アルミ名刺入れにレーザ加工で名入れしてみた

xTool F2は出力が上がり金属へのレーザーマーキングがより綺麗になったようなので、アリエクからアルミの名刺入れを買ってロゴを入れてみました。

結果、かなりいい感じに仕上がりました。表面の塗装を削って地のシルバーを出す感じです。

ブラックとブルー
アップ

ベクターデータなら輪郭も滑らかに出ますね(300dpi)。

せっかくなのでカスタムオーダーを受けられるよう商品エントリーを作っておきました。小ロットでも対応いたしますのでお気軽にご相談ください。

こちらで注文できます

[レーザー名入れ] アルミ名刺ケース(1点でもOK)

[レーザー名入れ] アルミ名刺ケース(1点でもOK)

参考価格: ¥2,500(別途消費税、送料がかかります)

在庫: あり

両面同時照射できるレジン硬化用UVランプ導入

3Dプリント品の一部に透明レジンで内部基板のLEDランプ用窓をつけるんですが、レジンを硬化させる紫外線を当てるのに使うUVライトが小さくて不便なので、いくつかのパーツを同時に処理できるよう大きめのものを購入しました。

元々使っていたのはこういうやつ。スタンドを立てて造型物の上から照射するタイプ。

バッテリーなどをなくUSB給電するタイプ。これの難点は

  • 上側からしか照射できない
  • オートタイマーが固定ですぐ切れる

でした。ネイルライトなので上から当てるだけなのは当然だし、サイズ的にも人差し指から小指が並んで入るくらいというデザイン意図なんでしょう。目的にあったデザインですが、ウチでの用途はいまいちでした。すぐ消えてしまうので、念のため念のためと何度か連続照射したりもしていました。

次に買ったのがセリアで見つけたUSBポート直挿しのこちら。

https://grapee.jp/1048166

USB給電している限り照射を続けてくれるし、フレキシブルなので照射距離をギリギリまで詰められて良かったですが、これも透過レンズ的にな工作だと途中でひっくり返して反対側の照射もしないといけないのが不便でした。コンセント(USB充電器)から直接生やすのも割と取り回しが悪かったり(モバイルバッテリーを使っていました)。

そこで、

  • 裏表(上下)両側から同時照射できる
  • ある程度庫内が広くて複数部品をまとめて処理できる
  • タイマーが長い
  • USBはType-Cポート

というのにしようということでこちらを購入。

これ実は上下が同じパーツでマグネットで合体して、間に透明プラ板(アクリル?)をセットし、その上に造型物を載せるという仕組みです。上下パーツは全く同じもので給電ポートも操作ボタンもディスプレイもついています。合体部がポゴピンみたいな接点になっていて上下照射時は両方に給電しなくても上側にだけUSBケーブルをつなげば下側も通電する仕組みです。常時このスタイルで使うなら下側に無駄なパーツも多いなという気がしますがこの値段なら別によいか(ちなみにこの値段でUSBケーブルどころか充電器まで付属しています)。操作ボタンは1つだけで、押すたびに照射時間が120秒、180秒、300秒とセットされ、ディスプレイでカウントダウンが進んでいきます。気分的にはもう少し長い時間連続照射できると安心ですが、そもそも極小部品(1,2mm^2)しか今のところ使わないので充分かも知れません。

気になるといえばバラバラになって中心の透明板も外れてしまうので保管しづらさはあるかな。丁寧に箱に戻して仕舞うならいいんですが。いっそ上下と板を固定してしまおうか思案中。

xTool F2ファーストインプレ(F1をリプレイス)

新しいレーザー加工機xTool F2が届きました。F1を一ヶ月ほど使った経験も踏まえて簡単にレビューしてみようと思います。

買い換え経緯はこちら。

F2が予約解禁の翌日発送連絡が来まして、2台並べるスペースはないのでその日のうちに返品のため梱包。なので同時比較はできません。

梱包面で違ったのはF1は段ボールの中にさらにカラー印刷された化粧ボックスがあったのに対し、F2は段ボールの中はすぐに梱包材という感じ。付属品箱もF1は本体色にあわせたであろう鮮やかなグリーンでしたが、F2は段ボール色。ギリギリまでコストを削って価格を揃えたのかなという印象。

サイズは少しだけ違うようですが感覚としては同じでそっくり入れ替えという感じ。端子類のレイアウトも同じなので最低限の時間で設営できました。

スマホから使えない?

