気付けば骨伝導ヘッドセットAfterShokzが3モデル揃ってたので比較

■OPENCOMMを1年使っての感想

テレワーク最強ヘッドセットと名高いAdterShokzのOPENCOMMを購入して1年が経ちました。

私は仕事柄、リモート会議よりもリモートインタビューで、一日に90分を3,4件と集中して使うことが多いので、耳を塞がないで長時間使っても疲れない骨伝導ヘッドセットはとても重宝しています。カナル(耳栓)型のイヤホンもたくさん使っていますが、これらはノイズキャンセルなど音楽を聴くということには優秀ですが、長時間、しかも自分もしゃべる作業の時には違和感が大きく我慢なりません。その点、骨伝導は耳は完全にフリーなので違和感ないし、なんなら飲食してもモゴモゴしないとかサイコーです。オーバーヘッドヘッドフォンのように重さや締め付けが気になることもないし、完全独立ワイヤレスイヤホンのようにポロっと落ちないかドキドキする不安もありません。

そんな中でも特に評価が高いAdterShokz社のテレワーク(オンライン会議)特化モデルOPENCOMMはこの一年とても重宝しており買って良かったと思っています。強いて言えばさすがに丸一日つけていると耳の上辺りが痛くはなります。これは平気というレビューも多いので、自分がメガネを使っていることとも関係しているのかも知れません。ちなみに自室ユースなのでマスクは併用してないです。

OPENCOMMはテレワーク特化モデルなので、より口元近くで話し声を明瞭に拾うようアーム型のブームマイクが搭載しています。これも評判が高いようです。「ようです」って伝聞調なのは、自分では使っていないから(笑)。マイク自身や位置が上等でも所詮伝送経路がBluetoothな時点でビットレートが上げられないからなぁと、結局上記記事に書いたようにマイクは別にコンデンサマイクを使っているのです。オンライン会議専用であればどのみち圧縮かかるのでおそらく実効レベルで差はでないと思いますが、動画のアフレコ用などでセットアップしてあるマイクがあるので、結局そっちを使ってしまう、という感じ。本機のマイクが使い物にならないということはなく、むしろ一般的なヘッドセットよりも長いアームで口元に近いだけ優位だと思いますが、どうこう言うほど使ってないのでノーコメントで。ともあれ内蔵マイクは上に立てたままテスト程度にも使ってない。むしろ邪魔だなと思ってました…

■Amazon Black FridayセールでAEROPEXが一瞬安かったせいで…

先日終了したBFセールで、ブームマイクがないAEROPEXが結構安かったんですよね。おっと思ってカートに入れはしたものの、2,3時間後にみたら売り切れて定価に戻っていました。

でもその2,3時間の間にリサーチと検討をしたらかなり買う気になってしまったのです…

まずAEROPEXの骨伝導ユニットは第8世代で、OPENCOMMの第7世代よりも進化しているぽい。具体的には振動と音漏れが軽減されているそうな。Aftershokzは骨伝導と思えないくらいに音質が自然なんですが、音量をあげると物理振動がこめかみにビリビリくるという難点があります。オンライン会議で実用的な音量で聴く分にはほぼ気にならないんですが、たまに大声が来たりあるいは音楽や動画をみて音量があがると気になるといえば気になります。不愉快というほどでもないですがこそばゆい。また音漏れも結構あってOPENCOMM購入時に対面の同居人に聞いている曲をズバリ当てられて以来、ノマドなどで使うのは憚られるなと思い自室専用としていました。その辺りが改善してるのなら俄然興味がわきます。

またブームマイクがないせいか10gほど軽いので、もしかして終日つけていた時の耳の痛みも軽減されるかな?とか、そもそも邪魔に思っていたのでスッキリするな、とか。

一度BFセールで安い値段をみてしまうと定価で買うのが悔しくなってしばらく悩んでたんですが、結局次にはじまった楽天のセールで1,000円差くらいまで下がったので突撃しました。

