NASというより多機能サーバー? Synology DS1511+ 設置編

Synologyというメーカーをご存じでしょうか?台湾のNAS専業のメーカーで、ビジネス向けから家庭向けまで多くの製品(製品一覧ページへリンク)を発売しているようです(ちなみにNASというのはNetwork Attached Strageの略で、BUFFALOのLinkStationやTeraStationシリーズのようにネットワークで複数のマシンから共有できるファイルサーバー製品のことです)。

今回ご縁があってこちらのDS1511+というビジネス向け製品をレビュー用にご提供いただきました。とても多機能な製品なので数回に渡ってレビューを掲載していきたいと思います(カテゴリ作りました。関連記事一覧はこちらで)。

■製品概要

DS1511+の公式製品ページはこちらになります。個人的に注目の仕様は、

  • 3.5′ HDDx5ベイのNASで、最高Read197.8MB/s、Write165.91MB/sの性能
  • ホットスワップ対応(ディスク障害時に電源入れたまま交換できる)
  • iSCSIのサポート
  • IPカメラを組み合わせた監視サーバー
  • 外部ドライブ増設にUSB2.0x4に加えeSATAx2を搭載
  • LANポートもGibabitx2で束ねて使ったり障害時のバックアップ、はてはルーターとしても機能
  • POP3/IMAP対応のメールサーバー
  • SSH

といった辺り。かなりマニアックですね。ビジネス向けだからというのもありますが、ソフト面に関しては家庭向けモデルでも対応しているものが多いようです。

あとは普通に最近の国産NASが対応している、

  • DLNAサーバー
  • iTunesサーバー
  • スマートフォン向け専用アプリからのアクセス
  • PHP/MySQL対応のWebサーバー
  • FTPサーバー
  • TimeMachineバックアップ(Mac)
  • UPS対応

といった機能も当然のように対応しいて遜色はないように思います。

多重化方式に関して、「Synology Hybrid RAID, Basic, JBOD, RAID 0, RAID 1, RAID 5, RAID 5+Spare, RAID 6, RAID 10」となっています。Synology Hybrid RAID(SHR)というのはまだよくわかりませんが、初代Windows Home ServerのDEのように異なるサイズのHDDを扱える独自規格のようです。

ちょっと多機能過ぎてとても全ての機能をレビューできる気はしませんが、ぼちぼち試していきたいと思います。

  写真1A. 製品外観
DS1511 _1a

  写真1B. 風通しが良さそうで温度管理も安心? 
DS1511 _1b

■ハード周り

さっそく設置してみました(写真1A)。横に並んでいるのはAppleのAirMac Extremeとお約束の単3eneloopです。横長で安定感のあるデザインです。個人的には最近のビジネスグレードのTeraStationのデザイン(リンク)より好きですね。真正面から見ると各ベイの隙間から奥の壁が見えていて(写真1B)、この種の製品の生命線とも言えるエアフロー(風通し)は充分確保されてる印象です。


  写真1C. 充実のインターフェイス群
DS1511 _1c

ついでにちょっとピンぼけですが背面の写真も(写真1C)。大きな冷却ファンが2つ、右上にはD-Subらしきものが見えますがフタされちゃってます。モニタつながるんでしょうか(ドキドキ)。その下がUSB2.0ポートx2、GbEポートx2。本体下部に離れて2つ見えるのがeSATAポートです。このeSATAポートに増設する用にDS1511+と同一筐体のDX510というHDDケースユニットもあり、2台つなげて全ての3TB HDDいれたら3×15で45TBですね。エラいことです。


  写真1D. トレイを引き出した様子
DS1511 _1d

各ドライブベイは下部についてるロックスイッチを解除した後、上部の▼LEDのあたりを押すと写真1Dのように引き出すことができます。写真1E~1Gがドライブトレイです。面白いことに2.5′ HDD用のネジ穴もついていて省電力アレイやSSDアレイなんかも狙えます。AcerのAspire easyStoreみたいにネジ無しで固定できるトレイに比べるとやや不便ですが、ネジは必要本数付属していました。

