花鳥園で単焦点望遠試し撮り〜SIGMA 135mm F1.8 DG HSM + α7IV

友人ファミリーと掛川花鳥園におでけけすることになり、せっかくなら鳥達をズバっと打ち抜ける(?)望遠持っていきたいよねと思案。手持ちで最望遠はSONYのSELP18105G。18-105mmのF4です。しかもAPS-Cレンズなので換算でいうと157mmくらい。発売から少し年数経ってますがF4通しの動画レンズとしては優秀でFX30の同時購入キャンペーン対象になるくらいSONYも推しのレンズです。

しかし木の上の鳥とかをアップで撮るにはちょっと心許ない。60p動画を撮るならAPS-Cで問題ないんですが、せっかくなら静止画もフルサイズのα7IVで撮りたい。そうするとフルサイズ対応で200mとか300mm級のレンズが欲しいなぁと。そう思って見回すと基本ズームでF4とかちょっと出してF2.8。動画を考えるとパワーズームも欲しいなぁとか色々要求仕様を積んでいくとあまりこれといった候補が残りませんでした。掛川花鳥園に行くことが決まって2週間くらいネットや店頭であれこれ物色し、「いやもう今回は18105でいいや!」と宣言したり、前日までもやもやしていました。

最終的に目に付いたのが135mm F1.8という単焦点の中望遠(?)。α6600時代にSIGMA 三兄弟の2つまで買い揃えた「単焦点&明るさは正義」病がぶり返してきました。このクラスで単焦点は不便すぎると思いつつも、F1.8で遠くの鳥で背景ボケ写真を撮れたら気持ち良いだろうなと想像したら、もう実用性とかは二の次でいっかな?という気になってしまいました。

135mm F1.8というスペックのフルサイズレンズはSONY純正のGMレンズとSIGMAが出しています。

GMの方が若干軽くて魅力なんですがさすがに20万超は無理。たまの動物園や花鳥園用としてはコスパ悪すぎます。ということで1kg超(1.2kg)な点は目を瞑ってSIGMAに特攻。旅行前日の閉店間際のビックカメラでゲット。最低限の初期不良チェックだけで当日に臨みました。

α7IV(SmakkRigケージ装着)にSIGMA 135mm F1.8 DG HSMを装着

いやーデケー。デカいというかフロントヘビーで真っ直ぐ構えるだけでも結構力が要ります。腕保つのかな…。フィルター径が82mmとまた過去イチ大きなサイズで当然フィルターも所有しておらずとりあえずプロテクターは後日ネットで安いものを買おうということで可変NDフィルターを購入(結局花鳥園ではあまり使いませんでした)。

上部にはフォーカスの目盛り(使わなそう)、サイドにはAM/MF切り替えスイッチと、フォーカスレンジ制限スイッチ(3段階)があります。フォーカスレンジは被写体にあわせて切り替えておくと合焦までの時間が短くなるので重宝します。

■作例: 掛川花鳥園撮れ高

JPEG撮って出しではなく、RAWをLightroom Classicで現像し、多くはトリミングしています。そういう意味では焦点距離(望遠具合)が足りてないとも言えますが、トリミングしても充分綺麗なので気にしていません。

背景のボケ方も充分綺麗かなと。人物や花も印象的。自分的には機会はないですが人物ポートレート写真とかにも良いんじゃないでしょうか。

以下は別日の撮れ高です。富士山は富士川SAから撮ったものですが、雪が綺麗に見えるもののやはり風景写真としては画角が狭くてイマイチな焦点距離ですね。一方クルマのようなものを撮るには歪みが少なく形が綺麗に見えると言われていますが、確かにハッとする写真になった気がします。

■使用感

被写体とのディスタンスがキマった時は、被写体がカリっと背景は綺麗にボケてとても満足な写真が撮れました。自分と鳥、鳥と背景にそれぞれ距離が開いてると綺麗にボケてくれます。

一方花鳥園の鳥は木の上ばかりでなく、目の前でケージに入っていたり、放し飼いで足元をウロウロしていることも多く、なおかつ休日で人が多いと迂闊にカメラ構えて後退することもままならず、やはり取り回しに不便な場面もあったのは事実です。また冬でも気温を保つため温室のような構造の建物になっているので、予備レンズも含め2kgくらいある装備を保って歩き続けるとかなり暑さを感じました。11月だけど半袖になれる格好でいけば良かった。

