Sound Blaster X5のUSBホスト機能でBluetoothアダプタを使ってみる

仕事の会議で使うShokzの骨伝導ヘッドセットAeropexもSoundBlaster X5経由で使ってみたくて結局BluetoothアダプタのBT-W5も追加購入してしまいました。これもクリエイティブ公式サイトでしか買えず単品で買うと送料無料条件に届かないので、X5と一緒に買っておけば良かった…。なお現在はUSB-C→A変換アダプタがプレゼントでもらえます。X5のUSBホスト用ポートはUSB-AでBT-W5はCポートなのでなにかしら変換アダプタ/ケーブルが必要になるので、今がチャンスと言えます。

■USBホスト機能とBluetooth

X5はもともと内蔵でBluetoothが搭載されているのに、なぜ別途USB Bluetoothアダプタがいるのかについて簡単に。内蔵のBluetoothはスマホなどのホスト機器と接続するためのものです。X5がスピーカーやマイクなどの周辺機器側になります。今回やりたかったのはX5を親機として外部のヘッドセットをつなぎたかったので、同じBluetoothといいつつ親子関係が逆なのです。なんかこうソフトでどっちの役割にもなれるようにできんもんかと思いますが、現状できないようです。

X5のUSBホスト機能についてはマニュアルにもロクに説明がなく、一応仕様をみるとUAC(Universal Audio Class)機器で消費電力が100mW以下、とだけあります。ドライバーをインストールしたりもできないので規格に準拠してるもののみという感じです。じゃぁBluetoothもなんでもいけるかな?と手持ちのELECOMのBluetoothアダプタを挿してみましたが認識しませんでした。こちらは公式で記載している同社製のBT-W3/4/5辺りである必要がありそうです。そもそもペアリング設定などどうするのかも謎のままです。BT-Wシリーズにはペアリングに必要なボタンがついています。WindowsやmacOSのBluetooth設定UIを介さずにペアリングができる必要があるので一般的なアダプタはダメなのかな?とも思いました(後述しますが半分当たりで半分外れだったようです)。

■とにかく情報がない!

モノが届いたはいいものの、設定方法がさっぱりわかりませんでした。X5のマニュアル(とも呼べないペラ紙)にもオンラインヘルプにも、BT-X5のマニュアルにもX5と組み合わせて使う方法が書いてありません。ググってもわからず、手探りで色々試しまくりました。

X5のマニュアルではボタンを2秒長押しするとペアリングモードになるということですが、確かにLEDの点滅でペアリングモードにはなるものの、ヘッドセット側もペアリングモードにしてもなにも起きず。どちらの機器も相手を選ぶUIがないので永遠にペアリング待ちのお見合い状態になって進まず、という感じ。

結論を言うと、「PCにつないでCreative Appを使ってペアリングを済ませてからX5に刺し替える」という手はずでできました。普段X5の設定に使っているCreative AppがBT-W5を直接認識してくれてファームウェア更新やペアリングなどの設定ができます(OS側のBluetooth UIは使わない)。

X5など他のクリエイティブ製デバイスがつながっている時は左上の「デバイス」の「>」で切り替えられます。まぁ一旦X5を切っておくのが早いかも。この画面になったら「ブルートゥースデバイス」を選択すれば↓の設定画面になってペアリングが行えます。

これくらいX5のマニュアルに載せといてほしいものです。

■BT-W5の仕様、操作感

画面にも書いてありますがW5には4台のBluetooth機器をペアリングすることができます。どれにつなぐかはW5にあるボタンを短押しする度に1台目→2台目→3台目→4台目→1台目→…とサイクリックにかわっていくようです。現在何番目かはLEDが1チカ、2チカ、3チカ、4チカで視認できます。

またマイクも使いたい場合はHFPモードに切り替える必要があります。これには上記ボタンをカチカチっと2回押します。切り替わるとLEDはオレンジに。戻すのは1回押し。

これらの操作をするのにアダプタであるW5上のボタンを操作する必要があるため、X5の背面ポートに挿した場合は操作性に難があります。

そこで自分は短い延長ケーブルを買ってX5の側面に貼り付けてみました。

ちなみにモニターの足の高さにあわせた置き台を3Dプリントで作りました

こちらの20cmケーブルを買ったんですが見ての通り短すぎました。実際にはコネクタの根元の曲げられない範囲があるので、今回のようにヘアピンで折り曲げる場合はもう少し長さに余裕があるものが良さそうです。しばらく使ってみてやっぱり不便だなと思ったら買い換えるかも知れません。これから買う人は最低でも30cmくらいはあるものを物色してみると良いと思います。最初からC→Aの延長なら公式ストアでくれるアダプタがなくてもいけるかもですね。