2025.11.10現在、スマホアプリのxTool Creative Space Mobileで認識されません。バージョンは2.2.0で10ヶ月前に更新されたきりなのでF2のプロファイルを持ってないと思われます。他PCからWi-Fi設定を済ませてIPアドレスを直打ちしてもエラーになります。最近PCツールもxTool Creative SpaceからxTool Studioにリニューアルされたようなので、モバイル版もいずれxTool Studio Mobileみたいなのがリリースされるのかな?このまま廃止ってことは、、、

正直モバイルアプリは使ってなかったのでそれほど困ってないですが、PCと本体設置場所が離れている関係で、F1のセットアップはスマホで済ませたんですが、今回はそれができずに、MacBook Proを本体近くまでもっていき一時的にUSBケーブルをつないでWi-Fi設定する必要がありました。

プラスチック(3Dプリント品)加工では出力/速度の恩恵は控えめ

自分の用途は主に3Dプリンターで作った造型物にマーキングをすること。

その意味では、4,000mm/s→6,000mm/sの高速化とレーザー出力の強化は今のところ恩恵は感じないです。5~6,000mm/sの速度域だと早すぎてほぼ色が付きません。また出力も30~60%位が一番オイシイ領域な気がします。それを複数パス繰り返すのが一番綺麗に出るかなという感じです。ただこれは黒いフィラメントに対して白化で色を出す時の話で、もともとあまり上手くいってなかった白いフィラメントに濃い色を出す方は未検証です。もしかすると出力を上げることで改善できるかなとは思っています。

カメラが超絶便利!

我が家ではPCと加工機本体の設置場所が2mほど離れておりWi-Fi経由で接続しています。なので、本体の側にいってレーザープレビューを確認したりスタートボタンを押すのが微妙に手間でした(運動にはなる)。

それが今回F2にカメラが搭載されたことで、xTool Studio上で位置あわせをできるようになり、最終的にスタートボタンを押す時だけ本体前に行けばよくなりました。この価値はプライスレスです。

例えばこんな文字をマーキングをするとします(水色線は位置あわせだけで刻印したいのは文字のみ)。

従来のレーザーによるプレビュー

これまでは弱い出力のブルーレーザーを出して位置確認をしていました。描画方法としては、

  • 長方形:すべての描画オブジェクトを囲う長方形のエリアをプレビュー
  • 輪郭:個々のオブジェクトの外形を描くプレビュー

もちろん輪郭の方が正確に位置が確認できるのですが、レーザーの軌跡が長くなるため一周する時間がかかり、肉眼でみると途切れ途切れで見づらいのが難点でした(写真ではシャッタスピードを落として露光しています)。

そこに今回から「ポリゴン」というのが加わりました。つまり多角形で外見を描画する形です。2つの中間のモードという位置づけじゃないでしょうか。写真では下の形状がシンプルなので長方形とあまり違いがないですが、右端がAの文字に沿って斜めになっているのがわかります。もしかすると今後これをデフォルトにするかも知れません。

長方形モード
輪郭モード
ポリゴン(多角形)モード

ただ、F2ではそもそもこのレーザーを使ったプレビューを使う機会はあまりなくなるかも知れません。レンズに隣接するカメラが搭載され、xTool Studio上で位置あわせできるようになったからです。その様子がこちら。

もはや位置あわせの線すら不要で、オッサンUI屋風にいうとWYSIWYG(What You See is What You Get)です。この状態でオブジェクトを位置調整してスタートすれば良いのです。歴史が一歩動いたという感じ(上位機種には以前から搭載されてましたが)。一時F1を使ったおかげでこの有り難みをひしひしと感じることができます。

