはり密閉空間であるAMSにセットしていたスプールほど剥がれがひどい印象です。乾燥剤が入ってる分多少は湿度が低く保たれているはずですが、動作時含め温度は上がりやすいんでしょうかね。その辺の違いも含めて継続ウォッチしつつ、剥がれてこないかなどレポートしたいと思います。

自転車のナンバー錠のノブが取れたので3Dプリンターで直した話

最近また乗り出した2017年頃に買った自転車ですが、今度は鍵が壊れました。この自転車は前のものから気に入って使っていたGORINのナンバー式リング錠を使っています。4桁の数字ボタンを押し込むと開錠できるタイプで鍵を持ち歩く必要がないので超便利です。

ゴリン(GORIN) 大型ボタン式リング錠 ブラック GR520-K

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(ハリヤのようなVブレーキ装着モデルは「Vブレーキ用」となっているものを買う必要があります)

これのグレーのノブの部分が外れてなくなってしまったのです。ある駐輪場でなにか軽いものが落ちたような音は聞いたんですが、その時はなにが落ちたのが気づかず、移動してからノブがないことに気付きました。

レバーの先端がない!

押せなくはないですがかなり細い金属棒なので指辺りはよろしくありません。

ロック自体はそれほど高くもないし、脱着もそんなに大変ではないので買い換えればいいかなと思ったんですが、このナンバー錠は開錠のための4桁の数字が固定なのを思い出しました。今のナンバーはとても覚えやすくて気に入っているので、できれば替えたくありません。店頭在庫の中からゾロ目があって覚えやすいものを厳選して選んだ記憶があります。もし通販で買ったら完全にランダムになってしまいます。さりとて店頭巡りをするのも面倒くさい。

ということで3Dプリンターで代替部品を作成してみました。

あえてのオレンジ色

元の部品を紛失しているので見よう見まねで適当に。差し込む金属棒部分のサイズだけノギスで測って、それが通る穴だけきっちり作り込み。それでも誤差か自分の設計ミスか全く刺さらず。今回は刺さってくれさえすればノブ自体のサイズは多少違っても問題ないので、Fusion360まで戻らずにスライサーのCura上で1.1倍サイズにして再印刷。かなりきつかったですがなんとか押し込んで完成。逆に勝手に抜けることもなくて良いでしょうw

色はあえて差し色としてオレンジで目立たせてみたり。確かセールで買ったOVERTUREのマットダークオレンジ(PLA)。

■とはいえSESAME サイクル2も惹かれる

一応無事使えるようになりましたが、全体にボタン、レバーの動きもシブくなってきていてだいぶガタが来ているのは事実。

この際、SESAMEサイクル2に替えようかは悩ましいです。

(SESAMEシリーズはAmazonよりも公式サイトの方が安い場合が多いので注意)

いちいちスマホアプリ立ち上げて開錠するのは面倒ですが、たぶん探せば以前買ったNFCシールが余っているので、これをハンドル辺りに貼っておけば、スマホをかざすだけで開錠できるんじゃないかな?

あるいは更に指紋センサーのSESAME TOUCHを組み合わせば指紋開錠も実現。

しかしちょっと分厚いし、綺麗につくような平面箇所がなさげ。コメントをみると公式が取り付け器具はもう少しお待ちください」と書いてるので、それが発売された時にまた考えようかな?

ついに3Dプリンター導入 Migda Magician X

ようやく3Dプリンターを導入しました。以前からDMM.makeでデータ入稿してプリントしたものを宅急便で送ってくれるサービスは活用していましたが、設置場所とか機種選定とかで悩み自宅には置けていませんでした。

最近でいうとレジンを使う光造形方式のものが精度感が高いぽいので気持ちが傾いていたんですが、居室で使うとかなり匂いが気になるということで躊躇していました。同居人の商売の在庫置きに使っている部屋に置いてもいいよとは言われてまましたが、それはそれで何度も行き来するのが大変そうだしなーとか。

そんな中、昨年11月のブラックフライデーセールでSK本舗さんでMingdaのMagician Xという機種が3万円台になっているのを発見。

定価8.8万円、通常4.7万円で売られている製品が4万切り。うーん、レビューも悪くないしこの値段なら最悪失敗してもいいかな?と特攻。入荷待ちで届いたのが2022年末ギリギリでしたが、年明けてようやく触ることができるようになりました。

Magician Xは所謂FFF方式、つまりフィラメントを溶かしてプロッタープリンタのように配置していく方式のもの。多くの人が「3Dプリンターってこういうヤツでしょ?」って思ってる方の方式です。このタイプは中華ブランドが乱立していて素人にはもはやどれを選んでいいかわからない状態です。またコストや輸送費削減のためか部品がバラバラのまま納品されて、自分で何時間もかけて組み立てる必要があったりすると聞きます。精度が勝負みたいな3DプリンターでDIY組立してチューニングして、とか初心者には不安要素でしかないですよね…