■X5での使用感

ようやく認識してAeropexがX5経由で使えるようになりました。これでWindows機とMacBookをKVMで切り替えた際にBluetoothヘッドセットも一緒に切り替わるので、手間が省けます。音量コントロールも一括してX5のボリュームダイヤルで行えるのが良き。

ただし残念な点もありました。音声出力設定がヘッドフォンでもスピーカーでもBluetooth側には常に音が出ます。言い換えるとBluetoothヘッドセットで音を聴いている時、スピーカーかヘッドフォンからも音が出てしまいます。そしてBluetoothからの音はかなり小さいのでボリュームを上げてやらないとならず、結果としてスピーカーは論外としても、ヘッドフォンからもかなり音漏れするようにシャカシャカ聞こえてしまいます。しかもBluetooth側には明確なディレイ(遅れ)があるので気持ち悪い。マイクが拾ってしまうとエコーのような状態になってしまいます。結果としてBluetootヘッドセットで聴く時は「ヘッドフォンコネクタを抜いた上で出力先をヘッドフォンにする」運用が必要になります(スピーカーやアンプに電源やボリュームがあるならそっちをオフにするでも)。

HP/SPKボタンがHead Phone/Speaker/USB HOSTみたいな三択動作をしてくれたら良かったんですが。内部の系統が2つしかないから無理なんですかね。

またマイクを使う場合はHFP(ハンズフリープロファイル)モードに切り替えますが、これをすると聞こえてくる方の音が明確に下がります。低音が弱いスカスカな音に。これはX5/W5のせいというよりBluetoothの宿命みたいなものなので仕方ないんですが、やはり切り替えた瞬間にガッカリ感があるのでやはりマイクは別で用意してBluetoothヘッドセットはスピーカープロファイルのままで使うのがいいかなーと思ってます。その方がマイクも有線で音質も良いですし。そこまでしてBluetooth使う意味あるかって話ですが、カメラで顔を映す時にあまりごついヘッドフォンをしたくないんですよね。その点、Aeropexのような骨伝導ヘッドセットなら耳も出てますし無線でケーブルに煩わされることもないし。ゲームや動画試聴では音質有線でバランス接続ヘッドフォン、会議では見た目とケーブルレス重視で軽量ヘッドセット、という感じにしたい。

■まとめ

情報のなさで設定方法が謎すぎたX5とW5の組み合わせの使い方、使用感をまとめてみました。同じ悩みをもった方の参考になれば幸いです。

ただスピーカー/ヘッドフォンとの排他使用はできないので常時併用する使い方にはちと向かない気がします。「有線ヘッドフォンとBluetoothスピーカー」とか「Bluetoothヘッドセットと有線スピーカー」みたいな形でどちらかを常時Bluetoothに置き換えるスタイル向けかなと。

それでも複数PCで使うにはペアリングし直し問題がないなど一定のメリットがあると思うのでもうしばらくは使ってみたいと思います。

iPhone 15 Pro MaxとSAMSUNG T5をいい感じにひっつける

iPhoen 15 ProはUSB-Cで外部SSDに接続することができます。標準カメラアプリでProRes 4K/60で撮るには高速なSSD必須です。内部ストレージよりも容量単価も安いし、保存データをそのままMac/PCに読み込むにも手っ取り早いので高画質動画撮影にはうってつけです。

今回はATEM Mini用などに複数所持しているSAMSUNGのSSD T5/T7 touchを使うべくスマートな取り付け方法を検討しました。

ちなみにT7 touchのレビューはこちら。PCユーティリテイ無しでも指紋センサーでロック/アンロックできるので、iPhoneで撮影した後でSSDを紛失してもデータ漏洩にならないという意味で適している製品かも知れません。

これらをiPhone 15 Pro Maxで使うにあたっての要件は、

  • MagSafeでiPhone背面にクイックに脱着できるようにする
  • ケーブルをできるだけ短く無駄のないものにする
  • USB3.1(最低10Gbps、できれば40Gbps)のスピードが出せる

といったあたり。

なお、私の現在のiPhone 15 Pro Maxのケースはこちら。

裸の状態より少し背面が厚くなっている点をご了承ください。

結果として組み合わせたのは下記の3アイテム。

MagSafe用シールはMagSafe規格出始めの頃にアリエクで買ったもののあまりを流用しましたが、厚みが薄ければなんでもいいんじゃないかと思います。ただT5/7の底面の幅よりも少しだけMagSafeリングが大きいので、カットしたり曲げたりできる方が綺麗に収まるかも知れません。自分が使ったものは細かく切れているものだったので、底面からはみ出る部分は取り除いて使いました。

完成したのがこちら!