バッチフィルが神

カメラを搭載した恩恵はそれだけではありません。これも上位機種には既に実装済みではありましたが、バッチフィルという量産に有用な機能が使えるようになりました。素材を無造作に並べてもAIが認識してくれて同じ加工を施すための位置決めをしてくれるというものです。

プレートに同じ造型物を3つ置いて、1つだけ彫刻オブジェクト(テキスト)を位置あわせします。適当に置いたので微妙にナナメっているのがポイントです。テキストも1.5°反時計回りに回転しています。

アプリケーションメニュー(左サイドバーの下から3つ目)から「バッチフィル」を選択します。(Network required)となっているので、認識処理はクラウドで行うようです。

結果はこう。残りの2つにも傾きも含めていい感じに彫刻オブジェクトをコピーしてくれました。感動。フリーダムガンダムのマルチロックオンみたいで燃えますねw。

信頼性はこれから検証ですが、おおまかに合わせてくれるだけでも大助かりだと思います。L字位置あわせ治具を使って1つ1つ加工していくのが基本でしたが、複数個を一度に加工できるのも便利。スライドエクステンションでも使えるはずなので、さらに大量の一斉加工もできそう。ただ最初に一個は手動位置あわせが必要なので、本当に同一品を機械的に量産するのであれば、3Dプリンターなどでパレットを作って完全固定配置してデータも固定で造形する方がもしかしたら効率的かなとは思います。

あとカメラ撮影用に照明が装備されたのも地味に嬉しいかも。

一緒にボタンスイッチも購入

公式ストアで注文するついでに、気になっていたボタンスイッチ(xTool F1/F2 Button Switch)も購入しました。F1/F2では本体右側面の上奥にあるボタンで加工スタートや再実行を行います。スタートは1回、同じ内容の再実行は2回押します。これが場所が奥にあるので手を伸ばすのが面倒だったり、さらに本体の高さが高いのでテコの原理で本体が倒れそうになったりして地味に不便でした。

xToolはそれを見越して業務などで盛々加工するユーザ向けにリモート操作のボタンと足踏みペダルを用意しています。我が家の場合、床面にいい場所はなかったのでボタンをチョイス。有線式でケーブルが本体脇を通るとスライドエクステンションやロータリーユニットを脱着する時に邪魔になるなと思って、ラックの下を通して設定。これ実際にはケーブルが背面から生える形になりますが前後逆向きでの設置になりました。キートップが普通のMX互換ステムで刺さってるだけならキーだけ前後逆にはできるかも知れません。→できました(写真は反転前)

たかだかUSB-Cケーブルが生えたキー1つのユニットで4,100円はなぁと躊躇しましたが、はやり雑に二度押しなどしても本体を揺らさない安心感はアリだなと思います。必要かどうかはさておき、塗装など質感は高いです。

まとめ

F1を買って1ヶ月でF2が発表になってしまいますがxTool社の神対応で返品&買い直しができました。

カメラ機能はとても便利で非常に満足しています。これから買うならF2をお勧めします。IRが不要な場合だけF1 Liteと悩む、という感じじゃないでしょうか。

一方で、既にF1をお持ちでしたら、ことプラスチック加工に限っていえば実効的な性能差は小さく、量産効率はパレットを作るなどの工夫で埋められるしなぁ、という気もします。特にPCと本体を隣接して設置していればそこまでカメラ必須でもないかもは知れません。

xTool F1を買って1ヶ月でF2が出たorz→買い換えた

レーザ加工機xTool F1を2025年10月4日に注文し7日に届きました。3Dプリント品へのマーキングも、白フィラメントで苦戦しているものの、当初の目的だったことはできていた満足していました。

が、同月中旬、なんと後継モデルのF2が発表されてしました…

ほぼ同じ筐体サイズながら、F1と比べると

  • ブルーレーザー15W、赤外線レーザー5Wに強化(F1は10W/2W)
  • プレビュー(位置あわせ)用の50MPカメラ搭載
  • 最大速度6,000mm/sに高速化(F1は4,000mm/s)
  • オートフォーカス搭載
  • Wi-Fi / USB / IP接続(F1はWi-Fi / USB)

といった進化を遂げました。IP接続ってなんだろ?Wi-Fiと違うんですかね?