購入後にまだ終日インタビューをする案件がなく、1時間程度の会議を何回かしただけですが、確かに振動は軽くなってる気がします。完全になくなりはしないですが、骨伝導ヘッドセットつけている感覚が希薄というか。重量差も聞いているのかも知れません。

その他の差は大きくはなく、強いて言えばマグネット充電コネクタの向きと形状が異なっており、AEROPEXは真下、OPENCOMMは真後ろからつける感じ。OPENCOMMの方が卓上において浮き上がらない作りですが、AEROPEXも垂直に生えるわけではないので実用上は大差ないかなと。コネクタ(充電ケーブル)自体は相互運用可能っぽいです(充電ランプは点きますが自己責任で)。

それぞれのマグネット充電ケーブルをつないだ状態のアップ写真をどうぞ↓。

AEROPEX
OPENCOMM

どちらかというと影響が大きいのは音量兼電源ボタンでしょうか。装着時、耳の後ろで手探り操作するワケですが、明らかにOPENCOMMの方が特定が容易です。「こことここにボタンが2つある!」っていうのがはっきり触感でわかります。AEROPEXはまだ慣れていないのもあるかも知れないですが、「ここら辺かな?」と不安げに押す感じ。

■気付いたらエントリーモデルのOPENMOVEも買っていたぜ…

細かい使い勝手や音質に差を感じつつも、Aftershokz全体としては確かな満足感があります。今後の想定としては、仕事部屋用のメインはブームマイクがなく聞く方の音質が良いAEROPEXにし、ブームマイクで音をしっかり拾ってくれそうなOPENCOMMを車載用にする予定。後者はそれほど頻度が高いわけではないのでやや勿体ないですが、最近家庭内Dicodeサーバーを建てて、1人で長距離運転中に音声で雑談したり待ち合わせの相談をしたりすることもあるので、そちらをよりクリアにしたいという動機付けがあります。耳を全く塞がないので通常の片耳イヤホン型ヘッドセットよりも安全なんじゃないかと。

そんなこんなで骨伝導にどっぷりハマっていると、他の場面でもそれ以外の方式は使いたくなくなってきます。階下のリビング、風呂、トイレなど(自分はお風呂はもちろん、お腹こわしやすいのでトイレに長時間こもる際にタブレットを持ち込みます)。2万円するAEROPEXやOPENCOMMはさすがにもったいないですが、エントリーモデルのOPENMOVEなら実質7,000円ほどで買えるのでアリかなと。

特長としては、骨伝導ユニットはOPENCOMMと同じ第7世代。防水も同じIP55(AEROPEXだけIP65)。お風呂でもシャワーを直接かけたりポチャンしなければ問題なさげ。値段が安いので最悪壊れても諦めがつきます。また他の上位モデルと大きく違うのは充電コネクタがUSB Type-Cであること。専用ケーブルが不要なのが良いです。我が家はトイレ内にタブレットやKindleの充電コーナーがあり、当然そこにType-Cケーブルも生えてるので、新たに専用マグネットケーブルを増やさなくても充電運用できます。端子にはキャップがあるのでそれを開いてUSBプラグを差す、という二手間にはなりますが、利用環境によっては専用ケーブル不要ということのメリットが上回ることもあるでしょう。

・メガネerにはOPENMOVEは辛いかも…

さて、なんやかんやで代表的3モデルが揃ってしまったわけですが並べるとこんな感じ。ちなみにカラーは常に黒系をチョイス。オンライン会議やインタビューで髪に紛れて目立たないからです(黒髪でない人はその限りではありませんが)。その観点でもAEROPEXは一番小さく、変に目立つ色をしたボタンもなく、そしてブームマイクがないので一番さりげないかなと思います。

