動画編集効率かの為、ダイヤルデバイスRev-O-mate導入

仕事で動画編集をすることが増えて来て、Premiere Proでのタイムライン操作を効率化したいと思い、左手用のダイヤル操作デバイスを導入することにしました。

実は写真右にあるLogicoolのCRAFTというキーボードには左上にダイヤルがついていて、様々なアサインをして使うことができるんですが、Premiere Proで使うには全然足りませんでした。

Premiere Proでダイヤルでクルクル操作できると捗るなと思った要素は、

  • タイムライン上の再生ヘッドの移動
  • タイムライン全体のスクロール
  • タイムラインのズームイン・アウト
  • 各種エフェクトの数値パラメーターの増減

があり、それぞれショートカットが異なります。CRAFTの設定ツール「Logicool Options」ではアプリ毎に1つのアサインしかできません。正確には通常回転と押し込みながらの回転で独立にアサインできるのですが、後者はなぜか音量などプリセットからの選択しかできず、カスタムキーアサインが封じられているので実質1アサインという感じ。

現実的にはなにかの切り替えキーを押すとアサインが切り替わるような仕組みが必要だと考えました。

候補に挙がったデバイスは、

  • Surface Dial
  • Orbital2
  • Rev-O-mate

辺り。

マイクロソフト Surface Dial サーフェス ダイヤル 2WR-00005

マイクロソフト Surface Dial サーフェス ダイヤル 2WR-00005

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Surface DialはWindowsに設定が統合されていて使いやすそうでしたが、補助ボタンがなくアサインの種類が増やせなさそうなのと、サイズがやや大きいのが気になり消えました。

Orbital2は先端がジョイスティックになっており、傾けることにアクションがアサインできるので、それでモード切替をすれば使いやすそうな印象だったんですが、価格が高く、近場のヨドバシに展示も在庫もなかったので腰が引けました(購入時点ではAkibaなら展示ありでした)。逆にダイヤルはかなり細くどちらかというと”ツマミ”という感じなのも良いのか悪いのか机上では判断できませんでした。

最終的に選んだのがBitTradeOneのRev-O-mateです。ダイヤルの径と価格がちょうどいい感。

補助ボタンは下の設定ユーティリティの画面にあるように、左3+下4+左3と豊富で、さらにダイヤル自体の押し込みにもアクションが割り当てられます。ダイヤル回転時の動作(「ダイヤル機能」)は4パターン(画面上寄りのDial function 1~4)設定でき、それをデフォルトでは下部の4ボタンで切り替えて使います。シンプルに押して切り替えるのと、「押している間だけ切り替わり、離すと戻る」という設定もできます。自分はとりあえずデフォルトを再生ヘッダーの移動にし、下部4ボタンの右3つを使って、押さえながら回すとスクロールやズームになるようにしました。左右の6ボタンは単純にレーザーやアンドゥなどよく使うショートカットに割り当て。

設定ツールの画面

全体で設定を3セット(プロファイル)作ることができ、例えばアプリケーション毎に使い分けることができます。その切り替えにボタンを1つ消費するので、単純なショートカットキーとして使えるのは各プロファイル毎に左右6ボタン-1の5ボタンというところでしょうか。それでも足りない分はAZ-Macroで補えばいいかなと思っています。

面白いのは、設定をデバイス上に記憶する点。写真にも映っている小型マクローキーパッドのAZ-Macroもうそうでしたが、本体側が設定を保持していると、例えば別PCや、iPadOSやAndroidなど設定ツールが提供されていない環境にHIDデバイスとして接続した場合にも指定したキーコードを送出できるのです。今のところ自宅デスクトップ機専用になりそうですが、いずれ何かの役に立つかも知れません。

もう1つの特長としては底部のRGBリングライトがあります。プロファイルx3とダイアル機能x4に個別に色を割り当てられます。単にゲーミングデバイスみたいでカッコ良いというだけでなく、今がどのモードなのかが一目でわかります。例えば写真はPremiere Pro用なのでアプリケーションアイコンにあわせてプロファイル1のカラーとそのダイヤル機能1を紫色にしています。ここでダイヤル機能2を呼び出すボタンを押さえている間はグリーンに変化する、という具合です。明るさは三段階ですが、一番暗くしても結構明るいです。時間で消灯する設定があるんですがなぜか消えません。少しでもマウスやキーボードを操作してるとスクリーンセーバー起動時間のようにリセットされちゃうのかも知れません。Premiere作業をしていない時は消えていてほしいなと思います。ちなみにケーブルは直付けなので、使っていない時は手元で抜いておく、ということもできず、USBケーブルの根元まで辿って抜き差しが必要でこれも軽く不満点です。ケーブルの長さなどもカスタマイズしたいので普通にUSBコネクターになってるとなお良かったかも。