その辺り、本製品はだいぶ考慮されていて、ベースモジュールにガントリー部を突き立ててネジ数本、ケーブル数カ所を止めるだけ、というシンプルさ。かつオートレベリングという自動キャリブレーション機能も搭載してあるので、初心者泣かせな部分がだいぶ緩和されている印象。

■とりあえずテストプリント

製品には試供品のフィラメントや、テストデータの入ったSDカードが同梱されているため、とりあえず動作確認まではすぐにできるようになっています。初心者にはとりあえず達成感が得られやすい上、初期不良確認も確実にできて良い配慮だと思います。

操作はタッチパネル。さすがにネットワーク機能はなくて、SDカードやUSBフラッシュメモリにデータを入れて使います。USB-C端子もあってもしかするとUSBケーブルで制御できるのかも知れませんが、PCから離れた場所に設置したので未検証です。

とりあえず付属データ、付属フィラメントで一発で出力完了しました。謎のキャラクターだと思ってましたが、どうやら北京五輪のマスコットキャラクターのようです。所要時間は1時間35分となっています。音は無音ではないですが充分静か。隣の部屋が寝室ですが動いていても全く聞こえません。なんなら同室でも全然寝られると思います。強モードの空気清浄機や布団乾燥機の方がよっぽど気になります。ヘッドがスライドするウィーンという音はしますが耳障りな音質ではないです。

出力されたもののアップがこちら。FFF方式につきものの積層痕はありますが、自分の主目的であるDIYパーツ類であれば充分かなと思います。頭頂の方の角度が急というか水平に近い斜め部分はさすがに目立ちますね。フィギュアやアクセサリのような見映え重視のものならやはり光造形方式の方が良いのかも知れません。

■ソフト環境

3Dプリンターのデータ作成には別途ソフトが必要です。用途にもよりますが部品設計など厳格な寸法ベースのものを作るなら3D CADソフトを使います。メジャーなのはFusion 360でしょう。個人利用なら無料で使えます。ただ商用となると一気にお高くなるのが悩ましい。例えば年数万円とかかかります。うーん、ちょっとしたパーツをDMMやフリマサイトで売るとかも商用なんですかね。まとまった収入につながらないとちょっと使いづらいかも知れません。そのデータ作る時だけ月額プランを申し込むとかですかね。

完全に無料でやるならBlenderもいいかも知れません。どちらもかじった程度ですが、フィギュアのような自由形状のものはBlenderの方が詰めやすい印象。なにか既存の製品を計測してそれにピッタリフィットする治具を作るならFusion 360かなという感じ。ここら辺、また使い比べて使い分けを考えていきたいと思います。

また3D出力段階でスライサーというジャンルのソフトも必要になります。Fusion 360やBlenderで作ったファイルを.stl形式などで書き出し、このスライサーに読み込んで3Dプリンターの制御情報に変換してSDカードやUSBフラッシュメモリに書き込むという手順になります。スライサーは文字通り3Dデータを層毎の描画情報にスライスするだけでなく、ラフトやブリム、スカートといったプラットフォームに食いつきを良くするための土台部分を自動生成したり、形状的に倒れたり折れたりしそうな箇所にサポートという支持部分を追加したりといった役割があります。色々な製品があるようですがMagician X、というかSK本舗さん添付の資料で推されていたUltiMaker Curaというものを使ってみています(無料)。同社の3Dプリンター向けのスライサーソフトのようですが、プリンターやフィラメントの定義プロファイルを追加することで他社製品でも使えてしまうようです。Magician Xもプリセットとして登録済みでした。フィラメント毎にスピードや送り出し量、温度設定などを細かく指定できるので便利そうです。

■定着ミスで四苦八苦

手習い的にいくつかの出力をしてたんですが、少し大きめの(10x10x20cmくらい)のモデルを出力していたところ、なぜか途中でフリーズして進まなくなってしまいました。仕方なく電源を落としたんですが、問題は出力途中だった失敗品の取り外し。ベタ面の底部分がガッチリくっついて剥がれず。ヘラをつっこんだりしてかなり強引にベリっとはがしました。後で調べるとMagician Xのようなガラスのプラットフォームでは充分に冷ませばかなり簡単に剥がせるらしく、失敗したなと反省。そのせいかのかどうか定かではないですが、その後の出力がことごとく失敗するようになりました。具体的には素材がプラットフォームに貼り付かずにクシャクシャになってしまう現象です。本機のプラットフォーム(出力物が載る台の部分)は「カーボランダム・ガラスプラットフォーム」となっており、たぶんカーボン的なブツブツが表面についていて滑り止めのような効果をもっているのですが、もしかしてそれごとベリっと剥がしてしまったのかと…?気持ち指触りがそこだけ滑らかになってるような?また写真にもある通り、印刷の最初に左端に1本線を描くのですが、ここはわりとしっかり定着します。