OPENMOVEは耳の部分がチタン化されていない

上位のAEROPEXとOPENCOMMはフレームが「フルチタン」とされています。細い部分にチタン製の芯が入っていてグネグネとしなやかに曲がるので装着感が良いのです。比べてOPENMOVEはコスト削減なのか耳欠け部分がプラ製になっており固定形状となります。ここが地味に装着感に関わってくるようです。特に私のような眼鏡ユーザには影響が大きそう。例えば首を上下に動かした時にうなじ側で押されて耳周りにも圧がかかるのですが、その時に融通が利かないOPENMOVEはズレたり眼鏡と擦れてグググっと異音が鳴ったりします。気にならない人は全然平気かもしれないですが、個人的には眼鏡している方や装着感を気にする方には上位モデルをオススメしたい感じ。少なくとも店頭で装着感を比較してみると吉でしょう(最近ならヨドバシとかにはほぼ展示があります)。

■まとめ

ガチ音楽用ではWM-1000XM4などには及ばないですが、オンライン会議や一般的な動画視聴やポッドキャストくらいなら違和感ないくらいには自然な音質になってきている骨伝導。AfterShokzだけとびぬけてスゴいのか、他社類似品でも進歩してきているのかはわかりません。さまざまな賞ををとっているだけあってAfterShokzが鉄板な気もします。他にも水泳対応完全防水モデル、子供サイズモデル、TV用トランスミッターセットモデルなど、利用場面にあわせたラインナップが豊富なのも特長だと思います。

イヤホンやヘッドフォンの長時間使用でQoLが下がっている方、テレワークで常時待ち受けしながら家事とか他の作業をしたい方などには是非一度使ってみてほしいなと思います。

Macで独立型のWebカメラ背景ぼかし XSplit VCam

オンライン会議で部屋の背景を見られたくないみなさんこんにちは!

私もワークデスクの後ろはすぐ壁なんですが、そこに作業デスクを追加設置してかなりゴチャゴチャしてきているので、ちょっとそのまま見せるのはどうかという感じです。最近のオンライン会議ツール(Zoom/Teams/Meetなど)には当たり前のようにバーチャル背景がついていますが、個人的には品質はイマイチだと思っています。人物と背景の境界線処理が雑。また業務で使うブラウザベースのオンラインインタビューツールなんかだとバーチャル背景のような高級な機能は含まれておらず、そのまま参加してしまうとインタビュー相手はもとより見学にきた多数のクライアントに部屋が丸見えになってしまいます…

そこで私はNVIDIAがリリースしているNVIDIA Broadcastを愛用していました。これは同社のグラフィックボードRTXシリーズ(20×0シリーズと30×0シリーズ)の処理性能を使って背景をボカしたり、フェイストラッキングをしたり、音声面では強力なノイズ除去も利用できるフリーソフトウェアです。これのためにRTX dGPUが搭載されたノートPCに買い換えたほどです。

ところが最近M1Max搭載のMacBook Pro 16′ 2021を購入し、やはり仕事のオンライン会議ツールでそちらも活用したくなります。音声のノイズキャンセルについてはAudio Hijack + Loopbackというツールでほぼ不満は解消されました。

しかし背景交換については良い案がなく、結局ほとんどの場面でWindowsデスクトップを使っていました。

■ハードウェア処理できるOBSBot Meetは来年春まで出ない

まず目に付いたのは超小型のAI人物追跡機能付きWebカメラOBSBot Tinyで有名なOBSBot社のクラウドファンディング中の新型OBSBot Meetがあります。

(ちなみにOBSBot Tinyは最近手に入れてとても良いカンジなので近々改めてレビューしたいと思います。)

OBSBot Meetはカメラ内でAI処理をして背景を消したりボカしたりできるという触れ込みで、PC/Macにはボカし済みの映像が最初から届くので、専用ソフトのインストールもいらないし画像処理の負荷がないのが特長です。しかし今予約しても届くのは来年2022年の3月。クラウドファンディングとはいえ海外購入したものが、将来的に国内代理店でサポートが受けられるのかも不透明。故障時に本国送りとかになるくらいなら多少高くても国内販売後でもいいかと思ってしまいます。