出力が上がったことで金属によくくっきりマーキングができるというか、黒色マーキングができる的なことが書かれています。できることが増えるのはありがたい。

また地味に大きいのがカメラの搭載。いまは青色のレーザーがプレビューとして照射されて、それをみて刻印対象物をズラして刻印範囲を合わせます。設置の都合上、PCとF1本体を数歩離れたところにおいてるので、この微調整に何度も往復するのが面倒だったんですが、おそらくxTool Studio上でカメラ映像をみて刻印箇所を合わせられるのでかなり効率化されるはず。安全上最後のスタートボタンは本体まで押しに行かないとならないのは一緒でしょうけど。F1/2 Ultraみたいにスライドエクステンション上に無造作に並べた材料を自動ロックオンして位置あわせするフリーダムガンダムみたいな機能はどうもなさそうですが、手動で位置あわせできるだけもありがたい。

あとエンクロージャーのカラーがグリーンからオレンジに。個人的にはどちらも好きですが、隣の3Dプリンター周りにオレンジのパーツが多いので並べた時にまとまりはいいかなとか。

定価基準だとほぼ同水準で、久しぶりに「やっちまった~」となりました。F1が出てから随分経ってること、上位モデルのUltra系ではF2 Ultraが出ていたことも認識はしてましたが、F1が代替わりするとは何故かまったく思いもしてませんでした。

が、しかしF2の予告ページをみているとFAQに以下の項目が。

FAQをみただけなのに「ご要望を申し伝えました。担当者より追ってご連絡いたします。」というのもおかしい日本語ですが、待ってれば最近買った人になんらかのアップグレードオファーが届くかのように見えます。ただ待ちきれないので記載のメールアドレスに問い合わせをしてみたところ、購入1ヶ月以内なら返品できるからF2買い直してくれ、という返信が!この時点で10月27日。ギリギリセーフです。発表があと1週間ほど遅かったらアウトだったかも知れません。これが特別オファーなのか、もともと海外企業なので一ヶ月以内の返品は普通なのかはわかりませんが、個人的には神対応と言わざるを得ません。

しかも、当初「一ヶ月以内に返送」と言われてたんですが、「F2の発送日がいつかわからないので、できるだけ一ヶ月ギリギリまで待って返送するよ」と返したら「できるだけ使用不可能期間を短くしたいというご要望をマネージャーに伝えまして、F2到着後の返送で良いと了承を取りました」的な返信が!そこまでお願いしたつもりはなかったのにシゴデキなオペレーターさんです。

なお、自分はAmazonのxTool公式ストアでF1本体+空気清浄機+スライドエクステンション+ロータリーユニット(RA2 Pro)のセットを買っており、

  • F2も同様のセットがあるのか、あるなら価格は?
  • 同等品なら梱包面倒くさいのでF1本体だけ返してF2本体だけ購入したいが可能か?可能なら価格は?

といったこともサイト記載前に丁寧に返信してくれました。結果的にF1本体のみの返品で、F2の発売記念クーポンなども組み合わせて4,5万の追い金となりました。素材キットも一部使ってたけど返品不要とのこと。ただF2ではロータリーユニットは新型のRA3も対応したらしく、そこも可能なら交換したいなと思ったんですが、まぁ値段も結構違うしそこまで使うかというと微妙なので、RA2 Proに傾斜やレーザー照射装置を追加するアップグレードキットだけ追加注文することにしました。

■注文受け付け開始日

事前に3,000円の内金をしておくと30,000円引きクーポンになるというキャンペーンをやっていたので、もちろん事前に購入。本予約は11月6日の午前11時開始とのことで首を長くして待ちました。時間にサイトを訪れると注文可能にはなっているものの、30,000円引きクーポンの適用方法がわからず。注文ページには18台まで翌日発送、それ以降は11月20日になると記載があり、しかもカートページでは残り4台みたいなことも出ていて焦りました。