まだ活用はできてないですが、1ボタンに所定の連続キー操作(マクロ)を割り当てることもできます。例えばPremiereだと選択しているクリップ(区間)を5倍速再生にするなんて時に、(多分Premiere上のショートカットではできないので)Ctrl+R、500(%)とキー入力、確定、みたいなキーを連続して送出できると1クリックで実行できるような気がしています(未テスト)。

■まとめ

1万円強で導入できるダイヤルデバイスで、

  • 補助ボタンが豊富
  • 設定を本体側に保持でき、別端末でも同じ設定がすぐ使える
  • リングライトで現在のモードがひと目で見分けられる
  • マクロも設定できる

などの特長を備えたRev-o-mateを導入してみました。ひとつ動画仕事の山が終わってしまいましたが、次の作業の時に使ってみて、さらに設定を追い込んでいこうと思います。

AZ-Macroを強化パーツでトラックボール化

先日も業務で大活躍してくれた小型ワイヤレスマクロキーパッドAZ-Macroですが、ふと見ると複数の強化パーツがリリースされていました。

です。元々左側にあったアクリルカバーの部分に、それぞれトラックボール(左右クリックスイッチ付き)か、サスティンペダルを接続するための3.5mmジャックを増設するキットになります。こうした後付けパーツで強化できるのは燃えますね。

残念ながら両方同時装着はできなそうなので、今回はトラックボール接続ユニットをキットで購入。トラックボールユニットはリンクに沿って遊舎工房さんで買いました。それぞれに送料がかかるので、実は最初から完成ユニットを買うのとキットはそんなに変わらない値段になります。できればBOOTHの方でトラックボールユニットも含んだキットをハンダ工作好きな人の為にラインナップしてくれると嬉しいなと思ったり。

ともあれ別個に注文したパーツが揃ったので早速取り付けてみました。

紙の説明書などは付属せず、QRコードで誘導される公式の説明書きがこちら。設定画面での設定方法は記載されていますが、取り付け方法についてはほとんど説明がなく、完成写真を見ながら「こうかな?」と考えながらするしかなくやや不親切です。特にユニット基板とトラックボールユニットの固定はどうしたらいいか悩みました。基板側にユニット大の四角い穴が空いていますが、固定方法がありません。スカスカです。しかし結果から言えば配線だけハンダ付けし、付属のコンスルーでAZ-Macro本体にとりつけると本体基板上のチップの上に載っかる感じになってほどよく固定されます。後でプラリペアか瞬間接着剤で固定しようかなと思ってましたが不要と思えるくらいしっくり固定されまる。そうひと言書いて置いてくれれば無駄に悩まずに済んだのになと。

ハンダ付けする箇所はトラックボールユニットの5芯フラット線とクリックボタンが2つx2箇所づつ、そして6ピンのコンスルーです。全体に小さい端子が多くて緊張しました。一番小さいコテ先にしてルーペで覗きながら慎重にハンダ付けしていきます。特に5芯のフラットケーブルは隣とショートしてしまわないよう細心の注意が必要だったのと、トラックボールユニットから直接生えているので失敗してケーブルが足りなくなるとアウトです。クリックボタンも基板上に固定できる場所はないので真っ直ぐ取り付けられるまで何度かやり直しをしました。コンスルーは増設基板側と本体基板側にそれぞれあって両者をつなぐわけですが、私は増設基板側のみハンダ付けしました。どちらもしなくてもテストではきちんと動いてましたが、増設基板側はボタン近くで指が触れるのでハンダが盛ってあった方がチクチクしないかなと。逆に本体基板は将来的に「やっぱ踏みキー接続ユニットに換装したいな」と思う日がくるかなと思い脱着可能な状態を維持することにしました。

全体的に細かい作業が多いので、特別ハンダ付け工作が好きという人以外は完成品の購入をお勧めします。増設ユニットと本体との接続はさほど難しくはないと思います。

■使用感

おそらくキーボードからマウス+キーボード扱いになるからなんでしょうけど、Bluetoothのペアリングは一度やり直す必要がありそうでした。

ボールの大きさが大きさなので、常用できる快適なトラックボールとはなりません。クリックボタンも割と深く押し込まないとならないので、操作性はイマイチ。しかし左手キーボードとしてちょっとしたカーソル移動とクリックができるというのはなかなかに便利。本体の大きさがかわるわけでもないので、とりあえず付けとけというオプションだと思います。