ちなみに装備一式はこちらのバッグに入れて肩にかけていきましたがなかなか便利でした。両手が必要な時はさっと収納できます。

さすがにトップハンドルは外していきましたが、SmallRigのケージにサイドグリップストラップをつけておいたので、出し入れや片手で持って移動する時も不安なくできた気がします。特に今回はレンズが重たかったので、手で握っているだけだとうっかり落としてしまうリスクも高まったんじゃないかと。

現地では3回くらいレンズ交換したかなと思います。インコの大群が一斉に飛ぶショットなどは広角が必要で35mmにスイッチ。それ以外は足で距離をとっていい感じに撮れたと思います。ただ現像段階でクロップした写真も多く、理想的にはもうちょっとだけ焦点距離があってもいいのかも知れません。でもまぁフルサイズでだし、後からクロップできればOKかなと。あるいはAPS-Cモードや超解像ズームを適宜切り替えて使うなり。F1.8という明るさは大きな武器なので現像や設定切り替え、足運びでどうにかなるところはそっちでどうにかすればいいかなと思っています。

いずれ水族館のような暗い環境でも活用することがあれば、明るさの恩恵はさらに感じられるかな?

大きくて重たい、しかも単焦点という点はかなりのハンデではありますが、撮れ高的には非常に満足しており、買って良かったと思います。

Nintendo SwitchでボイチャするのにSONYのヘッドセットINZONE H7/9が最適だったという話

同居人がSplatoon3で知人のキッズとボイチャプレイを始めました。Splatoon3自体にはボイチャ機能はないので、別途スマホでNintendo Switch OnlineアプリやMeet、Discordといった手段で独立してボイチャをしているわけですが、スマホからBluetooth接続したヘッドフォンで通話しながら、Switch本体のスピーカーから音を出してプレイしていました。「それだとゲーム音が相手に聞こえて迷惑じゃない?」ということで簡単なミキシング手段を検討することに。要求仕様としては、

  • ゲームの音と相手の声が適度なバランスで聞こえる
  • 相手にこちらのゲームの音を聞こえないようにする
  • できればPCレスで、スマホで完結させたい
  • すぐにセットアップしてプレイできるよう、配線などを極力シンプルにする
  • シューティングゲームなので遅延を最小限に抑える

ということを考えました。

お手軽な選択肢としては、これ系の音声混合アダプタがありますが、やはりケーブルがゴチャゴチャするということで却下。

これのスマホ側がBluetoothになりましたという、AD-BTMIX/HNも気になったんですが、ヘッドセットはスマホとペアリングしたものが使えるのかはっきりせず(たぶん無理)、せっかく汎用アダプタなのに普段愛用しているAirPodsやWH-1000M2/3が使えないのかーとなり却下。

Bluetooth ゲーミングミキサー (型番:AD-BTMIX/HN)

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個人的にはずっと気になっていたYAMAHAのZG01を推したかったんですが、メインのHDMI入力(音声のみ引き込んで映像はテレビへパススルー)が、Switch映像をテレビに映す想定なら良いんですが、今回は充電ドックに載せて有線LAN接続はするものの、映像は本体の有機EL画面で見てプレイするということだったので断念。HDMIパススルーアウトになにも繋がなかった場合に、音だけは取れて映像はSwitch本体に映ってくれる、とかなら良かったんですが、試すにはちょっと掛け金高いなと…

ヤマハ YAMAHA ゲーム/配信用オーディオミキサー ZG01

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店頭でこちらのミキサーもコンパクトで気になったんですが、どうも配信メインなので基本、LINEや楽器入力の音はどのヘッドフォン出力からもUSB出力からも出てしまいそうな予感がして却下。iOS/Androidにも対応していてよさげなんですが、穴があって、Youtube Liveなど配信系はUSB接続できるんですが、ZoomやMeetのような双方向通話アプリ(つまりスマホからの音声を同時に受ける場合)ではTRRSコネクタを使う必要があるっぽいんですが、そちらのアウトに対して特定の入力を切る、ということがどうもできなそうな気がして、やっぱりちょっとリスクを避けた感じです。

じゃぁもう今のヘッドセットを使うのは諦めて、ヘッドホン内に簡易ミキサーをもっていて、通話音とゲーム音をミックスできる選択肢を探そうとなりました。せめてスマホ側はBluetoothでと探すとこの辺りが候補になりました(一般にBluetoothだと遅延が大きいですが今回の用途ではゲーム音はBluetoothを経由しないからOK)。