ケーブルを使わずアダプタ2個で接続できたので、持ちやすさはパーフェクトです。

コネクタ部分のアップ。ちょっとだけオス-オスアダプタが上に反ってる感じですが接続としては問題ありません。ケース越しでもきっちりUSB-Cコネクタが奥まで刺さってくれて、実際に4K/60p録画もできました。

貼り付け面はこんな感じ。

私の業務機材に貼っている「do-gugan」テプラがなければにっこり顔みたいになっています。

使わない時はアダプタを逆に挿しておけば、まぁまぁコンパクトになります。不意に力がかかって折ってしまうこともなさそう。

MagSafe脱着にこだわらなければ、オス-オスアダプタを省いてSSDをもう少し下よりにしてもいいかも知れません。両面テープで固定してしまうとか、面ファスナーなどで付け外し可能にするかなど。いずれにせよできるだけ薄いものを使った方が良いでしょう。3Dプリンターでケースに固定するアダプタを作るのも良いかも知れません。

これならポケットなどに入れて雑に持ち運んでも大丈夫そう。T5/T7は複数台あって最近はあまり使っていないので、ひとつはクルマに積んでおくなどして、思い立った時にProRES 4K/60p動画やQuest 3でも再生できるようになった空間動画などをがっつり撮っていきたいと思います。

長年放置していた電動アシスト自転車Panasonic ハリヤ2016をメンテする

最近、近所のChocoZAPに通い始めるのに足として自転車を使い始めました。実際には天気や時間で徒歩だったり車だったり色々ですが、一手段として自転車も使うようになりました。その自転車は2016年に東京から神奈川に引っ越す際に必要になると思って購入したPanasonicのハリヤなんですが、実際にはさほそ活用できていませんでした。特に横浜に移って3年くらいは屋根のない庭に放置した状態で色々とダメな感じ。

購入当時の記事(1)
購入当時の記事(2)

■タイヤの空気漏れは虫ゴム交換で一応解決?

まず使い出してすぐに気付いたのはタイヤの空気漏れ。前後とも、入れても2,3日ですぐ抜けてしまいます。使用頻度が低いとはいえ8年経っているのでチューブどころかタイヤも寿命を超えていてもおかしくありません。この機会に全交換かなーと思いつつ自転車屋(クルマで)自転車屋さんに買い物ついでに立ち寄って相談したら、急激に空気が抜けるのは虫ゴムかもしれないと言われ、それなら自分で交換できるからと虫ゴム(のついたバルブ)だけ購入して帰宅。300円台だったと思います。それをDIYで交換してみたら、ゴムが千切れてほぼ残ってない状態(千切れた破片はチューブの中に落ちてるってこと?)。これじゃ効果ない、2,3日で抜けるわけだわ。交換後はそこまで急激には抜けなくなったのでしばらく様子見。どうせ数分程度の距離しか乗らないし。

ちなみに調べてみると今は虫ゴム不要バルブなんてのものあるんですね。次買うならこういうのにしてみようかな。

どのみち耐用年数は超えてそうなので、自転車屋さんまで乗っていく元気がある時に全交換もするかも知れません。

ちなみにチューブ交換はホイールを外すのが基本ですが、輪っかとして閉じていないIチューブなるものがあるらしい。アシスト車は後輪を外すのが面倒くさいらしいですが、これならタイヤを外さずに交換できるっぽい。

ただウチのハリヤに適合する26インチ x 1.90HE規格のものがあるのか調べ切れていません。

タイヤも2016年ハリヤは結構オフロードっぽいゴツいのがついてますが、現行ハリヤはシティサイクルっぽいものに変わってます。やはり街乗りメインのファッション勢にはその方が実用的ということでしょうか。交換するならするでちょっと選定はちゃんと考えたいですね。

■ギアが変速できない…

同時に乗っていて気付いたのは、シフトチェンジしてなくね?という点。電動アシストが効いてるので平地舗装路は難なく走れてしまうんですが、どうも変速してる感じがしない。走行中に振り返って後輪を見るわけにもいかずで違和感だけでしばらく乗ってたんですが、どうせならちゃんと調べてみようと。万一タイヤとチューブを全交換したけど、ギア周りが逝ってて更に費用が嵩む、乗り換えた方がよくね?とかなったらもったいないですし。