なお今回はSeagateのBarracuda 7200.12 500GBモデル(ST3500418AS)を5台お貸しいただいたのでこれでRAID5アレイを構築してベンチしてみる予定です。将来的には3TBクラスx5に入れ替えて容量優先で運用してみようと思っています。

 

写真1E~G. HDDはトレイにネジで固定。2.5インチにも対応!
DS1511 _1eDS1511 _1fDS1511 _1g


■管理GUI

さてHDDの組み込みも終わり電源を投入して初期設定を行います。管理はブラウザから行えるのですが、最初にIPアドレスを調べたり設定したりするのに専用ツールSynology Assistant(以下SA)を使います。この辺りの流れはBUFFALOのLAS Navigatorと一緒です。ルーターの管理画面などでDHCPで振られたIPアドレスを調べられるならSAをインストールしなくても運用可能かも知れません。ちなみに当然のWindows、MacOSX版に加えLinux版まで提供されているところはさすがです。なんかUNIXに詳しそうなメーカー、って印象を感じますね。

  写真1H. これがWeb管理UI…だと?!
DS1511 _1h

  写真1I. まるでデスクトップOSの様 
DS1511 _1i

IPアドレスさえ判明したら、http://192.168.xxx.xxx:5000/webman/で管理ページにアクセスできるのですが、これが驚愕モノでした。Synology DiskStation Manager(製品ページにリンク)と呼ぶらしいのですが、ブラウザ上で動くデスクトップOS並の作りです。写真1Hがログイン直後の状態ですが、この真ん中のウインドウ、ドラッグできますw。「コントロールパネル」を開いた状態が写真1I。MacOSXのシステム環境設定に似たインターフェイスで各設定ページをサクサク移動できます。これは国産のルーターやNAS、無線LAN機器などの組み込み製品の管理画面ではお目にかかったことがない作りですね。Webフォームで設定をして「保存」ボタンでsubmitしてページが再読込されて、とかってやるのとは別次元のUXです。試しにIPアドレスを変更してみたんですが、従来製品では「接続が切れるのでブラウザを閉じてNAS Navigatorから新しいIPアドレスで開き直せ」と言われ再起動かかって、数十秒待った後に新アドレスでアクセス。当然ブラウザに保存したパスワードも無効になってて、なんてのが普通ですが、DSMでは一切なし。ブラウザのアドレス欄を見るといつのまにかIPアドレスが変わってる、って感じで、再起動(サービス中断)したのかどうかすらわかりませんでした。

あと、画面下部の「Report Bugs」をクリックするとメーカーの問い合わせフォームのページが開く、なんて小技もニクイです。

正直製品ページを見た時点ではクライアント側の管理アプリケーションだとばかり思ってたんですが、まさか全てブラウザ上で実行されているとは(Javaで動いてるっぽいです)。これ公式サイトとかでデモ機公開して直接触れるようにとかしてPRしたらいいんじゃないですかね。

ちなみに海外製品にありがちな日本語のあやしさもほとんど感じません。マニュアルドキュメンも含めてかなりしっかりローカライズしてある印象です。こちらからダウンロードできますので興味のある方はどうぞ。(User’s Guide->日本語)

2011.11.10追記:

日本語の管理画面を体験できるデモサイトが開設されてました。遠隔にあるので若干レスポンスが悪いですが、DSMがどんなものかは体感できると思います(実際にLAN内にあればもっとサクサクです)。是非一度ご覧下さい。

http://www.synology.com.tw/products/dsm_livedemo.php?lang=jpn

(記載されてるIDとパスワードを覚えた後、「Live Demo」ボタンをクリックし、そのIDとパスワードを入力して下さい)

いやはや初っ端から度肝を抜かれました。この後はRAIDアレイの構築で時間もかかるし、少しマニュアルを詳しく読んでから設定したいので、まずはここまで。

今回のレビュー依頼を受けるに辺り、「いくら製品を提供していただくからといって記事内容に手心を加えた提灯記事を書きませんよ?」とおことわりさせて頂き、先方さんからも「何を書いても構わない。ユーザさんからの意見として真摯に受け止める。」とご快諾いただいてましたワケですが、今のところ全くネガティブがない(笑)。とりあえず続きをお楽しみに!