結果的に当人がつけ心地で却下したものもあったりしましたが、INZONE H9に決まりました。決め手はゲーム入力もワイヤレスでありつつBleutoothではない専用伝送方式で遅延が少ないとしている点。つまり、ゲーム機側もスマホ側もワイヤレスで使えるので完全にケーブルフリーになるわけです。USB送信機がUSBオーディオデバイスとしてSwitchに認識されるかがポイントになりますが、ネットで使えたという方向があったので良しとしました。現在使っているドックにUSB-A端子があるので、そこに挿すだけです。設定もなにもなしですぐにヘッドフォンに音が切り替わりました。ちなみにドックはGAMETECHのこちらの商品です。スマホ側は一般的なBluetoothペアリング操作をすればつながります。あとはNintendo Switch OnlineでもDiscordでも同じです。総音量とは別に、ゲーム音量とチャット音量のバランスをとれるシーソースイッチがあるのもゲーミングヘッドセットならではのポイントだと思います。

他の二社の製品はスマホ側こそBluetoothですが、ゲーム音声は3.5mmジャックなどでアナログで取る形になります。遅延こそないものの、ノイズが心配なのと、ケーブルの取り回しや挿抜の手間が増えます。そこを独自USBドングルでカバーしてきたのがINZONE H7/9の強みということです。下位モデルのH3だとスマホ含めて完全有線なので除外です。H7とH9の違いはノイズキャンセリングの有無やパッドの素材の違いになります。定評のあるSONYのノイキャン技術を活用してよりゲームに集中できるという意味でこの価格差ならH9をオススメしたいと思います。

Nintendo Switchの特殊なボイチャ環境に適したソリューションがSONY製品だったというのもちょっと意外でしたが、先入感なく選べばこれが最善だったかなと思います。。

アルカスイス互換といふものを活用す

私がよく行く客先のUT現場では一度セッテイングをしたものを数日くらい連続して使います。時にはプレテストから本番まで少し間が開いたり週末を挟んだりすることも。三脚やケーブル類はそのまま残置しておけることがほとんどですが、高価なカメラ本体やスイッチャー、レコーダーなどは取り外してロッカーや別室に保管してもらったりします(PCは基本的に持ち帰ります)。

そんな中で三脚とカメラの脱着を楽にするのにクイックシューという仕組みがあります。三脚取付部のプレートを外してカメラ側にネジ止めしておけば、プレートの脱着が素早く行えて便利。ネジの付け外しは最初と最後だけで済みます。

クイックシューの形状は三脚メーカーによって互換性がなく、大手では社外の互換製品も出るなどしています。有名どころではアルカスイスとかマンフロット。自分の動画用三脚はマンフロットなんですがこれが割とガチのヘビーなビデオカメラを想定した縦(前後)長形状で、滑り落ち防止ロックとかもついていてやや扱いづらさを感じていました。ビデオカメラの1/4インチの三脚穴+位置決めのピンの2穴構造もミラーレスでは役に立ちません。

マンフロットBeFreeのクイックシュー。前後に長く2点止め方式。

そんな折りにふと気付いたんですが、ここ最近のミラーレスカメラにとりつけているSmallRigのケージの下部がアルカスイス互換なっているではないですか。最も最近買ったFX30にはTiltaのケージをチョイスしたんですが、これまたアルカスイス互換。もしかしてミラーレスにはアルカスイスの方が使いやすいんじゃね?と思ってリサーチ。

ケージ下部がアルカスイス互換レールになっている(SmallRigのα7IV用の例)

■なるほど互換製品が多い

以前に購入したUlanziのこちらの首掛けストラップの着脱機構もよくみたらアルカスイス互換でした。

これは統一しとけば色々幸せになれる予感。

■マンフロット三脚をアルカスイス互換にするアダプター

三脚ごと買い換えるのはもったいないので、今使っているマンフロットのBefreeをアルカスイス互換にする方法をリサーチした結果、

こちらのアダプターが見つかりました。

純正プレートからアルカスイス互換プレートに交換した状態
レール部分を横から覗いた様子

クイックプレート2段載せになるのではなく、ボトム側がマンフロット互換形状をしていて直接取付できます(固定ネジは二箇所になりますが)。普通の三脚穴しかない機器を取り付ける場合に元のプレートが必要なので、完全にリプレースはできませんが、まぁ両方持ち歩いてもたいして負担ではないので良しとします。

マンフロット純正プレート(左)と今回購入したアルカスイス互換プレート(右)