■そこでXSplit VCamですよ

もうハードでもソフトでもいいからウェブ会議ソフトから独立して仮想カメラとして機能する背景交換ツールがないのかなぁ。そうWindowsでいうXSplit VCamみたいな…などと調べていたところ、当のVCamが今年8月にMac対応していたことを知りました。M1対応については明記がないですが、アクティビティモニターでみると種類が「Apple」になってるのでM1(Appleシリコン)対応済みのようです。

なんだよはやく言ってくれよ!XSplitはOBS Studioの競合となる配信ソフトXSplit Broadcasterなどで有名なところで映像処理技術には定評があります。国内ではソースネクストがパッケージ版、ダウンロード版ともに販売していますが、Mac版はまだないっぽいです。Mac版が必要な人はXSplit公式サイトから購入しましょう。

公式の購入ページ(投稿時点)

こんな感じの画面になるんじゃないでしょうか。英語なので簡単に説明します。Vcamは一番左のグリーンのところです。隣のPresenter、Broadcasterは別のソフトなので今回は関係ありません。ただしこれらも抱き合わせしたセットに興味ある場合は一番右のPremium Bundleもチェックしてみると良いでしょう。

Premiumというのが背景ぼかしを含む有料版機能が使えるバージョンなので、今回気にすべきはこのVCam Premiumということになります。

上のLicense Duration(ライセンス期間)のバーで1ヶ月、3ヶ月、12ヶ月のサブスクかLifetime(買い切り)が選べます。12ヶ月が$30、買い切りが倍の$60だったので買い切りにしてしまいました。有料機能を試用したい場合は1ヶ月$8をとりあえず買ってみるのもアリかも知れませんね。

使ってみた

試した感触は上々です。精度面ではNVIDIA Broadcasterと同等レベルと言えるんじゃないかと思います。髪の毛のふちが多少誤爆したりはしますがZoomやTeamsの内蔵機能よりは明らかに上です。手を素早く振っても多少指が欠けたりしますが通常のオンライン会議でそんなことしないので問題ないかなと。遅延は皆無ではないですがオンライン会議なら問題ないかなと。OBS Studioに貼ってみた感じサイズは1280×720までのようです。

機能としては、以下のものを背景に指定でき、そのボカシ量をスライダーで100段階で選ぶことができます。

  • オリジナル(カメラ映像のまま。これにぼかしをかければ背景ぼかしに)
  • 消去(真っ黒)
  • 静止画、動画などローカルのメディアファイル
  • Youtube動画
  • Webページ
  • Unsplashの写真

Youtube動画やWebページを背景にできるのは面白いですね。Unsplashは動画素材サイトのようです。

まあウォーターマーク(透かし)画像を入れられたり、背景映像の明るさコントラスト、サイズなどの調整もできます(「オリジナル」のカメラ映像の背景を独立で調整することはできません)。

更に凝ったことをしたい時は、OBS Studioにいれてそちらで加工するのがいいかなと思います。「消去」を使って黒背景にすると黒髪の日本人だと上手くぬけないので、緑一色(OBSのクロマキーフィルターのデフォルト値に合わせるなら#00ff00)の画像を作って背景にしておくのが良いです。で、OBSで映像ソースに「クロマキー」フィルターを適用すれば綺麗に背景が透明になるので、あとは他の画像を重ねたりサイズを変更したりはし放題です。二重に仮想カメラを通るので遅延は多少ありますが、少なくともM1MaxのMacBook Proなら「気にしてみれば」程度かなと思います。

ひとつ惜しいのはボカシがいまいち綺麗ではないという点。写真は標準の部屋の背景(右側中断)を選択し、ぼかし強度を38にした状態。

なんだか縦横に縞のような模様が目立って気になります。元画像に直線要素があるとそれがやたらと強調される感じ。NVIDIA Broadcastでは気になったことがないので、ブラー処理のアルゴリズムの違いなのかな?と思います。後ろに本棚やキャビネットがあるような環境だと少しうるさく感じるかも知れません。実際ウチの背景ともちょっと相性が悪くて残念です。いっそ背景を写真でとってPhotoshopで綺麗なボケ加工をしたものを静止画として合成しようかな(笑)。