MacOSX Server 移行ログ DNS、メール、その他編

先月購入したMaxOSX Lion Server入りMac mini Serverへの移行作業が割と手間取っています。LinuxサーバーでCUIでやっていたことと、OSX ServerのGUI上でのマッチングがよくわからなかったり。参考書籍も検索結果も10.6世代の情報ばかりで、しかも結構ファイル構成とか違ってたり。MC936J/Aの品薄感で焦ってしまったものの、もう少し情報出そろってからでも良かったかもですw。

でもまぁボチボチ進めてます。σ(^^)の様にLion Serverの値頃感で参入する人も多いでしょうからなるべく情報共有できるよう、作業ログはブログの方にあげてくことにします。

■初期設定&概要

まずハマりやすいのは初回起動時のユーザ設定。うっかり自分の普段使いのアカウント名を管理者として使ってしまうと、後でその名前でOpen Directoryアカウントが作れなくなり、結果としてメールサービスなどが設定できなくなります。adminなどの汎用アカウント名を設定しましょう。

次にビビるのは「サーバー管理」アプリがインストールされておらずAppleから自分でダウンロードして入れる必要がある点。最初から入っている「Server」というアプリからだとDNSやDHCPなどの項目がなくて、「Lion Serverは値段も下がったけど機能も削られてるのかっ!?」と一瞬青ざめました。

管理操作はクライアント側に「サーバー管理」をインストールすることで遠隔管理できます。また画面共有も使えます。のでMacから管理する限りは結構便利。ただ読み込み待ちが少し短縮されるといいなーという感じ。SSHを有効にすればコマンドラインであれこれもできますが、サービス再起動等のコマンドはLinuxと違うのでまだよくわからず。今のところemacsで設定ファイル書き換えたりする用。

■DHCP

特に難しいことはなかったですが、MACアドレスによる静的割り振りの設定にインポート機能がなかったので、従来のdhcpd.confから設定を書き写すのが手間でした。

■DNS

CentOSではdjbdnsをソースからコンパイルして入れてたので、Lion ServerのBIND9は結構面食らいました。外向け、内向けどちらかの設定のみならGUI(=「サーバー管理」アプリ)で全て設定完結できるんですが、1台で両方するにはCUIでnamed.confを編集してviewという記述を用いる必要があるようです。内向けは必要ないっちゃないんですが、技術的な興味で立ててみることにした感じです。

普通に外向けDNSサーバーを構築するだけなら結構簡単です。逆引きのレコードは勝手に作ってくれるし。ただ設定してて突然(GUI上から)設定内容が消える現象が発生。1つずつ検証していったところ、do-gugan.comのようにホスト名なしのCNAMEレコードを設定するとアウト(GUIがnamed.confを解釈しきれなくなる?)で全て真っ新になるようでした。AレコードにしたらOKっぽい。そんなことを繰り返してるうちに動作が微妙に。現時点でGUI上にログが表示されなくなってしまいました。また時々ゾーン転送を許可するチェックボックスが勝手に外れてしまうことがあります。などなどどうにも不安定でなるべく触らずにそっとしておきたい部分になってます。

DNS部分だけ設定をリセットして最初からやり直したいのですが、ググってもその方法が見つからないんですよねー。

■メール

内部的にはpostfix + dovecotで構成されていて、今までのCentOS環境と同じでした。ただし細かいところで違いも。

  • メール保存方式がmboxではなくMaildir
  • ユーザ設定はOpenDirectoryで行われ、「ワークグループマネージャ」というアプリを使用
  • サーバー振り分けはprocmailではなくSieveという実装を使用
  • エイリアスはpostfixレベルでaliasesに書く方法と、ワークグループマネージャを使う方法の2つ