ミラーレス用のケージの多くは横方向に長いレール状になっているので、レンズ中心がセンターになるように多少気を遣います(センターがズレてるとパンする時に不自然な動きになる?)。またマンフロットのような滑り落ち防止のロック機構もないので、斜めになってる状態で固定ネジを緩めるとスルっとカメラを落下してしまう恐れもあるかなとは思います。一応引っかかりの爪はあるんですが、BeFree側の突起とほとんど噛み合わず摺り落ちを防げるほどではないです。それでも、ケージの下に新たにプレートをいちいち取り付けずにサクっと装着できるのは良いかなと思います。ネジのヘッドも大きく締めたり緩めたりがしやすいです。

ほぼミラーレス機しか載せないBeFreeはこれでいいかなと。他のケージがついていないカメラも使う三脚をどうしていくかは思案中。

Quest ProとImmersedでいきなり未来が来た

ImmersedというVRヘッドセット向けのバーチャルデスクトップアプリをドリキンさんの動画で知りました。Virtual DeskropなどのようにPCの画面をリモートでVRヘッドセットに飛ばして仮想ルームで作業ができるアプリの1つです。かなり前からあるジャンルなんですが、以下のような理由でいまひとつ“技術デモ”の域を出ていない感じで常用には厳しいなというイメージでした。しかしこのImmersedとQuest Proとが合わさることで、割と実用できてしまうレベルの仮想環境ができあがってしまい「いきなり未来来たやんけ!」という状態で盛り上がっています。

以下、従来のVRデスクトップツールではこんな制約あったよね?という視点ごとに、これらがそれをどう解決しているか触れていきたいと思います。

■Quest ProとImmersedなら本当に仕事が出来る?

どうせ解像度が足りて無くて文字とかは読めないよね?

従来の製品はヘッドセットの解像度もさることながら、プロセッサの処理能力、デスクトップからのデータ転送が不足していて、動く映像などを見るならまだしも、ブラウザやエディタを表示して文字を読み書きする厳しい状態でした。なので、バーチャルホームシアターが実現します!みたいなものはたくさんあったんですが、ネットサーフィンやWordで文章書いたりという雰囲気ではありませんでした。

しかしQuest Proの表示品質が向上したことでかなりイケてるというか充分実用になる文字の視認性が実現しました。主にはピクセル同士の隙間にある黒い枠線部分が目立ちにくくなった(VR界隈ではスクリーンドア効果が軽減した、と表現します)ことが大きい印象。またパンケーキレンズを採用したことで視界の端の方で映像がボケたり歪んだりしにくくなってるのもあるんじゃないかと、こちらも実効的な視野角が広がって、例えば画面の端の方にあるツールバーだったり、後述のサブモニタなどが周辺視野を使いつつ自然に見えるという効果になっているのかと。

Quest2とQuest Proは解像度や視野角の数字スペックでいうと実は大して進歩している感がないんですが、こういう実効的なところで素晴らしい違いを見せているかなという感じがします。カタログスペックだけではなかなかわかりづらい部分です。まだImeersedをQuest2で試してはないですが、感覚的にこのクリアさはQuest2では出てなかったよなという感じ。

オシャレ仮想空間にPCのモニターが置けるってだけですよね?

VRデスクトップアプリというと、オシャレな山荘の暖炉がパチパチいってる書斎や、展望のよい高層ビルのオフィス、果ては宇宙船や宇宙空間を背景にしてPC作業をできる、というイメージないですか?そこに普段のPCのデスクトップを持ち込んで作業ができます、的な。「普段のデスクトップ」をそっくりそのままってだけだと、他の色々なデメリットの方が目立ってしまいます。自分が以前から望んでいて、かつImmersedが実現してくれたのが、マルチモニター環境です。

例えばリアルのディスプレイが14インチWQHDだったとします。この画面をVRワールドに転送してそのまんまWQHDで見られても「( ´_ゝ`)フーン」というだけです。しかしImmersedは(課金すると)最大5モニターまで置けます!しかもmacOSでいうならSpacedでもともと作っていた仮想デスクトップがそのまま対応する形で転送できるので便利。私は普段3つのデスクトップを作って3本指スワイプで切り替えて使ってますが、それがそのまま横に3画面並んだような形でVR空間に映せるのでとてもシームレスに行き来できます。

今まではノマドやホテルではどうしても外部モニターを持ち歩くわけにもいかず、ノートPCの物理ディスプレイ1つで我慢するのが普通でした。そこでの作業性と携帯性を天秤にかけて13インチか15インチか、いやあいだをとって14インチか?みたいな微妙なところで頭を悩ませて機種をチョイスしていたんですが、そういうのからいきなり開放される可能性が現実味を帯びていました。ドリキンさんもノートPCではなくヘッドレス(ディスプレイがない)小型デスクトップPC+Quest Proという出張環境を模索し始めているようです。まぁ全く物理モニタがないと起動や接続処理どうすんねんという懸念はまだありますが、イメージとしてはそういう世界が到来している感じはします。

どうせパワフルなデスクトップのゲーミングPCが必要なんですよね?

