σ(^^)の人生初カーナビはPioneerのCD-ROM機でした。たぶんRoad Navigator IIIの世代。あの頃は関東とか中部とかエリア毎にディスクを入れ替えたり面倒でしたね。以降、DVD、HDDと進化を遂げるなら、同社のフラッグシップ機をメジャーモデルチェンジの度に買い続けてきました。しかし2012年にAR HUDという飛び道具をひっさげて登場したAVIC-ZH99HUDがとっても残念(おもに超もっさり)で、Pioneerに対する信者魂が薄らいで来ていました。そして車の買い換えを夏に控え、恒例のGW明けの新型発表。一応のフリック操作は実現したものの相変わらずの感圧式タッチパネル&HDDでドマイナーチェンジ。発表後最初の週末に横浜で開かれたイベントに実機を触りに行ってもみたんですが、やはりKENWOODやPanasonicのようなスマフォライク操作勢に比べると明らかに旧世代感が漂いました。クルーズスカウターやAR HUDといったギミックは大好物なんですが、さすがにもうあのもっさり(地図操作も検索もルート探索も)には嫌気がさして、同乗者からもクレームが出る状態。さらにはレヴォーグにはEye Sight Ver.3があり(注意してくれるだけの)クルーズスカウターは意義が薄いし、AR HUDに至っては取付不可能である可能性が高い。ならばと、仕事絡みで他社製品もじっくり使ってみようという意味合いも含め、レスポンスと操作感で突出していると評判のKENWOOD 彩速に浮気を決意しました。AR HUDまで含めたCyberNaviが20万超えコースなのに対し、彩速は上位モデルでも10万円切りで購入できます。もし来年こそCyberNaviが巻き返しを図ってきたのなら、その時また買い換えてもいいやろ、くらいの覚悟で。
1月に発売された彩速の最上位モデルMDV-Z701の特長は、
- ガラス製静電容量方式タッチパネルでドラッグ、フリックといったスマフォライクな操作感
- SSDでスクロールや検索が爆速
- スマフォ連携やデータ通信にWi-Fiが使える
- 地図はPioneerからのOEM供給らしい。SmartLoopにも対応。
- HUDユニットも発売!
- 不定期ファームアップデートで機能が増える楽しみ
など。1.は単に地図がドラッグスクロールできるというだけでなく、画面外からのスワイプでUIパネルが出現するなどスマフォ的なインタラクションで、次世代感というかナビもやっとタブレット端末並になったなという感慨があります。また音楽録音容量にこだわってかいまだにもっさり要因のHDDを採用し続けるCyberNaviに比べ、2.は大きなアドバンテージです。実際速いです。3.に関してはUSB型のFOMAデバイスを3年無料提供するPionnerとは違ったアプローチですが、これは一長一短だと思います。CyberNaviはオールインワンでなんでもやってしまおうという姿勢、KENWOODは音声認識処理なども含めスマフォのリソースを積極的に活用しコストを抑えようアプローチで、設定にややスキルを要するという短所があります。4.は元信者としては安心材料。ただ配色までは同じではないのでまだ慣れないです。5.は購入した翌日に発表があってサプライズだったのですが、まぁどのみちレヴォーグにはつけられない予感…
■感涙の爆速レスポンス!
現行より更にもっさりなZH99世代と比べると別次元です。スクロールやUI表示のレスポンスもサクサクですし、検索やルート探索も一瞬。CyberNaviはいちいち通信でサーバーに問い合わせるのか、施設名検索すらひどく待たされる状態でしたが、こいつはほぼインクリメンタルサーチといえるレベル。CyberNaviも昔はこうだった時があった気がするなぁ…。また周辺検索後に地図スクロールすると改めてその場所で再検索してピンが振ってくる。初期のiOSの地図アプリのようなインタラクションでこれが地味に便利。ルート探索も速いですが、まだその質を評価するほどは走り込んでません。やはりネットでもCynerNaviを見限って彩速に乗り換えた人が多いようですが、ルート案内の質と音質についてはCyberNaviの方が良かったという意見をよく見ます。追々検証が楽しみです。
■UI周り
数年前からALPINE辺りから始まった印象の「ルート案内時以外のナビ画面ってただ地図を表示しとく以外にもう少し活用できんじゃね?」アプローチを採用していますね。HOME画面は見やすさよりもオシャレさを優先した3D地図表示が半分とオーディオ情報、また天気や時計などのウィジェット要素も盛り込まれています。「現在地」ボタンで従来の地図表示もできますが、どちらかというとこちらが基本画面という雰囲気。SONYのレコーダーがテレビ画面よりホーム画面がデフォルトになってるのと近いコンセプトです。悪くない発想だと思いますが、まだたまに間違えてボタンを押してしまうことも。
画面上部枠から下に指をスワイプするとスマフォの通知領域のようなパネルが下りてきて音量や画面の明るさがさっと替えられるのはナイス。他にも任意のショートカットが置けるといいなぁ。また画面左右枠の上下それぞれからも4つの操作パネルがスワイプで呼び出せます。オーディオの切換とかはパネルが長いのでやや煩雑な気もしますがまぁ次世代UXという意味ではアリ。
■スマフォ連携