私は左手で使うことが多くなると思うので、クリックボタンは左右入れ替えてみました。割り当ての自由度はメイン8キーと同じなので、クリック動作ではなく特定のキーコンビネーションやWebHookもアサイン可能です。仮にトラックボールの必要性を感じなくとも、8+2で実質10キーのマクロパッドになる、と考えることもできます。

■まとめ

  • 標準でBluetooth化され、バッテリー駆動でワイヤレス動作できる
  • 設定用Webインターフェイスを備えている

などオンリーワンなマクロパッドという価値が更に強化されるパーツシステム。「最近出てた」と書きましたがファームウェア更新とかはしなくても設定メニューがあったので、もしかしたら最初から売ってたか、少なくとも仕込みはしてあったということなんでしょう。逆にいうと現時点ではこれ以上の強化パーツラインナップはなさそうですが、今後も色々な選択肢を提供していってくれたら嬉しいです。むしろいつ買えなくなるかもわからないので、踏みキー接続ユニットも一緒に買っておけば良かったなと後悔。というか本体ごと予備で買っておきたいレベルです。次は完成品でもいいかなw。でもキースイッチはカスタマイズしたいかも。

基本はEnterとCtrlで読み進める紙芝居ゲーで、たまに選択肢やセーブ操作をするなんて用途にもピッタリかも知れません。

 

 

 

 

3キーでカスタマイズ可能なマクロキーパッドKeybow miniを組んでみた

ElgatoのStream Deckや以前私が作ったAZ-Macroをみて、同居人もマクロキーパッドが欲しそうだったのでプレゼントすることにしました。

マクロキーパッドとは、特定のキーコンビネーション(含む単一キー入力)を入力できる小型のキーボード装置のことです。Ctrl+Alt+F4みたいな複雑なキーボードショートカットを押すかわりに1ボタンで同等の操作を完結できるものです。たまにキーボードの上の方にメディア操作ボタン(再生、停止、スキップ、ミュートなど)がついているPCがあると思いますが、あぁいうのの外付け版みたいな感じですね。昨今、テレワークや配信ブームでマイクやカメラのミュート操作なんかを簡単にしたい、みたいな文脈で注目が高まっている感があります。

で、同居人のニーズとしては「ネットショップの出荷作業の際に、注文管理サイトの未出荷オーダーの一覧画面に一発で戻るボタン」という感じ。マウス数クリックのことではありますが、連続して何十件も処理する時に少しでも効率化できたら、という感じでした。

基本1ボタンで済むのですが探してみても1ボタンのマクロキーパッドというのは見つかりませんでした。もっとも少なかったのはこちらのZoomでマイクとカメラをミュートにできる2ボタンのもの。

しかしこれはMac用とWindows用が別製品になっている。つまり送出できるキーボード入力がハードコーディングされていて変更不可であるということです。カスタマーQ&Aに「私たちはあなたのためにプログラムを編集し、あなたにそれをカスタマイズさせることができます。 自分で設定したい場合は、お問い合わせください。」という返答があるので、なんらかの手段はありそうですが仕様がはっきりしないのでスルーしました。

ちなみにマクロキーパッドや自作キーボードの多くはProMicroという制御基板がデ・ファクトになっていて、これだとUSB経由で設定ファイルを書き込んでキー出力をカスタマイズすることができます。最近はBluetoothキーボードになる互換ボードもあるようです。

私が以前組んだAZ-MacroはProMicroを使わず、独自実装のようでした。設定もWebブラウザからできて扱い易かったです。

さて、今回購入したのはこちら。

1ボタンも2ボタンもいいのが見つからず3ボタンで落ち着きました。アドレサブルRGB LEDがついていて3キー独立で好きな色に光らせることができます。

制御ボードしてなんとRaspberry Pi Zeroを使います。

別売りなので総額はややお高めになります。一番安いスイッチサイエンスは売り切れていたので秋月電子で購入しました。Wi-Fi/Bluetooth機能はいらないので、Zero W/WHである必要はないですが、オスのピンヘッダーが必要なので、最初から装着されているWHが良いかも知れません。

あとはRaspberry Pi ZeroのOSをインストールするmicroSDカード。容量は全然いらないのでこちらの16GBをチョイス(実際には8GBでも4GBでも余裕なので手持ちがあればそれでOKだと思います)。