自転車いじりはほとんどしたことがなかったので先達の方のブログやYoutube動画を見まくって、リアディレーラーの調整つまみをいじってみたりしたものの、更に悪化。外装7速で6,7速しか入らなくなりました。

まずは注油すらろくにしてなかったチェーンを掃除しようということでこちらのツールセットを購入。

青いケースにクリーナーを入れてチェーンを挟むように閉じ、ペダルを回してチェーンをガラガラ動かしてやると中の回転ブラシで磨いてくれるというシロモノ。一度これでベットリついた油類を綺麗に落としてあらためてチェーンルブをさしてやります。

この際、ハリヤは片出しのスタンドなのでそのままではペダル/後輪を回すことができません。後輪を宙に浮かす必要があります。そのために購入したのがこちらのメンテナンススタンド。

こういうのって後輪の軸の部分を両側でのっける三角系のウマみたいなのをイメージしてましたが、ハリヤだと後述のディレーラーガードなどもあって相性が悪いらしく、片側でフレームの2箇所を保持するタイプの相性が良さそうでした。

上記ブレーキ清掃具もセットになったものもありましたが、ミノウラのは使わない時は足が折りたためるし、自転車をひっかけるところもゴムが巻いてあったりと作りがしっかりしてそうなのでちょっとだけ贅沢。

で、さすがにチェーンを掃除したくらいでは症状は改善しませんでしたと。

次にスムーズに回らないハンドル部のシフター周りを調べてみるべとパネルを開けてみようとしたらツメが劣化していたのかパキンと折れてしまい固定できなくなりました。ワイヤーが正しく抑えられないし、どのみち現在段数を示すところの透明パネルも曇って見えなくなってるのでまるごと交換することに。ハリヤのギア周りはシマノ製がほとんどで、Panasonicの補修部品として購入しなくても普通にシマノ製品で同等品が手に入ります。価格も安い。

ハンドルグリップを外すせば簡単にワイヤーごと交換できます。ワイヤーも伸びたり錆び付いたりで消耗品なので良い機会です。ワイヤーホース(アウターワイヤー)内のサビも気になるので潤滑スプレーを吹きながらシュコシュコして差し込んでおきました。

ワイヤーをカットした後はほつれやケガ防止の為にこちらでかしめて先端処理をしました。

さてこれでギア変速動作も改善するかといえばまったく変わらず。ワイヤーを引いても6,7段くらいの範囲でしか動かず。L側とH側の調整ネジをあれこれ試すが改善しません。ディレーラーは転倒した時に当たりどころが悪いと簡単に壊れるパーツなようなので、どこかでやっちまったかなと(ただしこの年式のハリアにはガードがついていて衝撃はいきにくいようにはなっています。現行(2017年~?)はガードがなくなったかわりにディレーラーが直接フレームに取り付ける方式からディレーラーハンガーを介してつくようになり、ハンガーが真っ先に壊れる仕組みになったっぽいです)。

なんだかもう最初から自転車屋さんにおまかせの方が安く済んだんじゃないかっていうモヤモヤを抱えつつも、楽しくもあり、出せない金額ではないのでこの際交換してみるか、ってことで同型品を購入。

この辺りは規格品というか割と互換性があるようでアップグレードする楽しみなどもあるっぽいですが、チェーンの長さがかわってしまうとまたツールが必要になってきそうだったのでおとなしく同等品にしときました。

しかし交換してもあまり症状はかわらないorz。ディレーラーを手でグイっと押し込めばロー側にシフトダウンしますが、シフターを動かすだけだと相変わらず6,7段、かなり頑張っても4,5段くらいまでしか変速しません。たぶんシフトワイヤーのテンションが足りないんでしょうけど、多くの動画でそこら辺があまり具体的に解説されてませんでした。それでもあちこち見てまわって、最終的に「シフターを1速にして、手でディレーラーを押し込んでチェーンが1速にある状態で、目一杯ワイヤーを引っ張って固定」というテンションマックスくらいで固定してなんとか1速から7速までしっかり変速してくれるようになりました。

結果論でいくと、ワイヤーが伸びるかズレるかしてテンション不足になっていた状態で、ぶっちゃけシフターもディレーラーも壊れていなかった可能性があります。でもまぁ透明パーツも綺麗に数値が読めるようになったし、合計で3,000円なら工賃として払うより部品が新品になった分よかったろうと。ディレーラー調整の勉強にもなったし。