・テザリング
スマフォのWi-Fiテザリングにぶらさがってデータ通信(SmartLoop、地図開通情報更新、天気、駐車場満空情報など)できるのは合理的だし体感的に速度も速い気がしますが、単に車に乗っただけだと自動で接続されなかったり少し手間が煩雑な気も(まぁこれはiOSのテザリングが腐ってるせいな気も。またWiMAXルーター車載しようかな…)。
またSmartLoopを使ったり一部のサービスは有料です。旧モデルからの過渡期で仕方ないのかも知れませんが少しシステムが複雑です。1つはKENWOOD Drive InfoというアプリをBluetoothでペアリングして、そのアプリ上でアプリ内課金する方法。もうひとつはスマフォ向けWebサービスであるMapFan for KENWOODにキャリア請求購読で契約する方法。どうもZ701世代では後者推しらしく、1年継続することで年次地図更新が無料になる特典があるのですが、当初この2つの区別がついておらず(前者のアプリにもMapFanのロゴがついてるんだもの!)うっかりそちらを1年分課金してしまった後で判明。前者で得られる付加機能は後者でも得られるので、無料地図更新特典も考えると後者のみを契約すれば良かったわけですが、なんか騙された気分。
・音声フリーワード、音声住所入力
残念ながらAndroid版しかないんですが、ナビのマイクで発した音をリンクしたアプリ「VOIPUT」側で処理しクラウドで認識させることでナビ内蔵の音声認識よりも精度と付加価値が高い結果を返す仕組み。場所を探すことに限って言えばSiriやしゃべってコンシェル程度に適当な内容でも識別してくれますし、住所検索は都道府県名から番地まで一息にしゃべっても見事認識してくれました。iOSで使えないのが残念でなりません。単に対応が遅れてるだけで、技術/規約的制約じゃないといいなぁ。そのうち出るかなぁ。
iOSの場合はSiriアイズフリー相当の機能が使えます。Siriアイズフリーとはどこにも書いてないですが、画面上部に紫のバーも出るし、挙動としては同等のもののようです。BluetoothやUSBでリンクした状態で、電話操作パネルを引っ張り出し、音声認識ボタンを押すとiPhoneがSiri聞き取り状態になります。音声はナビのマイクが使われ、フィードバックはナビのスピーカーから出るのでiPhone端末はポケットやカバンの中にいても利用可能です。ただし画面表示を伴うような検索操作などは使えません。またロック中のSiri利用を不可に設定していると正しく機能しないようです。セキュリティ面からロック中のSiriは無効にするのが定番ですが、魅力に負けて有効化してしまいましたw。
NaviConはDENSO製品のスマフォアプリで、他のアプリから受け取った位置情報をBluetoothやUSB経由でナビに渡してルート探索などに使うことができます。σ(^^)も以前作ったアプリをNaviConに対応させたことがありますが、ようやく自分で活用できるようになります。また久しぶりにNaviConを起動したら「友達を探す」的な機能も追加されているようです。iOSとAndroid間で使えるので誰かと待ち合わせする時に重宝しそうです。相手の位置情報に向かって走る、みたいなことが簡単にできるわけですね。
■音楽・動画周り
σ(^^)の糞耳で聞いた限りではCyberNaviとそう遜色ない気がします。ただCyberNaviの方がもう少しハッとする瞬間があったかも。一方でZ701は24bitのWAVやFLACといったハイレゾ音源に対応していたり、動画も1280×720のH.264/MP4までとメディアファイルのフォーマット対応が進んでいます。ウチでソフトエンコしてるライブラリの動画も再生できました。ただし残念ながらANIME LOCKERによるMP4はそのままでは再生できないようでした。もう少し検証してみます。Bluetoothがapt-X/AACに対応しているよのもポイント高いです。
CyberNaviでは少し前にやめてしまったDSPエフェクトがまだ生き残ってますね。基本的にイコライザで充分、むしろヘンな効果はいらない派ですが、同乗者は当面喜ぶかも。走行ノイズ(というか車速?)に応じて音量を調節する機能はこちらにもありました。またエンジン始動後に少し音量を抑える機能もおっ、と思いましたが元ボリュームへの復帰が結構遅めなので結局OFFに。
スマフォ連携などは複雑すぎてまだ全貌が見えてない気がしますが、これだけできて10万円というのはコストパフォーマンスは非常に高いと思います。そして運転状況の中で大事なレスポンスはとても気持ちが良いものです。開発者が「信号待ちに全て終わらせられるのを目指した」というのも納得。同乗者に毎度「こいつおっそいんだよー」って言い訳しなければならなかったAVIC-ZH99HUDとは大違いです。今のところ完全にPioneerを見限ったつもりはなく、この値段なら来年半額くらいで売り、もしまたCyberNavi復権の兆しがあったらいつでも戻ってくるぜ!くらいの気分です。ただそれには次期CyberNaviには見違えるほどの進化を果たしてもらわないとならない気がしてきました。とりあえずCDリッピング機能とかもういらないんでHDDをやめてSSDにし、タッチパネルは静電容量式にしてほしいものです。