Raspberry Pi Zeroを使う難点としてはOSの起動に時間がかかる点。PC/MacからのUSB給電で起動し、キーが反応するようになるまで10~15秒ほどかかります。スリープ中でもUSB給電している機種/設定ならあまり気にしなくても良いかも知れません。

ちなみに起動後はオンメモリで動くので、いきなり電源をブチ切ってもSDカードのデータが壊れたりはしないとのことです。

キーユニットやキーキャップはバラバラで送られてきますが、ハンダ付けは要らず、差し込み、ハメ込みのみで完成します。購入時キーユニットがカチカチと静音タイプが選べましたがなぜか2,000円くらい差があったのでカチカチにしました。今は同額のようです。汎用品だしハンダ付けもしないので、その気になればキーユニットもキーキャップも交換できるでしょう。

接続ケーブルはRaspberry Pi Zero側のUSBはmicro B、PC側はAコネクタなケーブルが付属。USB Type-CのMacBookやPCの場合は別途変換アダプタ、ハブをかますか、ケーブルを買い直す必要があります。

■カスタマイズ方法がやや面倒くさく、日本語キーボード環境では問題あり

Raspberry Pieとか聞くとLinuxの知識がないといじれないんじゃ?と思われるかも知れませんが、本製品はそこら辺の知識は基本必要ありません。公式からOSファイルをダウンロードしてzip解凍した中身をSDカードにまるっとコピーします。そしてその中にあるテキストファイル形式の設定ファイルをエディタで編集するだけです。ただその記述方法は多少はプログラミング的な考え方が必要ですし、ドキュメントが公式サイトの英語のものしか見つからないのでそこは多少覚悟が必要かも知れません。

また

  • SDカードをPC/Macにマウント
  • 設定ファイルを書き換え
  • SDカードをアンマウントしてKeybow本体に差し替え
  • 起動に10~15秒待ち
  • キーを押してみて動作確認
  • 電源を落としてSDカードを抜く

の繰り返しになる設定プロセスはかなり面倒です。トラブルなくいけば数回で済むことですが、私はハマって試行錯誤をすることになったのでかなりストレス。

なにに困ったかというとMacで日本語キーボード環境だとキー配列に互換性がないため、意図した文字が送出されない、という点です。本製品は基本的に英語キーボードして動作します。しかしOS側でこれを日本語キーボードだと認識しているおかしなことになります。Macの場合、初めて接続したキーボードに対しては自動的にウィザードが起動して設定できるわけですが、そのステップとして「左右のShiftキーの隣にあるキーを押せ」というステップがあります。このキーが存在しない為、ここを突破できないのです。マニュアルでキーボード個別に配列を変更する箇所は発見できませんでした。標準キーボードともども英語配列設定にすれば問題ないのですが、、、多分Windowsならデバイスマネージャーでキーボード別にドライバ選択で使い分けられる気がします。もしかしたらGUIにこだわらなければMacでも設定できるかも知れませんし、これを書きながら、「一旦Shiftキー隣のキーを割り当ててやればよくね?」とも思いましたが試していません。

で、OS側での認識が日本語キーボードのままで例えば「所定のテキストを送信する」という

みたいな設定をしたとしても、「:」や「_」といった日本語キーボードと英語キーボードでキーの位置が違うような記号は正しく送られていきません。あくまでUSBキーボードなのでテキストを転送するのではなく、キーストロークに分解して1文字ずつ送信しているっぽいからでしょう。
ドキュメントも基本的なカスタマイズしか記載されておらず、キーコードを定義するところは見よう見まねで試行錯誤するしかありません。これには16進数のUsage IDというのを使います。こちらの表がわかりやすいですが、例えば左F1キーは10進数で58のところにあり、16進数なら0xをつけて0x3Aを指定します。実際に定義ファイルkeybow.luaをみると、

keybow.F1 = 0x3a

という定義行があります。

では「:」が「+」になってしまう問題を考えます。英語キーボードではShiftキーを押しながら「;」で「:」です。「;」キーのUsage IDは0x33です。実際に「:」を送信するよう設定をすると、日本語キーボード環境では(一番右のJISの列)では「;」のUsage IDは同じ0x33なものの、Shiftコンビネーション時の出力は「+」となっているのがわかります。

逆に辿るとJISで「:」は0x34であり英語では「’」だとわかるので、

keybow.text(“https’//”)