あたり。mbox->Maildir変換はLinux側で行いLion Serverにフォルダーコピーすればなんとかなりそう。ユーザ管理は慣れてしまえばまぁむしろ楽です。サーバー振り分けはユーザ単位の設定であればWebメールでログインしてブラウザ上でルール設定ができるのでこれもわかってしまえば便利ですね。エイリアスが2種類あるのは一長一短みたいで後者は設定が楽だけどSieveルールが適用されないという弱点があるとのこと。postfixに慣れてるなら前者でやった方がいいかもです。あと仮想ドメインはGUIで設定できました。まだ本番運用してないのでちゃんと動くか未確認ですが。迷惑メールやウィルスチェックも統合されているのでGUIで簡単に管理できますが、細かい例外ルールとかは先々CUIを使うことになるかもって印象。

■ソフトウェア・アップデート

Appleのソフトウェア・アップデートをLion Serverがプロキシ&キャッシュサーバーになって経由させることができます。複数台Macがある場合には有効ですね。ウチは(サーバー自身を除くと)2台だけなので微妙ですが、技術的関心で設定。とりあえずクライアントMac上でのアップデートの確認が一瞬で終わるのが幸せ。

■TimeMachineサーバー

AirMac Extremeに外付けしたUSB HDDをTimeMachine領域にしていたのですが、使用中エラーになってAMEを再起動しないと復旧しなくなるという現象が頻繁に起きるのでこの機会にこれもLion Server担当に振り替えてみました。比較的遅くてあまり使い道がない内蔵500GBを指定。最初設定してもクライアントから見えなくて悩みましたが、サーバーを再起動したら解決。使用中エラーなどが改善するかどうかはしばらく見守ってみないとです。

 

とまぁあれこれ便利ではあるし、OSX Serverでしかできないこともあるんですが、1万円台で買える安鯖にLinux入れて出来てた事を、なんだかんだで10万近くかけて移行するのは(個人用としては)完全に自己満足の世界ですねぇ。ゼロから新規で立ち上げようという人にはリーズナブルだとは思います。

自宅サーバー用にMac mini Serverを導入

現在のdo-gugan.comサーバーは4,5年前に購入した激安サーバーhp ML115をCPU換装、HDD増設しつつ使っています。最初についてた160GBのHDD(OSが入ってるパーティション)がそろそろ心配になってくる頃です。HDDも合計4台となり消費電力、発熱、騒音面でもイケてない状態。LVMなので古いドライブから新しい大容量ドライブにパーティションを移動していけばいいんですが、仮想環境とあいまってややこしい状態になってて恐くて手を出せない(^^;)。また先日でたCentOS6は結構あれこれ変わっていて今までのようなアップグレードインストールは難しいっぽい。

ならいっそ、ということでLion入りのMac mini Server (MC936J/A)を購入しました。省電力、静音、省スペースと三拍子揃ったハード。光学ドライブがなく密閉度が高いのも好感度高いです。吊しの4GBメモリ、500GB HDDx2台モデルを購入し、メモリを8GBに増設(置換)、HDDの1台をSSD(Crucial m4 128GB)に換装しました。本体はLABIで3,000円引き、13%ポイント、メモリも爆安とはいえ、トータルで10万超え。ベース価格がアフォみたいに安かったML115(Lights-Out入れて5万弱だったような?)に比べると割高感がありますが、上記三拍子や我が家ですっかりメインになったMacとの相性や連携機能を考えればアリかなと。

内蔵ストレージは2.5inchなので弱いですが、FireWire800、Thunderbolt等インターフェイスは充実してますし、近々iSCSI対応のNASが手に入りそうなのでそれと連携してもいいかなとか。

ML115が一昨年くらいから夏に不調を来すようになってて、今年も予防策として扇風機の風あてっぱなしで運用してるくらいなので、とっとと移行したいと思っています。

予定では、メール、Webといった基本サービスはOSX Server、Linuxでないと動かせそうにないサービスはVMWare上のCentOSで。あとWHS2011も一緒に購入して来たのでこちらも移行するつもりです。

■ハード面

光学ドライブスロットがないのでとてもスッキリしていて良いです。デスクトップ用としてはポートやスイッチ類が全て背面にあるのはユーザビリティ的に不利ですが、サーバー用であれば無問題。