これは単純にヘッドセットのパネルがもつ物理解像度だけでなく、PC側で内部的にレンダリングする解像度とかも関係していて、設定画面などでPC側の負荷を上げてやると多少クリアになったりはしていました。しかしそれをするにはそれなりにパワフルなゲーミングPC(というかGPU)が必要だったりしました。

Immersedがどちら側でどんな処理をしているのかよくわかりませんが、基本的には平面のデスクトップ映像を画面数だけストリーム送信しているだけなので、ものすごくGPUパワーを使うというほどでもない気がしています。M1 MaxのMBP16で4画面くらい出しても別段ファンもうるさくならずに普通に使えています。MBPとWi-Fiルーターは有線、Quest Proは5GHzのWi-Fi6接続でレイテンシは5msくらい。気にすればほんのわずかに遅延に気付くかなという程度。むしろWi-Fi6とか2.5GbEといったネットワーク環境が重要なんじゃないかという気がしています。

ともあれRTX30x0だの40×0だのいうガチゲーミンググレードのGPUが必須というわけではなさそうで、普通にノートPCで使えてしまう。

前項もあわせて、「出先でモニターを4枚も5枚も出して作業ができる」というユートピアを実現できるわけです!

両手にコントローラーもって仮想キーボードぽちぽちするんですよね?

ディプレイ環境として素晴らしいことはわかりました。しかしVR空間で作業するのにもう一つ重要なトピックがあります。マウス、キーボードといった入力手段です。従来Meta Quest 2の公式対応も含めて、

  • 画面内に仮想キーボードを出してポチポチ打つ
  • 特定のキーボードをカメラで画像認識し、仮想空間内に出現させる

といったアプローチが取られていましたが、どちらもイマイチ。前者は効率ガタ落ちだし、後者は対応したキーボードが少なすぎで、しかも日本語(JIS)配列自体対応しておらずわざわざ対応キーボード買ったとしてもJIS民にはどうしようもない状況でした(と理解して試しておらず)。

その点Immersedがスゴいのは、キーボード周囲をくり抜いてパススルーカメラの映像を文字通りパススルーで仮想空間内に見せてしまうというアイデアを実現した点です。見た目としては野暮ったくなりますが、実用性は劇的に向上しています。キーボードと自分の手が見えているので、慣れればほぼ通常通りにタイプできます。さしものQuest Proのカメラでもキーの刻印がはっきり読めるほどの解像度は出てないですが、例えばMacBookの指紋センサーにタッチしたい、みたいなことは遅滞なく実行可能です。またノートPCであれば手前のトラックパッドを操作するところも目視できます。Proでこの映像が一応カラーとなっているのも良い。この”抜き”の位置やサイズはカスタマイズできます。デフォルトでもノートPCのキーボードより少し幅をもって見えているので、キーボード脇においたコントローラーを拾い上げるとか、飲み物の入ったコップなどを掴むといったことも難なく行えます。

これによって、物理のキーボード、トラックパッドがほぼ違和感なく使えるので、普通にメールを書いたり資料を作ったりという作業が実現しました。

Questシリーズのキャプチャ機能ではこのパススルーカメラ映像部分は黒く塗りつぶされてしまうので、映像でイメージをお伝えすることができないのですが、この動画などにちらっと映っています。

ヘッドセット被ってると肩が凝ったり蒸れたり長時間使用はしんどいですよね?