でいけるんじゃないでしょうか(未検証)。私は

keybow.semicoron_jp = 0x34

のように定義を追加しました。とりあえずこれを使ってコロンは出せました。

しかしこれで全て解決とはいかず。今度は同じ方法で「_」を出すために、日本語キーボードで右シフトの左にある「\_ろ」のキーに相当するキーコードを定義してみます。キー名は「International1」であり、Karabinar Elementに付属のEvent Viewerでも確認できます。

keybow.backslash_jp = 0x87

これで「\」が出てくれればShiftキーと一緒に送出するだけです。しかしこれは上手くいきません。原因は不明ですが、International1-9は英語キーボードに相当するキーがない(表でN/Aとなっている)ので、KebowのOSでも動作対象外となっているのかも知れません。「:」が出せたので考え方は間違ってないと思うのですが、これ以上はお手上げ。公式サイトに問い合わせるしかなさそうです。

ちなみに同じファイルkeybow.luaの冒頭にこういう定義あって、

どうやらこれを書き換えればShiftキー押しながら書くキーをタイプした時の挙動をカスタマイズできそうなんですが、エスケープ(\)されたものとかあって後半のキーまできっちり合わせるのが大変そうで手を付けていません。Shift+9くらいまでならこれでもどうにかなるかも知れません。一般には\tがタブ、\nは改行だと思うんですが、\bがバックスペースで\aは警告音??Shift+TABとかShift+BSが警告音になっちゃうってこと??みたいな。どっかにフルドキュメントないんかな…

■結局記号付きの文字列送出はほぼ諦めた

上述のように1つ設定を書き換えてはSD差し替えてブート待ちして、というサイクルが面倒くさすぎて心が折れました。結局使用者の利用シーンを聞き取りして、記号文字「_」の送出はしなくて良い形でまとめました。参考とバックアップの為に今回の納品設定を晒しておきます。layoutsファイルにあるKeybow mini用のテンプレートmini.luaをコピーしてmy_mini.luaなどを作り、ルートにあるkeys.luaの2行目で呼び出せばOKです。「– 」で始まる行はコメントとして認識されるぽいですが、2バイト文字(日本語)があっていいかは不明です。ここでは可読性を優先して日本語でコメントを追記しておきます。

以上、かなり単純な操作に落とし込みました。URLをキーボードから送り出すのは諦めて、使っていなかったホームボタンに指定URLを登録し、単にそれを呼び出すだけにしました。
また所定のアプリ起動はSpotlightを使ってアプリ名で検索して起動するアプローチになるんですが、デフォルトのCommand + SpaceはIME切り替えに使っていたので、OS側での呼び出しショートカットもF5にした上であわせています。標準ショートカットの場合はsnippets/mac_snippets.lusに関数が定義されているのでそれを使ってもいいかも知れません。

■PC側のツールでどうにかするアプローチ

今回はセットアップ先が自分のPCではなかったので、極力常駐ものを増やすのは避ける方針でいきましたが、AutoHotKey(Windows)やKeyboard Maestro(macOS)などのユーティリティを使えば、本体側は普段使いとあまり重複しないキーを送信するだけにしておき、あとの処理はPC側でどうにかする、という方向性もアリじゃないかと思います。

■まとめ

このボタン数で活カスタマイズ可能なキーパッドは希少で他に選択肢がなかったんですが、Raspberry Pie Zeroを使った独自実装で資料が少なく設定は難航しました。単純なキーコンビネーションを送出するだけなら問題ないと思いますが、日本語キーボード環境で文字列送信まで視野にいれるとかなりしんどいと思います。そもそもキーストロークを送出するUSBキーボードのふりをするので、OS側のIMEがONかOFFかも意識せず「aiueo」と送ります。「あいうえお」と送りたければ、IME ONにアサインしたキーコンビネーションを送るなどする必要がありますし、漢字変換まで考えると実質制御不能でしょう。そういうことがしたければStream Deckのような常駐ソフトを組み合わせて動作する製品を選ぶ方が幸せになれると思います。

設定が面倒くさい点に関しては、せっかくWi-Fiを内蔵したRaspberry Pi Zero WHをいれたので、sshでログインしてviやemacsで書き換えできるようにならないかな?と思いつつこれも調べていません。おそらくデフォルトでは余計なポートやデーモンは無効化てありそう(してあってほしい)。

色々可能性は感じつつも、試行錯誤の面倒くささとドキュメントの少なさで、とりあえずの動作要件を満たせたところで「もういいや」という気分になっていますが、とにかく小さいキーパッドが欲しいという方、AutoHotKeyなどの使用に躊躇がない方には良いかも知れません。