■まとめ

ともあれ現状ググって見付かる唯一、Macで独立型、高画質の背景交換ツールかなと思います。ちなみに往年のChromaCamもM1対応済みだったので試してみましたが数年前から進歩が見られず、切り抜き精度などはZoomなど以下という感じで速攻アンインストールしました。

ようやくこれでMacもオンライン会議案件でバリバリ活用できそうです。

NVIDIA BroadcastのないMacでもWeb会議にノイズキャンセルを使いたい

M1MaxのMacBook Proを導入し、自宅デスクトップとしても当面はメインに使うことになりそうなわけです。今のご時世大抵のサービスはWinows/Mac両対応でほぼ問題ないのですが、悩ましいのがWeb会議で活用しまくっていたNVIDIA Broadcastです。NVIDIAのグラフィックボードRTXシリーズのコンピューティングパワーを活かして音声ノイズキャンセルやWebカメラの背景ぼかし処理、オートフレーミング処理などを行ってくれる仮想デバイスツールです。こればっかりは将来に渡ってMac版が提供されることはなさそう。UT実査などでWireless Go2をなどダイナミックマイク系の特性(近くの大きな音だけ拾う)のマイクを使う時はまぁなくてもいいかなと思いますが、自宅のコンデンサマイクはエアコンなどの微細なノイズも拾いまくってしまうので、なんらかのノイズ除去が必要です(ダイナミックマイクをカメラの画角に入ってしまうような口元にマイクスタンドで持ってくるのは避けたい)。これにはNVIDIA Broadcastがうってつけだったのですが、、

■札束で殴る方法は自重

以前から気になっていたのはUNIVERSAL AUDIO(以下UA)のオーディオI/FにC Suite C-Vox Noise & Ambient Reduction(以下C-Vox)プラグインを組み合わせる方法。UA社のオーディオI/FはDSP搭載で各種フィルターをハードウェア処理でかけることができる特長をもっています。そのひとつに超強力なノイズ軽減フィルターであるC-Voxがあります。ほぼ遅延なしで声を削ることなく綺麗にノイズを消せるらしいし、PC側に処理負荷もかからないので良さげなんですが、なにせハードが最低でも数万、C-Voxプラグインが$349もするのでうっかりすると10万円コースです。なかなか日本でのレビューもなく、ちょっとギャンブルでもあるのでなかなか特攻もしづらい。しかも今回はMac本体に多額の出費をしたばかりなのでさすがに自重。

UAのApolloシリーズは値段でDSPコア数が違うんですが、C-Voxをきっちり動かすのに何コアあればいいのかとかも公式サイトみてもよくわからず。基本1つのプラグインは1つのDSPコアがあれば動くんでしょうかね?