こういう時はスティック糊をプラットフォームに塗ると良いらしいのですが、後片付けも面倒になったり底が完全フラットにならなくなったりと弊害もあるので、まずは他の方法で改善できないかとフィラメント(エクストルーダー)の温度や出力速度をCuraで調整してみても変わらず。マスキングテープも貼ってみましたがダメ(これはちょっと質感がツルツルだったせいかも)。

もうガラスプラットフォームを交換するしかないかー(泣)と思いながらSK本舗さんの関連アイテムを見て回るとガラスプラットフォームの交換品は単体では売って無さそう。かわりにPEIシートという便利グッズ的なオプション品があったので買ってみました。これは適度な凸凹がついたプラットフォーム用の樹脂シートで、出力後にプラットフォームから外して、グイっと曲げることでプリント物が剥がしやすくなるというものです。Magician X専用のものはガラスのかわりにマグネットシートを両面テープで貼り付ける仕組みでした。出力時はそのマグネットシートにPEIシートをペタっと固定します。指がかかる切り欠きがついているので、そこから簡単にペリっと剥がすことができます。裏表使えて1,800円ほど。利便性も考えると消耗パーツとしてアリかなと思います。

だがしかし、これを使っても未定着問題は改善せず。結果として効いた(と思う)のはプラットフォームの温度でした。CURAでは、エクストルーダー温度(1層目とそれ以降)、プラットフォーム(1層目とそれ以降)を指定できます。スライサーは1層目をしっかり定着させるために独立で温度や速度、送り出し量を設定できるのですが、プラットフォーム側の1層目温度を5℃〜10℃あげてやるとすんなり定着してくれました(PLA素材のデフォルトが60℃だったのを70℃にする等)。テスト出力も含めた数回はこれをせずとも普通に出力できてたんですがなんだったんでしょうね。室温?

カーボンドットが剥がれているかも知れないガラスでもプラットフォーム温度を上げれば大丈夫だった可能性がありますが、すでにPEIシートのベースマグネットシートを両面テープで固定しまったので、もはやガラスに戻すことが出来ず検証不可能です。まぁPEIシート便利だから良し、と思っておくことにします。

ちなみに、ブリムとかラフトといった土台追加ですが、今回はそもそも1層目がまともに定着してくれてなかったのであってもなくても同じという感じでした。ただそれはそれとして、層を積み上げていった後でボロッととれてしまわないようにするのには有効というか必須かなという感じ。ブリムは造形物自体は1層目からスタートしつつ、周りに補助材を付加。ラフトはベースの土台を何層か敷いた上に造形物を作り始めるという違いと理解しています。当然ラフトの方が時間もフィラメントもそれだけ消費しますが、完成品を剥がした時の面の綺麗さは一歩秀でるなという印象。これも形状というか1層目の面積次第なところだと思うので、引き続き試行錯誤や情報収集をして使い分けを極めていきたいと思います。

■フィラメントの湿気対策

3Dプリンターの素材であるフィラメントは湿気に弱いらしく、真空パックで送られて来ますし、開封後はきちんと防湿しないと綺麗に造形できなくなるようで、保管体制が悩ましいです。巷ではDAISOの樹脂製の米びつケースを流用して、中に入れたまま3Dプリンターに送出できるようにするDIYなども流行っているようです。とりあえず自分も改造まではしないですが、同じケースを買って来て、中にシリカゲルと湿度計を入れて管理してみようと思います。

なんでも除湿シリカゲル 1kg

なんでも除湿シリカゲル 1kg

792円(12/22 18:04時点)
Amazonの情報を掲載しています

電気的に加熱して除湿する保管庫も売られていますが、価格、設置場所的にとてもフィラメントの数だけ揃える気にはなりません。

今後、どれくらいの素材、色のバリエーションを揃えて、どれくらいのペースで消費するかを見据えつつ検討したいと思います。カメラレンズ用の防湿庫をサイズアップしてまとめて放り込んでおくのも意外といいかなとか。

■まとめ

憧れの3Dプリンターを導入し、日常のちょっとしたDIYパーツが高品質に作成できるようになりました。

家庭内あるいは業務機材周りのちょっとした不便や不整合を埋めるパーツを色々作っていけたらなと思います。

あとはベースとなるアイテムをスキャンできる3Dスキャナーがもうちょっと手頃(数万円台)に落ちてくると、色々捗りそうな予感。

精度は低いながらもLiDAR対応iPhone/iPad Proでもそれらしいことはできるっぽいので、それも追々試してみたいなと思います。