■まとめ

メンテナンスツールの出費まで考えるとまぁまぁな出費になりましたが、そこは今後も活用していけるのでヨシ。気持ち良く走れるようになったのでchocoZAP通いも楽しくなろうかというものです。

ちょっと愛着わいてきたし、ブレーキパッドの交換とかもやっておこうかな。

あとほぼ購入当初からしている大きなトルクをかけた時にガタンとギア抜け(?)みたいな現象もスプロケットとか交換で治るならやってみたいなぁとか。

あとはライトの位置が標準ではカゴの上で、「カゴ一杯に荷物を載せると光が遮られて役に立たない」というクソ設計を嫌って、購入直後にDIYでカゴ下に移設してあるんですが(過去投稿(2)参照)、その角度がイマイチで路上より上目を照らしてしまう問題があるので、今こそ3Dプリンターを使って自作治具を作れないかなと思っています。

そこそこ軽量、ガッチリで使いやすい三脚 SmallRig AP-100

先日久しぶりにSIGMAの135mmを持ち出して三脚撮影したところ、カメラ+レンズ+ケージ+ハンドルの重量に三脚が負けてしまって、かなり難儀をしました。

使った三脚は10年以上前な気がするSLIKのSPRINT PRO 3WAY BK(G961T)というモデルで耐荷重は1.8kg。その日は少し風もあり、シャッタースピードを落とした撮影でブレまくったり、縦撮りアングルで思った角度に固定できなかったり。最近は仕事でも趣味でも三脚は車で運ぶことが多く、「軽量さを犠牲にしてもいいからガチガチに固定できる三脚」を1つもっとこうと決意しました。

現状、仕事でメインに使っているマンフロットのBeFree Liveのビデオ雲台モデル。

これがウチではもっともガッシリしています。これをアルカスイス互換化してFX30などを載せています。撮影時の使用感は悪くないのですが、折り畳み方がちょっと変態的なのでちょっと展開にもたつきます。オイルフルードなビデオ雲台も文字通り動画撮影してチルトやパンをスムーズに行うには良いですが、静止画撮影には基本不要。なので今回はこれとは別に静止画専用で選定してみることに。

仕事で使う時は基本室内でほぼ動かさないのでしっかり固定できて高さが足りればさえできれば問題ないです。あとは軽くてコンパクトなら電車移動の案件でBeFreeのかわりに持っていきやすいかなと。

プライベートではクルマを撮るのが圧倒的に多い。夜に長時間露光してる間、多少の風でもフラつかないのが理想。さっと取り出してさっと撤収できるのも重要。足がワンアクションで伸縮できたりするとベストですね。

選定要件はこんな感じ。

  • パイプ太めで重たいカメラや風にも耐える
    • 耐荷重が数kgくらい?
  • 現状α7IVもFX30もアルカスイス互換ケージがついているので、これを使ってスムーズにカメラの脱着ができる(もしくは雲台別売りも視野に)
  • スムーズに展開/収納できる
  • できれば縦構図にも対応
  • できればローアングルにも対応
  • 軽さや大きさは二の次

最初はパイプが3本ずつあるガチ業務用みたいなのを考えたんですが、結果的にはSmallRigのAP-100という新製品が使い勝手も含めてよさそうだなと思い決めました。

公式ページはこちら。また細部のレビューなどはこちらの動画が非常に参考になりました。

■特徴

基本スペックとしては、

  • 重量: 1.38kg
  • 収納時全長: 49cm
  • 展開時全高:150cm(センターポールを伸ばさないと125cm)
  • 最低高: 13cm
  • 耐荷重: 15kg、雲台8kg
  • ポールはカーボン製
  • アルカスイス互換のクイックリリース付き雲台

という感じ。カーボンってこんなに安かったっけ?という3.5万前後の価格。

三脚部分

4段式で、太さは不明。一般に三脚って型番にポールの段数と太さが入ってるイメージですが、こちらのAP-100と言う型番からは識別できず。公式の仕様にも書いてナサゲ。

特徴的なのは4段式で3つのナットがあるんですが、本製品では最下段のナットをひねるだけで、他の二箇所も一緒にロック/アンロックできるのが特徴(上側の2つは基本触りません)。素早い伸縮操作ができそうで◎です。

ゴールドリングのついたナットをひねるだけで他の2箇所もロック/アンロックされる

センターポールを取り外して雲台を直接接続することもでき、その状態で前回に開脚させると13cmというローアングルポジションにも対応します。クルマ撮りではローアングルも使うのでありがたい。でもセンターポールの脱着は隠し六角レンチを使うなど少し手間なので、もしかするとクイックリリースを活用して別の専用三脚につけかえる運用になるかも?