結局、メールをみたら3,000円クーポン購入者にリンクが届いており、そこから辿ると無事30,000円OFFが適用されました。三井住友カードの不審購入ブロックにひっかかったりしてさらにワチャワチャしましたが、どうにか注文完了。その後でもう一度カートに入れて見たら「残り3台」となっていたので、多分初回発送分を確保できたと思いたい。さすがに新型iPhoneみたいな勢いで売れるものではないでしょうけど、わりとギリギリだったかも知れません。

発送連絡が来たらすぐにF1を梱包して返品手続きをしたいと思います。

■まとめ

一大決心して買ったF1が一ヶ月足らずで後継モデル発表となりうなだれかけましたが、神対応で救われました。今ストアの表記をみると14日返品OKとなっているので、30日以内というのはF1を買ったばかりの人向けの特別対応みたいですね。マジで有り難い。

xToolは国内代理店がなくサポートに不安や遅延があると某動画で言われてましたが、実際にやりとりしてみると担当者は英語っぽい名前ですが翌日には日本語で返信が来て非常に満足のいくサポートでした。格安機種にしなくて良かったなと思います。

ただ今回はAmazonでセットを購入したうちの一部返品になるのでAmazonを経由せずに直接返送した方が話が早いとなって返送先が送られてきたんですが、なにやら個人名+gmailアドレスになってたのがあやしげっちゃあやしげw。ストリートビューでみると倉庫っぽい建物ではありますが。やはり正規拠点はなくて委託みたいな形なのかも知れません。まぁきちんと対応してもらえるなら気にしなくて良いでしょう。今後修理とかの必要ができた時に、そこで対応するのか、本国を往復するのかは気になるところです。入らなかったけど保証サポートに加入してたら新品交換とかになったり?

HT PLAの耐熱テストを実施

コンシューマー向け3Dプリンターでもっとも使われる素材はPLAでしょう。安価で難しい調整なしに綺麗に造形でき、カラバリも豊富で使いやすい材料ですが、比較的低温でも造形できるということは溶ける温度が低いということで、造形後も高温になると変形してしまうということになります。形状や荷重状況にもよりますが多くのPLAでは概ね50~60°くらいで変形してしまいます。

今回はそんなPLAなのに150℃まで耐熱性があるとされるPolimaker HT-PLA(耐熱PLA)を入手したので、オーブンで実際に熱を加えて変形しないのかテストしました。

検証に使ったモデルは当ブログ/ショップの人気アイテムのこちら。

こちらで注文できます

TOYOTA新型クラウン/80ハリアー向けスペアホール→タイプDスイッチアダプター

TOYOTA新型クラウン/80ハリアー向けスペアホール→タイプDスイッチアダプター

参考価格: ¥1,800(別途消費税、送料がかかります)

在庫: あり

自動車内で使うパーツなので、炎天下の車内でも変形しないよう配慮して割高なBambuLab純正のASA-CFという材料を使用して販売しています。炭素繊維が混ぜ込んであり軽量で精度の高い造形が可能で、耐熱性能は110℃までとされています。難点として、

  • 単価が高い
  • 造形に必要な温度が高めなので加熱時間や電気代も嵩む
  • 使用前に8時間の乾燥が推奨されている
  • 表面がややカサカサした質感(実際には付かないが指に粉がつきそうな手触り)

という感じで色々とコストがかかります。反りや外観の綺麗さを求めて試行錯誤も大変でした。一応セッテイングを詰めたので今は機械的に追加生産できますが、今後またASA-CFでなにかを作る時はまた試行錯誤することを思うと少し大変。またなにより問題なのは、Bambu純正ストアで品切れが続いているという点。今ある分を使い切ったら一時的に製造ができなくなる可能性があります。BambuストアはPETG-HFも売り切れがちだし、もう少し在庫を潤沢にもつようにしてほしいものです。