片方SSDにしたせいもあるんでしょうが、セットアップ作業厨、アイドリング状態では耳を近づけてもほぼ無音。ぴったり耳をつけるとモーター音がかすかにしてるかな、って位。2chで天板の熱が指摘されてましたがいまんとこ気になりません。エンコードやトランスコードをしない限りまったく心配はなさそうです(ちなみに天板よりにHDD、その下にSSDという配置)。

Thunderbolt I/FのついたRAID箱の登場が待たれます。

■換装作業

購入後一度も電源を入れずに換装作業実施w。換装作業はこちらのブログを参考にさせていただきました。工具としてトルクスドライバーのT6とT8が必要。またm4が厚み的に微妙に入らないのでケースの片側を外すのにプラスドライバーを使いました。試してないですが、ケースが干渉するのは入れる時だけなのでもう少し深くまで分解して入れるのであればそのままでも入るんじゃないかって印象でした。まぁSSDだし据え置き機なんであまり気にせず、元のHDDについてた絶縁シートだけ基板剥き出しの側に貼っておきました。

ちなみに2台のHDDは縦に積まれるように入っており、底面側からアプローチする形なのですが最初に見える下側のドライブにOSが入っていて、SSD換装には便利な作りになっていました。もう1台も換装する場合はさらにバラす必要があるっぽいです。あと元から1台しか入ってないモデルだとスペースはあるもののケーブルが内蔵されていないので現状追加は難しいようです。

難易度としてはMBPよりは面倒だけどメチャクチャ難しいという点はないです。普通の自作erならできるでしょう。唯一気をつけるべきなのは上記ブログにもあるように金属メッシュパネルを取り外す時。円形の窓の奥の方に若干刺さっているので、それを引き出してから持ち上げないと簡単にひん曲がってしまいます。

いまんとこ6Gbpsでリンクしてるようです。

■インターネット経由リカバリ

OSと共にリカバリ領域の入った下側のドライブを換装してしまってもLion世代のマシンはインターネットからリカバリできます。スゴい時代になったものです。電源投入時にCommand + Rを押すとリカバリーモードに入るとのことですが2点ハマりました。

1つはたまたま使ったUSBキーボードにCommandキーに相当するWinキーがついてなかった(^^;)。サーバー用ということで純正キーボードを用意せずに一時的にそこら辺に余ってるキーボードで済ますケースも多いと思いますが地味にハマります。またBluetoothキーボードはリカバリーモード前には上手くペアリングできませんでした。

あと「Command + Rを押しながら電源ON」とあちこちに書かれてますが、本当にCommand + R押さえてから電源入れるとうまくリカバリーモードになってくれませんでした(?マーク入りのフォルダアイコンが点滅する状態に)。先に電源を押して「ジャーン」が鳴った直後くらいに押したら行けました。

ちなみに電源ボタンは正面から見て右側背面にあります。

リカバリーツールのDLが3分程度。SSDにパーティションがないとリカバリーしようとしても指定できないので先にディスクユーティリティを選んで領域確保するのもポイントです。ディスクイメージのダウンロードは予測で3時間弱と出たので放置してテレビ見てたんですが実際には1時間かからないで完了しました。勝手に再起動してインストール。こちらも最初19分と出ますが実際にはもっと短い時間で完了。こっちはSSDのお陰もあるでしょう。

純正SSDではないので当然Trimは「いいえ」。Trim Enablerで強制オンにしてみました。いっそ問題が出るなら早め(移行作業中)に出てくれってことで。

 

そんなこんなで2時間弱くらいで初期設定が完了しました。これからサーバー設定を少しずつ進めてい
きます。

Poptopを使ったPPTP接続でブロードキャストを有効にする

前エントリでVPN(PPTP)経由でWake-On-LAN(以下WOL)を使おうとしたら上手くいきませんでした。WOLでは相手のMACアドレスを使って宛先指定をしていますが、実際にはブロードキャストを使うみたいで、これは通常PPTPでは中継されません。