あと各脚の付け根に三脚ネジ穴(1/4)があいているので、外部モニターやスマホ、マイク、照明などをとりつけてリグを組むような使い方にも対応してます。雲台、センターポールとは独立なので、別途ビデオ雲台に交換してもその穴は利用可能。静止画運用だと外部モニター(含スマホ)をつけるくらいかな。

脚の付け根の1/4ネジ穴

雲台部分

こちらが本製品の大きな特徴になってる気がします。形からしてあまり見慣れないお椀型というかなんというか。半球型のボール雲台みたいな?ロックはレバー式で素早く操作できます。上記動画でも「公式の使い方ではないかも知れないが」と注釈をつけつつもレバーを中途半端に占めることでボールを適度な硬さで固定できます。でもまぁ唐突に緩んでガタンとなってしまうリスクを考えると、中途締め技は微妙かな。半球型なので調整できる角度の範囲は狭めですが、センターポールを持ち上げれば90度曲がって縦撮りにも対応できるので、全球型のボール雲台に対してデメリットはなさそう。レバーがどういう風にボールを締め付けてるのか不明ですが、ボールの直径が大きい分、なんとなくしっかり固定できてそうな印象(より広い面積の摩擦で抑えてるイメージ)。

逆にクイックリリースの固定はレバーではなくリングのネジ止めになっていて、一瞬で脱着という感じえではなさそう。でもまぁ突然ロックは外れてカメラが落ちる、なんてこともないのでこれはこれでアリかも。

全体として、カーボンカーボンしたポールとガンメタなパーツで構成されていてデザインはガジェット感がとても高くて良いです。

■展開、カメラ脱着などの操作感

三脚部分

まずポールの伸縮をロックするナット部分。一箇所で3つのロックを操作するわけですが、ひねり具合で上から順にアンロックされていきます。1段目だけを伸縮したい場合と2段目まで動く状態を意図して使い分けることができる仕組みです。「3本の脚をそれぞれ1段目だけ伸ばしたい」時に、2段目移行も同時に緩んでしまったら不便なわけですが、そこはちゃんと考えられていて、ひねりが1段、2段となっています。2段回緩めると、全てのナットが一緒にリリースされますが、4段目は握ってるナットよりも先になるので、手を持ち替えない限りは勝手に伸びることはありません。なので「2段目まで全開に伸ばすが3段目は伸ばさない」という意図で操作は可能。よく考えられていると思います。ただ開封直後はこのナットの2段階目の緩め操作がバチクソに固くて初期不良を疑ったレベル。コツを掴んだというよりは、何度も操作してるうちに馴染んできたという印象。それでも素手で操作を繰り返してるとしばらく手のひらがヒリヒリする印象。ちょっとだけグリスアップとかしてみたい気持ち。

伸縮もあまりスムーズではなく、「シャー!」って感じのどこか擦れたり削れたりしてそうな動作感。もしかするとカーボン三脚ってこんなものなのかも?もうちょっと音なくヌルっと動いてくれると気持ちいいんですが。

センターポールも同じような動作感。また一番短く格納する時は、一箇所だけある突起をあわせるように向きをあわせてやらないとならないのがちょっと面倒(下写真)。

ポール先端が正円ではなく3方向に突起があり、受け側の切り欠けとあわせないと一番下まで行かない

センターポールを抜いてローポジにするのは、ポール下端に隠された六角レンチを取り出してネジを緩めてとかする必要があります。

ウェイトフックの下のボタンを押すと…
レンチが出現!

これ1つだけ持っていった時にはマルチスタイルで使えるのは超便利ですが、普段クルマで移動して使う時は他のミニ三脚を併用してクイックリリースで付け替えて使う方が楽かなと。まぁできないよりはできた方がいいかなというレベル。

全体としてデザインや構造はよく考えられるんだけど、ビルドクオリティがいまひとつかなというところ。お値段なりという感じなのかカーボンの性質的なものなのか。使ってるうちに馴染んでくれば良し、ダメならグリスアップ方法を模索してみようと思います。

雲台部分

当たり前ですがα7IVのSmallRigケージもFX30のTILTAケージもリング部の締め/緩めでガッチリ固定できました。1/4ネジで固定することと比べれば文字通り非常にクイックな脱着ができます。