個人的には価格、ワイヤレスでも使用可能、Web設定インターフェイスなど統合したらAZ-Macroの方が遥かに優秀かなと思います。ハンダ付けが苦手な方には完成品もありますし。

同人ハード、小型マクロパッド(キーボード)AZ-Macro

同人ハードの小型マクロパッド、AZ-Macroを購入、作成してみました。

マクロパッドとは、ショートカットキーやマクロの実行を行うダイレクトキーを並べた小型の専用キーボードのことです。有名なものでは、ElgatoのStream Deckシリーズなのがあります。

クリエーターやYoutuber、ゲーマーな人達が作業効率を挙げるためによく使う機能を一発で呼びだせるようにカスタマイズして使うものです。中でもSteam Deckはキー1つ1つの中に小型ディスプレイがあり、キートップにどんなキーが割り当てられているか文字や色、アイコンを駆使して一目でわかるようにできるスグレモノです(静的にレーザー刻印やテプラなどで表示してしまうと、アプリケーションによってキーの内容を変えたりするのに追従できません)。

これはこれで使ってみたい製品ですが、今回はもう少しお手軽かつユニークな特徴を備えた同人ハードを見つけたのでそちらを使ってみることにしました。

■AZ-Macroとは

AZ-Macroは個人レベルの作家さんが設計開発をして頒布しているいわゆる同人ハードです。BOOTHや自作キーボード専門店の遊舎工房で購入できます(執筆時点で後者は品切れ)。

本製品は一見すると4×2の8ボタンのマクロパッドですが、オンリーワンの特徴として、

  • バッテリーを内蔵したBluetoothキーボードである
  • Wi-Fiにも対応し、設定をWebブラウザから行えたり、スタンドアローンでWebHookを叩いたりできる

といったものがあります。BluetoothキーボードであるということはiOS、iPadOS、Android、Chromebookなどのデバイスでも使いやすいです。また設定モード(左上のキーを押しながら電源ON)で起動するとWi-Fiアクセスポイントとして電波を出し、PCやスマホからつないでブラウザでキーの割当設定などを行うことができます。PCからファームウェアを焼いたり設定ツールを使ったりする必要がないので、原則PCレスで使うことができます(バイナリファイルをフォームでアップロードするファームウェアアップグレードだけはPCでした方が無難かも知れません)。

また単体で既存Wi-Fiにぶらさがることで、WebHook(Webアクセスをスイッチにしてなんらかの機能をは発動させる仕組み)を起動できるスタンドアローン機器として使うこともできます。例えばTwitterに1ボタンで定型文をつぶやかせたり、Nature Remoの任意のリモコン操作を割り当てて8ボタンリモコンとして使うとか。IFTTTのようなワービスを組み合わせればより多くのWebサービスに対して動作を与えることができます。

個人的にはPremiere ProやLighroomなどAdobe系ツールでツールパレットを使わずにツールを持ち替えたりするのを効率化したいのと、タブレット端末で動画を観る時のリモコンにできればというのが導入の狙いです。あとハンダ付け工作がしたかった(笑)。

本当はダイヤルデバイスものっているTONEのような製品の方がPremiere Proで各種数値パラメーターを入力するには良いかなと思うんですが、品切れで買えなくなってましたり、上記Blueooth/Wi-Fi機能というユニークな特徴も捨てがたかったのでまずはAZ-Macroから買ってみました。もしTONEが手に入ればそちらをPC用にして、AZ-Macroはスマートデバイス用と使い分けができるでしょう。同じ4×2ボタン配列というのも良いです。ちなみに配列にこだわらなければ、Quick7という製品もツマミを搭載することができます。

■組立て

今回はハンダ付け工作をたいかったこともあり敢えてキットを購入しました。作者さんのBOOTHでは完成品も購入することができます。差額は1,200円。ただしキットにはキースイッチをキーキャップが含まれていないので、それを別途買い揃えることを思えば、組立工賃としてはタダみたいなものです。電子工作に自信と興味がない人やキースイッチ/キャップを自分で選びたいというこだわりがなければ、完成品を注文しても損はないかと思います。またバッテリーも有り/無し選べますが、もっていなければわざわざ別で買うメリットもないかなと思います。

てことで私は今回キット+バッテリーを購入。

最初にGitHubから最新版のファームウェアをダウンロードしてきて焼き込むのと、ピンセットなどで各キーのスルーホールをショートさせて、Buetoothキーボードとしてabcdefghが入力されることをチェックします。ハンダ付けとかする前に初期不良でないかチェックするためです。この辺りの手順は公式マニュアルが非常にこなれていて迷うことはないでしょう。