我が家のサーバーで使っているPPTP実装はPoptopで、ググってみると設定ファイルで1行変更するだけでブロードキャストパケットを転送することができました。具体的には、/etc/pptpd.confで

bcrelay eth0

のようにします。eth0の部分はサーバーのLAN側に使っているネットワークデバイスを指定します。これが受けたブロードキャストパケットをVPN側に丸投げしてくれるようになります。デフォルトでオフなのは、大量のブロードキャストが流れるLANにつないだ場合、VPNの帯域が圧迫されるからでしょう。すばらく様子をみて実際に問題なようだったらオフに戻して、WOLはサーバー経由で運用しようかと。

あと残念ながらこのオプションを有効にしてもiTunes共有などのBonjourは機能しませんでした。

サーバー類のリモート電源操作環境を整備

計画停電や節電の関係で24時間稼働していたサーバーをスリープ運用に切り替えたり、停電空けの自動復帰が上手くいかなくて遠隔でリモート起動させないとならない場合があります。iPhoneアプリの活用も含めて、ここ最近やった準備をまとめておきます。同じことを考えてる方の参考になれば幸いです。

■我が家の構成

我が家はメインのサーバーがhpのML115G1でUPS(無停電電源装置)を使って保護しています。このLinuxサーバーがVPN(PPTP)サーバーも兼ねているので、これが落ちていると基本的に他の全てのマシンにもアクセスできません。Webサーバー、メールサーバーも稼働しているので、最低限このPCの稼働状態を保つことが最優先です。残念なことにこのマシンはBIOSでAC電源断後の自動起動を設定しても、UPS等による正常シャットダウンの場合は「不意の電源断」と見なされず自動起動してくれないようなのですが、幸いこの激安サーバーのBTOオプションでLights-Out 100cという遠隔管理ボードをつけてあり、これを利用すれば遠隔再起動できました。

2番目に重要なのはテレビ録画用の自作Windowsマシン。今までは安定性重視で24時間稼働だったのを節電時間帯はスリープに切り替えました(でもまだ録画完了後に自動でスリープに落ちないとか課題あり)。しかしこのPCはHDD容量の余裕もあることから、一時ファイル置き場にもなっていて、スリープしてるのを外から起こして中のファイルを取り出したくなったりします。これは仕事用PCなども同様ですが、これらはメインサーバーが生きていてPPTPで自宅内LANに入ることができれば、後はWake-On-Lan(LANケーブルからの特殊パケットによってPCを起動させる機能)を使って起こすことは可能です。

ついでに、先日買ったMacBook Proと同Airを「どこでもMy Mac」機能で相互に遠隔操作できるようにしたので、据え置きでスリープしているMBPを、外出先のMBAから利用できるようこちらも設定してみました。

■ML115 + Lights-Out 100cを遠隔操作で起こす

Lights-Out 100cはML115のPCIバスに装着されたボードで、本体が通電されてる限りは起動している独立したプロセッサをもつ簡易サーバーです。本体とは別のEthernetポートをもっていて、IPアドレスも独立です。Webブラウザやtelnet/SSHターミナルからアクセスして、本体のハードウェア状況(温度やファンの回転数など)を監視したり、電源のON/OFFができます(例えばOSがフリーズして全く操作を受け付けなくなっても、こちらからブチッとやれる)。また本体のグラフィック出力やキーボード入力に割り込め、ブラウザ画面から物理モニタ、キーボードの前にいるのと同じ操作が行えます(ネットワーク的に死んでいてもコンソールで操作したりエラーメッセージを読み取るなどの余地が残る)。ハードウェアレベルで画面共有付きの遠隔操作できる訳ですね。

IMG_0865 IMG_0866

今回の場合、画面共有までは不要で、電源投入操作が行えればOK。WebやSSHでもできるんですが、出先からなるべく簡単に行いたいということで、先日教えていただいたiPhoneアプリを導入しました。IPMI touchというものです。IPMIとはこうした遠隔管理システムのためのプロトコルで、Lights-Out 100cはIPMI 2.0の設定でいけます。

画面写真、左がハードの各種数値を表示した状態、右が電源操作画面です。ナウいですね。

今回のケースではLights-OutのもつIPアドレスはプライベートで、このPCが落ちてるとPPTPでも入れないという状況なので、ルーターの設定をいじってポートをリダイレクトしてやる必要がありました。セキュリティの為、必ずパスワードやユーザ名を変更しておきます。