SmallRigのケージやハンドルをつけ、SIGMA 135mmF1.4をつけた状態
FX30にTILTAケージをつけ、SONY 50mmF1.4GMを装着した状態
操作部は基本、レバーとリング

一番上のリング部分の回転でクイックリリースの締め/緩め、その下のレバーが雲台の向きの締め/緩めとなるわけですが、なんとなく逆というか、クイックリリースはロック/アンロックのデジタル操作、雲台がアナログ調節したいイメージ。もちろん弾みでクイックリリースが急にアンロックされてカメラが落ちる、というのは最悪の事態なので、それを避ける意味ではアナログな締め付けというのは無難なんでしょうけど。ちょっとだけ手間に感じます。

クイックリリースのセンターに△マークがついていて、同じSmallRigのケージだとセンター合わせがしやすいのはGood(TILTAのケージにはなし)。

SmallRig同士のマッチング

あと個人的にはリングの締める↔緩めるの方向が逆な気がしてます。慣れるかな?

■撮影時の安定感

三脚部分

今まで使っていた三脚とポールの太さを比べてみました。

AP-100(上)とBeFree Live(下)の一番細いパイプ径比較
AP-100(上)とSLIK(下)の一番細いパイプ径比較

SLIKは5段なので仕方ないですが一番下はかなり細いです。AP-100の最下段の4段目はそれよりは太くなって、SLIKの4段目に近いくらい。これが安定度に効いてくれればいいなと思います。

高さ150cmというと、身長171cmくらいの自分だとちょうど目線の位置でファインダーが覗ける感じ。正直もうちょっと、あと20cmで自分の頭上にカメラがもってけるくらいあると文句なしだったんですが、まぁ仕方ないかな。今まで使ってたSLIKの三脚はそれくらいまで行くので使い分けてもいいんですが、そういう時こそ安定感がモノをいうんですよね。なおAP-100はセンターポールの脱着は1/4三脚穴を使わないので、市販の延長ポール的なパーツを使って高さを増すという方法は使えません。やるなら雲台の上に積む感じで不安定になっちゃうでしょう。

三本脚の1本にだけゴム(シリコン?)のグリップがついています。これが手前側の脚であることを示しています。手でもってガッチリ固定したいって時にここを握れば滑りにくいし、真冬の撮影でも冷たくないのがいいかなと思います。3本とも付いてりゃいいかもですが、まぁ収納時のサイズとか重さなども考慮して1箇所だけなんでしょうか。

ゴムグリップ

雲台部分

SIGMA 135mm、ケージ、ハンドルをつけた総重量xxkgのα7IV一式を載せてもしっかり固定できるし、微妙なアングル調整もしやすい感じ。静止画撮影としては充分な保持力をもってる気がします。

不満はクイックシューのセンターについた水平器。カメラをつけてしまうと見られない位置です。ボール(的)雲台なので、一旦水平をバシっと決めてもチルトのために固定を緩めたらまた水平もズレてしまいがち。なので、水平器は常に見えるとよかったなぁと。まぁカメラ側に電子水平器があるのでそちらを活用すればいいんですが。

室内で135mmで5mくらい先の手のひらサイズのモデルカーを撮ってみました。(シャッターショックを抑える為)セルフタイマーを5秒にし、シャッター速度を1秒にしてブレが出ないか検証。さすがに室内で風もないしSLIK、マンフロット、SmallRig AP-100の3つともあまり違いはでませんでした。外で風が強い日はどうかなぁ。ちなみに位置決めを思い通りにしやすかったのはSLIKでした。やはりチルト(前後の傾き)とロール(左右の傾き)が独立に調整でき、カメラ本体を抑えずに動かせるのが大きいのかも。AP-100の半ボール状雲台はもうちょっと慣れが必要そうだし、135mmくらい重くて重量バランスが悪い状態ではレバー半締めでの運用はリスク高すぎると感じました。

あとAP-100はセンターポールの下にウェイト(重り)をぶらさげるフックがついています。いざとなればここにウェイトやバッグをぶら下げれば重心を下げて安定度を増すことができそう。とりあえずペットボトルが使えるようこちらのキャップを購入しました。

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■その他

細かい指摘としては、普段アルカスイス互換クイックリリースで使ってく場合、付属の1/4三脚穴用のプレートの所在に困ります。現場で必要になるかも知れないので一緒に持っておきたいものの、毎回とりつけておくのはナンセンス。付属ケースの内側にポケットなどあったら良かったのになと思いました。フリーで一緒に放り込んでおくと金属同士が当たって無用の傷が増えそう。百均で小さい布ケースを買って来てケースの奥底に入れておくことに。