Quest2はバッテリーを含む全てのアセンブリがフロントに集中しており、前後バランスに難がありました。特に標準のゴムバンドではしっかりと頭部に固定ができずすぐにズレてきたりしました。ズレはそのまま見え方の焦点ボケにも直結するので、クリアな視界を維持するのが難しいです。ユーザー達は別売りのハードバンドに交換したり、後頭部にモバイルバッテリー等の”重り”をぶらさげるなどのDIYで対処していました(純正バンドがまたすぐ折れるなど品質に問題があったり…)。

Proでは可搬性と没入感を犠牲にしつつ、長時間オフィスで快適に使うことに重きを置いた設計になっている感じがします。まずバッテリーが後頭部側に移動したことで吊しの状態でも非常に安定感があります。ただし頭頂側のバンドが廃止されたので若干締め付けに頼る構造になっている気はしていて、はやくもユーザー界隈では頭頂バンドをDIY追加するムーブメントが起きていますw。Quest2ほど交換を想定した作りではありますが、サードパーティ品などで装着感を改善するものがでてくれば更に快適になるかなと。

またQuest2がバンドの締め付けだけで焦点距離も決めていたのに対し、Proはバンドの締め付けと、レンズの前後距離が独立で調整できます。なので、ガチピンのために頭をぎゅうぎゅう締め付ける必要がなく、無理のない装着感とクリアな視界が両立します。レンズの前後距離とIPD(左右距離)の調節幅が広がったことで、締め付けと無関係にガチピンのクリアな視界を得やすくなり、結果的に画面も見やすいと感じます。いまや14インチで2560×1440のPCだと標準の125%表示では辛く150%にしたり、文字の小さいサイトはブラウザのサイズ調整機能を使ったりしがちな自分も、Immersedで画面を顔に近づけてやればより高解像度のままはっきりした文字視認性を得られる感じです。ただそれなりに疲れ目は感じます。もしかしたら輝度を落としたりするといいかも?

重量はQuest2が502g、Proが722gのようです。Quest2に”重り”もつけたのと同じ位ですね。なんだかんだいってもこれだけの重さが頭に乗っかるのはそれなりに負担に思えます。ただノートPCを卓上に置いて下を見下ろすのも首の負担が大きいです。数kgある人間の頭部を支える首にバランスよく載ってない状態が長く続くのはストレートネック民には元からしんどい姿勢です。これがむしろImmersedを使って真正面に仮想ディスプレイを”持ち上げ”られることで、デスクトップPCを使っているのに近い姿勢をとることができます。結果として実重量の増加と姿勢の最適化というメリデメの差し引きがどうなるかは、もう少し長期でテストする必要があるかなと思います。

“蒸れ”についても言及したいと思います。Quest2では水中メガネのようなフェイスクッションをギュっと顔面に押さえつけるような方式でした。これは余計な光を遮断して没入感を高める一方、締め付け感と蒸れの問題がありました。特に動きの激しいゲームだとレンズが曇るレベルです。ProはPSVRやHoloLensのようにおでこで締め付けて、そこからレンズ部分がぶら下がる構造なので目の周りが締め付けられないので遙かに楽です。遮光性はほぼなくなりますが、マグネットで脱着できるシリコンのブロッカーが、サイド用が付属、フルブロッカーが別売りで用意されています。

まとめると、装着感はかなり改善されていて重さ以外は特に我慢が必要ない上に、視界もクリアなので、現時点の感覚ではノートPCを使わざるをえないモバイル環境だったらメリットが上回るんじゃないかと感じています。自宅で人間工学的に快適なデスクトップ環境があるならそっちでいいかなという感じ。

■必要なネットワーク環境について

Immersedを使うには、PCとQuestが同じネットワーク下におり、かつインターネットにもつながっていることが必要のようです。Immersedが起動時にライセンスやアカウントチェックをしているらしく、サーバーにつながらないと起動プロセスが止まってしまいます。

またより低レイテンシの接続が命なので、Wi-Fi6などの高速な接続が望ましいです。例えばスマホテザリングの場合、多くのOS/端末では2.4GHzになったりしてしまうので、別途アクセスポイントを用意した方がヨサゲ。

自宅やオフィスであれば高速なアクセスポイント(Wi-Fiルーター)があれば良いですが、出先でインターネット接続と高速なWi-Fi規格を両立させるのはやや壁が高いかも知れません。モバイルルーターでWi-Fi6が使えるものはまだ少ないですし、家庭用ルーターだと電源が必要になり、モバイルバッテリーで5VやUSB PDで駆動できるものもあまりない気がします。

ウチはWi-Fi6 & 有線2.5GbEのSH-52Aがあるので、今後はこちらを活用していったらいいかなと思っています。Mac用に以下の2.5GbE対応USBハブを買ってみました。

Mac ↔ ルーター間はこれで有線接続し、ルーター ↔ Quest ProはWi-Fi6です。WANは最初に認証をするだけなのでさほどスピードは必要ないと思われるので、povo2.0 SIMなどを挿して必要な時だけチャージして使うのも良いかも知れません。近々テストしてみます。

またホテル等で安定したWAN接続が望める場合は、先日購入したGL-AXT1800ですかね。

実際これで1GbEのUSBアダプタ経由で5ms出ています。

■Quest 2だとどうなの?