余談ですが、このパスワード変更を失敗してしまい、Lights-Outにアクセスできなくなり焦りました。BIOS画面辺りでリセットできるかと思ったんですがそう簡単でもなく、結局と海外の掲示板で調べ、あるツールとDOSをUSBメモリにインストールし、おまじないのような長い16進数パラメーターをつけたコマンドを実行する必要がありました。これあんまりおおっぴらにするのもなんだなということで覚え書きは自粛。個人的なメモに留めておきます。

■その他のPCをWake-On-LANで起こす

Wake-On-LANは今時のEthernetボード(マザーにオンボードのものも含む)ならまず対応しているみたいなので、起こされる側は特になにも設定の必要はないと思います。ただWindowsやMacではオフにする設定項目もあるので、もし起きないようならチェックしてみると良いでしょう。

Windowsの場合、デバイスマネージャーから該当するネットワークアダプタのプロパティを開き、「電源の管理」タブで「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする(O)」のチェックを確認します(細かい文言はWindowsのバージョンによって違うかも知れません)。

MacOSXの場合、システム環境設定の「省エネルギー」で「ネットワークアクセスによってスリープを解除」でいいと思います。

さて、Wake-On-LANといえど、どんなパケットにも反応して起きてしまっては困りますので、マジックパケットと呼ばれる一定のルールに沿ったパケットを受信した時だけ復帰を実行するようになっています(モノによってはそれ以外のも反応するよう設定できるみたいです)。つまり起こす側はこのマジックパケットを出力できる必要があります。あと、PCが起動していない以上、IPアドレスは不定なので、マジックパケット送信のための宛先指定はMACアドレス(全てのネットワーク機器がもつ個別の識別番号)を使います。起こしたいマシンの有線LANポートがもつMACアドレスを予め調べておいて下さい。

・Linuxで起こす

ウチの場合、どのみちPPTPサーバーであるメインサーバーが起きていることが前提なのでそこにSSHでログインしてコマンドを叩くのが簡単です。CentOSの場合、net-toolsというパッケージに含まれるether-wakeというコマンドが使えます。ウチの場合は最初からインストール済みでしたが、もしない場合は、

yum install net-tools

でインストールできると思います。

使い方はシンプルで、

/sbin/ether-wake 00:5c:a9:21:55:ff

のようにMACアドレスを指定してやるだけ。root権限が必要みたいです。

σ(^^)はマシン毎のMACアドレスを覚えるのが大変なので、rootの.bashrcに

alias wake_pc1=’/sbin/ether-wake 00:5c:a9:21:55:ff’

のように書いておきました。これで次回ログイン時からは単にwake_pc1で実行できます。

・iPhoneアプリで起こす
IMG_0867

iPhoneからでもSSHアプリを使えば上記手順でできる訳ですが、アプリで簡単にできるものはそっちを使う主義なので、専用アプリを導入しました。iNet Proというアプリで700円です。これはスキャナーなどのネットワークツールの詰め合わせアプリなのでちと高いですが、同じところが出しているWake-On-LAN専用アプリiNet WOLなら230円です。

前者のみかも知れませんが、LAN内で稼働中のマシン一覧を取得してそこからリスト登録ができるので、一台ずつMACアドレスを調べて手打ちする手間も省けてGoodでした。

また相手がMacの場合、設定画面でIDとパスワードを保存しておけば、スリープ移行やシャットダウンもできるようです。ただウチでスリープを試した限り、画面は消えるものの、スリープランプが点滅にならないという感じでした。

(iPhoneのようにVPN経由で接続した端末からマジックパケットを送る場合、PPTPサーバー側でブロードキャストパケット中継を行う設定が必要でした。これは別エントリで説明します。)

・ルーター管理画面から起こす

BUFFALOの一部のブロードバンドルーターでは管理画面からLAN内の各マシンにマジックパケットを送る機能があるみたいです。該当機種をお使いの場合、それも簡単で良いかも知れません。