ケース自体は作りもしっかりしているし、収納状態でBeFree Liveよりもかなりスリムになるので、電車で現場に行く時はこっちの出番が多くなりそう。

カメラは持って来てないけど、すごくいいショットが撮れそうなのでiPhoneででも撮りたい!ってなった時に、1/4ネジシューとスマホアダプターがあると良いんですが、今後はアルカスイス互換+MagSafeで素早く使えるようにこれも注文しました。これを使えば付属のプレートはまずまず使う場面がなくなりそうです。

■まとめ

今まで所持した中でもっとも太いポール系ながらカーボンでサイズスペックの割には軽め、そして現代なりのユーザビリティを備えたSmallRig AP-100を導入してみました。

外観やケースの質感も含めかなり所有欲を満たす製品だと感じます。これで3万円台ならコスパは高いかなと。

導入の主動機である望遠時のブレ耐性はこれから何度も実施で使って行かねばですが、第一印象としてはかなり良さそう。高さがもう少しだけ欲しくなりそうですが、とりあえず常時車載しておくのはこれ1台で済ませられそうです。

LEGION GOのコントローラーのガタつきをDIY補修する

左右のコントローラーが脱着できるLenovoのUMPC、Legion Goですが、その機構故のガタつきが気になります。ウチのは特に右側がガタつくというか緩さを感じてちょっと残念な使用感です。店頭の展示機を何台か比べてみましたが、程度の差はあれガタつきはある気がします。個体によって左の方がガタつくものも。でも全体にウチのの右側は特に酷いかなぁ。持ち寄って比べたわけではないですが。

クレーム入れて交換してもらえても結局当たり外れの運頼みだとすると、わざわざ店員や電話サポートで納得してもらえるまで説明したり、再セットアップする手間が億劫になります。

ということでDIYで簡単に補修。まずはじっくり観察してみると、本体側(写真左)の上下にゴム的なパッドが貼られているのがわかります。これの当たりが弱くてガタつくんだろうと。ちなみに脱着フレームに3つのネジがありますが、多少締め直したりした範囲ではガタつきには影響なさそう。

試しにたまたま手近にあった封筒を下側にはさんでみると驚くほどガッチリ固定されました。ということはそれに近い厚みで、適度に弾性があり、かつ目立たない素材を貼り付ければよさそう。ノギスで封筒を測ってみると0.3mm程度でした(個体差によると思うので各数値は他の個体にも当てはまる保証はありません)。これを念頭にホームセンターへ。

見つけたのはこちらのシート。0.35mmです。素材は不明ですが色移りしにくいとのこと(保証はないので自己責任)。

粘着シールはついていないのでこれに両面テープの厚みを加味する必要があります。買って来たのは定番のナイスタック、一般タイプ(0.09mm)と強力タイプ(0.15mm)。

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シートの材質が書いてありませんが、ゴムやシリコンのようなフニャフニャしたものなので、一般的に接着剤が苦手とする可能性が高く、できれば強力とかゴム対応みたいなのが良いかなと。本当はテープではなく接着剤がいいかもですが、跡残りを考えると手が出せず。

やはり当初イメージの0.3mmを超えてしまうせいか、本体側のパッドに近い面積で貼ってみたら厚すぎてロックできませんでした。そこで、写真のように短めにして両端に寄せるようにしたところ、いい感じの固定力になりました。これでしばらく様子をみて、剥がれてきたり潰れて保持力が弱まってきたりしないか観察していきたいと思います。

もっと綺麗にするなら?

本当は本体側のパッドを剥がして、厚めのテープに交換するとか、こういう厚みに小刻みなバリエーションがあるステンレス板を挟むとかして調整してやるのが純正然とした形になるのかなと思います。もしくは見た目を気にしないのであれば、これの0.2mm辺りを両面テープでコントローラー側に貼るのでもいいかも。素材的にはしっかりくっついてくれそう。

そのうちチャレンジするかも知れません。

■まとめ

百円単位の簡単なDIYで気になっていたガタつきを抑えることができました。

なんか値段の割にビルドクオリティ低いんだよなーと思っていたLegion Goですが、ここがガッシリすることでにわかにお気に入り度が高まってきましたw

絶対ここの印象で損してると思うし、最初からこのクオリティ出してくれよ、って感じではありますが、ともあれこれでまた気持ち良く使っていけそうです。