・キースイッチ選択

キットに含まれていないキースイッチとキーキャップは遊舎工房で購入しました。キースイッチは定番のCherry MX互換スイッチに加え、低背のKailhロープロファイルスイッチというシリーズに対応しています。Cherry MX互換スイッチの方が圧倒的に選択肢がありますが、本機に限っていえばより低背なスイッチ、キャップの方がマッチするのでKalihロープロファイルスイッチから選ぶことに。リンク先の遊舎工房のページにくと、白軸、茶軸、赤軸、Red Proの4種類がラインナップされています。白軸がもっともカチカチいうメカニカルなタイプ。続いて茶軸がクリック感があるタクタイル型。赤軸が最初から最後まで同じ力で押し超えるリニアタイプの押下圧が約45gで、Red Proは同じリニアでさらに軽い30gタイプとなります。ストロークは共通で3mm。

ちなみに作者さんが完成品として売ってるものは、

  • 白軸 – カチカチ音がするスイッチ
  • 茶軸 – 音が鳴らないスイッチ

の二択になっています。あれ?茶軸より赤軸の方が静かなのかと思ったけどそうでもないの???と混乱。もう触ってみるしかないわということで、それぞれ10個入りを全種類注文しました(笑)。とりあえずカチカチいう白軸はいらないと思ったんですが、まぁ大した価格差でもないし、今後また他の用途で作る時の参考資料にもなるかなと思い。

4種類のスイッチを並べて押し比べ

結果としては、

  • 白軸はかなりカチカチ言うのでメカニカルが好き!っていう人向け
  • 茶軸のクリック感は予想してたほどは無く、赤軸を多少重くした感じ
  • 赤軸、Red Proはクリック感なく、重さの違い

という順当な感じ。茶軸がイメージより赤軸との差がなかったかなという感じですが、目をつぶってシャッフルしても違いがわかる程度には重さに違いがちゃんとあります。高速でヘコヘコ連打した時の音は、茶軸がカシャカシャという感じ。赤軸とRed Proはほぼ無音。もちろんターン!と叩けばどれも音はします。

フルキーボードとして文字入力を行う場合は白軸や茶軸で明確はフィードバックを得た方がよいかもですが、AZ-Macroのような用途であれば静音性を重視したいなと思い、赤系にすることにしました。軽ければ軽い方がいいかなとRed Proにしようと思ったんですが、1点だけ気になったのはスイッチの色です。赤軸は軸だけ赤いのでキーキャップつけてしまえば赤は見えません。一方Red Proはベース部分が赤いという違いがあります。AZ-Macroはデザイン上スイッチがサイドから丸見えになり、Red Proの赤が浮いてしまわないか?と。で、実際に基板に載せてキーキャップもつけてみたのがこちら。

Red Pro(右)は赤ベースが目立つ?

キーキャップも黒でまとめたので、スイッチも赤軸の方がオールブラックでカッコイイかなぁと。でもまぁ使用感を優先したかったので、差し色としてありっちゃありかなと自分を言い聞かせて、今回はRed Proで行くことにしました。

キーキャップも低背のもので黒です。

・一番手間だったのはキースイッチの足のカット

ハンダ付け自体は数も少ないのですんなり終わりましたが、ちと苦戦したのはカット。AZ-Macroでは基板裏側に(耐熱フィルムをはさんで)リチウムイオンバッテリーが直にあたります。リチウムイオンバッテリーは穴があくと発火や爆発の危険性があるので、尖ってる部分は切っておけよ、という指示になっています。フタをすればバッテリーを押さえつける力はほぼかからない構造ですが、バッテリー自体は固定されないので確かに尖ってる箇所があると不安です。最初はよくても、知らず知らずのうちにバッテリーが膨張したら、、とか。

ハンダが終わった足をいざニッパーで切ろうとするもこれがなかなか上手く切れない。ニッパーが一般的な両刃ではなく、模型用などの片刃のものなら簡単だったかも知れませんが、手持ちが両刃しかなく、どう切っても先端が尖ってしまいます。仕方ないので金属ヤスリで削って平らにしました。

スイッチの足を切りそろえたところ

とりあえずスイッチの樹脂の足(赤色)よりも低くなるようにしました。いっそ厚手の両面テープでバッテリーを固定するのも手かも知れません。

完成!

