昨年、同居人のネットショップ業務用にハンディタイプのバーコードリーダーを購入しました。
当初は満足して使っていたのですが、より高速、連続的なスキャンを行うのに不満が募ってきました。この製品はバーコードに対してかなり真正面から当てる必要があり、また読み取れる距離のレンジもかなり狭いというのが難点だったのです。正しい角度と距離を可視化する為に、段ボールと針金でこんなフレームを作って貼り付けて使っていました(笑)。
これはこれで意外と好評だったのですが、まぁ業務で使うものだし更に楽になるならと買い換えすることに。
メーカーは引き続きコスパの良いTeraにしました。以前わざわざサポートに問い合わせしたQRコードの無効化も同じ方法でできるだろうという期待も。で、選んだのはこちらの液晶(?)ディスプレイがついたモデル。マニュアルの表紙によると「Model: HW0006」とあるので、以下そう呼称します。
2020.4.15追記 :サポートの方とやりとりしたら、そいつはHW0006じゃなくて6200というモデルだとご指摘いただいたのでタイトル修正しました。ここの製品、Amazonの商品タイトルに型番らしきものがないんですよねw。
特徴として、
頭部にディスプレイを搭載
時計内蔵をしておりタイムスタンプを付与できる
充電スタンド付きで固定スキャナとしても使える
など。USB有線、ワイヤレスドングル、Bluetoothと3wayなのは前機種と同じ。
ディスプレイがあると何がいいんだろう?と考えて浮かんだのが、蓄積モードの状況がわかりやすい、とう点でした。蓄積モードとは、複数のバーコード読み取りデータをメモリに蓄積し、あとで一括してPCに送信する機能です。例えばPCから離れたところで複数の伝票のコードを連続して読み込んで、PCの側に戻って一括送信、という使い方ができます。機能自体はディスプレイのないバーコードリーダーでも普通に搭載されているのですが、ディプレイがあることで読み込んだコードの履歴や件数がわかるので「あれコイツは読んだっけ?」みたいなのが確認できるかなと。思いつくメリットはほぼそれだけです(笑)。
あとは基本性能として、
Scanning angle:Roll±360°,Skew± 65°,Pitch± 65
ということが明記されています。つまりバーコードに対して真っ直ぐの状態から65°まで傾いていてもOKということです。距離は最低が2cm以上、最高はバーコードのサイズ次第ですが6〜14cmそのこと。前機種はこれらの情報自体が記載されておらず、さほどイケてないのも実感済みです。デコードレートも200回/秒から300回/秒に向上しており、かなり雑に当てても素早く読み取ってくれることが期待されるためチョイスしました。
■ハードウェア周り
一番残念だったのはUSBポートが今時Type-Aだった点。前機種がType-Cだっただけに残念。特に充電用としてだけ考えると、なんやかんやでそこらにあるmicroAやType-Cで使いたいものです。
グリップ底のUSB Type-Aポート
付属クレイドル
クレイドル背面もType-A
その他、グリップがほぼ正円筒なのは他のグリップ側の製品がよりエルゴノミックというか握りやすい形状をしているのに比べるとちょっとスッポ抜けそうで気になります。まぁめちゃくちゃ不満というほどではないですが。
■蓄積モードの使い勝手
さて注目の蓄積モードとディスプレイの関係はどうでしょう。
こんな感じで左下に蓄積数、右下に読取数カウンターが出ています。読取数はリセットしてからの総数であまり役に立ちそうな場面は思いつきません。よりヘビーな倉庫業務とかで定期的にリセットして使うとかですかね。
予想外というかがっかりだったのが上の緑字の読み取りバーコードです。なんと最新の一件しか表示されませんでした…。複数行のデータをもつバーコードも存在するので仕方ないっちゃ仕方ないのかもですが、写真のような1行のコードがこの画面上に縦に並んでスクロールでもしていくものだと予想していました。もちろん手動でスクロールして戻すようなことも一切できません。つまり「最新のスキャン結果と蓄積数」だけが画面で確認できる情報となります。
また蓄積したデータの一括送信のトリガーはハードウェアボタンなどがなく、それ用のQRコードを読むということで行います。同様にクリアも専用QRコードがあります。単に送信するだけではメモリはクリアされず、明示的にクリアQRコードを読ませる必要があるのです。途中送信に失敗することも考えると無難な仕様ですが、設定で即時クリアも選べると良かったなと思います。しかもこのクリアがスキャン後即時に行われず、2,3秒フリーズしたような動作になるのも微妙。また音もスキャン成功と同じ「ピッ」だけなので、結局画面をみて蓄積数が0になっていることを目で見て確認しなければなりません。