比較のためにQuest 2にもインストールして試してみました。

  • 意外とスクリーンドア効果(格子模様)の体感差は小さい
  • 一方視野はかなり狭い印象
  • やはり標準ゴムバンドではピントをがっちり合わせられないので文字の視認性がかなり落ちる
  • ピントを合わせようとバンドをキツく締めたくなるので血流が堰き止められる感

という感じ。Razer Blade 14 2021でWi-Fi6接続と条件が多少違いますがレイテンシは7msで、映像品質としては意外とMBP + Quest Proと大きくは変わらない感じがしました。パススルーカメラがモノクロにはなりますが、キーボードの見え方もそこまで違いはないかな?(どのみちキートップの文字を読むのは厳しい)。

大きく違いうのはバンドのホールド性で、これによって結果的にピントが合わせられず全体がボケてしまうという感じ。Quest 2でやろうという方は素直にハードバンドを使った方が良さそう。高くて壊れやすい純正ではなくKIWIなどで良いと思います。フリップができるので一時的に現実世界に帰還するのも楽ちん。

■まとめ

ともあれモバイルでも自宅作業スペースに匹敵する広いモニター環境を構築できる可能性が一気に高まってきました。周囲の目などもあり、まだなかなかファミレスなどで検証する勇気はないですが、ホテル泊まりの時などは活用していきたいと思います。

クラウンクロスオーバーRS Advanced試乗

先日契約した新型クラウン(クロスオーバー)のRS(2.4ターボ)の試乗車がやっと近場で配備され出したので乗ってきました。

販社系列が違う店だったので、すでに契約済みであることは言わずに「ちょっと興味あるんですぅ」的な空気で冷やかし。休日の飛び込みなのにサーセン。

■足周りガッチリ

RS専用ホイール

まず足がめちゃめちゃ引き締まってた。「ノーマル」設定でも硬い。単に物理的に硬いというより、ガチガチにテンションかかってるような?これを「引き締まってる」というんですかね。まさにアスリートの筋肉でギュっと引っ張ってるような。ショックを一瞬で吸収する感じ。不快ではないけど違和感というか不思議な感覚。

それが「コンフォート」にした途端「はにゃーん」っと緩む。猫の可愛い姿を目撃した時のように。ほぼ静止状態でも一段沈むというかとろけた感じがするくらいに激変。カロスポにもAVS(可変ダンパー)つけてますが、ここまで明確な違いは出ない。これが快適かどうかは意見の分かれるところでしょうが、何人かYoutubeレビューで「船のよう」といっていたのが的を射ている気がします。道や乗せる人によっては使ってもいいかもですが、個人的にはあまり積極的に使わないかな?

「スポーツS+」は街中渋滞路なせいかあまり「ノーマル」との違うは感じず。

ドライブモードの切り替えSWはカロスポと比べて手の届きやすい位置にあり、走行中でもより積極的に使いやすい印象です。カスタムもあるのでアクセルレスポンスは変えないけど足だけ引き締める、みたいなセッテイングを詰められるかも。

■加速

休日夕方のショッピングモール付近で渋滞多めでしたが、加速は確かに2.5NAよりモリモリ。オルガンペダルも前より慣れたか気にならず。踏めば踏んだだけダイレクトに加速する感じはモーターのトルクや6ATのお陰でしょうか。SERAより後にのったCOLT VerR、LEVORG 2.0GT、カローラスポーツ Hybrid GZと10年くらいCVTばっかでラバーバンドフィールとか正直あんまり不満はなかったんですが、「なるほどダイレクトってこういうことか」と思いました。

一方、”常時内燃機関で走ってます”感は強いです。アクセルオフからちょい踏みくらいまではEV走行も含めて静かですが、交差点加速や追い越しで踏み込むと「ブォォ」っとエンジン音する。不快まではいかないですが、「あぁガソリン車だなー」って感じします。言うてカロスポでも3,000〜4,000rpmとかになると結構うるさいですし、遮音性自体はクラウンの方が上というかカットしている周波数が違うみたいで、不快指数は低いかも。クラウンの方が低音寄りで振動なのか低音なのかもよくわからないような”どこかで鳴ってる”感じ。