そんなこんなで完成。コントロール基板の部分はスモークのアクリル板で保護されています。ちなみに充電ポートはmicroUSBです。

充電ポート、電源スイッチ部分

■使ってみる

・まずはVLCの再生操作リモコンとして

電源スイッチを左にした状態で、奥側左から0,1,2,3番、手前側も左から4,5,6,7番キーと呼ばれています。0番キーを押しながら電源を入れると設定モードになり「AZMacro-xxxxx」的なWi-Fi電波を出します。PCなどから暗号鍵無しで接続すると自動的に設定画面がブラウザで表示されます、、、というはウチではなぜかmsnのポータルにリダイレクトされてしまいました(Windows10/Chromium Edge)。そういう時は手動で「192.168.4.1」をアドレスバーに入れてアクセスします。

とりあえずこんな感じに設定してバッチリ機能しました。

0: Fキー(フルスクリーン表示ON/OFF)

1:Pキー(前のファイル)

2:Nキー(次のファイル)

3:スペースキー(再生/一時停止)

4:Ctrl + ←(戻る)

5:←(少し戻る)

6:→(少し進む)

7:Ctrl + →(進む)

(進む/戻ると少し進む/戻るの具体的な秒数はVLC側の「ジャンプする長さ」で自由に変更することができます。)

単純なキー押下だけでなく複数キーの組み合わせも指定できます。オートリピート間隔も指定可。

所定の文字列の入力も可能ですが日本語(マルチバイト)文字を直接貼り込むことはできません。あくまでキータイプを再現する装置なので、「t,o,u,k,y,o,u,スペース,リターン」などと指定することはできますが、PC側でIME ON/OFFがどうなっているか、とうきょうを変換して最初に出る候補がなにか、というところまでは制御不可能ということです(IME ONの(トグルではない)キーアサインがあればIME ON固定はできるかもです)。

また前述のWebHook機能で所定のURLにアクセスしたり、その結果をキー入力として貼り付けることもできます。例えばアクセスすると今の日時を返すAPIがあったとすれば、1キーでそこへアクセスして結果である日時タイムスタンプを文字列として貼り付けるといった動作ができます。

ちなみにWebHookを設定したキーが1つでもあると常時Wi-Fiが接続されるためバッテリー消費は増えるようです。

・レイヤーを使う

単純なキーアサインでは8キーあるので8機能しか指定できません。それを回避するために2つの方法があります。共通な点としては「レイヤー」と呼ばれる設定セットを複数もたせておき、随時切り替えて使う方法。その切り替え方法が2つあるのです。

1つ目はあるキーをレイヤー切り替えキーとして使う方法。例えば0番キーを押している間はレイヤーを2にする、みたいなことにすれば、0番キーが使えなくなるので7 x 2で14の機能をアサインできます。レイヤーを3つにして、2つのキーをレイヤー切り替えに割り当てた場合、6 + 6 + 6で18機能ということだろうと(試してない)。レイヤーを増やすほど使えるキーが減っていってしまうし、同時押しも面倒なので個人的には使わないかなと思います。

もう一つの方法は、下段の4~7キーを押しながら電源を入れるとそれぞれ1~4番目のレイヤーが固定されるという方法。これならば常に8キーをフルに使うことも可能です(逆に1つ目の方法を併用も可能でしょうけど)。VLCを使う時は単に電源ON、Premiere Proを使う時は4番キーを押しながらON、といった具合です。面倒っちゃ面倒ですけど、まぁここら辺はPC側に専用ツールを常駐させるStream Deckなどとの違いですね。あちらはフォアグラウンドアプリに応じて自動的にレイヤーを切り替えることができるはずです(多分)。一方こちらは常駐アプリを使用しない分、スマホやタブレットなどの幅広いデバイスに対応するという利点でもあります。WindowsやMacのみでゴリゴリ使うのであればStream Deckの方が利点は大きいでしょう。できれば本機もWindowsやMacオンリーでもいいのでアプリでレイヤーを自動切り替えるしてくれるような常駐ツールが登場してくれたら有り難いですね。将来のバージョンアップに期待。

■まとめ

右手にマウス、左手にキャット、、ではなくマクロパッド

Premiere Pro編集作業に使える左手キーボードが欲しいと思いつつ、Stream Deckやゲーム用左手キーボードではサイズ的にもコスト的にも大仰すぎるなと思っていた中、同人ハードという世界の中でよりフィットした選択肢を色々見つけることができたのは幸いでした。

今後もこの界隈は注視していきたいと思います。

[オマケ] ガシャーン!