2020.4.15追記 :この点、サポートの方に教えてもらいました。マニュアルのP.10にある「モジュール読み取り音設定 ON」のコードを読んでおくと、削除コードを読み取った瞬間に「ピッ」と鳴るようになりました。計2回鳴ることになりますが、読み取って削除処理に入ったことが確認できるようになり、格段に使いやすくなりました。デフォルトではOFFのようなので気になる方はお試しください。まとめるとこういうことでしょうか。
通常のコード読取り 削除コード
(モジュール読取音OFF) 削除コード
(モジュール読取音ON)
読取り時 ライト消灯 ライト消灯 ピッ&ライト消灯
内部処理待ち 0秒 3秒 3秒
処理完了(&送信) ピッ ピッ ピッ
モジュール読取り音がOFFだと突然LEDライトだけが消えて無反応になるのでちょっと不安になります。とりあえず読取りできて削除処理に入る前に1回ピッと鳴ってくれれば「あとは待てばいい」ということがわかるので無駄に何度も読み取ろうとしなくて済みます。まぁほんの数件程度でも何秒も待たされるのは残念ですが。
さらに問題が。前回同様、QRコードとバーコードが隣接するヤマトのB2伝票で使うので、意図せずQRコードを読み取ってしまわないよう無効化する必要があります。今回はマニュアルにQR無効化用QRコードが記載されていましてそこは迷わなかったんですが、当然というかなんというかQRコードを無効化してしまうと、この一括送信と削除もできない というということに!!幸いワークアラウンドは発見できました。要するにQRコードには無反応になるので、1次元バーコードで同じコードを送ってやればよいのではないか?と考えたのです。
まずiPhoneのカメラアプリで一括送信のQRコードを読み込んでみると「%%SpecCode16%0D%0A」とうい文字列を読み込んでいることが判明しました。削除は「%%SpecCode18%0D%0A」です。これを一次元バーコードで表現できればヨサゲ。ということで英数大文字小文字と%記号を扱えるバーコードを調べたところCODE128ならばイケるとわかり、こちらのサイト で作成してみたところバッチリ動作しました。超ニッチだと思いますが画像を貼っておきますのでご利用ください。これをPCの近く、今回はバーコード送信用フォームのHTMLに埋め込んでおき、作業中にすぐに読み込めるようにしました。
2020.4.15追記 :こちらについても関係しそうなバーコードを1次元コードにして送ってくださいました。結果的には私が自作したものと同じっぽいのでアプローチは正解だったようです。前機種の時もそうでしたが、こちらのメールサポートは一晩で適切な返事を返してくれるし、現状できないことは積極的に開発に働きかけますと言ってくれてとても好感がもてます。
とまぁこんな感じで使い勝手に多少の不満と工夫が伴いましたが、スキャン性能自体はドングルタイプのものに比べて格段に手早く読み込めるようになりました。
2021.2.21追記 :時刻合わせ方法
コメントで時刻合わせのツールについて質問があったので試してみました。ツールそのものの使い方よりダウンロードまでがややトリッキーですね。Dropboxにrarアーカイブで置いてあるようで…。追記日現在の情報なので変わっていたらごめんなさい。また現状ではWindowsオンリーのようです。
1) まず下記の公式ページに行きます。
2) 右下にある「Download」をクリックしてタブを切り替え、「Time plugin」をクリックすると、Dropboxの公開ページに遷移します。ここに「Time Update.docx」(Word形式のマニュアル)と「Update_time_V1.1.rar」が置かれています。
3) 右上にある「ダウンロード」メニューをクリックし、「直接ダウンロード」を選ぶと、「Timeupdate.zip」というファイルが落ちてくると思います。
4) このzipは見えている2つのファイルをzip圧縮したものなので展開すると、上記2つのファイルが出てくると思います。
5) そしてUpdate_time_v1.1.rarが時刻合わせツールをrar形式で圧縮したファイルです。rarは馴染みのない人も多いかも知れませんが、zipと同じような圧縮フォーマットの1つです。展開には色々なソフトが使えますが、私は7-zip を使っています。これ一本でzipもrarも7zも扱えて重宝します。7-zipがインストールされている環境で、エクスプローラーからこの.rarファイルを右クリックするとコンテクストメニューに「7-zip」->「ここの展開」が選べると思います。
6) これで同じフォルダ内に「Update_time_V1.1.exe」が展開されるので実行すればシンプルな1ボタンのアプリが起動します。
7) バーコードリーダーをUSBで接続します。充電台を経由ではなくケーブルを直結する必要があると思います。
8) 「UpdateTime」ボタンを押せば完了です。なんのダイアログも出ませんが、バーコードリーダー本体のディスプレイ左上の時計が更新されていると思います。
2024.12.27追記:
4年ほど使ってバッテリーがへたってきたのでDIYで交換してみました。
Teraのバーコードリーダー6200のバッテリー交換