■ソフトの力でなんとかしてみる

Audio Hijack

そこで見つけたのがRogue Amoeba社(読めない)のAudio Hijackとうソフトウェア製品です。Web会議用ツールではなく、どちらかといえばソフトウエア・オーディオミキサー?エフェクター?兼レコーダーという感じ。様々な入力ソースはアプリの出力音声に色々なエフェクトをかけて録音したり、別デバイスに出力したりできます。この中に学習型のノイズ低減フィルターが入っており、最大3秒のノイズサンプルを覚えさせることで同種の音を消してくれます。ざっと試した感じノイズ以外の音声の劣化は少なそう。グラフィカルなUIでエフェクターブロックをつないでいく形で構成を作っていきます。エフェクターをかけるごとに遅延は伸びていきますが、低遅延モード(処理が追いつかないと音が飛ぶらしい)にしてNCと音量調整をかける程度ならWeb会議には充分でした(M1 Maxだしというのもあるかも?)。また途中の好きな時点のレコーダーブロックを挿入できるので、例えばエフェクトをかける前の生音をバックアップで録画しておくということがOBSで無駄にソースを増やして例のチェック間違えるとエラいことになるミキサー設定でやりくりしなくて済みます。音声もOBSのマルチトラックで録ってしまうとバックアップトラックが含まれた動画ファイルになってしまい、即渡しには不便になってしまいます。そういう時に万一のバックアップ録音はAudio Hijack側で録っておきつつ完成トラックだけをOBSに渡す、みたいな使い方もできるかなと。NC学習は一瞬ですが毎回環境がかわるような使い方だと地味にひと手間あるかも知れません。でもまぁそれで精度が上がるのならむしろアリかなと(現時点では)思っています。例えば空調音だけでなく打鍵音も除去したければ3秒の学習中にキーをガチャガチャしてやればキーも割と消えます。NVIDIA Broadcastは問答無用で人間の声以外の全てを除去するので、手を叩いたりスイッチを押す音がなくなって場合によっては映像とあわないなんてこともありました。そう考えると、「この音を消せ」とその場で教え込めるのは過不足なくていいのかも知れません。ちなみにグライコやハイパスフィルターなどは普通に揃っているので少し組み合わせてみましたが、結局とNCとボリューム調整だけでいいかなという印象。重ねると遅延も出やすくなりますし。ただDeEsser(サ行の音の余計な成分を消す)があると良かったなと思います(ざっとみて見付からなかっただけで同等のフィルターはあるかも)。

LoopBack

ただしAudio Hijack単体ではエフェクトをかけた後の音声を他ソフトからみた音声入力(仮想マイクデバイス)にアサインすることはできず、更に別のツールを組み合わせる必要があります。同じRogue Amoeba社からはLoopBackというツールが出ています(有償)。フリー昔だとBlackholeというのがメジャーっぽいです。オープンソースでM1にも対応済みだとか。今回はAudio Hijackとバンドル購入ができ、同じソフトハウス同士相性問題もまずないだろうということで安全牌としてLoopBackにしておきました。こういった仮想デバイスなどハードウェアやOSに密接に絡むツールはOSのセキュリティの仕組みが変わるごとに互換性の問題が出たりするので、きちんとサポートが継続されそうなところがいいかなと。実際、インストール手順は少し面倒です。Audio HijackとLoopBackは共通のドライバーレイヤーがACEとかいう名前で独立していて、M1のMacの場合インストールするにはリカバリーモードで起動してセキュリティレベルを落とす(サードパーティの署名付きドライバーを許可する)設定変更が必要になります。こちら英語画面ながらスクリーンキャプチャ付きの紙芝居形式で説明がありわかりやすかった気がします。

Audio Hijackが$65、LoopBackが$109(前者の方が多機能で高そうなイメージあるけど)で、セットで買うと割引きが効いて$143でした。安くはないですが、M1Max買った勢いで少し金銭感覚麻痺してる中で特攻してしまいました。

オススメは一旦Audio HijackをBlackholeで試用してみて不都合なさろうならAudio Hijackのみ購入、ダメならLoopBackとセット購入、という感じですかね。

■カメラの背景ぼかしとフレームトラッキングはどうしよう?

背景ボカシは質を問わなければまぁZoomにもTeams、Meetなどにも一応機能はありますね。ただ個人的にはあの品質はちと許しがたい。こちらもハード製品として気になっているのはOBSBot社のMeet 4K。ソフト処理より綺麗に人物抜き、フレームトラッキングができるようです。カメラのセンサーも今使っているLogicool Brioよりも大きいので画質も良さげ。現在クラウドファンディングで先行予約受付中。ここで安く買うか、日本代理店での発売を待って買うか悩ましいところですが、いずれにせよ最短で来年初頭です…既製モデルをみると日本の代理店は並行輸入品はサポート対象外のようなので、後のことを考えると国内販売を待つ方がいいのかも知れません。