■主要材料を加熱テストしてみた

現在同アイテムで使っているASA-CF(110℃)、その代替材料となるかも知れないHT-PLA(150℃)、PLAよりも少しだけ耐熱性がある(69℃)PETG-HF、そして一般的なPLA代表のPLA PROの(57℃)の4つのフィラメントで同じアイテムを作り、コンベクションオーブンで耐熱検証をしてみました。

最初に造形の出来映えを見比べる

それぞれ右下にレーザーマーキングもしていますが、左からHT PLA、PETG-HF、ASA-CF、PLA PROとなります。表面の滑らかさではASA-CFは劣りまる。結果表面の凹凸ができるのでレーザーマーキングも若干見づらくなります。他の3つはさすがの綺麗さです。HT-PLAは耐熱性が高いせいか他と同じレーザー出力設定だとやや発色が薄く、通常2パスのところ5パスに増やしてやる必要がありますが、結果としては充分綺麗なマーキングが可能です。

トータルでいうと見た目の綺麗さはPETG-HFかなと思います。まぁ見えないところに組み付けるパーツなのでそこはさして重要ではないのですが。

コンベクションオーブンで加熱試験

加熱は3Dプリンターユーザーはみんな大好き、テスコムのTSF61Aを使います。

万一ドロドロに溶けてもいいようにアルミフォイルを敷いて4つに並べます。

設定温度は80℃。このアイテムは車内といってもパネルの裏側に取り付けるので直射日光が当たるような場所で使われることはないのですが、一応マージンをとって高めにしています。風もあたるような場所ではないので送風はオフで7時間加熱しました。炎天下の真夏日に丸一日放置というイメージです。実際には内部のスイッチ部品をぴっちりはめ込むので、収縮に抵抗するかも知れませんが、今回はあくまでも単体で置いての検証です。

結果としてはスペック通りの順当な形になったかと思います。

左から2番目のPETG-HFと右端のPLA PROは明らかに背が低くなっています。ちなみに造形時は「▲DRIVER」と書いてある方を上にしていますので、X-Y方向に大きく縮んだ形です。

サイズ変化を定量的にまとめてみます。幅、奥行き、高さは写真の向き基準、()のXYZは3D造形時の基準です。1mm以上変化が出たところを赤字にしています。(加熱前のASA-CF基準なので造形時点で多少誤差はある可能性はあります)。

フィラメント名耐熱スペック幅(Z方向)奥行き(Y方向)高さ(X方向)
加熱前(ASA-CF)29.8mm25.2mm29.9mm
HT-PLA150℃30.5mm25.2mm29.0mm
PETG-HF69℃34.3mm24.8mm24.9mm
ASA-CF110℃29.9mm25.6mm29.2mm
PLA PRO57℃32.5mm24.8mm27.0mm

PETG-HFとPLA PROは論外ですね。実際にスイッチ部品2点が挿入できたのはASA-CFとHT-PLA。ただHT-PLAはわずかにスイッチの動きが渋くなりました。数字でもASA-CFの方が変化が少ないですが、これは基準も同じASA-CFだということを差し引いて考えもいいのかも知れません。

このアイテムでいえば、おそらく設置箇所が80℃になることはないので、ギリギリHT-PLAでもいけるのかも知れませんが、やはり入手困難になるまでは引き続きASA-CFが最適かなと思いました。スイッチ穴のサイズをコンマ何ミリ単位で微調整を繰り返してきたモデルなので、ほんのわずかな歪みでもスイッチが戻らなくなってり抜けなくなったりする可能性がありますし。

■まとめ

PLA系なのに150℃まで耐えるというHT-PLAの実力が検証できました。サイズ変化という意味ではわずかにASA-CF(耐熱110℃)に劣る結果でしたが、

  • ASA-CFに比べて安価で現時点では入手性も良い
  • カラバリがある(ASA-CFは黒のみ)
  • 造形面が滑らかで綺麗
  • 造形温度が低めで短時間でプリントできる

という点で価値の高いフィラメントだと思いました。

高い寸法精度を維持することが要求される今回のアダプタでは引き続きASA-CFを使おうと思いましたが、このまま入手難が続くようだとHT-PLAに移行するか、他社ブランドのASA-CFも購入して検証かなというところです。