さすがに4WDやDRS(4WS)を実感できるような運転は試せず。でも交差点の回頭性は悪くなかったかな。カロスポでタイヤもPilot Sports5に交換した時のようにクイっと左折後、左車線に頭が入っていくというか。

■アドバンストパーク(自動駐車)

うっかり動画撮り忘れたのが痛恨の極みですが、RSにしかつかないアドバンスパーク(自動駐車)も体験。大昔のプリウスのIPA(インテリジェントパーキングアシスト)からは隔世の感。最初の目標枠指定がほぼ瞬間的に終わるし、ギアチェンジもサクサクやってくれるので、これならショッピングモールとかの駐車場で後ろに車いる時にでもスマートに使えるかも。ただ前方に別の駐車車両がいる状態では中断されてしまいました。何度も切り替えて上手いこと入れてくれる、みたいな賢さまではないのかな?

■新エージェント(音声操作)

「Hey, TOYOTA」で呼びかける音声操作もチェック。最近知ったんですが左右独立マイクでドライバーとナビゲーターを識別できるっぽいです。助手席の人が「窓を開けて」といったら助手席側が開く。良き。

もうちょっとレスポンスよく動いてくれると嬉しいですが、通信速度がネックなのか少し待たされる感じ。最初の「Hey, TOYOTA」使うよりはステアリングスイッチでいいやんってなりそう。2018年ナビのように単押しでローカル認識、長押しでクラウド認識という別々のエージェントシステムを使い分けるとかいうアホな仕様はなくなり、ボタンでもサクっと呼びだせて使えるのは良い(というかやっとか!という感じが強い)。

あと音声認識中は画面が青く切り替わって地図などを見えなくするのはどうかなぁ。Siriのように画面の片隅ににょもにょもが出て聞き取ってくれればいいのになとは思います。

■クラウンクロスオーバーRS Advencedまとめ

日をまたいだり道も違ったりでGALPとのガチ比較はできてないですが、走行周りははっきり違いを感じました。スポーツ走行好きな人は断然RSの方が楽しかろうと思います。燃費を含めると街乗りユースでどちらがいいかは悩ましいところですが、RSでしか選べない先進オプションがある以上、選択肢はないも同然という感じです。

ついてくれた店員さんはツナギだったのでメカニックの人だったのかも知れません。あんまり車両について詳しくなさそうだったんですが、「今契約で6月が目安だがなんともいえない(RS)」という言い方でした。ウチの子は来年GW前くらいに来るといいなぁ…

オマケ:ついでに新型カロスポも現車視認

本来検討していたカロスポ2023年モデルのオレンジマイカメタリックも見て来ました。

オレンジマイカメタリック

思ったほどオレンジオレンジしてなくて、少し暗めのトーン。写真だとほぼレッドっぽいですね。最初期にあったスカーレットに近いのかな?カタログのようにもと派手なオレンジを期待していたので、ちょっとテンションさがりました。

新形状のヘッドライトとフロントバンパー

ヘッドライトはシンプルになりましたがこれはこれで悪くない。「目」感が増したかと。フロントバンパーの下側がリファイン。

ナビはクラウンと同世代の2022年式コネクティッド。サイズや細かい機能の有無は違いますが基本操作は同じ。スクロールや拡大縮小もジェスチャーでヌルヌル動きます。周辺施設表示なども3点ボタンからサクっと変更できるのも良き。

全体にフラットデザインでちょっとシンプルすぎる感じはありますが、カローラスポーツとかシエンタといった車格のクルマではまずまず違和感なし。これがクラウンだと正直ちょっと安っぽさを感じます。

メーターはこんな感じ。クラウンのRS同様地図表示可能。言い換えるとクラウンGではできないことなので驚きです。

メーターに地図も

実際に走行していないのでなんともですが、パッと見た感じ地図として見やすいのかな?という疑問はあります(クラウンも含め)。おそらく運転中に見るものだから色使い含め極限まで情報量を落としたってことなんでしょうけど、ウーンという。海外ガジェットを日本に持って来たらGoogleマップに対応しておらずかなら荒いOpenMapデータのみでした、って時の残念感が漂います。ルート引いてあったらどういう表示になるんだろ。大きさも小さいし、あともしかしてヘディングアップ固定?

メーター自体もバリエーションを見比べられてないですが、外車勢やスバルなどに比べるとやや世代遅れ感が否めません。