あとはATEM MINI Proでキッチリとグリーンバック用意してガチでクロマキー合成するかとかですね。これ買うか、、、

ZOOM F6を使ってPC音をループバックでオンライン会議に流す設定メモ

ZOOM F6で出来るとは思ってたけどあんまり真面目に設定を確認していなかったループバック設定について確認。

ループバック(録音)とは、PCの音をミキサーに入れ、マイクの音とミックスしてPCに戻すということ。どんな時に使うかというと、ゲーム実況などでゲームの音と実況者のマイク音声とを重ねて配信側に流したい場合などです。通常、配信ソフトや録画ソフトは入力デバイス(マイク、ライン入力等)からの音声を選択できますが、出力デバイス(スピーカー、ヘッドフォン等)は選べません。役割(方向)が違います。そこで一旦PCの外の機器に出力して、その機器がそれをそっくりそのまま出力したのをPCが入力する、という手順を踏みます。また配信/録画ソフトが単一の入力デバイスしか選べない場合(ZoomとかTeamsなどのウェブ会議ツールなど)、その機器にPCからの音とマイクからの音を両方入れて、音量バランス調整した上でミックスしてPCに戻すということも必要になります。これをしてくれるのがオーディオインターフェイス(以下オーディオI/F)機器(のミキサー機能、ループバック機能)というわけです。ちなみにこれらを外部機器なしに行えるソフトウェアも存在はします。それでもより高品質、安定性、また物理ツマミやフェーダーでの直観的な音量調節操作などを好んで、外部オーディオI/Fが好まれる傾向がある感じです。

さて、昨年導入したZOOM F6というフィールドレコーダー、32bit float録音で音割れしないというのが売りでそれを目的でのチョイスでしたが、オーディオI/Fとして機能し、ループバック機能もついています。

普段はこのオーディオI/FモードでXLRのガンマイクの音をPCに入れてウェブ会議のマイクソースとして使っています。先日そこで動画ファイルを再生する必要があり、その時の音声(つまりWindowsのシステム音声)が相手に聞こえない問題が発生したので、改めてループバック機能をきちんと理解して使えるようにしておこうと思った次第です。ちなみにTeamsは画面共有時にはシステム音声を流す設定があり、その時はわざわざ会議の場をTeamsに切り替えてもらい凌ぎました。

(国産のレコーダーメーカーZOOMと海外のウェブ会議システムZoomは全く無関係な別モノです、本記事では前者を大文字ZOOM、後者をスネークケースZoomで書き分けます)

■ZOOM F6によるループバック機能の使い方

ループバックというまんまの機能/設定項目があるので、それをONにするだけなんですが、色々と付帯条件があったり音量調節の仕方などをまとめておきます。

まずループバックはUSBオーディオI/Fのいくつかあるモードのうち、「ステレオミックスモード」のみで利用できます。これは文字通り全トラックをステレオ1トラック(2ch)にミックスした音を入出力する(2IN/2OUT)モードです。6IN/4OUTのマルチトラックモードやオーディオI/Fと本体録音を同時に使用する「AIF with REC」は使えないので注意が必要です。

ステレオミックスモードの起動方法

  • システム->USB->オーディオI/F->ステレオミックス(PC/Mac)

ループバックの有効化

ステレオミックスモードが起動しPC/Macとつながっている状態で、メニューを開くと「ループバック」というまんまの項目があるので、これをオンにすればOK。最後のON/OFF状態を記憶しているようなので注意が必要です。意図せずONになっていると、他の話者の音声がミックスされてしまったり、内職でみていたYoutubeの音声が流れたりします(笑)。必要な時だけONにし、終わったらOFFを心がけるのが良いと思います。

PCの音をZOOM F6に送る

OSが認識している出力デバイスのうち、「ZOOM H & F Series Audio」を選べばOK。アプリ毎に選択できることもありますし、なければOS側のデフォルト出力デバイスで選択します。これをすると動画/ゲームの音はZOOM F6に送られPCのスピーカーやヘッドフォンからは出なくなります。F6にヘッドフォンなどをつないでモニターします。F6からPCにループバック(リターン)する音は動画/ゲーム音とマイク音がミックスされたものになりますが、ヘッドフォンにマイク音(自分の声)を入れるかどうかは設定で変えられます。

出力設定->ヘッドフォン出力->ルーティングで当該マイクchをプリ(青)またはポスト(赤)でチェックするようにすればマイク音がヘッドフォンからPC音に混ざって聞こえます。PC音が大きくで自分の声が聞こえないような時にはマイク音もモニターできるようにした方がよさげな気がします。プリとポストの違いは各種エフェクトやフェーダーを通る前の音か通った後の音かってことで、ここでは聞きやすい方で良いでしょう。実際の配信される音に近い状態で聞きたければポストの方がいいかも知れません。ちなみにここで「Line」がOFFでもヘッドフォンには常にPC音が聞こえます。ちょっとこの辺の仕組みがよくわからないです。ONにすると少し音量がかわる気はします(重なって大きくなる?)が、OFFにはできませんでした。ループバック中のPC音は無条件で一定の音量でヘッドフォンには流れるようです。

同時に注意したいのは、ZoomやTeamsの出力デバイスをこれにしないことです。動画やゲームの音と一緒に他の参加者の声がミックスされ、それがまた会議に逆流してしまいます。Zoom/Teams上でデフォルトデバイスを選ばず、個別に他のスピーカーやヘッドフォンを選択しておきます。マルチトラックモードならこれらの音も独立トラックとして扱えそうなものですが、残念ながらWindowsではドライバが特殊なものになる為、そもそもZoomやTeams側で指定することからしてできなそうです。

音量調節

レベルメーター画面でみると右端の「LINE」の2chに音が入ってピコピコ動きます。しかし本体前面のツマミはマイク1~6の分しかないので直接操作をすることはできません。空いているチャンネルを入力設定->PFLでソースを割り当て直そうとしたり、LINEの音量をいじったりしてみましたがかわらず。PCのループバック音量は調整できないので、PC側の音量操作で調整するしかなさげ、というのが結論です。ちょいと不便だなと思います。単体のオーディオI/F&ミキサー専用機なら個別にフェーダーがあって調節できるのかなと。

ともあれ、PC音はOS上での音量設定のまま相手方にも聞こえると理解しておきます。それに対するマイク音のバランスをツマミで調節したり、それでも小さい時は

入力設定->PFL->(該当マイクインプット番号)->トリム

で調整するしかなさそう。またヘッドフォンに出る音量は本体右側のヘッドフォン音量ダイヤルで調整するという感じでしょうか。PC音に釣られて大きな声を出してしまいそうな場合は、当該マイクのリミッターもセットしておくと良いかも知れません。

RTX Broadcastなどノイズキャンセルツールとの併用に注意

入力された音声をRTX BroadcastやKrispのようなNCソフトに入れてその出力をZoom/Teamsにいれたりしている際は注意が必要です。これらのツールが音楽な効果音などをノイズとみなして消し去ってしまうからです。動画やゲーム音を流すときはNCはバイパスするようデバイス経路を変更するかNC効果を最弱にしたりOFFにするのをお忘れ無く!

■まとめ

一応ループバックできて目的は果たせましたが使い勝手としてはイマイチな気がします。そこはやはり専用のオーディオI/F & ミキサーには適わないというところでしょうか。私が完全に理解できてないだけで他のやり方もあるのかも知れませんが、F6はガチプロしか使っていないのか、こういう細かい具体的な使用方法はマニュアルにもあまり載っていないし、紹介しているブログも見つからないんですよね…

またAIF with RECモードではループバックが使えないので、このままF6側でバックアップ録音したりもできないのが残念。

いずれ使用する機会が増えそうなら専用機の導入も検討したいと思います。